(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラは、前記基地局からの物理下りリンク共有チャネルにより前記第1の無線リソースを示す情報を前記データと共に受信するよう構成される請求項1に記載の無線端末。
前記コントローラは、前記許可情報を受信する前に、前記他の無線端末の数、転送先となる宛先の識別子の数、転送すべきデータの種類、及び、転送に関するトラフィック量の少なくともいずれかの情報を前記基地局に送信する請求項3に記載の無線端末。
前記コントローラは、前記第2の無線端末の数、転送先となる宛先の識別子の数、転送すべきデータの種類、及び、転送に関するトラフィック量の少なくともいずれかの情報を前記第1の無線端末から受信し、
前記コントローラは、前記情報に基づいて、前記許可情報を送信する請求項8に記載の基地局。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態の概要]
一の実施形態に係る無線端末は、他の無線端末との直接的な通信を行うよう構成される。前記無線端末は、前記他の無線端末宛ての第1のデータを基地局から受信するよう構成されたコントローラを備える。前記コントローラは、前記基地局から前記第1のデータを受信する際に、前記第1のデータを前記他の無線端末へ直接的な通信により転送するために用いられる第1の無線リソースを示す情報も受信するよう構成される。
【0011】
前記コントローラは、前記基地局からの物理下りリンク共有チャネルにより前記第1の無線リソースを示す情報を前記データと共に受信するよう構成されてもよい。
【0012】
前記コントローラは、前記他の無線端末宛ての第2のデータを送信するために用いる第2の無線リソースを示す情報を前記基地局から受信するよう構成されてもよい。前記コントローラは、前記第1の無線リソースを示す情報を受信してから前記第1のデータの送信を開始するまでの期間が、前記第2の無線リソースを示す情報を受信してから前記第2のデータの送信を開始するまでの期間よりも長くなるタイミングで、前記第1の無線リソースを示す情報を受信するよう構成されてもよい。
【0013】
前記コントローラは、前記基地局から前記第1のデータを受信する際に、所定の期間内での直接的な通信による複数の宛先へのデータ送信を許可する許可情報も受信するよう構成されてもよい。前記所定の期間は、前記転送に用いられる制御情報を送信する期間と前記制御情報に対応するデータを送信する期間とで構成されてもよい。
【0014】
前記許可情報は、前記複数の宛先へのデータ送信に用いられる第3の無線リソースを示す情報であってもよい。
【0015】
前記コントローラは、前記許可情報を受信する前に、前記他の無線端末の数、転送先となる宛先の識別子の数、転送すべきデータの種類、及び、転送に関するトラフィック量の少なくともいずれかの情報を前記基地局に送信するよう構成されてもよい。
【0016】
前記コントローラは、前記他の無線端末へ直接的な通信により送信することが可能なデータの量を示すバッファ状態報告を前記基地局に送信するよう構成されてもよい。前記コントローラは、前記基地局から受信した前記第1のデータの量を、前記直接的な端末間通信が可能であるデータの量に含めないように構成されてもよい。
【0017】
一の実施形態に係る基地局は、第1の無線端末に対して、前記第1の無線端末と直接的な通信を行うことが可能な第2の無線端末宛てのデータを送信するコントローラを備えてもよい。前記コントローラは、前記データを前記第1の無線端末へ送信する際に、前記第1の無線端末が前記データを前記第2の無線端末へ前記直接的な通信により転送するために用いられる無線リソースの情報も送信するよう構成されてもよい。
【0018】
前記コントローラは、前記データを前記第1の無線端末へ送信する際に、所定の期間内での複数の宛先へのデータ送信を許可する許可情報も送信するよう構成されてもよい。前記所定の期間は、前記直接的な通信に用いられる制御情報を送信する期間と前記制御情報に対応するデータを送信する期間とで構成されてもよい。
【0019】
前記コントローラは、前記第2の無線端末の数、転送先となる宛先の識別子の数、転送すべきデータの種類、及び、転送に関するトラフィック量の少なくともいずれかの情報を前記第1の無線端末から受信するよう構成されてもよい。前記コントローラは、前記情報に基づいて、前記許可情報を送信するよう構成されてもよい。
【0020】
ところで、D2D ProSeの一つとして、直接通信(Direct Communication)が規定されている。無線端末は、送信リソースプール内の無線リソースを用いて、直接通信によりデータを送信することができる。
【0021】
一の実施形態に係る無線端末は、他の無線端末との直接的な通信を行うよう構成された無線端末であってもよい。前記無線端末は、所定の期間内で、前記直接的な通信により1つの宛先にデータを送信するコントローラを備えてもよい。前記所定の期間は、前記直接的な通信に用いられる制御情報を送信する期間と前記制御情報に対応するデータを送信する期間とで構成されてもよい。前記コントローラは、前記直接的な通信により複数の宛先へ送信すべきデータが存在する場合には、前記複数の宛先へのデータ送信を行うための許可を基地局に要求するよう構成されてもよい。
【0022】
前記コントローラは、前記基地局から前記許可を受けた場合に、前記所定の期間内で前記複数の宛先へのデータ送信を開始するよう構成されてもよい。
【0023】
前記コントローラは、前記基地局から受信したデータを、前記直接的な通信により他の無線端末へ転送する場合に、前記許可を前記基地局に要求するよう構成されてもよい。
【0024】
前記コントローラは、前記無線端末が前記直接的な通信を行う相手端末の数、前記直接的な通信を行う宛先の識別子の数、前記送信すべきデータの種類、及び、前記直接的な通信におけるトラフィック量の少なくともいずれかに基づいて、前記許可を前記基地局に要求するよう構成されてもよい。
【0025】
前記コントローラは、前記許可の要求に対する肯定応答として、前記複数の宛先へのデータ送信を行うために用いられる無線リソースを示す情報を受信するよう構成されてもよい。前記コントローラは、前記直接的な通信により送信することが可能なデータの量を示すバッファ状態報告と共に、前記許可の要求を前記基地局へ送信するよう構成されてもよい。
【0026】
