特許第6773601号(P6773601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773601
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】二重容器用キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20201012BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   B65D47/20 111
   B65D1/02 111
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-90795(P2017-90795)
(22)【出願日】2017年4月28日
(65)【公開番号】特開2018-188184(P2018-188184A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2019年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩通
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−037290(JP,A)
【文献】 特開2016−055893(JP,A)
【文献】 実開昭63−183055(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
B65D 1/00− 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気導入孔を有する外層体と、該外層体の内側に配置され内容物を収容する収容空間を形成する内層体とを有する容器本体に装着される二重容器用キャップであって、
該内容物の注出孔を備え、該容器本体の口部に着脱可能なキャップ本体と、
前記注出孔と前記収容空間との間に設けられ、該収容空間から該注出孔を通した内容物の流れを許容し、該注出孔から該収容空間への内容物の流れを阻止する注出用逆止弁と
を備え、
前記注出用逆止弁は、複数のアームにより弾性支持された弁体と、前記収容空間と前記注出孔とを連通する連通孔を備える弁座とを有し、
前記弁体は、前記注出用逆止弁の閉塞時において該弁体が前記弁座に当接する当接位置よりも径方向外側において該弁体の下面から垂下する遮蔽壁を有することを特徴とする二重容器用キャップ。
【請求項2】
前記弁体は、前記遮蔽壁の径方向内側において下方に凸となる形状を有する、請求項1に記載の二重容器用キャップ。
【請求項3】
前記遮蔽壁は、上下方向に延びるスリットを有する、請求項1又は2に記載の二重容器用キャップ。
【請求項4】
前記弁座の上面は、径方向内側方向に向かって下方に傾斜している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の二重容器用キャップ。
【請求項5】
前記複数のアームは、3本又は4本のアームであり、周方向に等間隔で設けられている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の二重容器用キャップ。
【請求項6】
前記複数のアームは、径方向に延びている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の二重容器用キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外層体の内側に減容変形可能な内層体が配置された容器本体に装着可能な、二重容器用キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の二重容器として、例えば特許文献1に記載されるように、容器本体と該容器本体の口部に着脱可能な注出キャップとを備え、容器本体は、外気導入孔を有する外層体と該外層体の内側に配置された内層体とを備え、内層体は、内容物の注出に伴い減容変形しつつ前記外気導入孔から外気を外層体と内層体との間に導入し、注出キャップは、逆止弁によって開閉可能な内容物の注出路を備えるものが知られている。
【0003】
