(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記識別は、前記ターゲットの大きさの違い、前記ターゲットにおける表面の光の反射状態の違い、前記ターゲットにおける表面の模様の違いの一または複数に基づき行われる請求項1に記載の位置特定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、UAVを複数機同時に飛行させた場合、機数に対応させてTSを用意する必要がある。また、レーザースキャン装置を用いて、複数のUAVを同時に補足する方法も考えられるが、各UAVの識別やUAV本体の基準位置の検出が問題となる。このような背景において、本発明は、複数のUAVを同時に追跡できる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、曲面の反射面を有したターゲットを備えた無人航空機のレーザースキャンデータまたは撮影画像データを受け付ける受付部と、前記レーザースキャンデータまたは前記撮影画像データに基づき前記曲面の反射面の曲率半径を求め、前記曲率半径に基づき前記無人航空機の識別を行う識別部と、前記曲面の曲率中心の位置に基づき、前記無人航空機の位置の特定を行う位置特定部とを備える位置特定装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記識別は、前記ターゲットの大きさの違い、前記ターゲットにおける表面の光の反射状態の違い、前記ターゲットにおける表面の模様の違いの一または複数に基づき行われることを特徴とする。請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記無人航空機は複数あり、前記複数の無人航空機のそれぞれは、互いに異なる曲率半径の曲面を有する前記ターゲットを備え、前記識別が前記曲率半径の違いに基づき行われることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記レーザースキャンデータまたは前記撮影画像データから前記曲面の点群データを取得し、前記点群データから前記曲率および前記曲率中心の位置の算出が行われることを特徴とする。請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の発明において、前記位置の特定が、前記曲率中心の位置の算出により行われることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記ターゲットが球形状であることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記位置特定部は、前記球形状のターゲットの中心の位置と、前記球形状のターゲットの中心の位置の算出に用いられた点群データの検出時刻の平均値または中央値との関係を特定する。
【0012】
請求項8に記載の発明は、曲面の反射面を有したターゲットを備えた無人航空機のレーザースキャンデータまたは撮影画像データを受け付ける受付ステップと、前記レーザースキャンデータまたは前記撮影画像データに基づき前記曲面の反射面の曲率半径を求め、前記曲率半径に基づき前記無人航空機の識別を行う識別ステップと、前記曲面の曲率中心の位置に基づき、前記無人航空機の位置の特定を行う位置特定ステップとを備える位置特定方法である。
【0013】
請求項9に記載の発明は、曲面の反射面を有したターゲットを備えた無人航空機のレーザースキャンデータまたは撮影画像データを受け付ける受付部と、前記レーザースキャンデータまたは前記撮影画像データに基づき前記曲面の反射面の曲率半径を求め、前記曲率半径に基づき前記無人航空機の識別を行う識別部と、前記曲面の曲率中心の位置に基づき、前記無人航空機の位置の特定を行う位置特定部とを備える位置特定装置システムである。
【0014】
請求項10に記載の発明は、コンピュータに読み取らせて実行させるプログラムであって、コンピュータを曲面の反射面を有したターゲットを備えた無人航空機のレーザースキャンデータまたは撮影画像データを受け付ける受付部と、前記レーザースキャンデータまたは前記撮影画像データに基づき前記曲面の反射面の曲率半径を求め、前記曲率半径に基づき前記無人航空機の識別を行う識別部と、前記曲面の曲率中心の位置に基づき、前記無人航空機の位置の特定を行う位置特定部として動作させる位置特定用プログラムである。
【0015】
