(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自動電圧調整器で用いられる調整変圧器の通電タップを切り替えるモータであり、第1及び第2端子を有し、単相交流電源が前記第1端子に供給された際に第1方向に回転し、単相交流電源が前記第2端子に供給された際に第2方向に回転するモータである単相可逆モータと、
前記単相交流電源からの交流信号を整流する回路であって、前記単相可逆モータを第1方向に回転させる場合に第1指示信号を出力する回路である第1整流回路と、
前記単相交流電源からの交流信号を整流する回路であって、前記単相可逆モータを第2方向に回転させる場合に第2指示信号を出力する回路である第2整流回路と、
前記第1指示信号に応じて前記第1端子への前記単相交流電源の供給を制御する回路であり、半導体素子を用いて構成された回路である第1開閉回路と、
前記第2指示信号に応じて前記第2端子への前記単相交流電源の供給を制御する回路であり、半導体素子を用いて構成された回路である第2開閉回路と、を備えたタップ切替装置。
前記信号出力部は、順送電から逆送電になった際に前記第1逆送電信号を先に出力し、その後に前記第2逆送電信号を出力し、逆送電から順送電になった際に前記第2逆送電信号の出力を先に停止し、その後に前記第1逆送電信号の出力を停止する、請求項5記載のタップ切替装置。
【背景技術】
【0002】
従来、配電系統において、系統の電圧を設定された範囲に保つために、配電用の自動電圧調整器(SVR:Step Voltage Regulator)が設置されている。その自動電圧調整器は、例えば、二次側の電圧に応じて調整変圧器の通電タップを切り替えることによって、電圧を自動調整するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
自動電圧調整器では、調整変圧器の通電タップの切り替えをタップ切替装置によって行っていた。
図5は、従来のタップ切替装置100の一例を示す図である。タップ切替装置100は、単相可逆モータ123、スイッチ、リレー、リレーによって動作されるリレースイッチ等を備えている。なお、単相可逆モータ123は、コンデンサ123aと、巻線123b,123cとを有している。
【0004】
図5を参照して、タップ切替装置100の動作について説明する。タップ切替装置100を自動制御する場合には、スイッチ103が投入される。単相可逆モータ123を第1方向に回転させる場合には、CPU等からの指令に応じて、スイッチ111が一時的に投入される。すると、単相交流電源101が、b接点のリレースイッチ113(88L)を介してリレー115に供給される。そのようにしてリレー115に電流が流れることによって、a接点のリレースイッチ119(88R),121(88R),129(88R)が閉じられ、b接点のリレースイッチ112(88R)が開かれる。その結果、リレー114への電源の供給が阻止され、単相可逆モータ123の両端子に電源が供給されることを防止できる。また、リレースイッチ121(88R)が閉じられることによって、単相可逆モータ123が第1方向に回転する。単相可逆モータ123の1タップ分の回転期間にのみ投入されるスイッチ127は、単相可逆モータ123の第1方向への回転に応じて閉じられ、リレー130に電流が流れる。その結果、リレースイッチ120(22)が閉じられ、リレー115には、リレースイッチ120(22)及びリレースイッチ119(88R)を介して電流が流れることになり、リレー88Rへの電流の供給が保持されることになる。その後に、スイッチ111は開放されてもよい。単相可逆モータ123の1タップ分の回転が終了すると、スイッチ127が開かれ、それに応じてリレー130に電流が流れなくなり、リレースイッチ120(22)が開かれる。その結果、リレー115に電流が供給されなくなり、リレースイッチ121(88R)が開かれることによって、単相可逆モータ123の第1方向への回転が停止する。なお、単相可逆モータ123を第2方向に回転させる場合には、スイッチ110が一時的に投入されることによって、同様にして、1タップ分だけ単相可逆モータ123が第2方向に回転することになる。ただし、リレー114に電流が流れた場合には、符号に(88L)を含むリレースイッチが動作することになる。
【0005】
タップ切替装置100を手動制御する場合には、スイッチ103が開放される。そして、単相可逆モータ123を昇圧方向に回転させる場合には、昇圧スイッチ105が手動で一時的に投入される。すると、b接点のリレースイッチ108(67X),113(88L)を介してリレー115に電流が供給され、上記説明と同様にして、単相可逆モータ123が第1方向に回転することになる。なお、自動電圧調整器において順送電である場合には、第1方向への回転が二次側の昇圧方向への回転であるとする。また、自動電圧調整器の送電方向が逆送電になった場合には、スイッチ125が投入される。すると、リレー126に電流が流れ、a接点のリレースイッチ107(67X),109(67X)が閉じられ、b接点のリレースイッチ106(67X),108(67X)が開かれる。その結果、降圧スイッチ104や昇圧スイッチ105を操作した際の単相可逆モータ123の回転方向が逆になる。
【0006】
また、第1方向に回転している単相可逆モータ123が終端のタップを超えて回転した場合には、b接点のリミットスイッチ117が開放されることによって回転が停止される。逆に、第2方向に回転している単相可逆モータ123が終端のタップを超えて回転した場合には、b接点のリミットスイッチ116が開放されることによって回転が停止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図5で示されるタップ切替装置100では、単相可逆モータ123を制御するためにメカニカルリレーを用いている。そのメカニカルリレーは、スイッチの開閉のたびに接点が摩耗するため、寿命が存在する。さらに、近年は太陽光発電等の分散型電源からの逆潮流等に応じて、自動電圧調整器において電圧調整を行う頻度が高くなる傾向になる。そのため、タップ切替装置100の寿命がより短くなる、という問題があった。さらに、メカニカルリレーを使用する場合には、振動や衝撃にも弱いという問題もあった。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、より長寿命であり、振動や衝撃にも強いタップ切替装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明によるタップ切替装置は、自動電圧調整器で用いられる調整変圧器の通電タップを切り替えるモータであり、第1及び第2端子を有し、単相交流電源が第1端子に供給された際に第1方向に回転し、単相交流電源が第2端子に供給された際に第2方向に回転するモータである単相可逆モータと、単相交流電源からの交流信号を整流する回路であって、単相可逆モータを第1方向に回転させる場合に第1指示信号を出力する回路である第1整流回路と、単相交流電源からの交流信号を整流する回路であって、単相可逆モータを第2方向に回転させる場合に第2指示信号を出力する回路である第2整流回路と、第1指示信号に応じて第1端子への単相交流電源の供給を制御する回路であり、半導体素子を用いて構成された回路である第1開閉回路と、第2指示信号に応じて第2端子への単相交流電源の供給を制御する回路であり、半導体素子を用いて構成された回路である第2開閉回路と、を備えたものである。
