【文献】
藤井 伶,SDNにおける認証情報を用いた経路制御手法,電子情報通信学会2017年総合大会講演論文集 通信2,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2017年 3月 7日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
[通信システムSの概要]
図1は、第1実施形態に係る通信システムSの構成を示す図である。通信システムSは、第1拠点と、第2拠点との間の通信を、インターネット等の通信ネットワークNにおいてVPN(Virtual Private Network)を確立することにより実現するシステムである。通信システムSにおいて、第1拠点には、通信経路設定装置2と、管理装置1と、第1拠点側CE(Customer Eege)ルータ3と、複数のユーザ端末4とが設けられている。第2拠点には、第2拠点側CEルータ5と、サーバ6とが設けられている。なお、本実施形態において、通信経路設定装置2は、第1拠点に設けられることとしたが、これに限らず、通信ネットワークN上に設けられていてもよい。
【0019】
通信ネットワークNには、例えば通信事業者が提供するPE(Provider Edge)ルータとして、第1拠点側に設けられる第1拠点側PEルータ7と、第2拠点側に設けられる第2拠点側PEルータ8とが設けられている。本実施形態では、第1拠点側PEルータ7として、第1拠点側PEルータ7A〜7Cが設けられている。
【0020】
第1拠点側CEルータ3、第2拠点側CEルータ5、第1拠点側PEルータ7、及び第2拠点側PEルータ8は、ユーザ端末4やサーバ6を含む複数の通信機器のそれぞれから受信したデータの転送先となるルータを規定するルーティングテーブルを記憶している。
【0021】
管理装置1は、ユーザ端末4のユーザを識別するユーザIDと、ユーザ端末4に割り当てられるIPアドレスと、ユーザ端末4の通信に係る優先度とを管理するサーバである。管理装置1は、ユーザIDとIPアドレスとを関連付けたアドレス情報と、ユーザIDと優先度とを関連付けた優先度情報とを記憶する。
【0022】
通信経路設定装置2は、複数のユーザのそれぞれが使用するユーザ端末4から送信されたデータの通信経路を、ユーザの優先度に基づいて設定するサーバである。通信経路設定装置2は、
図1に示すように、第1拠点側CEルータ3と、第1拠点側PEルータ7A〜7Cとの間の通信経路の通信品質を測定する。また、通信経路設定装置2は、管理装置1からアドレス情報と優先度情報とを取得する。
【0023】
通信経路設定装置2は、測定した通信経路の通信品質と、優先度情報が示すユーザの優先度とに基づいて、複数のユーザのそれぞれの通信経路を選択する。通信経路設定装置2は、複数のユーザのそれぞれに対して選択した通信経路と、アドレス情報が示すユーザ端末4A〜4CのIPアドレスとに基づいて第1拠点側CEルータ3のルーティングテーブルを更新する。このようにすることで、通信経路設定装置2は、ユーザごとに通信に用いる通信経路を設定することができる。
以下、管理装置1及び通信経路設定装置2の構成について説明する。
【0024】
[管理装置1の構成例]
図2は、第1実施形態に係る管理装置1の構成を示す図である。
管理装置1は、記憶部11と、制御部12とを備える。
【0025】
記憶部11は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等である。記憶部11は、管理装置1を機能させるための各種プログラムを記憶する。例えば、記憶部11は、管理装置1の制御部12を、後述するアドレス割当部121、認証部122、優先度受付部123、及び送信部124として機能させる管理プログラムを記憶する。
【0026】
制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部12は、記憶部11に記憶されている各種プログラムを実行することにより、管理装置1に係る機能を制御する。制御部12は、管理プログラムを実行することにより、アドレス割当部121、認証部122、優先度受付部123、及び送信部124として機能する。
【0027】
アドレス割当部121は、ユーザ端末4が第1拠点内のネットワークに接続されたことに応じて、当該ユーザ端末4にIPアドレスを割り当てる。なお、本実施形態では、アドレス割当部121が、ユーザ端末4にIPアドレスを割り当てたが、これに限らない。例えば、第1拠点側CEルータ3が、ユーザ端末4にIPアドレスを割り当ててもよい。
【0028】