請求項11に記載の発明は、識別用のターゲットを搭載した無人航空機であって、前記識別用のターゲットは、光線を反射する曲面を有し、前記曲面の曲率半径は、当該無人航空機を他の無人航空機から識別する値に設定されている無人航空機である。
【0016】
請求項12に記載の発明は、無人航空機に搭載される識別用のターゲットであって、前記識別用のターゲットは、光線を反射する曲面を有し、前記曲面の曲率半径は、前記無人航空機を他の無人航空機から識別する値に設定されている無人航空機識別用ターゲットである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数のUAVを同時に追跡できる技術が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
1.第1の実施形態
(基本原理)
図1には、飛行する2機のUAV (Unmanned aerial vehicle)100および110と、地上に配置されたレーザースキャナ200が示されている。本実施形態では、曲面の反射面を有したターゲットとして球体の球形ターゲットを採用する。この例では、球形ターゲット101を搭載したUAV(Unmanned aerial vehicle)100と、球形ターゲット111を搭載したUAV110を同時に飛行させ、飛行する2機のUAVをレーザースキャンにより捕捉する。この際、レーザースキャンデータに基づき、UAV100と110の識別を行う。2機のUAVの識別は、レーザースキャンデータから球形ターゲット101,111それぞれの半径を求め、この半径の違いに基づいて行われる。
【0020】
また、レーザースキャンデータに基づき、UAV100,110の位置の特定を行う。この際、レーザースキャンデータから球形ターゲット101の曲率中心を求め、この曲率中心をUAV100の位置として特定する。
【0021】
(構成)
UAV100および110は、市販のものであり、予め定めた飛行ルートを自律飛行し、航空写真測量のための撮影を行う。もちろん、UAV100および110の無線操縦による飛行制御も可能である。UAV100および110は、カメラ、GNSSを利用した位置測定装置(例えば、GPS受信機)、IMU(慣性航法装置)、高度計、予め定めた飛行経路および飛行ログを記憶する記憶部、飛行のための制御装置を備えている。
【0022】
UAV100および110は、自身が備えた位置特定装置とIMUの機能を利用して、予め定められた航路を予め定められた速度で飛行する。なお、位置特定装置の測定誤差があるので、予め定められた航路と実際に飛ぶ航路との間には、ある程度の誤差がある。飛行の経過は、飛行ログに記憶される。飛行ログには、時刻と飛行経路の位置(緯度・経度・高度)の情報が関連付けされて記憶される。
【0023】
UAV100は、球形ターゲット101とカメラ102を備えている。また、UAV110は、球形ターゲット111とカメラ112を備えている。球形ターゲット101および111は、直径と色が異なる以外は同じものである。球形ターゲット101と111は、UAVが上空を飛んでいる状態において、地上から見やすい位置(この例では、UAV100,110の下部)に配置されている。ターゲットを球形にすることで、多様な角度からの測距光(スキャンレーザー光)の入射に対応できる。UAVは、旋回する時に傾き、またレーザースキャナ200から見て低い角度を飛行する場合やレーザースキャナ200から離れた場所を飛行する場合もある。球形のターゲットは、測距光の入射方向によらず、測距光を同様な状態で反射するので、UAVの飛行姿勢や飛行高度の違いに起因するレーザースキャン結果の偏差を抑えることができる。
【0024】
球形ターゲット101と111は、形状は同じであるが、径と表面の色が異なる。径と表面の色の違いを検出することで、球形ターゲット101と111の識別が行われる。この識別に係る処理の内容は後述する。
図1の例では、2機のUAVを識別する例を示すが、3機以上のUAVの識別も同様な原理で可能である。この場合、球形ターゲットの径と色の組み合わせで3機以上のUAVの識別を行う。もちろん、3種類の径の球形ターゲットを用意し、径の違いによる3種類の球形ターゲットの識別も可能である。
【0025】
レーザースキャナ200は、一般に入手できる公知のものであり、レーザー光をスキャンしながら特定の範囲(勿論全周スキャン型もある)のレーザースキャンを行う。レーザースキャナ100は、測距レーザー光を走査して照射し、測定対象物の点群データを取得する。ここで得られる点群データは、各点の座標(レーザースキャナを原点とした座標)と点のデータが得られた時刻が関連付けされたものとして得られる。
【0026】