このような構成により、第1及び第2開閉回路を半導体素子によって構成することができるため、メカニカルリレーを用いた場合よりも長寿命化することができ、また、振動や衝撃にも強くなる。
【0011】
また、本発明によるタップ切替装置では、第1開閉回路は、単相交流電源と第1端子との間に配置された第1トライアックと、第1指示信号によって発光する第1発光素子と、第1発光素子からの光を受けた際に、単相交流電源からの交流信号を第1トライアックのゲートに供給する第1フォトトライアックと、を備え、第2開閉回路は、単相交流電源と第2端子との間に配置された第2トライアックと、第2指示信号によって発光する第2発光素子と、第2発光素子からの光を受けた際に、単相交流電源からの交流信号を第2トライアックのゲートに供給する第2フォトトライアックと、を備えてもよい。
このような構成により、単相可逆モータを駆動させるために使用される高電流の交流を制御できる第1及び第2開閉回路を実現することができる。
【0012】
また、本発明によるタップ切替装置では、第1及び第2整流回路はそれぞれ、第1及び第2定電流ダイオードを有し、第1指示信号は、第1定電流ダイオードを介して第1整流回路から出力され、第2指示信号は、第2定電流ダイオードを介して第2整流回路から出力されてもよい。
このような構成により、第1及び第2整流回路から出力される第1及び第2指示信号が、あらかじめ決められた電流となるようにすることができる。その結果、第1及び第2指示信号が入力される半導体リレー等において発光素子の発光を安定化させることができ、その半導体リレー等を適切に動作させることができる。
【0013】
また、本発明によるタップ切替装置では、自動制御によって単相可逆モータを第1方向に回転させる場合に、単相交流電源の交流信号を一時的に第1整流回路に供給する半導体リレーと、自動制御によって単相可逆モータを第2方向に回転させる場合に、単相交流電源の交流信号を一時的に第2整流回路に供給する半導体リレーと、単相交流電源に接続され、単相可逆モータの回転時に投入されるスイッチと、スイッチに接続され、スイッチを介して供給された単相交流電源からの交流信号を、第1指示信号に応じて第1整流回路に供給する半導体リレーと、スイッチに接続され、スイッチを介して供給された単相交流電源からの交流信号を、第2指示信号に応じて第2整流回路に供給する半導体リレーと、各半導体リレーとそれぞれ並列に配置されたバリスタと、をさらに備えてもよい。
このような構成により、過電圧が生じた場合にも、半導体リレーと並列に配置されたバリスタによって、半導体リレーが破壊される可能性を低減することができる。
【0014】
また、本発明によるタップ切替装置では、自動電圧調整器において順送電である場合には、単相可逆モータの第1及び第2方向の回転はそれぞれ昇圧側及び降圧側の回転であり、手動制御によって単相可逆モータを昇圧側に回転させる場合に、単相交流電源の交流信号を一時的に供給する昇圧スイッチと、手動制御によって単相可逆モータを降圧側に回転させる場合に、単相交流電源の交流信号を一時的に供給する降圧スイッチと、昇圧スイッチと第1整流回路との間に配置され、逆送電の際に入力される第1逆送電信号に応じて動作するb接点半導体リレーと、降圧スイッチと第2整流回路との間に配置され、第1逆送電信号に応じて動作するb接点半導体リレーと、昇圧スイッチと第2整流回路との間に配置され、逆送電の際に入力される第2逆送電信号に応じて動作するa接点半導体リレーと、降圧スイッチと第1整流回路との間に配置され、第2逆送電信号に応じて動作するa接点半導体リレーと、自動電圧調整器における送電方向が逆送電である場合に第1及び第2逆送電信号を出力する信号出力部と、をさらに備え、信号出力部は、a接点半導体リレーとb接点半導体リレーとの両方が同時に閉じられる期間がないように第1及び第2逆送電信号を出力してもよい。
このような構成により、a接点半導体リレーとb接点半導体リレーとは動作タイミングが異なりうるが、両半導体リレーが同時に閉じられた状態になることを回避することができ、その結果、単相可逆モータが故障することを防止できる。また、上記の構成とすることにより、例えば、単相交流電源からの交流電力を直流電力に変換する交流直流変換器が故障したとしても、タップ切替装置を、手動で動作させることができるようになる。
【0015】
また、本発明によるタップ切替装置では、信号出力部は、順送電から逆送電になった際に第1逆送電信号を先に出力し、その後に第2逆送電信号を出力し、逆送電から順送電になった際に第2逆送電信号の出力を先に停止し、その後に第1逆送電信号の出力を停止してもよい。
このような構成により、a接点半導体リレーとb接点半導体リレーとのいずれの動作タイミングが早いかに関わらず、a接点半導体リレーとb接点半導体リレーとが同時に閉じられた状態になることを回避することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるタップ切替装置によれば、少なくとも一部の構成を半導体素子によって構成することによって、メカニカルリレーを用いた場合よりも長寿命化することができ、また、振動や衝撃にも強くなる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明によるタップ切替装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態によるタップ切替装置は、通電タップを切り替えるモータの制御を、メカニカルリレーを用いないで半導体素子を用いて行うものである。
【0019】
図1は、本実施の形態によるタップ切替装置1の回路構成を示す回路図である。本実施の形態によるタップ切替装置1は、配電用の自動電圧調整器(SVR)において用いられる調整変圧器(図示せず)の通電タップを切り替えるものであり、単相可逆モータ11と、第1開閉回路12と、第2開閉回路13と、第1整流回路14と、第2整流回路15と、スイッチ16、17、19と、第3開閉回路18と、昇圧スイッチ20と、降圧スイッチ21と、第4開閉回路22と、半導体リレー31〜34と、リミットスイッチ35、36とを備える。なお、タップ切替装置1は、例えば、三相の配電線で用いられるSVRの通電タップを切り替えるものであってもよい。単相交流電源10は、例えば、その三相の配電線のうち、ある相の交流電圧(例えば、6600V程度)を110V程度に降圧したものであってもよい。
【0020】
