(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
予め用意された基準位置と、取得された前記車載器位置情報に示される位置との差に基づいて、前記位置特定用アンテナによる前記電波の受信結果に基づく前記車載器の位置の特定に用いる係数を校正する係数校正部を更に備える
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の料金収受システム。
電波の発信元である車載器の位置を特定するための位置特定用アンテナが設置され、路面からの高さが、普通自動車における路面からボンネットまでの高さ以上である物体の存在を検知したタイミングで車両検知信号を出力する車両検知器と、前記車両検知信号を受信したタイミングで、車線に設置された料金収受用アンテナを通じて、前記車載器との間で料金収受用の無線通信を行う料金収受処理部と、を備える料金収受システムにおける前記位置特定用アンテナの健全性を評価する評価装置のコンピュータを、
前記料金収受用の無線通信の際に前記車載器から発信される電波の、前記位置特定用アンテナによる受信結果に基づいて特定された当該車載器の位置を示す車載器位置情報を取得する車載器位置情報取得部、
取得された前記車載器位置情報に基づいて、前記位置特定用アンテナの健全性を評価する評価部、
として機能させるプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る料金収受システムについて、
図1〜
図10を参照しながら説明する。
【0018】
(全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
第1の実施形態に係る料金収受システム1は、車線に設置された路側アンテナ(後述する料金収受用アンテナ20)と、当該車線を走行する車両との間で料金収受用の無線通信を行い、車両を停止させることなく電子決済(料金収受処理)を完了する電子式料金収受システムである。
第1の実施形態に係る料金収受システム1は、例えば、
図1に示すような高速道路等の有料道路における出口料金所に設けられる。
図1に示すように、料金収受システム1には、アイランドIで仕切られた複数の車線Lが隣接して敷設されている。この出口料金所を通過しようとする車両Aは、各車線Lのいずれかを走行する。
なお、以下の説明においては、第1の実施形態に係る料金収受システム1は、有料道路の出口料金所に設けられているものとしているが、他の実施形態においては、料金収受システム1は、有料道路の入口料金所に設けられる態様であってもよい。
【0019】
図1に示すように、料金収受システム1は、車両検知器10と、料金収受用アンテナ20と、車線サーバ21と、位置特定用アンテナ22A、22Bと、位置特定装置23と、評価装置3と、を備えている。
【0020】
車両検知器10は、車線Lの上流側(車両の進行方向手前側、即ち、−X方向側)におけるアイランドI上に設けられ、その車線Lに車両Aが進入したか否かを検知する。車両検知器10は、例えば、車線方向(±X方向)において、料金収受用アンテナ20、位置特定用アンテナ22A、22B(支持体G)の4メートル上流側に設けられる。
車両検知器10は、車線Lの一方側に設置された投光塔と他方側に設置された受光塔とからなり、当該投光塔から受光塔にかけて所定波長の光(例えば、赤外光)を常時投光している。車両Aが車両検知器10(投光塔と受光塔との間)を横切る際、上記光が車両Aに遮られて受光塔にて受光されなくなると、車両Aが車線Lに進入したものと判断し、車両Aの進入を検知したことを示す車両検知信号を出力する。
【0021】
料金収受用アンテナ20は、後述する車線サーバ21と、車両Aに搭載された車載器A1との間で無線通信を行うための無線通信インターフェイスである。
料金収受用アンテナ20は、支持体G(ガントリー、ポール等)を通じて複数の車線Lの各々に設置され、各車線Lを走行する車両Aを通信対象として無線通信を行う。具体的には、料金収受用アンテナ20は、車線Lにおける車両検知器10よりも下流側(車両の進行方向奥側、即ち、+X方向側)であって、高さ方向(±Z方向)における路面上方、かつ、車線幅方向(±Y方向)における中央付近に設置される。
料金収受用アンテナ20は、車線Lにおける規定通信領域Qの領域内に存在する車両Aが無線通信の対象となるように、送受可能な電波の指向性が予め設計されている。
【0022】
車線サーバ21は、車線L等から離れた位置(料金所事務所R)に設けられ、料金収受システム1における料金収受処理全体を制御する料金収受処理装置である。特に、第1の実施形態に係る車線サーバ21は、料金収受用アンテナ20を通じて、車両Aに搭載された車載器A1との間で、当該車両Aに対する料金収受用の無線通信を行う。
車線サーバ21は、車両検知器10を介して車両Aの車線Lへの進入を検知した場合に、当該車両Aとの間で料金収受用の無線通信を開始すべく、料金収受用アンテナ20を通じて電波を出力する。
【0023】
位置特定用アンテナ22A、22Bは、それぞれ、車載器A1が発信する電波を受信して、当該電波の到来角度を検出可能とするAOA(Angle of Arrival)アンテナである。位置特定用アンテナ22A、22Bは、電波の発信元である車載器A1の空間的位置を特定するために設置されている。
具体的には、位置特定用アンテナ22A、22Bは、水平方向、垂直方向に複数のアンテナ素子(図示せず)が並べて配置されてなるアレイアンテナである。位置特定用アンテナ22A、22Bは、それぞれ、上記複数のアンテナ素子の各々を通じて所定の方向から到来した電波を受信した際に、当該電波の到来角度に応じた位相差を示す信号(以下、「IQ信号」とも記載する。)を出力する。位置特定用アンテナ22Aから出力された上記IQ信号を解析することで、当該位置特定用アンテナ22Aに対する水平方向、垂直方向の各々についての電波の到来角度を検出することができる。同様に、位置特定用アンテナ22Bから出力された上記IQ信号を解析することで、当該位置特定用アンテナ22Bに対する水平方向、垂直方向の各々についての電波の到来角度を検出することができる。
ここで、
図1に示すように、位置特定用アンテナ22A及び位置特定用アンテナ22Bは、それぞれ、支持体Gの車線幅方向(±Y方向)において互いに異なる位置に取り付けられている。具体的には、位置特定用アンテナ22Aは、料金収受用アンテナ20に対し、車両Aの進行方向左端(+Y方向側)に配置され、位置特定用アンテナ22Bは、料金収受用アンテナ20に対し、車両Aの進行方向右端(−Y方向側)に配置されている。このように配置されることで、位置特定用アンテナ22Aに対する電波の到来角度と、位置特定用アンテナ22Bに対する電波の到来角度と、の両方を組み合わせた三角測量により、電波の発信元である車載器A1の空間的位置を精度良く特定することができる。
【0024】
位置特定装置23は、
図1に示すように、料金収受用アンテナ20と車線サーバ21とを接続する光通信ケーブルOを中継するように設けられている。位置特定装置23は、位置特定用アンテナ22A、22Bから出力されたIQ信号を入力し、三角測量に基づく車載器A1の空間的位置を特定する処理を行う。
【0025】
図1には図示していないが、有料道路の出口料金所(入口料金所)には、車線Lの上方を覆うキャノピー等、各種建造物が設けられている場合がある。このようなキャノピー等の建造物の表面では、車載器A1が発信する電波の反射が生じ得る。そうすると、電波の反射を通じて、ある車線Lに設置された料金収受用アンテナ20が、当該車線Lの規定通信領域Q外を走行する車両A(例えば、隣の車線Lを走行する車両A)からの電波を受信することも起こり得る。
そのため、第1の実施形態に係る位置特定装置23は、車載器A1の空間的位置の特定結果に基づいて、料金収受用アンテナ20が、当該車線Lの規定通信領域Q外を走行する車両Aからの電波を受信したと判断できる場合には、当該車両Aに対する車線サーバ21の料金収受処理を制限する機能を有している。
【0026】
なお、料金収受システム1には、
図1を用いて説明した上述の各種装置の他、例えば、発進制御器(開閉バー)、路側表示器、係員呼び出しボタン、監視カメラ等が適宜設けられていてもよい。
【0027】
(料金収受システムの機能構成)
図2は、第1の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
まず、
図2を参照しながら、位置特定装置23について説明する。
図2に示すように、位置特定装置23は、通信インターフェイス部230と、位置特定部231と、LID取得部232と、制御部233と、記録媒体234と、を備えている。
【0028】
通信インターフェイス部230は、位置特定用アンテナ22A、22BからのIQ信号を受け付ける接続インターフェイスである。通信インターフェイス部230は、位置特定用アンテナ22A、22Bから出力されたIQ信号を入力し、これを位置特定部231(後述)に向けて出力する。
【0029】
位置特定部231は、位置特定用アンテナ22A、22Bから入力されたIQ信号に基づいて、電波の発信元である車載器A1の位置を特定する。
上述したように、IQ信号には、位置特定用アンテナ22A、22Bの各々に対する電波の到来角度を特定可能な情報(位相差)が含まれている。位置特定部231は、2つの位置特定用アンテナ22A、22Bの各々から入力された2つのIQ信号に基づいて、位置特定用アンテナ22Aに対する電波(車載器A1が発信した電波)の到来角度、及び、位置特定用アンテナ22Bに対する電波の到来角度を検出する。そして、位置特定部231は、位置特定用アンテナ22A、22Bの各々の空間的位置、姿勢を示す情報(予め規定された情報)と、2種類の電波の到来角度と、を用いて三角測量演算を行うことで、車載器A1の空間的位置を特定する。
【0030】