一の実施形態に係る基地局は、所定の期間内で直接的な通信により1つの宛先にデータを送信するよう構成された無線端末から、直接的な通信により複数の宛先へのデータ送信を行うための許可の要求を受信するコントローラを備えてもよい。前記所定の期間は、無線端末間の直接的な通信に用いられる制御情報を送信する期間と前記制御情報に対応するデータを送信する期間とで構成される。前記コントローラは、前記許可の要求に基づいて、前記無線端末が前記複数の宛先へ直接的な通信によりデータ送信を行うことを許可するか否かを判断するよう構成される。
【0027】
前記コントローラは、前記無線端末が前記直接的な通信を行う相手端末の数、前記直接的な通信を行う宛先の識別子の数、前記送信すべきデータの種類、及び、前記直接的な通信におけるトラフィック量の少なくともいずれかに基づいて、前記複数の宛先への前記直接的な通信によりデータ送信を行うことを許可するか否かを判断するよう構成されてもよい。
【0028】
前記コントローラは、前記許可の要求に対する肯定応答として、前記複数の宛先へのデータ送信を行うために用いられる無線リソースを示す情報を送信するよう構成されてもよい。
【0029】
[実施形態]
(移動通信システム)
以下において、実施形態に係る移動通信システムであるLTEシステムについて説明する。
図1は、LTEシステムの構成を示す図である。
【0030】
図1に示すように、LTEシステムは、UE(User Equipment)100、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)10、及びEPC(Evolved Packet Core)20を備える。また、セルラネットワークのオペレータにより管理されない外部ネットワークには、Server400が設けられる。
【0031】
UE100は、無線端末に相当する。UE100は、移動型の通信装置であり、セル(サービングセル)との無線通信を行う。UE100の構成については後述する。
【0032】
E−UTRAN10は、無線アクセスネットワークに相当する。E−UTRAN10は、eNB200(evolved Node−B)を含む。eNB200は、基地局に相当する。eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。eNB200の構成については後述する。
【0033】
eNB200は、1又は複数のセルを管理しており、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。eNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として使用される他に、UE100との無線通信を行う機能を示す用語としても使用される。
【0034】
EPC20は、コアネットワークに相当する。EPC20は、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving−Gateway)300と、P−GW(Packet Data Network Gateway)350とを含む。MMEは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。S−GWは、データの転送制御を行う。MME/S−GW300は、S1インターフェイスを介してeNB200と接続される。E−UTRAN10及びEPC20は、ネットワークを構成する。P−GW350は、外部ネットワークから(及び外部ネットワークに)ユーザデータを中継(転送)する制御を行う。
【0035】
Server400は、ProSeアプリケーションサーバ(ProSe Application Server)である。この場合、Server400は、ProSeにおいて用いられる識別子を管理する。例えば、Server400は、「EPC ProSe ユーザID」及び「ProSeファンクションID」を記憶する。また、Server400は、「アプリケーションレイヤユーザID」と「EPC ProSe ユーザID」とをマッピングする。
【0036】
図2は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタック図である。
図2に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルの第1層乃至第3層に区分されており、第1層は物理(PHY)層である。第2層は、MAC(Medium Access Control)層、RLC(Radio Link Control)層、及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層を含む。第3層は、RRC(Radio Resource Control)層を含む。
【0037】
物理層は、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100の物理層とeNB200の物理層との間では、物理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
【0038】
MAC層は、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセス手順等を行う。UE100のMAC層とeNB200のMAC層との間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。eNB200のMAC層は、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定するスケジューラを含む。
【0039】
RLC層は、MAC層及び物理層の機能を利用してデータを受信側のRLC層に伝送する。UE100のRLC層とeNB200のRLC層との間では、論理チャネルを介してデータ及び制御信号が伝送される。
【0040】
PDCP層は、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0041】
RRC層は、制御信号を取り扱う制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRC層とeNB200のRRC層との間では、各種設定のためのメッセージ(RRCメッセージ)が伝送される。RRC層は、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態(コネクティッド状態)であり、そうでない場合、UE100はRRCアイドル状態(アイドル状態)である。
