特許第6773469号(P6773469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773469
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】ガス弁装置
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/00 20060101AFI20201012BHJP
   F16K 31/04 20060101ALI20201012BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   F23K5/00 301D
   F16K31/04 A
   F16K31/06 385F
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-141293(P2016-141293)
(22)【出願日】2016年7月19日
(65)【公開番号】特開2018-13251(P2018-13251A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2019年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】近藤 秀幸
【審査官】 西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−068356(JP,A)
【文献】 特開2014−194252(JP,A)
【文献】 特開2014−032001(JP,A)
【文献】 特開平11−082802(JP,A)
【文献】 実開昭56−162372(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0014559(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/00
F16K 31/04
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にガスが流れる筒状のバルブケーシング内に、弁体と、前記弁体が着座可能な弁座とが設けられたガス弁装置であって、前記バルブケーシング内に、電動モータで軸方向に駆動される操作ロッドに連動して軸方向に移動する弁座部材が設けられ、前記弁座部材の軸方向端部に前記弁座が形成されると共に、前記バルブケーシングの内周面と前記弁座部材の外周面との間の隙間にガスが流れないようにシールするシール部材が設けられるものにおいて、
前記シール部材は、外周部が前記バルブケーシングに固定され、内周部が前記弁座部材に固定されたベロフラムで構成され
前記弁座部材の外周面の軸方向一部に、前記バルブケーシングの内周面に摺接する環状突起部が形成されると共に、前記弁座部材の前記環状突起部から離隔した部分に、前記バルブケーシングの内周面に近接対向して前記弁座部材が傾くことを抑制するガイド部が設けられることを特徴とするガス弁装置。
【請求項2】
内部にガスが流れる筒状のバルブケーシング内に、電磁安全弁と開閉弁とが組み込まれたガス弁装置であって、前記バルブケーシング内に、電動モータで軸方向に駆動される操作ロッドに連動して軸方向に移動する弁座部材が設けられ、前記電磁安全弁は、前記弁座部材の軸方向一方の端部に形成した安全弁用弁座に着座可能な弁体と、前記弁体に軸方向一方にのびる弁軸を介して連結される吸着片と、前記吸着片に対向する電磁石とを備え、前記開閉弁は、前記弁座部材の軸方向他方の端部に形成した開閉弁用弁座に着座可能な、前記操作ロッドに固定の弁体を備え、前記バルブケーシング内に、前記弁座部材を軸方向他方に付勢する付勢手段と、前記弁座部材の軸方向他方への移動を前記電磁安全弁の前記弁体が前記安全弁用弁座に着座可能な所定位置で制止するストッパ手段とが設けられると共に、前記バルブケーシングの内周面と前記弁座部材の外周面との間の隙間にガスが流れないようにシールするシール部材が設けられるものにおいて、
前記シール部材は、外周部が前記バルブケーシングに固定され、内周部が前記弁座部材に固定されたベロフラムで構成され、
前記ベロフラムは、その内周部を前記弁座部材に埋め込んだ状態で成形されるゴム製の成形品で構成され、
