特許第6773525号(P6773525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773525
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】シーソースイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 23/04 20060101AFI20201012BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   H01H23/04 A
   H01H9/02 L
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-219166(P2016-219166)
(22)【出願日】2016年11月9日
(65)【公開番号】特開2018-78026(P2018-78026A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 育男
(72)【発明者】
【氏名】土佐 浩平
(72)【発明者】
【氏名】小野 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 勝久
(72)【発明者】
【氏名】清水 規文
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−26839(JP,U)
【文献】 特開2003−22731(JP,A)
【文献】 特開2008−41615(JP,A)
【文献】 実開昭57−58230(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 23/00−23/30
H01H 9/00− 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点(41)を保持し支持体(10)に結合可能なスイッチケース(20)と、可動接点(42)を保持し前記スイッチケース(20)に揺動可能に軸支される操作ノブ(30)とを備え、前記スイッチケース(20)が、前記操作ノブ(30)を挟んで相対向する一対の側壁部(21,22)と、該一対の側壁部(21,22)の基部(21c,22c)間を結合する連結壁部(23)とを有するシーソースイッチ装置において、
前記一対の側壁部(21,22)の先部(21d,22d)の相対向面に、互いに同一軸線上に並ぶ一対の軸部(21j,22j)がそれぞれ突設されると共に、その一対の軸部(21j,22j)を回転可能に嵌挿させる軸受孔(32h)が前記操作ノブ(30)に貫通、形成され、少なくとも一方の前記側壁部(21,22)の外側面には、前記支持体(10)に圧接して前記スイッチケース(20)のガタを防止するための突起(21t,22t)が設けられ、前記一対の軸部(21j,22j)の先端に両端をそれぞれ当接させる支持ピン(25)が、前記軸受孔(32h)に嵌合されることを特徴とする、シーソースイッチ装置。
【請求項2】
固定接点(41)を保持し支持体(10)に結合可能なスイッチケース(20)と、可動接点(42)を保持し前記スイッチケース(20)に揺動可能に軸支される操作ノブ(30)とを備え、前記スイッチケース(20)が、前記操作ノブ(30)を挟んで相対向する一対の側壁部(21,22)と、該一対の側壁部(21,22)の基部(21c,22c)間を結合する連結壁部(23)とを有するシーソースイッチ装置において、
前記一対の側壁部(21,22)の先部(21d,22d)の相対向面に、互いに同一軸線上に並ぶ一対の軸部(21j,22j)がそれぞれ突設されると共に、その一対の軸部(21j,22j)を回転可能に嵌挿させる軸受孔(32h)が前記操作ノブ(30)に貫通、形成され、少なくとも一方の前記側壁部(21,22)の外側面には、前記支持体(10)に圧接して前記スイッチケース(20)のガタを防止するための突起(21t,22t)が設けられ、前記一対の軸部(21j,22j)は、該一対の軸部(21j,22j)の相対向する先端相互が直接当接する長さに形成されることを特徴とする、シーソースイッチ装置。
【請求項3】