【0042】
RRC層の上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)層は、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。
【0043】
図3は、LTEシステムで使用される無線フレームの構成図である。LTEシステムは、下りリンクにはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)、上りリンクにはSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)がそれぞれ適用される。
【0044】
図3に示すように、無線フレームは、時間方向に並ぶ10個のサブフレームで構成される。各サブフレームは、時間方向に並ぶ2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msであり、各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数方向に複数個のリソースブロック(RB)を含み、時間方向に複数個のシンボルを含む。各リソースブロックは、周波数方向に複数個のサブキャリアを含む。1つのシンボル及び1つのサブキャリアにより1つのリソースエレメント(RE)が構成される。また、UE100に割り当てられる無線リソース(時間・周波数リソース)のうち、周波数リソースはリソースブロックにより特定でき、時間リソースはサブフレーム(又はスロット)により特定できる。
【0045】
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボルの区間は、主に下りリンク制御信号を伝送するための物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)として使用される領域である。PDCCHの詳細については後述する。また、各サブフレームの残りの部分は、主に下りリンクデータを伝送するための物理下りリンク共有チャネル(PDSCH)として使用できる領域である。
【0046】
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、主に上りリンク制御信号を伝送するための物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)として使用される領域である。各サブフレームにおける残りの部分は、主に上りリンクデータを伝送するための物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)として使用できる領域である。
【0047】
(近傍サービス)
以下において、近傍サービス(ProSe:Proximity−based Services)について説明する。ProSeにおいて、複数のUE100は、eNB200を介さない直接的な無線リンクを介して各種の信号を送受信する。ProSeにおける直接的な無線リンクは、「サイドリンク(Sidelink)」と称される。
【0048】
「Sidelink」は、直接ディスカバリ及び直接通信のためのUE−UE間インターフェイスである。「Sidelink」は、PC5インターフェイスに対応する。PC5は、直接ディスカバリ、直接通信及び近傍サービスによるUE・ネットワーク中継(転送)のための制御及びユーザプレーンのために用いられる近傍サービスを利用可能なUE間の参照点である。PC5インターフェイスは、ProSeにおけるUE−UE間インターフェイスである。
【0049】
ProSeのモードとしては、「直接ディスカバリ(Direct Discovery)」及び「直接通信(Direct Communication)」の2つのモードが規定されている。
【0050】
直接ディスカバリは、特定の宛先を指定しないディスカバリ信号をUE間で直接的に伝送することにより、相手先を探索するモードである。また、直接ディスカバリは、PC5を介してE−UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)における直接無線信号を用いて、UEの近傍における他のUEを発見するための手順である。或いは、直接ディスカバリは、E−UTRA技術で2つのUE100の能力のみを用いて、近傍サービスを実行可能な他のUE100を発見するために近傍サービスを実行可能なUE100によって採用される手順である。直接ディスカバリは、UE100がE−UTRAN(eNB200(セル))によってサービスが提供される場合にのみ、サポートされる。UE100は、セル(eNB200)に接続又はセルに在圏している場合、E−UTRANによってサービスが提供され得る。
【0051】
ディスカバリ信号(ディスカバリメッセージ)の送信(アナウンスメント)のためのリソース割り当てタイプには、UE100が無線リソースを選択する「タイプ1」と、eNB200が無線リソースを選択する「タイプ2(タイプ2B)」と、がある。
【0052】
「Sidelink Direct Discovery」プロトコルスタックは、物理(PHY)層、MAC層、及びProSeプロトコルを含む。UE(A)の物理層とUE(B)の物理層との間では、物理サイドリンクディスカバリチャネル(PSDCH)と称される物理チャネルを介してディスカバリ信号が伝送される。UE(A)のMAC層とUE(B)のMAC層との間では、サイドリンクディスカバリチャネル(SL−DCH)と称されるトランスポートチャネルを介してディスカバリ信号が伝送される。
【0053】
直接通信は、特定の宛先(宛先グループ)を指定してデータをUE間で直接的に伝送するモードである。また、直接通信は、いずれのネットワークノードを通過しない経路を介してE−UTRA技術を用いたユーザプレーン伝送による、近傍サービスを実行可能である2以上のUE間の通信である。
【0054】
直接通信のリソース割り当てタイプには、直接通信の無線リソースをeNB200が指定する「モード1」と、直接通信の無線リソースをUE100が選択する「モード2」と、がある。
【0055】
