(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スプールは、前記スプール孔内の第2の位置に配置された場合、前記上流側通路と前記第1下流側通路との間を遮断し、前記上流側通路及び前記第1下流側通路のうち少なくともいずれか一方と前記バイパス通路との間を遮断する請求項1〜4のいずれか一項に記載の方向切換弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、スプール式の方向切換弁によってポンプ装置からアクチュエータへの作動油の供給及び排出をコントロールすることで、アクチュエータを駆動制御できる。
【0007】
スプールは、スプール孔の壁上を摺動する複数のランド部と、ランド部間に設けられる複数の切欠部とが組み合わされて構成されており、スプール孔内の位置に応じて流路を規定する。ポンプ装置からの作動油は、スプールのランド部によって流れが遮断され、またスプールの切欠部を経由してアクチュエータに供給される。
【0008】
したがって、ポンプ装置からアクチュエータへの作動油の供給はランド部及び切欠部による制限を受け、ランド部及び切欠部により構成される流路が十分な大きさを有していない場合には作動油の圧力損失が大きくなる。特に、ポンプ装置からの作動油を切欠部に供給する通路(ブリッジ通路(供給通路))と切欠部との間の開口の面積が十分な大きさを有していない場合、作動油がこの開口箇所を通過する際の圧力損失が非常に大きい。
【0009】
その一方で、スプールは、配置スペース及び移動範囲が制限されている中で、流路の形成及び遮断(制限)という本来の機能を確保する必要がある。そのため、スプールに形成されるランド部及び切欠部の大きさや配置を調整して十分なサイズの流路を確保することが設計上非常に困難な場合があり、作動油の圧力損失が大きい流路しかスプールによって形成できないケースもある。
【0010】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、作動油の圧力損失を効果的に低減できるスプール式の方向切換弁、及びそのような方向切換弁を使った油圧システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、弁本体に形成されるスプール孔と、スプール孔内において移動可能に設けられ、スプール孔内における配置に応じてスプール孔内に流路を規定するスプールと、スプール孔に接続され、スプールに対して上流側に配置され、第1のデバイスからの作動油が供給される上流側通路と、スプール孔に接続され、スプールに対して下流側に配置され、第2のデバイスに連通する第1下流側通路と、スプール孔のうちの第1箇所と第2箇所とを連通するバイパス通路と、を備え、スプールは、スプール孔内の第1の位置に配置された場合、上流側通路と第1下流側通路とをつなぐ第1接続流路と、上流側通路と第1箇所におけるバイパス通路とをつなぐとともに第1下流側通路と第2箇所におけるバイパス通路とをつなぐ第2接続流路とを規定し、上流側通路と第1下流側通路とが第1接続流路及び第2接続流路を介して連通する方向切換弁に関する。
【0012】
本態様によれば、上流側通路と第1下流側通路とが第1接続流路及び第2接続流路を介して連通されるため、単一の接続流路のみによって上流側通路と第1下流側通路とが連通されるケースに比べ、上流側通路と第1下流側通路との間の流路の面積を総合的に大きくすることができ、作動油の圧力損失を効果的に低減できる。
【0013】
なお「第1のデバイス」及び「第2のデバイス」は特に限定されない。例えば、上述の方向切換弁がポンプ装置とアクチュエータ(例えばシリンダー等)との間に配置される場合には、「ポンプ装置」及び「アクチュエータ」がそれぞれ「第1のデバイス」及び「第2のデバイス」を構成しうる。また例えば、方向切換弁がアクチュエータとタンクとの間に配置される場合には、「アクチュエータ」及び「タンク」がそれぞれ「第1のデバイス」及び「第2のデバイス」を構成しうる。
【0014】
スプールは、複数のランド部と複数の切欠部とを有し、複数のランド部は、第1接続流路と、第2接続流路のうち上流側通路と第1箇所におけるバイパス通路とをつなぐ流路とを画定する分配ランド部を含んでもよい。
【0015】
本態様によれば、分配ランド部によって、第1接続流路及び第2接続流路を空間効率良く形成できる。
【0016】
複数の切欠部は、スプールの移動方向に関して分配ランド部の一方の側に隣接して形成され、第1接続流路を構成する第1切欠部と、スプールの移動方向に関して分配ランド部の他方の側に隣接して形成され、第2接続流路のうち上流側通路と第1箇所におけるバイパス通路とをつなぐ流路を構成する第2切欠部とを含んでもよい。
【0017】
本態様によれば、第1切欠部及び第2切欠部によって、第1接続流路及び第2接続流路を空間効率良く形成できる。
【0018】
第1切欠部は、第2接続流路のうち第1下流側通路と第2箇所におけるバイパス通路とをつなぐ流路も構成してもよい。
【0019】
本態様によれば、第1切欠部及び第2切欠部によって、第2接続流路を空間効率良く形成できる。
【0020】
スプールは、複数のランド部と複数の切欠部とを有し、複数のランド部は、第1接続流路と、第2接続流路のうち第1下流側通路と第2箇所におけるバイパス通路とをつなぐ流路とを画定する分配ランド部を含んでもよい。
【0021】
本態様によれば、分配ランド部によって、第1接続流路及び第2接続流路を空間効率良く形成できる。
【0022】
上流側通路は第1開口部及び第2開口部を有し、第1開口部は第2開口部よりも第1下流側通路に近接した位置に配置され、第1接続流路は、第1開口部を介して上流側通路と第1下流側通路とをつなぎ、第2接続流路は、第2開口部を介して上流側通路と第1箇所におけるバイパス通路とをつないでもよい。
【0023】
本態様によれば、上流側通路と第1下流側通路とをつなぐ第1接続流路及び第2接続流路には、上流側通路の相互に異なる開口部(すなわち第1開口部及び第2開口部)から作動油が流入するため、上流側通路と第1下流側通路との間の流路の面積を総合的に大きくしつつ、作動油の圧力損失をより一層効果的に低減できる。
【0024】
スプールは、複数の切欠部を有し、複数の切欠部は、第1接続流路を構成する第1切欠部と、第2接続流路のうち上流側通路の第2開口部と第1箇所におけるバイパス通路とをつなぐ流路を構成する第2切欠部とを含んでいてもよい。
【0025】
本態様によれば、第1切欠部及び第2切欠部によって、第1接続流路及び第2接続流路を空間効率良く形成できる。
【0026】
スプールは、スプール孔内の第2の位置に配置された場合、上流側通路と第1下流側通路との間を遮断し、上流側通路及び第1下流側通路のうち少なくともいずれか一方とバイパス通路との間を遮断してもよい。
【0027】
本態様によれば、上流側通路、第1下流側通路及びバイパス通路の相互間の連通及び遮断を、スプール孔内のスプールの配置に応じて適切にコントロールできる。
【0028】
方向切換弁は、第1のデバイスから作動油が供給されるアンロード通路を更に備え、アンロード通路の一部は、スプール孔によって構成され、スプールは、スプール孔内の第1の位置に配置された場合にはアンロード通路を遮断し又は絞り、スプール孔内の第2の位置に配置された場合にはアンロード通路の遮断又は絞りが解除されてもよい。
【0029】
本態様によれば、アンロード通路の連通及び遮断(又は絞り)を、スプール孔内のスプールの配置に応じて適切にコントロールできる。
【0030】
方向切換弁は、スプール孔に接続され、タンクに連通するタンク通路と、第1下流側通路とは別の経路で第2のデバイスに連通する第2下流側通路とを更に備え、スプールは、スプール孔内の第1の位置に配置された場合、第2下流側通路とタンク通路とをつなぐ第3接続流路を更に規定する。
【0031】
本態様によれば、上流側通路と第1下流側通路とを第1接続流路及び第2接続流路を介して連通しつつ、第2下流側通路とタンク通路とを第3接続流路を介して連通できる。
【0032】
方向切換弁は、スプール孔に接続され、第1のデバイスの第1吐出ポートに連通する第1供給通路と、スプール孔に接続され、第1のデバイスの第2吐出ポートに連通する第2供給通路と、を更に備え、上流側通路は、第1供給通路及び第2供給通路のうち少なくともいずれか一方に連通してもよい。
【0033】
本態様によれば、第1のデバイスが複数の吐出ポート(第1吐出ポート及び第2吐出ポート)を有していても、作動油の圧力損失を効果的に低減できる。
【0034】