前記スイッチケース(20)は、何れか一方の前記側壁部(21)、及び該一方の側壁部(21)の基部(21c)に一体に連なる前記連結壁部(23)を少なくとも有する第1ケース要素(20A)と、何れか他方の前記側壁部(22)を少なくとも有する第2ケース要素(20B)とより分割構成されると共に、前記他方の側壁部(22)の基部(22c)が前記連結壁部(23)に係止又はネジ止めされることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシーソースイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置、特に固定接点を保持し支持体に結合可能なスイッチケースと、可動接点を保持しスイッチケースに揺動可能に軸支される操作ノブとを備えており、スイッチケースが、操作ノブを挟んで相対向する一対の側壁部と、その一対の側壁部の基部間を結合する連結壁部とを有するシーソースイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記シーソースイッチ装置としては、例えば、下記特許文献1に示すものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−41615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来装置のスイッチケースにおいて、一対の側壁部の先部外側面には、支持体側の位置決め溝(10)に係合する位置決め突起(8)が突設されていたが、この突起は、支持体に対するスイッチケースの単なる位置決めのためのものであって、ガタ止めのためのものではなかった。
【0005】
ところで従来装置を、例えば支持体に高振動が作用する環境下で使用した場合には、スイッチケース(特に支持体に対する被締結部から離間していて弾性変形を起こし易い部位、例えば上記側壁部の先部)が高振動によりガタつき易くなって、スイッチの誤作動等を起こす虞れがある。そこで此の問題を回避するために、例えば上記突起の相手面(上記溝の内面)にガタ止めリブを特設する等して突起(従ってスイッチケース)を支持体に強く圧接固定することが考えられるが、その場合には、次のような別の問題が生じる。
【0006】
即ち、従来装置のスイッチケースにおいて、特に一対の側壁部は、スイッチケース自体の軽量小型化や組付性等に配慮して、それら側壁部の基部相互が相互に片持ち状に結合されていて、側壁部の先部側は自由端(即ち先部相互間は非結合状態)とされている。そのため、斯かる従来構造において、スイッチケースのガタ止めのために、例えば上記突起を支持体に強く圧接させた場合には、その圧接反力で側壁部が弾性変形して操作ノブ側に強く押し付けられ、これが操作ノブのスムーズな揺動の妨げとなるばかりか、操作ノブが押込操作位置に固着してスタックする(即ち操作ノブの解放操作後もスイッチの作動状態が切換わらず固まってしまう)等の問題が発生する虞れがある。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、支持体の高振動環境下で使用される場合でも、上記した問題を簡単な構造で一挙に解決することができるシーソースイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、固定接点を保持し支持体に結合可能なスイッチケースと、可動接点を保持し前記スイッチケースに揺動可能に軸支される操作ノブとを備え、前記スイッチケースが、前記操作ノブを挟んで相対向する一対の側壁部と、該一対の側壁部の基部間を結合する連結壁部とを有するシーソースイッチ装置において、前記一対の側壁部の先部の相対向面に、互いに同一軸線上に並ぶ一対の軸部がそれぞれ突設されると共に、その一対の軸部を回転可能に嵌挿させる軸受孔が前記操作ノブに貫通、形成され、少なくとも一方の前記側壁部の外側面には、前記支持体に圧接して前記スイッチケースのガタを防止するための突起が設けられ、前記一対の軸部の先端に両端をそれぞれ当接させる支持ピンが、前記軸受孔に嵌合されることを第1の特徴とする。
【0009】