このような二重容器によれば、内容物を外気との接触から保護し、内容物の品質を良好に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−159943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるような従来の二重容器では、逆止弁の弁体と弁座との間に内容物中の具材が挟まったり詰まったりすることがある。その場合、内容物の注出が終了した後も逆止弁が完全には閉塞しないため、内容物の収容空間内に空気を取り込んでしまい、内容物の品質を良好に保持し続けられるとは限らなかった。
【0006】
本発明は、前記の問題点に鑑み開発されたもので、内容物の収容空間内への空気の取り込みを抑制する二重容器用キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の二重容器用キャップは、外気導入孔を有する外層体と、該外層体の内側に配置され内容物を収容する収容空間を形成する内層体とを有する容器本体に装着される二重容器用キャップであって、
該内容物の注出孔を備え、該容器本体の口部に着脱可能なキャップ本体と、
前記注出孔と前記収容空間との間に設けられ、該収容空間から該注出孔を通した内容物の流れを許容し、該注出孔から該収容空間への内容物の流れを阻止する注出用逆止弁と
を備え、
前記注出用逆止弁は、複数のアームにより弾性支持された弁体と、前記収容空間と前記注出孔とを連通する連通孔を備える弁座とを有し、
前記弁体は、前記注出用逆止弁の閉塞時において該弁体が前記弁座に当接する当接位置よりも径方向外側において該弁体の下面から垂下する遮蔽壁を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の二重容器用キャップは、上記構成において、前記弁体が、前記遮蔽壁の径方向内側において下方に凸となる形状を有することが好ましい。
【0009】
本発明の二重容器用キャップは、上記構成において、前記遮蔽壁が、上下方向に延びるスリットを有することが好ましい。
【0010】
本発明の二重容器用キャップは、上記構成において、前記弁座の上面が、径方向内側方向に向かって下方に傾斜していることが好ましい。
【0011】
本発明の二重容器用キャップは、上記構成において、前記複数のアームが、3本又は4本のアームであり、周方向に等間隔で設けられていることが好ましい。
【0012】
本発明の二重容器用キャップは、上記構成において、前記複数のアームが、径方向に延びていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内容物の収容空間内への空気の取り込みを抑制する二重容器用キャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る二重容器用キャップの正面断面図である。
図2図1の二重容器キャップを構成する弁部材の底面図である。
図3図1において、容器本体の胴部の押圧により注出用逆止弁が開放された状態を示す正面断面図である。
図4図1において、容器本体の胴部の押圧の解除により注出用逆止弁が閉塞される直前の状態を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1図4を参照して、本発明の一実施形態に係る二重容器用キャップについて詳細に例示説明する。
【0016】
なお、本明細書において上下方向とは、容器の正立状態を基準とし、容器の軸線に沿って口部が配置される側(すなわち、図1における上側)を上方、底部が配置される側(すなわち、図1における下側)を下方とする。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る二重容器用キャップ1は、容器本体2の口部3に着脱可能なキャップ本体4と、弁部材14と、内キャップ部材15とを有している。また、容器本体2は、外気導入孔5を有する外層体6と該外層体6の内側に配置された内層体7とを備えている。内層体7は、内容物の注出に伴い減容変形しつつ外気導入孔5から外気を外層体6と内層体7との間に導入するようになっている。そして、キャップ本体4は、注出用逆止弁8によって開閉可能な内容物の注出路Rを備えている。
【0018】
より具体的には、本実施形態では、容器本体2は、口部3と、該口部3よりも拡径された胴部(図示省略)と、胴部の下部を閉塞する底部(図示省略)とからなるボトル状をなしている。また、容器本体2は、共押出し成形した二層構造のパリソンをブロー成形することで外層体6に対して内層体7を剥離可能に積層させた構成になっている。内層体7は減容変形可能な薄肉の袋状に形成され、外層体6は、所定の剛性を有するボトル形状に形成されて容器本体2の外郭を構成している。外層体6の胴部に対応する部分は押圧(スクイズ)可能であるとともに元の形状への復元性を有している。なお、容器本体2は、このような構成に代えて、内層体7を外層体6の内部に組み込んだ二重容器構成としてもよい。