方向切換弁は、第1のデバイスの第1吐出ポートから作動油が供給される第1アンロード通路と、第1のデバイスの第2吐出ポートから作動油が供給される第2アンロード通路と、を更に備え、第1供給通路は第1アンロード通路に接続され、第2供給通路は第2アンロード通路に接続され、スプールは、スプール孔内の第1の位置に配置された場合には第1アンロード通路及び第2アンロード通路の各々を遮断し又は絞り、スプール孔内の第2の位置に配置された場合には第1アンロード通路及び第2アンロード通路の各々の遮断又は絞りが解除されてもよい。
【0035】
本態様によれば、第1のデバイスの複数の吐出ポートから複数のアンロード通路(第1アンロード通路及び第2アンロード通路)に作動油が供給される場合であっても、各アンロード通路の連通及び遮断(又は絞り)を、スプール孔内のスプールの配置に応じて適切にコントロールできる。
【0036】
第2のデバイスは、シリンダー及びピストンを含み、第1下流側通路は、シリンダーのヘッド側に連通してもよい。
【0037】
本態様によれば、比較的多量の作動油が必要とされるシリンダーのヘッド側に対し、第1接続流路及び第2接続流路を介して作動油が供給される第1下流側通路が連通されるため、第2のデバイス(シリンダー及びピストン)を効率良く駆動できる。
【0038】
本発明の他の態様は、上記の方向切換弁と、方向切換弁の上流側通路に連通する第1のデバイスと、方向切換弁の第1下流側通路に連通する第2のデバイスと、を備える油圧システムに関する。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、上流側通路と第1下流側通路とが第1接続流路及び第2接続流路を介して連通され、上流側通路と第1下流側通路との間の流路の面積を総合的に大きくして、作動油の圧力損失を効果的に低減することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0042】
まず、本発明の基本概念について説明する。
【0043】
図1は、従来の油圧システム10の機能構成を説明するための概念図である。
図2は、
図1に示すスプール式の方向切換弁13の一部を拡大して示した断面図であり、スプール14については側方から見た状態が示されている。
【0044】
図1に示す油圧システム10では、可変容量型のポンプ装置(第1のデバイス)12が方向切換弁13を介してアクチュエータ(第2のデバイス)18に接続され、ポンプ装置12からアクチュエータ18への作動油の流路が方向切換弁13によって規定される。すなわちポンプ装置12は、例えばチェック弁19が設けられた供給通路20を介して方向切換弁13に接続され、アクチュエータ18は、アクチュエータ通路(第1アクチュエータ通路;第1下流側通路)21を介して方向切換弁13に接続される。
【0045】
図1及び
図2に示す方向切換弁13は、セミモノブロックタイプの弁本体22に形成されるスプール孔17と、当該スプール孔17内において軸方向(
図1及び
図2に示す矢印「A」参照)に移動可能に設けられるスプール14とを有する。スプール14は、スプール孔17内における配置に応じてスプール孔17内に流路を規定し、例えばランド部15間に設けられる切欠部16によってスプール孔17内に流路を形成する。このスプール孔17には「スプール14に対して上流側に配置され、ポンプ装置12からの作動油が供給される供給通路(ブリッジ通路;上流側通路)20」及び「スプール14に対して下流側に配置され、アクチュエータ18に連通するアクチュエータ通路21」が接続される。なお
図2に示す例では、切欠部16と連通する制御ノッチ23がランド部15上に形成され、切欠部16及び制御ノッチ23によってスプール孔17に流路が形成される。
【0046】
供給通路20から方向切換弁13に供給される作動油は、切欠部16により形成される流路(
図2に示す符号「S」参照)を通って、アクチュエータ通路21に流出する。特に本例の油圧システム10では、
図2に示すように、供給通路20からスプール孔17内に流入した作動油が、1つの切欠部16の側面に沿ってガイドされ、アクチュエータ通路21に流出する。
【0047】
一方、下述の本発明の一実施形態に係る油圧システム10(方向切換弁13)では、供給通路20からスプール孔17内に流入した作動油は、2つの切欠部16の側面に沿ってガイドされる。すなわち、作動油は「供給通路(ブリッジ通路)20とアクチュエータ通路21とを直接的につなぐ第1接続流路」と「供給通路(ブリッジ通路)20とアクチュエータ通路21とをバイパス通路を介してつなぐ第2接続流路」とを経由して、供給通路20からアクチュエータ通路21に供給される。
【0048】
図3は、本発明の一実施形態に係る油圧システム10の機能構成を説明するための概念図である。
図4は、
図3に示すスプール式の方向切換弁13の一部を拡大して示した断面図であり、スプール14については側方から見た状態が示されている。
【0049】
本実施形態に係る油圧システム10の方向切換弁13は、スプール孔17のうちの第1箇所と第2箇所とを連通するバイパス通路25を備える。スプール14は、スプール孔17内の第1の位置(
図3及び
図4に示す位置)に配置された場合、「供給通路(ブリッジ通路)20とアクチュエータ通路21とをつなぐ第1接続流路S1」と、「供給通路20とスプール孔17の第1箇所におけるバイパス通路25とをつなぐとともに、アクチュエータ通路21とスプール孔17の第2箇所におけるバイパス通路25とをつなぐ第2接続流路S2」とを規定する。したがって、スプール14がスプール孔17内の第1の位置に配置されると、供給通路20とアクチュエータ通路21とは第1接続流路S1及び第2接続流路S2の両流路を介して連通する。
【0050】
具体的には、スプール14が有する複数のランド部15には分配ランド部15aが含まれ、当該分配ランド部15aは「第1接続流路S1」と「第2接続流路S2のうち供給通路20と第1箇所におけるバイパス通路25とをつなぐ流路」とを画定する。またスプール14が有する複数の切欠部16には、スプール14の移動方向Aに関して分配ランド部15aの一方の側に隣接して形成される第1切欠部16aと、スプール14の移動方向に関して分配ランド部15aの他方の側に隣接して形成される第2切欠部16bとが含まれる。したがって本実施形態では、第1切欠部16aによって「第1接続流路S1」と「第2接続流路S2のうちアクチュエータ通路21とスプール孔17の第2箇所におけるバイパス通路25とをつなぐ流路」とが構成される。また、第2切欠部16bによって「第2接続流路S2のうち供給通路20とスプール孔17の第1箇所におけるバイパス通路25とをつなぐ流路」が構成される。
【0051】
なお、スプール14が上述のスプール孔17内の第1の位置とは異なる「第2の位置」に配置された場合、スプール14が有するランド部15(例えば分配ランド部15a等)によって、供給通路20とアクチュエータ通路21との間が遮断され、また供給通路20及びアクチュエータ通路21のうち少なくともいずれか一方とバイパス通路25との間が遮断される。例えば、供給通路20及びアクチュエータ通路21のうち少なくともいずれか一方とバイパス通路25との間は、供給通路20とアクチュエータ通路21との間を遮断するランド部15(例えば分配ランド部15a)とともに一つの切欠部を形成する他のランド部(例えば第1切欠部16aを介して分配ランド部15aに隣り合う他のランド部)によって遮断される。
【0052】
このように、複数の流路(第1接続流路S1及び第2接続流路S2)によって供給通路20とアクチュエータ通路21とをつなぐことで、単一の流路によって供給通路20とアクチュエータ通路21とをつなぐケース(
図1及び
図2参照)に比べ、流路面積が実質的に拡大されて作動油の圧力損失を効果的に低減できる。
【0053】
すなわち、単一の流路によって供給通路20とアクチュエータ通路21とをつなぐ場合(
図1及び
図2参照)、「供給通路20及びアクチュエータ通路21の各々」と「ランド部15及び切欠部16によりスプール孔17内に形成される流路」との間の開口の面積は制限され、この開口面積を大きくすることが難しい。一方、複数の流路(第1接続流路S1及び第2接続流路S2)によって供給通路20とアクチュエータ通路21とをつなぐ場合(
図3及び
図4参照)、「供給通路20及びアクチュエータ通路21の各々」と「ランド部15及び切欠部16によりスプール孔17内に形成される流路」との間の実質的な開口の面積は、第1接続流路S1及び第2接続流路S2の両者の開口面積の和であり、単一の流路(第1接続流路S1のみ)によって供給通路20とアクチュエータ通路21とをつなぐ場合よりも大きくなる。
【0054】
