特許第6773786号(P6773786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773786
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】カラーホイール装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 29/502 20150101AFI20201012BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20201012BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20201012BHJP
   F21V 7/30 20180101ALI20201012BHJP
   F21V 29/65 20150101ALI20201012BHJP
   F21V 29/77 20150101ALI20201012BHJP
   G03B 21/16 20060101ALI20201012BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20201012BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20201012BHJP
【FI】
   F21V29/502 100
   F21V9/32
   F21V9/40 200
   F21V7/30
   F21V29/65
   F21V29/77
   G03B21/16
   G03B21/14 A
   F21Y115:30
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-528751(P2018-528751)
(86)(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公表番号】特表2019-504441(P2019-504441A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】CN2016107956
(87)【国際公開番号】WO2017092669
(87)【国際公開日】20170608
【審査請求日】2018年6月4日
(31)【優先権主張番号】201510875143.1
(32)【優先日】2015年12月2日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201610398000.0
(32)【優先日】2016年6月7日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514090979
【氏名又は名称】深▲せん▼光峰科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】APPOTRONICS CORPORATION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】胡 飛
(72)【発明者】
【氏名】譚 大治
(72)【発明者】
【氏名】李 屹
【審査官】 野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第103807810(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104614926(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/134−21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光が照射されることにより被励起光を生成する波長変換層と、
内部にカラーホイールキャビティが形成される密閉ケースと、
前記密閉ケース内に設けられているとともに前記カラーホイールキャビティ外に位置する熱交換器と、
前記カラーホイールキャビティ内に設けられているとともに、前記波長変換層が載置されるカラーホイールモジュールと、を備え、
前記カラーホイールキャビティが、前記波長変換層を収容し、吸気口と排気口とを備え、
前記熱交換器が、熱交換入口と熱交換出口とを備え、前記熱交換入口が、冷却されるガスが熱交換器に入るためのものであり、前記熱交換出口が、前記熱交換器によって冷却されたガスを前記熱交換器から排出するためのものであり、