LID取得部232は、車載器A1から発信された電波を料金収受用アンテナ20で受信して得られるDSRC受信信号から、当該DSRC受信信号に含まれる所定の識別子であるLID(Link ID)を抽出して取得する。
ここで、「DSRC受信信号」とは、料金収受用の無線通信において、料金収受用アンテナ20を通じて車載器A1から車線サーバ21に向けて送信される信号であって、車線サーバ21側が当該車載器A1を識別するための識別子(LID)を含む信号である。なお、「DSRC受信信号」は、より具体的には、狭域通信(DSRC:Dedicated Short-Range Communication)システムの標準的な通信規格であるARIB(Association of Radio Industries and Businesses)標準規格において「ACTC信号」(アクティベーションチャネル信号)として規定される信号である。また、第1の実施形態において、「識別子(LID)」とは、車載器A1を識別するために車載器固有に割り振られた情報であって、ARIB標準規格においては、料金収受用の無線通信を開始する際(通信リンクを確立する際)に、車載器A1にランダムに割り振られる識別情報である。
なお、DSRC受信信号は、例えば、ASK(amplitude-shift keying)変調方式で変調された変調信号である。LID取得部232は、ASK変調方式で変調されたDSRC受信信号を逐次復号してLIDを抽出する。
【0031】
制御部233は、位置特定部231によって特定された車載器A1の空間的位置(以下、「車載器位置情報」とも記載する。)と、LID取得部232によって取得されたLID情報と、を取得して、当該車載器位置情報及びLID情報を関連付けて、位置特定装置23の記録媒体234に記録する。記録媒体234においては、車載器位置情報テーブルとして記録される(
図3参照)。ここで、一つの車載器A1が発信した電波は、料金収受用アンテナ20、位置特定用アンテナ22A、22Bの各々において同時に受信される。したがって、制御部233は、各アンテナで同時に受信した電波に基づく車載器位置情報及びLID情報を逐次関連付けて記録していく。
また、制御部233は、あるLIDに関連付けられた車載器位置情報が、車線Lの規定通信領域Q(
図1)の範囲内に含まれない位置を示している場合には、当該LIDを含むDSRC受信信号を通じた車載器A1と車線サーバ21との料金収受用の無線通信を成立させないようにする機能を有している。
【0032】
次に、
図2を参照しながら、車線サーバ21について説明する。
図2に示すように、車線サーバ21は、料金収受処理部210と、記録媒体211と、を備えている。
料金収受処理部210は、車載器A1との間で料金収受用の無線通信を実行する。具体的には、料金収受処理部210は、車両検知器10から車両検知信号を受信すると、料金収受用アンテナ20にDSRC送信信号を出力する。ここで、「DSRC送信信号」とは、料金収受用の無線通信において、車線サーバ21(料金収受処理部210)が料金収受用アンテナ20を通じて車載器A1に向けて送信する信号である。車線サーバ21は、DSRC送信信号を送信することで、車載器A1に対しDSRC受信信号の返信を要求する。このDSRC送信信号は、料金収受用アンテナ20を通じて、電波として車載器A1に向けて発信される。車載器A1は、DSRC送信信号に応答して、電波(DSRC受信信号)を発信する。
料金収受処理部210は、正規の位置(規定通信領域Qの範囲内)に存在する車載器A1との間で通信リンクを確立し、料金収受用の無線通信を行う(正規の位置に存在するか否かの判断は、位置特定装置23にて行われる)。料金収受処理部210は、当該料金収受用の無線通信を通じて、車載器A1に登録されている車両Aについての「車両番号」、「車種区分」等を取得する。料金収受処理部210は、料金収受用の無線通信を通じて取得した上記各種情報に基づいて、利用者に対する料金収受処理を行う。ここで、「料金収受処理」とは、例えば、車両Aの車種区分等に基づく支払料金(請求額)を算出するとともに、当該支払料金、車両Aの走行履歴、利用日時等を含む明細情報を作成する処理のことをいう。
料金収受処理部210は、料金収受用の無線通信により実行された料金収受処理に関する各種情報を、車線サーバ21の記録媒体211に逐次記録する。
【0033】
(位置特定装置に記録される情報)
図3は、第1の実施形態に係る位置特定装置に記録される情報を示す図である。
位置特定装置23の記録媒体234には、
図3に示すような車載器位置情報テーブルが記録される。「車載器位置情報テーブル」とは、位置特定装置23の制御部233が生成する情報テーブルであって、DSRC受信信号に含まれるLID情報と、位置特定部231が特定する車載器位置情報とを関連付けてなる情報テーブルである。
図3に示すように、車載器位置情報テーブルには、取得時刻(電波の受信時刻)と、LID情報(
図3に示す「LID」)と、車載器位置情報(「車載器位置」の列に記録される空間上の座標位置(X、Y、Z))と、が関連付けられて記録されている。
【0034】
(車線サーバに記録される情報)
図4は、第1の実施形態に係る車線サーバに記録される情報を示す図である。
車線サーバ21の記録媒体211には、
図4に示すような料金収受用情報テーブルが記録される。「料金収受用情報テーブル」とは、車線サーバ21の料金収受処理部210が生成する情報テーブルであって、車載器A1との間で行われた料金収受用の無線通信を経て取得した各種情報(車載器A1から読み取られた各種情報)が関連付けられて記録された情報テーブルである。
図4に示すように、料金収受用情報テーブルには、取得時刻(電波の受信時刻)と、LID情報(
図4に示す「LID」)と、料金収受処理に必要な各種情報である車両番号情報(「車両番号」)、車種区分情報(「車種区分」)、車線番号(「車線番号」)等と、が関連付けられて記録されている。
【0035】
(評価装置の機能構成)
図5は、第1の実施形態に係る評価装置の機能構成を示す図である。
図5に示す評価装置3は、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価する。ここで、位置特定用アンテナ22A、22Bが「健全である」とは、位置特定用アンテナ22A、22Bが、その設置目的に沿った機能を発揮できる状態(即ち、車載器A1が規定通信領域Qの範囲内に存在するか否かを正しく判別できる状態)にあることを意味する。
【0036】
図5に示すように、評価装置3は、CPU30と、表示部31と、操作受付部32と、メモリ33と、接続インターフェイス34と、を備えている。
【0037】
CPU30は、評価装置3の動作全体を司る処理用プロセッサである。CPU30は、メモリ33(及び内部メモリ等)に読み取られたプログラムに従って動作することで、後述する車載器位置情報取得部300、車種区分情報取得部301、評価用位置情報抽出部302、及び、評価部303としての機能を発揮する。
【0038】
表示部31は、操作者(料金収受システム1の管理者等)に対し各種画像情報を表示するディスプレイであって、例えば、液晶表示装置などである。
操作受付部32は、操作者から必要な操作を受け付けるユーザインターフェイスであって、例えば、マウス、キーボード、タッチセンサ等である。
接続インターフェイス34は、LAN、インターネット回線等の通信回線を通じて車線サーバ21及び位置特定装置23との間で各種情報を送受可能な通信インターフェイスである。接続インターフェイス34は、車線サーバ21、位置特定装置23との間で、例えば、有線回線又は無線回線を介して情報を送受可能とするものであってよい。
【0039】
次に、CPU30の各種機能について説明する。
車載器位置情報取得部300は、位置特定用アンテナ22A、22Bによる電波の受信結果に基づいて特定された車載器A1の位置を示す車載器位置情報を取得する。具体的には、車載器位置情報取得部300は、接続インターフェイス34を介して、位置特定装置23の記録媒体234に記録された車載器位置情報テーブル(
図3)を取得する。
【0040】
車種区分情報取得部301は、電波を発信した車載器A1を搭載する車両Aの車種区分を示す車種区分情報を取得する。具体的には、車種区分情報取得部301は、接続インターフェイス34を介して、車線サーバ21の記録媒体211に記録された料金収受用情報テーブル(
図4)のうち、LID情報、車種区分情報を取得する。
【0041】
評価用位置情報抽出部302は、車種区分情報取得部301によって取得された車種区分情報に基づいて、評価用位置情報を抽出する。ここで、「評価用位置情報」とは、車載器位置情報取得部300が取得した複数の車載器位置情報のうち、所定の車種区分に属する車両Aの車載器A1についての車載器位置情報である。
ここで、第1の実施形態においては、評価用位置情報抽出部302は、上記「所定の車種区分」として、「大型車」に属する車両Aの車載器A1についての車載器位置情報を抽出する。また、「大型車」とは、本実施形態においては、「バス」、「トラック(普通貨物自動車)」、「トレーラ」に分類される車両からなる車種区分であるものとする。
【0042】
評価部303は、抽出された記評価用位置情報に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価する。特に、第1の実施形態においては、評価部303は、予め用意された基準位置(後述)と、抽出された評価用位置との差が所定値以上となった場合に、位置特定用アンテナ22A、22Bの少なくとも何れか一方に異常が生じているものと判断し、例えば、表示部31等を通じて、操作者に向けて当該異常を通知する。
【0043】
(評価装置の処理フロー)
図6は、第1の実施形態に係る評価装置の処理フローを示す図である。
また、
図7〜