直接通信プロトコルスタックは、物理(PHY)層、MAC層、RLC層、及びPDCP層を含む。UE(A)の物理層とUE(B)の物理層との間では、物理サイドリンク制御チャネル(PSCCH)を介して制御信号が伝送され、物理サイドリンク共有チャネル(PSSCH)を介してデータが伝送される。また、物理サイドリンクブロードキャストチャネル(PSBCH)を介して同期信号等が伝送されてもよい。UE(A)のMAC層とUE(B)のMAC層との間では、サイドリンク共有チャネル(SL−SCH)と称されるトランスポートチャネルを介してデータが伝送される。UE(A)のRLC層とUE(B)のRLC層との間では、サイドリンクトラフィックチャネル(STCH)と称される論理チャネルを介してデータが伝送される。
【0056】
(直接通信で用いられる無線リソースプール)
次に、直接通信で用いられる無線リソースプールについて、
図4を用いて説明する。
図4は、直接通信で用いられる無線リソースプールを説明するための図である。
【0057】
図4に示すように、直接通信に用いられる無線リソースプール(送信リソースプール/受信リソースプール)は、時間方向において所定の周期(SC期間:SC Period)で繰り返し配置される。直接通信に用いられる無線リソースプールは、制御領域(物理サイドリンク制御チャネル(PSCCH:Physical sidelink control channel))と、データ領域(物理サイドリンク共有チャネル(PSSCH:Physical sidelink shared channel))とによって構成される。制御領域とデータ領域とからなる複数の無線リソースプールが時間方向に配置される。1つの無線リソースプールの時間方向の長さは、無線リソースプールの周期であるSC期間(SC Period)と一致する。1つのSC期間は、直接通信で用いられる制御情報(後述のSCI)と制御情報に対応するデータとを送信する期間で構成される。制御領域とデータ領域とは、時間方向において交互に配置される。データ領域は、時間方向において、制御領域の後に続く。なお、データ領域は、時間方向において、制御領域と重複していてもよい。
【0058】
制御領域は、直接通信によりサイドリンク用の制御情報(SCI:Sidelink Control Information)を送信するためのPSCCHが配置される領域である。従って、制御領域は、直接通信によりSCIを送信するための無線リソース(以下、制御リソース)が配置される制御リソースプールに相当する。なお、SCIは、直接通信によりデータを送信するために割り当てられた無線リソース(以下、データリソース)を通知するための情報である。具体的には、SCIは、データリソースの割当情報を含む。データ領域は、データを送信するためのPSSCHが配置される領域である。従って、データ領域は、直接通信によりデータを送信するための無線リソースが配置されるデータリソースプールに相当する。
【0059】
(UE・ネットワーク中継(転送)) 以下において、UE・ネットワーク中継(転送)について、
図5を用いて説明する。
図5は、実施形態に係るUE・ネットワーク中継(転送)を説明するための図である。
【0060】
図5において、リモートUE(Remote UE)は、ネットワーク圏外(Outof−Network)に位置するUEである。すなわち、リモートUEは、セルのカバレッジ外に位置する。尚、リモートUEは、セルのカバレッジ内に位置する場合も有り得る。従って、リモートUEは、E−UTRAN10によって直接サービスが提供されないUE100(E−UTRAN10によってサーブ(serve)されないUE100)である。また、リモートUE100は、後述するリレーUEを介してパケットデータネットワーク(PDN:Packet Data Network)と通信できる。リモートUEは、公衆安全(Public Safety)のためのUE(ProSe−enabled Public Safety UE)であってもよい。
【0061】
なお、「ProSe−enabled Public Safety UE」は、HPLMNが公衆安全のための使用を許可するように構成されている。「ProSe−enabled Public Safety UE」は、近傍サービスを利用可能であり、近傍サービスにおける手順及び公衆安全のための特定の能力をサポートしている。例えば、「ProSe−enabled Public Safety UE」は、公衆安全のための情報を近傍サービスにより送信する。公衆安全のための情報とは、例えば、災害(地震・火災など)に関する情報、消防関係者又は警察関係者に用いられる情報などである。
【0062】
リモートUEは、後述するように、リレーUEからProSe中継(転送)サービスを提供される。ProSe中継(転送)サービスが提供されるリモートUEとProSe中継(転送)サービスを提供するリレーUEとの間で、UE・ネットワーク中継(転送)が実行される。
【0063】
リレーUE(ProSe UE−to Network Relay)は、ProSe中継(転送)サービスをリモートUEのために提供する。具体的には、リレーUEは、リモートUEのためにパケットデータネットワークとの通信のサービス継続性を提供する。従って、リレーUEは、リモートUEとネットワークとの間でデータ(ユニキャストトラフィック)を中継(転送)する。リレーUEは、近傍サービス(直接通信)によりリモートUEのデータ(トラフィック)を中継(転送)する。具体的には、リレーUEは、PC5インターフェイスを介してリモートUEから受信したデータ(上りトラフィック)を、Uuインターフェイス(LTE−Uu)又はUnインターフェイス(LTE−Un)を介してeNB200に中継(転送)する。また、リレーUEは、Uuインターフェイス又はUnインターフェイスを介してeNB200から受信したデータ(下りトラフィック)をPC5インターフェイスを介してリモートUEへ中継(転送)する。リレーUEは、ネットワーク内(セルのカバレッジ内)にのみ位置する。
【0064】
また、リレーUEは、公衆安全のための通信に関係する任意のタイプのトラフィックを中継(転送)できる包括的な機能を提供することができる。
【0065】