前記カラーホイールモジュールは、気流がカラーホイールキャビティの吸気口から入り、排気口から排出されるための動力を供給することにより、気流がカラーホイールキャビティの吸気口から順次にカラーホイールモジュールと、カラーホイールキャビティの排気口と、熱交換入口と、熱交換出口とを経由して、再び吸気口に戻る循環風路が形成され、
前記波長変換層と前記熱交換器との間に蓋体が設けられ、前記蓋体の外縁が前記密閉ケーに固定接続され、且つ、前記カラーホイールモジュールを収容するために、前記蓋体が前記密閉ケースとともに前記カラーホイールキャビティを形成し、前記蓋体が、中部に第1の開口を有し、縁部に1つ又は複数の第2の開口を有し、前記第1の開口が前記カラーホイールキャビティの吸気口を形成し、前記第2の開口が前記カラーホイールキャビティの排気口を形成することを特徴とするカラーホイール装置。
【請求項2】
前記カラーホイールモジュールが、
受光面の端面に前記波長変換層が設けられる放熱板と、
前記放熱板の、受光面から離れる端面に設けられる複数の羽根と、
前記密閉ケースに固定され、回転軸が前記放熱板に連結し、前記放熱板、波長変換層及び複数の羽根を同期回転させる駆動装置と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のカラーホイール装置。
【請求項3】
前記波長変換層と前記放熱板との間に基板がさらに設けられ、前記基板の、受光面から離れる端面が前記放熱板に接着又は溶接され、前記波長変換層が前記基板の受光面の端面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のカラーホイール装置。
【請求項4】
前記複数の羽根が前記放熱板の径方向に延在し、前記複数の羽根が環状に均一に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のカラーホイール装置。
【請求項5】
前記複数の羽根が前記放熱板と一体成形されることを特徴とする請求項4に記載のカラーホイール装置。
【請求項6】
前記放熱板が、金属材質で製造されることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載のカラーホイール装置。
【請求項7】
前記放熱板がセラミックス材質で製造され、前記波長変換層が焼結により前記放熱板の表面に固定設置されることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載のカラーホイール装置。
【請求項8】
前記熱交換器の表面に放熱フィンがさらに設けられ、前記放熱フィンが前記密閉ケースを通過し、外側へ延出することを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載のカラーホイール装置。
【請求項9】
前記第1の開口が円形状であり、前記放熱板は円形状であり、前記第1の開口の直径が前記放熱板の直径よりも小さいことを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載のカラーホイール装置。
【請求項10】
前記熱交換器が密閉ケースの内壁又は蓋体に設けられ、前記熱交換器の熱交換出口及び熱交換入口がそれぞれ前記熱交換器の正対する2つの外側面に設けられ、且つ、熱交換出口が前記吸気口に隣接することを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載のカラーホイール装置。
【請求項11】
前記熱交換入口及び前記熱交換出口により規定される方向が前記放熱板の軸方向に一致し、且つ、前記熱交換出口が前記吸気口に隣接することを特徴とする請求項10に記載のカラーホイール装置。
【請求項12】
前記熱交換器が2つ設けられ、2つの熱交換器が互いに分離して、それぞれ前記吸気口の両側に設けられ、且つ、2つの熱交換器の熱交換入口が対向設置されていることを特徴とする請求項11に記載のカラーホイール装置。
【請求項13】
前記熱交換器の中部に環状の開口が設けられ、前記熱交換出口が、前記環状の開口の前記吸気口に近い外側面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカラーホイール装置。
【請求項14】
前記熱交換入口が、前記環状の開口の外円周方向に配置されていることを特徴とする請求項13に記載のカラーホイール装置。
【請求項15】
前記熱交換器が、環状の熱交換器であり、前記熱交換入口が、前記環状の熱交換器の外円周方向に均一に配置されていることを特徴とする請求項14に記載のカラーホイール装置。
【請求項16】