図10は、それぞれ、第1の実施形態に係る評価装置の動作を説明する第1〜第4の図である。
以下、
図6及び
図7〜
図10を参照しながら、評価装置3の処理について詳細に説明する。
【0044】
図6に示す処理フローは、所定のメンテナンス周期(例えば、1週間、1ヶ月等)ごとに実施される料金収受システム1のメンテナンス作業時に実行される。
まず、評価装置3の車載器位置情報取得部300は、位置特定装置23の記録媒体234にアクセスして、当該記録媒体234に蓄積された車載器位置情報テーブル(
図3)を取得する(ステップS01)。
【0045】
ここで、
図7を参照しながら、「大型車」以外の車種区分(例えば、「普通自動車」)に属する車両A(以下、「普通車両AM」と表記する。)が車線Lを走行する場合における車載器位置、及び、「大型車」に属する車両A(以下、「大型車両AL」と表記する。)が車線Lを走行する場合における車載器位置について説明する。
【0046】
普通車両AMが車線Lを走行する場合、
図7に示すように、普通車両AMの車体前端(フロントバンパー部分)が車両検知器10を横切った時点で車両の検知がなされる。ここで、普通車両AMに搭載される車載器A1(以下、「車載器AM1」と表記する。)の搭載位置(運転座席、ダッシュボード付近)は、普通車両AMの車体前端から、その車体形状に応じた距離dMだけ離れている。したがって、普通車両AMが車両検知器10によって検知された時点(即ち、車載器AM1から電波が発信された時点)における車載器AM1の空間的位置は、車両検知器10の設置位置(車両検知位置)よりも距離dMだけ上流側(−X方向側)に離れた位置となる。
【0047】
同様に、大型車両ALが車線Lを走行する場合、
図7に示すように、大型車両ALの車体前端(フロントバンパー部分)が車両検知器10を横切った時点で車両の検知がなされる。ここで、大型車両ALに搭載される車載器A1(以下、「車載器AL1」と表記する。)の搭載位置(運転座席、ダッシュボード付近)は、大型車両ALの車体前端から、その車体形状に応じた距離dLだけ離れている。したがって、大型車両ALが車両検知器10によって検知された時点(即ち、車載器AL1から電波が発信された時点)における車載器AL1の空間的位置は、車両検知位置よりも距離dLだけ上流側(−X方向側)に離れた位置となる。
なお、車両検知器10による車両検知のタイミングから車載器位置が検出されるタイミングまでの間に車両が進行するため、実際に検出される車載器AM1、AL1の空間的位置は、下流側(+X方向側)に全体的にシフトする。
【0048】
普通車両AMと大型車両ALとの車体形状を比較すると、
図7に示す通り、一般に、車線方向(±X方向)における大型車両ALの車体前端から運転座席までの距離dLは、普通車両AMの車体前端から運転座席までの距離dMに比べて小さい傾向にある。また、大型車両ALの方が、普通車両AMと比べて車高(運転座席位置)が高い。したがって、大型車両ALに搭載される車載器AL1は、普通車両AMに搭載される車載器AM1に比べて車両検知器10の設置位置(車両検知位置)に近い位置、かつ、高さ方向(±Z方向)において高い位置に存在する傾向が強くなる。
【0049】
図8は、ある期間内(例えば、1ヶ月間)に車線Lを走行した全ての車両Aについて取得された車載器位置情報に示される空間的位置をX−Z座標平面上にプロットした散布図である。
上述の通り、一つの車線Lを走行する車両Aの車体形状は、軽自動車、普通自動車、大型車等、多種に及ぶ。また、同じ車種区分に属する車両であっても車体形状(特にボンネットの長さ)は、車両別に大きな個体差がある。そのため、
図8に示すように、位置特定装置23(位置特定部231)によって特定された車載器A1の空間的位置は、車両Aの車体形状のばらつきに起因して、車両検知位置周辺において広い範囲に分布する。
【0050】
次に、
図6において、評価装置3の車種区分情報取得部301は、車線サーバ21の記録媒体211にアクセスして、当該記録媒体211に蓄積された料金収受用情報テーブル(
図4)のうち、LID情報と車種区分情報を取得する(ステップS02)。
【0051】
次に、評価装置3の評価用位置情報抽出部302は、ステップS01で取得された車載器位置情報テーブル(LID情報と車載器位置情報との組み合わせ)と、ステップS02で取得されたLID情報と車種区分情報の組み合わせと、を参照する。続いて、評価用位置情報抽出部302は、共通するLID情報を通じて、車載器位置情報と車種区分情報とを関連付ける。そして、評価用位置情報抽出部302は、各車載器位置情報に関連付けられた車種区分情報を参照して、当該車種区分情報が示す車種区分が「大型車」である車載器位置情報を、評価用位置情報として抽出する(ステップS03)。
【0052】
ここで、
図9は、ある期間内に車線Lを走行した車両Aのうち、「大型車」に属する車両Aのみついて取得された車載器位置情報に示される空間的位置をX−Z座標平面上にプロットした散布図である。
上述の通り、取得された複数の車載器位置情報のうち、「大型車」に属する車両Aに関するもの(評価用位置情報)だけを抽出した場合、その分布範囲は、車両検知位置近傍の領域に狭められる。
【0053】
次に、
図6において、評価装置3の評価部303は、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性の評価を行う(ステップS04)。
ここで、
図10に示す散布図の黒丸のプロット群は、ある運用期間中に取得した評価用位置情報に基づく空間的位置(以下、「前回車載器位置」と表記。)の、X−Z座標平面上における分布を示している。また、
図10に示す散布図の白丸のプロット群は、上記運用期間後の他の運用期間中に再度取得した評価用位置情報に基づく空間的位置(以下、「今回車載器位置」と表記。)の、X−Z座標平面上における分布を示している。
ステップS04の処理において、評価部303は、まず、前回車載器位置の平均値を「基準位置」として算出する。また、評価部303は、今回車載器位置の平均値を「評価対象位置」として算出する。そして、評価部303は、算出した基準位置と、評価対象位置と、の差を演算するとともに、当該差の演算結果が所定の判定閾値を上回っていた場合には、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が生じている可能性があると判断し、表示部31等を通じてその旨を操作者に通知する。
なお、
図10には、「基準位置」、「評価対象位置」の各々の車線方向成分(X軸成分)のみを図示しているが、「基準位置」、「評価対象位置」は、実際には、車線幅方向成分(Y軸成分)及び高さ方向成分(Z軸成分)を含む座標情報である。即ち、評価部303は、車線方向成分(X軸成分)、車線幅方向成分(Y軸成分)及び高さ方向成分(Z軸成分)から特定される、「基準位置」、「評価対象位置」それぞれの座標位置(X、Y、Z)の差の絶対値を算出する。
【0054】
(作用・効果)
以上の通り、第1の実施形態に係る評価装置3は、位置特定用アンテナ22A、22Bによる電波の受信結果に基づいて特定された車載器A1の位置を示す車載器位置情報を取得する(
図6のステップS01)。また、評価装置3は、電波を発信した車載器A1を搭載する車両Aの車種区分を示す車種区分情報を取得する(ステップS02)。更に、評価装置3は、車種区分情報に基づいて、複数の車載器位置情報のうち所定の車種区分(本実施形態においては「大型車」)に属する車両Aの車載器A1についての車載器位置情報である評価用位置情報を抽出する(ステップS03)。そして、評価装置3は、抽出された評価用位置情報に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価する(ステップS04)。
【0055】
このようにすることで、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価する際に、開放中の車線を実際に走行する車両のうち、所定の車種区分に属する車両に関する車載器位置情報のみが抽出される。ここで、車両別の車載器の取り付け位置のばらつきは、主に、車体形状のばらつきに起因する。一方、車種区分(大型車、軽自動車、普通自動車等の区分)は、通常、各車両が有する車体の大きさ、特徴的形状(車軸数、荷台の有無等)に基づいて規定される。同一の車種区分に属する車両の車体形状は、同一の特徴を有し、互いに一致若しくは類似する傾向が強くなる。即ち、同一の車種区分に属する車両どうしでは、車載器の取り付け位置のばらつきは小さくなる。したがって、取得された複数の車載器位置情報の中から、所定の車種区分に属する車両に関する車載器位置情報のみを抽出することで、当該車載器位置情報(評価用位置情報)に示される車載器の、車体形状の相違に起因して生じ得る空間的位置のばらつきを抑制することができる。そして、当該抽出された車載器位置情報に示される空間的位置の分布を取得時間別に対比することで、位置特定装置23による位置特定処理の経時的な変動を精度良く見分けることができる。
以上より、評価装置3によれば、出口料金所、入口料金所において車線閉鎖を行うことなく、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価することができる。
なお、上述の通り、評価装置3によれば車線閉鎖を行うことなくアンテナの健全性を評価できるが、車線閉鎖をした状態であっても、評価装置3を用いてアンテナの健全性を評価できることはもちろんである。
【0056】
また、第1の実施形態に係る評価用位置情報抽出部302は、特に、所定の車種区分として「大型車」に属する車両に関する車載器位置情報を抽出するものとしている。ここで、「大型車」に属する車両は、上述したように、車体前端から運転座席付近までの距離dL(