単相可逆モータ11は、SVRの調整変圧器の通電タップを切り替えるモータであって、コンデンサ11aと、巻線11b、11cとを有しているコンデンサモータである。また、単相可逆モータ11は、第1端子11d及び第2端子11eを有しており、単相交流電源10が第1端子11dに供給された場合、すなわち巻線11bに単相交流電源10からの交流電力が供給され、巻線11cにコンデンサ11aによって位相の変えられた交流電力が供給された場合に第1方向に回転し、単相交流電源10が第2端子11eに供給された場合、すなわち巻線11cに単相交流電源10からの交流電力が供給され、巻線11bにコンデンサ11aによって位相の変えられた交流電力が供給された場合に第2方向に回転するモータである。なお、例えば、単相可逆モータ11の第1方向の回転が正転であり、第2方向の回転が逆転であると考えてもよく、または、その逆であると考えてもよい。また、単相可逆モータ11が第1方向に回転した際にSVRにおいて制御対象の電圧が昇圧されるのか降圧されるのかは送電方向に依存することになるが、本実施の形態では、SVRにおいて順送電である場合に、単相可逆モータ11の第1方向の回転が二次側の昇圧側の回転であり、第2方向の回転が二次側の降圧側の回転であるとして説明する。したがって、本実施の形態では、SVRにおいて逆送電である場合には、単相可逆モータ11の第2方向の回転が一次側の昇圧側の回転となり、第1方向の回転が一次側の降圧側の回転となる。単相可逆モータ11は、単相交流電源の供給に応じて同様の動作を行うものであれば、
図1で示される構成以外のものであってもよい。
【0021】
第1開閉回路12は、後述する第1指示信号に応じて第1端子11dへの単相交流電源10の供給を制御する回路であり、半導体素子を用いて構成された回路である。第1開閉回路12は、第1トライアック12aと、第1発光素子12bと、第1フォトトライアック12cと、第1限流抵抗12dとを備える。
【0022】
第1トライアック12aは、単相交流電源10と第1端子11dとの間に配置されたトライアックである。第1トライアック12aには、高電圧吸収の保護回路として、例えば、抵抗とコンデンサとを有するスナバ回路を設けてもよい。第1発光素子12bは、第1整流回路14から出力される第1指示信号によって発光する。第1発光素子12bは、例えば、LED(Light Emitting Diode)であってもよい。第1フォトトライアック12cは、単相交流電源10と第1トライアック12aのゲートとの間に配置されたフォトトライアックであり、第1発光素子12bからの光を受けた際に、単相交流電源10からの交流信号を第1トライアック12aのゲートに供給する。なお、第1フォトトライアック12cから第1トライアック12aのゲートまでの配線長は、短いことが好適である。その配線長は、例えば15cm以下であってもよい。第1限流抵抗12dは、第1フォトトライアック12cに入力される電流を制限するための抵抗である。この第1開閉回路12において、第1指示信号が入力されると、第1発光素子12bが発光し、第1フォトトライアック12cに交流信号が流れ、その交流信号が第1トライアック12aのゲートに供給されることによって第1トライアック12aがオンになって単相可逆モータ11の第1端子11dに単相交流電源10が供給されることになる。一方、第1指示信号が入力されなくなると、第1発光素子12bが発光しなくなり、第1フォトトライアック12cから第1トライアック12aのゲートへの交流信号の供給が停止するため、第1トライアック12aがオフになって第1端子11dに単相交流電源10が供給されなくなる。その単相交流電源10の供給を制御するスイッチとしてトライアックを用いることにより、フォトMOSリレー等の半導体リレーと比較して大電流を制御することができる。なお、第1限流抵抗12dは、第1フォトトライアック12cをサージ電流から保護するために設けられるものであるため、例えば、他の方法によって第1フォトトライアック12cをサージ電流から保護できる場合などには、第1開閉回路12は、第1限流抵抗12dを有していなくてもよい。また、第1開閉回路12は、第1トライアック12aや第1フォトトライアック12cを過電圧から保護するため、第1トライアック12a、第1フォトトライアック12cとそれぞれ並列に配置されたバリスタ(図示せず)を有していてもよい。
【0023】
第2開閉回路13は、後述する第2指示信号に応じて第2端子11eへの単相交流電源10の供給を制御する回路であり、半導体素子を用いて構成された回路である。第2開閉回路13は、第2トライアック13aと、第2発光素子13bと、第2フォトトライアック13cと、第2限流抵抗13dとを備える。
【0024】
第2トライアック13aは、単相交流電源10と第2端子11eとの間に配置されたトライアックである。第2発光素子13bは、第2整流回路15から出力される第2指示信号によって発光する。第2フォトトライアック13cは、単相交流電源10と第2トライアック13aのゲートとの間に配置されたフォトトライアックであり、第2発光素子13bからの光を受けた際に、単相交流電源10からの交流信号を第2トライアック13aのゲートに供給する。第2限流抵抗13dは、第2フォトトライアック13cに入力される電流を制限するための抵抗である。なお、第2指示信号、第2トライアック13a、第2発光素子13b、第2フォトトライアック13c、第2限流抵抗13dはそれぞれ、第1指示信号、第1トライアック12a、第1発光素子12b、第1フォトトライアック12c、第1限流抵抗12dに対応するものであり、それらに関する詳細な説明を省略する。
【0025】
第1整流回路14は、単相交流電源10からの交流信号を整流する回路である。また、第1整流回路14は、単相可逆モータ11を第1方向に回転させる場合に第1指示信号を出力する。第1整流回路14は、
図1で示されるように、ダイオードブリッジ14aと、降圧抵抗14bと、定電圧ダイオード14cと、コンデンサ14dと、第1定電流ダイオード14eとを備える。
【0026】
第1整流回路14に入力された交流信号は、4個のダイオードによって構成されたダイオードブリッジ14aによって全波整流される。その整流後の電圧は、降圧抵抗14bと、定電圧ダイオード14cとによって分圧される。その分圧に定電圧ダイオード14cを用いることによって、分圧時の発熱を抑えることができる。また、定電圧ダイオード14cと並列に配置されているコンデンサ14dは、平滑用のコンデンサである。定電圧ダイオード14cのアノード側に、第1定電流ダイオード14eのアノード側が接続されており、第1指示信号は、その第1定電流ダイオード14eを介して第1整流回路14から出力される。第1指示信号が第1定電流ダイオード14eを介して出力されることにより、第1指示信号の電流を、あらかじめ決められた値にすることができる。その結果、第1指示信号による発光素子の発光を安定化させることができ、その発光に応じて動作する半導体リレー等の動作をも安定化させることができる。すなわち、第1指示信号が出力されても発光素子が発光しないという事態を回避することができる。なお、第1指示信号によって発光される発光素子の接続方法は問わないが、それらの発光素子は直列接続されていることが好適である。例えば、
図1では、第1指示信号によって発光される半導体リレー34の発光素子、半導体リレー31の発光素子、及び第1発光素子12bが直列接続されている。なお、直列接続の順序は問わない。また、ダイオードブリッジ14aによって交流信号の全波整流が行われる場合にのみ第1定電流ダイオード14eから第1指示信号が出力されることになるため、第1整流回路14は、単相交流電源10からの交流信号が入力される期間にのみ、第1指示信号を出力することになる。また、第1指示信号によって発光される最後段の発光素子(