また上記目的を達成するために本発明は、固定接点を保持し支持体に結合可能なスイッチケースと、可動接点を保持し前記スイッチケースに揺動可能に軸支される操作ノブとを備え、前記スイッチケースが、前記操作ノブを挟んで相対向する一対の側壁部と、該一対の側壁部の基部間を結合する連結壁部とを有するシーソースイッチ装置において、前記一対の側壁部の先部の相対向面に、互いに同一軸線上に並ぶ一対の軸部がそれぞれ突設されると共に、その一対の軸部を回転可能に嵌挿させる軸受孔が前記操作ノブに貫通、形成され、少なくとも一方の前記側壁部の外側面には、前記支持体に圧接して前記スイッチケースのガタを防止するための突起が設けられ、前記一対の軸部は、該一対の軸部の相対向する先端相互が直接当接する長さに形成されることを第2の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記スイッチケースは、何れか一方の前記側壁部、及び該何れか一方の側壁部の基部に一体に連なる前記連結壁部を少なくとも有する第1ケース要素と、何れか他方の前記側壁部を少なくとも有する第2ケース要素とより分割構成されると共に、前記他方の側壁部の基部が前記連結壁部に係止又はネジ止めされることを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、スイッチケースにおける一対の側壁部の先部の相対向面に、互いに同一軸線上に並ぶ一対の軸部がそれぞれ突設され、それら軸部を回転可能に嵌挿させる軸受孔が操作ノブに貫通、形成されるシーソースイッチ装置において、少なくとも一方の側壁部の外側面には、支持体に圧接してスイッチケースのガタを防止するための突起が設けられるので、シーソースイッチ装置がたとえ支持体の高振動環境下で使用された場合でも、スイッチケースが高振動でガタついてスイッチの誤作動等の問題を起こすのを効果的に防止可能となる。
【0012】
また上記のようにガタ防止用の突起を支持体に圧接させると、従来構造では圧接反力でスイッチケースの側壁部が弾性変形して操作ノブ側に押し付けられる虞れがある。これに対し、本発明の第1の特徴によれば、一対の軸部の先端に両端をそれぞれ当接させる支持ピンが、操作ノブの軸受孔に嵌合されるので、側壁部が操作ノブ側に押し付けられるのを、軸部間に挟まれる支持ピンにより確実に規制可能となり、また第2の特徴によれば、一対の軸部は、その両軸部の相対向する先端相互が直接当接する長さに形成されるので、側壁部が操作ノブ側に押し付けられるのを、軸部相互の当接により確実に規制可能となる。その結果、上記押し付けに起因して操作ノブのスムーズな揺動が妨げられたり或いはスイッチがスタックする等の不具合の発生を未然に確実に防止できるため、シーソースイッチ装置の信頼性向上に大いに寄与することができる。
【0013】
また特に第1の特徴によれば、一対の軸部間の距離が異なる他機種のスイッチ装置にも、その距離に相当する支持ピンを選定使用するだけで、容易且つ低コストで対応可能となる。また特に第2の特徴によれば、少なくとも一方の軸部を従来構造と比べ長く形成するだけで済み、上記支持ピン等の別部品を特別に用いる必要はないため、低コストで対応可能となるばかりか、組付作業性も更に良好となる。
【0014】
また特に第3の特徴によれば、スイッチケースを、第1,第2ケース要素より成る単純な二つ割りケース構造とした上で、その両ケース要素の結合作業も容易化できるため、スイッチケース、延いてはシーソースイッチ装置の小型軽量化や、組付作業性の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係るシーソースイッチ装置のハンドルカバーへの取付状態を示す縦断面図
図2図1の2−2線拡大断面図(図3の2−2線縮小断面図)
図3図2の3−3線断面図
図4図2の4−4線拡大断面図
図5】前記シーソースイッチ装置の分解斜視図
図6】本発明の第2実施形態に係るシーソースイッチ装置の要部断面図(図2対応図)
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態を、添付図面に示す本発明の好適な実施形態に基づいて以下に説明する。
【0017】
先ず、図1において、自動二輪車の操向ハンドルに設けられるハンドルカバー10には、前照灯のロー・ハイ切換え用スイッチとして機能するシーソースイッチ装置SWが設けられる。シーソースイッチ装置SWは、本発明のシーソースイッチ装置を構成し、またハンドルカバー10は、本発明の支持体を構成する。
【0018】
