【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る斜流式タービンホイールは、
回転軸に固定されるハブと、
前記ハブの周面に、周方向に間隔を置いて設けられる複数の動翼であって、前記複数の動翼の各々の前縁が、子午面視において、前記前縁と前記回転軸の軸線との距離がチップ側からハブ側に向かうにつれて小さくなる斜縁部を含むように構成される複数の動翼と、を備える斜流式タービンホイールにおいて、
光センサ装置による検出が可能なマーキングが施された平坦状のセンサ検出面を有し、
前記センサ検出面は、子午面視において、前記回転軸の軸線と前記斜縁部の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度よりも、前記回転軸の軸線と前記センサ検出面の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度の方が小さくなるように、前記ハブの周面または前記複数の動翼のうちの一つである基準動翼の縁部、の少なくとも一方に形成される。
【0012】
上記(1)の構成によれば、センサ検出面の法線は、斜縁部の法線よりも相対的に、回転軸の軸線方向の後縁側(ハブの先端側)に向かって延在することとなる。すなわち、光センサ装置を回転軸の中央側から相対的に離れた場所に設置できるようになる。よって、アンバランス検出装置を用いた斜流式タービンホイールおよび斜流式タービンホイールを備えるターボカートリッジの各々におけるアンバランス修正作業において、アンバランス検出装置やターボカートリッジのベアリングハウジングなどに対して物理的に干渉することなく、斜流式タービンホイールの回転位置を検出するための光センサ装置を、斜流式タービンホイールのセンサ検出面に対面可能に設置することができる。これによって、斜流式タービンホイールの回転数(回転位相)といったアンバランス修正作業に必要となる情報を適切に取得することが可能なセンサ検出面を備える斜流式タービンホイールを提供することができる。
【0013】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記基準動翼の前縁は、子午面視において、前記斜縁部に接続し、且つ、前記回転軸の軸線に対して平行な方向に延在する第1平縁部を含み、
前記センサ検出面は前記第1平縁部に形成される。
上記(2)の構成によれば、センサ検出面は、基準動翼の前縁の端部側(後述するハブ側端やチップ側端)の形状を回転軸の軸線に対して平行に形成(第1平縁部)し、この第1平縁部の厚みを利用することにより形成される。斜流式タービンホイールは、高温の排気ガスに晒されることから硬い材料で形成されるものであり、コンプレッサホイールよりも加工性で劣る。ところが、本発明の斜流式タービンホイールは第1平縁部を有するように基準動翼の前縁が形成されるため、センサ検出面を形成するために例えばハブの周面を掘るといったなどの加工の必要はなく、小型の斜流式タービンホイールにも形成可能である。さらに、基準度翼の前縁の端部側に第1平縁部を形成することで、第1平縁部を備えていない従来の斜流式タービンホイールに対する形状の変更の程度を小さくできる。このため、第1平縁部による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面を容易に形成することができる。
【0014】
また、例えば、動翼の前縁が回転軸の軸線に対して平行となるラジアルタービンホイールにおいてセンサ検出面を前縁に形成する場合には、本発明の斜流式タービンホイールの第1平縁部に形成されたセンサ検出面に対してするのと同様に光センサ装置を設置することができる。つまり、複数種類のタービンホイールに対して、アンバランス修正を行うためのアンバランス検出装置の設備を共有することができ、製造コストの低減を図ることもできる。
【0015】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記基準動翼の前記前縁における前記第1平縁部は、子午面視において、前記前縁のハブ側端を含む位置に形成される。
上記(3)の構成によれば、基準動翼の前縁の端部(ハブ側端)に第1平縁部を形成することによって、第1平縁部による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面を容易に形成することができる。すなわち、前縁のハブ側端と回転軸との距離は前縁のチップ側端と回転軸との距離よりも短く、回転軸のトルクに及ぼす影響は、前縁のハブ側端の方が前縁のチップ側端よりも小さい。また、ハブ側端を含む位置に形成された第1平縁部は、タービンのスクロール部から供給される排ガスの主流の端にあり、排ガスの流れる量が前縁の斜縁部に比べて小さい部分となる。つまり、ハブ側端を含む位置に第1平縁部を形成する場合には、排ガスの流れが存在する位置(流路)から外れるように形成可能である。