図1では、第1発光素子12b)のカソード側は、第1整流回路14の負極側に接続されている。
【0027】
第2整流回路15は、単相交流電源10からの交流信号を整流する回路である。また、第2整流回路15は、単相可逆モータ11を第2方向に回転させる場合に第2指示信号を出力する。第2整流回路15は、
図1で示されるように、ダイオードブリッジ15aと、降圧抵抗15bと、定電圧ダイオード15cと、コンデンサ15dと、第2定電流ダイオード15eとを備える。第2指示信号は、第2定電流ダイオード15eを介して第2整流回路15から出力される。なお、第2指示信号によって発光される発光素子の接続方法は問わないが、それらの発光素子は直列接続されていることが好適である。例えば、
図1では、第2指示信号によって発光される半導体リレー32の発光素子、半導体リレー33の発光素子、及び第2発光素子13bが直列接続されている。なお、直列接続の順序は問わない。また、第2指示信号によって発光される最後段の発光素子(
図1では、第2発光素子13b)のカソード側は、第2整流回路15の負極側に接続されている。なお、ダイオードブリッジ15a、降圧抵抗15b、定電圧ダイオード15c、コンデンサ15d、第2定電流ダイオード15eはそれぞれ、ダイオードブリッジ14a、降圧抵抗14b、定電圧ダイオード14c、コンデンサ14d、第1定電流ダイオード14eに対応するものであり、それらに関する詳細な説明を省略する。
【0028】
なお、第1整流回路14は、第1指示信号の状態を、CPU等の制御手段に戻すようにしてもよい。その場合には、第1整流回路14は、第1指示信号によって動作するa接点の半導体リレーを備えてもよい。その半導体リレーの出力は、制御手段に戻されることになる。また、その半導体リレーには、単相交流電源10からの交流信号が交流直流変換器によって直流変換された直流信号が入力され、第1指示信号によって閉じられた場合に、その直流信号が制御手段に出力されてもよい。その半導体リレーの出力によって、制御手段は、第1指示信号の状態を知ることができ、その結果、第1開閉回路12の開閉状態をも知ることができるようになる。第2整流回路15についても同様である。
【0029】
スイッチ16は、単相交流電源10と半導体リレー31,33とに接続され、単相可逆モータ11の回転時に投入される。したがって、単相可逆モータ11が回転している際には、スイッチ16を介して半導体リレー31,33に交流電源が供給され、単相可逆モータ11が停止している際には、半導体リレー31,33への交流電源の供給がスイッチ16によって遮断されることになる。そのスイッチ16は、単相可逆モータ11の回転開始から1タップ分の回転が終了するまでの期間にのみ投入されてもよい。
【0030】
スイッチ17は、単相交流電源10と第3開閉回路18との間に配置され、タップ切替装置1を自動制御する場合に投入され、自動制御しない場合に開放される。したがって、自動制御の場合には、単相交流電源10が第3開閉回路18に供給されることになる。
【0031】
第3開閉回路18は、
図2で示される回路であり、NOT素子18a〜18cと、a接点の半導体リレー18d,18eとを備える。半導体リレー18d,18eに含まれる各発光素子のカソード側は、それぞれ絶縁グランドに接続されている。
【0032】
90_1/2信号は、単相可逆モータ11を第1方向に回転させるときにはハイレベル(H)となり、第2方向に回転させるときにはローレベル(L)となる信号である。単相可逆モータ11をどちらに回転させるのかは、SVRにおける送電方向に依存することになる。例えば、SVRにおいて順送電である場合には、二次側の電圧を昇圧する際に単相可逆モータ11を第1方向に回転させ、降圧する際に単相可逆モータ11を第2方向に回転させ、逆送電である場合には、一次側の電圧を昇圧する際に単相可逆モータ11を第2方向に回転させ、降圧する際に単相可逆モータ11を第1方向に回転させてもよい。90_1/2信号は、NOT素子18a,18cにそれぞれ入力される。90ENB信号は、通常はHであり、タップ切替を行う際にLとなる信号である。90ENB信号は、NOT素子18a〜18cを動作させるかどうかの制御に用いられるイネーブル信号であり、90ENB信号がHである場合には、NOT素子18a〜18cが動作せず、90ENB信号がLである場合には、NOT素子18a〜18cが動作することになる。90_1/2信号及び90ENB信号は、例えば、タップ切替装置1を制御している制御手段から入力されてもよい。その制御がソフトウェアを用いて行われている場合には、その制御手段は、例えば、CPU等によって構成されてもよい。
【0033】
半導体リレー18dは、スイッチ17と、半導体リレー32との間に配置され、半導体リレー18dの発光素子にNOT素子18bからの信号が入力される。そのため、半導体リレー18dは、NOT素子18bからの信号がHとなった場合に閉じられ、Lとなった場合に開かれる。その半導体リレー18dは、自動制御によって単相可逆モータ11を第1方向に回転させる場合に、単相交流電源10の交流信号を一時的に第1整流回路14に供給するものである。「一時的に」とは、少なくとも後述する自己保持回路による交流信号の供給が始まるまでの意味である。また、半導体リレー18eは、スイッチ17と、半導体リレー34との間に配置され、半導体リレー18eの発光素子にNOT素子18cからの信号が入力される。そのため、半導体リレー18eは、NOT素子18cからの信号がHとなった場合に閉じられ、Lとなった場合に開かれる。その半導体リレー18eは、自動制御によって単相可逆モータ11を第2方向に回転させる場合に、単相交流電源10の交流信号を一時的に第2整流回路15に供給するものである。したがって、単相可逆モータ11を第1方向に回転させる場合には、まず、90_1/2信号がHに設定され、その後に、90ENB信号がHからLに変更される。その結果、各NOT素子18a〜18cが動作し、半導体リレー18dの発光素子にはハイレベルの信号が入力されるが、半導体リレー18eの発光素子にはローレベルの信号が入力されることになり、半導体リレー18dのみが閉じられ、半導体リレー32に交流信号が供給されることになる。なお、後述するように、半導体リレー18dを介して第1整流回路14に交流信号が供給された後には、その第1整流回路14への交流電流の供給が自己保持されるため、その自己保持の後に、90ENB信号はHに戻されてもよい。また、その自己保持の後に、90_1/2信号もLになってもよい。単相可逆モータ11を第2方向に回転させる場合には、まず、90_1/2信号がLに設定され、その後に、90ENB信号がHからLに変更される。その結果、各NOT素子18a〜18cが動作し、半導体リレー18eの発光素子にはハイレベルの信号が入力されるが、半導体リレー18dの発光素子にはローレベルの信号が入力されることになり、半導体リレー18eのみが閉じられ、半導体リレー34に交流信号が供給されることになる。なお、後述するように、半導体リレー18eを介して第2整流回路15に交流信号が供給された後には、その第2整流回路15への交流電流の供給が自己保持されるため、その自己保持の後に、90ENB信号はLに戻されてもよい。