図7)が、他の車種区分に属する車両よりも短い。そうすると、「大型車」に属する車両別の距離dLのばらつきも相対的に小さくなる。したがって、「大型車」に着目し、「大型車」に属する車両に関する車載器位置情報(評価用位置情報)に示される空間的位置のみを取得時間別に対比することで、位置特定装置23による位置特定処理の経時的な変動を一層精度良く見分けることができる。
【0057】
また、評価装置3の車種区分情報取得部301は、車載器A1と車線サーバ21との間で行われた料金収受用の無線通信を通じて車載器A1から読み取られた情報(料金収受用情報テーブル(
図4))であって、車載器A1に予め登録された車種区分情報を参照して車種区分情報を取得する。
このようにすることで、車載器A1に予め登録された車種区分情報に基づいて、車両Aの車種区分を判別することができる。したがって、車両Aの車種区分を判別する目的で新たな装置を設置する手間及びコストを排することができる。
【0058】
また、評価装置3の評価部303は、予め用意された「基準位置」(1ヶ月前に取得された評価用位置情報に示される位置の平均値)と、「評価対象位置」(今回取得された評価用位置情報に示される位置の平均値)のとの差が所定値以上となった場合に、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が生じているものと判断し、異常を通知する。
このようにすることで、料金収受システム1の管理者は、位置特定用アンテナ22A、22Bの異常の発生を早急に認知することができる。
【0059】
なお、ステップS03(
図6)の処理において、評価用位置情報抽出部302は、車載器位置情報テーブル(
図3)に記録された情報、及び、料金収受用情報テーブル(
図4)に記録された情報から、共通するLID情報を通じて、車載器位置情報と車種区分情報とを関連付けるものとして説明した。しかし、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係る評価用位置情報抽出部302は、車載器位置情報テーブル及び料金収受用情報テーブルのうち、共通する(誤差が所定範囲内である)時刻情報を通じて、車載器位置情報と車種区分情報とを関連付けてもよい。
【0060】
また、評価装置3の評価部303は、「基準位置」として、所定期間前(1ヶ月前)に取得された評価用位置情報に示される位置の平均値を演算し、「評価対象位置」として、今回取得された評価用位置情報に示される位置の平均値を演算するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係る評価部303は、評価用位置情報に示される位置の平均値及び分散値に基づく統計的な対比手法を用いて、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が生じているか否かを判断してもよい。例えば、評価部303は、「分散値」の差が所定値以上となった場合に、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が生じていると判断してもよい。このようにすることで、評価用位置情報に示される位置の分散値が、基準位置の分散値から明らかに変化している場合には、(平均値が変化していない場合であっても)異常が生じていることを判断することができる。
また、他の実施形態に係る評価部303は、評価用位置情報に示される位置の“平均値”ではなく“中央値”又は“最頻値”を用いて位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価してもよい。
【0061】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る料金収受システムについて、
図11〜
図19を参照しながら説明する。
【0062】
(全体構成)
図11は、第2の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
図11に示すように、第2の実施形態に係る料金収受システム1は、第1の実施形態で説明した構成(
図1)に加え、更に、踏板11を備えている。
踏板11は、車線方向(±X方向)における上流側(車両検知器10と同じ位置)に設けられる。踏板11は、車線Lの路面上において、車線幅方向(±Y方向)に伸びるように配置されており、その上を通過する車両Aのタイヤにより踏みつけられた位置(踏み付け位置)を特定可能な踏み付けセンサを内部に有している。なお、踏板11は、複数のタイヤ(例えば、車両Aの右輪及び左輪)に同時に踏みつけられた場合は、当該複数の踏み付け位置を個別に特定することができる。
【0063】
(料金収受システムの機能構成)
図12は、第2の実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図12に示すように、踏板11は、車両Aのタイヤにより踏みつけられた車線幅方向の位置(踏み付け位置)を特定可能な車線幅位置信号を車線サーバ21の料金収受処理部210に向けて出力する。
料金収受処理部210は、踏板11から出力された車線幅位置信号を受け付けて、車両Aの車線幅方向の位置を特定する。例えば、受け付けた車線幅位置信号に車両Aの右輪の踏み付け位置、及び、左輪の踏み付け位置が示されていた場合、料金収受処理部210は、当該右輪の踏み付け位置と、左輪の踏み付け位置との中間値を算出し、車両Aの車線幅方向の位置とする。
また、料金収受処理部210は、車両Aについて特定した車線幅方向の位置を、当該車両AのLID情報、車種区分情報とともに、記録媒体211に記録する。
【0064】
(評価装置に記録される情報)
図13は、第2の実施形態に係る評価装置に記録される情報を示す図である。
図13に示すように、第2の実施形態に係る料金収受用情報テーブルには、取得時刻(電波の受信時刻)と、LID情報と、車線幅方向位置情報と、料金収受処理に必要な各種情報である車両番号情報、車種区分情報、車線番号等と、が関連付けられて記録されている。ここで、車線幅方向位置情報(
図13に示す「車線幅方向位置」)には、料金収受処理部210が踏板11からの車線幅位置信号に基づいて特定した車両Aの車線幅方向(±Y方向)の位置が記録される。
【0065】
(評価装置の機能構成)
図14は、第2の実施形態に係る評価装置の機能構成を示す図である。
図14に示すように、第2の実施形態に係る評価装置3のCPU30は、第1の実施形態の機能に加え、更に、車線幅方向位置情報取得部304としての機能を発揮する。
車線幅方向位置情報取得部304は、車線L走行時における車両Aの車線幅方向(±Y方向)の位置を取得する。具体的には、車線幅方向位置情報取得部304は、車線サーバ21の記録媒体211に記録された料金収受用情報テーブルを参照して、各LID情報及び各車種区分情報に関連付けられた車線幅方向位置情報を取得する。
【0066】
(評価装置の処理フロー)
図15は、第2の実施形態に係る評価装置の処理フローを示す図である。
また、
図16〜
図19は、それぞれ、第2の実施形態に係る評価装置の動作を説明する第1〜第4の図である。
以下、
図15及び
図16〜
図19を参照しながら、評価装置3の処理について詳細に説明する。
【0067】
評価装置3の車載器位置情報取得部300は、第1の実施形態と同様に、位置特定装置23の記録媒体234にアクセスして、当該記録媒体234に蓄積された車載器位置情報テーブル(
図3)を取得する(ステップS11)。
次に、評価装置3の車種区分情報取得部301は、車線サーバ21の記録媒体211にアクセスして、当該記録媒体211に蓄積された料金収受用情報テーブル(
図13)のうち、LID情報と車種区分情報を取得する。更に、車線幅方向位置情報取得部304は、記録媒体211に蓄積された料金収受用情報テーブル(
図13)のうち、車線幅方向位置情報を取得する(ステップS12)。
【0068】
次に、評価装置3の評価用位置情報抽出部302は、第1の実施形態と同様に、ステップS11で取得された車載器位置情報テーブルと、ステップS12で取得されたLID情報と車種区分情報の組み合わせと、に基づいて、車種区分情報が「大型車」となっている車載器位置情報を、評価用位置情報として抽出する(ステップS13)。
【0069】
ここで、
図16を参照しながら、「大型車」に属する車両A(大型車両AL、大型車両AL’)が車線Lを走行する場合における、車線幅方向(±Y方向)の車載器位置について説明する。
図16に示す例によれば、大型車両ALは、車線Lの車線幅方向中央(Y=0とする。)から距離Y1だけ右寄り(−Y方向側)を走行している。また、他の大型車両AL’は、車線Lの車線幅方向中央から距離Y2だけ左寄り(+Y方向側)を走行している。この場合、大型車両ALに搭載された車載器A1(車載器AL1)の空間的位置は、車線幅方向中央を走行する車両に搭載された車載器よりも距離Y1だけ右寄り(−Y方向)に検出される。同様に、大型車両AL’に搭載された車載器A1(車載器AL1’)の空間的位置は、車線幅方向中央を走行する車両に搭載された車載器よりも距離Y2だけ左寄り(+Y方向)に検出される。
このように、車載器位置情報の車線幅方向成分(Y軸成分)は、車両Aが走行する車線幅方向(±Y方向)の位置(距離Y1、Y2等)に応じて変動する。
【0070】
図17は、ある期間内(例えば、1ヶ月間)に車線Lを走行した「大型車」に属する車両Aについて取得された車載器位置情報に示される空間的位置をX−Y座標平面上にプロットした散布図である。
図16を用いて説明した通り、車載器A1の空間的位置は、車線Lを走行する車両Aの車線幅方向の位置(距離Y1、Y2等)に依存して変化する。そのため、
図17に示すように、位置特定装置23(位置特定部231)によって特定された車載器A1の空間的位置は、車両Aの車線幅方向の位置のばらつきに起因して当該車線幅方向に広がるように分布する。
【0071】
次に、
