(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773571
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23D 14/08 20060101AFI20201012BHJP
F23N 5/24 20060101ALI20201012BHJP
F23N 5/12 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
F23D14/08 E
F23N5/24 106A
F23N5/12 G
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-10108(P2017-10108)
(22)【出願日】2017年1月24日
(65)【公開番号】特開2018-119703(P2018-119703A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】浅井 佑介
【審査官】
吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−042923(JP,A)
【文献】
特開2011−127863(JP,A)
【文献】
特開平08−200834(JP,A)
【文献】
特開平08−200629(JP,A)
【文献】
特開平06−272824(JP,A)
【文献】
特開2011−133116(JP,A)
【文献】
特開2014−043986(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0115093(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/08
F23N 5/12
F23N 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼筐を備え、燃焼筐内に、燃焼筐内の空間を燃焼室と燃焼室の下側の給気室とに仕切る仕切板が設けられ、上端部に、理論空燃比より燃料濃度が希薄な淡混合気を噴出する前後方向に長手の淡炎口と、淡炎口の横方向両外側に位置し、淡混合気に比し燃料濃度の濃い濃混合気を噴出する濃炎口とを有する濃淡バーナが燃焼室に横方向に並べて複数本並設され、給気室から仕切板に形成した多数の分布孔を介して燃焼室に二次空気が供給されるようにした燃焼装置であって、
複数の濃淡バーナのうちの一部の特定濃淡バーナの前後一方の端部寄りの部分の上方位置で横方向にのびる検知ロッド部を有するフレームロッドと、燃焼筐の前後一方の板部の内側に配置される位置決め枠とを備え、この位置決め枠に、各濃淡バーナの前後一方の端部とこれに隣接する濃淡バーナの前後一方の端部との間の隙間の上部に挿入されて各濃淡バーナを横方向に位置決めする爪片が設けられるものにおいて、
特定濃淡バーナを位置決めする特定爪片に、当該特定濃淡バーナの濃炎口の外側に位置するバーナ側板部の前後一方の端部に設けられる横方向内側に湾曲するコーナーアール部に接する部分に位置させて、このコーナーアール部に沿って下方から上方に二次空気が流れることを許容する通気間隙を確保するための切欠き部が形成されることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
請求項1記載の燃焼装置であって、前記フレームロッドは、前記特定濃淡バーナとこれに隣接する非特定濃淡バーナとの間の隙間の上方位置で、燃焼筐の前後一方の板部に向けて屈曲する前後方向に長手の軸部を有するものにおいて、前記爪片のうち軸部の直下に位置する第2の特定爪片は、特定濃淡バーナのバーナ側板部の前後一方の端部のコーナーアール部と非特定濃淡バーナのバーナ側板部の前後一方の端部のコーナーアール部との間に位置する部分が全幅に亘って切除されることを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃焼装置であって、前記前後一方は前方であり、前記仕切板の前端に、上方にのびる起立板部と、起立板部の上端から前方に屈曲して前記燃焼筐の前板部に達する上板部とが設けられ、上板部に、前記給気室から前板部の内面に沿うように冷却用の空気を流す通