【実施例】
【0046】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。なお、各実施例及び比較例中、特にことわらない限り「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。各種分散液と塗工液を以下のように調製した
【0047】
[各塗工液の調製]
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、下塗り層用塗工液1〜2を調製した。
<下塗り層用塗工液1>
焼成カオリン(BASF社製、商品名:アンシレックス90) 100.0部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン社製、
商品名:ST5526、固形分48%) 10.0部
水 50.0部
<下塗り層用塗工液2>
焼成カオリン(BASF社製、商品名:アンシレックス90) 50.0部
プラスチック中空粒子(日本ゼオン社製、商品名:Nipol MH8108A、
中空率50%、固形分27%) 185.0部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン社製、
商品名:ST5526、固形分48%) 10.0部
【0048】
下記配合の顕色剤分散液(A1液〜A8液)、ロイコ染料分散液(B液)および増感剤分散液(C液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径0.5ミクロンになるまで湿式磨砕を行った。
【0049】
顕色剤分散液1(A1液)
4−ヒドロキシ−4'−ベンジルオキシジフェニルスルホン(日華化学社製、
商品名:BPS−MA3) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:PVA117、
固形分10%) 5.0部
水 1.5部
顕色剤分散液2(A2液)
化学式(化2)で表されるウレアウレタン系化合物(ケミプロ化成社製、
商品名:UU) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)5.0部
水 1.5部
顕色剤分散液3(A3液)
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン(日華化学社製、
商品名:BPS−P(T)) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)5.0部
水 1.5部
顕色剤分散液4(A4液)
4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン(三菱化学社製、
商品名:TOMILAC KN) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)5.0部、
水 1.5部
顕色剤分散液5(A5液)
ジフェニルスルホン架橋型化合物(日本曹達社製、商品名:D90) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)5.0部
水 1.5部
【0050】
顕色剤分散液6(A6液)
化学式(化8)で表されるウレア系化合物(エーピーアイコーポレーション社製、
商品名:SU727) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)5.0部
水 1.5部
【化8】
【0051】
顕色剤分散液7(A7液)
4−ヒドロキシフェニル−4'−フェノキシフェニルスルホン(化学式(化9))
6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)5.0部
水 1.5部
【化9】
【0052】
顕色剤分散液8(A8液)
2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン(日華化学社製、
商品名:BPS−24C) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)5.0部
水 1.5部
【0053】
ロイコ染料分散液(B液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化成社製、
商品名:ODB−2) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)5.0部
水 1.5部
増感剤分散液(C液)
1,2−ビス−(3−メチルフェノキシ)エタン(三光社製、
商品名:KS232) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)5.0部
水 1.5部
【0054】
次いで、下記の割合で各分散液を混合して感熱記録層塗工液1〜9を調製した。
<感熱記録層塗工液1>
顕色剤分散液(A1液) 18.0部
顕色剤分散液(A2液) 18.0部
ロイコ染料分散液(B液) 18.0部
増感剤分散液(C液) 9.0部
シリカ分散液(水澤化学社製、商品名:ミズカシルP−537、固形分25%)
17.5部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)
25.0部
【0055】
<感熱記録層塗工液2>
顕色剤分散液(A1液) 36.0部
ロイコ染料分散液(B液) 18.0部
増感剤分散液(C液) 9.0部
シリカ分散液(水澤化学社製、ミズカシルP−537) 17.5部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)
25.0部
【0056】
<感熱記録層塗工液3>
顕色剤分散液(A2液) 36.0部
ロイコ染料分散液(B液) 18.0部
増感剤分散液(C液) 9.0部
シリカ分散液(水澤化学社製、ミズカシルP−537) 17.5部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)
25.0部
【0057】
<感熱記録層塗工液4>
顕色剤分散液(A3液) 18.0部
顕色剤分散液(A2液) 18.0部
ロイコ染料分散液(B液) 18.0部