認証部122は、ユーザ端末4の使用を開始する際に、ユーザIDとパスワードとを受け付け、ユーザの認証を行う。記憶部11には、ユーザIDとパスワードとを関連付けたログイン情報が記憶されている。認証部122は、ユーザ端末4からユーザIDとパスワードとを受け付けると、ログイン情報において、当該ユーザIDとパスワードとが関連付けているか否かを判定することによりユーザの認証を行う。
【0029】
認証部122は、ログインにおいて、ユーザ端末4から受け付けたユーザIDとパスワードとが関連付けられていると判定すると、認証に成功したと判定し、当該ユーザIDとパスワードとが関連付けられていないと判定すると、認証に失敗したと判定する。認証部122は、ユーザの認証に成功したと判定すると、ユーザ端末4に割り当てられているIPアドレスと、ユーザIDとを関連付けてアドレス情報として記憶部11に記憶させる。
【0030】
優先度受付部123は、ユーザ端末4から、ユーザIDと、ユーザの通信に係る優先度とを受け付ける。優先度受付部123は、受け付けたユーザIDと、優先度とを関連付けて優先度情報として記憶部11に記憶させる。なお、優先度受付部123は、例えば、第1拠点のネットワークを管理する管理者が使用する管理端末(不図示)から、ユーザIDと、優先度とを受け付けてもよい。
【0031】
送信部124は、アドレス情報及び優先度情報を通信経路設定装置2に送信する。例えば、送信部124は、アドレス情報に含まれるIPアドレスが更新されたことに応じて、当該IPアドレスに対応するアドレス情報を通信経路設定装置2に送信する。また、送信部124は、優先度情報に含まれる優先度が更新されたことに応じて、当該優先度に対応する優先度情報を通信経路設定装置2に送信する。
【0032】
[通信経路設定装置2の構成例]
図3は、第1実施形態に係る通信経路設定装置2の構成を示す図である。
通信経路設定装置2は、記憶部21と、制御部22とを備える。
【0033】
記憶部21は、例えば、ROM及びRAM等である。記憶部11は、通信経路設定装置2を機能させるための各種プログラムを記憶する。例えば、記憶部21は、通信経路設定装置2の制御部22を、後述するアドレス特定部221、優先度特定部222、品質測定部223、経路選択部224、及び経路更新部225として機能させる経路設定プログラムを記憶する。
【0034】
制御部22は、例えばCPUである。制御部22は、記憶部21に記憶されている各種プログラムを実行することにより、通信経路設定装置2に係る機能を制御する。制御部22は、経路設定プログラムを実行することにより、アドレス特定部221、優先度特定部222、品質測定部223、経路選択部224、及び経路更新部225として機能する。
【0035】
アドレス特定部221は、複数のユーザのそれぞれが使用するユーザ端末4のIPアドレスを特定する。アドレス特定部221は、ユーザ端末4が管理装置1にアクセスしてユーザがユーザ端末4の使用を開始したタイミングで、管理装置1から当該ユーザに対応するアドレス情報を受信することにより、ユーザ端末4のIPアドレスを特定する。
【0036】
アドレス特定部221は、管理装置1から受信したアドレス情報を記憶部21に記憶させる。記憶部21には、複数のユーザ端末4のそれぞれのアドレス情報を格納するアドレステーブルが記憶されている。
図4は、第1実施形態に係るアドレステーブルの一例を示す図である。
【0037】
アドレス特定部221は、受信したアドレス情報をアドレステーブルに反映する。例えば、アドレス特定部221は、受信したアドレス情報に含まれるユーザIDがアドレステーブルに格納されていない場合、当該アドレス情報をアドレステーブルに格納させる。また、アドレス特定部221は、受信したアドレス情報に含まれるユーザIDがアドレステーブルに格納されている場合、当該ユーザIDに関連付けられているIPアドレスを、受信したアドレス情報に含まれているIPアドレスに更新する。
【0038】
優先度特定部222は、複数のユーザのそれぞれの通信の優先度を特定する。例えば、優先度特定部222は、管理装置1が複数のユーザのそれぞれの優先度を受け付けたことに応じて、管理装置1から送信される優先度情報を受信することにより、優先度を特定する。ここで、優先度は、1〜10の10段階のレベルであり、1が最低の優先度を示し、10が最高の優先度を示している。
【0039】
優先度特定部222は、管理装置1から受信した優先度情報を記憶部21に記憶させる。記憶部21には、複数のユーザ端末4のそれぞれの優先度情報を格納する優先度テーブルが記憶されている。