【0019】
口部3の外周面には、キャップ本体4をねじ係合により装着するための雄ねじ部50が設けられている。雄ねじ部50は、キャップ本体4の装着筒12の内周面に設けられた雌ねじ部51と係合する。
【0020】
また、本実施形態では、口部3に外気導入孔5が形成されており、キャップ本体4に設けられた貫通孔10、11、及び口部3とキャップ本体4の装着筒12との隙間(ねじ山間に形成される螺旋状の隙間を含む)を通じて、外気を外気導入孔5まで導き外層体6と内層体7との間に導入するようになっている。なお、口部3の外周面には、ねじ山を上下に貫通する通気用の溝Tを、外気導入孔5と周方向における同位置に設け、外気の導入を促進するようにしている。
【0021】
キャップ本体4は、口部3にねじ係合される装着筒12を備えている。なお、装着筒12は、ねじ係合に代えて、アンダーカットを介した嵌合によって口部3に装着されるように構成してもよい。
【0022】
キャップ本体4は、装着筒12と、該装着筒12の上端に連なる天壁16と、装着筒12にヒンジ17を介して連結された上蓋18とを備えている。天壁16には、注出筒19と、前述した貫通孔10とが設けられている。上蓋18には、注出筒19を閉塞するピン20が設けられている。
【0023】
弁部材14は、筒壁21と、該筒壁21の内周側に連設された注出用逆止弁8と、該筒壁21の外周側に連設された外気導入用逆止弁22とを備えている。本実施形態において、注出用逆止弁8は、下に凸となる形状を有する弁体8aを備えている。弁体8aは、図1に示すように、径方向中央において水平方向に延びる底部8a1と、底部8a1の周囲において径方向外側に向かって上方に傾斜する傾斜部8a2とを有している。弁体8aは、図2に示すように、外周縁を径方向外側方向に延びる4本のアーム8cで筒壁21の内周面に連結した4点弁として構成されている。弁体8aは、注出用逆止弁8の閉塞時において後述する弁座15aに当接する当接位置よりも径方向外側において下面から垂下する遮蔽壁8bを更に有している。遮蔽壁8bの下端部は、図1に示す例では、弁座15aの上面から僅かに上方に離間して設けられている。弁体8aは、図1に示すように、底部8a1を除いては比較的薄肉に形成されており、後述するように、容器本体2の収容空間S内の圧力上昇により容易に弾性変形するように構成されている。一方、外気導入用逆止弁22は、周方向に連続するフランジ状(本実施形態では湾曲状に延びた形状)をなしている。筒壁21の上部は、キャップ本体4の天壁16から垂下する嵌合筒23に嵌合している。弁部材14は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の弾性体で形成されたものとすることができる。
【0024】
内キャップ部材15は、キャップ本体4の天壁16と容器本体2の口部3との間に配置され、かつ、キャップ本体4の装着筒12の内周面と天壁16下面との間に嵌合される外筒24を備えている。また、図1に示すように外筒24の下端には、内周方向に延びる隔壁33と、隔壁33の内周側端に形成され筒壁21の下端が嵌合する嵌合溝27と、嵌合溝27から更に内周側へと延びる弁座15aとが連設されている。そして、弁座15aの中央には、容器本体2の収容空間Sと注出孔19aとを連通する連通孔26が形成されている。本実施形態では、連通孔26を形成する弁座15aの内周端に弁体8aが当接することにより注出用逆止弁8が閉塞される。
【0025】
また、嵌合溝27の外周側には、口部3の上端内周面に嵌合する環状のシール突起31が垂設されている。外筒24の下部には、前述した貫通孔11が形成されている。
【0026】
本実施形態では、内容物の注出路Rは、キャップ本体4の注出筒19及び天壁16、弁部材14の筒壁21、並びに内キャップ部材15の弁座15a、及び連通孔26によって区画されている。
【0027】
利用者は、内容物を容器本体2の収容空間S内に充填された状態で且つ上述の二重容器用キャップ1が容器本体2に装着された状態で使用する。まず、上蓋18を開き容器本体2を傾けて胴部を押圧すると、収容空間S内の圧力が高まり、注出用逆止弁8の弁体8aは、図3に示すように注出筒19の方向に変位して開放される。すなわち、弁体8aの底部8a1が、収容空間S内の圧力により上方に持ち上げられることにより、4本のアーム8cの径方向内側が上方に変位し、底部8a1に対する傾斜部8a2の角度が浅くなるように更に変形することで、弁体8aの底部8a1は上方に大きく変位する。このとき、アーム8cの変形により、遮蔽壁8bの下端は径方向内側に方向付けされるため、収容空間S内の内容物は、図3に矢印で示すように連通孔26及び注出路Rを通じて外界に注出することができる。なお、図3では、注出用逆止弁8の閉塞時における弁体8aの位置を二点鎖線により示している。