また特にバイパス通路25を設けることによって、第1接続流路S1とは異なる第2接続流路S2を確保することが容易になり、供給通路20からスプール孔17に供給される作動油の圧力損失を抑えて、供給通路20からアクチュエータ通路21にスムーズに効率良く作動油をガイドすることができる。
【0055】
なお、「分配ランド部15a」及び「バイパス通路25」を設けて複数系統の流路(第1接続流路S1及び第2接続流路S2)によって供給通路20とアクチュエータ通路21と
をつなぐ方向切換弁13は、上述の例には限定されない。例えば複数系統の流路は2つの流路(第1接続流路S1及び第2接続流路S2)に限定されず、3つ以上の流路であってもよい。
【0056】
また、上述の実施形態ではポンプ装置12が「単一の作動油供給源」を有する例について説明したが、ポンプ装置12が「複数の作動油供給源」を有するケースにも、上述の方向切換弁13を応用することが可能である。特に、作動油の圧力損失は作動油の流速の2乗に比例して増大するため、例えばポンプ装置が作動油の供給源を複数具備する場合のように、単位時間当たりに流される作動油の流量が大きく流速が比較的速いシステムでは、作動油の圧力損失が非常に大きくなる。しかしながら、上述の「分配ランド部15a」及び「バイパス通路25」を設けて複数系統の流路(第1接続流路S1及び第2接続流路S2)によって供給通路20とアクチュエータ通路21と
をつなぐことで、ポンプ装置が作動油の供給源を複数具備する場合であっても、圧力損失を非常に効果的に低減できる。
【0057】
次に、ポンプ装置12が作動油の供給源を複数具備する油圧システムの一例について、
図5〜7を参照して説明する。
【0058】
図5は、油圧システム101の機能構成を説明するための回路図である。
図5に示す建設機械用油圧システム(油圧回路)101は 、建設機械(図示なし)に用いられる油圧システムである。この建設機械は、建設作業を行うための機械である。建設機械は、例えば油圧ショベルである。
図5に示すように、建設機械用油圧システム101は、ポンプ装置12と、タンク115と、アクチュエータ120と、方向切換弁130とを備える。
【0059】
ポンプ装置12は、作動油を吐出する容量可変型の油圧ポンプである。ポンプ装置12では、例えば斜板の傾転角が変わることで容量が変わり、容量が変わると入力軸1回転当たりの作動油の吐出量が変わる。ポンプ装置12は、2つのポンプで構成される。ポンプ装置12は、第1吐出ポートを形成する第1ポンプ111と、第2吐出ポートを形成する第2ポンプ112とを備える。ポンプ装置12は、例えばスプリットポンプである。スプリットポンプは、1つの入力軸により、複数のポンプ(第1ポンプ111及び第2ポンプ112)が駆動されるポンプである。スプリットポンプでは、第1ポンプ111と第2ポンプ112とが一体的に構成される。スプリットポンプでは、第1ポンプ111の吐出量と第2ポンプ112の吐出量とが等しい。なお、ポンプ装置12は、スプリットポンプでなくてもよい。第1ポンプ111と第2ポンプ112とは、別体でもよい。第1ポンプ111の入力軸と第2ポンプ112の入力軸とは、共通であってもよいし、共通でなくてもよい。第1ポンプ111の吐出量と第2ポンプ112の吐出量とは、同一であってもよいし、相違してもよい。
【0060】
タンク115は、作動油を貯留する。タンク115は、ポンプ装置12に作動油を供給する。タンク115には、ポンプ装置12から吐出されてアクチュエータ120を通った作動油が戻される。タンク115には、ポンプ装置12から吐出されてアクチュエータ120を通らない作動油が戻される。
【0061】
アクチュエータ120は、建設機械を作動させる。アクチュエータ120は、油圧アクチュエータであり、ポンプ装置12から油が供給されることにより駆動する。アクチュエータ120は、第1ポンプ111及び第2ポンプ112の少なくとも一方から作動油が供給されることで駆動する。アクチュエータ120の種類には、油圧モータ(図示なし)と油圧シリンダーとがある。建設機械が油圧ショベルの場合、アクチュエータ120の用途には、走行用、旋回用、バケット回動用、アーム起伏用及びブーム起伏用などがある。アクチュエータ120の具体例は次の通りである。[例1]アクチュエータ120は、建設機械を走行させるための油圧モータ(走行用モータ)である。アクチュエータ120は、建設機械が備える下部走行体のクローラ(右側又は左側のクローラ)を駆動するための、右走行用モータ又は左走行用モータである。[例2]アクチュエータ120は、下部走行体に対して上部旋回体を旋回させるための油圧モータ(旋回用モータ)である。[例3]アクチュエータ120は、アームに対してバケットを回動させるための油圧シリンダー(バケット用シリンダー)である。[例4]アクチュエータ120は、ブームに対してアームを起伏(上げ下げ及び回動)させるための油圧シリンダー(アーム用シリンダー)である。[例5]アクチュエータ120は、上部旋回体に対してブームを起伏(上げ下げ及び回動)させるための油圧シリンダー(ブーム用シリンダー)である。なお、アクチュエータ120は、上記[例1]〜[例5]以外のものであってもよく、例えばドーザ作動用の油圧シリンダーなどであってもよい。アクチュエータ120は、第1作動油ポート121及び第2作動油ポート122を備える。
【0062】
第1作動油ポート121及び第2作動油ポート122は、それぞれアクチュエータ120に対する作動油の供給口及び排出口である。第1作動油ポート121に作動油が供給され、且つ、第2作動油ポート122から作動油が排出されることにより、アクチュエータ120は一方側に作動する。具体的には、例えば油圧シリンダーが伸び、或いは油圧モータ(図示なし)が一方側に回転する。第2作動油ポート122に作動油が供給され、且つ、第1作動油ポート121から作動油が排出されることにより、アクチュエータ120は他方側(上記「一方側」とは逆側)に作動する。具体的には、例えば油圧シリンダーが縮み、或いは油圧モータが他方側に回転する。
【0063】
方向切換弁130は、アクチュエータ120の動作を制御するための弁である。方向切換弁130は、アクチュエータ120に対して作動油を供給及び排出する弁である。方向切換弁130は、ポンプ装置12の吐出作動油をアクチュエータ120に供給する。方向切換弁130は、アクチュエータ120が排出した作動油をタンク115に排出する。方向切換弁130は、ポンプ装置12からアクチュエータ120に供給される作動油の流量を調整し及び/又は流れ方向を切り換える。方向切換弁130は、第1ポンプ111、第2ポンプ112、アクチュエータ120及びタンク115に接続される。方向切換弁130は、第1ポンプ111とアクチュエータ120との間(間の油路、以下同様)に配置され、第2ポンプ112とアクチュエータ120との間に配置される。第1ポンプ111及び第2ポンプ112(2つのポンプ)から、1つのアクチュエータ120に作動油を供給するために、方向切換弁130は1つで足り、2以上の方向切換弁130は不要である。方向切換弁130は、建設機械用油圧システム101に複数設けられてもよい(図示なし)。方向切換弁130が複数設けられる場合、複数の方向切換弁130は、例えば一体的に構成され、例えばブロック状(略直方体状)に構成される。複数の方向切換弁130全体として「方向切換弁」と称される場合もある。
【0064】
方向切換弁130の切換位置には、
図5に示すように中立位置130aと、第1作動位置130bと、第2作動位置130cとがある。
【0065】
方向切換弁130が第1作動位置130bに配置される場合、方向切換弁130は、第3供給通路153を第1アクチュエータ通路161に接続し、第2アクチュエータ通路(第2下流側通路)162をタンク通路145に接続し、第1アンロード通路141及び第2アンロード通路142を遮断する。したがって、ポンプ装置12から第3供給通路153に供給される作動油は、方向切換弁130及び第1アクチュエータ通路161を介してアクチュエータ120(第1作動油ポート121)に送られる。またアクチュエータ120(第2作動油ポート122)から第2アクチュエータ通路162に排出される作動油は、方向切換弁130及びタンク通路145を介してタンク115に送られる。
【0066】
方向切換弁130が中立位置130aに配置される場合、方向切換弁130は、第3供給通路153、第1アクチュエータ通路161、第2アクチュエータ通路162及びタンク通路145を遮断するが、第1アンロード通路141及び第2アンロード通路142をそれぞれ連通状態とする。したがって、ポンプ装置12から供給される作動油は、第1アンロード通路141及び第2アンロード通路142を介してタンク115に送られる。