図15において、評価装置3の評価部303は、ステップS12で取得された車線幅方向位置情報に基づいて、ステップS13で抽出された評価用位置情報の車線幅方向成分(Y軸成分)を補正する(ステップS14)。
具体的には、評価部303は、評価用位置情報の車線幅方向成分(Y軸成分)から、車線幅方向位置情報に示される車線幅方向の位置を示す値(
図16に示す距離Y1、Y2)を差し引く処理を行う。
【0072】
ここで、
図18は、車線幅方向成分(Y軸成分)についてステップS14の補正処理がなされた後の評価用位置情報に示される空間的位置をX−Y座標平面上にプロットした散布図である。
上述の通り、取得された複数の評価用位置情報の車線幅方向成分(Y軸成分)から、車両Aの車線幅方向の位置を示す値(距離Y1、Y2等)を差し引いた結果、当該評価用位置情報に示される空間的位置の車線幅方向(±Y方向)のばらつきが抑制され、その分布範囲は、車線幅方向(±Y方向)の所定位置近傍に狭められる。
【0073】
次に、
図15において、評価装置3の評価部303は、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性の評価を行う(ステップS15)。
ここで、
図19に示す散布図の黒丸のプロット群は、ある運用期間中に取得した補正処理後の評価用位置情報に基づく空間的位置(前回車載器位置)の、X−Y座標平面上における分布を示している。また、
図19に示す散布図の白丸のプロット群は、上記運用期間後の他の運用期間中に再度取得した補正処理後の評価用位置情報に基づく空間的位置(今回車載器位置)の、X−Y座標平面上における分布を示している。
ステップS15の処理において、評価部303は、第1の実施形態と同様に、前回車載器位置の平均値である「基準位置」と、今回車載器位置の平均値である「評価対象位置」と、の差を演算する。そして、評価部303は、「基準位置」と「評価対象位置」との差の演算結果が所定の判定閾値を上回っていた場合には、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が生じている可能性があると判断し、表示部31等を通じてその旨を操作者に通知する。
なお、
図19には、「基準位置」、「評価対象位置」の各々の車線幅方向成分(Y軸成分)のみを図示しているが、「基準位置」、「評価対象位置」は、実際には、車線方向成分(X軸成分)及び高さ方向成分(Z軸成分)を含む座標情報である。即ち、評価部303は、車線方向成分(X軸成分)、車線幅方向成分(Y軸成分)及び高さ方向成分(Z軸成分)から特定される、「基準位置」、「評価対象位置」それぞれの座標位置(X、Y、Z)の差の絶対値を算出する。
【0074】
(作用・効果)
以上の通り、第2の実施形態に係る評価装置3は、第1の実施形態に加え、更に、車両Aの車線幅方向における位置を取得する車線幅方向位置情報取得部304を備えている。
また、第2の実施形態に係る評価部303は、車両Aの車線幅方向における位置(車線幅方向位置情報(
図13参照))に基づいて、評価用位置情報の車線幅方向成分を補正するとともに、当該補正がなされた評価用位置情報に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価する。
このようにすることで、車線Lを走行する車両Aの車線幅方向の位置の相違に起因して生じ得る評価用位置情報の車線幅方向成分のばらつきが補正処理(ステップS14)を通じて抑制される(
図17、
図18参照)。したがって、評価用位置情報に示される空間的位置を取得時間別に対比することで、位置特定装置23による位置特定処理の経時的な変動を一層精度良く見分けることができる。
【0075】
<変形例>
次に、上述した第1の実施形態(第2の実施形態)の変形例について、
図20〜
図23を参照しながら説明する。
【0076】
(第1変形例)
図20は、第1の実施形態の第1変形例に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図20に示すように、第1変形例に係る料金収受システム1は、第1の実施形態の構成に加え、更に、車種判別装置4を備えている。
車種判別装置4は、車線L(
図1)の路側に設けられ、当該車線Lを走行する車両Aのナンバープレートを読み取って当該車両Aの車種区分を判別する装置である。
【0077】
図20に示すように、車種判別装置4は、ナンバープレート読取機40と、車種判別処理部41と、記録媒体42と、を備えている。
【0078】
ナンバープレート読取機40は、車両検知器10からの車両検知信号を受け付けたタイミングで撮影を行い、走行する車両Aのナンバープレートを撮影する。更に、ナンバープレート読取機40は、ナンバープレートを含む画像に対し、所定の画像認識処理を行い、ナンバープレートに係る情報(プレートサイズ、プレートの配色、記載された分類番号等。以下「NP情報」と記載。)を読み取る。
【0079】
車種判別処理部41は、ナンバープレート読取機40が読み取ったNP情報から当該ナンバープレートを有する車両Aの車種区分を特定する。具体的には、車種判別処理部41は、例えば、NP情報に示されるプレートサイズが「大」である場合には、当該車両Aの車種区分を「大型車」と判別し、同プレートサイズが「中」である場合には、当該車両Aの車種区分を「普通自動車」等と判別し、同プレートサイズが「小」である場合には、当該車両Aの車種区分を「軽自動車」等と判別する。
また、車種判別処理部41は、更に、NP情報に示される分類番号に基づいて、車種区分を特定してもよい。
車種判別処理部41は、車種区分の判別結果を、車種判別装置4の記録媒体42に記録する。
【0080】
図21は、第1の実施形態の第1変形例に係る車種判別装置に記録される情報を示す図である。
車種判別装置4の記録媒体42には、
図21に示すような車種区分情報テーブルが記録される。「車種区分情報テーブル」とは、車種判別装置4の車種判別処理部41が生成する情報テーブルであって、車種判別処理部41による車種区分情報の取得時刻と、当該車種区分情報と、を関連付けてなる情報テーブルである。
図21に示すように、車種区分情報テーブルには、車種区分情報の取得時刻と、車種区分情報(
図21に示す「車種区分」)と、が関連付けられて記録されている。
【0081】
第1変形例に係る評価装置3の車種区分情報取得部301は、
図6のステップS02において、車線サーバ21の記録媒体211ではなく、車種判別装置4の記録媒体42にアクセスして、車種区分情報を取得する。また、この場合、評価装置3の評価用位置情報抽出部302は、共通する取得時刻に基づいて車載器位置情報(
図3)と、車種区分情報(
図21)と、を関連付ける。
【0082】
以上のように、第1変形例に係る評価装置3は、車種判別装置4によって生成された車種区分情報を用いて、車載器位置情報から評価用位置情報を抽出する。
ここで、例えば、車載器A1の積み替え等を行った場合等を考慮すると、車載器A1に予め記録されていた車種区分情報は、必ずしも、実際に搭載されている車両Aの車種区分と整合していない可能性がある。そこで、上述の第1変形例のようにすることで、車載器A1に予め記録されていた情報ではなく、車両Aの走行中に行われた車種判別結果に基づいて車種区分情報を取得するので、より信頼性の高い車種区分情報を取得することができる。
【0083】
(第2変形例)
図22は、第1の実施形態の第2変形例に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
図22に示すように、第2変形例に係る料金収受システム1は、第1の実施形態の構成に加え、更に、車体形状判別装置5を備えている。
車体形状判別装置5は、車両検知器10から出力される車体形状計測信号(後述)に基づいて、当該車両検知器10を通過した車両Aの車種区分を判別する装置である。
【0084】
図22に示すように、車体形状判別装置5は、車体形状判別処理部50と、記録媒体51と、を備えている。
【0085】
車体形状判別処理部50は、車両Aの通過時において車両検知器10から出力される車体計測信号を受け付けて、当該車体計測信号に基づいて、通過した車両Aの車種区分を判別する。
ここで、一般に、車両検知器10の投光塔には、複数の投光素子が高さ方向に複数配列されている。また、車両検知器10の受光塔には、複数の受光素子が高さ方向に複数配列されている。したがって、投光塔と受光塔との間を通過する車両Aの車体によって遮光される光軸(各投光素子、受光素子を結ぶ軸)の数は、当該車両の車体形状に応じたものとなる。例えば、車高が高い車両(主に「大型車」に属する車両A)が走行した場合は、車高が低い車両Aが走行した場合に比べて遮光される光軸の数が多くなる。
第2変形例において、車両検知器10は、車体形状判別処理部50に対し、遮光された光軸の数を示す車体形状計測信号を出力する。車体形状判別処理部50は、当該車体形状計測信号(即ち、遮光された光軸の数を示す信号)に基づいて、通過した車両Aが「大型車」の車種区分に属するか、「大型車」以外(「普通自動車」、「軽自動車」等)の車種区分に属するか、を判別する。具体的には、車体形状計測信号に示される光軸の数が予め規定された判定閾値以上となった場合には、通過した車両Aの車種区分を「大型車」と判定し、車体形状計測信号に示される光軸の数が予め規定された判定閾値未満となった場合には、通過した車両Aの車種区分を「大型車以外」と判定する。
【0086】
図23は、第1の実施形態の第2変形例に係る車体形状判別装置に記録される情報を示す図である。
車体形状判別装置5の記録媒体51には、
図23に示すような車種区分情報テーブルが記録される。車種区分情報テーブルには、取得時刻と、車種区分情報(
図21に示す「車種区分」)と、が関連付けられて記録されている。
図23に示すように、第2変形例に係る車種区分情報テーブルの車種区分情報には、「大型車」、「大型車以外」のいずれかが記録される。