リレーUEとリモートUEは、物理層間でデータ及び制御信号を伝送できる。同様に、リレーUEとリモートUEは、MAC層間、RLC層間及びPDCP層間でデータ及び制御信号を伝送できる。さらに、リレーUEは、PDCP層の上位層としてIPリレー(IP−Relay)層を有してもよい。リモートUEは、PDCP層の上位層としてIP層を有してもよい。リレーUEとリモートUEとは、IPリレー層とIP層との間でデータ及び制御信号を伝送できる。また、リレーUEは、IPリレー層とIP−GW350のIP層との間でデータを伝送できる。
【0066】
なお、リレーUEは、AS層(Access Stratum)において、ブロードキャストを用いてリモートUEにデータ(トラフィック)を送信できる。リレーUEは、AS層において、ユニキャストを用いてリモートUEにデータを送信してもよい。なお、UE・ネットワーク中継(転送)がブロードキャストを用いて実行されている場合、リレーUEとリモートUEとの間において、AS層におけるフィードバックは行われないが、NAS層(Non Access Stratum)におけるフィードバックは行われてもよい。また、UE・ネットワーク中継(転送)がユニキャストを用いて実行されている場合、AS層におけるフィードバックが行われてもよい。
【0067】
(無線端末)
以下において、実施形態に係るUE100(無線端末)について説明する。
図6は、UE100のブロック図である。
図6に示すように、UE100は、レシーバ(Receiver:受信部)110、トランスミッタ(Transmitter:送信部)120、及びコントローラ(Controller:制御部)130を備える。レシーバ110とトランスミッタ120とは、一体化されたトランシーバ(送受信部)であってもよい。
【0068】
レシーバ110は、コントローラ130の制御下で各種の受信を行う。レシーバ110は、アンテナを含む。レシーバ110は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換してコントローラ130に出力する。
【0069】
なお、UE100は、「ProSe−enabled Public Safety UE」である場合、レシーバ110は、異なる2つの周波数における無線信号を同時に受信可能である。例えば、UE100は、2つのレシーバ110(2 RX Chain)を有する。UE100は、一方のレシーバ110によりセルラ用の無線信号を受信でき、他方のレシーバ110によりProSe用の無線信号を受信できる。
【0070】
トランスミッタ120は、コントローラ130の制御下で各種の送信を行う。トランスミッタ120は、アンテナを含む。トランスミッタ120は、コントローラ130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0071】
コントローラ130は、UE100における各種の制御を行う。コントローラ130は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に使用される情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行うベースバンドプロセッサと、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサは、音声・映像信号の符号化・復号を行うコーデックを含んでもよい。プロセッサは、後述する各種の処理及び上述した各種の通信プロトコルを実行する。
【0072】
UE100は、GNSS受信機を備えていてもよい。GNSS受信機は、UE100の地理的な位置を示す位置情報を得るために、GNSS信号を受信して、受信した信号をコントローラ130に出力する。或いは、UE100は、UE100の位置情報を取得するためのGPS機能を有していてもよい。
【0073】
(基地局)
以下において、実施形態に係るeNB200(基地局)について説明する。
図7は、eNB200のブロック図である。
図7に示すように、eNB200は、トランスミッタ(送信部)210、レシーバ(受信部)220、コントローラ(制御部)230、及びバックホール通信部240を備える。トランスミッタ210とレシーバ220は、一体化されたトランシーバ(送受信部)であってもよい。
【0074】
トランスミッタ210は、コントローラ230の制御下で各種の送信を行う。トランスミッタ210は、アンテナを含む。トランスミッタ210は、コントローラ230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0075】
レシーバ220は、コントローラ230の制御下で各種の受信を行う。レシーバ220は、アンテナを含む。レシーバ220は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換してコントローラ230に出力する。
【0076】
コントローラ230は、eNB200における各種の制御を行う。コントローラ230は、プロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に使用される情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行うベースバンドプロセッサと、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、を含む。プロセッサは、後述する各種の処理及び上述した各種の通信プロトコルを実行する。
【0077】
バックホール通信部240は、X2インターフェイスを介して隣接eNB200と接続され、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。バックホール通信部240は、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信等に使用される。
【0078】
(第1実施形態に係る動作環境)
次に、第1実施形態に係る動作環境について、
図8を用いて説明する。
図8は、実施形態に係る動作環境を説明するための図である。
【0079】
図8に示すように、UE100−1は、eNB200(DeNB)が管理するセル内に位置し、eNB200とセルラ通信(LTE−Uu)を実行可能である。UE100−1は、RRCコネクティッド状態である。或いは、UE100−1は、RRCアイドル状態であり、eNB200と通信を行う場合に、RRCアイドル状態からRRCコネクティッド状態に移行してもよい。UE100−1は、リレーUEである。一方、UE100−2は、eNB200が管理するセル外に位置する。UE100−2は、RRCアイドル状態であり、リモートUEである。なお、eNB200は、リモートUEのデータを中継(転送)するドナーeNBである。