【0034】
なお、半導体リレー18d,18eの開閉状態を、CPU等の制御手段に戻すようにしてもよい。その場合には、第3開閉回路18は、NOT素子18bの出力によって動作するa接点の半導体リレーと、NOT素子18cの出力によって動作するa接点の半導体リレーとを備えてもよい。それらの半導体リレーの出力は、制御手段に戻されることになる。また、それらの半導体リレーには、交流信号を直流信号に変換する交流直流変換器からの直流信号が入力され、NOT素子18b,18cからの出力によって閉じられた場合に、その直流信号が制御手段に出力されてもよい。その半導体リレーの出力によって、制御手段は、半導体リレー18d,18eの開閉状態を知ることができるようになる。
【0035】
スイッチ19は、単相交流電源10と、昇圧スイッチ20及び降圧スイッチ21との間に配置され、タップ切替装置1を手動制御する場合に投入され、手動制御しない場合に開放される。したがって、手動制御の場合には、単相交流電源10が昇圧スイッチ20及び降圧スイッチ21に供給されることになる。
【0036】
昇圧スイッチ20は、スイッチ19と第4開閉回路22との間に配置され、手動制御によって単相可逆モータ11を昇圧側に回転させる場合に、単相交流電源10の交流信号を一時的に第4開閉回路22に供給する。したがって、昇圧スイッチ20は、手動制御において昇圧が行われる場合に一時的に投入され、それ以外の場合には開放されている。
【0037】
降圧スイッチ21は、スイッチ19と第4開閉回路22との間に配置され、手動制御によって単相可逆モータ11を降圧側に回転させる場合に、単相交流電源10の交流信号を一時的に第4開閉回路22に供給する。したがって、降圧スイッチ21は、手動制御において降圧が行われる場合に一時的に投入され、それ以外の場合には開放されている。
【0038】
第4開閉回路22は、例えば、
図3で示される回路であり、信号出力部22aと、a接点半導体リレー22bと、b接点半導体リレー22cと、a接点半導体リレー22dと、b接点半導体リレー22eとを備える。半導体リレー22b〜22eに含まれる各発光素子のカソード側は、それぞれ絶縁グランドに接続されている。
【0039】
信号出力部22aは、SVRにおける送電方向が逆送電である場合に第1及び第2逆送電信号を出力し、順送電である場合に第1及び第2逆送電信号を出力しない。第1逆送電信号は、b接点半導体リレー22c,22eの発光素子に入力され、第2逆送電信号は、a接点半導体リレー22b,22dの発光素子に入力される。第1及び第2逆送電信号は、半導体リレー22b〜22eに含まれる各発光素子を発光させるための信号である。
【0040】
a接点半導体リレー22bは、昇圧スイッチ20と第2整流回路15との間に配置され、逆送電の際に入力される第2逆送電信号に応じて動作する。すなわち、a接点半導体リレー22bは、第2逆送電信号が入力された場合に閉じられ、そうでない場合に開かれることになる。
【0041】
b接点半導体リレー22cは、昇圧スイッチ20と第1整流回路14との間に配置され、逆送電の際に入力される第1逆送電信号に応じて動作する。すなわち、b接点半導体リレー22cは、第1逆送電信号が入力された場合に開かれ、そうでない場合に閉じられることになる。
【0042】
a接点半導体リレー22dは、降圧スイッチ21と第1整流回路14との間に配置され、逆送電の際に入力される第2逆送電信号に応じて動作する。すなわち、a接点半導体リレー22dは、第2逆送電信号が入力された場合に閉じられ、そうでない場合に開かれることになる。
【0043】
b接点半導体リレー22eは、降圧スイッチ21と第2整流回路15との間に配置され、逆送電の際に入力される第1逆送電信号に応じて動作する。すなわち、b接点半導体リレー22eは、第1逆送電信号が入力された場合に開かれ、そうでない場合に閉じられることになる。
【0044】
信号出力部22aから第1及び第2逆送電信号が出力されていない場合、すなわち順送電の場合には、a接点半導体リレー22b,22dが開かれ、b接点半導体リレー22c,22eが閉じられていることになる。したがって、昇圧スイッチ20が投入された場合に、第1整流回路14に交流信号が供給されて単相可逆モータ11が第1方向に回転され、降圧スイッチ21が投入された場合に、第2整流回路15に交流信号が供給されて単相可逆モータ11が第2方向に回転されることになる。一方、信号出力部22aから第1及び第2逆送電信号が出力されている場合、すなわち逆送電の場合には、a接点半導体リレー22b,22dが閉じられ、b接点半導体リレー22c,22eが開かれることになる。したがって、昇圧スイッチ20が投入された場合に、第2整流回路15に交流信号が供給されて単相可逆モータ11が第2方向に回転され、降圧スイッチ21が投入された場合に、第1整流回路14に交流信号が供給されて単相可逆モータ11が第1方向に回転されることになる。
【0045】
ここで、a接点半導体リレー22b,22dと、b接点半導体リレー22c,22eとは、動作タイミングが異なりうる。例えば、a接点半導体リレー22b,22dのほうが、b接点半導体リレー22c,22eよりも動作タイミングが早いことも考えられ、また、b接点半導体リレー22c,22eのほうが、a接点半導体リレー22b,22dよりも動作タイミングが早いことも考えられる。そのため、両方を同じ信号で制御した場合には、一時的にすべての半導体リレー22b〜22eが閉じられた状態となり、昇圧スイッチ20または降圧スイッチ21が投入された際に単相可逆モータ11の第1及び第2端子11d,11eの両方に単相交流電源10が供給されることになって、単相可逆モータ11が故障する可能性がある。したがって、a接点半導体リレー22b,22dとb接点半導体リレー22c,22eとの両方が同時に閉じられる期間がないように第1及び第2逆送電信号が出力されることが好適である。そのため、信号出力部22aは、SVRにおいて順送電から逆送電になった際に第1逆送電信号を先に出力し、その後に第2逆送電信号を出力し、逆送電から順送電になった際に第2逆送電信号の出力を先に停止し、その後に第1逆送電信号の出力を停止してもよい。なお、a接点半導体リレー22b,22dとb接点半導体リレー22c,22eとの動作タイミングの時間差をTDとすると、信号出力部22aは、第1逆送電信号を出力してからTD以上経過した後に第2逆送電信号を出力し、第2逆送電信号の出力を停止してからTD以上経過した後に第1逆送電信号の出力を停止してもよい。また、例えば、第1逆送電信号の出力から第2逆送電信号の出力までの期間、及び第2逆送電信号の出力の停止から第1逆送電信号の出力の停止までの期間をTD+εとした場合に、εは小さい正の値であることが好適である。a接点半導体リレー22b,22dと、b接点半導体リレー22c,22eとの動作タイミングがずれすぎないことが好適だからである。信号出力部22aが上記のように第1及び第2逆送電信号を出力することにより、a接点半導体リレー22b,22dの動作タイミングとb接点半導体リレー22c,22eの動作タイミングとのどちらが早い場合であっても、両半導体リレーが同時に閉じられる期間がないようにすることができる。
