(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
時計の風防または、前記風防およびベゼルを含むベゼル組立体の裏側に、表側から視認でき前記風防または前記ベゼル組立体の回転位置を示す目印を付した後に前記風防の裏側に目隠し層を付すか、または、前記風防の裏側に前記表側から視認できる目印を備える目隠し層を付し、
前記目隠し層の裏側に円環でないアンテナを前記風防の外縁にそって、前記目印と所定の位置関係となるように配置し、
前記風防を胴またはベゼルに対し、前記目印に基づいて所定の位置関係となるように組み付けるか、または、前記ベゼル組立体を胴に対し、前記目印に基づいて所定の位置関係となるように組み付ける、
電波時計の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
風防(例えば風防ガラス)の裏側に円環でない(回転体でない)アンテナを配置する場合、アンテナが受信した信号を受信回路へ向かう接続回路に伝達するために、風防の回転方向の位置をあわせる必要がある。特許文献1に記載の発明では、風防の表側からアンテナを視認することで風防の位置をあわせることが可能である。一方、アンテナが風防の表側から視認できると、美観を損ねる場合があった。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その課題は風防の裏側に配置されるアンテナが視認されないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)時計用の風防または、前記風防およびベゼルを含むベゼル組立体であって、前記風防の回転位置を示す目印を有し、その裏側面に、前記風防の外縁に沿って配置され円環でないアンテナと、前記アンテナの表側からの視認を妨げる目隠し層と、を有する時計用の風防またはベゼル組立体と、前記アンテナに裏側から電気的または電磁気的に接続される接続子と、を備えた電波時計。
【0008】
(2)(1)において、前記目印は、前記風防の裏側からも視認できる、電波時計。
【0009】
(3)(2)において、前記目印は、前記目隠し層の端にある切欠きまたは前記目隠し層にある孔である、電波時計。
【0010】
(4)(1)において、前記目印は、前記目隠し層と前記風防との間に配置され、前記目隠し層に前記目印と異なり前記風防の裏側から視認できるアンテナ用目印が配置される、電波時計。
【0011】
(5)(4)において、前記アンテナ用目印は、前記目隠し層にある孔または切欠きであり、前記目印と前記アンテナ用目印とは平面視で重なっている、電波時計。
【0012】
(6)(4)において、前記目隠し層は、前記アンテナ用目印と前記風防との間に配置される、電波時計。
【0013】
(7)(6)において、前記アンテナ用目印は、平面視で前記アンテナを囲む、電波時計。
【0014】
(8)時計の風防または、前記風防およびベゼルを含むベゼル組立体の裏側に、表側から視認でき前記風防または前記ベゼル組立体の回転位置を示す目印を付した後に前記風防の裏側に目隠し層を付すか、または、前記風防の裏側に前記表側から視認できる目印を備える目隠し層を付し、前記目隠し層の裏側に円環でないアンテナを前記風防の外縁にそって、前記目印と所定の位置関係となるように配置し、前記風防を胴またはベゼルに対し、前記目印に基づいて所定の位置関係となるように組み付けるか、または、前記ベゼル組立体を胴に対し、前記目印に基づいて所定の位置関係となるように組み付ける、電波時計の製造方法。
【0015】
(9)(8)において、前記風防を、前記風防の固定位置を特定可能な治具に固定し、前記目印または前記目印を備えた前記目隠し層は、前記風防が前記治具に固定された状態で付され、前記アンテナは、前記風防が前記治具に固定された状態で配置される、電波時計の製造方法。
【0016】
(10)(8)において、前記風防を、前記風防の固定位置を特定可能な治具に固定し、前記目印または前記目印を備えた前記目隠し層は、前記風防が前記治具に固定された状態で付され、アンテナ用目印を、前記風防が前記治具に固定された状態で付し、前記アンテナは、前記アンテナ用目印と所定の位置関係となるように配置される、電波時計の製造方法。
【0017】