【0080】
このような動作環境において、UE・ネットワーク中継(転送)を行う場合にシグナリングを低減するために、以下の動作が実行される。
【0081】
なお、以下で説明するUE100(UE100−1/UE100−2)が実行する処理(動作)について、UE100が備えるレシーバ110、トランスミッタ120、コントローラ130の少なくともいずれかが実行するが、便宜上、UE100が実行する処理として説明する。同様に、以下で説明するeNB200が実行する処理(動作)について、eNB200が備えるトランスミッタ210、レシーバ220、コントローラ230、バックホール通信部240の少なくともいずれかが実行するが、便宜上、eNB200が実行する処理として説明する。
【0082】
(第1実施形態に係る動作)
次に、第1実施形態に係る動作について、
図9を用いて説明する。
図9は、第1実施形態に係る動作を説明するためのシーケンス図である。
【0083】
図9に示すように、eNB200とUE100−1との間でUE・ネットワーク中継(転送)用の接続が確立されている。また、UE100−1とUE100−2との間でUE・ネットワーク中継(転送)用の接続が確立されている。
【0084】
ステップS101において、Server400は、UE100−2宛てのデータをeNB200に送る。eNB200は、当該データを受け取る。
【0085】
ステップS102において、eNB200は、UE100−2のリレーUEであるUE100−1に対して、UE100−2宛てのデータを送信する。ここで、eNB200は、データを送信する際に、UE・ネットワーク中継(転送)によりデータを中継(転送)するための無線リソースの割当情報も送信する。UE100−1は、データを受信する際に、無線リソースの割当情報も受信する。
【0086】
例えば、eNB200は、データと共に無線リソースの割当情報をPDSCH(物理リンク共有チャネル)によりUE100−1に送信してもよい。UE100−1は、PDSCHにより無線リソースの割当情報を受信できる。また、eNB200は、データのMACサブヘッダに含まれるMAC CEとして無線リソースの割当情報を含めてもよい。従って、eNB200は、データ(MAC PDU)の中に、無線リソースの割当情報を埋め込むことができる。なお、ここでの割当情報は、割当情報と共に送られるデータを送信するための無線リソースを少なくとも含む。
【0087】
また、eNB200は、ネットワーク側で発生したデータ(すなわち、S101のデータ)を送信するための無線リソースの割当情報(以下、第1割当情報と適宜称する)を送るタイミングと、UE100−1で発生したUE100−2宛てのデータを送信するための無線リソースの割当情報(以下、第2割当情報と適宜称する)を送るタイミングとを変えてもよい。具体的には、eNB200は、近傍サービスにおける送信に使用可能であるサイドリンクデータ量に関するサイドリンクバッファ状態報告(SL−BSR)に基づいて、第2割当情報(SLグラント)を含む制御情報(SL DCI)をUE100−1に送信するタイミングよりも早いタイミングで、S101のデータ及び第1割当情報をUE100−1に送信してもよい。eNB200は、第1割当情報を受信してからデータの送信を開始するまでの期間(第1の期間)が、第2割当情報を受信してからデータの送信を開始するまでの期間(第2の期間)よりも長くなるタイミングで、eNB200は、第1割当情報を送信してもよい。UE100−1は、第1の期間が第2の期間よりも長いため、データ及び第1割当情報を余裕を持ってデコードすることができる。なお、第2割当情報を受信する場合、第2割当情報に対応するデータは、UE100−1内で発生するため、UE100−1は、第2割当情報を受信する際に、データをデコード処理する必要はない。
【0088】
なお、eNB200は、Server400から受信したデータ量に応じて、無線リソースをUE100−1に割り当てることができる。従って、eNB200は、ネットワーク側で発生したデータの量に関するSL−BSRを受け取らなくてもよい。すなわち、UE100−1は、eNB200から受信したデータに関するSL−BSRの送信を省略できる。
【0089】
ステップS103において、UE100−1は、データと共に受信した無線リソースの割当情報に基づいて、UE100−2にデータを送信する。UE100−2は、UE100−1からデータを受信する。
【0090】
UE100−1は、eNB200から受信したサイドリンク用のデータ(以下、第1データ適宜称する)をUE100−1内で発生したサイドリンク用のデータ(以下、第2データと適宜称する)とは別に管理することができる。例えば、UE100−1は、第1データを記憶する第1バッファと、第2データを記憶する第2バッファとを有してもよい。UE100−1は、第2バッファの状態を報告するために、SL−BSRをeNB200に送信できる。従って、UE100−1は、第1データの量を第2データ量に含めずに、第2データ量のみを報告するためにSL−BSRをeNB200に送信できる。UE100−1は、第1データをSL−BSRのトリガ条件として扱わない。
【0091】
以上によれば、UE100−1は、eNB200から受信したデータに関するSL−BSRの送信を省略できる。従って、シグナリングを低減することが可能である。
【0092】
(変更例)
次に、第1実施形態に係る変更例について、
図10を用いて説明する。
図10は、第1実施形態に係る変更例を説明するためのシーケンス図である。
【0093】
本変更例では、eNB200は、1つのSC期間において複数の宛先へのデータ送信を許可する情報も、データと共に送信する。なお、第1実施形態と同様の部分は、適宜説明を省略する。
【0094】
図10に示すように、ステップS201において、UE100−1は、トラフィック関連情報をeNB200に送信する。eNB200は、トラフィック関連情報をUE100−1から受信する。
【0095】
UE100−1は、例えば、UE・ネットワーク中継(転送)用の接続が確立された場合に、トラフィック関連情報をeNB200に送信してもよい。或いは、UE100−1は、トラフィック関連情報が変更された場合に、トラフィック関連情報をeNB200に送信してもよい。