図5は、第1実施形態に係る優先度テーブルの一例を示す図である。
【0040】
優先度特定部222は、受信した優先度情報を優先度テーブルに反映する。例えば、優先度特定部222は、受信した優先度情報に含まれるユーザIDが優先度テーブルに格納されていない場合、当該優先度情報を優先度テーブルに格納させる。また、優先度特定部222は、受信した優先度情報に含まれるユーザIDが優先度テーブルに格納されている場合、当該ユーザIDに関連付けられている優先度を、受信した優先度情報に含まれている優先度に更新する。
【0041】
品質測定部223は、複数の通信経路のそれぞれの通信品質を所定時間おきに測定する。具体的には、品質測定部223は、CEルータが接続可能なPEルータが複数存在する場合、当該CEルータと、複数のPEルータのそれぞれとの通信経路の通信品質を測定する。
図1に示す例では、品質測定部223は、第1拠点側CEルータ3と第1拠点側PEルータ7Aとの間の通信経路、第1拠点側CEルータ3と第1拠点側PEルータ7Bとの間の通信経路、及び第1拠点側CEルータ3と第1拠点側PEルータ7Cとの間の通信経路の通信品質を測定する。
【0042】
品質測定部223は、例えば、複数の第1拠点側PEルータ7のそれぞれに、第1拠点側CEルータ3に対するPingを実行させる。品質測定部223は、複数の第1拠点側PEルータ7のそれぞれから、Pingの実行結果として、第1拠点側PEルータ7がパケットを送信してから応答パケットを受信するまでの応答時間を示す情報を受信する。品質測定部223は、受信した応答時間を示す情報に基づいて、複数の第1拠点側PEルータ7のそれぞれと、第1拠点側CEルータ3との通信経路の通信品質を測定する。
【0043】
品質測定部223は、測定した通信品質を、複数の品質レベルのいずれかに分類する。例えば、品質レベルは、1〜5の5段階のレベルであり、1が最低の優先度を示し、5が最高の優先度を示している。品質測定部223は、所定の閾値に基づいて、測定した通信品質を5段階のいずれかの品質レベルに振り分ける。
【0044】
また、品質測定部223は、Pingの実行時に送受信されたパケットのデータ量と、応答時間とに基づいて、複数の通信経路のそれぞれのスループットを測定する。
【0045】
品質測定部223は、測定した通信品質の品質レベルと、スループットと、それぞれの通信経路を識別する経路識別情報とを関連付けて通信品質情報として記憶部21に記憶させる。
図6は、第1実施形態に係る通信品質情報の一例を示す図である。例えば、
図6に示す経路識別情報として、「7A−3」は、第1拠点側PEルータ7Aと、第1拠点側CEルータ3との間の通信経路を示している。
【0046】
経路選択部224は、品質測定部223により測定された通信品質と、優先度特定部222により特定された優先度とに基づいて、複数のユーザのそれぞれが使用するユーザ端末4のアドレスを送信元又は送信先とする通信の通信経路を選択する。
【0047】
例えば、経路選択部224は、優先度が高いユーザから順に、通信品質が高い通信経路に、ユーザを割り当てる。ここで、経路選択部224は、品質測定部223が測定した通信経路のスループットと、複数のユーザのそれぞれの予測通信量とに基づいて、通信経路に割り当てられる複数のユーザの予測通信量の合計が、当該通信経路のスループットを上回らないように、通信経路にユーザを割り当てる。
【0048】
例えば、複数の第1拠点側PEルータ7A〜7Cと、第1拠点側CEルータ3との間の通信経路の品質レベル及びスループットが
図6に示されるものであり、複数のユーザの優先度が
図5に示すものであったとする。また、ユーザIDが「u001」のユーザの1秒あたりの予測通信量がそれぞれ100Mbpsであり、ユーザIDが「u002」、「u003」のユーザの1秒あたりの予測通信量がそれぞれ50Mbpsであるとする。
【0049】
この場合、経路選択部224は、ユーザIDが「u001」のユーザの通信経路として、第1拠点側PEルータ7Aと第1拠点側CEルータ3との間の通信経路を選択する。また、経路選択部224は、ユーザIDが「u002」、「u003」のユーザの通信経路として、第1拠点側PEルータ7Bと第1拠点側CEルータ3との間の通信経路を選択する。
【0050】
また、経路選択部224は、所定のタイミングで、複数のユーザのそれぞれが使用するユーザ端末4のアドレスを送信元又は送信先とする通信の通信経路を再選択する。例えば、経路選択部224は、記憶部21に記憶されている通信品質情報を参照し、複数の品質測定部223により測定された通信品質を示す品質レベルが変化したと判定すると、通信経路を再選択する。このようにすることで、通信経路設定装置2は、通信品質の変化に応じて通信経路を動的に変更することができる。