(11)風防の裏側に目隠し層を付した後に、前記目隠し層の裏側に回転対称でないアンテナを前記風防の外縁にそって配置し、ベゼルの表側に前記ベゼルの回転位置を示す表側目印を付し、前記ベゼルの裏側に前記目印と所定の位置関係を有する裏側目印を付し、前記ベゼルに、前記風防に配置されたアンテナが前記裏側目印と所定の位置関係となるように前記風防を組み付け、前記表側目印に基づいて、前記ベゼルを胴に対し、所定の位置関係となるように組み付ける、電波時計の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、風防の裏側に配置されるアンテナが視認されないようにできる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では本発明の実施形態にかかる衛星電波腕時計1について説明する。衛星電波腕時計1は、時刻情報を含んだ衛星電波を受信し、当該受信された衛星電波に含まれる時刻情報を用いて自身が計時している時刻の修正や測位を行う。
【0021】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる衛星電波腕時計1の外観の一例を示す平面図であり、
図2は、
図1に示される衛星電波腕時計1のII−II切断線における断面図である。これらの図に示されるように、衛星電波腕時計1は、風防ガラス31と、風防ガラス31を保持するベゼル32と、円筒状の胴38と、胴38の下に設けられる裏蓋39とを含む。これらは衛星電波腕時計1の外形を構成している。風防ガラス31は、例えばサファイヤガラス等の透明材料を含む。胴38およびベゼル32は、風防ガラス31および裏蓋39に挟まれている。以下では、衛星電波腕時計1の中心から風防ガラス31へ向かう向きを上、裏蓋39へ向かう向きを下と表記する。風防ガラス31が衛星電波腕時計1に組み付けられた状態において、外側を構成する面を表側の面、内側を構成する面を裏側の面と記載する。
【0022】
胴38は金属からなり、上から下へ貫通する穴を有する。ベゼル32は胴38の穴の上端の形状に応じたリング状の部材であり、ベゼル32はその穴の上端にはめ込まれることで胴38に接続されている。ここでベゼル32は、金属で構成してもよいし、高誘電材(例えばセラミックス)で構成しても良く、金属と高誘電材を組み合わせた構成としても良い。また裏蓋39は金属からなり胴38の穴の下端の形状に応じた平面を有し、裏蓋39は胴38の穴の下端にはめ込まれている。風防ガラス31は、ベゼル32の開口の上端の形状に応じた平面形状を有し、ベゼル32のその開口の上端にはめ込まれている。風防ガラス31とベゼル32とは非導電性のパッキン33を介して接しており、非導電性のパッキン33により風防ガラス31が固定されている。またベゼル32と胴38とは非導電性のパッキン37を介して接しており、パッキン37によりベゼル32が胴38に固定されている。また、胴38のうち所定の位置から突出するように、竜頭36が組み付けられている。
【0023】
図3は、
図1にかかる風防ガラス31、インデックス71、目隠し層61、アンテナ10a,10bの立体的な配置を説明する図である。
図3は、風防ガラス31、インデックス71、目隠し層61、アンテナ10a,10bの上下方向の順序を示すための図である。
図3では、風防ガラス31の層、インデックス71の層、目隠し層61、アンテナ10a,10bの層が上下方向に離間するように記載されているが、実際には隣り合う層は互いに接しており、隣り合わない層であっても間に他の層がない場合は互いに接している。
【0024】
図1から3に示す風防ガラス31の裏側の面には、その周縁にインデックス71が印刷されている。
図1の例では、インデックス71は時字である。また、風防ガラス31の裏側の面には、風防ガラス31の周縁にそって環状の目隠し層61も印刷されている。目隠し層61はインデックス71より下側にあり、インデックス71は目隠し層61と風防ガラス31との間に配置されている。目隠し層61は、非導電性の材質から構成され、アンテナ10a,10bと接したときにアンテナ特性に影響を与えることが無い。また、仮に目隠し層61の風防ガラス側にインデックスのための金属蒸着層を設けた場合であっても、アンテナ10a,10bと接触する面は非導電性の材質で構成されるため、アンテナ10a,10bのアンテナ特性に影響を与えることは無い。
【0025】
目隠し層61には、目印として切欠き75が設けられている。切欠き75の位置は、
図1の例では12時と6時の位置に設けられている。また、ベゼル32の上面であり、かつ切欠き75に隣接する位置に、上部目印76が配置されている。切欠き75および上部目印76は、風防ガラス31をベゼル32にはめ込む際に用いられるが、詳細については後述する。