【0046】
図4は、第1及び第2逆送電信号と、半導体リレー22b〜22eの状態との一例を示すタイミングチャートである。なお、
図4では、b接点半導体リレーのほうが、a接点半導体リレーよりも動作タイミングが遅いものとしている。
図4(a),
図4(b)において、実線で示される第2逆送電信号の立ち上がり、すなわち第2逆送電信号の出力タイミングは、第1逆送電信号の立ち上がり、すなわち第1逆送電信号の出力タイミングよりも遅くなっている。そのため、
図4(c),
図4(d)において、実線で示されるa接点半導体リレー22b,22dが投入されるタイミングは、b接点半導体リレー22c,22eが開放されるタイミングよりも遅くなっており、両半導体リレーが同時に投入されることを回避できている。一方、そのようなタイミング調整を行わない場合には、
図4(b)の破線で示されるように第2逆送電信号が出力されることになり、a接点半導体リレー22b,22dが投入されるタイミングが、
図4(d)の破線で示されるように、b接点半導体リレー22c,22eが開放されるタイミングよりも早くなる。その結果、一時的に両半導体リレーが同時に投入されている期間が存在することになり、その期間に昇圧スイッチ20または降圧スイッチ21が投入された場合には、単相可逆モータ11の第1及び第2端子11d,11eの両方に交流電源が供給されることになり、単相可逆モータ11が故障することになる。このように、第1及び第2逆送電信号を適切に制御することにより、そのような単相可逆モータ11の故障を防止することができるようになる。
【0047】
なお、上記説明では、順送電から逆送電になった際と、逆送電から順送電になった際との両方において、第1及び第2逆送電信号の出力タイミングを変更する場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、a接点半導体リレーの動作タイミングとb接点半導体リレーの動作タイミングとのどちらが早いか分かっている場合には、順送電から逆送電になった際と、逆送電から順送電になった際との一方のみにおいて、第1及び第2逆送電信号に関するタイミングを変更する用にしてもよい。具体的には、b接点半導体リレーのほうが、a接点半導体リレーよりも動作タイミングが遅い場合には、信号出力部22aは、順送電から逆送電になった際に、第1逆送電信号を先に出力し、その後に第2逆送電信号を出力し、逆送電から順送電になった際には、第1及び第2逆送電信号の出力を同時に停止してもよい。また、a接点半導体リレーのほうが、b接点半導体リレーよりも動作タイミングが遅い場合には、信号出力部22aは、順送電から逆送電になった際には、第1及び第2逆送電信号を同時に出力し、逆送電から順送電になった際に、第2逆送電信号の出力を先に停止し、その後に第1逆送電信号の出力を停止してもよい。
【0048】
半導体リレー31は、スイッチ16に接続され、スイッチ16を介して供給された単相交流電源10からの交流信号を、第1指示信号に応じて第1整流回路14に供給するa接点の半導体リレーである。すなわち、半導体リレー31は、第1指示信号が入力された場合には閉じられ、そうでない場合には開かれることになる。なお、
図1では、第1整流回路14の正極側は、半導体リレー34の発光素子を介して、半導体リレー31が有する発光素子のアノード側に接続されている。第1整流回路14に交流信号が一時的であっても供給された場合には、それに応じて単相可逆モータ11が回転を開始してスイッチ16が投入されると共に、半導体リレー31が閉じられることになる。その結果、第3開閉回路18や第4開閉回路22から第1整流回路14に交流信号が供給されなくなっても、半導体リレー31を介して第1整流回路14に交流信号が供給されることになる。したがって、半導体リレー31は、第1整流回路14への交流信号の供給を自己保持する回路となる。
【0049】
半導体リレー32は、第3開閉回路18、第4開閉回路22、及び半導体リレー31と、第1整流回路14との間に配置された、b接点の半導体リレーである。半導体リレー32は、第2指示信号に応じて交流信号を第1整流回路14に供給する。すなわち、半導体リレー32は、第2指示信号が入力された場合には開かれ、そうでない場合には閉じられることになる。なお、
図1では、第2整流回路15の正極側は、半導体リレー32が有する発光素子のアノード側に接続されている。第2整流回路15から第2指示信号が出力される場合には、単相可逆モータ11の第2端子11eに単相交流電源10が供給されるため、その第2指示信号によって半導体リレー32が開放され、第1整流回路14が動作しないようにすることによって、第1端子11dにも単相交流電源10が供給されることを回避でき、単相可逆モータ11が故障することを防止することができる。
【0050】
半導体リレー33は、スイッチ16に接続され、スイッチ16を介して供給された単相交流電源10からの交流信号を、第2指示信号に応じて第2整流回路15に供給するa接点の半導体リレーである。すなわち、半導体リレー33は、第2指示信号が入力された場合には閉じられ、そうでない場合には開かれることになる。なお、
図1では、第2整流回路15の正極側は、半導体リレー32の発光素子を介して、半導体リレー33が有する発光素子のアノード側に接続されている。半導体リレー33は、第2整流回路15側に設けられた、半導体リレー31に対応するものであり、その詳細な説明を省略する。
【0051】
半導体リレー34は、第3開閉回路18、第4開閉回路22、及び半導体リレー33と、第2整流回路15との間に配置された、b接点の半導体リレーである。半導体リレー34は、第1指示信号に応じて交流信号を第2整流回路15に供給する。すなわち、半導体リレー34は、第1指示信号が入力された場合には開かれ、そうでない場合には閉じられることになる。なお、
図1では、第1整流回路14の正極側は、半導体リレー34が有する発光素子のアノード側に接続されている。半導体リレー34は、第2整流回路15側に設けられた、半導体リレー32に対応するものであり、その詳細な説明を省略する。
【0052】
半導体リレー18d,18e,22b〜22e,31〜34のぞれぞれは、発光素子を有する入力側回路と、その発光素子が発光した際にオンまたはオフになる半導体スイッチを有する出力側回路とを有している半導体リレーであり、例えば、フォトMOSリレーであってもよく、第1開閉回路12や第2開閉回路13と同様に、トライアックと発光素子とフォトトライアックとを用いて構成された半導体リレーであってもよく、その他の構成の半導体リレーであってもよい。それらの半導体リレー18d,18e,22b〜22e,31〜34には、大電流は流れないため、フォトMOSリレーのような低容量の半導体リレーを用いることができる。また、タップ切替装置1は、半導体リレー18d,18e,22b〜22e,31〜34を過電圧から保護するため、半導体リレー18d,18e,22b〜22e,31〜34とそれぞれ並列に配置されたバリスタ(図示せず)を有していてもよい。半導体リレーと並列にバリスタを設けるとは、半導体リレーが有する出力側回路と並列にバリスタを設けることであってもよい。なお、半導体素子の使用電圧から絶対定格電圧までの間で動作するバリスタを、その半導体素子と並列に接続することによって、過電圧印加時に絶対定格電圧に至る前にバリスタが作動し、電流を流すことによって、半導体素子が保護されることになる。したがって、半導体リレーに並列に接続されるバリスタは、半導体リレーの使用電圧から絶対定格電圧までの間で動作するものであることが好適である。また、その半導体リレーの入力側回路に含まれる発光素子は、LEDであってもよい。また、半導体リレーは、半導体素子によって構成されているのであれば、上述した以外のものであってもよい。