【0051】
また、経路選択部224は、記憶部21に記憶されているアドレス情報を参照し、アドレス特定部221により特定されたIPアドレスが変化したか否かを判定する。経路選択部224は、IPアドレスが変化したと判定すると、通信経路を再選択する。また、経路選択部224は、記憶部21に記憶されている優先度情報を参照し、優先度特定部222により特定された優先度が変化したか否かを判定する。経路選択部224は、優先度が変化したと判定すると、通信経路を再選択する。このようにすることで、通信経路設定装置2は、ユーザ端末4の状態が変化したことに応じて、通信経路を動的に変更することができる。
【0052】
経路更新部225は、経路選択部224により通信経路が選択されると、当該通信経路に基づいて、複数の通信経路のそれぞれを構成する通信装置のルーティング情報を更新する。例えば、ネットワーク構成が
図1に示すものであり、ユーザIDが「u001」のユーザの通信経路として、第1拠点側PEルータ7Aと第1拠点側CEルータ3との間の通信経路、ユーザIDが「u002」、「u003」のユーザの通信経路として、第1拠点側PEルータ7Bと第1拠点側CEルータ3との間の通信経路が選択されたものとする。この場合において、それぞれのユーザIDに対応するユーザ端末4A〜4Cに対応する通信経路は、
図7に示すものとなる。経路更新部225は、第1拠点側CEルータ3と、第2拠点側PEルータ8のルーティング情報を更新する。
【0053】
経路更新部225は、例えば、複数のユーザ端末4のそれぞれが送信元の通信のルーティング情報を、
図8に示すように更新する。
図8に示すように、ユーザID「u001」に対応するIPアドレスが送信元である場合、送信先装置として第1拠点側PEルータ7Aが規定され、ユーザID「u002」、「u003」に対応するIPアドレスが送信元である場合、送信先装置として第1拠点側PEルータ7Bが規定されていることが確認できる。
【0054】
また、
図7に示すように通信経路を選択した後において、第1拠点側PEルータ7Aと第1拠点側CEルータ3との間の通信経路に障害が発生し、品質レベルが「5」から「1」に変化したものとする。また、この場合における、他の通信経路の品質レベル及びスループットが
図6に示されるものであり、複数のユーザの優先度が
図5に示すものであったとする。また、ユーザIDが「u001」のユーザの1秒あたりの予測通信量がそれぞれ100Mbpsであり、ユーザIDが「u002」、「u003」のユーザの1秒あたりの予測通信量がそれぞれ50Mbpsであるとする。
【0055】
この場合、経路選択部224は、ユーザIDが「u001」のユーザの通信経路として、第1拠点側PEルータ7Bと第1拠点側CEルータ3との間の通信経路を選択する。また、経路選択部224は、ユーザIDが「u002」、「u003」のユーザの通信経路として、第1拠点側PEルータ7Cと第1拠点側CEルータ3との間の通信経路を選択する。この場合において、それぞれのユーザIDに対応するユーザ端末4A〜4Cに対応する通信経路は、
図9に示すものとなる。経路更新部225は、第1拠点側CEルータ3と、第2拠点側PEルータ8のルーティング情報を更新する。
【0056】
[通信経路の更新に係る処理の流れ]
続いて、通信経路の更新に係る処理の流れについて説明する。
図10は、第1実施形態に係る通信経路の更新に係る通信経路設定装置2の処理の流れを示すフローチャートである。
【0057】
まず、アドレス特定部221は、管理装置1からアドレス情報を受信したか否かを判定する(S10)。アドレス特定部221は、アドレス情報を受信したと判定すると、S20に処理を移し、アドレステーブルを更新する。アドレス特定部221は、アドレス情報を受信していないと判定すると、S30に処理を移す。
【0058】
続いて、優先度特定部222は、管理装置1から優先度情報を受信したか否かを判定する(S30)。優先度特定部222は、優先度情報を受信したと判定すると、S40に処理を移し、優先度テーブルを更新する。優先度特定部222は、優先度情報を受信していないと判定すると、S50に処理を移す。
【0059】
続いて、品質測定部223は、前回の通信品質の測定から所定時間経過したか否かを判定する(S50)。品質測定部223は、前回の測定から所定時間経過したと判定すると、S60に処理を移し、前回の測定から所定時間経過していないと判定すると、S80に処理を移す。