シーソースイッチ装置SWは、ハンドルカバー10に結合可能な合成樹脂製のスイッチケース20と、このスイッチケース20に中間部が揺動可能に軸支される同じく合成樹脂製の操作ノブ30とを備える。スイッチケース20には、後述するように複数の固定接点41が係止、保持される。
【0019】
またシーソースイッチ装置SWの大部分はハンドルカバー10内に配置される。そして、ハンドルカバー10には、操作ノブ30の表面側(後述するノブアウタ31の表面部)を外部に臨ませるスイッチ用開口部Oが形成される。
【0020】
ハンドルカバー10は、例えば操向ハンドル(図示せず)のグリップ近傍に装着、固定される。ハンドルカバー10の裏面には、スイッチケース20を相互間に挟む位置に一対の支持ボス部11,12が一体に形成される。そして、一対の支持ボス部11,12には、スイッチケース20に一体に突設した一対の支持腕部26,27が、例えば支持腕部26,27を通して支持ボス部11,12に螺挿されるボルト28を以て、それぞれ着脱可能に固定される。
【0021】
操作ノブ30は、操作面を表面に有するノブアウタ31と、そのノブアウタ31の裏面に突設されるノブインナ32とを備える。操作面には、シーソースイッチ装置SWによる操作対象に対応した表示(例えば絵文字、言葉等)が付記される。またノブインナ32の一側面には、前記した固定接点41と協働して切換スイッチ機能を果たす複数の可動接点42が保持される。各可動接点42は、本実施形態ではノブインナ32の側部に摺動可能に嵌合支持され、接点バネ43で固定接点41側に付勢される。
【0022】
尚、ノブアウタ31及びノブインナ32は、本実施形態では互いに一体に形成しているが、両者を別部品として製作して、相互間を後付けで結合してもよい。
【0023】
スイッチケース20は、ノブインナ32を挟んで相対向する第1,第2側壁部21,22と、その両側壁部21,22の基部21c,22c間を結合する連結壁部23とを備えていて、横断面コ字状に形成される。本実施形態の連結壁部23は、相互に離間した複数の連結壁部分23a,23bで構成され、それら連結壁部分23a,23bに、前記した一対の支持腕部26,27がそれぞれ一体に突設される。尚、連結壁部分23a,23b相互を一体に結合してもよい。
【0024】
また何れか一方の側壁部(本実施形態では第2側壁部)22の、操作ノブ30(ノブインナ31)と対向する内側面には複数の固定接点41が係止、保持される。
【0025】
また本実施形態のスイッチケース20は、第1側壁部21、及び第1側壁部21の基部21cに一体に連なる連結壁部23を少なくとも有する第1ケース要素20Aと、第2側壁部22を少なくとも有する第2ケース要素20Bとより分割構成される。そして、第2側壁部22の基部22cが連結壁部23に係脱可能に係止される。その係止構造は、例えば連結壁部23の複数の連結壁部分23a,23bにそれぞれ形成した係止孔h1,h2と、第2側壁部22の基部22cに形成されて係止孔h1,h2にそれぞれ係止可能な係止爪t1,t2とで構成される。
【0026】
尚、第2側壁部22と連結壁部23との係止構造としては、例えば上記構造に代えて、連結壁部分23a,23bに係止爪を、また第2側壁部22の基部22cに係止孔をそれぞれ設けてもよい。
【0027】
尚また、上記のように第2側壁部22の基部を連結壁部23に係止させる構造に代えて、第2側壁部22の基部を連結壁部23に対し、図示しないボルト・ナットで着脱可能に結合してもよい。
【0028】
ハンドルカバー10には、スイッチ用開口部Oの両側において一対の隆起部が一体に形成され、それら隆起部には、開口部Oの側およびハンドルカバー10の裏側に開放した切欠き溝状の支持凹部13,14が各々設けられる。一方、第1,第2側壁部21,22の先部21d,22dの外側面には、一対の支持凹部13,14の内側面に圧入、嵌合してスイッチケース20のガタを防止するための突起21t,22tが一体に設けられる。
【0029】
各々の支持凹部13,14の一方の内側面には、対応する突起21t,22tに圧接し得る複数条のガタ止め用リブ13r,14rがそれぞれ一体に突設される。それらリブ13r,14rは、突起21t,22tの支持凹部13,14への圧入方向に沿うようにして互いに平行に延びている。
【0030】