【0087】
以上のように、第2変形例に係る評価装置3は、車体形状判別装置5によって生成された車種区分情報を用いて、車載器位置情報から評価用位置情報を抽出する。
このようにすることで、第1変形例と同様に、車載器A1に予め記録されていた情報ではなく、車両Aの走行中に行われた車種判別結果に基づいて車種区分情報を取得するので、より信頼性の高い車種区分情報を取得することができる。また、車両Aの車種区分を判別するための別途の構成(ナンバープレート読取機等)を追加設置する必要がなくなる。
【0088】
なお、上述の第1変形例及び第2変形例に係る各種構成(車種判別装置4、車体形状判別装置5)は、第1の実施形態に係る料金収受システム1に適用されるものとして説明したが、当該各種構成は、第2の実施形態に係る料金収受システム1に適用されてもよい。
【0089】
また、上述の第2の実施形態によれば、料金収受システム1は、車線L上に設けられた踏板11を用いて、走行する車両Aの車線幅方向の位置を検出する態様を説明した。しかし、他の実施形態においては、料金収受システム1は、踏板11とは異なる手段を通じて車両Aの車線幅方向の位置を検出してもよい。例えば、他の実施形態に係る料金収受システム1は、監視カメラ等に撮影された画像データについての画像解析処理を経て、走行する車両Aの車線幅方向の位置を特定する態様であってもよい。
【0090】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る料金収受システムについて、
図24〜
図25を参照しながら説明する。
【0091】
(評価装置の機能構成)
図24は、第3の実施形態に係る評価装置の機能構成を示す図である。
図24に示すように、第3の実施形態に係る評価装置3のCPU30は、第2の実施形態で説明した機能(
図14)に加え、更に、係数校正部305としての機能を発揮する。
係数校正部305は、予め用意された「基準位置」と、「評価対象位置」(今回取得された評価用位置情報に示される位置の平均値)との差に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bによる電波の受信結果に基づく車載器A1の空間的位置の特定(位置特定装置23の位置特定部231による位置特定処理)に用いる各種係数(後述の「内部校正係数」、「外部校正係数」)を校正する。
【0092】
(評価装置の処理フロー)
図25は、第3の実施形態に係る評価装置の処理フローを示す図である。
第3の実施形態に係る評価装置3は、ステップS21〜ステップS25の処理を経て、「基準位置」と「評価対象位置」との対比を行う。ここで、ステップS21〜ステップS25の処理は、第2の実施形態に係る評価装置3の処理フロー(
図15)のステップS11〜ステップS15の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0093】
評価装置3の係数校正部305は、ステップS25にて算出された「基準位置」と「評価対象位置」との差が最小となるように、「内部校正係数」、「外部校正係数」を校正する。
ここで、「内部校正係数」及び「外部校正係数」は、いずれも、位置特定装置23の位置特定部231による位置特定処理に用いる係数である。
「内部校正係数」とは、位置特定用アンテナ22A、22B内部の回路素子の特性を示す校正係数である。「内部校正係数」には、例えば、アンテナ素子のゲインAs及び位相φs、ケーブルのゲインAc及び位相φc、アンプのゲインAa及び位相φa、ミキサ(周波数変換器)のゲインAm及び位相φm等がある。
「外部校正係数」とは、位置特定用アンテナ22A、22B各々の設置位置及び姿勢(ロール、ピッチ、ヨー)を示す校正係数である。「外部校正係数」には、位置特定用アンテナ22Aの設置位置(Xa、Ya、Za)及び姿勢(ωa、φa、κa)(ω=ロール、φ=ピッチ、κ=ヨー)と、位置特定用アンテナ22Bの設置位置(Xb、Yb、Zb)及び姿勢(ωb、φb、κb)と、がある。
位置特定装置23の位置特定部231は、上述の「内部校正係数」及び「外部校正係数」と、位置特定用アンテナ22A、22Bの各々から入力されたIQ信号に示される電波の位相差と、に基づいて、発振元である車載器A1の空間的位置を特定する処理を行う。
【0094】
ここで、「基準位置」と「評価対象位置」との間に差が生じた場合、上述の「内部校正係数」及び「外部校正係数」のうちの何れか一つ(又は複数)が、現実の位置特定用アンテナ22A、22Bの特性からずれていることが想定される。そこで、係数校正部305は、ステップS26において、「内部校正係数」、「外部校正係数」の値を変化させながら、「基準位置」と「評価対象位置」との差がゼロに近づく各種校正係数の組み合わせを探索する。
【0095】
具体的には、係数校正部305は、まず「内部校正係数」及び「外部校正係数」のうちのいずれか一つを選択し、当該選択した一の校正係数を微小間隔で変更しながら、当該変更後の校正係数を適用して位置特定処理を行う。そして、係数校正部305は、当該位置特定処理により再計算された「評価対象位置」と「基準位置」とを対比して両者の差が小さくなっているか否かを判定しながら、その極小値を得る校正係数の値を探索する。そして、一つの校正係数について極小値が得られた場合は、更に、他の校正係数を選択して同様の処理を繰り返す。
このように、係数校正部305は、「評価対象位置」と「基準位置」との差が最小となる組み合わせを探索する最適化処理により、新たに適用すべき「内部校正係数」及び「外部校正係数」を算出する。係数校正部305は、算出された(最適化された)「内部校正係数」及び「外部校正係数」を位置特定装置23の位置特定部231に向けて出力して更新する。これにより、位置特定部231は、新たに更新された校正係数(実際の位置特定用アンテナ22A、22Bの特性に整合する校正係数)を用いて位置特定処理を行うことができる。
【0096】
(作用・効果)
以上の通り、第3の実施形態に係る評価装置3は、予め用意された「基準位置」と、「評価対象位置」との差に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bによる電波の受信結果に基づく車載器A1の位置の特定に用いる「内部校正係数」及び「外部校正係数」を校正する。
このようにすることで、評価装置3は、位置特定用アンテナ22A、22Bの異常(特性のずれ)を自動的に回復することができる。したがって、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が発生した場合であっても、直ちに車線を封鎖して補修を行わずに済む。
【0097】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態に係る料金収受システムについて、
図26〜
図29を参照しながら説明する。
【0098】
(全体構成)
図26は、第4の実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
図26に示すように、第4の実施形態に係る料金収受システム1は、第1の実施形態(
図1)と同様の構成を備えている。ただし、第4の実施形態に係る評価装置3は、第1〜第3の実施形態(及び各変形例)とは異なり、位置特定装置23のみにアクセスして、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性の評価に必要な情報(車載器位置情報等)を取得する。
また、第4の実施形態に係る料金収受システム1の車両検知器10は、路面からの高さが“高さ判定閾値H”以上である物体の存在を検知したタイミングで車両検知信号を出力する点で第1の実施形態と異なる。ここで、「高さ判定閾値H」とは、「普通自動車」の車種区分に属する車両における路面からボンネットまでの高さに相当する高さを示す値である。
【0099】
なお、第4の実施形態に係る料金収受システム1の機能構成は、第1の実施形態(
図2)と同様である。ここで、第4の実施形態に係る車線サーバ21の料金収受処理部210(
図2参照)は、第1の実施形態と同様に、車両検知器10からの車両検知信号を受信したタイミングで、料金収受用アンテナ20にDSRC送信信号を出力する。このDSRC送信信号は、当該料金収受用アンテナ20を通じて、電波として車載器A1に向けて発信される。そして、車載器A1は、DSRC送信信号に応答して、電波(DSRC受信信号)を発信する。
【0100】
(車両検知器の動作)
図27は、第4の実施形態に係る車両検知器の動作を説明する図である。
以下、第1の実施形態に係る車両検知器10との対比を行いながら、第4の実施形態に係る車両検知器10が有する機能について詳細に説明する。
【0101】
第1の実施形態においては、車両検知器10は、車両Aの車体前端(フロントバンパー部分)が車両検知器10を横切ったタイミングで車両検知信号を出力するものとして説明した(
図7参照)。したがって、
図7に示すように、車載器A1が電波を発信するタイミングにおける普通車両AM(「普通自動車」の車種区分に属する車両A)の車線方向(±X方向)における位置は、車体前端(フロントバンパー部分)が車両検知位置を横切ったタイミングとほぼ一致する。そのため、第1の実施形態では、同タイミングにおける車両検知位置から車載器AM1(A1)までの距離が、普通車両AMの車体前端から運転座席までの距離dMにほぼ一致することを説明した。
【0102】
ここで、第4の実施形態に係る車両検知器10は、上述した通り、路面からの高さが“高さ判定閾値H”以上である物体の存在を検知したタイミングで車両検知信号を出力する。この場合、普通車両AMの車体前端が車両検知位置を横切ったタイミング(
図7に示すタイミング)では、車両検知器10の光軸のうち車体により遮光されている光軸の高さが“高さ判定閾値H”に達していないため、車両検知器10は車両検知信号を出力しない。
