特許第6773492号(P6773492)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773492
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】遠心式ファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20201012BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   F04D29/28 J
   F04D29/58 P
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-179047(P2016-179047)
(22)【出願日】2016年9月13日
(65)【公開番号】特開2018-44477(P2018-44477A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】瀧 啓東志
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−106611(JP,A)
【文献】 特開2007−40617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/28
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転円板の周縁側から立設された複数の翼片が回転軸に対して放射状に配置された羽根車と、該羽根車を収容するケーシングと、該ケーシングで前記回転軸の軸方向の前記回転円板側の一端面を形成する基底面に該ケーシングの外側から取り付けられて、前記羽根車を回転させるモーターと、前記ケーシングで前記基底面とは反対側の他端面に開口した吸気口と、前記ケーシングの周面から延設された送風路とを有し、前記モーターの駆動で前記羽根車を回転させることで、前記吸気口から吸い込んだ気体を前記送風路に送る遠心式ファンにおいて、
前記回転円板には、前記複数の翼片よりも中央側の箇所に複数の貫通孔が形成されていると共に、前記羽根車の回転に伴って、該回転円板と前記基底面との間の気体を、前記貫通孔を通して前記羽根車の内側に押し出す還流羽根が設けられており、
前記還流羽根は、前記羽根車の回転方向における後縁側よりも前縁側が前記基底面側に位置するように前記回転円板に対して傾斜していると共に、前記回転円板に対して前記基底面側に突出した状態で設けられている
ことを特徴とする遠心式ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーターの駆動で羽根車を回転させて遠心力で風を送る遠心式ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼装置などに用いられる送風機として、遠心式ファンが知られている(例えば、特許文献1)。遠心式ファンは、回転円板の周縁側から立設された複数の翼片が回転軸に対して放射状に配置された羽根車や、羽根車を収容するケーシングや、回転円板の中央にシャフトが接続されて羽根車を回転させるモーターなどを有している。ケーシングは、羽根車の回転軸に対する半径が羽根車の回転方向に大きくなる形状に周面が形成されており、周面の半径が大きい側から接線方向に送風路が延設されている。また、ケーシングには、回転軸の軸方向における回転円板側の一端面にケーシングの外側からモーターが取り付けられており、回転円板とは反対側の他端面にベルマウス形状の吸気口が開口している。モーターの駆動で羽根車を回転させると、遠心力で羽根車の内側から外側に空気などの気体が吹き出すので、吸気口から気体を吸い込み、送風路に接続された燃焼装置などに送り込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−221192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した遠心式ファンでは、モーターの駆動で羽根車を回転させるのに伴ってモーターが発熱した場合に、ケーシング内の気体の流れではモーターを冷却する効果が不十分であるため、モーターが高温になることがあるという問題があった。
【0005】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題に対応してなされたものであり、ケーシング内の気体の流れによってモーターを冷却することが可能な遠心式ファンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明の遠心式ファンは次の構成を採用した。すなわち、