気孔が横方向に間隔を存して複数形成されるものにおいて、各通気孔の面積を前記切欠き部で確保される前記通気間隙の面積より小さくすることを特徴とする燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃淡バーナを備える燃焼装置であって、酸欠時の燃焼停止のためにフレームロッドを設けるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃焼装置として、燃焼筐を備え、燃焼筐内に、燃焼筐内の空間を燃焼室と燃焼室の下側の給気室とに仕切る仕切り板が設けられ、燃焼室内に濃淡バーナが横方向に並べて複数本並設され、給気室から仕切り板に形成した多数の分布孔を介して燃焼室に二次空気が供給されるようにしたものは知られている。尚、濃淡バーナは、上端部に、理論空燃比より燃料濃度が希薄な淡混合気を噴出する前後方向に長手の淡炎口と、淡炎口の横方向両外側に位置し、淡混合気に比し燃料濃度の濃い濃混合気を噴出する一対の濃炎口とを有するバーナである。
【0003】
また、このような燃焼装置において、複数の濃淡バーナのうちの一部の特定濃淡バーナの前後一方の端部寄りの部分の上方位置で横方向にのびる検知ロッド部を有するフレームロッドを備え、酸欠時の火炎リフトでフレームロッドが火炎を検知しなくなったときに、燃焼を停止させるようにしたものも知られている。
【0004】
ところで、酸欠時には一次空気中の酸素が不足し、燃焼速度が混合気の噴出速度を下回る状態となって火炎リフトを生ずる。特に、濃淡バーナでは、淡炎口上に形成される淡火炎の方が濃炎口上に形成される濃火炎よりも先にリフトする。この場合、フレームロッドは、濃火炎までがリフトしないと、火炎検知してしまうため、燃焼が停止されない。ここで、酸欠時には、濃炎口に形成される濃火炎が二次空気を求めて外側に広がる。そして、二次空気の供給量が多いと、濃炎口の外側のバーナ側板部に沿って上方に流れる二次空気により濃火炎が外側からめくり上げられ、更に、二次空気によって濃炎口が冷却されて燃焼速度が遅くなるため、濃火炎がリフトしやすくなる。
【0005】
そこで、特許文献1により、特定濃淡バーナのフレームロッドの検知ロッド部が臨む部分(フレームロッド設置部分)に流れる二次空気が通過する仕切り板の部分に、分布孔を仕切板単位面積当たりの分布孔の開口面積が他の部分よりも大きくなるように形成したものが知られている。そして、特許文献1に記載のものでは、特定濃淡バーナのフレームロッド設置部分への二次空気の供給量が他の部分よりも多くなるため、フレームロッド設置部分において、淡火炎だけでなく濃火炎も酸欠初期段階でリフトして、フレームロッドが火炎を検知しなくなるとしている。
【0006】
然し、実際には、ある程度酸欠が進行しないと、フレームロッド設置部分での濃火炎のリフトを生じないことが判明した。その理由は以下の通りである。即ち、燃焼装置では、一般的に、燃焼筐の前後一方の板部の内側に配置される位置決め枠に、各濃淡バーナの前後一方の端部とこれに隣接する濃淡バーナの前後一方の端部との間の隙間の上部に挿入されて各濃淡バーナを横方向に位置決めする爪片を設けている。そのため、特定濃淡バーナのフレームロッド設置部分への二次空気の供給量を多くしても、特定濃淡バーナの前後一方の端部への二次空気の供給が爪片により妨げられて、濃炎口の前後一方の端部では、濃火炎がリフトしにくくなる。そして、濃炎口の前後一方の端部の濃火炎による保炎作用でフレームロッド設置部分での濃火炎のリフトが遅れてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−252671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、特定濃淡バーナの濃炎口の前後一方の端部で酸欠時に濃火炎を早期にリフトさせて、フレームロッド設置部分での濃火炎のリフトの遅れを防止できるようにした燃焼装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、燃焼筐を備え、燃焼筐内に、燃焼筐内の空間を燃焼室と燃焼室の下側の給気室とに仕切る仕切板が設けられ、上端部に、理論空燃比より燃料濃度が希薄な淡混合気を噴出する前後方向に長手の淡炎口と