前記ベロフラムの内周部から前記弁座部材の内部を軸方向にのびて端部が前記開閉弁用弁座に露出する、前記ベロフラムと一体の筒部が設けられ、前記筒部の前記端部により、前記開閉弁の前記弁体が前記開閉弁用弁座に着座したときのシール性を確保する開閉弁用の弁シールが構成されることを特徴とするガス弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にガスが流れる筒状のバルブケーシング内に、弁体と、弁体が着座可能な弁座とが設けられたガス弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筒状のバルブケーシング内に電磁安全弁と開閉弁とが組み込まれたガス弁装置として、特許文献1により、バルブケーシング内に、電動モータで軸方向に駆動される操作ロッドに連動して軸方向に移動する弁座部材を設けたものが知られている。ここで、電磁安全弁は、弁座部材の軸方向一方の端部に形成した安全弁用弁座に着座可能な弁体と、当該弁体に軸方向一方にのびる弁軸を介して連結される吸着片と、吸着片に対向する電磁石とを備えており、開閉弁は、弁座部材の軸方向他方の端部に形成した開閉弁用弁座に着座可能な、操作ロッドに固定の弁体を備えている。また、バルブケーシング内には、弁座部材を軸方向他方に付勢する付勢手段と、弁座部材の軸方向他方への移動を電磁安全弁の弁体が安全弁用弁座に着座可能な所定位置で制止するストッパ手段とが設けられている。
【0003】
このものでは、操作ロッドを軸方向一方に移動させると、開閉弁の弁体が開閉弁用弁座に着座し、以後、弁座部材が開閉弁の弁体を介して作用する押圧力により操作ロッドに連動して軸方向一方に移動する。そして、安全弁用弁座が電磁安全弁の弁体に当接し、当該弁体が弁座部材に押されて軸方向一方に移動して、吸着片が電磁石に当接する開弁位置に到達する。この状態で電磁石に通電して、電磁安全弁の弁体を開弁位置に吸着した後、操作ロッドを軸方向他方に移動させる。これにより、付勢手段の付勢力で操作ロッドに追従して弁座部材が軸方向他方に移動し、安全弁用弁座が開弁位置に吸着される弁体から離れて電磁安全弁が開弁される。その後、弁座部材がストッパ手段で制止される所定位置に復帰してから更に操作軸ロッドを軸方向他方に移動させることにより、開閉弁の弁体が開閉弁用弁座から離れて開閉弁が開弁される。
【0004】
ここで、上記従来例のものでは、バルブケーシングの内周面と弁座部材の外周面との間の隙間にガスが流れないようにシールするシール部材として、弁座部材の外周面にOリングを装着している。然し、Oリングは、弁座部材の外周面とバルブケーシングの内周面との間で圧縮させてシール性を確保するものであり、弁座部材を軸方向に移動させる際の摺動抵抗が大きくなる。そのため、電動モータの消費電力が大きくなり、電源として乾電池を用いる場合、電池寿命が短くなる不具合がある。
【0005】
尚、上記したバルブケーシング内に電磁安全弁と開閉弁を組み込むガス弁装置に限らず、バルブケーシング内に電動モータで軸方向に駆動される操作ロッドに連動して軸方向に移動する弁座部材が設けられるガス弁装置であって、弁座部材の外周面に、バルブケーシングの内周面との間の隙間をシールするOリングを装着するものであれば、上記と同様の不具合を生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−68356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、バルブケーシングの内周面と弁座部材の外周面との間の隙間にガスが流れないようにシールするシール部材により弁座部材の摺動抵抗が大きくなって電動モータの消費電力が増加することを回避できるようにしたガス弁装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、内部にガスが流れる筒状のバルブケーシング内に、弁体と、前記弁体が着座可能な弁座とが設けられたガス弁装置であって、前記バルブケーシング内に、電動モータで軸方向に駆動される操作ロッドに連動して軸方向に移動する弁座部材が設けられ、前記弁座部材の軸方向端部に前記弁座が形成されると共に、前記バルブケーシングの内周面と前記弁座部材の外周面との間の隙間にガスが流れないようにシールするシール部材が設けられるものにおいて、前記シール部材は、外周部が前記バルブケーシングに固定され、内周部が前記弁座部材に固定されたベロフラムで構成され、前記弁座部材の外周面の軸方向一部に、前記バルブケーシングの内周面に摺接する環状突起部が形成されると共に、前記弁座部材の前記環状突起部から離隔した部分に、前記バルブケーシングの内周面に近接対向して前記弁座部材が傾くことを抑制するガイド部が設けられることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、シール部材をベロフラムで構成することにより、シール部材としてOリングを用いる従来例のものに比し、弁座部材の摺動抵抗が大幅に減少する。そのため、電動モータの消費電力を低減して、電池寿命をのばすことができる。