【0060】
S60において、品質測定部223は、複数の通信経路のそれぞれの通信品質を測定する。
続いて、品質測定部223は、通信品質の測定結果に基づいて通信品質情報を記憶部21に記憶させる(S70)。
【0061】
続いて、経路選択部224は、アドレステーブルに格納されているIPアドレス、優先度情報に格納されている優先度、又は通信品質情報に含まれる品質レベルの変化があったか否かを判定する(S80)。経路選択部224は、変化があったと判定すると、S90に処理を移し、変化がないと判定すると、S10に処理を移す。
【0062】
S90において、経路選択部224は、測定された通信品質と、特定された優先度とに基づいて、複数のユーザのそれぞれが使用するユーザ端末4のアドレスを送信元又は送信先とする通信の通信経路を選択する。
続いて、経路更新部225は、選択された通信経路に基づいて、複数の通信経路を構成する通信装置のルーティング情報を更新することにより通信経路を更新する(S100)。経路更新部225は、通信経路を更新すると、S10に処理を移す。
【0063】
[第1実施形態における効果]
以上の通り、本実施形態に係る通信経路設定装置2は、複数のユーザのそれぞれが使用するユーザ端末4のアドレスを特定し、複数のユーザのそれぞれの通信の優先度を特定し、複数の通信経路のそれぞれの通信品質を測定する。そして、通信経路設定装置2は、測定された通信品質と、特定された優先度とに基づいて、複数のユーザのそれぞれが使用するユーザ端末4のアドレスを送信元又は送信先とする通信の通信経路を選択し、選択された通信経路に基づいて、複数の通信経路のそれぞれを構成する通信装置のルーティング情報を更新する。このようにすることで、通信経路設定装置2は、ユーザの通信の優先度及び通信経路の通信品質に基づいて、ユーザごとに通信経路を設定することができる。
【0064】
<第2実施形態>
[ユーザの優先度が時期ごとに変化する]
続いて、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る通信システムSでは、ユーザの優先度が時期ごとに変化する点で第1実施形態と異なる。以下に、第2実施形態に係る通信システムSについて説明する。なお、第1実施形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0065】
第2実施形態において、管理装置1の優先度受付部123は、ユーザ端末4から、ユーザIDと、ユーザの通信に係る優先度と、当該優先度が適用される時期とを受け付ける。優先度受付部123は、受け付けたユーザIDと、時期を示す時期情報と、優先度とを関連付けて優先度情報として記憶部11に記憶させる。
送信部124は、優先度情報に含まれる優先度又は時期が更新されたことに応じて、当該時期と、当該優先度に対応する優先度情報を通信経路設定装置2に送信する。
【0066】
通信経路設定装置2の優先度特定部222は、ユーザIDと、時期を示す時期情報と、当該時期におけるユーザの通信の優先度とを関連付けた優先度情報を取得する。優先度特定部222は、管理装置1から受信した優先度情報を記憶部21に記憶させる。
【0067】
図11は、第2実施形態に係る優先度テーブルの一例を示す図である。
図11に示すように、ユーザID「u001」のユーザが、2017年4月〜2018年1月における優先度が10であり、2018年2月〜2018年3月における優先度が7に変化していることが確認できる。また、ユーザID「u002」のユーザが、2017年4月〜2018年1月における優先度が3であり、2018年2月〜2018年3月における優先度が10に変化していることが確認できる。
優先度特定部222は、記憶部21に記憶されている優先度情報に基づいて現時点におけるユーザのそれぞれの通信の優先度を特定する。
【0068】
経路選択部224は、優先度特定部222が特定した優先度の変化があったか否かを判定する。経路選択部224は、優先度の変化があったと判定すると、測定された通信品質と、特定された優先度とに基づいて、複数のユーザのそれぞれが使用するユーザ端末4のアドレスを送信元又は送信先とする通信の通信経路を選択する。
【0069】
[第2実施形態における効果]