、淡炎口の横方向両外側に位置し、淡混合気に比し燃料濃度の濃い濃混合気を噴出する濃炎口とを有する濃淡バーナが燃焼室に横方向に並べて複数本並設され、給気室から仕切板に形成した多数の分布孔を介して燃焼室に空気が供給されるようにした燃焼装置であって、複数の濃淡バーナのうちの一部の特定濃淡バーナの前後一方の端部寄りの部分の上方位置で横方向にのびる検知ロッド部を有するフレームロッドと、燃焼筐の前後一方の板部の内側に配置される位置決め枠とを備え、この位置決め枠に、各濃淡バーナの前後一方の端部とこれに隣接する濃淡バーナの前後一方の端部との間の隙間の上部に挿入されて各濃淡バーナを横方向に位置決めする爪片が設けられるものにおいて、特定濃淡バーナを位置決めする特定爪片に、当該特定濃淡バーナの濃炎口の外側に位置するバーナ側板部の前後一方の端部に設けられる横方向内側に湾曲するコーナーアール部に接する部分に位置させて、このコーナーアール部に沿って下方から上方に二次空気が流れることを許容する通気間隙を確保するための切欠き部が形成されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、特定爪片に形成した切欠き部により確保される通気間隙を通して特定濃淡バーナのバーナ側板部のコーナーアール部に沿って下方から上方に二次空気が流れる。そして、この二次空気の影響により、特定濃淡バーナの濃炎口の前後一方の端部で酸欠時に濃火炎が早期にリフトする。そのため、濃炎口の前後一方の端部の濃火炎による保炎作用でフレームロッド設置部分での濃火炎のリフトが遅れることを防止できる。その結果、酸欠初期段階でフレームロッドが火炎を検知しなくなり、安全である。
【0011】
ところで、フレームロッドは、特定濃淡バーナとこれに隣接する非特定濃淡バーナとの間の隙間の上方位置で、燃焼筐の前後一方の板部に向けて屈曲する前後方向に長手の軸部を有している。この軸部は、特定濃淡バーナの濃火炎と非特定濃淡バーナの濃火炎との両者で炙られるため、かなり高温になる。その結果、軸部が高温酸化して酸化物が析出し、電流が流れにくくなって、フレームロッドの機能が損なわれることがある。
【0012】
そのため、フレームロッドの軸部の直下に位置する第2の特定爪片は、特定濃淡バーナのバーナ側板部の前後一方の端部のコーナーアール部と非特定濃淡バーナのバーナ側板部の前後一方の端部のコーナーアール部との間に位置する部分が全幅に亘って切除されることが望ましい。これによれば、軸部に向けて流れる二次空気量が多くなり、軸部がこの二次空気で冷却されて、酸化物の析出を抑制することができる。
【0013】
ところで、上記前後一方が前方であって、仕切板の前端に、上方にのびる起立板部と、起立板部の上端から前方に屈曲して燃焼筐の前板部に達する上板部とが設けられ、上板部に、給気室から前板部の内面に沿うように冷却用の空気を流す通気孔が横方向に間隔を存して複数形成される場合、以下の不具合を生ずることがある。即ち、酸欠時は、濃炎口の前端部の濃火炎が二次空気を求めて前方に広がる。そして、通気孔から上方に流れる空気量が多いと、濃火炎が前板部に近付いて、前板部の過熱を生ずる。そこで、通気孔からの空気量を少なくするため、各通気孔の面積を上記切欠き部で確保される通気間隙の面積より小さくすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】
図2のIII−III線で切断した切断側面図。
【
図6】
図3のVI―VI線で切断した要部の拡大切断平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1乃至
図4を参照して、本発明の実施形態の燃焼装置は、燃焼筐1を備えている。燃焼筐1は、前面上部の前板部11と、横方向両側の側板部12,12と、後板部13と、底板部14とを有し、更に、上端に給湯用等の熱交換器(図示省略)を接続するための接続フランジ部15を有している。また、燃焼筐1内には、燃焼筐1内の空間を燃焼室1aと燃焼室1aの下側の給気室1bとに仕切る仕切板2が設けられている。給気室1bの底面、即ち、底板部14には燃焼ファン(図示省略)が接続される。そして、給気室1bに燃焼ファンから供給される空気が仕切板2に形成した多数の分布孔21を介して燃焼室1aに二次空気として供給されるようにしている。