前記熱交換器の一方の端が、前記密閉ケースの内側壁に貼り合わせることを特徴とする請求項15に記載のカラーホイール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーホイール装置に関し、特に高出力の蛍光カラーホイール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーホイール装置は、レーザ光源による照明や投影、光学式フォトタイプセッティング及び光学的記憶などの分野で広く使用されている。例えば、3DLP(Digital Light Procession)レーザ投影装置では、レーザ光源が発生するレーザにより蛍光カラーホイールを励起することで白色光を生成する。光源が出力する光パワーが向上するにつれて、蛍光カラーホイールでの熱消費電力も上昇する。蛍光体粉末が励起された光の効率が温度の上昇に伴い低下し、温度がある臨界点を越えると、効率が急激に低下する。よって、カラーホイールの放熱問題がうまく解決されないと、投影装置の正常の使用に影響する。
【0003】
通常の3DLPレーザ投影装置における蛍光カラーホイールの放熱装置が、図1に示されている。当該放熱装置が、複数の構造部材が組み立てられてなる密閉キャビティ101を備え、密閉キャビティ内に内部風路が形成され、風の方向が矢印106で示され、または、その反対方向であってもよい。カラーホイール103がモータ102に取り付けられ、モータ102が密閉キャビティ101の内壁面に固定されている。モータ102が軸A1を回転するように駆動することにより、カラーホイール103が回転し、カラーホイールキャビティ107内で空気の流れが発生し、外部との熱交換を行う。加熱された空気がファン104による駆動で熱交換器キャビティ108に入り、熱交換器105内で冷却された後、風路に沿ってカラーホイールキャビティ107に戻ることにより、1つの吸熱及び放熱のサイクルが完了する。よって、通常の3DLPレーザ投影装置における蛍光カラーホイールの放熱用の循環風路の風抵抗が大きいため、大風量の背圧の高いファンで気流が循環するように駆動することが必要であり、且つファンがカラーホイールキャビティの外部に設けられるため、カラーホイールの動作時に発生する熱を直ちに奪うことができず、カラーホイールの動作効率に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、改良されたカラーホイール装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、本発明は、
励起光が照射されることにより被励起光を生成する波長変換層と、
前記波長変換層を収容し、吸気口と排気口とを備えるカラーホイールキャビティが内部に形成され、前記吸気口がカラーホイールキャビティの第1の位置に位置し、前記第1の位置が前記波長変換層に対向し、前記排気口がカラーホイールキャビティの第2の位置に位置し、前記第2の位置が前記吸気口の吸気方向に平行する密閉ケースと、
前記密閉ケース内に設けられているとともに、前記カラーホイールキャビティ外に位置し、熱交換入口と熱交換出口とを備える熱交換器と、
前記カラーホイールキャビティ内に設けられているとともに、前記波長変換層が載置され、気流がカラーホイールキャビティの吸気口から入り、排気口から排出されるための動力を供給することにより、気流がカラーホイールキャビティの吸気口から排気口と、熱交換入口と、熱交換出口とを経由して、再び吸気口に戻る循環風路が形成されるカラーホイールモジュールと、
を備えるカラーホイール装置を提供する。
【0006】
本発明に係るカラーホイール装置において、前記カラーホイールモジュールが、
受光面の端面に前記波長変換層が設けられる放熱板と、
前記放熱板の、受光面から離れる端面に設けられる複数の羽根と、
前記密閉ケースに固定され、回転軸が前記放熱板に連結し、前記放熱板、波長変換層及び複数の羽根を同期回転させる駆動装置と、
を備える。
【0007】
本発明に係るカラーホイール装置において、前記波長変換層と前記放熱板との間に基板がさらに設けられ、前記基板の、受光面から離れる端面が前記放熱板に接着又は溶接され、前記波長変換層が前記基板の受光面の端面に設けられている。
【0008】
本発明に係るカラーホイール装置において、前記複数の羽根が前記放熱板の径方向に延在し、前記複数の羽根が環状に均一に配置されている。
【0009】
本発明に係るカラーホイール装置において、前記複数の羽根が前記放熱板と一体成形される。
【0010】
本発明に係るカラーホイール装置において、前記放熱板が、金属材質で製造される。