他方、
図7に示した時点から普通車両AMが車線下流側(+X方向側)に更に走行し、当該普通車両AMの運転座席付近が車両検知位置に到達したタイミング(
図27に示すタイミング)で、車両検知器10の光軸のうち車体により遮光されている光軸の高さが高さ判定閾値Hに達する。したがって、車両検知器10はこのタイミングで車両検知信号を出力する。
即ち、一般的な普通車両AM(「普通自動車」に属する車両A)は、車体前端(フロントバンパー部分)から車体屋根(ルーフパネル部分)にかけて、ボンネット及びフロントガラスを通じて緩やかに高さが上昇する傾斜面を有している。また、車載器A1が搭載される運転座席付近は、ボンネットよりも上流側となる。したがって、走行中の普通車両AMの車両検知位置における高さが、一般的な「普通自動車」のボンネットの高さとして規定された高さ判定閾値H以上となるタイミングは、当該普通車両AMの運転座席位置が車両検知位置に到達したタイミングにほぼ一致する。つまり、普通車両AMに搭載される車載器AM1が電波を発信するタイミングは、普通車両AMの運転座席が車両検知位置に到達するタイミングと一致する。
【0103】
以上より、第4の実施形態において、普通車両AMが車両検知器10によって検知された時点(即ち、車載器AM1から電波が発信された時点)における車載器AM1の空間的位置から車両検知器10の設置位置(車両検知位置)までの間隔(距離dM’)は、普通車両AMの車体前端から運転座席までの間隔(距離dM)よりも短くなる。
【0104】
また、一般的な大型車両AL(「大型車」に属する車両A)は、車体前端(フロントバンパー部分)から車体屋根(ルーフパネル部分)にかけての斜面が急(ほぼ垂直)であっる。そのため、走行中の大型車両ALの車両検知位置における高さが高さ判定閾値H以上となるタイミングは、第1の実施形態とほぼ変わらない。つまり、大型車両ALに搭載される車載器AL1が電波を発信するタイミングは、大型車両ALの運転座席が車両検知位置に到達するタイミングとほぼ一致する。
以上より、第4の実施形態において、大型車両ALが車両検知器10によって検知された時点(即ち、車載器AL1から電波が発信された時点)における車載器AL1の空間的位置から車両検知器10の設置位置(車両検知位置)までの間隔(距離dL’)は、大型車両ALの車体前端から運転座席までの距離(距離dL)とほぼ同じ長さとなる。
【0105】
第4の実施形態に係る位置特定装置23の制御部233(
図2参照)は、車載器A1が上記タイミング(運転座席位置が車両検知位置に到達したタイミング、
図27参照)で発信する電波に基づいて、車載器A1の空間的位置を特定し、当該空間的位置を示す車載器位置情報を記録媒体234に逐次記録する。
(評価装置の機能構成)
図28は、第4の実施形態に係る評価装置の機能構成を示す図である。
図28に示すように、第4の実施形態に係る評価装置3は、CPU30と、表示部31と、操作受付部32と、メモリ33と、接続インターフェイス34と、を備えている。
また、第4の実施形態に係るCPU30は、車載器位置情報取得部300、及び、評価部303としての機能を発揮する。
【0106】
第4の実施形態に係る車載器位置情報取得部300は、位置特定用アンテナ22A、22Bによる車載器A1からの電波の受信結果に基づいて特定された当該車載器A1の位置を示す車載器位置情報(車載器位置情報テーブル、
図3参照)を取得する。
また、第4の実施形態に係る評価部303は、車載器位置情報取得部300によって取得された車載器位置情報に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価する。
なお、第4の実施形態に係るCPU30は、第1の実施形態に係る車種区分情報取得部301及び評価用位置情報抽出部302としての機能を有していなくともよい。
【0107】
(評価装置の処理フロー)
図29は、第4の実施形態に係る評価装置の処理フローを示す図である。
図29に示す処理フローは、所定のメンテナンス周期ごとに実施される料金収受システム1のメンテナンス作業時に実行される。
まず、評価装置3の車載器位置情報取得部300(
図28)は、位置特定装置23の記録媒体234にアクセスして、当該記録媒体234に蓄積された車載器位置情報テーブル(
図3)を取得する(ステップS31)。
次に、評価装置3の評価部303(
図28)は、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性の評価を行う(ステップS32)。ここで、評価部303は、所定期間内に走行した全ての車両Aについて取得された車載器位置情報を用いて位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性の評価を行う。具体的には、評価部303は、まず、前回車載器位置(ある運用期間中に取得した車載器位置情報に基づく空間的位置)の平均値を「基準位置」として算出する。また、評価部303は、今回車載器位置(上記運用期間後の他の運用期間中に再度取得した車載器位置情報に基づく空間的位置)の平均値を「評価対象位置」として算出する。そして、評価部303は、算出した基準位置と、評価対象位置と、の差を演算するとともに、当該差の演算結果が所定の判定閾値を上回っていた場合には、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が生じている可能性があると判断し、表示部31等を通じてその旨を操作者に通知する。
【0108】
(作用・効果)
以上の通り、第4の実施形態に係る料金収受システム1の車両検知器10は、路面からの高さが、普通自動車における路面からボンネットまでの高さ(高さ判定閾値H)以上である物体の存在を検知したタイミングで車両検知信号を出力する。また、車線サーバ21(料金収受処理部210)は、当該車両検知信号を受信したタイミングで、車線Lに設置された料金収受用アンテナ20を通じて、車載器A1との間で料金収受用の無線通信を行う。
一方、評価装置3は、位置特定用アンテナ22A、22Bによる車載器A1からの電波の受信結果に基づいて特定された当該車載器A1の位置を示す車載器位置情報を取得する車載器位置情報取得部300と、取得された車載器位置情報に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価する評価部303と、を備えている。
以上のような構成によれば、車両検知器10が車両Aの進入を検知するタイミング(車両検知信号を出力するタイミング)が、少なくとも「普通自動車」に属する車両のボンネット部分が車両検知位置を通り過ぎた直後(即ち、運転座席付近)となる。そうすると、車載器A1が電波を発信するタイミングにおける当該車載器A1の空間的位置の分布範囲は、「大型車」、「普通自動車」にかかわらず、車両検知位置の近傍に留められる。したがって、車体形状の相違(特にボンネットの長さ)に起因して生じ得る車載器A1の、車線方向(±X方向)における空間的位置のばらつきを抑制することができる。これにより、車載器位置情報に示される空間的位置の分布を取得時間別に対比することで、位置特定装置23による位置特定処理の経時的な変動を精度良く見分けることができる。
以上より、評価装置3によれば、出口料金所、入口料金所において車線閉鎖を行うことなく、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価することができる。
【0109】
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態に係る料金収受システムについて、
図30〜
図37を参照しながら説明する。
【0110】
(料金収受システムの機能構成)
図30は、第5の実施形態に係る料金収受システム1の機能構成を示す図である。
図30に示すように、第5の実施形態に係る料金収受システム1の車両検知器10は、第4の実施形態と同様に、路面からの高さが“高さ判定閾値H”以上である物体の存在を検知したタイミングで車両検知信号を出力する。また、第5の実施形態に係る車両検知器10は、上記車両検知信号の他、走行する車両Aの車高(路面から屋根までの高さ)を示す車高信号を出力する。ここで、「車高信号」とは、例えば、走行中の車両Aの車体前端が車両検知位置に到達してから車体後端が車両検知位置を離れるまでの間において遮光された光軸のうち最も高い位置の光軸を示す信号としてよい。車両検知器10を構成する各光軸の識別情報と、各光軸が配される実際の高さと、を予め関連付けておくことで、車高信号に基づいて車両検知位置を通過した車両Aの車高を特定することができる。
【0111】
また、第5の実施形態に係る車線サーバ21の料金収受処理部210は、車両検知器10から出力された車高信号を受け付けて車両Aの車高を特定する。そして、料金収受処理部210は、車両Aについて特定した車高を、当該車両AのLID情報、車種区分情報とともに、記録媒体211に記録する。
【0112】
(車線サーバに記録される情報)
図31は、第5の実施形態に係る車線サーバに記録される情報を示す図である。
第5の実施形態に係る料金収受用情報テーブルには、取得時刻(電波の受信時刻)と、LID情報と、車高情報(
図31に示す「車高」)と、料金収受処理に必要な各種情報である車両番号情報、車種区分情報、入口情報等と、が関連付けられて記録されている。ここで、車高情報には、料金収受処理部210が、車両検知器10からの車高信号に基づいて特定した車両Aの車高が記録される。
【0113】
(評価装置の機能構成)
図32は、第5の実施形態に係る評価装置の機能構成を示す図である。
図32に示すように、第5の実施形態に係る評価装置3のCPU30は、第4の実施形態に加え、更に、車高情報取得部306としての機能を発揮する。
