特許第6773684号(P6773684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773684
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】ガスタービン機関
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/00 20060101AFI20201012BHJP
   F01D 25/30 20060101ALI20201012BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   F01D25/00 M
   F01D25/30 C
   F02C7/00 B
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-558383(P2017-558383)
(86)(22)【出願日】2016年4月29日
(65)【公表番号】特表2018-519455(P2018-519455A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】EP2016059666
(87)【国際公開番号】WO2016177644
(87)【国際公開日】20161110
【審査請求日】2018年11月14日
(31)【優先権主張番号】1507818.1
(32)【優先日】2015年5月7日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】591005785
【氏名又は名称】ロールス・ロイス・ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】ROLLS−ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(72)【発明者】
【氏名】ナバス,ボルハ
(72)【発明者】
【氏名】レイマン,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィット,リー
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−344680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/00
F01D 25/30
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主たる回転軸線を有するターボシャフト機関(10)であって、
前記ターボシャフト機関(10)は、前記軸線に沿って軸方向流れの順に配置された、圧縮機(12)と、動力タービン(16)と、尾部軸受ハウジング(18)と、排気コレクタ(19)とを備え、
前記尾部軸受ハウジング(18)は、冷却空気のための流れチャンバ(35)を画定する径方向の中央領域(23)と、前記中央領域(23)の周りに画定された環状導管(24)とを有しており、該環状導管(24)は、前記動力タービン(16)から前記排気コレクタ(19)への排気ガスの流れのための排気流路の少なくとも一部を形成しており、
前記流れチャンバ(35)は、前記尾部軸受ハウジング(18)に形成された少なくとも1つの排気ポート(38)を介して前記排気コレクタ(19)と流体連通して設けられたターボシャフト機関(10)において、
前記尾部軸受ハウジング(18)は、前記圧縮機(12)から引き込まれてラビリンスシール(39)を通して送られる圧縮空気の流れにより加圧できるように又は圧を保つことができるように構成された前記ラビリンスシール(39)を含み、
前記排気ポート(38)が、前記ラビリンスシール(39)と流体連通して設けられ、
前記機関の動作中に前記排気コレクタ(19)を通過する前記排気ガスの流れが、前記ラビリンスシール(39)から前記圧縮空気の流れを抽出して、前記排気ポート(38)を通過させて前記排気ガスの流れに入れ、
前記尾部軸受ハウジング(18)は、前記中央領域(23)から径方向外方に前記環状導管(24)を横切って延在する複数の羽根(25)をさらに備え、
前記羽根(25)のうちの少なくともいくつかが、それを貫通するそれぞれの空気流路(34)を有し、
前記空気流路(34)が、前記冷却空気の通過のために前記流れチャンバ(35)と流体連通して配置されており、
ターボシャフト機関(10)は、前記羽根の空気流路(34)のうちの少なくとも1つに流体連通可能に接続された送風機(42)をさらに備え、
前記送風機(42)が、冷却空気を前記流れチャンバ(35)から径方向外方に引き込んで前記送風機(42)が接続された前記空気流路(34)を通過させるように動作可能であることを特徴とするターボシャフト機関。
【請求項2】
請求項1に記載のターボシャフト機関において、
前記流れチャンバ(35)と流体連通している空気流路(34)を前記羽根(25)の全てが有するとは限らないことを特徴とするターボシャフト機関。
【請求項3】
請求項1または2に記載のターボシャフト機関において、
油管(30、31)または通気管(28)のいずれかを担持する羽根(25)のみが、前記流れチャンバ(35)と流体連通している前記空気流路(34)を有することを特徴とするターボシャフト機関。
【請求項4】
請求項に記載のターボシャフト機関において、