【0026】
また、衛星電波腕時計1は、アンテナ10a,10b、2本の導電ピン41、リング状の見返しリング34、文字板51、時針52a、分針52b及び秒針52c、ソーラーセル53、地板54、配線基板43、回路基板47、モーターを含む。これらは、風防ガラス31、ベゼル32、胴38、裏蓋39に囲まれた空間に配置されている。
【0027】
図4は、
図1にかかる風防ガラス31を裏側からみた平面図である。アンテナ10a,10bは、目隠し層61の下側の面に配置され、かつ平面的にみて目隠し層61に重なり風防ガラス31の周縁に沿って延びるように配置されている。なお、目隠し層61の切欠き75とアンテナ10a,10bは平面視で重なっていない。アンテナ10a,10bを目隠し層61の裏側に配置することにより、アンテナ10a,10bが風防ガラス31の表側から視認されないようにすることができる。
【0028】
図4の例では、アンテナ10a,10bのそれぞれは円弧状であり、風防ガラス31の裏側の面に貼り付けられている。ここで、実際には、アンテナ10a,10bを誘電体である風防ガラス31に貼り付けることで、アンテナ10a,10bと風防ガラス31とがアンテナとして機能する。以下では説明の便宜上「アンテナ」は10a,10bを指すこととする。アンテナ10a,10bは衛星から送信される衛星信号を受信する。本実施形態では、アンテナ10a,10bはいわゆるダイポールアンテナであり、GPS(Global Positioning System)衛星から送信される周波数約1.6GHzの電波を受信する。GPSは、衛星測位システムの一種であって、地球の周囲を周回する複数のGPS衛星によって実現されている。なお、アンテナ10a,10bは円環ではなく、風防ガラス31の回転方向の軸についての回転体ではない。
【0029】
アンテナ10a,10bのそれぞれの一方の端部は、導電ピン41と接触する。導電ピン41はいわゆるプローブピンであり、アンテナ10a,10bからの信号を受け、受信回路へと伝える接続子の一種である。導電ピン41の数はアンテナ10a,10bの数と同じである。導電ピン41は、対応するアンテナ10a,10bに、それらの裏側から電気的に接続される。アンテナ10a,10bが受信した電波のアナログ信号は、導電ピン41を介して受信回路へ入力される。導電ピン41の両端はスプリングにより伸縮し、導電ピン41の上端はアンテナ10a,10bの一端に接触している。また導電ピン41の下端は配線基板43上に設けられた接続端子に接触している。導電ピン41は、見返しリング34および地板54により、平面視における位置を固定されている。アンテナ10a,10bからみて、導電ピン41は、風防ガラス31から遠ざかる方向に延びている。
【0030】
受信回路は高周波回路(RF回路)及びデコード回路を含んでいる。高周波回路は、高周波数で動作し、アンテナ10a,10bが受信したアナログ信号に対して増幅、検波を行って、ベースバンド信号に変換する。デコード回路は、高周波回路が出力するベースバンド信号を復号してGPS衛星から受信したデータの内容を示すビット列を生成する。時針52a、分針52b、及び秒針52cは、モーターおよび輪列を含む駆動機構により回転し、現在時刻を表示する。駆動機構は、生成されたビット列に含まれる時刻情報やクロックの信号に基づいて制御される。なお、導電ピン41の代わりに、アンテナ10a,10bと離間しつつ隣接する接続子が、そのアンテナ10a,10bの下に配置されてもよい。この接続子は、受信回路から給電されるとともに、円弧状の電磁結合部がアンテナ10a,10bと電磁気的に接続することで、アンテナ10a,10bにより受信された信号を受信回路へと伝達する。
【0031】
図1から3に示される衛星電波腕時計1では、アンテナ10a,10bと導電ピン41(接続子)とを適切な位置に接触させる必要がある。一方、風防ガラス31を表側からみると、目隠し層61によりアンテナ10a,10bの位置は視認できず、アンテナ10a,10bそのものを用いて位置合わせすることは難しい。以下では、衛星電波腕時計1を製造する際に、アンテナ10a,10bが配置された風防ガラス31と導電ピン41との位置を合わせる方法について説明する。
【0032】
図5A,5Bは、衛星電波腕時計1の製造工程の一例を説明する平面図である。はじめに、風防ガラス31を治具に固定し、風防ガラス31の裏側の面にインデックス71を印刷する(