【0028】
内容物を注出させた後、利用者が容器本体2の胴部の押圧を解除すると、内容物の減少に伴い内層体7は減容変形を維持する一方、外層体6は剛性により元の形状に復元する。これによって、外層体6と内層体7との間の空間が負圧となり、外気導入用逆止弁22が開き、外層体6と内層体7との間の空間には外気導入孔5から外気が導入される。また、収容空間S内の圧力も低下するため、弁体8aは元の形状に復元しようとする。図4は、弁体8aが元の形状に復元する過程における形状を示している。ここでは、薄肉部材として形成されたアーム8cが既に図1に示す元の形状に復元されているのに対し、相対的に厚肉に形成され慣性力が大きい底部8a1は未だ元の位置にまで復元が完了しておらず、注出用逆止弁8は開放された状態である。つまり、本実施形態では、内容物を注出後に胴部の押圧力を解除すると、遮蔽壁8bは、弁体8aの底部8a1が弁座15aに当接する前に元の位置まで復元する。図4において、遮蔽壁8bは、アーム8cの復元により図1の閉塞状態と同様、下方に向かって方向付けされる位置まで復元し、遮蔽壁8bの下端は弁座15aと近接している。従って、もはや遮蔽壁8bの径方向外側に存在する比較的大きな具材は、遮蔽壁8bを越えて連通孔26を通過することができない。そして図4の状態では、弁体8aの下方への変位により注出路R内に負圧が生じていることから注出筒19内に残留している内容物はサックバック効果により収容空間S側に引き込まれる。従って、内容物に含まれる小さな具材は、図4中に矢印で示すように、遮蔽壁8bと弁座15aとの隙間を通過し、連通孔26を経由して収容空間S内に引き込まれる。
【0029】
本構成の採用により、内容物を外気との接触から保護することができるため、内容物の品質を良好に保持することができる。また、上述のように弁体8aが下方に凸となる形状に復元する際に、注出筒19の内側に残留する内容物は、負圧により収容空間S側へと引き込まれる。このため、注出筒19からの液だれを効果的に防止することができる。特に、本実施形態では、弁体8aが弁座15aに着座する前に遮蔽壁8bが元の形状に復元することで内容物中の比較的大きな具材を遮蔽壁8bの径方向外側で遮断する。そして、遮蔽壁8bの復元後は小さな具材を含む内容物のみがサックバック効果により遮蔽壁8bと弁座15aの隙間を通って容器本体2内に引き戻される。従って、内容物に含まれる具材が弁体8aと弁座15aとの間に挟まれたり詰まってしまうことが無いので、内容物を注出後は確実に注出用逆止弁8を閉塞して、収容空間S内の内容物の品質を良好に保持することができる。
【0030】
なお、本実施形態では、遮蔽壁8bが周方向に切れ目の無い円筒形状を有するように構成したが、この態様には限定されない。遮蔽壁8bは、例えば周方向の少なくとも1箇所において下方に延びるスリットを有するように構成してもよい。この場合、スリット内を小さな具材を含む内容物が通過することができるので、図1のように、遮蔽壁8bと弁座15aとの間に意図的に隙間を設ける必要が無い。
【0031】
また、本実施形態では、周方向に等間隔で配置された4本のアーム8cにより弁体8aを支持すると共に、アーム8cが半径方向に延びるように構成したが、この態様には限定されない。アーム8cは、3本であってもよく、それ以外の数の複数のアーム8cで構成してもよい。また、アーム8cは必ずしも周方向に等間隔である必要はなく、半径方向に延びるように構成されている必要も無い。
【0032】
また、本実施形態では、弁座15aの上面が水平となるように構成したが、この態様には限定されない。弁座15aの上面が径方向内側に向かって下方に傾斜するように構成してもよく、二重容器用キャップ1内に残留する内容物を容器本体2内に回収し易くすることができる。
【0033】