回転円板の周縁側から立設された複数の翼片が回転軸に対して放射状に配置された羽根車と、該羽根車を収容するケーシングと、該ケーシングで前記回転軸の軸方向の前記回転円板側の一端面を形成する基底面に該ケーシングの外側から取り付けられて、前記羽根車を回転させるモーターと、前記ケーシングで前記基底面とは反対側の他端面に開口した吸気口と、前記ケーシングの周面から延設された送風路とを有し、前記モーターの駆動で前記羽根車を回転させることで、前記吸気口から吸い込んだ気体を前記送風路に送る遠心式ファンにおいて、
前記回転円板には、前記複数の翼片よりも中央側の箇所に複数の貫通孔が形成されていると共に、前記羽根車の回転に伴って、該回転円板と前記基底面との間の気体を、前記貫通孔を通して前記羽根車の内側に押し出す還流羽根が設けられており、
前記還流羽根は、前記羽根車の回転方向における後縁側よりも前縁側が前記基底面側に位置するように前記回転円板に対して傾斜していると共に、前記回転円板に対して前記基底面側に突出した状態で設けられている
ことを特徴とする。
【0007】
遠心式ファンでは、羽根車の回転によって、遠心力で羽根車の内側から外側に気体が吹き出すのに伴い、羽根車の内側は負圧になるのに対して、羽根車とケーシングの周面との間や、回転円板と基底面との間は正圧になる。本発明の遠心式ファンでは、回転円板に貫通孔が形成されているため、回転円板と基底面との間の正圧を貫通孔から羽根車の内側に逃がす気体の流れが生じる。しかも、本発明の回転円板には還流羽根が設けられているので、羽根車の回転に伴って、回転円板と基底面との間の気体を、還流羽根によって積極的に羽根車の内側に送ることができる。その結果、単に回転円板に貫通孔が形成されているだけの場合よりも、回転円板と基底面との間には貫通孔に向かって強い気体の流れが生じるので、基底面に取り付けられたモーターを回転円板と基底面との間の気体の流れによって冷却することが可能となる。
【0009】
そして、本発明の遠心式ファンのように回転円板に対して還流羽根を傾斜させておけば、羽根車の回転に伴って、還流羽根が基底面側から羽根車の内側に気体を押し出すので、回転円板と基底面との間から貫通孔を通って羽根車の内側に向かう気体の流れを起こすことができる。また、こうした還流羽根を回転円板に対して基底面側に突出させておくことにより、還流羽根で基底面側から気体を効率的に取り込んで羽根車の内側に押し出すことができるので、回転円板と基底面との間を通って貫通孔に向かう気体の流れを強くしてモーターの冷却効果を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施例の遠心式ファン10を分解した状態を示した斜視図である。
図2】本実施例の遠心式ファン10を、モーター30のシャフト31を含む平面で切断した断面図である。
図3】本実施例の回転円板21の構造を示した斜視図である。
図4】貫通孔21aおよび還流羽根21bを備えた本実施例の回転円板21の回転によって生じる空気の流れを示した説明図である。
図5】第1変形例の遠心式ファン10が接続された燃焼装置の例として給湯器100の大まかな構成を示した説明図である。
図6】第1変形例の遠心式ファン10をモーター30のシャフト31を含む平面で切断した断面図である。
図7】第2変形例の回転円板21の構造を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施例の遠心式ファン10を分解した状態を示した斜視図である。この遠心式ファン10は、例えば、バーナーを内蔵する給湯器などの燃焼装置(図示省略)に接続されて、バーナーに燃焼用の空気を送るのに用いられる。図示されるように遠心式ファン10は、回転することで風を発生させる羽根車20や、羽根車20を回転させるモーター30や、羽根車を収容するケーシング40などを備えている。
【0012】
羽根車20は、複数の翼片22がモーター30のシャフト31(回転軸)に対して放射状に所定の間隔で配置されて円環形状になっている。これらの翼片22は、回転軸の軸方向の一端(図中の下端)が略円形の回転円板21の周縁側から立設されており、他端(図中の上端)が環状の支持板23で支持されている。回転円板21の中央にはモーター30のシャフト31が固定されており、モーター30の駆動によって羽根車20がシャフト31を中心に回転する。
【0013】
ケーシング40は、モーター30が取り付けられる基底板41と、羽根車20の外周を囲み、シャフト31に対する半径が羽根車20の回転方向(図中に太線の矢印で示される方向)に大きくなる形状に湾曲させた周壁42と、周壁42を挟んで基底板41と対向する被覆板43とを備えている。本実施例の周壁42および被覆板43は一体に形成されており、基底板41と周壁42とを接合してケーシング40が形成される。尚、本実施例の基底板41は、本発明の「基底面」に相当している。