【0011】
本発明に係るカラーホイール装置において、前記放熱板がセラミックス材質で製造され、前記波長変換層が焼結により前記放熱板の表面に固定設置される。
【0012】
本発明に係るカラーホイール装置において、前記カラーホイールモジュールが、蓋体を更に備え、前記蓋体が中部に第1の開口を有し、縁部に1つ又は複数の第2の開口を有し、前記蓋体が前記波長変換層と前記熱交換器との間に位置し、密閉ケースとともにカラーホイールキャビティを形成し、前記第1の開口が前記放熱板の中心軸部位に対向して吸気口を形成し、第2の開口が排気口を形成する。
【0013】
本発明に係るカラーホイール装置において、前記熱交換器の表面に放熱フィンがさらに設けられ、前記放熱フィンが延在して前記密閉ケースを通過し、外側へ延出する。
【0014】
本発明に係るカラーホイール装置において、前記第1の開口が円状であり、前記放熱板が円状であり、前記第1の開口の直径が前記放熱板の直径よりも小さい。
【0015】
本発明に係るカラーホイール装置において、前記熱交換器が密閉ケースの内壁又は蓋体に設けられ、前記熱交換器の熱交換出口及び熱交換入口がそれぞれ前記熱交換器の正対する2つの外側面に設けられ、且つ、熱交換出口が前記吸気口に隣接する。
【0016】
本発明に係るカラーホイール装置において、前記熱交換入口及び前記熱交換出口により規定される方向が前記放熱板の軸方向に一致し、且つ、前記熱交換出口が前記吸気口に隣接する。
【0017】
本発明に係るカラーホイール装置において、前記熱交換器が2つ設けれ、2つの熱交換器が互いに分離して、それぞれ前記吸気口の両側に設けられ、且つ、2つの熱交換器の熱交換入口が対向設置されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以下の有益な効果を奏することができる。
気流が吸気口からカラーホイールキャビティ内に吸い込まれ、カラーホイールキャビティ内で充分に吸熱されてから排気口から飛び出し、飛び出した気流が熱交換器で充分に冷却されてから再びカラーホイールキャビティに吸い込まれ、即ち、当該カラーホイール装置には、1つの完全な放熱用の循環風路が形成され、且つ、当該循環風路の駆動力がカラーホイールキャビティ内におけるカラーホイールモジュールにより直接実現されることにより、カラーホイール装置におけるカラーホイールモジュールが循環風路中の気流と十分に熱交換を行うことができ、カラーホイールモジュールの動作時に発生する熱を直ちに奪うことができるため、カラーホイールモジュールの動作効率を向上させ、カラーホイール装置の使用寿命を延長させる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】通常の3DLPレーザ投影装置における蛍光カラーホイールの放熱装置の構成を示す模式図である。
図2】本発明の一実施例におけるカラーホイール装置の構成を示す模式図である。
図3図2におけるカラーホイールモジュールの構成を示す模式図である。
図4A図1におけるカラーホイールキャビティの組立模式図である。
図4B図1におけるカラーホイールキャビティの分解模式図である。
図5】本発明の他の実施例におけるカラーホイール装置の構成を示す模式図である。
図6図5におけるカラーホイールキャビティの組立模式図である。
図7】本発明の更なる他の実施例におけるカラーホイール装置の構成を示す模式図である。
図8図7における熱交換器の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、発明を実施するための形態及び図面を参照しながら本発明についてより詳細に説明する。
【0021】
図2図8には、本発明に係るカラーホイール装置を示している。当該カラーホイール装置が、主に3DLPレーザ投影装置に用いられる。理解できるように、当該カラーホイール装置が他の一般的なの照明システム又は投影システムにおける発光装置に用いられても良い。
【0022】
(実施例1)
図2及び図3を参照すると、当該カラーホイール装置が、波長変換層20と、密閉ケース21と、カラーホイールモジュール24と、熱交換器25とを備える。
【0023】
波長変換層20が、主に励起光を吸収して被励起光を生成するためのものであり、波長変換層20には、波長変換材料が含まれている。最もよく用いられる波長変換材料が、蛍光体粉末、例えば、青色光を吸収し励起されて黄色の被励起光を生成可能なイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)蛍光体粉末である。波長変換材料は、量子ドットや蛍光染料などの波長変換能力を有する材料であってもよく、蛍光体粉末に限定されない。波長変換材料が粉末状又は粒状であることが多く、波長変換材料層を直接形成することが困難であるため、接着剤により個々の波長変換材料の粒子を固定し、特定の形状、例えば、シート状に形成する必要がある。