【0067】
方向切換弁130が第2作動位置130cに配置される場合、方向切換弁130は、第3供給通路153を第2アクチュエータ通路162に接続し、第1アクチュエータ通路161をタンク通路145に接続し、アンロード通路141、142を遮断する。したがってアクチュエータ120は、方向切換弁130が第2作動位置130cに配置された場合には、方向切換弁130が第1作動位置130bに配置された場合とは逆の作動を行うように駆動される。
【0068】
上述の方向切換弁130は、
図6に示すようにスプール弁によって構成可能である。スプール弁は、スプール孔133に対するスプール180の位置(ストローク位置)に応じて、作動油の流量及び方向を変える弁である。方向切換弁130は、スプール180のストローク位置に応じて、切換位置を切り換える。
図6に示すように、方向切換弁130は、弁本体131と、スプール孔133と、通路(141〜162)と、チェック弁171、172と、スプール180とを備える。
【0069】
弁本体131は、スプール孔133及び通路(141〜162)が形成される部分である。弁本体131は、ブロック状(塊状)である。
【0070】
スプール孔133は、弁本体131(の内部)に形成される。スプール孔133は、スプール180を差し込み可能な孔である。
【0071】
通路(141〜162)は、作動油が流れる流路(油路、配管)である。通路(141〜162)は、弁本体131(の内部)に形成される。通路(141〜162)は複数設けられ、複数の通路(141〜162)はそれぞれスプール孔133に接続してスプール孔133に開口する。通路(141〜162)のスプール孔133への開口は、例えばスプール孔133の周方向に延びる。通路(141〜162)は、弁本体131の外部と連通するように、弁本体131の表面に開口する(図示なし)。通路(141〜162)は、ポンプ装置12から作動油が供給されるアンロード通路141、142と、タンク115に連通するタンク通路145と、供給通路151〜153と、アクチュエータ通路161、162と、バイパス通路155とを備える。
【0072】
アンロード通路141、142は、
図5に示すポンプ装置12の吐出作動油を、アクチュエータ120に供給せずに、タンク115に戻すためのバイパス通路であり、一部がスプール孔133によって構成される。但し、例えばアンロード通路141、142と他の通路とが合流する場合(図示なし)は、アクチュエータ120から排出された作動油が、アンロード通路141、142を流れてもよい。また、例えばアンロード通路141、142から他の通路が分岐する場合(図示なし)は、アンロード通路141、142からアクチュエータ120に作動油が供給されてもよい。本例では所謂デュアルバイパス方式が採用され、2本のアンロード通路141、142(第1アンロード通路141及び第2アンロード通路142)が設けられている。
【0073】
第1アンロード通路141は、第1ポンプ111に接続され、第1ポンプ111から作動油が供給される。第1アンロード通路141は、タンク115に接続される。第1アンロード通路141は、上流側第1アンロード通路141aと、下流側第1アンロード通路141bとを備える。上流側第1アンロード通路141aは、第1アンロード通路141のうち、スプール孔133よりも上流側(第1ポンプ111側)の通路である。下流側第1アンロード通路141bは、第1アンロード通路141のうち、スプール孔133よりも下流側(タンク115側)の通路である。
【0074】
第2アンロード通路142は、第2ポンプ112に接続され、第2ポンプ112から作動油が供給される。第2アンロード通路142は、タンク115に接続される。第2アンロード通路142は、上流側第2アンロード通路142aと、下流側第2アンロード通路142bとを備える。上流側第2アンロード通路142aは、第2アンロード通路142のうち、スプール孔133よりも上流側(第2ポンプ112側)の通路である。下流側第2アンロード通路142bは、第2アンロード通路142のうち、スプール孔133よりも下流側(タンク115側)の通路である。
【0075】
タンク通路145は、タンク115に接続されており、アクチュエータ120から排出された作動油をタンク115に戻すための通路である。
【0076】
供給通路151〜153は、ポンプ装置12の吐出作動油を、アクチュエータ120に供給するための通路である。供給通路151〜153は、第1供給通路151と、第2供給通路152と、第3供給通路153とを備える。
【0077】
第1供給通路151は、第1ポンプ111の吐出作動油を、アクチュエータ120に供給するための通路である(但し、第3供給通路153は第1供給通路151に含まれない)。第1供給通路151は、第1ポンプ111に接続される。第1供給通路151は、第1アンロード通路141(上流側第1アンロード通路141a)に接続される。第1供給通路151の第1アンロード通路141への接続は、方向切換弁130の外部で行われる(方向切換弁130の内部で行われてもよい)。
【0078】
第2供給通路152は、第2ポンプ112の吐出作動油を、アクチュエータ120に供給するための通路である(但し、第3供給通路153は第2供給通路152に含まれない)。第2供給通路152は、第2ポンプ112に接続される。第2供給通路152は、第2アンロード通路142(上流側第2アンロード通路142a)に接続される。第2供給通路152の第2アンロード通路142への接続は、方向切換弁130の外部で行われる(方向切換弁130の内部で行われてもよい)。
【0079】
第3供給通路153は、ポンプ装置12の(第1ポンプ111及び第2ポンプ112の少なくとも一方の)吐出作動油を、アクチュエータ120に供給するための通路である。以下では、第1ポンプ111及び第2ポンプ112の少なくとも一方を「ポンプ装置12」という。第3供給通路153は、第1供給通路151及び第2供給通路152に接続される(連通する)。第3供給通路153には、第1供給通路151を流れる作動油と第2供給通路152を流れる作動油とが合流した作動油が流れる。或いは、第3供給通路153には、第1供給通路151及び第2供給通路152のうち一方を流れる作動油のみが流れる。
図6に示すように、第3供給通路153は第1ブリッジ通路153a及び第2ブリッジ通路153bを備え、第1ブリッジ通路153a及び第2ブリッジ通路153bは第1供給通路151及び第2供給通路152のうち少なくともいずれか一方に接続される(連通する)。第1ブリッジ通路153aは、ポンプ装置12(
図5参照)の吐出作動油を、第1アクチュエータ通路161に供給するための通路である。第2ブリッジ通路153bは、ポンプ装置12(
図5参照)の吐出作動油を、第2アクチュエータ通路162に供給するための通路である。
【0080】
アクチュエータ通路161、162は、第3供給通路153を流れる作動油を、アクチュエータ120に供給するための通路である。アクチュエータ通路161、162は、アクチュエータ120に接続される。アクチュエータ通路161、162は、第1アクチュエータ通路161と、当該第1アクチュエータ通路161とは別の経路でアクチュエータ120に連通する第2アクチュエータ通路162とを備える。第1アクチュエータ通路161は、第1作動油ポート121に接続される。第2アクチュエータ通路162は、第2作動油ポート122に接続される。
【0081】
バイパス通路155は、スプール孔133のうちの第1箇所と第2箇所とを連通する。本例では、第1ブリッジ通路153aよりも「スプール軸方向Aにおける他方側A2」に当該第1箇所が設けられ、第1ブリッジ通路153aよりも「スプール軸方向Aにおける一方側A1」に当該第2箇所が設けられる。
【0082】
チェック弁171、172は、逆流を防ぐ弁である。チェック弁171、172は、第1チェック弁171と、第2チェック弁172とを備える。第1チェック弁171は、第1供給通路151に配置され、第3供給通路153から第1供給通路151への作動油の逆流を防ぐ。第2チェック弁172は、第2供給通路152に配置され、第3供給通路153から第2供給通路152への作動油の逆流を防ぐ。
【0083】
スプール180は、
図6に示すように、スプール孔133に挿入される。スプール180は、略円柱状である。スプール180の軸方向(略円柱の中心軸の方向)を、スプール軸方向Aとする。スプール軸方向Aにおける一方側を一方側A1、他方側を他方側A2とする。スプール180は、スプール孔133に対してスプール軸方向Aにスライド(ストローク)自在である。