車高情報取得部306は、車載器A1を搭載し、車線Lを走行する車両Aの車高を取得する。具体的には、車高情報取得部306は、車線サーバ21の記録媒体211に記録された料金収受用情報テーブル(
図31)を参照して、各LID情報及び各車種区分情報に関連付けられた車高情報を取得する。
【0114】
(評価装置の処理フロー)
図33は、第5の実施形態に係る評価装置の処理フローを示す図である。
また、
図34〜
図37は、それぞれ、第5の実施形態に係る評価装置の動作を説明する第1〜第4の図である。
以下、
図33及び
図34〜
図37を参照しながら、評価装置3の処理について詳細に説明する。
【0115】
評価装置3の車載器位置情報取得部300は、第4の実施形態と同様に、位置特定装置23の記録媒体234にアクセスして、当該記録媒体234に蓄積された車載器位置情報テーブル(
図3)を取得する(ステップS41)。
次に、評価装置3の車高情報取得部306は、記録媒体211に蓄積された料金収受用情報テーブル(
図31)のうち、LID情報と車高情報とを取得する(ステップS42)。
【0116】
ここで、
図34を参照しながら、車高が互いに異なる2つの車両A(普通車両AM、普通車両AM’)が車線Lを走行する場合における、高さ方向(±Z方向)の車載器位置について説明する。
図34に示す例によれば、普通車両AMは、高さZ1の車高を有する車両である。普通車両AMに搭載される車載器AM1は、普通車両AMの運転座席付近、即ち、ルーフパネルの高さ(高さZ1)よりも所定の幅(例えば50cm程度)だけ下の位置に配置される。
また、普通車両AM’は、高さZ2(>Z1)の車高を有する車両である。普通車両AM’に搭載される車載器AM1’は、普通車両AM’の運転座席付近、即ち、ルーフパネルの高さ(高さZ2)よりも所定の幅(例えば50cm程度)だけ下の位置に配置される。この場合、普通車両AM’に搭載される車載器AM1’の高さは、普通車両AMに搭載される車載器AM1の高さよりも高い位置に配置される。
このように、車載器A1の高さ方向における位置は、搭載される車両Aの車高との相関性を有している。即ち、車両Aの車種区分にかかわらず、車高が高い車両Aに搭載される車載器A1は、相対的に高い位置に存在し、車高が低い車両Aに搭載される車載器A1は、相対的に低い位置に存在する。
【0117】
図35は、ある期間内(例えば、1ヶ月間)に車線Lを走行した全ての車両Aについて取得された車載器位置情報に示される空間的位置をX−Z座標平面上にプロットした散布図である。
図34を用いて説明した通り、車載器A1の空間的位置は、車線Lを走行する車両Aの車高(高さZ1、Z2等)に依存して変化する。そのため、
図35に示すように、位置特定装置23(位置特定部231)によって特定された車載器A1の空間的位置は、車両Aの車高のばらつきに起因して高さ方向に広がるように分布する。
なお、
図35においては、第4の実施形態に係る車両検知器10の機能(
図27参照)により、車体形状(特にボンネットの長さ)に起因して生じ得る車載器A1の、車線方向における空間的位置のばらつきが抑制されている。
【0118】
次に、
図33において、評価装置3の評価部303は、ステップS42で取得された車高情報に基づいて、ステップS41で取得された車載器位置情報の高さ方向成分(Z軸成分)を補正する(ステップS43)。
具体的には、評価部303は、車高情報に示される車高(
図34に示す高さZ1、Z2等)と、当該車高情報に関連する(共通するLID情報で紐付けられる)車載器位置情報の高さ方向成分との偏差を演算する。例えば、車高情報により車高が“Z1”と特定された車両Aに搭載された車載器A1の空間的位置の高さ方向成分が“z1”であった、評価部303は、Z1−z1を演算する。そして、評価部303は、算出した偏差を、車載器位置情報の高さ方向成分(Z軸成分)とする。
【0119】
ここで、
図36は、高さ方向成分(Z軸成分)においてステップS43の補正処理がなされた後の車載器位置情報に示される空間的位置をX−Z座標平面上にプロットした散布図である。
上述の通り、取得された複数の車載器位置情報の高さ方向成分を、車両Aの車高を示す値(高さZ1、Z2等)との偏差に補正した結果、当該車載器位置情報に示される空間的位置の高さ方向(±Z方向)のばらつきが抑制され、その分布範囲は、高さ方向(±Z方向)の所定位置近傍に狭められる。
【0120】
次に、
図33において、評価装置3の評価部303は、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性の評価を行う(ステップS44)。
ここで、
図37に示す散布図の黒丸のプロット群は、ある運用期間中に取得した補正処理後の車載器位置情報に基づく空間的位置(前回車載器位置)の、X−Z座標平面上における分布を示している。また、
図37に示す散布図の白丸のプロット群は、上記運用期間後の他の運用期間中に再度取得した補正処理後の車載器位置情報に基づく空間的位置(今回車載器位置)の、X−Z座標平面上における分布を示している。
ステップS44の処理において、評価部303は、第4の実施形態と同様に、前回車載器位置の平均値である「基準位置」と、今回車載器位置の平均値である「評価対象位置」と、の差を演算する。そして、評価部303は、「基準位置」と「評価対象位置」との差の演算結果が所定の判定閾値を上回っていた場合には、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が生じている可能性があると判断し、表示部31等を通じてその旨を操作者に通知する。
なお、
図37には、「基準位置」、「評価対象位置」の各々の高さ方向成分(Z軸成分)のみを図示しているが、「基準位置」、「評価対象位置」は、実際には、車線方向成分(X軸成分)及び車線幅方向成分(Y軸成分)を含む座標情報である。即ち、評価部303は、車線方向成分(X軸成分)、車線幅方向成分(Y軸成分)及び高さ方向成分(Z軸成分)から特定される、「基準位置」、「評価対象位置」それぞれの座標位置(X、Y、Z)の差の絶対値を算出する。
【0121】
(作用・効果)
以上の通り、第5の実施形態に係る料金収受システム1の評価装置3は、車載器A1を搭載する車両Aの車高を取得する車高情報取得部306を更に備えている。また、評価装置3の評価部303は、車両Aの車高に基づいて、車載器位置情報の高さ方向成分(Z軸成分)を補正するとともに、当該補正がなされた車載器位置情報に基づいて、位置特定用アンテナ22A、22Bの健全性を評価する。
このようにすることで、車線Lを走行する車両Aの車高の相違に起因して生じ得る車載器位置情報の高さ方向成分のばらつきが補正処理(ステップS43)を通じて抑制される(
図35、
図36参照)。したがって、車載器位置情報に示される空間的位置を取得時間別に対比することで、位置特定装置23による位置特定処理の経時的な変動を一層精度良く見分けることができる。
【0122】
以上、第4、第5の実施形態に係る料金収受システム1について詳細に説明したが、当該料金収受システム1は、更に、他の機能構成を具備する態様としてもよい。
【0123】
例えば、第4、第5の実施形態に係る料金収受システム1は、更に、上述の第2の実施形態で説明した車線幅方向位置情報取得部304を備えていてもよい。このようにすることで、車線Lを走行する車両Aの車線幅方向の位置の相違に起因して生じ得る車載器位置情報の車線幅方向成分のばらつきが抑制される(
図17、
図18参照)。したがって、車載器位置情報に示される空間的位置を取得時間別に対比することで、位置特定装置23による位置特定処理の経時的な変動を一層精度良く見分けることができる。
【0124】
また、第4、第5の実施形態に係る料金収受システム1は、更に、上述の第3の実施形態で説明した係数校正部305を備えていてもよい。このようにすることで、評価装置3は、位置特定用アンテナ22A、22Bの異常(特性のずれ)を自動的に回復することができる。したがって、位置特定用アンテナ22A、22Bに異常が発生した場合であっても、直ちに車線を封鎖して補修を行わずに済む。
【0125】
また、第5の実施形態に係る料金収受システム1は、車両検知器10からの車高信号に基づいて、走行する車両Aの車高を特定するものとして説明した。しかしながら、通常、車両検知器10が特定できる高さの最大値は、「大型車」に属する車両Aの実際の車高よりも低いことが想定される。したがって、第5の実施形態に係る車両検知器10は、「大型車」に属する車両Aの車高については、一律に、検出可能な高さの最大値を示す車高信号を送信するようにしてもよい。
【0126】
また、上述の各実施形態においては、評価装置3は、位置特定装置23、車線サーバ21等に対し、有線ケーブル等を介して各々の記録媒体(記録媒体234、記録媒体211等)にアクセスし、各種情報を取得するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。例えば、他の実施形態においては、持ち運び可能な記録メディア(一般的なUSBメモリ等)を使用して、管理者が、位置特定装置23、車線サーバ21等に蓄積された各種情報を評価装置3に移す態様としてもよい。
【0127】
また、上述の各実施形態においては、上述した評価装置3の各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0128】
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。更に、評価装置3は、1台のコンピュータで構成されていても良いし、通信可能に接続された複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0129】
以上のとおり、本発明に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。