【0024】
密閉ケース21が、主に波長変換層20やカラーホイールモジュール24及び熱交換器25などの放熱装置に外部と隔離する密閉キャビティを提供するように機能する。即ち、密閉ケースの内部には、吸気口221と排気口222とを備えるカラーホイールキャビティ22が形成され、吸気口221が、一般的に波長変換層20に対向するカラーホイールキャビティ22の第1の位置に位置し、排気口222が、一般的に吸気口221の吸気方向に平行するカラーホイールキャビティ22の第2の位置に位置する。図2に示すように、本実施例における吸気口221がカラーホイールキャビティの中部に位置してもよく、排気口222がカラーホイールキャビティの縁部に位置してもよい。本発明の実施例では、波長変換層20及びカラーホイールモジュール24がカラーホイールキャビティ22に収容され、熱交換器25がカラーホイールキャビティ22の外部に設けられている。当該密閉ケース21が複数の構造部材を接合して形成されてもよいし、射出プロセスで一体成形されてもよい。
【0025】
カラーホイールモジュール24が、上記カラーホイールキャビティ22内に設けられている。カラーホイールモジュール24は、主に、カラーホイールキャビティ22の外のガスが吸気口221から上記カラーホイールキャビティ22内に入り、排気口222から上記カラーホイールキャビティ22外に排出されることにより、気流がカラーホイールキャビティ22の吸気口221から排気口222、熱交換入口251及び熱交換出口252を経由して、再び吸気口221に戻る循環風路23を形成するように機能する。
【0026】
具体的に、図3を参照すると、カラーホイールモジュール24は、放熱板241と、複数の羽根242と、駆動装置243とを備えることが可能である。駆動装置243としては、一般的に、通常のマイクロモータ又はマイクロ電動機などを用いても良い。上記複数の羽根242は、上記放熱板241と一体成形されることが好ましい。上記波長変換層20が放熱板241の受光面に設けられ、複数の羽根242が放熱板241の受光面から離れる端面に設けられ、駆動装置243が密閉ケース21に固定され、駆動装置243の回転軸が放熱板241と連結し放熱板241及び複数の羽根242を同期回転させる。放熱板241および羽根242は、いずれも熱伝導率の高い材料、例えばアルミニウム又は銅等で構成され、また、セラミックス材質、例えば窒化アルミニウム、炭化ケイ素、アルミナなどのセラミックスで構成されてもよい。また、製造プロセスについて、放熱板241を羽根242と直接一体成形してもよい。波長変換層20を放熱板241に直接塗布し焼結する。なお、レーザで波長変換層20を照射することにより生じる熱は、熱伝導で放熱板241及び羽根242に伝導されるため、対流放熱の熱交換面積を大幅に増加させる。
【0027】
駆動装置243が高速に回転する際、カラーホイールモジュール24が遠心ファンに相当し、ガスが吸気口221からカラーホイールキャビティ22内に吸い込まれ、カラーホイールモジュール24の作用で加速し加圧され、ガスがカラーホイールキャビティ22内で放熱板241及び羽根242と熱交換を行うことにより加熱され、そして、カラーホイールモジュール24の作用で排気口222でカラーホイールキャビティ22から飛び出すことにより、カラーホイールキャビティ22内でレーザ照射によって波長変換層20で生じる熱を奪う。
【0028】
さらに、上記波長変換層20と放熱板241との間に基板244がさらに設けられてもよく、基板244の、受光面から離れる端面が放熱板241に接着又は溶接され、波長変換層20が基板244の受光面に設けられている。基板244が、主に、上記波長変換層20を載置するとともに、生成した被励起光を反射する。実際に、製造プロセスが実施可能である場合に、放熱板241が反射の要求を満たせば、放熱板241に上記波長変換層20を直接塗布して焼結することは、本実施例の好適な実施態様である。即ち、放熱板241の反射率が要求を満たす前提で、波長変換層20を載置するための基板244を別途設けないことが最も好適である。
【0029】