以上説明したように、第2実施形態に係る通信経路設定装置2は、時期を示す時期情報と、当該時期におけるユーザの通信の優先度とを関連付けた優先度情報を取得し、当該優先度情報に基づいて現時点における当該ユーザの通信の優先度を特定する。そして、通信経路設定装置2は、優先度の変化があったと判定すると、測定された通信品質と、特定された優先度とに基づいて、複数のユーザのそれぞれが使用するユーザ端末4のアドレスを送信元又は送信先とする通信の通信経路を選択する。このようにすることで、通信経路設定装置2は、時期ごとに変化するユーザの優先度を考慮して当該ユーザの通信経路を設定することができる。
【0070】
<第3実施形態>
[アプリケーションの優先度に基づいてユーザの優先度を特定する]
続いて、第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る通信システムSでは、ユーザ端末4において実行されているアプリケーションの優先度に基づいてユーザの優先度を特定する点で第1実施形態と異なる。
【0071】
第3実施形態に係る記憶部21は、ユーザ端末4において実行可能なアプリケーションの識別情報と、当該アプリケーションを実行しているユーザ端末4の通信の優先度とを関連付けて記憶する。
【0072】
優先度特定部222は、ユーザ端末4において実行されているアプリケーションを特定する。例えば、優先度特定部222は、ユーザ端末4において実行されているアプリケーションを示す情報を所定時間おきに受信することにより、ユーザ端末4において実行されているアプリケーションを特定する。なお、優先度特定部222は、ユーザ端末4において実行されているアプリケーションを特定できる方法であれば、他の方法によってアプリケーションを特定してもよい。
【0073】
優先度特定部222は、記憶部21において、実行されていると特定されたアプリケーションの識別情報に関連付けられている優先度に基づいて、ユーザ端末4を使用するユーザの通信の優先度を特定する。ここで、優先度特定部222は、ユーザ端末4において実行されているアプリケーションを複数特定した場合、記憶部21において複数のアプリケーションのそれぞれに関連付けられている優先度のうち最高の優先度に基づいて、ユーザ端末4を使用するユーザの通信の優先度を特定してもよい。
【0074】
経路選択部224は、優先度特定部222が特定した優先度の変化があったと判定すると、測定された通信品質と、特定された優先度とに基づいて、複数のユーザのそれぞれが使用するユーザ端末4のアドレスを送信元又は送信先とする通信の通信経路を選択する。
【0075】
[第3実施形態における効果]
以上説明したように、第3実施形態に係る通信経路設定装置2は、ユーザ端末4において実行されているアプリケーションを特定し、記憶部21において当該アプリケーションの識別情報に関連付けられている優先度に基づいて、ユーザ端末4を使用するユーザの通信の優先度を特定する。そして、通信経路設定装置2は、優先度の変化があったと判定すると、測定された通信品質と、特定された優先度とに基づいて、複数のユーザのそれぞれが使用するユーザ端末4のアドレスを送信元又は送信先とする通信の通信経路を選択する。このようにすることで、通信経路設定装置2は、アプリケーションの実行状況に基づいて、当該ユーザの通信経路を設定することができる。
【0076】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。
【0077】
例えば、上述の実施形態では、通信経路設定装置2の記憶部21にユーザ端末4のユーザを識別するユーザIDと、IPアドレスとを関連付けたアドレス情報と、ユーザIDと、優先度とを関連付けた優先度情報とを記憶させることとしたが、これに限らない。例えば、通信経路設定装置2は、ユーザが所属する部署を識別する部署IDと、IPアドレスとを関連付けたアドレス情報と、部署IDと、優先度とを関連付けた優先度情報とを記憶しておき、ユーザが所属する部署ごとの通信経路を選択するようにしてもよい。
【0078】
また、第2実施形態において、管理装置1の優先度受付部123は、ユーザ端末4から、ユーザIDと、ユーザの通信に係る優先度と、当該優先度が適用される時期とを受け付けたが、これに限らない。優先度受付部123は、優先度が適用される時期の代わりに、優先度が適用される時間帯を受け付けてもよい。そして、通信経路設定装置2の優先度特定部222が、ユーザIDと、時間帯を示す時間帯情報と、当該時間帯におけるユーザの通信の優先度とを関連付けた優先度情報を記憶部21に記憶させておき、優先度特定部222が、記憶部21に記憶されている優先度情報に基づいて現在の時間帯におけるユーザのそれぞれの通信の優先度を特定するようにしてもよい。
【0079】
また、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。