図5A参照)。この治具は、風防ガラス31の固定位置と、印刷装置へ固定される部分とが定まっている。これにより、印刷の際に治具に固定された風防ガラス31の位置が特定できる。
【0033】
次に、インデックス71が印刷された風防ガラス31の裏側の面に目隠し層61を印刷する(
図5B参照)。ここで、目隠し層61には切欠き75が設けられており、
図5Bに示される切欠き75は、風防ガラス31の表側および裏側の両方から目印として視認される。この切欠き75は、風防ガラス31をベゼル32等に組み付ける際の回転位置を示す目印となる。なお、目隠し層61は、印刷ではなく反射率を高める表面加工により設けられてもよい。また目隠し層61を印刷した後に、治具から風防ガラス31を取り外してよい。
【0034】
次に、切欠き75を位置合わせの目印として利用しつつ、風防ガラス31のうち目隠し層61の裏側にアンテナ10a,10bを貼り付ける。
図4に示される風防ガラス31は、本工程が終わった状態のものと同じである。目隠し層61は平面視で風防ガラス31の外縁にそって設けられているので、アンテナ10a,10bも風防ガラス31の周縁にそって設けられる。また切欠き75を用いた位置合わせにより、切欠き75とアンテナ10a,10bとは、所定の位置関係を有するように配置される。ここで、所定の位置関係とは、風防ガラス31の中心から見た切欠き75の角度とアンテナ10a,10bの角度との差が予め定められた一定の範囲に収まることである。
【0035】
そして、切欠き75を位置合わせの目印として利用しつつ、ベゼル32に風防ガラス31を組み付ける。この際、例えば、ベゼル32に設けられた上部目印76と、目隠し層61の切欠き75との位置を合わせるように風防ガラス31をベゼル32に組み付ける。これにより、風防ガラス31はベゼル32と所定の位置関係となるように組み付けられる。ここで、予めベゼル32は胴38に組み付けられ、ベゼル32の上部目印76と導電ピン41とが所定の位置関係を有する。すると、風防ガラス31の切欠き75を目印として位置合わせすることで、切欠き75と所定の位置関係を有するアンテナ10a,10bと、ベゼル32と所定の位置関係を有する導電ピン41との位置を合わせることが可能になる。これにより、目隠し層61を有していても、アンテナ10a,10bと、導電ピン41とを適切に接触させることが可能になる。なお、インデックス71と切欠き75とが平面視で重なることにより、切欠き75が目立たないようになっている。
【0036】
なお、胴38が、ベゼル32と一体化されていてもよい。この場合、上記工程では、切欠き75を位置合わせの目印として利用しつつ、胴38の上側の開口に風防ガラス31を組み付けることで、アンテナ10a,10bと、導電ピン41とが適切に接触する。
【0037】
これまでに説明した例では、目印としての切欠き75の数は2であるが、1であってもよい。また、風防ガラス31の表側から視認される複数の目印が設けられる場合には、それぞれの目印がどの回転位置に対応するかを明確にするために、それぞれの目印の形状が、互いに異なってもよい。例えば、切欠き75の形状がV字状、U字状などであってよい。この場合、インデックス71がなくても目印に対応する回転位置を間違える可能性がなくなる。
【0038】
ベゼル32に設けられた上部目印76の代わりに、胴38に固定された部材を目印として用いてもよい。例えば、竜頭36や文字板51の記載を目印として、風防ガラス31がベゼル32に組み付けられてもよい。
【0039】
ここで、切欠き75の代わりに、目隠し層61に設けられる貫通孔である開口部72が目印として設けられてもよい。
図6は、風防ガラス31の他の一例を示す平面図である。
図6は、風防ガラス31の表側からみた場合の平面図である。また、
図7は、
図6に示す風防ガラス31のVII−VII切断線における断面図である。
【0040】
図6に示されるように、目隠し層61のうち3時、6時、9時、12時の方向の位置には、例えば数字状に中抜きした開口部72が設けられており、風防ガラス31の表側からはインデックス71の代わりの時字としても視認される。また、目隠し層61のうち開口部72の下側には、開口部72を覆うようにフィルター66が設けられ、さらにフィルター66の下側にアンテナ10a,10bが貼り付けられている。アンテナ10a,10bの一部は、目隠し層61と接している。ここでフィルター66は設けられていなくてもよい。フィルター66がない場合、開口部72の下側にあるアンテナ10a,10bの色(金属の反射)が見える。フィルター66がある場合には、風防ガラス31の表側から視認される色や見え方を自由に設計することが可能になる。