【0016】
燃焼室1aには、前後方向に長手の濃淡バーナ3が横方向に並べて複数本並設されている。各濃淡バーナ3は、
図5に示す如く、上端部に、理論空燃比より燃料濃度が希薄な淡混合気を噴出する前後方向に長手の淡炎口31と、淡炎口31の横方向両外側に位置し、淡混合気に比し燃料濃度の濃い濃混合気を噴出する一対の濃炎口32,32とを有している。尚、淡炎口31内には、横方向に間隔を存して複数の整流板311が装着され、更に、淡炎口31の両側部には、混合気が噴出しない還流域312が設けられている。また、バーナ3の下部前端には、淡炎口31に連なる第1流入口33と、第1流入口33の上側に位置する、濃炎口32に連なる第2流入口34とが設けられている。更に、濃炎口32の外側に位置するバーナ側板部35の前後の各端部には、濃淡バーナ3の前後各端の重ね合せフランジ部36に向けて横方向内側に湾曲するコーナーアール部35aが設けられている。
【0017】
また、仕切板2の前端には、上方にのびる起立板部22と、起立板部22の上端から前方に屈曲して燃焼筐1の前板部11の下端に達する上板部23とが設けられている。尚、本実施形態では、上板部23の前端を上方に屈曲させて前板部11を一体に形成している。起立板部22には、各濃淡バーナ3の第1と第2の流入口33,34に合致する開口24,25が形成され、更に、起立板部22の前方には、燃焼筐1の下部前面を塞ぐようにしてマニホールド4が装着されている。また、上板部23の前端近傍には、給気室1bから前板部11の内面に沿うように冷却用の空気を流す通気孔26が横方向に間隔を存して複数形成されている。
【0018】
マニホールド4には、各濃淡バーナ3の第1と第2の流入口33,34に臨む第1と第2のガスノズル41,42が設けられている。そして、第1と第2の各ガスノズル41,42から第1と第2の各流入口33,34に燃料ガスが供給されると共に、給気室1bから起立板部22とマニホールド4との間に画成される空隙を介して各流入口33,34に一次空気が供給されるようにしている。尚、
図1ではマニホールド4を省略している。
【0019】
燃焼筐1の前板部11には、点火電極5とフレームロッド6と覗き窓7とが配置されている。また、燃焼筐1には、前板部11の内側と後板部13の内側とに位置させて、前側の位置決め枠8と後側の位置決め枠9とが配置されている。各位置決め枠8,9の上端には、各濃淡バーナ3の前後の各端部とこれに隣接する濃淡バーナ3の前後の各端部との間の隙間の上部に挿入される爪片81,91が複数曲成されており、これら爪片81,91により各濃淡バーナ3が横方向に位置決めされる。
【0020】
尚、前側の位置決め枠8の爪片81の左右の各側縁の前半部には、仕切板2の上板部23に形成した通気孔26からの空気が流れる切欠き部82が形成されている。また、後側の位置決め枠9の横方向両側部には、バーナ配置部を横方向両側から挟む一対の側板部92,92が曲成されている。そして、後側の位置決め枠9を、各側板部92の前端部921で前側の位置決め枠8と共に前板部11にビス93止めし、更に、各側板部92の後部下端に延出した舌片部922で仕切板2にビス94止めしている。また、燃焼筐1の前板部11と後板部13の上部内面は、遮熱板111,131で覆われている。
【0021】
次に、フレームロッド6について詳述する。
図2を参照して、フレームロッド6は、複数の濃淡バーナ3のうちの隣接する2個の特定濃淡バーナ3A,3Aの前端部寄りの部分の上方位置で横方向にのびる検知ロッド部61と、一方の特定濃淡バーナ3Aとこれに隣接する非特定濃淡バーナ3との間の隙間の上方位置で前板部11に向けて屈曲する前後方向に長手の軸部62とを有し、軸部62において前板部11に碍子を介して貫通支持される。そして、酸欠時の火炎リフトでフレームロッド6が火炎を検知しなくなったとき、即ち、フレームロッド6と特定濃淡バーナ3Aとの間に火炎を介して流れるフレーム電流がフレームロッド6よりも上方への火炎リフトで所定の閾値以下に低下したとき、濃淡バーナ3へのガス供給を停止するようにしている。
【0022】