【0011】
また、本発明においては、ベロフラムの径方向の撓みで弁座部材が径方向に動くことがないように、上述した通り、弁座部材の外周面の軸方向一部に、バルブケーシングの内周面に摺接する環状突起部を形成する必要がある。然し、環状突起部を設けるだけでは、環状突起部を支点にして弁座部材が傾き、バルブケーシングに対する弁座部材のこじりを生ずる可能性がある。そのため、本発明においては、上述した通り、上記環状突起部を設けるだけでなく、弁座部材の環状突起部から離隔した部分に、バルブケーシングの内周面に近接対向して弁座部材が傾くことを抑制するガイド部を設けることが望ましい。
【0012】
更に、本発明において、ベロフラムは、その内周部を弁座部材に埋め込んだ状態で成形されるゴム製の成形品で構成されることが望ましい。これによれば、ベロフラムの内周部を弁座部材に確実に密着させて、シール性を確保できる。
【0013】
この場合、ベロフラムの内周部から弁座部材の内部を軸方向にのびて端部が弁座に露出する、ベロフラムと一体の筒部が設けられ、弁座に露出する筒部の端部により、弁体が弁座に着座したときのシール性を確保する弁シールが構成されるようにすれば、弁シールを別途設ける必要がなく、コストダウンを図ることができる。
【0014】
尚、バルブケーシング内に電磁安全弁と開閉弁とが組み込まれたガス弁装置であって、上記従来例と同様に、電磁安全弁は、弁座部材の軸方向一方の端部に形成した安全弁用弁座に着座可能な弁体と、当該弁体に軸方向一方にのびる弁軸を介して連結される吸着片と、吸着片に対向する電磁石とを備え、開閉弁は、弁座部材の軸方向他方の端部に形成した開閉弁用弁座に着座可能な、操作ロッドに固定の弁体を備え、バルブケーシング内に、弁座部材を軸方向他方に付勢する付勢手段と、弁座部材の軸方向他方への移動を電磁安全弁の弁体が安全弁用弁座に着座可能な所定位置で制止するストッパ手段とが設けられるものにおいて、ベロフラムの内周部から弁座部材の内部を軸方向にのびるベロフラムと一体の筒部を設ける場合は、筒部の端部を開閉弁用弁座に露出させ、この筒部の端部により、開閉弁の弁体が開閉弁用弁座に着座したときのシール性を確保する開閉弁用の弁シールを構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態のガス弁装置の断面図。
図2】第1実施形態のガス弁装置の作動説明図。
図3】本発明の第2実施形態のガス弁装置の断面図。
図4】本発明の第3実施形態のガス弁装置の断面図。
図5】本発明の第4実施形態のガス弁装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照して、本発明の実施形態のガス弁装置は、筒状のバルブケーシング1と、バルブケーシング1内の軸方向一方(図1で右方)寄りの部分に配置した電磁安全弁2と、バルブケーシング1内の軸方向他方(図1で左方)寄りの部分に、電磁安全弁2と直列に配置した開閉弁3と、バルブケーシング1内に軸方向他方から挿入される操作ロッド4と、バルブケーシング1の軸方向他方の端部に取り付けたボックス11の外端面に搭載される電動モータ5と、バルブケーシング1内に操作ロッド4に連動して軸方向に移動するように設けられた樹脂製又は真鍮やアルミ合金等の金属製の弁座部材6とを備えている。
【0017】
電動モータ5の出力軸51にはナット52が固定されており、このナット52に操作ロッド4の軸方向他方の端部に形成した雄ねじ部41を螺入している。そして、電動モータ5の正逆転で操作ロッド4が軸方向に往復動されるようにしている。
【0018】
バルブケーシング1には、電磁安全弁2の上流側に位置するガス流入口1aと、開閉弁3の下流側に位置するガス流出口1bとが開設されている。そして、電磁安全弁2と開閉弁3とが共に開弁したとき、ガス流入口1aからガス流出口1bにガスが流れ、図示省略したコンロ等のガス器具のバーナにガスが供給される。
【0019】