【0041】
図6,7の例にかかる衛星電波腕時計1の製造工程は、
図5A,5Bを用いて説明された製造工程と異なり、インデックス71を印刷する工程がなく、また目隠し層61を印刷する工程とアンテナ10a,10bを貼り付ける工程の間にフィルター66を印刷する工程が存在する。開口部72は、フィルター66を透過する光により、アンテナ10a,10bを貼り付ける工程において位置合わせの目印として用いられる。また、開口部72は、風防ガラス31をベゼル32または胴38に組み付ける工程において位置合わせの目印として用いられる。
【0042】
図8は、風防ガラス31、インデックス71、目隠し層61、アンテナ10a,10bの配置の他の一例を説明する図である。
図8は、
図3に対応する図であり、風防ガラス31、インデックス71、目隠し層61、アンテナ10a,10bの上下方向の順序を示す。
図8の例では、
図6,7の例と異なり、目隠し層61に設けられた貫通孔である開口部73の上には、その開口部73を覆うようにインデックス71が配置されている。インデックス71の下側の色は、目隠し層61と異なっている。
【0043】
図8の例にかかる衛星電波腕時計1の製造工程は、
図5A,5Bを用いて説明された製造工程とは以下の点が異なる。一つ目の違いは、アンテナ10a,10bを貼り付ける工程において、孔状の開口部73が位置合わせの目印として用いられる点である。なお、目隠し層61とインデックス71の下側の色の違いにより、風防ガラス31の裏側から開口部73の位置を容易に視認できる。二つ目の違いは、風防ガラス31をベゼル32または胴38に組み付ける工程において、インデックス71が位置合わせの目印として用いられる点である。インデックス71には、正確な位置合わせのために、インデックス71の他の部分と色が異なる微小な目印を含んでよい。
図8の例では、裏から視認されアンテナ10a,10bの貼り付けに用いられる目印と、表側から視認され風防ガラス31の組み付けに用いられる目印とが異なっている。しかし、インデックス71と目隠し層61とが印刷される際には、風防ガラス31が風防ガラス31の固定位置が特定可能な治具に固定されているため、インデックス71と目隠し層61との間の位置ずれは十分に抑えられる。これにより、工程により用いられる目印が異なっていても、アンテナ10a,10bと、導電ピン41とを適切に接触させることが可能になる。
【0044】
図9は、風防ガラス31、インデックス71、目隠し層61、アンテナ10a,10bの配置の他の一例を説明する図である。
図10は、
図9にかかる風防ガラス31を下側からみた平面図である。
図9は、
図8の例と異なり、開口部73の代わりに切欠き75が設けられ、かつ切欠き75の上に、その切欠き75を覆うようにインデックス71が配置されている。
図9の例では、切欠き75の大きさはインデックス71より小さく、表面から見て切欠き75がインデックス71により隠されるようになっている。また、インデックス71の下側の色は、目隠し層61と異なっている。
図8の例にかかる衛星電波腕時計1の製造工程は
図8の例と同様であるが、アンテナ10a,10bを貼り付ける工程において開口部73の代わりに切欠き75が用いられる点が異なる。
図9の例では、表側から視認される際に、切欠き75のような目印を目立たせないことができる。
【0045】
ここで、インデックス71に示される文字の一部に開口部74を設けてもよい。
図11は、インデックス71の他の一例を示す図である。インデックス71の文字の領域の内にある開口部74は、風防ガラス31をベゼルまたは胴38に組み付ける工程において、位置合わせの目印として用いられる。また、切欠き75と組み合わせることで、開口部74は風防ガラス31の裏側からも視認がされる。これにより、開口部74はアンテナ10a,10bを貼り付ける工程において、目印として用いられる。また、開口部74の代わりにインデックス71の一部の領域に両面から視認され、他の領域と異なる色のドットを目印として印刷してもよい。開口部74の代わりにドットが、アンテナ10a,10bを貼り付ける工程や風防ガラス31をベゼル32等に組み付ける工程で位置合わせに用いられる。
【0046】
また、アンテナ10a,10bの位置合わせのためのアンテナ用目印を、目隠し層61の下側に配置してもよい。