而して、スイッチケース20の支持腕部26,27をハンドルカバー10の支持ボス部11,12にボルト28止めする際に、ハンドルカバー10の裏側から一対の突起21t,22tを一対の支持凹部13,14にそれぞれ圧入、嵌合させるが、このとき、支持凹部13,14の三方を向く内側面に突起21t,22tが圧接される。従って、その圧接効果により、第1,第2側壁部21,22の先部21d,22dの振動ガタが効果的に抑制される。
【0031】
尚、上記振動ガタの抑制効果は、第1,第2側壁部21,22のうちの一方21(又は22)にだけガタ防止用突起21t(又は22t)を設けた場合でも或る程度は達成可能である。
【0032】
一対の側壁部21,22の先部21d,22dの相対向面には、互いに同一軸線上に並ぶ一対の軸部21j,22jがそれぞれ突設される。その両軸部21j,22jを回転自在に嵌挿させる軸受孔32hがノブインナ32に貫通、形成される。
【0033】
そして、軸受孔32hには、一対の軸部21j,22jの先端に両端をそれぞれ当接させる(即ち一対の軸部21j,22jの相対向面間に挟持される)円柱状の支持ピン25が摺動可能に嵌合される。支持ピン25は、剛体であって、例えば金属材、合成樹脂材等より構成される。また支持ピン25を中空ピンで構成してもよい。
【0034】
操作ノブ30は、図1図3に示す第1操作位置(ロービーム位置)と、第1操作位置にある操作ノブ30の操作面奥側(即ち図1で左上側)を押下げる第2操作位置(ハイビーム位置)と、第1操作位置にある操作ノブ30の操作面手前側(即ち図1で右下側)を押下げる第3操作位置(パッシング位置)とをとり得るように、スイッチケース30に軸部21j,22j及び軸受孔32hを介して揺動可能に支持される。
【0035】
また操作ノブ30は、これとスイッチケース20(第1側壁部21)との間に介装した捩じりコイルばねよりなる戻しばね33により、第1操作位置側(即ち図1で反時計方向)に常時付勢される。
【0036】
そして、操作ノブ30とスイッチケース20との間には、操作ノブ30を上記第1,第2操作位置に選択的に保持し得る保持機構50が介装される。
【0037】
保持機構50は、例えばノブインナ32の支持孔に摺動可能に嵌合したボール51と、ボール51が転動し得るように第1側壁部21の内側面に設けたガイド面52と、ボール51をガイド面52に弾発付勢するバネ53とを備えたクリックボール機構で構成される。ガイド面52には、操作ノブ30の第1,第2操作位置でボール51がそれぞれ係合する第1,第2係合凹部52a,52bが、操作ノブ30の揺動方向に互いに隣接して設けられる。さらにガイド面52には、第1係合凹部52aの、第2係合凹部52bとは反対側に隣接した位置において、第1係合凹部52aから離れるに従って徐々に立ち上がる傾斜面52cが設けられる。
【0038】
そして、操作ノブ30を第1操作位置に操作すれば、ボール51が第1係合凹部52aの底部に係合することで操作ノブ30が第1操作位置に保持される。また第1操作位置の操作ノブ30を第2操作位置側に操作すれば、ボール51が第1係合凹部52aから第2係合凹部52bに移動、係合することで操作ノブ30が第2操作位置に保持される。また第1操作位置の操作ノブ30を戻しばね33の弾発力に抗して第3操作位置に操作すれば、ボール51が傾斜面52cを昇るように転動するため、その操作状態から操作ノブ30を解放するか操作力を弱めれば、操作ノブ30は、戻しばね33の弾発力で第1操作位置に自動復帰する。
【0039】
前記複数の固定接点41は、図示しない前照灯の点灯回路に接続される。そして、各複数の固定接点41及び可動接点42は、操作ノブ30が第1操作位置にあるときにロービームが点灯し、また第2操作位置にあるときにハイビームが点灯し、第3操作位置にあるときにロー・ハイビームが同時点灯するように各接点形状及び配置が設定される。尚、第3操作位置でハイビームのみ点灯するように設定してもよい。
【0040】
次に、前記第1実施形態の作用を説明する。
【0041】
シーソースイッチ装置SWの組立は、操作ノブ30のノブインナ31に保持機構50のボール51及びバネ53、並びに可動接点42及び接点バネ43をそれぞれ組付け、更に軸受孔32hに支持ピン25を嵌合させることにより、操作ノブ30の仮組み状態が得られる。
【0042】