電磁安全弁2は、弁座部材6の軸方向一方の端部に形成した安全弁用弁座21と、この弁座21に着座可能なゴム製の弁体22と、弁体22を軸方向他方に付勢して安全弁用弁座21に着座させる弁ばね23と、弁体22に軸方向一方にのびる弁軸22aを介して連結した吸着片24と、吸着片24に対向する電磁石25とを備えている。そして、弁体22を吸着片24が電磁石25に当接する開弁位置まで弁ばね23に抗して押動させた状態で電磁石25に通電することにより、弁体22が開弁位置に吸着保持される。また、バーナに付設する火炎検知素子によりバーナの失火が検知されたときは、電磁石25への通電を停止し、弁体22を弁ばね23により安全弁用弁座21に着座する閉弁位置に復帰させて電磁安全弁2を閉弁し、ガスの流出を防止する。
【0020】
バルブケーシング1内には、弁座部材6の軸方向他方への移動を電磁安全弁2の弁体22が着座可能な所定位置で制止する、バルブケーシング1の内面に形成した径方向の段差から成るストッパ手段61と、弁座部材6を軸方向他方に付勢して上記所定位置に弾力的に保持するコイルスプリングから成る付勢手段62とが設けられている。
【0021】
開閉弁3は、弁座部材6の軸方向他方の端部に形成した開閉弁用弁座31と、この弁座31に着座可能であって、操作ロッド4の軸方向一方の端部に固定された弁体32とを備えている。弁体32は、弁座部材6に安全弁用と開閉弁用の両弁座21,31に開口するように開設した弁孔63を閉塞するように弁座31に着座する主弁体部321と、弁孔63に挿入されるニードル弁状の副弁体部322とを備える。尚、主弁体部321の開閉弁用弁座31に対向する端面にはゴム製の弁シール32aが貼り付けられている。また、弁体32には、弁孔63と開閉弁3の下流側とを常時連通するバイパス孔32bが形成されており、主弁体部321を開閉弁用弁座31に着座させた状態で最小量のガスが流れるようにしている。
【0022】
以上の構成によれば、操作ロッド4を軸方向一方に移動させると、開閉弁3の弁体32が開閉弁用弁座31に着座し、以後、弁座部材6が開閉弁3の弁体32を介して作用する押圧力により操作ロッド4に連動して軸方向一方に移動する。そして、安全弁用弁座21が電磁安全弁2の弁体22に当接して、図2(a)に示す如く、弁体22が弁ばね23の付勢力に抗して開弁位置に押動される。この状態で電磁石25に通電され、弁体22が開弁位置に吸着保持される。次に、操作ロッド4を軸方向他方に移動させるが、この際、弁座部材6は、ストッパ手段61により制止される所定位置まで付勢手段62の付勢力により操作ロッド4に追従して軸方向他方に移動し、安全弁用弁座21が開弁位置に吸着保持される弁体22から離れて、電磁安全弁2が開弁される。その後、図2(b)に示す如く、所定位置に制止される弁座部材6に対し操作ロッド4が更に軸方向他方に移動し、開閉弁3の弁体32の主弁体部321が開閉弁用弁座31から所定距離離れて、点火に適した量のガスがバーナに供給され、バーナに点火される。その後は、電動モータ5により操作ロッド4の位置を調節することで、副弁体部322によるガス流量の調節が行われる。
【0023】
ここで、本実施形態では、バーナ失火時に電磁安全弁2の閉弁指令が出されても、電磁安全弁2の弁体22が開弁位置に保持されたままになる開故障を生じた場合、操作ロッド4を軸方向一方に移動させることにより、開弁位置に存する弁体22に安全弁用弁座21が当接して、電磁安全弁2が閉弁され、ガスの流出が防止される。また、操作ロッド4が電磁安全弁2の弁体22の開弁位置に対応する前進端位置に電動モータ5の故障やゴミ噛み等でロックしても、電磁安全弁2は閉弁されているから、ガスの放出を防止することができる。従って、電磁安全弁2の開故障を生じたときや操作ロッド4が前進端位置にロックしたときのフェールセーフを図ることができる。
【0024】
ところで、バルブケーシング1の内周面と弁座部材6の外周面との間の隙間にガスが流れないようにシールするシール部材として、弁座部材6の外周面にOリングを装着することも考えられる。然し、Oリングは、弁座部材6の外周面とバルブケーシング1の内周面との間で圧縮させてシール性を確保するものであり、弁座部材6を軸方向に移動させる際の摺動抵抗が大きくなる。そのため、電動モータ5の消費電力が大きくなり、電源として乾電池を用いる場合、電池寿命が短くなる不具合がある。
【0025】
そこで、本実施形態では、バルブケーシング1の内周面と弁座部材6の外周面との間の隙間にガスが流れないようにシールするシール部材を、外周部71がバルブケーシング1に固定され、内周部72が弁座部材6に固定されたゴム製のベロフラム7で構成している。これによれば、シール部材としてOリングを用いるものに比し、弁座部材6の摺動抵抗が大幅に減少する。そのため、電動モータ5の消費電力を低減して、電池寿命をのばすことができる。