【0014】
被覆板43には、ケーシング40の内側に向かって縮径するベルマウス形状の吸気口44が開口している。この吸気口44の中心は羽根車20の回転軸(シャフト31)と同一直線上にあり、吸気口44の口径は支持板23の内径よりも小さくなっている。また、周壁42の半径が大きい側から接線方向に延設して送風路45が形成されており、送風路45の末端の吐出口46に、図示しない燃焼装置などが接続される。
【0015】
図2は、本実施例の遠心式ファン10を、モーター30のシャフト31を含む平面で切断した断面図である。図示されるように本実施例の基底板41には、モーター30側に窪んだ略円形の凹部41aが形成されており、凹部41aの内径は回転円板21の直径よりも小さくなっている。また、凹部41aには、モーター30のシャフト31を通す略円形の開口部41bが設けられている。モーター30は、シャフト31が突出した側の端面を形成するモータープレート32を基底板41の凹部41aの外側に当接させて、図示しないビスなどで固定される。そして、モーター30が固定された状態では、基底板41の開口部41bがモータープレート32によって塞がれる。
【0016】
前述したようにモーター30のシャフト31は、回転円板21の中央に固定されており、モーター30の駆動によって羽根車20が回転すると、複数の翼片22の間には遠心力によって羽根車20の内側から外側に空気が吹き出す流れが生じる。すると、羽根車20の内側は負圧になるので、ケーシング40の外部から空気が吸気口44を通って羽根車20の内側に吸い込まれる。図中の白抜きの矢印は、羽根車20内の空気の流れを表している。また、羽根車20の外側に吹き出した空気は、ケーシング40の周壁42に沿って進み、送風路45(図1参照)を通って吐出口46に接続された燃焼装置などに送り込まれる。
【0017】
こうした遠心式ファン10では、モーター30の駆動で羽根車20を回転させるのに伴ってモーター30が発熱し、駆動の継続によってモーター30が高温になることがある。上述したように羽根車20の外側に空気が吹き出すのに伴い、羽根車20と周壁42との間の圧力が高まることによって、回転円板21と基底板41との間にも空気が流れ込むものの、従来の遠心式ファン10では、回転円板21と基底板41との間が正圧になるだけで、回転円板21と基底板41との間に空気が定常的に流れるわけではないので、基底板41に接するモーター30をケーシング40内の空気の流れによって冷却する効果は不十分であった。そこで、本実施例の遠心式ファン10では、羽根車20の回転円板21を以下のように構成することで、モーター30を冷却する空気の流れを起こすことが可能となっている。
【0018】
図3は、本実施例の回転円板21の構造を示した斜視図である。図示されるように回転円板21には、翼片22よりも中央側の箇所に複数(図示した例では5つ)の貫通孔21aが形成されており、この貫通孔21aには、羽根車20の回転方向(図中に太線の矢印で示される方向)に向かって羽根車20の内側(図中の上方)から基底板41側(図中の下方)に傾斜した還流羽根21bが設けられている。
【0019】
本実施例の還流羽根21bは、回転円板21からの切り起こしによって形成されている。すなわち、還流羽根21bは、回転円板21の中央側に繋ぎ部分を残して輪郭が回転円板21から切り抜かれると共に、繋ぎ部分に捻り加工が加えられて、羽根車20の回転方向に向かって還流羽根21bの後縁側が回転円板21よりも羽根車20の内側(図中の上方)に突出しており、還流羽根21bの前縁側が回転円板21よりも基底板41側(図中の下方)に突出している。そして、回転円板21から還流羽根21bが切り抜かれた輪郭の内側部分が貫通孔21aを形成している。
【0020】
このような回転円板21をモーター30の駆動で回転させると、還流羽根21bが回転円板21よりも基底板41側(図中の下方)の空気を羽根車20の内側(図中の上方)に押し出すので、図中に白抜きの矢印で示されるように、回転円板21と基底板41との間から貫通孔21aを通って羽根車20の内側に戻る空気の流れを起こすことができる。
【0021】
図4は、貫通孔21aおよび還流羽根21bを備えた本実施例の回転円板21の回転によって生じる空気の流れを示した説明図である。図では、モーター30のシャフト31を含む平面で遠心式ファン10を切断した断面を表しており、ケーシング40の周壁42および被覆板43については図示を省略している。尚、図中の白抜きの矢印は、回転円板21によって生じる空気の流れを表している。
【0022】