図12は、風防ガラス31の他の一例を示す平面図である。
図12は、裏側から見た風防ガラス31を示す平面図である。
図13は、
図12に示す風防ガラス31のXIII−XIII切断線における断面図である。
図12,13の例では、風防ガラス31の裏側の面には、図示しないインデックス71が設けられており、インデックス71は表側から視認できる目印である。一方、目隠し層61の下側には、平面視でアンテナ10a,10bを囲む形状を有するガイド領域79が印刷されている。このガイド領域79がアンテナ用目印となる。なお、ガイド領域79は、円弧状でなくてもよい。例えば、ガイド領域79は、アンテナ10a,10bの端部の周りのみに付されていてもよい。またアンテナ10a,10bは、ガイド領域79の下側に貼り付けられている。目隠し層61は、切欠き75や孔を有さない円環状の形状を有する。
【0047】
図14A,14Bは、衛星電波腕時計1の製造工程の他の一例を説明する平面図である。
図5A,5Bの例と同じく、はじめに、風防ガラス31を風防ガラス31が固定された位置が特定可能な治具に固定し、風防ガラス31の裏側の面にインデックス71を印刷する(
図5A参照)。次に、インデックス71が印刷された風防ガラス31の裏側の面に目隠し層61を印刷する(
図14A参照)。
【0048】
次に、風防ガラス31が治具に固定された状態で、目隠し層61の上にガイド領域79を印刷する(
図14B参照)。ガイド領域79は、次の工程において、アンテナ10a,10bを貼り付ける位置を示す目印である。インデックス71、目隠し層61およびガイド領域79を印刷する工程のいずれも、同じ治具に固定されている。これにより、インデックス71、目隠し層61およびガイド領域79は、一定の位置関係を有する。ガイド領域79が印刷されたら、治具から風防ガラス31を取り外す。
【0049】
次に、ガイド領域79を位置合わせの目印として利用しつつ、そのガイド領域79の上にアンテナ10a,10bを貼り付ける。
図12に示される風防ガラス31は、本工程が終わった状態のものと同じである。この工程ではアンテナ10a,10bとガイド領域79とは、互いに一定の位置関係を有するように配置される。
【0050】
そして、インデックス71を位置合わせの目印として利用しつつ、ベゼル32に風防ガラス31を組み付ける。これにより、風防ガラス31はベゼル32と所定の位置関係となるように組み付けられる。これにより、目隠し層61を有していても、アンテナ10a,10bと、導電ピン41とを適切に接触させることが可能になる。
【0051】
なお、アンテナ10a,10bを目隠し層61に配置する工程において、アンテナ用目印の代わりに、目隠し層61の印刷の際に風防ガラス31を固定する治具を用いることで位置合わせをしてもよい。例えば治具に目印を付し、風防ガラス31が治具に固定された状態で、その目印に基づいてアンテナ10a,10bを配置してもよい。その治具の目印を位置合わせに用いることで、アンテナ10a,10bと表側から視認できる目印とが所定の位置関係を有する。
【0052】
[第2の実施形態]
胴38にベゼル32を組み付ける前に、ベゼル32に風防ガラス31を組み付ける場合にも本発明を適用できる。以下では主に、この場合についての第2の実施形態について、他の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0053】
図15は、本発明の第2の実施形態にかかる衛星電波腕時計1の外観の一例を示す平面図であり、
図16は、
図15に含まれるベゼル32および風防ガラス31を裏側からみた平面図である。また、
図17は、
図15に示される衛星電波腕時計1のXVII−XVII切断線における断面図である。
【0054】
第2の実施形態にかかる衛星電波腕時計1では、風防ガラス31の裏側に設けられる目隠し層61は円環状であり、回転位置を示す目印となるインデックス71や孔は設けられていない。また、ベゼル32の表側の面のうち特定の回転位置(例えば12時の方向)を示す領域に上部目印76が付されており、さらに胴38の外側の表面のうち、特定の回転位置(例えば上部目印76と同じ方向)を示す領域に、外装目印78が設けられている。また、ベゼル32の裏側の面(外から見えない面)であって、かつ風防ガラス31が組み付けられる開口の外側には、上部目印76と所定の位置関係を有する箇所に下部目印77が付されている。上部目印76および下部目印77は、ベゼル32の回転位置を示し、外装目印78は、胴38の回転位置を示している。