レーザースキャナについては、特開2010−151682号公報、特開2008−268004号公報、米国特許8767190号公報、米国特許7969558号公報等に記載されている。また、点群データについては、国際公会番号WO2011/070927号公報、特開2012−230594号公報、特開2014−35702号公報等に記載されている。
【0027】
以下、本実施形態で用いるレーザースキャナ200について説明する。レーザースキャナ200は、レーザー光照射部201、レーザー光検出部202、測距計算部203、方向検出部204、可動制御部205および点群データ作成部206を備えている。
【0028】
レーザー光照射部201は、測距用のレーザー光を対象物にスキャンしつつ照射する。レーザー光照射部201は、レーザー光の発光部と照射光学系を備えている。照射光学系は、後述する受光光学系と一部が共用され、スキャンを行うために可動する。可動の形態は、回転する形態や特定の範囲を往復する形態等がある。これは、市販のレーザースキャナが備えている機能である。
【0029】
レーザー光検出部202は、対象物から反射してきた測距光を検出する。レーザー光検出部202は、光学系と受光部を備える。
【0030】
測距計算部203は、レーザー光検出部202が検出した測距光に基づき、当該測距光が当たった対象物までの距離を計算する。計算の原理は、通常のレーザー測距装置の場合と同じであり、例えば、内部基準光との位相差や測距レーザー光の飛翔時間から測距距離を計算する。方向検出部204は、測距計算部203で計算に用いた測距光の照射方向を検出する。測距光の照射光学系と受光光学系の光軸の方向は、エンコーダにより精密に計測されており、この光軸の方向に基づき、測距光の照射方向を検出する。
【0031】
可動制御部205は、照射光学系と受光光学系の動作(スキャン動作)を制御する。点群データ作成部206は、各測距光の照射点の方向と距離に基づき、各照射点の三次元座標を求め、点群データを作成する。点群データは、レーザースキャナ200を原点とした三次元座標系で得られるが、レーザースキャナ200の地図座標系(GNSSで利用される座標系)での位置が判っていれば、地図座標系上における座標値で記述できる。
【0032】
以上がレーザースキャナ200の概要であるが、点群データを出力できる機能を有するものであれば、本実施形態で利用できる。
【0033】
レーザースキャナ200に位置特定装置300が接続される。両者の接続は、有線、無線、光通信等の適当な通信規格のものを用いる。通信の形態については、特に限定されない。また、レーザースキャナ200が得たデータを一端、適当な記憶媒体に記憶し、そこから位置特定装置300に当該データを移す形態も可能である。
【0034】
図3には、位置特定装置300のブロック図が示されている。位置特定装置300は、CPU、記憶部、各種のインターフェースを備えたコンピュータであり、専用のハードウェアによって構成されている。また、位置特定装置300を汎用のPC(パーソナルコンピュータ)によって実現することもできる。この場合、PCに
図3の機能を実現するソフトウェア―をインストールし、PCを位置特定装置300として機能させる。もちろん、メモリ容量やCPUの機能が満たされるのであれば、タブレットやスマートフォンを位置特定装置300として機能させることも可能である。
【0035】
図3に示す各機能部の一部または全部を専用の演算回路によって構成してもよい。また、ソフトウェア的に構成された機能部と、専用の演算回路によって構成された機能部を組み合わせてもよい。
【0036】
例えば、図示する各機能部は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)に代表されるPLD(Programmable Logic Device)などの電子回路により構成される。また、一部の機能を専用のハードウェアで構成し、他の一部を汎用のマイコンにより構成することも可能である。
【0037】
各機能部を専用のハードウェアで構成するのか、CPUにおけるプログラムの実行によりソフトウェア的に構成するのかは、要求される演算速度、コスト、消費電力等を勘案して決定される。なお、機能部を専用のハードウェアで構成することとソフトウェア的に構成することは、特定の機能を実現するという観点からは、等価である。
【0038】
位置特定装置300は、データ受付部301、識別部302、位置特定部303を備える。データ受付部301は、球形ターゲットを備えた無人航空機のレーザースキャンデータを受け付ける。例えば、