前記ターボシャフト機関がアイドル機関速度にあり、前記排気コレクタ(19)を通過する排気ガスが比較的に低い運動エネルギーにある場合に、前記送風機(42)が、各前記羽根の空気流路(34)および前記流れチャンバ(35)を通して冷却空気の流れを引き込むように動作可能であることを特徴とするターボシャフト機関。
【請求項5】
請求項に記載のターボシャフト機関において、
前記ターボシャフト機関がアイドル機関速度にあり、前記排気コレクタ(19)を通過する排気ガスが比較的低い運動エネルギーにある場合に、前記送風機(42)がまた、圧縮空気の流れをラビリンスシール(39)から引き込むように動作可能であり、前記ラビリンスシール(39)が、圧縮機(12)から引き込まれて前記ラビリンスシール(39)を通して送られる圧縮空気の流れにより加圧できるように又は圧を保つことができるように構成されていることを特徴とするターボシャフト機関。
【請求項6】
請求項1、4、及び5のいずれか一項に記載のターボシャフト機関において、
前記ターボシャフト機関(10)および前記送風機(42)には、音響ハウジング(22)が設けられていることを特徴とするターボシャフト機関。
【請求項7】
主たる回転軸線を有するターボシャフト機関(10)を動作させる方法であって、
前記ターボシャフト機関(10)は、前記軸線に沿って軸方向流れの順に配置された、圧縮機(12)、動力タービン(16)、尾部軸受ハウジング(18)、および排気コレクタを備え、
前記尾部軸受ハウジング(18)が、冷却空気のための流れチャンバ(35)を画定する径方向中央の領域(23)と、前記中央領域(23)の周りに画定され、前記動力タービン(16)から前記排気コレクタ(19)への排気ガスの流れのための排気流路の少なくとも一部を形成する環状導管(24)とを有しており、
前記流れチャンバ(35)が、前記尾部軸受ハウジング(18)に形成された少なくとも1つの排気ポート(38)を介して前記排気コレクタ(19)と流体連通して設けられた方法において、
前記尾部軸受ハウジング(18)が、前記排気ポート(38)と流体連通して設けられたラビリンスシール(39)を含み、
前記方法が、前記圧縮機(12)から圧縮空気の流れを引き込み、前記圧縮空気の流れを前記ラビリンスシール(39)を通過させて、前記ラビリンスシール(39)を加圧するステップと、
十分な排気ガスの流れを前記動力タービン(16)から前記排気コレクタ(19)に沿って移動させて、圧縮空気の流れを前記ラビリンスシール(39)から抽出して前記排気ポート(38)を介して前記排気ガスの流れに入れ、
前記機関の尾部軸受ハウジング(18)が、前記中央領域(23)から径方向外方に前記環状導管(24)を横切って延在する複数の羽根(25)をさらに備え、
前記羽根(25)のうちの少なくともいくつかには、それを貫通するそれぞれの空気流路(34)が設けられており、
前記空気流路(34)が、前記冷却空気の通過のために前記流れチャンバ(35)と流体連通して配置されており、
前記排気ガスを移動させるステップが、十分な排気ガスの流れを前記排気コレクタ(19)に沿って移動させて、冷却空気の流れを前記空気流路(34)のうちの少なくともいくつかを通して引き込んで、前記流れチャンバ(35)を通過させて前記排気ポート(38)を介して前記排気ガスの流れに入れるステップを備えており、
前記機関が、前記羽根の空気流路(34)のうちの少なくとも1つに流体連通可能に接続された送風機(42)を含み、
前記方法が、前記送風機(42)が接続された前記空気流路(34)を通して冷却空気を前記流れチャンバ(35)から径方向外方に引き込むように前記送風機(42)を動作させるステップを含むことを特徴とする方法
【請求項8】
請求項に記載の方法において、
前記冷却空気が、油管(30、31)または通気管(28)のいずれかを担持する羽根(25)を貫通して設けられた前記空気流路(34)を通してのみ引き込まれることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法において、
前記排気コレクタ(19)に沿った前記排気ガスの流れが、冷却空気の流れを前記流れチャンバ(35)から抽出して前記排気ポート(38)を介して前記排気流に入れるのには不十分であるときに、前記送風機(42)が、各前記羽根の空気流路(34)および前記流れチャンバ(35)を通して冷却空気の流れを引き込むように作動されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項に従属する場合の請求項に記載の方法において、
前記排気コレクタ(19)に沿った前記排気ガスの流れが、前記圧縮空気の流れを前記ラビリンスシール(39)から抽出して前記排気ポート(38)を介して前記排気流に入れるのには不十分であるときに、前記送風機(42)が、前記圧縮空気の流れを前記ラビリンスシール(39)から引き込んで前記流れチャンバ(35)を通過させるように作動されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項に記載のターボシャフト機関において、
前記排気コレクタ(19)に沿った前記排気ガスの流れが、冷却空気の流れを前記流れチャンバ(35)から抽出して前記排気ポート(38)を介して前記排気流に入れるのには不十分であるときに、前記送風機(42)が、各前記羽根の空気流路(34)および前記流れチャンバ(35)を通して冷却空気の流れを引き込むように作動されることを特徴とするターボシャフト機関。
【請求項12】
請求項に記載のターボシャフト機関において、