【0084】
このスプール180は、
図6に示す複数の通路(141〜162)の接続を切り換える。スプール180は、第3供給通路153(第1供給通路151又は第2供給通路152)と、アクチュエータ通路161、162と、の接続を切り換える。本例では、第3供給通路153(第1ブリッジ通路153a)と第1アクチュエータ通路161とは複数流路(第1接続流路S1及び第2接続流路S2)によって連通可能であり、特にそれらの複数流路の1つ(第2接続流路S2)はバイパス通路155により形成される流路を含む。スプール180は、これらの複数流路を介した第3供給通路153(第1ブリッジ通路153a)と第1アクチュエータ通路161との間の接続を切り換えることができ、特にバイパス通路155と第3供給通路153(第1ブリッジ通路153a)との接続及び/又はバイパス通路155と第1アクチュエータ通路161との接続を切り換えることができる。またスプール180は、アクチュエータ通路161、162と、タンク通路145と、の接続を切り換える。スプール180は、上流側第1アンロード通路141aと、下流側第1アンロード通路141bと、の接続を切り換える。スプール180は、上流側第2アンロード通路142aと、下流側第2アンロード通路142bと、の接続を切り換える。
【0085】
このスプール180は、通路(141〜162)同士の接続の有無及び接続の開度(弁開度)を切り換える。さらに詳しくは、スプール180は、通路(141〜162)を「遮断状態」並びに「接続状態」(「全開状態」及び「絞り状態」)のいずれかの状態にする。「遮断状態」は、通路(141〜162)同士が接続されていない状態(遮断された状態)である。「接続状態」は、通路(141〜162)同士が接続された状態(連通された状態)である。この「接続状態」には、「全開状態」と「絞り状態」とがある。「全開状態」は、通路(141〜162)同士の流路の開度が最大の状態(スプール180を一方側A1の端から他方側A2の端までストロークさせたときに開度が様々に変化するところ、この開度が最大の状態)である。例えば、「全開状態」は、通路(141〜162)同士の流路が絞られていない状態である。「絞り状態」は、通路(141〜162)同士の流路が、上記「全開状態」よりも絞られた状態(遮断状態を除く)である。したがって「遮断状態」及び「絞り状態」は「全開状態」に比べて流路が制限された状態となる。
【0086】
このスプール180は、複数の切欠部181と、複数のランド部183とを備える。切欠部181とランド部183とは、スプール軸方向Aに交互に配置される(形成される)。
【0087】
切欠部181は、通路(141〜162)同士(通路間)を接続させる。切欠部181は、通路(141〜162)のスプール孔133への開口同士を接続させる。以下、スプール孔133への開口を、「開口」という。切欠部181は、通路(141〜162)同士を、スプール孔133を介して接続させる。切欠部181は、ランド部183に対して、スプール180の径方向内側に凹む部分である。切欠部181は、複数設けられる。切欠部181は、第1アンロード通路用切欠部181aと、第2アンロード通路用切欠部181bと、第1アクチュエータ通路用切欠部181c(第1切欠部)と、第2アクチュエータ通路用切欠部181dと、バイパス通路用切欠部181e(第2切欠部)とを備える。第1アンロード通路用切欠部181aは、上流側第1アンロード通路141aと下流側第1アンロード通路141bとを接続させる。第2アンロード通路用切欠部181bは、上流側第2アンロード通路142aと下流側第2アンロード通路142bとを接続させる。第1アクチュエータ通路用切欠部181cは、第3供給通路153(第1ブリッジ通路153a)と第1アクチュエータ通路161とを接続させる。第2アクチュエータ通路用切欠部181dは、第3供給通路153(第2ブリッジ通路153b)と第2アクチュエータ通路162とを接続させる。バイパス通路用切欠部181eは、第3供給通路153(第1ブリッジ通路153a)とバイパス通路155とを接続させる。
【0088】
ランド部183は、通路(141〜162)同士が接続されない状態(遮断状態)にする。ランド部183は、切欠部181による通路(141〜162)同士の接続が行われないようにする。ランド部183は、スプール孔133の内面に接触する。ランド部183は、通路(141〜162)の開口を塞ぐ。又は、ランド部183は、異なる通路(141〜162)間のスプール孔133を塞ぐ。ランド部183は、通路(141〜162)同士を絞り状態にする。ランド部183は、通路(141〜162)の開口を、全開状態よりも狭くする。ランド部183は、複数設けられる。ランド部183は、アンロード通路用ランド部183a、183b、183c及び分配ランド部183dを備える。
【0089】
アンロード通路用ランド部183a、183b、183cは、アンロード通路141、142を遮断可能である(遮断状態にすることが可能である)。アンロード通路用ランド部183a、183b、183cは、第1アンロード通路用ランド部183aと、第2アンロード通路用ランド部183bと、第3アンロード通路用ランド部183cとを備える。第1アンロード通路用ランド部183aは、第1作動位置130b(
図5及び
図7参照)のときに、第1アンロード通路141を遮断状態又は絞り状態にする。第1アンロード通路用ランド部183aは、中立位置130a(
図5及び
図6参照)及び第2作動位置130c(
図5参照)のときに、バイパス通路155(特に第1箇所)を塞いで、第3供給通路153(第1ブリッジ通路153a)とバイパス通路155との間を遮断状態又は絞り状態にする。第2アンロード通路用ランド部183bは、第2作動位置130c(
図5参照)のときに、第2アンロード通路142を遮断状態又は絞り状態(図示なし)にする。第2アンロード通路用ランド部183bは、中立位置130a(
図5及び
図6参照)及び第1作動位置130b(
図5及び
図7参照)のときに、第2ブリッジ通路153bを塞いで、第3供給通路153(第2ブリッジ通路153b)と第2アクチュエータ通路162との間を遮断状態又は絞り状態にする。
【0090】
第3アンロード通路用ランド部183cは、第1アンロード通路141を遮断可能、且つ、第2アンロード通路142を遮断可能である(2つの用途に使われる、共通化できる)。第3アンロード通路用ランド部183cは、
図5及び
図7に示す第1作動位置130bのときに、第2アンロード通路142を遮断状態又は絞り状態(図示なし)にする。第3アンロード通路用ランド部183cは、第2作動位置130c(
図5参照)のときに、第1アンロード通路141を遮断状態又は絞り状態にする。
【0091】
分配ランド部183dは、スプール軸方向Aのサイズに関し、第1ブリッジ通路153a及び第1アクチュエータ通路161の各々よりも小さい。この分配ランド部183dは、第1作動位置130b(
図5及び
図7参照)のときに、第1ブリッジ通路153aからスプール孔133につながる流路を分割し、第1接続流路S1及び第2接続流路S2を弁本体131内に形成する。すなわち、「第1ブリッジ通路153aと第1アクチュエータ通路161とをつなぐ第1接続流路S1」と、「第1ブリッジ通路153aとスプール孔133の第1箇所におけるバイパス通路155とをつなぐとともに、第1アクチュエータ通路161とスプール孔133の第2箇所におけるバイパス通路155とをつなぐ第2接続流路S2」とが、分配ランド部183dによって画成される。分配ランド部183dは、中立位置130a(
図5及び
図6参照)のときに、第1ブリッジ通路153aと第1アクチュエータ通路161との間に配置され、第1ブリッジ通路153aと第1アクチュエータ通路161との間を遮断する。
【0092】
(通路(141〜162)の配置)
図6に示す通路(141〜162)の開口(スプール孔133への開口)は、スプール軸方向Aの一方側A1から他方側A2の順に、例えば「一方側A1のタンク通路145、第1アクチュエータ通路161、バイパス通路155(一方側A1の箇所(第2箇所))、第1ブリッジ通路153a(一方側A1の第3供給通路153)、バイパス通路155(他方側A2の箇所(第1箇所))、アンロード通路141、142、第2ブリッジ通路153b(他方側A2の第3供給通路153)、第2アクチュエータ通路162、他方側A2のタンク通路145」の順に並ぶ。一方側A1のタンク通路145の開口と、他方側A2のタンク通路145の開口とは、弁本体131の内部で連通する(弁本体131の内部で連通しなくてもよい)。
【0093】
(アンロード通路141、142の配置)