また、本実施形態では、外気導入用逆止弁22を設け、貫通孔10を通じた外気の導入を制御するように構成したが、この態様には限定されない。例えば、外気導入用逆止弁22及び貫通孔11を設けず、代わりに外気を貫通孔10から取り込み、外筒24の上面と天壁16下面の隙間及び外筒24の外周面と装着筒12の内周面の隙間を介して外気導入孔5より内層体7と外層体6との間に導入してもよい。また、外気導入用逆止弁22、貫通孔10、及び外気導入孔5を設けず、代わりに容器本体2底部のピンチオフ部におけるスリット状の外気導入孔から外気を導入してもよく、また容器本体2のその他の部分(例えば胴部等)から外気を導入する構造としてもよい。
【0034】
上述のように、本実施形態に係る二重容器用キャップ1では、内容物の注出孔19aを備え、容器本体2の口部3に着脱可能なキャップ本体4と、内容物の収容空間Sから注出孔19aを通した内容物の流れを許容し、注出孔19aから収容空間Sへの内容物の流れを阻止する注出用逆止弁8とを備え、注出用逆止弁8は、4本のアーム8cにより弾性支持された弁体8aと、収容空間Sと注出孔19aとを連通する連通孔26を備える弁座15aとを有し、弁体8aは、弁座15aに当接する当接位置よりも径方向外側において弁体8aの下面から垂下する遮蔽壁8bを有するように構成した。これによって、注出筒19や注出路Rに残留する内容物のうち、比較的大きな具材が遮蔽壁8bの径方向外側の領域で遮断され、小さな具材のみが、サックバック効果により遮蔽壁8bと弁座15aとの隙間及び連通孔26を経由して収容空間Sに引き込まれる。従って、内容物に含まれる具材が弁体8aと弁座15aとの間に挟まれたり詰まってしまうことが無いので、内容物を注出後は確実に注出用逆止弁8を閉塞して、収容空間S内の内容物の品質を良好に保持することができる。
【0035】
また、本実施形態では、弁体8aが、遮蔽壁8bの径方向内側において下方に凸となる形状を有するように構成した。これによって、収容空間S内の圧力上昇により底部8a1が上昇し、底部8a1に対する傾斜部8a2の角度が浅くなるように変形することで、弁体8aは上方に大きく変位する。また、遮蔽壁8bの下端部が径方向内側方向に方向づけられることで、比較的大きい具材を含む内容物が注出用逆止弁8を通過しやすくなる。また、弁体8aの変位量が大きくなることで、内容物の注出終了時に弁体8aの復元により大きなサックバック効果を得ることができるので、注出筒19内に残留したより多くの内容物を容器本体2内に引き戻すことができる。
【0036】
また、遮蔽壁8bが上下方向に延びるスリットを有するように構成することができる。これによって、スリット内を小さな具材を含む内容物が通過することができるので、図1のように、遮蔽壁8bと弁座15aとの間に意図的に隙間を設ける必要が無い。
【0037】
また、弁座15aの上面が、径方向内側方向に向かって下方に傾斜するように構成することができる。これによって、二重容器用キャップ1内に残留する内容物を容器本体2内に回収し易くすることができる。
【0038】
また、本実施形態では、弁体8aを周方向に等間隔で設けられた4本のアーム8cで支持するように構成した。これによって、弁体8aが傾くことなく上下動するため、内容物を注出後に容器本体2の押圧を解除したときに、図4に示すようにまず遮蔽壁8bが復元し、次いで注出用逆止弁8が閉塞するように動作させることができる。従って、より確実に弁体8aと弁座15aの間に内容物の具材が挟まったり詰まったりすることを抑制することができる。これは、アーム8cが3本であっても、ほぼ同様の効果が得られる。
【0039】
また、本実施形態では、4本のアーム8cが径方向に延びるように構成した。これによって、弁体8aが傾くことなく上下動するため、内容物を注出後に容器本体2の押圧を解除したときに、まず遮蔽壁8bが復元し、次いで注出用逆止弁8が閉塞するように動作させることができる。従って、より確実に弁体8aと弁座15aの間に内容物の具材が挟まったり詰まったりすることを抑制することができる。
【0040】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0041】
1 二重容器用キャップ
2 容器本体
3 口部
4 キャップ本体
5 外気導入孔
6 外層体
7 内層体
8 注出用逆止弁
8a 弁体
8a1 底部
8a2 傾斜部
8b 遮蔽壁
8c アーム
10 貫通孔
11 貫通孔
12 装着筒
14 弁部材
15 内キャップ部材
15a 弁座
16 天壁
17 ヒンジ
18 上蓋
19 注出筒
19a 注出孔
20 ピン
21 筒壁
22 外気導入用逆止弁
23 嵌合筒
24 外筒
26 連通孔
27 嵌合溝
31 シール突起
33 隔壁
50 雄ねじ部
51 雌ねじ部
R 注出路
S 収容空間
図1
図2
図3
図4