前記排気コレクタ(19)に沿った前記排気ガスの流れが、前記圧縮空気の流れを前記ラビリンスシール(39)から抽出して前記排気ポート(38)を介して前記排気流に入れるのには不十分であるときに、前記送風機(42)が、前記圧縮空気の流れを前記ラビリンスシール(39)から引き込んで前記流れチャンバ(35)を通過させるように作動されることを特徴とするターボシャフト機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン機関に関し、より詳細には、ターボシャフト機関に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボシャフト機関は、推進力ではなく軸動力を生じさせるように最適化されたタイプのガスタービン機関である。ターボシャフト機関は、船、ボート、およびホバークラフトなどの船艇を動かすために、また、戦車およびヘリコプターを動かすために、一般に使用される。ターボシャフト機関はまた、補助動力ユニットにおいて、および産業用の発電のために使用され得る。
【0003】
典型的なターボシャフト機関は、軸方向流れの順に、吸気セクション、圧縮機セクション、燃焼セクション、ガスタービンセクション、動力タービンセクション、および排気セクションを含む。動作中、周囲空気の流れが吸気セクションを介して機関内に引き込まれて圧縮機セクション内に送られ、空気は圧縮機セクションにおいて圧縮されてから燃焼セクションに送達され、燃焼セクションでは、圧縮空気が燃料と混合される。すると、結果として得られた燃料/空気混合物は、燃料セクション内で点火され、得られる燃焼ガスは、急速に膨張してガスタービンセクションおよび動力タービンセクションを通過し、それにより、それらのセクションのタービンを回転させる。ガスタービンセクション内のその/各ガスタービンの回転が、それぞれの相互接続軸を介して、圧縮機セクション内の1つまたはそれぞれの圧縮機ロータを回転させる。動力タービン(動力タービンがその/各ガスタービンと独立して回転するように構成されている構成では「自由タービン」と呼ばれることもある)の回転が、ターボシャフト機関の回転出力部(rotary output)として機能する出力軸を駆動させる。ターボシャフト機関の機能に応じて、出力軸は、発電機、および/または、船のプロペラもしくはヘリコプターのメインロータなどの推進装置に結合され得る。燃焼ガスは、動力タービンセクションを流れた後、排気セクションを通って機関から排出される。
【0004】
本発明は、特に船に推進力を与えるように構成されたタイプの船舶用ターボシャフト機関に関して本明細書において説明されるが、本発明は船舶用ターボシャフト機関に限定されるものではなく、他のタイプのターボシャフト機関でも具現化され得ることが、理解されるべきである。
【0005】
理解されるであろうように、機関の動力タービンに接続される出力軸の端部は、軸受によって支持されなければならず、この軸受は、動力タービンのすぐ後ろで機関の最後尾に設けられるので、尾部軸受(tail bearing)として知られる。尾部軸受は、環状のハウジング内に封入され、このハウジングは、機関を貫く主たる流れ方向に関して動力タービンの下流側で動力タービンに軸方向に隣接する。尾部軸受ハウジングは、出力軸のための支持を提供し、かつ、機関を船の構造に連結する主要な支持となる。両側のトラニオンマウントを介してハウジングからトルク反作用が取られる。
【0006】
尾部軸受ハウジングは、通常、現行の尾部軸受を収容する中央部を含み、かつ、円周方向に離間した一連の支持羽根を含み、この支持羽根は、ハウジングの中央部から周辺部まで径方向外方に延在し、また、排気ガス流路を横切って延在する。したがって、機関の中心部からの排気ガスは、羽根のそばを通り過ぎて流れる。羽根のうちのいくつかは、通常、単純に構造上のものであるが、他の羽根は、ハウジングの中央部への、およびハウジングの中央部からの、様々な流体流れ管路および配線の経路を定めるために使用される。例えば、尾部軸受に潤滑油を提供するために、羽根のうちのいくつかを貫通して給油管路の経路が定められる一方で、他の羽根は、速度プローブのための電気配線または空気流管路の経路を定めるために使用される。したがって、これらのサービス羽根は、それらを通して管路または配線を収容するために、全体的に中空である。
【0007】
尾部軸受ハウジングの上述のサービス羽根、特に給油管路および排油管路の経路を定めるために使用されるサービス羽根を冷却して、それらの管路内の油の酸化および熱分解を回避することが重要であり、そのような油の酸化および熱分解は、時間的なコークス堆積物の蓄積につながる可能性があり、それにより、管路の閉塞がもたらされる可能性がある。これは、動作期間の後に機関が停止されるときに、特に重要になる。従来技術の構成では、機関の最後尾内まで延在する大型の管に沿って尾部軸受ハウジングの中央部内に大量の冷却空気を送ることにより尾部軸受ハウジングを冷却することが、慣例とされている。この空気は、通常は機関ハウジングの支持基礎板上で機関ハウジングの外側に取り付けられた大型の送風機によって送達され、この送風機は、空気がハウジングの羽根の全てを通って外方に送られ、それにより羽根から熱を散逸させるように、空気を尾部軸受ハウジングの尾部中央領域に押し込むように配置される。この冷却のために必要とされる空気の量は大変多いので、送風機自体も大型でなければならない。典型的には、3相軸流送風機が使用されるが、この送風機は3相電源を必要とし、また、騒音を立てる。そのような大型の送風機は、機関パッケージの設置面積を大きくする。