アンロード通路141、142は、次のように配置される。アンロード通路141、142は、スプール軸方向Aにおけるスプール孔133(
図6参照)の寸法(スプール180の寸法)が大きくなりすぎることを抑制できるように配置される。具体的には次の通りである。
【0094】
(アンロード通路141、142の配置順)
アンロード通路141、142は、第3アンロード通路用ランド部183cの共通化ができるように配置される。具体的には、第1アンロード通路141と第2アンロード通路142とは、隣り合う(スプール軸方向Aに隣り合う、以下同様)ように配置される(「隣り合う」については下記参照)。例えば、上流側第1アンロード通路141aと上流側第2アンロード通路142aとは、隣り合うように配置される。例えば、下流側第1アンロード通路141bと上流側第1アンロード通路141aとは、隣り合うように配置される。例えば、上流側第2アンロード通路142aと下流側第2アンロード通路142bとは、隣り合うように配置される。
【0095】
ここで、通路αと通路βとが「隣り合う」とは、次の[配置例1]又は[配置例2]のように配置されることである。[配置例1]通路αと通路βとの間に、他の通路(通路α及び通路β以外の通路)が配置されない。スプール孔133(
図6参照)では、通路αの開口(スプール孔133への開口)と、通路βの開口と、の間に他の通路の開口が配置されない。[配置例2]通路αと通路βとがスプール軸方向Aに順番に配置される。さらに詳しくは、スプール軸方向Aの一方側A1から他方側A2の順に、通路αの次に通路βが配置される(又は、通路βの次に通路αが配置される)。スプール孔133(
図6参照)では、通路αの開口と通路βの開口とがスプール軸方向Aに順番に配置される。
【0096】
(作動)
図5に示す建設機械用油圧システム101は、次のように作動する。方向切換弁130は、方向切換弁130の操作(建設機械の操縦者による操作、例えばレバー操作)に応じて作動する。この操作に応じて、方向切換弁130は、中立位置130aと、第1作動位置130bと、第2作動位置130cとを切り換える。この操作に応じて、
図6に示すスプール180は、ストローク位置を変える。その結果、スプール180は、通路(141〜162)同士の接続の有無及び接続の開度(弁開度)を切り換える。その結果、方向切換弁130は、アクチュエータ120への作動油の供給及び排出の有無、及びアクチュエータ120に対して供給及び排出する作動油の流量を調整する。
【0097】
(中立位置130a)
切換位置が中立位置130aのときの方向切換弁130は、アクチュエータ120に対する作動油の供給及び排出をしない。方向切換弁130の切換位置が中立位置130aのとき、スプール180は
図6に示すスプール孔133内の第2の位置に配置され、方向切換弁130などは次のように作動する。[作動1a]
図6に示すように、スプール180は第1アンロード通路141の遮断又は絞りを解除し、方向切換弁130は第1アンロード通路141を全開状態にする。具体的には、上流側第1アンロード通路141aと下流側第1アンロード通路141bとを、第1アンロード通路用切欠部181aを介して、全開状態にする。作動油は、上流側第1アンロード通路141aから下流側第1アンロード通路141bに流入する。[作動1b]スプール180は第2アンロード通路142の遮断又は絞りを解除し、方向切換弁130は第2アンロード通路142を全開状態にする。具体的には、方向切換弁130は、上流側第2アンロード通路142aと下流側第2アンロード通路142bとを、第2アンロード通路用切欠部181bを介して、全開状態にする。作動油は、上流側第2アンロード通路142aから下流側第2アンロード通路142bに流入する。
【0098】
[作動1c]方向切換弁130は、第1ブリッジ通路153aと第1アクチュエータ通路161との間を遮断する。具体的には、第1アンロード通路用ランド部183aによってバイパス通路155(他方側A2の箇所(第1箇所))が塞がれて第1ブリッジ通路153aとバイパス通路155との間が遮断される。また分配ランド部183dが第1ブリッジ通路153aと第1アクチュエータ通路161との間に配置され、分配ランド部183dによって第1ブリッジ通路153aと第1アクチュエータ通路161との間が遮断される。[作動1d]方向切換弁130は、タンク通路145を遮断状態にする。具体的には、タンク通路145がスプール180のランド部183によって塞がれる。
【0099】
[作動1e]その結果、
図5に示すポンプ装置12の吐出作動油は、方向切換弁130からアクチュエータ120に供給されない。このように第2の位置に配置されるスプール180はアンロード通路141、142の遮断又は絞りを解除し、ポンプ装置12の吐出作動油は、アンロード通路141、142を通り、タンク115(
図5参照)に戻される。
【0100】
(第1作動位置130b)
切換位置が第1作動位置130bのときの方向切換弁130は、アクチュエータ120に対する作動油の供給及び排出をする。方向切換弁130の切換位置が第1作動位置130bのとき、スプール180は
図7に示すスプール孔133内の第1の位置に配置され、方向切換弁130などは次のように作動する。[作動2a]スプール180は第1アンロード通路141を遮断し又は絞り、方向切換弁130は第1アンロード通路141を遮断状態又は絞り状態(図示なし)にする。具体的には、方向切換弁130は、上流側第1アンロード通路141aと下流側第1アンロード通路141bとを、第1アンロード通路用ランド部183aにより、遮断状態又は絞り状態にする。[作動2b]スプール180は第2アンロード通路142を遮断し又は絞り、方向切換弁130は第2アンロード通路142を遮断状態又は絞り状態(図示なし)にする。具体的には、方向切換弁130は、上流側第2アンロード通路142aと下流側第2アンロード通路142bとを、第3アンロード通路用ランド部183cにより、遮断状態又は絞り状態にする。
【0101】
[作動2c]方向切換弁130は、第1ブリッジ通路153a(第3供給通路153)と、第1アクチュエータ通路161とを接続状態にする。具体的には、スプール180に形成される第1アクチュエータ通路用切欠部181cが第1ブリッジ通路153a(第3供給通路153)及び第1アクチュエータ通路161に接続し、第1アクチュエータ通路用切欠部181cを介して第1ブリッジ通路153a(第3供給通路153)と第1アクチュエータ通路161とが接続される。またスプール180に形成されるバイパス通路用切欠部181eが第1ブリッジ通路153a(第3供給通路153)及びバイパス通路155(他方側A2の箇所(第1箇所))に接続し、バイパス通路用切欠部181eを介して第1ブリッジ通路153a(第3供給通路153)とバイパス通路155(他方側A2の箇所(第1箇所))とが接続される。また、第1アクチュエータ通路用切欠部181cが第1アクチュエータ通路161及びバイパス通路155(一方側A1の箇所(第2箇所))に接続し、第1アクチュエータ通路用切欠部181cを介して第1アクチュエータ通路161とバイパス通路155(一方側A1の箇所(第2箇所))とが接続される。これにより、バイパス通路用切欠部181e、バイパス通路155及び第1アクチュエータ通路用切欠部181cを介して、第1ブリッジ通路153a(第3供給通路153)と第1アクチュエータ通路161とが接続される。なお、「第1ブリッジ通路153aと第1アクチュエータ通路161とを第1アクチュエータ通路用切欠部181cを介して接続する流路」が上述の第1接続流路S1に対応し、「第1ブリッジ通路153aと第1アクチュエータ通路161とをバイパス通路用切欠部181e、バイパス通路155及び第1アクチュエータ通路用切欠部181cを介して接続する流路」が上述の第2接続流路S2に対応する。
【0102】
[作動2d]スプール180は、第2アクチュエータ通路162とタンク通路145とをつなぐ流路を第2アクチュエータ通路用切欠部181dによって規定し、方向切換弁130は、第2アクチュエータ通路162とタンク通路145とを接続状態にする。[作動2e]その結果、第1供給通路151及び第2供給通路152を流れる作動油は、第3供給通路153で合流する。第3供給通路153を流れる作動油は、第1アクチュエータ通路161を介してアクチュエータ120(第1作動油ポート121;
図5参照)に供給される。その結果、アクチュエータ120が一方側に作動する。
【0103】