【0096】
トラフィック関連情報は、リモートUEの数、中継(転送)先となる宛先の識別子の数、送信すべきデータの種類、中継(転送)におけるトラフィック量の少なくともいずれかの情報である。
【0097】
リモートUEの数は、UE100−1が中継(転送)するリモートUEの数である。中継(転送)先となる宛先の識別子は、UE100−2の宛先識別子であってもよいし、例えば、グループ識別子であってもよい。送信すべきデータの種類は、例えば、データの優先度の種類(例えば、High、Lowなど)であってもよいし、データの種別(例えば、音声データ、文書データなど)であってもよい。UE・ネットワーク中継(転送)におけるトラフィック量は、各リレーUEへ送信したトラフィック量、各リレーUEから受信したトラフィック量、各リレーUEから受信したトラフィック量と各リレーUEへ送信したトラフィック量との合計のトラフィック量であってもよい。
【0098】
ステップS202は、ステップS101に対応する。
【0099】
ステップS203において、eNB200は、UE・ネットワーク中継(転送)に関するトラフィックに余裕があるか否かを判断する。eNB200は、トラフィック関連情報に基づいて、判断する。eNB200は、例えば、リモートUE数が閾値以下である場合に、トラフィックに余裕があると判断する。また、eNB200は、送信すべきデータの種類が閾値以下である場合に、トラフィックに余裕があると判断してもよい。eNB200は、UE・ネットワーク中継(転送)におけるトラフィック量が閾値以下である場合に、トラフィックに余裕があると判断してもよい。
【0100】
eNB200は、トラフィックに余裕があると判断した場合、1つのSC期間内で、複数の宛先へのデータ送信を許可しない。
【0101】
なお、eNB200は、UE100−1へ送信するリレーUE宛てのデータを受信した場合に、判断してもよいし、トラフィック関連情報を受信した場合に、判断してもよい。
【0102】
ステップS204及びS205は、ステップS102及びS103に対応する。また、ステップS206は、ステップS101に対応する。
【0103】
ステップS207は、ステップ203と同様に、eNB200は、UE・ネットワーク中継(転送)に関するトラフィックに余裕があるか否かを判断する。以下において、eNB200が、トラフィックに余裕がないと判断したと仮定する。従って、eNB200は、1つのSC期間内で複数の宛先へのデータ送信を許可すると判断したと仮定する。
【0104】
ステップS208において、eNB200は、UE100−2宛てのデータをUE100−1へ送信する際に、1つのSC期間内で複数の宛先へのデータ送信を許可する許可情報もUE100−1へ送信する。eNB200は、許可情報を無線リソースの割当情報と同様にして、データと共に送信することができる。UE100−1は、データと共に許可情報も受信する。
【0105】
許可情報は、複数の宛先へのデータ送信を行うために用いられる無線リソースの割当情報(複数の割当情報)であってもよい。許可情報は、1つのSC期間内で複数の宛先へのデータ送信を許可することを示すフラグ情報であってもよい。
【0106】
ステップS209において、UE100−1は、1つのSC期間内でUE100−2を含む複数の宛先へのデータ送信を行う。
【0107】
なお、UE100−1は、1つのSC期間内の制御領域において、複数の割当情報(複数のデータリソース)に対応する制御情報からなる複数の制御情報(SCI)を送信してもよい。複数のSCIのうちの1つのSCIが、UE100−2へ送信すべき第1データを送信するためのデータリソースを示し、複数のSCIの残りのSCIが、UE100−2以外のリモートUEへ送信すべきデータを送信するためのデータリソースを示す。また、UE100−1は、複数の割当情報に対応する1つの制御情報を送信してもよい。この場合、制御情報は、複数の宛先識別子を含む。なお、リモートUEは、自身(又は自身が属するグループ)宛の宛先識別子を制御情報が含む場合、データリソースをモニタする。
【0108】
このように、UE100−1は、1つのSC期間内のデータ領域において、複数の割当情報に基づいて、UE100−2へUE100−2宛てのデータを送信するだけでなく、他の宛先へデータを送信することができる。これにより、例えば、他のリレーUEのデータが送信されたSC期間よりも後のSC期間で送信される場合と比べて、UE100−2のデータの送信遅延を抑制することができる。
【0109】
eNB200は、トラフィック関連情報に基づいて、1つのSC期間内で複数の宛先へのデータ送信を許可するか否かを判断できる。従って、eNB200は、複数のリモートUEへのトラフィックが、1つのベアラ(RPSベアラ/無線ベアラ/LCIDの少なくともいずれか)でリレーUEに伝送されることによって、ネットワーク側で発生したデータが複数のリレーUE宛てか否かを判断できない場合であっても、1つのSC期間内で複数の宛先へのデータ送信を許可するか否かを判断できる。
【0110】
なお、eNB200は、例えば、UE100からのトラフィック関連情報に基づいて、許可を解除する解除情報をUE100−1へ送信してもよい。UE100−1は、解除情報に基づいて、1つのSC期間内で、1つの宛先へのみデータを送信してもよい。或いは、許可情報は、1つのSC期間でのみ複数の宛先へのデータを送信を許可することを示す情報であってもよい。この場合、UE100−1は、1つのSC期間でのみ複数の宛先へデータを送信し、それ以後において、1つのSC期間内で1つの宛先へのデータ送信を再開してもよい。
【0111】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について、
図11を用いて説明する。
図11は、第2実施形態に係る動作を説明するためのシーケンス図である。
【0112】
第2実施形態では、eNB200は、UE100−1からの要求に応じて、1つのSC期間内で、複数の宛先へのデータ送信を許可する。なお、第1実施形態及び変更例と同様の部分は、適宜説明を省略する。
【0113】
図11に示すように、ステップS301からS303は、ステップS101からS103に対応する。
【0114】