【0053】
リミットスイッチ35は、第1方向に回転している単相可逆モータ11が終端のタップを超えて回転した場合に開放されるb接点のスイッチである。このリミットスイッチ35によって、単相可逆モータ11が終端のタップを超えて第1方向に回転することを回避することができる。
【0054】
リミットスイッチ36は、第2方向に回転している単相可逆モータ11が終端のタップを超えて回転した場合に開放されるb接点のスイッチである。このリミットスイッチ36によって、単相可逆モータ11が終端のタップを超えて第2方向に回転することを回避することができる。
【0055】
なお、半導体リレー18d,18e,22b〜22e,31〜34の発光素子や、第1及び第2開閉回路12,13の第1及び第2発光素子12b,13bに、誤点灯防止のための抵抗を並列に設けてもよく、また、ノイズ除去用のコンデンサを並列に設けてもよい。
【0056】
次に、本実施の形態によるタップ切替装置1の動作について説明する。まず、自動制御が行われる場合について説明する。この場合には、スイッチ17が投入され、スイッチ19が開放されているものとする。タップ切替装置1を有するSVRにおいて、順送電であり、また、電圧調整のために二次側を昇圧する必要が生じたとする。そして、図示しない制御手段が、90_1/2信号をHに設定し、その後に、90ENB信号をHからLに変更したとする。すると、半導体リレー18dが閉じられるが、半導体リレー18eは開いたままとなる。その結果、半導体リレー18dを介して交流信号が第1整流回路14に供給され、第1整流回路14から第1開閉回路12、及び半導体リレー31,34に第1指示信号が出力される。その第1指示信号の出力に応じて、a接点の半導体リレー31が投入されると共に、b接点の半導体リレー34が開放され、第2整流回路15への交流信号の供給が確実に阻止されることになる。また、第1指示信号の出力に応じて第1発光素子12bが発光し、第1フォトトライアック12cに交流信号が流れることに応じて第1トライアック12aに交流信号が流れるようになる。その結果、単相交流電源10が第1端子11dに供給され、単相可逆モータ11が第1方向に回転する。その回転に応じてスイッチ16が投入される。また、第1指示信号の出力に応じて半導体リレー31が投入されているため、スイッチ16、及び半導体リレー31,32を介して、交流信号が第1整流回路14に供給されるようになる。そのように、自己保持回路によって交流信号が第1整流回路14に供給されるようになった後に、制御手段は、90_1/2信号と90ENB信号とをそれぞれ初期状態の信号であるLとHとに戻す。その結果、半導体リレー18d,18eは両方とも開いた状態になるが、自己保持回路を介して第1整流回路14への交流信号の供給が継続されることになる。
【0057】
単相可逆モータ11が1タップ分だけ第1方向に回転すると、スイッチ16が開放される。そのスイッチ16の開放に応じて、第1整流回路14への交流信号の供給が遮断され、第1指示信号の出力が停止される。その結果、第1開閉回路12を介した交流電源の供給が遮断されるため、単相可逆モータ11が停止する。また、半導体リレー31,34がそれぞれ初期状態に戻ることになる。
【0058】
SVRにおいて降圧の電圧調整を行う場合には、図示しない制御手段は、90_1/2信号をLに設定し、その後に、90ENB信号をHからLに変更する。すると、半導体リレー18dは開いたままであるが、半導体リレー18eが閉じられる。そして、半導体リレー18eを介して交流信号が第2整流回路15に供給され、第2整流回路15から第2開閉回路13、及び半導体リレー32,33に第2指示信号が出力される。その第2指示信号の出力に応じて、a接点の半導体リレー33が投入されると共に、b接点の半導体リレー32が開放され、第1整流回路14への交流信号の供給が確実に阻止されることになる。また、第2指示信号の出力に応じて第2発光素子13bが発光し、第2フォトトライアック13cに交流信号が流れることに応じて第2トライアック13aに交流信号が流れるようになる。その結果、単相交流電源10が第2端子11eに供給され、単相可逆モータ11が第2方向に回転する。その回転に応じてスイッチ16が投入され、交流信号が自己保持回路を介して第2整流回路15に供給されるようになる。その後、制御手段は、90_1/2信号と90ENB信号とをそれぞれ初期状態の信号であるLとHとに戻す。
【0059】
単相可逆モータ11が1タップ分だけ第2方向に回転すると、スイッチ16が開放される。そのスイッチ16の開放に応じて、第2整流回路15への交流信号の供給が遮断され、第2指示信号の出力が停止される。その結果、第2開閉回路13を介した交流電源の供給が遮断されるため、単相可逆モータ11が停止する。また、半導体リレー32,33がそれぞれ初期状態に戻ることになる。
【0060】
次に、手動制御が行われる場合について説明する。この場合には、スイッチ19が投入され、スイッチ17が開放されているものとする。また、タップ切替装置1を有するSVRにおいて、順送電であるとする。すると、信号出力部22aから第1及び第2逆送電信号は出力されないため、a接点半導体リレー22b,22dは開放されており、b接点半導体リレー22c,22eは投入されていることになる。そのような状態において、SVRの二次側を昇圧する必要が生じたとする。そして、操作者等が手動や遠隔操作によって、昇圧スイッチ20を投入したとする。その昇圧スイッチ20の投入に応じて、b接点半導体リレー22cを介して半導体リレー32に交流信号が供給される。その後の動作は、自動制御の際に半導体リレー18dが閉じられた場合と同様であり、その説明を省略する。昇圧スイッチ20は、単相可逆モータ11が第1方向に回転を開始した後に開放されてもよい。自己保持回路によって第1整流回路14への交流信号の供給が継続されるからである。なお、単相可逆モータ11は、1タップ分だけ第1方向に回転すると停止する。また、SVRの二次側を降圧する必要が生じ、操作者等が手動や遠隔操作によって、降圧スイッチ21を投入したとする。その降圧スイッチ21の投入に応じて、b接点半導体リレー22eを介して半導体リレー34に交流信号が供給される。その後の動作は、自動制御の際に半導体リレー18eが閉じられた場合と同様であり、その説明を省略する。なお、単相可逆モータ11は、1タップ分だけ第2方向に回転すると停止する。また、タップ切替装置1を有するSVRにおいて、順送電から逆送電になったとする。