このように第1ブリッジ通路153aと第1アクチュエータ通路161とが複数の流路(第1接続流路S1及び第2接続流路S2)を介して連通されるため、単一の流路のみによって第1ブリッジ通路153aと第1アクチュエータ通路161とが連通されるケースに比べ、第1ブリッジ通路153aと第1アクチュエータ通路161との間の流路の面積を総合的に大きくすることができ、作動油の圧力損失を効果的に低減できる。
【0104】
(第2作動位置130c)
切換位置が第2作動位置130cのときの方向切換弁130は、アクチュエータ120に対する作動油の供給及び排出をする。このとき、方向切換弁130は、切換位置が第1作動位置130bの場合とは逆側(他方側)にアクチュエータ120が作動するように、アクチュエータ120に対する作動油の供給及び排出をする。方向切換弁130の切換位置が第2作動位置130cのとき、スプール180はスプール孔133内の第3の位置(図示省略)に配置され、方向切換弁130などは次のように作動する。[作動3a]方向切換弁130は、第1アンロード通路141を、遮断状態又は絞り状態(図示なし)にする。具体的には、方向切換弁130は、上流側第1アンロード通路141aと下流側第1アンロード通路141bとを、第3アンロード通路用ランド部183cにより、遮断状態又は絞り状態にする。[作動3b]方向切換弁130は、第2アンロード通路142を、遮断状態又は絞り状態(図示なし)にする。具体的には、方向切換弁130は、上流側第2アンロード通路142aと下流側第2アンロード通路142bとを、第2アンロード通路用ランド部183bにより、遮断状態又は絞り状態にする。[作動3c]方向切換弁130は、第1ブリッジ通路153aを遮断状態にする。具体的には、第1アンロード通路用ランド部183aによって第1ブリッジ通路153aが遮断され、当該第1ブリッジ通路153aと第1アクチュエータ通路161との間が遮断される。[作動3d]方向切換弁130は、第2ブリッジ通路153b(第3供給通路153)と、第2アクチュエータ通路162とを接続状態にする。具体的には、第2アクチュエータ通路用切欠部181dが第2ブリッジ通路153b(第3供給通路153)及び第2アクチュエータ通路162に接続され、第2アクチュエータ通路用切欠部181dを介して第2ブリッジ通路153b(第3供給通路153)と第2アクチュエータ通路162とが接続される。[作動3e]方向切換弁130は、第1アクチュエータ通路161とタンク通路145とを接続状態にする。具体的には、第1アクチュエータ通路用切欠部181cが第1アクチュエータ通路161及びタンク通路145に接続され、第1アクチュエータ通路用切欠部181cを介して第1アクチュエータ通路161とタンク通路145とが接続される。
【0105】
[作動3f]その結果、第1供給通路151及び第2供給通路152を流れる作動油は、第3供給通路153において合流する。第3供給通路153(第2ブリッジ通路153b)を流れる作動油は、第2アクチュエータ通路用切欠部181d及び第2アクチュエータ通路162を介して、アクチュエータ120(第2作動油ポート122;
図5参照)に供給される。アクチュエータ120(第1作動油ポート121)から排出された作動油は、第1アクチュエータ通路161及び第1アクチュエータ通路用切欠部181cを介してタンク通路145に流入し、
図5に示すタンク115に送られる。その結果、アクチュエータ120が他方側に作動する。
【0106】
[作動3h]なおバイパス通路155(他方側A2の箇所(第1箇所))は、第1アンロード通路用ランド部183aにより塞がれる。また分配ランド部183dは、第1アクチュエータ通路用切欠部181cにより形成される流路(第1アクチュエータ通路161とタンク通路145とをつなぐ流路)を塞がないように、第1アクチュエータ通路161の開口部に対応する位置に配置される。
【0107】
<変形例>
上述の実施形態及び変形例は本発明の一態様に過ぎず、他の変形等が適宜加えられてもよいし、上述及び後述の実施形態及び変形例が適宜組み合わせられてもよい。
【0108】
<第1変形例>
例えば上述の実施形態では、ポンプ装置12とアクチュエータ18、120との間に分配ランド部15a(第1接続流路S1及び第2接続流路S2)が設けられる例について説明したが、分配ランド部15a(第1接続流路S1及び第2接続流路S2)は他の箇所に設けられてもよく、例えば
図5に示すアクチュエータ120とタンク115との間に分配ランド部15a(第1接続流路S1及び第2接続流路S2)が設けられてもよい。
【0109】
図8は、
図5に示す例のポンプ装置12とアクチュエータ120(第1作動油ポート121)との間を流れる作動油を規制する方向切換弁130(分配ランド部15a)の一例を示す部分断面図である。
図9は、
図5に示す例のアクチュエータ120(第2作動油ポート122)とタンク115との間を流れる作動油を規制する方向切換弁130(分配ランド部15a)の一例を示す部分断面図である。なお
図8及び
図9における各要素に関し、上述の
図4の要素と同一の要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0110】
図8に示す例において、ポンプ装置12から第3供給通路153(第1ブリッジ通路153a)を介してスプール孔17に流入した作動油は、分配ランド部15aにより画定される第1接続流路S1及び第2接続流路S2を流れて第1アクチュエータ通路161に流入し、アクチュエータ120(特に第1作動油ポート121)に送られる。一方、
図9に示す例では、アクチュエータ120(特に第2作動油ポート122)から第2アクチュエータ通路162を介してスプール孔17に流入した作動油は、分配ランド部15aにより画定される第1接続流路S1及び第2接続流路S2を流れてタンク通路145に流入し、タンク115に送られる。
【0111】
なお
図8に示す例では、第3供給通路153(第1ブリッジ通路153a)が本発明の「上流側通路」に対応し、第1アクチュエータ通路161が本発明の「第1下流側通路」に対応し、ポンプ装置12が本発明の「第1のデバイス」に対応し、アクチュエータ120が本発明の「第2のデバイス」に対応する。一方、
図9に示す例では、第2アクチュエータ通路162が本発明の「上流側通路」に対応し、タンク通路145が本発明の「第1下流側通路」に対応し、アクチュエータ120が本発明の「第1のデバイス」に対応し、タンク115が本発明の「第2のデバイス」に対応する。
【0112】
<第2変形例>
また上述の実施形態では、上流側通路(例えば
図4に示す例では供給通路20;
図8に示す例では第3供給通路153(第1ブリッジ通路153a);
図9に示す例では第2アクチュエータ通路162)に対向する位置に分配ランド部15aが配置されることで第1接続流路S1及び第2接続流路S2が画定されるが、第1接続流路S1及び第2接続流路S2の画定態様はこれに限定されない。例えば、第1下流側通路に対向する位置に分配ランド部15aが配置されることで、第1接続流路S1及び第2接続流路S2が画定されてもよい。
【0113】
図10は、方向切換弁130(分配ランド部15a)の一変形例を示す部分断面図である。本変形例によれば、例えば
図10の括弧に囲まれていない符号によって示されるように本発明の「第1のデバイス」がポンプ装置12によって構成されるとともに「第2のデバイス」がアクチュエータ120によって構成される場合、「第1下流側通路」を構成する第1アクチュエータ通路161に対向する位置に分配ランド部15aが配置されることで、第1接続流路S1及び第2接続流路S2が画定される。また
図10の括弧に囲まれた符号によって示されるように本発明の「第1のデバイス」がアクチュエータ120によって構成されるとともに「第2のデバイス」がタンク115によって構成される場合、本発明の「第1下流側通路」を構成するタンク通路145に対向する位置に分配ランド部15aが配置されることで、第1接続流路S1及び第2接続流路S2が画定される。
【0114】
このように複数のランド部15に含まれる分配ランド部15aは、「第1接続流路S1」と、「第2接続流路S2のうち第1下流側通路と第2箇所におけるバイパス通路25とをつなぐ流路」とを画定してもよい。この場合、複数の切欠部16は、「スプール14の移動方向に関して分配ランド部15aの一方の側に隣接して形成され、第1接続流路S1を構成する第1切欠部16a」と、「スプール14の移動方向に関して分配ランド部15aの他方の側に隣接して形成され、第1下流側通路と第2接続流路S2のうち第2箇所におけるバイパス通路25とをつなぐ流路を構成する第2切欠部16b」とを含んでいてもよい。また第1切欠部16aは、第2接続流路S2のうち上流側通路と第1箇所におけるバイパス通路25とをつなぐ流路も構成してもよい。
【0115】