【0055】
また、胴38の内側には、文字板51等を含むムーブメント82が固定されており、そのムーブメント82から導電ピン41が上に向かって延びている。目隠し層61の下側に貼り付けられているアンテナ10a,10bは、導電ピン41と接している。
【0056】
次に、
図15から17に示される衛星電波腕時計1の製造工程について説明する。
図18Aから
図18Dは、衛星電波腕時計1の製造工程の一例を説明する図である。はじめに、ベゼル32の表側に上部目印76とインデックス81とを印刷し(
図18A参照)、さらに、ベゼル32の裏側に下部目印77を付す。この工程において、例えば予めベゼル32を治具に固定すれば、上部目印76と、下部目印77とを、互いに所定の位置関係を有するように配置することができる。
【0057】
次に、風防ガラス31をベゼル32に組み付ける(
図18B参照)。この工程では、風防ガラス31の回転位置を調整する必要はない。そして、ベゼル32に組み付けられた風防ガラス31の裏側の面に目隠し層61を印刷し、また、下部目印77を目印として用いつつアンテナ10a,10bを目隠し層61と重なるように貼り付ける(
図18C参照)。これらの工程により、ベゼル32とアンテナ10a,10b付の風防ガラス31とを含むベゼル組立体が形成される(
図18D参照)。
【0058】
次の工程では、ベゼル32を胴38に組み付ける。この工程においては、ベゼル32に付された上部目印76と、胴38に付された外装目印78とを位置合わせの目印として用いる。風防ガラス31とベゼル32とは所定の位置関係を有するため、上部目印76は風防ガラス31の回転位置も示している。これにより、風防ガラス31とベゼル32とを含むベゼル組立体と胴38とが、所定の位置関係を有する。なお、ベゼル32を胴38に組み付ける工程において、上部目印76の代わりにインデックス81を位置合わせの目印としてもよいし、外装目印78の代わりに胴38に固定された部材(竜頭36など)を位置合わせの目印として用いてもよい。
【0059】
ここで説明した製造方法においても、アンテナ10a,10bの位置と、胴38の位置とが所定の位置関係を有するように組み立てることができ、目隠し層61を有していても、アンテナ10a,10bと、導電ピン41とを適切に接触させることが可能になる。
【0060】
ここで、風防ガラス31をベゼル32に組み付ける前に、風防ガラス31に目隠し層61を付しさらに目隠し層61の上にアンテナ10a,10bを配置してもよい。
図19A,10Bは、衛星電波腕時計1の製造工程の他の一例を説明する図である。
【0061】
この製造工程では、はじめに、風防ガラス31の裏側の面に目隠し層61を印刷し、また、円環でないアンテナ10a,10bを風防ガラス31の周縁に沿いかつ目隠し層61と重なるように貼り付ける(
図19A参照)。この、目隠し層61の印刷やアンテナ10a,10bの貼り付けの工程では、風防ガラス31の回転位置を調整する必要はない。ただし、これらの工程においても、目隠し層61やアンテナ10a,10bの風防ガラス31の外周端からの距離や、アンテナ10aとアンテナ10bとの回転方向の位置関係については調整している。
【0062】
また、上記工程と並行して、上部目印76と、下部目印77とが互いに所定の位置関係を有するように、ベゼル32に上部目印76と下部目印77とを付す。上部目印76はベゼル32の回転位置を示し、下部目印77は上部目印76と所定の位置関係を有する。この工程は
図18Aについて説明されたものと同様である。
【0063】
そして、風防ガラス31をベゼル32に組み付ける(
図19B参照)。この工程においては、アンテナ10a,10bの位置と、ベゼル32に設けられた下部目印77とを位置合わせの目印として利用する。これにより、アンテナ10a,10bと、下部目印77とが所定の位置関係を有するようになる。これらの工程により、ベゼル32とアンテナ10a,10b付の風防ガラス31とを含むベゼル組立体が形成される。このベゼル組立体の形状は、
図18Dに示されるものと同様である。次に、ベゼル32に付された上部目印76と、胴38に付された外装目印78とを位置合わせの目印として用いつつ、ベゼル32を胴38に組み付ける。これにより、ベゼル32が胴38と所定の位置関係となるように組み付けられる。
【0064】
このような製造方法であっても、アンテナ10a,10bと、導電ピン41とを適切に接触させることが可能になる。