【0008】
さらに、機関の圧縮機セクションの下流領域から圧縮空気の流れを抜き取ること、および、そのブリード流(bleed flow)を機関内のシールを加圧するために使用することが、提案されてきた。このようにして圧縮機ブリード空気によって一般に加圧される1つのそのようなシールは、尾部軸受ハウジングの領域内で出力軸の周りに設けられるラビリンス式シールである。しかし、これは、圧縮機ブリード空気にシールを通過させることを伴い、このことは、空気が周囲の環境に排気されることを意味し、周囲の環境は、船を動かすために使用される船舶用ガスタービン機関では、周囲の機械空間または機関室になる。このことは一般に、いくつかの理由から不都合である。例えば、圧縮機ブリード流が周囲の機械空間内に漏出することを許容することにより、機械空間内の温度が上昇することになる。また、機械空間内に漏出するものではない少量の燃焼ガスをブリード流が含むことはよくある。さらに、核攻撃または生物攻撃から保護するために機械空間が大気から遮断されなければならない軍用船の場合には、機関の取入れ口を介して船の外部から機関に引き込まれた汚染物質を圧縮機ブリード流が含む可能性があるので、圧縮機ブリード流が機械空間内に漏出することは決して許容されてはならない。したがって、軸のラビリンスシールから周囲の機械空間内への圧縮機ブリード空気の漏出を防ぐことが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、改良されたターボシャフト機関を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、主たる回転軸を有し、かつ、前記軸に沿って軸方向流れの順に配置された動力タービン、尾部軸受ハウジング、および排気コレクタを備え、尾部軸受ハウジングが、冷却空気のための流れチャンバを画定する径方向中央の領域と、中央領域の周りに画定され、かつ動力タービンから排気コレクタへの排気ガスの流れのための排気流路の少なくとも一部を形成する環状導管とを有する、ターボシャフト機関であって、流れチャンバが、機関の動作中に排気コレクタを通過する排気ガスの流れが中央の流れチャンバを通して冷却空気の流れを抽出するように、尾部軸受ハウジングに形成された少なくとも1つの排気ポートを介して前述の排気流路と流体連通して設けられることを特徴とする、ターボシャフト機関が提供される。
【0011】
好都合なことには、機関は、圧縮機をさらに備え、尾部軸受ハウジングは、圧縮機から引き込まれてラビリンスシールを通して送られる圧縮空気の流れによる加圧のために構成されたラビリンスシールを含み、そのまたは各排気ポートは、機関の動作中に前述の排気流路に沿う排気ガスの流れが、前述の圧縮空気の流れを前述のラビリンスシールから抽出してそのまたは各排気ポートを通過させて排気流に入れるように、ラビリンスシールと流体連通して設けられる。
【0012】
有利には、尾部軸受ハウジングは、中央領域から径方向外方に環状導管を横切って延在する複数の羽根をさらに備え、前述の羽根のうちの少なくともいくつかは、それを貫通するそれぞれの空気流路を有し、それらの空気流路は、冷却空気の通過のために流れチャンバと流体連通して配置される。
【0013】
流れチャンバと流体連通している空気流路を前述の羽根の全てが有するとは限らないことが、好ましい。
好都合なことには、油管または通気管のいずれかを担持する羽根のみが、流れチャンバと流体連通している前述の空気流路を有する。
【0014】
場合により、機関は、前述の羽根の空気流路のうちの少なくとも1つに流体的に接続された送風機をさらに備え、送風機は、冷却空気を流れチャンバから径方向外方に引き込んで送風機が接続されたそのまたは各前述の空気流路を通過させるように動作可能である。
【0015】
好都合なことには、前述の送風機は、前述の排気流路に沿う十分な排気ガスの流れがない場合に、各前述の羽根の空気流路および流れチャンバを通して冷却空気の流れを引き込むように動作可能である。
【0016】
有利には、前述の送風機はまた、前述の排気流路に沿う十分な排気ガスの流れがない場合に、前述の圧縮空気の流れをラビリンスシールから前述の流れチャンバを通して引き込むように動作可能である。
【0017】
機関は、音響ハウジング内に設けられ、前述の送風機もまた、音響ハウジング内に設けられ得ることが、好ましい。
本発明の第2の態様によれば、主たる回転軸を有し、かつ、前述の軸に沿って軸方向流れの順に配置された動力タービン、尾部軸受ハウジング、および排気コレクタを備え、尾部軸受ハウジングが、冷却空気のための流れチャンバを画定する径方向中央の領域と、中央領域の周りに画定され、かつ動力タービンから排気コレクタへの排気ガスの流れのための排気流路の少なくとも一部を形成する環状導管とを有するターボシャフト機関を動作させる方法であって、流れチャンバが、尾部軸受ハウジングに形成された少なくとも1つの排気ポートを介して前述の排気コレクタと流体連通して設けられ、方法が、十分な排気ガスの流れに排気コレクタを通過させて、冷却空気の流れを中央の流れチャンバから抽出してそのまたは各排気ポートを介して排気流に入れるステップを伴う方法が提供される。
【0018】