なお、「ポンプ装置12とアクチュエータ120(第1作動油ポート121)との間を流れる作動油を規制する分配ランド部15a」及び「アクチュエータ120(第2作動油ポート122)とタンク115との間を流れる作動油を規制する分配ランド部15a」は、いずれか一方のみが設けられてもよいし、両方が設けられてもよい。したがって例えば、
図8に示す分配ランド部15aをポンプ装置12(第3供給通路153)とアクチュエータ120(第1アクチュエータ通路161)との間に設けるとともに、
図10に示す分配ランド部15aをアクチュエータ120(第2アクチュエータ通路162)とタンク115(タンク通路145)との間に設けてもよい。
【0116】
<第3変形例>
上述の実施形態では、主として、第3供給通路(ブリッジ通路)153の同じ開口部から流出する作動油が、第1接続流路S1及び第2接続流路(バイパス通路155を含む)S2を介してアクチュエータ120に供給されるが、第3供給通路(ブリッジ通路)153の異なる開口部から流出する作動油が、第1接続流路S1及び第2接続流路(バイパス通路155を含む)S2を介してアクチュエータ120に供給されてもよい。
【0117】
図11は、一変形例に係る方向切換弁130の断面図であり、第1作動位置に配置されている方向切換弁130を示す。本変形例における上流側通路に該当する第3供給通路153(第1ブリッジ通路153a及び第2ブリッジ通路153b)は第1開口部153c及び第2開口部153dを有する。第1開口部153cは、第1ブリッジ通路153aのうちスプール孔133に開口する部分によって構成され、第2開口部153dは、第2ブリッジ通路153bのうちスプール孔133に開口する部分によって構成される。第1開口部153cは第2開口部153dよりも、本変形例における第1下流側通路に該当する第1アクチュエータ通路161に近接した位置に配置される。
【0118】
第1接続流路S1は、第1開口部153c及びスプール孔133を介し、第3供給通路153(第1ブリッジ通路153a)と第1アクチュエータ通路161とをつなぐ。第2接続流路S2は、第2開口部153dを介して「第3供給通路153(第2ブリッジ通路153b)」と「第1箇所におけるバイパス通路155」とをつなぎ、結果的に、第2開口部153d、スプール孔133、バイパス通路155及びスプール孔133を介して第3供給通路153(第2ブリッジ通路153b)と第1アクチュエータ通路161とをつなぐ。
【0119】
スプール180は、複数の切欠部181を有する。これらの複数の切欠部181は、第1接続流路S1を構成する第1アクチュエータ通路用切欠部181c(第1切欠部)と、第2接続流路S2のうち第3供給通路153(上流側通路)の第2開口部153dと第1箇所におけるバイパス通路155とをつなぐ流路を構成するバイパス通路用切欠部181e(第2切欠部)とを含む。
【0120】
そして、上述の実施形態及び変形例と同様に、アクチュエータ120(第2のデバイス)は、シリンダー及びピストンを含み、第1アクチュエータ通路161(第1下流側通路)は、シリンダーのヘッド側である第1作動油ポート121(
図5参照)に連通する。
【0121】
なお、スプール孔133におけるスプール180のスライド移動(例えば中立位置から第1作動位置への移動)によって第1接続流路S1及び第2接続流路S2は形成されるが、スプール180のスライド移動に伴う第1接続流路S1及び第2接続流路S2の形成順序は特に限定されない。すなわち「スプール孔133を介した第1ブリッジ通路153a及び第1アクチュエータ通路161の連通(第1接続流路S1の形成)」及び「スプール孔133及びバイパス通路155を介した第2ブリッジ通路153b及び第1アクチュエータ通路161の連通(第2接続流路S2の形成)」のうちのいずれか一方が先行してもよいし、両方が同時に行われてもよい。第1接続流路S1及び第2接続流路S2の形成タイミングは、スプール180の切欠部181及びランド部183の位置によって基本的に定まるが、必要に応じてノッチをランド部183に形成することで、第1接続流路S1及び第2接続流路S2の形成タイミングや第1接続流路S1及び第2接続流路S2の流路面積を調整してもよい。
【0122】
他の構成は
図5〜
図7に示す上述の実施形態に係る方向切換弁130と同様であり、同一又は類似の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0123】
本変形例の方向切換弁130によれば、第3供給通路153(ブリッジ通路)のうち、供給先流路(本例では第1アクチュエータ通路161)に近接する側の第1開口部153c(第1ブリッジ通路153a)を、第1接続流路S1を介して供給先流路に連通させるだけではなく、供給先流路から離間する側(反対側)の第2開口部153d(第2ブリッジ通路153b)を、バイパス通路155(第2接続流路S2)を介して供給先流路に連通させることができる。したがって、上述の実施形態のように第3供給通路153の同一開口部から流出する作動油を第1接続流路S1及び第2接続流路S2に流す場合に比べ、第3供給通路153のスプール孔133に対する実質的な開口面積を大きくでき、作動油の圧力損失を低減できる。このように第3供給通路153(ブリッジ通路)の両開口部(第1開口部153c及び第2開口部153d)と第1アクチュエータ通路161(及びアクチュエータ120)とを接続することにより、作動油の実質的な流路面積を大きくでき、作動油の圧力損失を低減できる。
【0124】
以上説明したように本変形例によれば、方向切換弁130の限られたスペースにおいて、十分な大きさの流路を確保しつつ、ポンプ装置12からアクチュエータ120への流体(作動油(油、空気等))の供給における圧力損失を低減することができる。また特に、相対的に大きな出力を要する圧力室に対して圧力損失が低減された状態で作動油を供給する本変形例の方向切換弁130は、コンパクトな構造で、必要な力を効率的に出力することができる。このようにアクチュエータ120のヘッド側(第1作動油ポート121)にバイパス通路155を連通せることで、圧力損失の影響を効果的に低減できる。
【0125】
なお
図11(及び
図5)に示す例では、アクチュエータ120(ピストンシリンダ機構)のヘッド側(第1作動油ポート121)に連通する第1アクチュエータ通路161に、第1接続流路S1及び第2接続流路S2(バイパス通路155含む)を介して作動油が供給されるが、アクチュエータ120のロッド側(第2作動油ポート122)に連通する第2アクチュエータ通路162に対しても、
図11に示す流路構成と同様の流路構成を適用しうる。すなわち、第3供給通路153から第2アクチュエータ通路162に作動油を供給するために、第2アクチュエータ通路162に近接する側でスプール孔133に開口する第2ブリッジ通路153bの開口部(第2開口部153d)を、第1接続流路S1(スプール孔133)を介して第2アクチュエータ通路162に連通させる一方で、第3供給通路153から離間する側でスプール孔133に開口する第1ブリッジ通路153aの開口部(第1開口部153c)を第2接続流路S2(スプール孔133及びバイパス通路155(
図11の符号「155」が付された点線部参照))を介して第2アクチュエータ通路162に連通させてもよい。したがって「第2ブリッジ通路153bと第1アクチュエータ通路161とを連通させる第2接続流路S2の一部」及び「第1ブリッジ通路153aと第2アクチュエータ通路162とを連通させる第2接続流路S2の一部」のうちの一方又は両方のために1又は2以上のバイパス通路155を設けることができる。したがって
図5に示す例に関して言えば、「アクチュエータ(ピストンシリンダ)120のヘッド側(第1作動油ポート121)に連通するバイパス通路155」及び「アクチュエータ120のロッド側(第2作動油ポート122)に連通するバイパス通路155」のうちの一方のみを設けてもよいし、両方を併設してもよい。
【0126】
また本変形例の方向切換弁130も、上述の実施形態及び変形例と同様に、接続される油圧回路(油圧システム10)は特に限定されず、例えばデュアル回路、シングル回路、パラレル回路、及び/又はタンデム回路に対しても有効に適用可能である。
【0127】
本発明は、上述の個々の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、実施形態及び変形例が相互に組み合わされてもよく、各種の変形が加えられてもよい。特許請求の範囲において特定されている内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。