この仮組み状態の操作ノブ30を、スイッチケース30の第1,第2側壁部21,22間に挟むと共に軸部21j,22jを軸受孔32hに嵌挿させ、更にスイッチケース20の連結壁部23の係止孔h1,h2に第2側壁部22の係止爪t1,t2を係止させるようにして、第1,第2ケース要素30A,30B相互を係止、一体化する。これにより、スイッチケース30の内部に操作ノブ30を収容、軸支しつつスイッチケース30の組立、従ってシーソースイッチ装置SWの組立が完了する。
【0043】
次に、組立てたシーソースイッチ装置SWをハンドルカバー10に固定する。その固定は、ハンドルカバー10の支持ボス部11,12にスイッチケース20の支持腕部26,27をそれぞれボルト28で締結することで行われ、それと共に第1,第2側壁部21,22外側面のガタ防止用の突起21t,22tをハンドルカバー10に圧接(より具体的には支持凹部13,14に圧入嵌合)させる。
【0044】
このように第1,第2側壁部21,22の突起21t,22tをハンドルカバー10に圧接させることで、ハンドルカバー10(従ってシーソースイッチ装置SW)が走行振動やエンジン振動等の影響下に置かれた場合でも、スイッチケース20がガタついてスイッチ誤作動等を起こすのを効果的に防止可能である。即ち、上記ボルト28の締結によるスイッチケース30のハンドルカバー10への固定だけでは、その固定部位から離間した部位でのスイッチケース30の振動を確実には抑止できない虞れがあるが、上記したように第1,第2側壁部21,22の先部21d,22d(即ち自由端部)に位置するガタ防止用突起21t,22tをハンドルカバー10に圧接させることで、そのような振動をより効果的に抑止可能となる。
【0045】
ところでガタ防止用の突起21t,22tをハンドルカバー10(より具体的には支持凹部13,14)に圧接させると、従来構造では圧接反力で第1,第2側壁部21,22が弾性変形して操作ノブ30側に強く押し付けられる虞れがある。これに対し、本実施形態では、操作ノブ30(ノブインナ32)に貫通、形成されて第1,第2側壁部21,22の軸部21j,22jを回転自在に嵌挿させる軸受孔32hに、一対の軸部21j,22jの先端に両端をそれぞれ当接させる円柱状の支持ピン25が嵌合されている。
【0046】
これにより、第1,第2側壁部21,22が上記の如く弾性変形して操作ノブ30側に強く押し付けられるのを、軸部21j,22j間の支持ピン25の突っ張り作用で確実に規制可能となるから、上記押し付けに起因して操作ノブのスムーズな揺動が妨げられたり或いはスイッチがスタックする等の不具合の発生を未然に確実に防止可能となり、シーソースイッチ装置SWの信頼性が向上する。しかも本実施形態では、一対の軸部21j,22j間の距離が異なる他機種のシーソースイッチ装置であっても、当該距離に相当する支持ピン25の選定により容易且つ低コストで対応可能となる。
【0047】
さらに本実施形態のスイッチケース20は、第1側壁部21、及び第1側壁部21の基部に一体に連なる連結壁部23を少なくとも有する第1ケース要素20Aと、第2側壁部22を少なくとも有する第2ケース要素20Bとより分割構成されると共に、第2側壁部22の基部が連結壁部23に係脱可能に係止される。そのため、スイッチケース20を、第1,第2ケース要素20A,20Bより成る単純な二つ割りケース構造とした上で、その両ケース要素20A,20Bの結合作業や分解作業も容易化でき、これにより、スイッチケース20、延いてはシーソースイッチ装置SWの小型軽量化や、組付作業性及びメンテナンス作業性の向上が図られる。
【0048】
次に本発明の第2実施形態を、図6を参照して説明する。ガタ防止用の突起21t,22tがハンドルカバー10から受ける圧接反力で第1,第2側壁部21,22が弾性変形して操作ノブ30側に強く押し付けられるのを防止するために、第1実施形態では第1,第2側壁部21,22の一対の軸部21j,22jの先端間に剛体の支持ピン25を挟むのに対して、第2実施形態では、一対の軸部21j,22jが、一対の軸部21j,22jの相対向する先端相互が直接当接する長さに形成される。これにより、第1実施形態の支持ピン25は第2実施形態では省略される。
【0049】
第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と基本的に同じであるため、各構成部材には、第1実施形態の対応する構成部材と参照符号と同じにして、具体的な構造説明を省略する。