ところで、濃淡バーナ3では、酸欠時に淡炎口31上に形成される淡火炎の方が濃炎口32上に形成される濃火炎よりも先にリフトする。この場合、フレームロッド6は、濃火炎までがリフトしないと、火炎検知してしまう。ここで、濃火炎は、酸欠時に二次空気を求めて外側に広がる。そして、濃炎口32の外側のバーナ側板部35に沿って上方に流れる二次空気によって濃火炎が外側からめくり上げられ、更に、二次空気によって濃炎口32が冷却されて燃焼速度が遅くなるため、濃火炎がリフトする。
【0023】
然し、各濃淡バーナ3の前後の各端部では、各位置決め枠8,9に設けた爪片81,91により二次空気の供給が妨げられ、酸欠時に濃炎口32の前後の各端部で濃火炎がリフトしにくくなる。そして、特定濃淡バーナ3Aの濃炎口32の前端部で濃火炎がリフトしにくくなると、この濃火炎による保炎作用で特定濃淡バーナ3Aの前端部近傍のフレームロッド設置部分(検知ロッド部61が臨む部分)での濃火炎のリフトが遅れてしまう。
【0024】
そこで、本実施形態では、
図6に示す如く、前側の位置決め枠8の爪片81のうち特定濃淡バーナ3Aを位置決めする特定爪片81Aに、当該特定濃淡バーナ3Aのバーナ側板部35の前端のコーナーアール部35aに接する部分に位置させて、このコーナーアール部35aに沿って下方から上方に二次空気が流れることを許容する通気間隙83aを確保するための切欠き部83を形成している。尚、特定爪片81Aは、特定濃淡バーナ3のバーナ側板部35に、前端のコーナーアール部35aの後側の曲げ基端部において接する接触部84を有する。
【0025】
本実施形態によれば、特定爪片81Aに形成した切欠き部83により確保される通気間隙83aを通して特定濃淡バーナ3Aのバーナ側板部35の前端のコーナーアール部35aに沿って下方から上方に二次空気が流れる。そして、この二次空気の影響により、特定濃淡バーナ3Aの濃炎口32の前端部で酸欠時に濃火炎が早期にリフトする。そのため、濃炎口32の前端部の濃火炎による保炎作用でフレームロッド設置部分での濃火炎のリフトが遅れることを防止できる。その結果、酸欠初期段階でフレームロッド6が火炎を検知しなくなり、安全である。
【0026】
また、フレームロッド6の軸部62は、特定濃淡バーナ3Aの濃火炎とこれに隣接する非特定濃淡バーナ3の濃火炎との両者で炙られるため、かなり高温になる。その結果、軸部62が高温酸化して酸化物が析出し、電流が流れにくくなって、フレームロッド6の機能が損なわれることがある。
【0027】
そこで、本実施形態において、フレームロッド6の軸部62の直下に位置する第2の特定爪片81Bは、特定濃淡バーナ3Aのバーナ側板部35のコーナーアール部35aと非特定濃淡バーナ3のバーナ側板部35のコーナーアール部35aとの間に位置する部分が全幅に亘って切除されており、特定爪片81Aの接触部84のような部分がない。これによれば、軸部62に向けて流れる二次空気量が多くなり、軸部62がこの二次空気で冷却されて、酸化物の析出を抑制することができる。
【0028】
尚、酸欠時は、濃炎口32の前端部の濃火炎が二次空気を求めて前方に広がる。そして、仕切板2の上板部23の通気孔26から上方に流れる空気量が多いと、濃火炎が前板部11に近付いて、前板部11の過熱を生ずる。そこで、本実施形態では、通気孔26からの空気量を少なくするため、各通気孔26の面積を上記通気間隙83aの面積より小さくしている。
【0029】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、フレームロッド6の検知ロッド部61を特定濃淡バーナ3Aの前端部寄りの部分の上方に臨ませているが、特定濃淡バーナ3Aの後端部寄りの部分の上方に検知ロッド部を臨ませることも可能である。この場合は、後側の位置決め枠9の爪片91のうち特定濃淡バーナ3Aを位置決めする特定爪片に、特定濃淡バーナ3Aのバーナ側板部35の後端のコーナーアール部35aとの間に通気間隙を確保するための切欠き部を形成すればよい。
【符号の説明】
【0030】
1…燃焼筐、1a…燃焼室、1b…給気室、11…前板部(前後一方の板部)、2…仕切板、21…分布孔、3…濃淡バーナ、3A…特定濃淡バーナ、31…淡炎口、32…濃炎口、35…バーナ側板部、35a…コーナーアール部、6…フレームロッド、61…検知ロッド部、62…軸部、8…位置決め枠、81…爪片、81A…特定爪片、81B…第2の特定爪片、83…切欠き部、83a…通気間隙。