有利には、方法は、圧縮機をさらに含む機関で実行され、この機関では、尾部軸受ハウジングは、そのまたは各排気ポートと流体連通して設けられたラビリンスシールを含み、方法は、圧縮機から圧縮空気の流れを引き込み、その圧縮空気の流れにラビリンスシールを通過させて、シールを加圧するステップと、十分な排気ガスの流れを前述の動力タービンから前述の排気流路に沿って移動させて、前述の圧縮空気の流れを前述のラビリンスシールから抽出してそのまたは各排気ポートを介して排気流に入れるステップとを伴う。
【0019】
方法は、尾部軸受ハウジングが、中央領域から径方向外方に環状導管を横切って延在する複数の羽根をさらに備え、前述の羽根のうちの少なくともいくつかが、それを貫通するそれぞれの空気流路を備え、それらの空気流路が、冷却空気の通過のために流れチャンバと流体連通して配置される機関で実行されることが好ましく、その場合、前述の排気ガスを移動させるステップは、十分な排気ガスの流れを前述の排気流路に沿って移動させて、冷却空気の流れを前述の空気流路のうちの少なくともいくつかを通して引き込んで、流れチャンバを通過させてそのまたは各排気ポートを介して排気流に入れるステップを伴う。
【0020】
場合により、前述の冷却空気は、油管または通気管のいずれかを担持する羽根を貫通して設けられた前述の空気流路を通してのみ引き込まれ得る。
好都合なことには、機関は、前述の羽根の空気流路のうちの少なくとも1つに流体的に接続された送風機を含み、方法は、送風機が接続されたそのまたは各空気流路を通して冷却空気を流れチャンバから径方向外方に引き込むように送風機を動作させるステップを伴う。
【0021】
前述の送風機は、前述の排気流路に沿った排気ガスの流れが冷却空気の流れを中央の流れチャンバから抽出してそのまたは各排気ポートを介して排気流に入れるのには不十分であるときに、各前述の羽根の空気流路および流れチャンバを通して冷却空気の流れを引き込むように作動されることが好ましい。
【0022】
有利には、前述の送風機はまた、前述の排気流路に沿った排気ガスの流れが前述の圧縮空気の流れを前述のラビリンスシールから抽出してそのまたは各排気ポートを介して排気流に入れるのには不十分であるときに、前述の圧縮空気の流れをラビリンスシールから引き込んで前述の流れチャンバを通過させるように作動される。
【0023】
次に、本発明がより容易に理解され得るように、また、本発明のさらなる特徴が認識され得るように、例として添付の図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】船舶用ターボシャフト機関の長手方向断面図である。
図2】明瞭性のために音響エンクロージャの一部が切り取られて示された、船舶用ターボシャフト機関の斜視図である。
図3】機関の尾部軸受ハウジングを冷却するための従来技術の構成を示す、ターボシャフト機関の長手方向拡大断面図である。
図4】尾部軸受ハウジングをそのサービス羽根とともに示す概略斜視図である。
図5】径方向内向きの方向に見た、図4の尾部軸受ハウジングの最上部の3枚のサービス羽根の断面図である。
図6】尾部軸受ハウジングの一部および出力軸の端部の径方向断面図である。
図7図6の図に類似しているが、尾部軸受ハウジングのラビリンスシールを拡大図で示す図である。
図8】尾部軸受ハウジングの後部を示す部分断面斜視図である。
図9】概略的な空気流回路網図である。
図10図6に類似しているが、機関アイドル(遊休)状態中の空気流特性を示す概略図である。
図11図10に類似しているが、機関最大出力状態中の空気流特性を示す概略図である。
図12図10および11の図に類似しているが、機関停止状態での空気流特性を示す別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ここで図面をより詳細に考察すると、図1は、主たる回転軸X−Xを有する船舶用ターボシャフト機関10を示す。機関は、軸方向流れの順に、空気取入れ口11、中圧圧縮機12、高圧圧縮機13、燃焼装置14、高圧タービン15、出力軸17に結合された動力タービン16、尾部軸受ハウジング18、および排気コレクタ19(図1ではその一部分のみ示される)を備える。
【0026】
動作中、取入れ口11に入る空気は、中圧圧縮機12内に送られ、中圧圧縮機12は、空気流を圧縮してからその空気を高圧圧縮機13に送達し、高圧圧縮機13では、さらなる圧縮が行われる。圧縮空気は、高圧圧縮機13から排出されて燃焼装置14内に送られ、燃焼装置14では、圧縮空気が燃料と混合されて、混合物が燃焼される。すると、得られた高温の燃焼生成物は、高圧タービン15および動力タービン16を通って膨張し、それによって高圧タービン15および動力タービン16を駆動してから、尾部軸受ハウジング18の外側領域および排気コレクタ19を通って排出される。高圧タービン15および動力タービン16は、相互接続する軸により、高圧圧縮機13および中圧圧縮機12をそれぞれ駆動する。さらに、動力タービン16は、動力タービン16が直接接続されている機関の出力軸17を駆動し、出力軸17の機関側端部は、尾部軸受ハウジング18の内側部分内に取り付けられた軸受によって支持されている。
【0027】
図2は、典型的な船舶用機関10を斜視図で示す。留意されるであろうように、機関10は、支持基礎板20上に設置され、かつ、機関の前部において上述の空気取入れ口11に直接接続される大型の吸気導管21を含む。圧縮機12、13、燃焼装置14、およびタービン14、15を含む機関の主要部は、通常、音響ハウジング22内に封入され、音響ハウジング22は、図2では明瞭性のために部分的に切り取られて示されている。図2はまた、完全な排気コレクタ19を示し、この排気コレクタ19は、排気ガスを適切な外部導管を介して機関から離れる方向に送るために、その下流側端部において上方に向けられた導管内と合体する全体的に環状の構成をその上流側端部に有することが、留意されるであろう。排気コレクタのこの構成は、図3でより詳細に見ることもできる。