更に、複数の羽根242が放熱板241の径方向に延在し、複数の羽根242が環状に均一に配置されている。羽根242により、放熱板241の熱交換面積を効果的に増加させることが可能であり、放熱板241に伝導された熱をより速くカラーホイールキャビティ22の内部の空気に放出させることにより、カラーホイールキャビティ22の内部の熱交換効率を向上させ、放熱効果を高めるため、上記波長変換層20の温度を低下させ、カラーホイールモジュール24の信頼性を向上させ、使用寿命を延長させる。
【0030】
ここで、羽根242が放熱板241の径方向に直線状に延在してもよいが、このようにすると、放熱板241の回転時の風抵抗を増大させるため、放熱板241を駆動するための駆動装置243がより大きい駆動力を有する必要がある。
【0031】
風抵抗を低減させるために、好ましくは、羽根242が基板244の径方向に円弧状に延在する。これにより、基板244の回転を駆動するための駆動力を効果的に低減させる。
【0032】
熱交換器25が、上記密閉ケース21内に設けられているとともに、上記カラーホイールキャビティ22の外に位置し、且つ、熱交換入口251と熱交換出口252とを備える。熱交換入口251が上記排気口222に連通し、熱交換出口252が上記吸気口221に連通する。このように、カラーホイールキャビティ22の排気口から飛び出した熱気流が熱交換入口251を通過してから熱交換器25内に入り、熱交換器25における冷媒と熱交換を行う。冷却された気流が再び熱交換出口252と吸気口221とを通してカラーホイールキャビティ22内に吸い込まれる。
【0033】
なお、気流がカラーホイールモジュールによりカラーホイールキャビティに吸い込まれ、波長変換層を冷却させ、カラーホイールキャビティ22から飛び出す。熱交換器の周方向に密閉ケース及びバッフルプレートが密着するため、気流が排気口222と熱交換入口251とを経由して熱交換器25内に入り、熱交換が行われ、且つ、熱交換が行われた気流が、熱交換出口252及び吸気口221のみを介してカラーホイールキャビティ22内に吸い込まれることができる。
【0034】
図4A、4Bを参照すると、カラーホイールモジュール24は、蓋体245をさらに備え、蓋体245が波長変換層20と熱交換器25との間に位置し、その外縁が密閉ケース21に固定接続されている。蓋体245が、カラーホイールモジュール24と熱交換器25とを分離し、密閉ケースとともにカラーホイールキャビティ22を形成する。蓋体245は、中部に第1の開口を有し、縁部に1つ又は複数の第2の開口を有する。当該第1の開口が放熱板241の中心軸部位に対向して吸気口を形成し、第2の開口が排気口を形成する。即ち、カラーホイールキャビティ22の吸気口221が放熱板241の中央位置に対応する。一方で、カラーホイールキャビティ22の排気口222が1つのみ設けられ、且つ、波長変換層の径方向に配置されている。理解できるように、本実施例における排気口222が、放熱板241が所在する平面に対して垂直に配置されることが好ましい。このようにすると、羽根242によってその径方向に飛び出した気流がそのまま排気口222を直接通過して熱交換器25へ流れる。これにより、カラーホイールキャビティ22の排気口222での風圧が高く、流速が高くなる。
【0035】
好ましくは、蓋体245の中央における第1の開口が円形状であり、即ち、カラーホイールキャビティ22の吸気口221が円形状であり、且つ、吸気口221の円心が放熱板241の回転軸線上に位置する。吸気口221は、放熱板241よりも直径が小さい。羽根242によって飛び出した高速の気流は、少ない一部が放熱板241の縁部において放熱板241に阻まれ、放熱板241の軸方向へ移動し、乱流を形成する。その乱流が放熱板241の縁部において軸方向に設けられる蓋体245に阻まれ、放熱板241の径方向に移動する大部分の気流に巻き込まれ、カラーホイールキャビティ22の排気口222から排出される。このように、乱流除去という効果を奏し、熱交換が行われていない乱流が逆に熱交換器25に逆流し、又は熱交換器25の熱交換出口252から流出する気流に干渉して、全体の循環風路が不安定になる問題を防止する。
【0036】
さらに、本実施例では、熱交換器25が、密閉ケース21の内壁又は蓋体に固定され、熱交換器25の熱交換出口252及び熱交換入口251がそれぞれ熱交換器25の正対する2つの外側面に設けられ、且つ熱交換出口252が吸気口221に近接している。熱交換入口251及び熱交換出口252により規定される方向が放熱板241の軸方向に一致し、且つ熱交換出口252が吸気口221に隣接する。対応的に、循環風路23が、密閉ケース21の幅方向に延在する第1の風路231と、密閉ケース21の高さ方向に延在する第2の風路232を更に備える。
【0037】