図1の場合、レーザースキャナ200は、球形ターゲット101を搭載したUAV100と球形ターゲット111を搭載したUAV110のレーザースキャンを行い、レーザースキャンデータを得る。レーザースキャンデータは、点群データとしてレーザースキャナ200から出力され、データ受付部301で受け付けられる。
【0039】
識別部302は、データ受付部301で受け付けたレーザースキャンデータに基づき、UAVの識別を行う。例えば、
図1の場合、レーザースキャンデータに基づき、UAV100と110の識別を行う。以下、識別部302で行われる処理について説明する。
【0040】
識別部302では、球形ターゲットの径と色の情報に基づき、球形ターゲットの識別(他の球形ターゲットとの区別)を行う。この例では、レーザースキャンデータ(点群データ)から、球形ターゲットの径を算出する。レーザースキャンによって、点群データが得られる。点群データは、スキャン点(測距用レーザー光の反射点)毎に、その三次元座標(レーザースキャナに対する相対座標位置)と計測時刻を確定したデータである。よって、球形ターゲットをレーザースキャンすると、球形ターゲットの外面の点群データが得られ、その球形ターゲットの半径(直径)を算出できる。
【0041】
例えば、球形ターゲットの一部の点群データが得られれば、その曲面を構成する複数の点の座標が得られる。曲面を構成する複数の点の座標が判れば、この曲面の曲率中心を求めることができる。この原理を利用して、球形ターゲットの曲率中心(球形ターゲットを構成する球の中心)の座標を求めることができる。
【0042】
以下、球形ターゲットの中心を求める処理の一例を説明する。
図4(A)には、球形ターゲットの一部にスキャンされた測距光(スキャンレーザー光)が4条に渡って当たった状態が示されている。この場合、筋状の4条の点群データが得られる。この場合、この4条の点群データにフィッティングする曲面の方程式を求める。
【0043】
図4(B)には、上述した球形ターゲット表面の点群データにフィッティングする曲面Sと、その曲率中心Oとの関係が示されている。
図4(B)に示すように、曲面Sが数学的に求まれば、曲率中心Oを求めることができる。例えば、球形ターゲット表面の点群データにフィッティングする曲面Sが求まると、曲面Sを含む球面の方程式が得られ、当該曲面の曲率半径が求められる。そして、曲率半径が判れば、曲面Sに対する曲率中心の位置が判るので、球形ターゲット表面の点群データの座標データから当該曲面の曲率中心の座標を求めることができる。この原理により、球形ターゲットの半径と中心を求めることができる。
【0044】
なお、UAVは飛行(移動)しているので、正確には点群データ(スキャンデータ)から得た曲面Sは、球形ターゲットの曲面に対応していない。しかしながら、スキャン速度に比較してUAVの移動速度は小さいので、上記の演算を支障なく行える。
【0045】
なお、スキャン速度に比較してUAVの移動速度が無視できない場合は、以下の処理を行う。この場合、まずスキャンデータ(点群データ)から球形ターゲットを検出する。ついで、UAVの速度情報に基づき、球形ターゲットの点群データの位置を補正する。具体的には、UAVの速度情報および点の取得時刻に基づき、取得した点の位置をずらし、UAVの飛行速度の影響による点群データのずれを修正する。UAVの速度情報は、実測値やUAVの飛行計画のデータを利用する。そして、補正した点群データに基づき、当該球形ターゲット表面の曲率中心を求め、当該球形ターゲットの半径および中心の座標を算出する。
【0046】
図1の場合、球形ターゲット101と111の径が異なっているので、上述した方法により径を算出し、その違いから、球形ターゲット101と111を識別する。この処理が識別部302で行われる。
【0047】
この例では、上記の球形ターゲットの半径(直径)の違いに基づく識別に加え、球形ターゲットの色の違いに基づく識別も識別部302で行われる。半径と色に基づく2通りの識別を行うことで、より精度の高い識別が可能となる。
【0048】
以下、球形ターゲットの色の違いに基づく識別の例を説明する。色の検出には、2通りの方法がある。第1の方法は、カメラ付きのレーザースキャナを用い、カメラが撮影した画像のデータから球形ターゲットの色を検出する方法である。この場合、測距用レーザー光の照射方向とカメラの向きの関係(外部標定要素)が予め特定されたカメラ付きのレーザースキャナを用いる。
【0049】