前述したように羽根車20の回転によって、複数の翼片22の間で羽根車20の内側から外側に空気が吹き出すのに伴い、羽根車20の内側は負圧になるのに対して、羽根車20と周壁42との間や、回転円板21と基底板41との間は正圧になるところ、本実施例の遠心式ファン10では、回転円板21に貫通孔21aが形成されているため、回転円板21と基底板41との間の正圧を貫通孔21aから羽根車20の内側に逃がす空気の流れが生じる。しかも、本実施例の貫通孔21aには還流羽根21bが設けられているので、羽根車20の回転に伴って、回転円板21と基底板41との間の空気を、還流羽根21bによって積極的に羽根車20の内側に送ることができる。その結果、単に回転円板21に貫通孔21aが形成されているだけの場合に比べて、回転円板21と基底板41との間には貫通孔21aに向かって強い空気の流れが生じるので、基底板41に接するモーター30を回転円板21と基底板41との間の空気の流れによって冷却することが可能となる。
【0023】
特に、図4に示されるように、モーター30の回転を制御する基板33が、基底板41に当接するモータープレート32に近接してモーター30の内部に搭載されている場合には、回転円板21と基底板41との間の空気の流れがモータープレート32を冷却することによって、熱に弱い基板33を効率的に冷却することができるので、熱による基板33の不具合を抑制することが可能となる。
【0024】
また、本実施例の遠心式ファン10では、基底板41に凹部41aが形成されていることにより、還流羽根21bの前縁側を回転円板21よりも基底板41側に突出させても、基底板41やモータープレート32に還流羽根21bが接触しない間隔を確保でき、回転円板21と基底板41との間に強い空気の流れを起こすことが可能となる。
【0025】
上述した本実施例の遠心式ファン10には、次のような変形例も存在する。以下では、上述の実施例とは異なる点を中心に変形例について説明する。尚、変形例の説明では、上述の実施例と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0026】
上述した実施例の遠心式ファン10では、吸気口44から吸い込んだ空気を、送風路45の吐出口46に接続された燃焼装置などに送り込むようになっていた。しかし、吸気口44から吸い込む気体は、空気に限られず、第1変形例の遠心式ファン10では、吸気口44から空気と共に燃料ガスを吸い込むようになっている。
【0027】
図5は、第1変形例の遠心式ファン10が接続された燃焼装置の例として給湯器100の大まかな構成を示した説明図である。図示されるように給湯器100のハウジング101の内部には、燃料ガスと燃焼用の空気との混合ガスを燃焼させるバーナー(図示省略)を内蔵した燃焼ユニット102や、燃焼ユニット102の下方に設置された熱交換器103や、燃焼ユニット102に混合ガスを送る遠心式ファン10などが設けられている。
【0028】
遠心式ファン10には、供給ダクト110が接続されており、この供給ダクト110の上流側では、燃焼用の空気を供給する空気供給路111と、燃料ガスを供給するガス供給路112とが合流している。遠心式ファン10は、供給ダクト110から吸い込んだ空気と燃料ガスとを予め混合し、混合ガスを燃焼ユニット102に送り込む。
【0029】
燃焼ユニット102では、内蔵のバーナーで混合ガスの燃焼が行われる。図示した例では、遠心式ファン10によって圧送された混合ガスがバーナーから下方に向けて噴出するようになっており、炎が下向きに形成されると共に、燃焼排気が下方の熱交換器103に送られる。熱交換器103の一端には給水通路104が接続されており、熱交換器103の他端には給湯通路105が接続されている。給水通路104を通じて供給された上水は、熱交換器103で燃焼排気との熱交換によって加熱され、湯となって給湯通路105に流出する。
【0030】
熱交換器103を通過した燃焼排気は、排気ダクト106を通って、ハウジング101の上部に突出した排気口107から外部に排出される。また、排気口107の外周に給気口108が設けられた二重管構造になっており、給気口108からハウジング101内に取り入れられた空気が、空気供給路111を通じて遠心式ファン10に吸い込まれる。
【0031】
図6は、第1変形例の遠心式ファン10をモーター30のシャフト31を含む平面で切断した断面図である。尚、図6では、遠心式ファン10の上下の配置が図5に対して反転している。図示されるように、第1変形例の遠心式ファン10では、前述した実施例の遠心式ファン10と比べると(図2参照)、供給ダクト110が被覆板43の外側から吸気口44に接続されている。供給ダクト110と被覆板43とは、間にパッキン120を介在させることで気密性が保たれている。また、第1変形例のケーシング40は、基底板41と周壁42とが気密に接合されている。さらに、基底板41の凹部41aとモータープレート32とは、間にパッキン50を介在させることで気密性が保たれている。