【0028】
図4に最も明瞭に示されるように、しかし図1も考慮すると、尾部軸受ハウジング18は、中央領域23を含む、全体的に環状の構成であり、中央領域23は、中央チャンバを画定し、かつ、出力軸17のための主支持軸受を封入しかつ支持し、環状導管24は、中央領域23の周りに画定され、また図1および3に最も明瞭に示されるように、排気コレクタ19と協働して、動力タービン16からの排気ガスの流れのための環状排気流路の一部を画定する。
【0029】
尾部軸受ハウジング18は、中央領域23から径方向外方に環状導管24を横切って延在する、円周方向に離間された複数の支持羽根(支持ベーン)25をさらに備える。
既に上記したように、従来の尾部軸受ハウジングは、羽根(ベーン)25のうちのいくつか、または場合によっては羽根25の全てが、ハウジングの外側領域から中央領域23内の中央チャンバまで径方向内方にサービス管路を担持するように、構成される。したがって、羽根25は、通常中空であり、かつ、中央チャンバと流体連通して設けられる。
【0030】
図3は、上述した一般的なタイプの尾部軸受ハウジングを冷却するための従来の構成を示し、具体的には、ハウジングの中央領域およびそれと流体連通して設けられた羽根を冷却するための構成を示す。したがって、機関は尾部軸受ハウジング18の中央チャンバ内まで前方に延在する大型の通風管26を備えることが、留意されるであろう。管26は、音響ハウジング22の外側で機関の基礎板20の後端部に取り付けられた大型の送風機27に従来通りに接続される。このタイプの従来技術の冷却構成は、送風機27が大量の冷却空気を尾部軸受ハウジングの中央チャンバ内へと前方に押し込み、その後で中空羽根25を通して径方向外方に押すことにより、機能する。羽根25はこのようにして冷却空気を受けるように配置されているので、送風機27は、典型的には、非常に大型であることが必要とされ、実際のところかなりの騒音を立てる。送風機27の騒音は、基礎板20上での送風機27の位置により送風機27が機関の音響ハウジング22内に封入されることが許容されないという事実のために、悪化する。
【0031】
次に図4をより詳細に考察すると、本発明の一実施形態に含まれるのに適した尾部軸受ハウジング18の特定の構成の詳細が示されている。示された特定のハウジング構成では、尾部軸受ハウジング18は、その環状導管24を横切って径方向に延在する総計16枚の羽根25を備え、個々の羽根は、文字a、b、c…pによってそれぞれが表されている。最上部の3枚の羽根25a、25b、25cは、通気管路28の経路を径方向内方にハウジングの中央領域23まで定めるために使用される。羽根25d、25h、25i、および25pは、空気供給管路29の経路をハウジングの中央領域23内に画定されたチャンバまで定めるために使用される。羽根25eおよび25oは、速度プローブ配線の経路を中央領域23まで定めるために使用される。羽根25mは、中央チャンバ内の軸受への潤滑油の供給のために、給油管30の経路を中央チャンバまで定めるために使用され、一方で、羽根25jは、協働する排油管31の中央チャンバからの経路を定めるために使用される。油管30、31を担持する羽根25mおよび25jは、どちらも環状のハウジング18の下部領域内に配置されることが、留意されるべきである。
【0032】
それぞれの羽根、油管30および31を介して尾部軸受ハウジング18の中央領域23まで経路が定められたサービス管路は全て、機関の動作中にそれらが十分に冷却されなかった場合に最も問題を抱えやすいことが分かっている。これは、管30、31を通して送られる潤滑油の酸化および熱分解を介してコークスが形成され得るためであり、また、そのようなコークスの形成は、コークスの蓄積が許容されている場合に、管30、31を閉塞させる可能性がある。したがって、管30、31およびそれらのそれぞれの羽根25m、25jが十分に冷却されることを確実にすることが、重要である。しかし、他のサービス管路は油を運ばず、したがってコークス堆積物の蓄積による影響をあまり受けないので、それらのサービス管路を直接冷却することはそれほど重要であるとは考えられない。したがって、本発明の実施形態は、油供給管路羽根25m、25jを含む羽根25のうちのいくつかのみが積極的に冷却されるように構成されることができ、これは、以下で説明されるように、それぞれの羽根25にそれらを通る内部空気流路を提供することによって達成される。
【0033】
図5は、最上部の3枚のサービス羽根25a、25b、25cの断面図を示す。留意されるであろうように、これらの羽根は、空気供給管路28を収容するために、羽根を通って延在する内部空洞32をそれぞれが有するように、中空構造のものである。各羽根内の空気供給管路28の周りには、遮熱材33も設けられ、遮熱材33のそれぞれは、羽根を通るそれぞれの空気流路34を画定する。各空気流路34は、尾部軸受ハウジング18の中央領域23内に画定されたチャンバと流体連通して設けられる。油管30、31を担持する羽根25m、25jもまた、ハウジング18の中央領域23内に画定されたチャンバと流体連通して羽根25m、25jを通って延在する類似の空気流路34を、管30、31の周りに備える。しかし、好ましい実施形態は、他の羽根25のいずれもそのような空気流路34を有さないように構成されることが、留意されるべきである。以下で明らかになるように、羽根25のうちのいくつかだけにそれを通して冷却空気が送られる空気流路を設けることにより、尾部軸受ハウジング18を冷却するために必要とされる冷却空気の質量流量は、上述の従来技術の構成と比較して大幅に減少する。