本実施例では、熱交換器25は、主に空気−液体式熱交換器であり、本発明の他の実施例では、空気−空気式熱交換器が用いられてもよい。即ち、熱交換器25の表面に放熱フィンが設けられ、放熱フィンの端部が密閉ケース21を通過し外部へ延出して、外部の強制対流装置により放熱フィンの表面の熱を奪うことにより、降温の効果を奏する。
【0038】
(実施例2)
図5及び図6を参照すると、本実施例に係るカラーホイール装置は、実施例1に係るカラーホイール装置に比べ、大体の構成及び基本の機能が同様または類似であるため、ここで説明を省略する。以下、両者の相違点のみについて説明する。
【0039】
本実施例では、カラーホイールキャビティ22の吸気口221が同様に放熱板241の中央位置に正対するが、カラーホイールキャビティ22の排気口222が複数設けられ、一般的に、本実施例における排気口222が放熱板241の外円周方向に均一に配置されてもよい。このように設計する利点が、カラーホイールキャビティ22の排気口222での面積が大きく、風量が多くなることにある。
【0040】
さらに、本実施例では、熱交換器25の熱交換入口251が同様に熱交換器25の吸気口221から離間する外側面に設けられ、熱交換器25の熱交換出口252が同様に熱交換器25の吸気口221に近い外側面に設けられている。対応的に、循環風路23が、密閉ケース21の幅方向に延在する第1の風路231と、密閉ケース21の高さ方向に延在する第2の風路232とを備える。ただし、実施例1では、循環風路23が、少なくとも1つの第1の風路231を備え、一方で、本実施例では、循環風路23が、少なくとも2つの第1の風路231を備える。
【0041】
(実施例3)
図7及び図8を参照すると、本実施例に係るカラーホイール装置は、実施例2に係るカラーホイール装置に比べ、大体の構成及び基本の機能が同様または類似であるため、ここで説明を省略する。以下、両者の相違点のみについて説明する。
【0042】
本実施例では、熱交換器25の構成が変わっている。熱交換器25が、中空矩形であってもよいし、図8に示す環状の熱交換器25であってもよい。即ち、熱交換器25の中部に環状の開口が設けられてもよい。このようにすると、熱交換器25の熱交換入口251及び熱交換出口252の配置も変わる。具体的には、以下のようになる。
【0043】
熱交換器25の熱交換出口252が環状の開口の吸気口221に近い外側面に設けられている。環状の開口が熱交換器25の中部に設けられている場合、熱交換器25の熱交換出口252の配置位置が、実施例2における熱交換出口252の配置位置に一致してもよい。即ち、熱交換出口252が環状の開口の軸方向に対応し、熱交換出口252が熱交換器25の吸気口221に近い外側面に設けられている。一方、熱交換器25の熱交換入口251が複数設けられてもよい。一般的に、熱交換入口251が環状の開口の外円周方向に均一に配置されてもよい。熱交換器25が環状の熱交換器25である場合、熱交換入口251が環状の熱交換器25の外円周方向に均一に配置されてもよい。
【0044】
また、熱交換入口251が環状の熱交換器25の外円周方向に均一に配置されているため、熱交換器25の一方の端が密閉ケース21の内側壁に貼り合わせることが可能であり、これによって、循環風路23が密閉ケース21の幅方向に延在する第1の風路231のみを含むようになる。このように設計する利点は、カラーホイール装置の幅方向の寸法をより小さくし、さらに本実施例に係るカラーホイール装置全体の寸法を小さくすることにある。
【0045】
さらに、熱交換器25が2つ設けられてもよい。2つの熱交換器25が互いに分離してそれぞれ吸気口221の両側に設けられ、且つ、2つの熱交換器25の熱交換入口251が対向設置されている。
【0046】
以上の内容は、具体の実施態様を参照して本発明をさらに詳細に説明したものであり、本発明の具体の実施形態がこれらの説明に限定されない。当業者であれば、本発明の構想を逸脱しない前提で、様々な簡単な変更や置換を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0047】
20…波長変換層
21…密閉ケース
22…カラーホイールキャビティ
221…吸気口
222…排気口
23…循環風路
231…第1の風路
232…第2の風路
24…カラーホイールモジュール
241…放熱板
242…羽根
243…駆動装置
244…基板
245…蓋体
25…熱交換器
251…熱交換入口
252…熱交換出口
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8