【実施例】
【0027】
以下に試験例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記に記載される各例のコーンパウダーを製造し、水分散性、ドラムドライヤを用いた生産性について評価した。結果を表1に示す。
【0028】
(実施例1)
市販されている冷凍コーンペースト(とうもろこし100%、pH6.5〜7.5、水分74〜81%)を用いた。攪拌効率・酵素反応効率を上げるため、冷凍コーンペースト100gに対して、水75gを加え混合後、攪拌機(ニーダ)へ投入した。攪拌を行いながら加温し、酵素反応の至適温度である50℃に到達後、冷凍コーンペースト100gに対して、デンプン枝切り酵素としてプルラナーゼ(天野エンザイム社製、プルラナーゼ「アマノ」3)を300ユニット(0.1mL)を添加した。酵素反応は、50℃に維持した状態で攪拌しながら30分間行った。酵素反応終了後、92℃まで加温し酵素失活を行い、酵素処理コーンペーストを得た。
【0029】
次に、得られた酵素処理コーンペーストを、ドラムドライヤ(ダブルドラム)にて、乾燥処理を行った。ドラムドライヤは、常圧、ドラム表面温度135℃、回転速度30rpmの条件とした。ドラムドライヤの表面でシート状に乾燥した固形物を回収し、カッターミルにて粉砕した。得られた粉砕物は、篩(タイラーメッシュ42(目開き355μm))にて分級し、355μm以下の粒子とすることにより、実施例1のコーンパウダーを得た。
【0030】
(実施例2)
実施例1において、酵素反応時間を60分にした以外は、実施例1と同様に実施し、実施例2のコーンパウダーを得た。
【0031】
(実施例3)
実施例1において、酵素添加量をコーンペースト100gに対して、プルラナーゼ(天野エンザイム社製、プルラナーゼ「アマノ」3)を150ユニット(0.05mL)添加した以外は、実施例1と同様に実施し、実施例3のコーンパウダーを得た。
【0032】
(実施例4)
実施例1において、酵素添加量をコーンペースト100gに対して、プルラナーゼ(天野エンザイム社製、プルラナーゼ「アマノ」3)を90ユニット(0.03mL)添加した以外は、実施例1と同様に実施し、実施例4のコーンパウダーを得た。
【0033】
(比較例1)
実施例1において、プルラナーゼの酵素を添加しなかった以外は、実施例1と同様に実施し、比較例1のコーンパウダーを得た。
【0034】
(比較例2)
実施例1において、プルラナーゼの代わりに、デンプン分解酵素α−アミラーゼ(ノボザイム社製、ファンガミル800L)を使用し、コーンペースト100gに対して、α−アミラーゼを80FAU(0.1g)添加した以外は、実施例1と同様に実施した。尚、比較例2は、ドラムドライヤによる乾燥処理を行うことができなかったため、その後の水分散性の評価を行っていない。
【0035】
(比較例3)
比較例3は、実施例1において、酵素としてプルラナーゼ(天野エンザイム社製、プルラナーゼ「アマノ」3)、及びデンプン分解酵素β−アミラーゼ(エイチビィアイ社製、ハイマルトシンG)を使用した以外同様に実施した。酵素は、コーンペースト100gに対して、プルラナーゼを300ユニット(0.1mL)、β−アミラーゼを2,000ユニット(0.2g)添加した。尚、比較例3は、ドラムドライヤによる乾燥処理を行うことができなかったため、その後の水分散性の評価を行っていない。
【0036】
(実施例5)
収穫後の生とうもろこしについて、直ちに皮を剥き、脱粒したホールコーンをコミトロール(アーシェル社製)で粉砕し、篩(タイラーメッシュ149(目開き105μm))にて分級し、平均粒径105μm以下のコーンペーストを得た。このコーンペーストを加温し、酵素反応至適温度である50℃に到達後、コーンペースト100gに対して、デンプン枝切り酵素としてプルラナーゼ(天野エンザイム社製、プルラナーゼ「アマノ」3)を300ユニット(0.1mL)を添加した。酵素反応は、50℃に維持した状態で、攪拌機(ニーダ)で攪拌しながら30分間行った。酵素反応30分終了後、さらに95℃まで加温し酵素失活を行い、酵素処理コーンペーストを得た。