【0034】
図6は、尾部軸受ハウジング18の中央領域23をより詳細に示す、部分的な横断面図である。具体的には、中央領域23内に画定されたチャンバ35が示されており、このチャンバ35は、以下でより詳細に説明されるように、全体的に環状の構成であり、かつ、冷却空気のための流れチャンバを表すことが、留意されるべきである。上述のように、環状の流れチャンバ23は、最上部の3枚のサービス羽根25a、25b、25c(空気供給管28を担持する)および2枚のサービス羽根25m、25j(油管30、31を担持するが図6には示されていない)と直接流体連通して設けられる。上述のように、油管30、31を担持する2枚の羽根25m、25jは、どちらも環状のハウジング18の下部領域に向かって配置され、したがって、空気流チャンバ35より下に位置するが、当然ながら、空気供給管28を担持する最上部の3枚の羽根25a、25b、25cは、流れチャンバ35より上に配置される。
【0035】
ハウジング18は、主たる中央の流れチャンバ35の軸方向後方に配置された2次的な環状の流れチャンバ36をさらに備える。主たる流れチャンバ35および2次的な流れチャンバ36は、円周方向に離間された複数の流路37を介して互いに流体連通して設けられる。さらに、2次的な流れチャンバ36は、尾部軸受ハウジング18の中央領域23の後部に形成された、円周方向に離間された複数の小型の排気ポート38を介して、排気コレクタ19にわたって画定された排気流路と直接流体連通して設けられる。1つのそのようなポートが、図8の斜視図に示されている。したがって、理解されるであろうように、主たる流れチャンバ35は、排気コレクタ19にわたって画定された排気流路と、排気ポート38を介して(間接)流体連通して設けられる。
【0036】
同じく図6に示されるように、また、図7により詳細に示されるように、尾部軸受ハウジング18はまた、概ね上述された従来通りの態様で、出力軸17の端部の周りにラビリンスシール39を含む。よくあるように、ラビリンスシール39は、圧縮空気の流れによって加圧され、圧縮空気は、機関の圧縮機セクションから、また最も好ましくは機関の中圧圧縮機12の比較的下流の領域から、引き込まれる。圧縮空気は、ラビリンスシール39を通して概ね後ろ向きの方向に送られ、また、シール39から出て収集されなかった場合には、尾部軸受ハウジング18の中央領域23の後部コーン41と出力軸17との間に配置された小間隙40を通して漏出する。このようにしてラビリンスシール39を通して漏出する圧縮空気の収集を支援するために、ハウジング18の後部コーン41は、2次的な流れチャンバ36が間隙40まで径方向内方に延在するように構成される。
【0037】
図9は、尾部軸受ハウジングの冷却において本発明の構成が動作する態様の理解を支援するために、上述の種々の流れチャンバ、通路、およびポートが相互接続される態様を概略的に示す、空気流回路網図である。
【0038】
最上部の3枚のサービス羽根25a、25b、25cを通して画定された流路34a、34b、34c(全て、それらの径方向最内部の端部において主たる中央の流れチャンバ35に直接流体的に接続される)は、それぞれ、それらの径方向最外部の端部において電気送風機(電気ファン)42に流体的に接続され、この電気送風機42は、機関の音響ハウジング22内に配置され、したがって、音響ハウジング22の内側の内部体積(43に概略的に示される)に作用する。油管30、31を担持する羽根25m、25jを通る2つの下方の空気流路は、それぞれ34mおよび34jとして示されており、また、これらの空気流路は送風機(ファン)42に接続されておらず、そのためそれらの径方向最外部の端部において音響ハウジング22の内側の内部体積43に対して開放しているだけであることが、留意されるであろう。
【0039】
同じく留意されるであろうように、図9は、2次的な流れチャンバ36にどちらも流体的に接続された、ラビリンスシール39、および尾部軸受ハウジングの後部コーンと出力軸との間の間隙40を示し、2次的な流れチャンバ36自体は、流路37により、主たる環状の空気流チャンバ35に流体的に接続されている。この点について、ハウジングの後部コーン41の径方向外方に狭まる構成は、ラビリンスシール35から2次的なチャンバ36への流れに対する絞りとして機能することが、留意されるべきである。間隙40は、図9において44によって示されるような機関が設置される機械空間(例えば、船の機関室)と直接流体連通して示される。さらに、図9は、排気コレクタ19を通る排気流路と直接流体連通している2次的な流れチャンバ36を示す。
【0040】
図10から12を特に参照して次に説明するように、上述の機関構成の冷却空気流構成は複数の異なる動作モードまたは動作段階を有することが、想定される。