すると、その送電方向の変化の検知に応じて、信号出力部22aは、まず、第1逆送電信号をb接点半導体リレー22c,22eに出力し、その後に第2逆送電信号をa接点半導体リレー22b,22dに出力する。その結果、b接点半導体リレー22c,22eが開放され、その後にa接点半導体リレー22b,22dが投入される。なお、逆送電の場合には、二次側に変電所が存在するため、SVRにおいて電圧調整の対象となるのは一次側となる。そのような状態において、SVRの一次側を昇圧する必要が生じたとする。そして、操作者等が手動や遠隔操作によって、昇圧スイッチ20を投入すると、それに応じてa接点半導体リレー22bを介して半導体リレー34に交流信号が供給される。その後の動作は、自動制御の際に半導体リレー18eが閉じられた場合と同様であり、その説明を省略する。また、逆送電の際にSVRの一次側を降圧する必要が生じ、操作者等が手動や遠隔操作によって、降圧スイッチ21を投入したとする。その降圧スイッチ21の投入に応じて、a接点半導体リレー22dを介して半導体リレー32に交流信号が供給される。その後の動作は、自動制御の際に半導体リレー18dが閉じられた場合と同様であり、その説明を省略する。
【0061】
以上のように、本実施の形態によるタップ切替装置1によれば、メカニカルリレーに代えて半導体リレー等を用いるようにしたことにより、機械的な可動部分が減ることになり、長寿命になる。また、メカニカルリレーを使用していた場合と比較して、振動や衝撃にも強くなる。また、半導体素子によって構成されたタップ切替装置1は、従来のメカニカルリレーを用いたタップ切替装置と同様の動作をするため、従来のタップ切替装置を本実施の形態によるタップ切替装置1に容易に置き換えることもできる。また、第1及び第2開閉回路12,13を、第1及び第2トライアック12a,13aや、第1及び第2フォトトライアック12c,13cを用いて構成したことにより、単相可逆モータ11で使用される高電流の交流の開閉を制御することができるようになる。また、従来、入力側と出力側が両方とも交流である半導体リレーは存在しないが、入力側に第1及び第2指示信号を出力する第1及び第2整流回路14,15を設け、その第1及び第2指示信号によって第1及び第2開閉回路12,13を制御するようにしたことにより、全体として、交流信号の入力に応じて、交流電源の出力を制御できるようになる。また、タップ切替装置1が第1及び第2整流回路14,15を備えていることにより、仮に、SVRにおける交流直流変換器が故障したとしても、少なくともタップ切替装置1を手動制御で動作させることはできることになる。SVRの交流直流変換器が故障した場合には、制御手段等に直流電源が供給されなくなるため、第3開閉回路18から交流信号は出力されなくなり、また、信号出力部22aから第1及び第2逆送電信号は出力されなくなる。一方、第4開閉回路22におけるb接点半導体リレー22c,22eを介した交流信号の供給は行うことができるため、昇圧スイッチ20や降圧スイッチ21を操作することによって、単相可逆モータ11を第1方向や第2方向に回転させることはできる。したがって、上記のように、DC電源として用いられる交流直流変換器が故障したとしても、少なくとも手動制御による昇圧や降圧はできることになる。また、第1及び第2整流回路14,15の出力側に第1及び第2定電流ダイオード14e,15eをそれぞれ備えたことにより、第1及び第2指示信号があらかじめ決められた電流となるようにすることができる。その結果、第1及び第2指示信号による半導体リレー等における発光素子の発光を安定化させることができ、半導体リレー等が安定して動作するようにできる。また、第4開閉回路22において、a接点半導体リレー22b,22dとb接点半導体リレー22c,22eとの両方が同時に閉じられる期間がないように第1及び第2逆送電信号が出力されることによって、第1及び第2整流回路14,15の両方に同時に交流信号が供給されることによる単相可逆モータ11の故障を回避することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、タップ切替装置1がメカニカルリレーを含まなくなる構成について説明したが、そうでなくてもよい。タップ切替装置1においても、使用頻度の低いリレーについては、メカニカルリレーを用いてもよい。使用頻度の高いリレーを半導体素子によって構成することにより、装置としては、長寿命化することができるからである。例えば、変電所の方向があまり変化しない場合には、第4開閉回路22において、a接点半導体リレー22b,22dに代えてa接点メカニカルリレーを用いてもよく、また、b接点半導体リレー22c,22eに代えてb接点メカニカルリレーを用いてもよい。その場合にも、上記のように、a接点メカニカルリレーとb接点メカニカルリレーとの両方が同時に閉じられる期間がないように第1及び第2逆送電信号が出力されることが好適である。
【0063】
また、本実施の形態では、第4開閉回路22において、各半導体リレー22b〜22eに入力される第1及び第2逆送電信号のタイミングが変更される場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、a接点半導体リレー22b,22dと、b接点半導体リレー22c,22eとの動作タイミングが同じである場合には、一つの逆送電信号によって、すべての半導体リレー22b〜22eが制御されてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、第1及び第2整流回路14,15において、第1及び第2定電流ダイオード14e,15eを介して第1及び第2指示信号がそれぞれ出力される場合について説明したが、そうでなくてもよい。定電流ダイオードを介して第1及び第2指示信号が出力されなくても半導体リレー等を安定して動作させることができる場合等には、第1及び第2整流回路14,15は、第1及び第2定電流ダイオード14e,15eを備えていなくてもよい。
【0065】
また、本実施の形態では、第1及び第2整流回路14,15が
図1で示される構成である場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、ダイオードブリッジ14a,15a以外の構成によって整流が行われてもよく、また、降圧抵抗14b,15b、定電圧ダイオード14c,15c以外の構成によって直流電圧の分圧が行われてもよい。例えば、定電圧ダイオード14c,15cに代えて、抵抗が用いられてもよい。
【0066】
また、本実施の形態では、第1及び第2開閉回路12,13がトライアックと発光素子とフォトトライアックとを有する場合について説明したが、そうでなくてもよい。単相可逆モータ11の動作に必要な交流電源の供給を制御できるのであれば、半導体素子によって構成されたその他の第1及び第2開閉回路によって、単相可逆モータ11の第1及び第2端子11d,11eへの交流電源の供給が制御されてもよい。
【0067】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0068】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。