増感剤分散液(C液) 9.0部
シリカ分散液(水澤化学社製、ミズカシルP−537) 17.5部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)
25.0部
【0058】
<感熱記録層塗工液5>
顕色剤分散液(A4液) 18.0部
顕色剤分散液(A2液) 18.0部
ロイコ染料分散液(B液) 18.0部
増感剤分散液(C液) 9.0部
シリカ分散液(水澤化学社製、ミズカシルP−537) 17.5部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)
25.0部
【0059】
<感熱記録層塗工液6>
顕色剤分散液(A5液) 18.0部
顕色剤分散液(A2液) 18.0部
ロイコ染料分散液(B液) 18.0部
増感剤分散液(C液) 9.0部
シリカ分散液(水澤化学社製、ミズカシルP−537) 17.5部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)
25.0部
【0060】
<感熱記録層塗工液7>
顕色剤分散液(A1液) 18.0部
顕色剤分散液(A6液) 18.0部
ロイコ染料分散液(B液) 18.0部
増感剤分散液(C液) 9.0部
シリカ分散液(水澤化学社製、ミズカシルP−537) 17.5部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)
25.0部
【0061】
<感熱記録層塗工液8>
顕色剤分散液(A1液) 18.0部
顕色剤分散液(A2液) 18.0部
ロイコ染料分散液(B液) 18.0部
増感剤分散液(C液) 9.0部
シリカ分散液(水澤化学社製、ミズカシルP−537) 7.5部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)
25.0部
【0062】
<感熱記録層塗工液9>
顕色剤分散液(A7液) 18.0部
顕色剤分散液(A2液) 18.0部
ロイコ染料分散液(B液) 18.0部
増感剤分散液(C液) 9.0部
シリカ分散液(水澤化学社製、ミズカシルP−537) 17.5部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117)
25.0部
【0063】
次いで、下記割合からなる配合物を混合して保護層塗工液を調製した。
<保護層塗工液>
水酸化アルミニウム分散液(マーティンスベルグ社製、
商品名:マーティフィンOL、固形分50%) 9.0部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:KL318、
重合度:約1800、鹸化度:85〜90mol%、固形分10%)30.0部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC社製、商品名:WS4030、
固形分25%) 4.0部
変性ポリアミン樹脂(田岡化学社製、商品名:スミレーズレジンSPI−102A、
固形分45%) 2.2部
ステアリン酸亜鉛(中京油脂社製、商品名:ハイドリンZ−7−30、
固形分30%) 2.0部
【0064】
[実施例1]
支持体(坪量47g/m
2の上質紙)の片面に、下塗り層用塗工液1を、固形分で塗工量10.0g/m
2となるようにベントブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、下塗り層塗工紙を得た。
この下塗り層塗工紙の下塗り層上に、感熱記録層塗工液1を固形分で塗工量6.0g/m
2となるようにロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行い、スーパーカレンダーで平滑度が500〜1000秒になるように処理して感熱記録体を作製した。
【0065】
[実施例2]
感熱記録層塗工液1中の顕色剤分散液(A1液)の配合量を31.5部、顕色剤分散液(A2液)の配合量を4.5部にした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例3]
感熱記録層塗工液1中の顕色剤分散液(A1液)の配合量を25.5部、顕色剤分散液(A2液)の配合量を10.5部にした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例4]
感熱記録層塗工液1中の顕色剤分散液(A1液)の配合量を4.5部、顕色剤分散液(A2液)の配合量を31.5部にした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0066】
[実施例5]
下塗り層用塗工液1の代わりに下塗り層用塗工液2中の焼成カオリンの配合量を80.0部、プラスチック中空粒子の配合量を74.0部に代え、水を81.0部に代えた塗工液を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例6]
下塗り層用塗工液1の代わりに下塗り層用塗工液2を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例7]
下塗り層用塗工液1の代わりに下塗り層用塗工液2中の焼成カオリンの配合量を0部、プラスチック中空粒子の配合量を370.0部に代えた塗工液を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0067】
[実施例8]
支持体(坪量47g/m
2の上質紙)の片面に、下塗り層用塗工液1を、固形分で塗工量10.0g/m
2となるようにベントブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、下塗り層塗工紙を得た。
この下塗り層塗工紙の下塗り層上に、感熱記録層塗工液8を固形分で塗工量6.0g/m
2となるようにロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行い、スーパーカレンダーで平滑度が500〜1000秒になるように処理して感熱記録層塗工紙を作製した。
次いで、この感熱記録層塗工紙の感熱記録層上に、保護層塗工液を、固形分で塗工量2.0g/m