【0032】
このように混合ガスが漏れないように気密性が確保されたケーシング40では、羽根車20の回転によって供給ダクト110から吸い込まれた燃料ガスおよび空気が羽根車20の内側から外側に吹き出すと、気密性が確保されていないケーシング40に比べて、羽根車20と周壁42との間や、回転円板21と基底板41との間で正圧が高まる傾向にある。ただし、モーター30については、回転するシャフト31の周りの気密性を確保することが困難であるため、回転円板21に貫通孔21aや還流羽根21bを備えていない従来の遠心式ファン10では、回転円板21と基底板41との間の混合ガスがシャフト31に沿って僅かながら漏れるおそれがあった。
【0033】
これに対して、第1変形例の遠心式ファン10では、前述した実施例と同様に、回転円板21に貫通孔21aおよび還流羽根21bを備えることにより、羽根車20の回転に伴って、回転円板21と基底板41との間の混合ガスを羽根車20の内側に送って正圧を逃がすことができるので、シャフト31に沿った混合ガスの漏れを防ぐことが可能となる。それだけでなく、還流羽根21bが混合ガスを羽根車20の内側に積極的に押し出すのに伴い、還流羽根21bの基底板41側(モーター30側)が負圧になると、モーター30の外側(図中の下方)からシャフト31に沿ってケーシング40の内側に空気が吸い込まれる流れが生じることにより、モーター30の冷却効果を更に高めることができる。
【0034】
図7は、第2変形例の回転円板21の構造を示した説明図である。まず、図7(a)には、第2変形例の回転円板21が斜視図で示されている。第2変形例の回転円板21にも、前述した実施例と同様に、翼片22よりも中央側の箇所に複数(図示した例では6つ)の貫通孔21aが形成されており、貫通孔21aには、還流羽根21bが設けられている。
【0035】
ただし、前述した実施例の還流羽根21bでは、回転円板21の中央側に繋ぎ部分が残されていたのに対して(図3参照)、第2変形例の還流羽根21bでは、羽根車20の回転方向に向かって後縁側に回転円板21との繋ぎ部分が残されている。そして、この繋ぎ部分に曲げ加工が加えられて、還流羽根21bが基底板41側(図中の下方)に折り曲げられている。
【0036】
図7(b)には、図7(a)のP−Pの位置で回転円板21を切断した断面が示されている。図示されるように第2変形例の還流羽根21bは、回転方向に向かって後縁側が回転円板21よりも羽根車20の内側(図中の上方)に突出することなく、前縁側が回転円板21よりも基底板41側(図中の下方)に突出している。
【0037】
このような第2変形例の回転円板21では、前述した実施例の回転円板21と比較して、還流羽根21bの面積や傾斜角度が同じであれば、還流羽根21bで基底板41側から空気を取り込んで羽根車20の内側に押し出し易くなるので、回転円板21と基底板41との間の空気の流れを更に強くしてモーター30の冷却効果を高めることが可能となる。
【0038】
以上、本実施例および変形例の遠心式ファン10について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0039】
例えば、前述した実施例および変形例では、還流羽根21bを回転円板21からの切り起こしによって形成していたが、これに限らず、回転円板21とは別に還流羽根21bを形成して、回転円板21の貫通孔21aに設置してもよい。ただし、前述した実施例のように還流羽根21bを回転円板21と一体に形成すれば、部品点数を減らして遠心式ファン10の組み立てを簡易化することができる。
【符号の説明】
【0040】
10…遠心式ファン、 20…羽根車、 21…回転円板、
21a…貫通孔、 21b…還流羽根、 22…翼片、
23…支持板、 30…モーター、 31…シャフト、
32…モータープレート、 33…基板、 40…ケーシング、
41…基底板、 41a…凹部、 41b…開口部、
42…周壁、 43…被覆板、 44…吸気口、
45…送風路、 46…吐出口、 50…パッキン、
100…給湯器、 101…ハウジング、 102…燃焼ユニット、
103…熱交換器、 104…給水通路、 105…給湯通路、
106…排気ダクト、 107…排気口、 108…給気口、
110…供給ダクト、 111…空気供給路、 112…ガス供給路、
120…パッキン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7