【0026】
また、本実施形態では、バルブケーシング1を、電磁安全弁2を囲う軸方向一方側部分12と開閉弁3を囲う軸方向他方側部分13との軸方向2部分に分割して、軸方向一方側部分12と軸方向他方側部分13との間にベロフラム7の外周部71を挟持している。
【0027】
尚、図3に示す第2実施形態の如く、バルブケーシング1を軸方向に分割せずに、バルブケーシング1の内周面に径方向段差部1cを形成し、この段差部1cにベロフラム7の外周部71をバネ1dで押し付けて、ベロフラム7の外周部71とバルブケーシング1との間のシール性を確保することも考えられる。然し、これでは、非常に変形しやすいベロフラム7を、外周部71以外の部分が段差部1cに干渉したり、外周部71が段差部1cを越えたりしないようにバルブケーシング1内に慎重に挿入する必要があって、組付け作業が面倒になる。これに対し、図1図2に示す上記第1実施形態の如く、バルブケーシング1の往動方向側部分12と復動方向側部分13との間にベロフラム7の外周部71を挟持すれば、組付け作業性が向上し有利である。
【0028】
また、第1と第2の両実施形態では、ベロフラム7の径方向の撓みで弁座部材6が径方向に動くことがないように、弁座部材6の外周面の軸方向一部、例えば、復動方向側端部に、バルブケーシング1の内周面に摺接する環状突起部64が形成されている。但し、環状突起部64を設けるだけでは、環状突起部64を支点にして弁座部材6が傾き、バルブケーシング1に対する弁座部材6のこじりを生ずる可能性がある。
【0029】
そこで、第1と第2の両実施形態では、弁座部材6の環状突起部64から離隔した部分、例えば、弁座部材6の軸方向中間部分に、バルブケーシング1の内周面に近接対向して弁座部材6が傾くことを抑制するガイド部65を設けている。これによれば、弁座部材6が傾いて、バルブケーシング1に対する弁座部材6のこじりを生ずることを防止できる。
【0030】
尚、ガイド部65は、図4に示す第3実施形態の如く、弁座部材6の軸方向一方の端部に設けてもよい。また、ガイド部65は、環状であっても、或いは、放射状に複数設けてもよい。
【0031】
次に、図5に示す第4実施形態について説明する。第4実施形態において、ベロフラム7は、その内周部72を弁座部材6に埋め込んだ状態で成形されるゴム製の成形品で構成されている。これによれば、ベロフラム7の内周部72を弁座部材6に確実に密着させて、シール性を確保できる。尚、弁座部材6は、樹脂製、金属製の何れであってもよい。
【0032】
第4実施形態では、更に、ベロフラム7の内周部72から弁座部材6の内部を軸方向にのびて端部が開閉弁用弁座31に露出する、ベロフラム7と一体の筒部73が設けられている。そして、開閉弁用弁座31に露出する筒部73の端部により、開閉弁3の弁体32が開閉弁用弁座31に着座したときのシール性を確保する弁シール73aが構成される。これによれば、第1乃至第3実施形態の如く弁体32に別体の弁シール32aを取付ける必要がなく、コストダウンを図ることができる。
【0033】
尚、第4実施形態では、弁座部材6に第1乃至第3実施形態の如きガイド部65を設けていないが、ガイド部65を設けても勿論よい。
【0034】
以上、本発明に実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、開閉弁3の弁体32に、副弁体部322やバイパス孔32bを設けているが、これら副弁体部322やバイパス孔32bは省略してもよい。また、上記実施形態では、バルブケーシング1内に電磁安全弁2と開閉弁3とが組み込まれているが、電磁安全弁2と開閉弁3との一方を省略することも可能である。
【符号の説明】
【0035】
1…バルブケーシング、12…軸方向一方側部分(バルブケーシングの分割された一方の部分)、13…軸方向他方側部分(バルブケーシングの分割された他方の部分)、2…電磁安全弁、21…安全弁用弁座、22…電磁安全弁の弁体、22a…弁軸、24…吸着片、25…電磁石、3…開閉弁、31…開閉弁用弁座、32…開閉弁の弁体、4…操作ロッド、5…電動モータ、6…弁座部材、61…ストッパ手段、62…付勢手段、64…環状突起部、65…ガイド部、7…ベロフラム、71…外周部、72…内周部、73…筒部、73a…弁シール。
図1
図2
図3
図4
図5