2となるように、ロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、感熱記録体を作製した。
[実施例9]
感熱記録層塗工液8中の顕色剤分散液(A1液)の配合量を31.5部、顕色剤分散液(A2液)の配合量を4.5部にした以外は、実施例8と同様にして感熱記録体を作製した。
【0068】
[比較例1]
感熱記録層塗工液1の代わりに感熱記録層塗工液2を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例2]
感熱記録層塗工液1の代わりに感熱記録層塗工液3を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例3]
感熱記録層塗工液1の代わりに感熱記録層塗工液4を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例4]
感熱記録層塗工液1の代わりに感熱記録層塗工液5を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0069】
[比較例5]
感熱記録層塗工液1の代わりに感熱記録層塗工液6を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例6]
感熱記録層塗工液1の代わりに感熱記録層塗工液7を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例7]
感熱記録層塗工液1の代わりに感熱記録層塗工液9を使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0070】
[比較例8]
感熱記録層塗工液1中の顕色剤分散液(A2液)を顕色剤分散液(A3液)に代えたものを使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例9]
感熱記録層塗工液1中の顕色剤分散液(A2液)を顕色剤分散液(A8液)に代えたものを使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例10]
感熱記録層塗工液1中の顕色剤分散液(A2液)を顕色剤分散液(A4液)に代えたものを使用した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0071】
[比較例11]
感熱記録層塗工液1中の顕色剤分散液(A1液)を顕色剤分散液(A3液)に代えたものを使用した以外は、実施例6と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例12]
感熱記録層塗工液1中の顕色剤分散液(A1液)を顕色剤分散液(A4液)に代えたものを使用した以外は、実施例6と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例13]
感熱記録層塗工液1中の顕色剤分散液(A2液)を顕色剤分散液(A3液)に代えたものを使用した以外は、実施例6と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例14]
感熱記録層塗工液1中の顕色剤分散液(A2液)を顕色剤分散液(A4液)に代えたものを使用した以外は、実施例6と同様にして感熱記録体を作製した。
【0072】
作製した感熱記録体について、下記評価を行った。
<発色性能(印字濃度)>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.35mJ/dot、印字速度50mm/secで市松模様を印字した。
印字部の印字濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、発色性能(印字濃度)を評価した。
【0073】
<白紙部の耐熱性>
作製した感熱記録体について、80℃又は90℃の環境条件下で24時間処理した後、23℃×50%RH環境条件下に3時間静置した。
非印字部(白紙部)の濃度をマクベス濃度計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し、処理前後の値の差から地色発色値を算出し、下記の基準で非印字部(白紙部)の耐熱性を評価した。
地色発色値=(処理後の非印字部の濃度)−(処理前の非印字部の濃度)
優:地色発色値が0.1未満
良:地色発色値が0.1以上0.3未満
可:地色発色値が0.3以上0.5未満
不可:地色発色値が0.5以上
【0074】
<バーコード読み取り適性>
作製した感熱記録体を下記(1)〜(3)の環境条件下に置いた後、ゼブラ社製ラベルプリンタ140XiIIIを用い、印字レベル+10、印字速度15.2cm/秒(6インチ/秒)でバーコード(CODE39)を印字した。
(1)23℃×50%RH環境条件下に3時間静置した。
(2)80℃環境条件下に24時間置いた後、23℃×50%RH環境条件下に3時間静置した。
(3)50℃×90%RH環境条件下に24時間置いた後、23℃×50%RH環境条件下に3時間静置した。
【0075】
次いで、印字されたバーコードをバーコード検証機(Honeywell社製、QCPC600、光源640nm)で読み取り試験を実施し、バーコード読み取り適性を評価した。評価結果をANSI規格のシンボルグレードで記した。
シンボルグレード:バーコードをバーと垂直方向に10分割して、各箇所1回ずつ読み取り試験を実施し、その平均値を(優)A、B、C、D、F(劣)の5段階評価で表す。
【0076】
評価結果を表1に示す。
【表1】
【0077】
表1から、支持体上に下塗り層を設け、この下塗り層上に設けた感熱記録層に顕色剤として一般式(化1)で表されるスルホン化合物及び一般式(化2)で表されるウレアウレタン系化合物を特定比で含有させた場合には、過酷な環境下における発色性能、特にバーコード読み取り適性及び白紙部の耐熱性がバランスよく改善されていることがわかる(実施例1〜4,8,9)。
更に、下塗り層に特定量のプラスチック中空粒子を含有させた場合には、過酷な環境下における白紙部の耐熱性(特に、90℃における白紙部の耐熱性)が更に改善されていることがわかる(実施例6,7)。