図10は、例えばアイドル(遊休)機関速度において生じるであろう、機関10の比較的低出力の動作中に使用される、提案された冷却モードの空気流特性を示す。アイドル(遊休)状態は、動力タービン16から送られて尾部軸受ハウジング18の外側導管24と排気コレクタ19とによって画定された排気流路を通過する排気ガスの比較的低い運動エネルギー(図10では矢印45によって表される)を特徴とする。また、機関の回転速度は、アイドル状態中は比較的低いので、機関の圧縮機セクションから出てラビリンスシール39を通して送られる圧縮空気の流れもまた、比較的少なくなる。
【0041】
そのような状態の間は、送風機42は、最上部の3枚のサービス羽根25a、25b、25cを通して形成された上部の空気流路34a、34b、34cを通して冷却空気の流れ(図10では矢印46で示される)を引き寄せるために、またそれにより音響ハウジング22の内側の内部体積43から主たる中央の流れチャンバ35および下部の2枚のサービス羽根25m、25j(油管30、31を担持する)を通して形成された空気流路34m、34jを通して冷却空気を引き寄せるために作動されることが、想定される。この点について、送風機は、羽根25の総数のうちの比較的少数の羽根25を通してこの冷却空気を引き寄せることだけを求められるので、送風機によって移動される冷却空気の質量流量は著しく減少されることが、留意されるべきである。これにより、送風機を比較的小型にすることが可能になり、したがって、送風機を音響ハウジング22内に容易に収容することが可能になる。
【0042】
さらに、上述のアイドル状態中の送風機42の動作は、主たる環状のチャンバ35内に減圧圧力を生じさせることになり、したがって、2次的な後部の流れチャンバ36から流路37を介して空気を引き寄せることに効果的であり、したがって、ラビリンスシール39を通して漏出する圧縮空気を引き込むことにも効果的であり、それにより、圧縮空気が軸17の周りの間隙40を介して機械空間44内に漏出するのを防ぐ。
【0043】
送風機42は、非常に低エネルギーの排気流が排気流路を通過する期間中に動作可能であるが、主たる流れチャンバ35および2次的な流れチャンバ36内に結果として生じる低い圧力は、図10において矢印47で示されるように、少量の排気ガスを排気流路から排気ポート38を介して引き込み得ることが、留意されるべきである。しかし、いかなるそのような影響をも最小限に抑えるために、排気ポート38が特にそれらのサイズに関して慎重に構成されることが、提案される。
【0044】
図11は、例えば最大のまたは標準の作動機関速度において生じるであろう、機関10の比較的高出力の動作中に使用される、提案された冷却モードの空気流特性を示す。そのような高出力状態は、動力タービン16から送られて尾部軸受ハウジング18の外側導管24と排気コレクタ19とによって画定された排気流路を通過する排気ガスの比較的高い運動エネルギー(図10では矢印45によって表される)を特徴とする。
【0045】
そのような状態の間は、送風機42は、最上部の3枚のサービス羽根25a、25b、25cを通して形成された上部の空気流路34a、34b、34cを通して冷却空気の流れ(図10では矢印46によって表される)を引き寄せるように、またそれにより音響ハウジング22の内側の内部体積43から主たる中央の流れチャンバ35および下部の2枚のサービス羽根25m、25j(油管30、31を担持する)を通して形成された空気流路34m、34jを通して冷却空気を引き寄せるように動作し続けることが、想定される。しかし、上述の空気流システムは、主たる流れチャンバ35に対する冷却要求が高まる機関10の比較的高出力の動作中は、送風機42の冷却効果を補うために、排気ガスのより高い運動エネルギーを利用して、主たる中央のチャンバ35を通して冷却空気の流れを抽出して流路37を介して2次的なチャンバ26に入れるように、また、排気ポート38を介して外方に排気流路に入れるように、設計される。さらに、同一の排気効果はまた、ラビリンスシール39を通して送られた圧縮空気を引き込んで、2次的な流れチャンバ36を通過させ、排気ポート38を通して排気流路に入れ、それにより、圧縮空気が軸17の周りの間隙40を介して機械空間44内に漏出するのを防ぐ。
【0046】
さらに、上述のアイドル状態中の送風機42の動作は、主たる環状のチャンバ35内に減圧圧力を生じさせることになり、したがって、2次的な後部の流れチャンバ36から流路37を介して空気を引き寄せることに効果的であり、したがって、ラビリンスシール39を通して漏出する圧縮空気を引き込むことにも効果的であり、それにより、圧縮空気が軸17の周りの間隙40を介して機械空間44内に漏出するのを防ぐ。
【0047】
図12は、機関が(意図的にまたは緊急事態において)停止されたときの本構成の空気流特性を示す。そのような状態は、排気流路を通過する排気ガスの流れがほとんどないことを特徴とするが、尾部軸受ハウジングおよびその羽根25のガス洗浄面(gas−washed surface)上の高い表面温度も特徴とする。したがって、空気流路34a、34b、34c、34m、34jおよびサービス羽根、さらに尾部軸受ハウジングの中央の空気流チャンバ35を通して冷却空気を引き寄せるために送風機42を作動させ続けることが提案される。
【0048】
本発明は、上記の例示的な実施形態に関連して説明されたが、本開示が与えられれば、多くの均等な修正形態および変形形態が当業者には明らかになるであろう。したがって、上記に提示された本発明の例示的な実施形態は、説明に役立つものであって限定するものではないと見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12