もう一つの方法は、測距用レーザー光の反射光の検出強度から球形ターゲットの色の違いを検出する方法である。以下、この方法の一例を説明する。球形ターゲットの色が違うと、その違いは反射した測距光の検出強度に影響を与える。しかしながら、反射測距光の検出強度は、距離や測距光の伝搬状態(塵や霧の影響等)や環境の明るさ等の影響を受けるので、絶対的な色の検出はできない。そこで、対象となるUAVの機体からの反射光の強度と当該UAVが備えた球形ターゲットからの反射光の強度を比較し、この比較情報を利用して2つの球形ターゲットの色の識別を行う。
【0050】
例えば、色の違う第1の球形ターゲットと第2の球形ターゲット、および第1の球形ターゲットを備えた第1のUAVと第2の球形ターゲットを備えた第2のUAVを考える。ここで、2つのUAVは外観や色を含め同じ機体であるとする。この場合、飛行中の2機のUAVをレーザースキャンし、第1のUAVとその球形ターゲット(第1の球形ターゲット)からの反射光の強度の関係、更に第2のUAVとその球形ターゲット(第2の球形ターゲット)からの反射光の強度の関係を取得する。
【0051】
ここで、第1のUAVと第2のUAVの色は同じで、第1の球形ターゲットと第2の球形ターゲットの色は違うので、第1のUAVからの反射光と第1の球形ターゲットからの反射光の強度比を第1の強度比とし、第2のUAVからの反射光と第2の球形ターゲットからの反射光の強度比を第2の強度比とすると、2つの強度比(第1の強度比/第2の強度比)に違いが生じる。この違いを利用して、第1の球形ターゲットと第2の球形ターゲットの識別を行う。
【0052】
この例では、一方の情報のみでは、スキャン光の反射強度やスキャン点の数に起因して、識別が困難になる場合を考え、径と色の情報を利用することで、より確実な識別を行う。もちろん、球形ターゲットの径および色の一方のみ情報に基づく識別も可能である。
【0053】
位置特定部303は、球形ターゲットの位置を特定する。球形ターゲットを識別し、更にその位置を特定することで、複数飛行するUAVの中から特定のUAVの識別およびその飛行位置の情報を得ることができる。
【0054】
以下、球形ターゲットの位置を特定する処理について説明する。まず、球形ターゲットの中心の位置の座標は、上述した識別処理における曲面の点群に基づく曲率中心の算出から得られる。
【0055】
他方で、球形ターゲットを捉えた点群の一部または全部の時刻の平均値または中心値を求め、それを球形ターゲットの位置(曲率中心)の検出の時刻とする処理を行う。例えば、球形ターゲットを捉えた点群データ各点の検出時刻をt
1、t
2、t
3・・・t
nとする。ここで、利用する点群データは、球形ターゲットの識別に用いた全ての点でなくてもよい(もちろん、全ての点でもよい)。
【0056】
この場合、t
1、t
2、t
3・・・t
nの平均値(または中央値)を計算し、それを球形ターゲット検出時の時刻とし、球形ターゲットの位置(算出された球形ターゲットの中心の位置)と時刻の関係を得る。
【0057】
以上の位置特定部303の機能により、特定の時刻における球形ターゲットの位置のデータ(UAVの位置のデータ)が得られる。また、上記の処理を刻々と行うことで、球形ターゲットの移動経路(UAVの飛行経路)の測定データが得られる。なお、UAVの特定の位置(例えば、重心の位置等)をUAVの位置と定め、この位置と球形ターゲットの中心の位置とのオフセット値を予め取得しておき、このオフセット値を用いて、上記の処理で得たUAVの位置情報を補正してもよい。
【0058】
(処理の手順の一例)
図5に処理の手順の一例を示す。
図5の処理を実行するためのプログラムは、レーザースキャナ200や位置特定装置200の適当な記憶領域、あるいは適当な記憶媒体に記憶され、そこから読み出されて実行される。
【0059】
まず、球形ターゲットをUAVにセットし、飛行を行う(ステップS101)。ここで、飛行するUAVは複数であり、UAV毎に径と色の組み合わせが異なる球形ターゲットが搭載されているものとする。
【0060】
飛行が開始されたら、既知点に設置したレーザースキャナを用いて全周スキャン、あるいは飛行空域が限定される場合は、その空域のレーザースキャンを行う(ステップS102)。
【0061】
レーザースキャンを行い、スキャン点群(点群データ)を得たら、そのデータをデータ受付部301で受け付ける。データを得たら、複数ある球形タ−ゲットに対応する点群データを抜き出す(ステップS103)。この際、飛行計画に基づき、探索の対象となる点群を絞ることは好ましい。球形タ−ゲットに対応する点群データの抜き出しは、予め用意した球形ターゲットの形状と点群データとのフィッティング状態を求めることで行われる。この処理は、識別部302で行われる。