【0037】
次に、得られた酵素処理コーンペーストを、ドラムドライヤ(ダブルドラム)にて、乾燥処理を行った。ドラムドライヤは、常圧、ドラム表面温度135℃、回転速度30rpmの条件とした。ドラムドライヤの表面でシート状に乾燥した固形物を回収し、ピンミルにて粉砕した。得られた粉砕物は、篩(タイラーメッシュ42(目開き355μm))にて分級し、355μm以下の粒子とすることにより、実施例5のコーンパウダーを得た。
【0038】
(実施例6)
実施例5において、急速バラ凍結された冷凍とうもろこし粒(IQFコーン)を使用した以外は、実施例5と同様に実施し、実施例6のコーンパウダーを得た。
【0039】
(比較例4)
実施例6において、プルラナーゼを添加しなかった以外は、実施例6と同様に実施し、比較例4のコーンパウダーを得た。
【0040】
<水分散性>
16オンス(約453.6g)の紙容器に各試料粉末(コーンパウダー)10.5gを入れ、200ccの水(熱湯98℃)を投入した。投入終了後、10秒間放置した後、200rpmにて20秒間撹拌した。攪拌終了後、篩(タイラーメッシュ10(目開き1700μm))にて溶解液を濾しながら、別容器へ移した。篩上に残った残渣を溶解不良物として紙容器へ戻した。その紙容器の質量を計測し、空の紙容器の質量を引いた値を溶け残りとして記録した。各例についてN=5の平均値を求め、溶け残り量とした。
【0041】
溶け残り量が1g未満の場合を「優れる:◎」、1g以上且つ2g未満の場合を「良好:○」、2g以上且つ4g未満の場合を「可:△」、4g以上の場合を「不可:×」として評価した。
【0042】
<生産性>
酵素処理後のコーンペースト(未実施のものは未処理のコーンペースト)を、ドラムドライヤを用いて乾燥処理する際の生産性について評価した。
【0043】
何ら問題なく乾燥処理することができる場合を「優れる:◎」、ドラム表面の乾燥後の固形物に、ややシワが生じるが、実用性に問題なく乾燥処理することができる場合を「良好:○」、ドラム表面の乾燥した固形物にシワが生じ、剥離工程をスムーズに行うことができない場合を「可:△」、ドラム表面の乾燥工程又は表面からの剥離工程を行うことができずドラムドライヤによる乾燥処理を行うことができない場合を「劣る:×」として評価した。
【0044】
<粘度測定>
コーンペーストの粘度に関し、デンプン枝切り酵素を作用させる前のコーンペーストの27℃における粘度(mPa・s)(X)に対するデンプン枝切り酵素を作用させた後のコーンペーストの27℃における粘度(mPa・s)(Y)の低下率(%)((X−Y)・100/X)を求めた。尚、各例において、酵素反応終了後の試料は、92℃まで加温し、酵素失活を行い、その後、27℃まで冷却したものを使用した。また、酵素を作用させる前の各試料も、92℃まで加温し、その後、27℃まで冷却したものを使用した。
【0045】
粘度測定は、東機産業社製TVB10型粘度計を用いて測定した。スピンドルNo.M3、回転数30rpm、測定温度27℃、測定時間180秒後に示した数値を粘度値とした。
【0046】
【表1】
表1に示されるように、コーンペーストをデンプン枝切り酵素を用いて処理した各実施例は、酵素処理していない各比較例に対し、水分散性の評価が向上していることが確認された。また、各実施例は、α−アミラーゼ又はβ−アミラーゼを使用した各比較例に対し、ドラムドライヤを用いた生産性の評価が向上していることが確認された。
【0047】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)デンプン枝切り酵素を用いたコーンペーストの酵素処理は、45〜55℃において、10分〜1時間行われる前記コーンパウダーの製造方法。(b)水への分散を伴う用途に適用される前記コーンパウダー。