ステップS304において、UE100−1は、複数の宛先へ送信すべきデータが存在する場合、送信遅延が発生するか否かを判断する。例えば、UE100−1は、eNB200から割り当てられた現在の無線リソース(割り当てリソース)では、送信遅延が発生するか否かを判断する。例えば、UE100−1は、データが発生又はeNB200からデータを受信してから所定時間経過したデータが存在するか否かを判断する。UE100−1は、送信遅延が発生すると判断した場合、ステップS305の処理を実行する。
【0115】
UE100−1は、上述の第1実施形態と同様に、トラフィック関連情報に基づいて、送信遅延が発生するか否かを判断してもよい。
【0116】
ステップS305において、UE100−1は、1つのSC期間内で複数の宛先へのデータ送信を行うための許可をeNB200に要求する。例えば、UE100−1は、許可要求情報(複数宛先同時送信要求)をeNB200に送信する。UE100−1は、MAC CEである許可要求情報をeNB200に送ってもよいし、SLUE情報メッセージにより、許可要求情報を送ってもよい。また、UE100−1は、SL−BSRと共に許可要求情報を送ってもよい。許可要求情報は、SL−BSR内含まれていてもよい。
【0117】
UE100−1は、許可要求を示すフラグ情報を許可要求情報として送ってもよい。また、UE100−1は、1つのSC期間内での送信対象を示す宛先識別子を許可要求情報と共に送ってもよい。さらに、UE100−1は、総バッファ量に対する宛先毎のバッファ量の割合を示す割合情報も許可要求情報と共に送ってもよい。また、UE100−1は、許可要求情報と共に、上述のトラフィック関連情報をeNB200に送ってもよい。
【0118】
また、UE100−1は、自身がリレーUEである場合に、1つのSC期間内で複数の宛先へのデータ送信を行うための許可をeNB200に要求してもよい。リモートUEは、リレーUEからしかデータを受信できないため、送信遅延が発生する虞があるためである。
【0119】
eNB200は、許可要求情報の受信に応じて、1つのSC期間内で複数の宛先へのデータ送信を許可するか否かを判断する。eNB200は、第1実施形態と同様に、許可するか否かを判断してもよい。eNB200は、SL−BSR内に含まれるバッファ量に基づいて、許可するか否かを判断してもよい。例えば、eNB200は、バッファ量が閾値以上である場合に、1つのSC期間内で複数の宛先へのデータ送信を許可してもよい。また、eNB200は、UE100−1がリレーUEである場合に、1つのSC期間内で複数の宛先へのデータ送信を許可してもよい。
【0120】
ステップS306からS308は、ステップS206、S208、S209に対応する。ステップS307に示すように、eNB200は、許可の要求に対する応答として、複数の宛先へのデータ送信を行うために用いられる無線リソースの割当情報(複数の割当情報)をUE100−1に送信してもよい。ここで、eNB200は、許可要求情報と共に受信した情報(宛先識別子、割合情報、トラフィック関連情報など)に基づいて、無線リソースをUE100−1に割り当てることができる。
【0121】
以上のように、eNB200は、UE100−1からの要求に基づいて、1つのSC期間内で複数の宛先へのデータ送信を許可するか否かを判断する。これにより、eNB200は、複数のリモートUEへのトラフィックが、1つのベアラ(RPSベアラ/無線ベアラ/LCIDの少なくともいずれか)でリレーUEに伝送されることによって、ネットワーク側で発生したデータが複数のリレーUE宛てか否かを判断できない場合であっても、UE100−1からの許可要求情報に基づいて、1つのSC期間内で複数の宛先へのデータ送信を許可するか否かを判断できる。
【0122】
[その他の実施形態]
上述した各実施形態によって、本出願の内容を説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本出願の内容を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0123】
上述した第2実施形態において、UE100−1がリレーUEであるケースを説明したが、これに限れられない。UE100−1は、UE・ネットワーク中継(転送)を実行していない場合であっても、1つのSC期間内で複数の宛先へのデータ送信を行うための許可をeNB200に要求してもよい。例えば、UE100−1は、直接通信を実行している場合に、当該許可をeNB200に要求してもよい。UE100−1は、上述のトラフィック関連情報と同様に、直接通信を行う相手UEの数、直接通信を行う宛先の識別子の数、送信すべきデータの種類、及び、直接通信におけるトラフィック量の少なくともいずれかに基づいて、許可をeNB200に要求できる。
【0124】
上述した各実施形態において、eNB200が、近傍サービス(UE・ネットワーク中継(転送)/直接通信)で用いられる無線リソースをUE100−1に割り当てるケースを説明したが、これに限られない。UE(例えば、Cluster head UE)が、近傍サービス(UE・ネットワーク中継(転送)/直接通信)で用いられる無線リソースをUE100−1(リレーUE)に割り当てるケースであってもよい。Cluster head UEは、近傍サービスを制御するUEであり、近傍サービス(UE・ネットワーク中継(転送)/直接通信)で用いられる無線リソースを各UE(リレーUEなど)に割り当てることができる。Cluster head UEは、上述したeNB200と同様の動作を実行できる。
【0125】
上述した各実施形態では特に触れていないが、上述した各ノード(UE100、eNB200など)のいずれかが行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体であってもよい。
【0126】
或いは、UE100及びeNB200のいずれかが行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサ)によって構成されるチップが提供されてもよい。
【0127】
上述した実施形態では、移動通信システムの一例としてLTEシステムを説明したが、LTEシステムに限定されるものではなく、LTEシステム以外のシステムに本発明を適用してもよい。
【0128】
なお、日本国特許出願第2015−158904号(2015年8月11日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。