【0050】
第2実施形態によれば、第1,第2側壁部21,22の一対の軸部21j,22jの相対向する先端相互が、軸受孔32h内で直接当接するため、第1,第2側壁部21,22が操作ノブ30側に強く押し付けられるのを、軸部21j,22j相互の直接的な当接により確実に規制可能となる。しかも第1,第2側壁部21,22の一対の軸部21j,22jの少なくとも一方の軸部(本実施形態では両軸部21j,22j)を従来構造(第1実施形態参照)と比べ長めに形成するだけで済み、第1実施形態のように支持ピン25等の別部品を特別に用いる必要はないため、低コストで対応可能となるばかりか、組付作業性も更に良好となる。
【0051】
尚、第2実施形態では、軸部21j,22jを同長としたものを例示したが、軸部21j,22jは、少なくとも先端相互が軸受孔32h内で直接当接する長さに設定されればよく、その設定長さは任意である。例えば、一方の軸部21j(又は22j)の長さは第1実施形態と同様に短くし、他方の軸部22j(又は21j)の長さだけを第1実施形態より十分長くするようなことも可能である。
【0052】
而して、第2実施形態によれば、第1実施形態の上記した作用効果と同等の作用効果を達成可能である。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0054】
例えば、前記実施形態では、シーソースイッチ装置SWが、自動二輪車の操向ハンドル(より具体的にはハンドルカバー10)に取付けられる、前照灯のロー・ハイ切換え用スイッチとして例示されるが、本発明のシーソースイッチ装置は、ロー・ハイ切換用スイッチ以外の種々の切換スイッチ(例えば、スタータスイッチ等)にも適用可能であり、また自動二輪車の操向ハンドル以外の部位に取付けてもよい。
【0055】
また本発明のシーソースイッチ装置は、自動二輪車以外の車両(例えば四輪自動車)や、車両以外の種々の機械装置にも適用可能である。
【0056】
また前記実施形態では、シーソースイッチ装置SWの操作ノブ30の第1・第2操作位置が保持機構50により保持され、第3操作位置は保持されずに第1操作位置側に自動復帰し得るスイッチ構造を示したが、本発明は、実施形態のスイッチ構造に限定されず、種々のシーソースイッチ装置に適用可能である。例えば、操作ノブが何れの操作位置でも保持されるスイッチ構造にも適用可能であり、或いは操作ノブを第1,第2操作位置の何れに操作しても、手を離せば中間操作位置(中立位置)に自動復帰するスイッチ構造にも適用可能である。
【0057】
またスイッチケース20に設けられるガタ防止用の突起21t,22tの形状、並びに突起21t,22tを圧接させるハンドルカバー10側の被圧接部(より具体的には支持凹部13,14)の形状は、前記実施形態の形状に限定されない。即ち、少なくとも上記圧接によりスイッチケース20の振動ガタを抑止可能であり且つその圧接反力で第1,第2側壁部21,22が操作ノブ30側に押し付けられる不具合(即ち本発明の技術的課題)発生の可能性がある構造であれば、その範囲で種々の設計変更が可能である。
【0058】
また前記実施形態では、連結壁部23を第1側壁部21と一体に連ねて、二つ割りのスイッチケース20の第1ケース要素20Aとしたものを示したが、本発明では、連結壁部23を第2側壁部22と一体に連ねて、第2ケース要素20Bの一部としてもよい。或いは、第1,第2側壁部21,22及び連結壁部23を互いに独立した部品として(即ちスイッチケース20を3つ割り構造として)、その相互間を係止又はボルト止めするようにしてもよく、或いはまた、第1,第2側壁部21,22及び連結壁部23を互いに一体に形成してもよい。
【符号の説明】
【0059】
SW・・・・・・・シーソースイッチ装置
10・・・・・・・ハンドルカバー(支持体)
13,14・・・・支持凹部
20・・・・・・・スイッチケース
20A,20B・・第1,第2ケース要素
21,22・・・・第1,第2側壁部(側壁部)
21d,22d・・側壁部の先部
21c,22c・・側壁部の基部
21j,22j・・軸部
21t,22t・・突起
23・・・・・・・連結壁部
25・・・・・・・支持ピン
30・・・・・・・操作ノブ
32h・・・・・・軸受孔
41・・・・・・・固定接点
42・・・・・・・可動接点
図1
図2
図3
図4
図5
図6