【0062】
次いで、球体表面に対応する点群データを球面にフィッティングさせ、レーザースキャンした球形ターゲットの中心(曲率中心)を求め、各球形ターゲットの半径を算出することで、各球形ターゲットを識別する(ステップS104)。例えば、
図1の球形ターゲット101と111の識別を行う。この際、各球形ターゲットの色情報も利用して識別を行う。例えば、球形ターゲットの径と色の組み合わせをリファレンスデータと比較し、レーザースキャンした球形ターゲットの識別を行う。この処理は、識別部302で行われる。
【0063】
次に、識別した球形ターゲットのそれぞれにおける中心の位置(曲率中心の位置)と時刻を求める(ステップS105)。この処理は、位置特定部303で行われる。球形ターゲットの位置と時刻を特定したら、それを記憶する(ステップS106)。この際、得た情報をUAVにフィードバックしてもよい。
【0064】
次に飛行している全てのUAVの位置と時刻の情報が得られたか否か、を判定する(ステップS107)。ここで、飛行している全てのUAVの位置と時刻の情報が得られていれば、ステップS102以下を再度実行し、次のタイミングでのUAVの識別と位置の特定を行う。ステップS107の判定がNOの場合、ステップS103以下の処理を繰り返す。
【0065】
以上の処理によれば、同時に飛行するUAVの識別、および各UAVの特定の時刻における位置、更にこの位置の推移のデータを1台のレーザースキャナを用いたレーザースキャンにより取得できる。
【0066】
2.第2の実施形態
点群データを取得する方法としてステレオ写真画像を用いる方法がある。この場合、予め外部標定要素を特定した2台以上のカメラを用いてステレオ写真撮影を行う。そしてステレオ写真画像を構成する各画像から特徴点を抽出し、この特徴点の座標を前方交会法により求め、座標を特定した特徴点からなる点群データを得る。この場合、撮影時刻が得られる点群と関連付けされる。
【0067】
ステレオ画像から点群データを得る技術については、例えば特開2013−186816号公報に記載され、ステレオ画像のマッチングに関しては、例えば特開2013−178656号公報に記載されている。
【0068】
ステレオ画像から得た点群データは、位置特定装置300のデータ受付部301で受け付けられる。位置特定装置300における点群データを用いて球形ターゲットの識別を行う処理、更に球形ターゲットの中心の位置を特定する処理は、第1の実施形態で説明した内容と同じである。
【0069】
第1の実施形態と第2の実施形態の組み合わせ、すなわち、レーザースキャンデータに基づく点群データとステレオ写真画像に基づく点群データの両方を用いることも可能である。
【0070】
3.第3の実施形態
図3の機能部を通信回線で接続された複数の独立したハードウェアで実現するシステムを構成することも可能である。この場合、分散配置された機能部が通信を介して統合されて機能するシステムが構成される。そしてこのシステムにおいて、
図5の処理が実行される。
【0071】
4.その他
ターゲットの識別を行う方法として、ターゲット表面の光の反射状態の違い、表面の材質の違い、表面の模様の違い(縞模様と市松模様の違い)、ターゲットの形状の違い(例えば、球と楕円球の違い)といったものを利用することもできる。また、目視で識別しやすい模様を球形ターゲットの表面に付与する形態も考えられる。
【0072】
ターゲットを半球形状等の球を切断した形状とする形態も可能である。1機のUAVに複数の球形ターゲットを搭載することも可能である。この場合、複数の球形ターゲットの径の組み合わせにバリエーションを持たせることで、識別精度を高めることができる。
【0073】
複数台のレーザースキャナを同時に用いて同時に飛行する複数のUAVを同時に識別することもできる。例えば、径が異なる球体ターゲットを搭載した4機のUAVが同時に飛行している状態において、第1のレーザースキャナを用いて、第1のUAVと第2のUAVを追跡し、第2のレーザースキャナを用いて、第3のUAVと第4のUAVを追跡する。
【0074】
この場合、第1のレーザースキャナは、球形ターゲットの径に基づき、第1のUAVと第2のUAVを認識し、それ以外のUAVを識別対象外と判定する。また、第2のレーザースキャナは、球形ターゲットの径に基づき、第3のUAVと第4のUAVを認識し、それ以外のUAVを識別対象外と判定する。
【0075】
また、点群データと撮影で得た画像のデータを組み合わせて利用することも可能である。例えば、画像を用いるとUAVの認識が容易となる。