【0016】
このため、第1平縁部を形成することによる前縁の形状変更の過給機の性能への影響は、前縁のハブ側端の方が前縁のチップ側端よりも小さい。よって、第1平縁部を前縁のハブ側端に設けることにより、第1平縁部を前縁のチップ側端に設けるよりも、過給機の性能への影響の抑制を図ることができる。また、ハブは、ハブの背面を形成する背板部を有しており、例えば、センサ検出面を第1平縁部および背板部の側面(厚み)を利用して形成する場合には、基準動翼のハブ側端の形状変更の程度をより小さくすることができ、第1平縁部による過給機の性能への影響の抑制をさらに図ることができる。
【0017】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記基準動翼の前記前縁における前記斜縁部は、子午面視において、直線状に形成される。
上記(4)の構成によれば、直線状に形成された斜縁部を有する基準動翼において、その前縁のハブ側の端部(ハブ側端)に第1平縁部を形成することによって、第1平縁部による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面を容易に形成することができる。すなわち、直線状に形成された斜縁部におけるハブ側端に最も近い端での接線と回転軸の軸線とのなす鈍角は、円弧状に形成された斜縁部におけるハブ側端に最も近い端での接線と回転軸の軸線とのなす鈍角よりも大きい。これは、斜縁部におけるハブ側端に最も近い端においては、直線状の斜縁部の方が、円弧状の斜縁部よりも、より緩やかに第1平縁部を接続することが可能であることを意味する。換言すれば、直線状の斜縁部を有する基準動翼においては、その前縁のハブ側端に第1平縁部を形成することで、第1平縁部による形状変更量を抑制することができる。
【0018】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記基準動翼の前記前縁における前記第1平縁部は、子午面視において、前記前縁のチップ側端を含む位置に形成される。
上記(5)の構成によれば、第1平縁部に形成されるセンサ検出面は、基準動翼の前縁のチップ側の端部(チップ側端)に第1平縁部が形成されることにより、第1平縁部がハブ側の端部(ハブ側端)に形成されるよりも、回転軸から離れた位置に設けられることになる。ここで、光センサ装置は、ターボカートリッジの周囲においてアンバランス検出装置によって回転軸から離れた位置で支持される。この際、基準動翼の前縁のチップ側端に第1平縁部が形成されることにより、光センサ装置は、回転軸のより近傍まで光センサ装置9の支持位置から伸ばすことなく、この支持位置により近い位置で設置することができ、光センサ装置をより安定的に容易に設置することができる。
【0019】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記基準動翼の前記前縁における前記斜縁部は、子午面視において、前記前縁のハブ側端とチップ側端とを結ぶ直線に対して凸となる円弧状に形成される。
上記(6)の構成によれば、上記のように円弧状に形成された斜縁部を有する基準動翼において、その前縁のチップ側の端部(チップ側端)に第1平縁部を形成することによって、第1平縁部による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面を容易に形成することができる。すなわち、上記の円弧状の斜縁部を有する前縁のチップ側端は、チップ側端にいくほど、回転軸の軸線に対して平行に近づく位置である。このため、円弧状の斜縁部のハブ側端に第1平縁部を形成するよりも、そのチップ側端に第1平縁部を形成することにより、性能への影響が大きい前縁の形状の形状変更量を最小限に抑制することができる。
【0020】
(7)幾つかの実施形態では、上記(2)〜(6)の構成において、
前記基準動翼の前記前縁における前記回転軸の前記軸線に沿った方向の長さをL、
前記第1平縁部における前記回転軸の前記軸線に沿った方向の長さをLa、
と定義した場合に、
La/Lは、1/3以下である。
上記(7)の構成によれば、第1平縁部による過給機の性能への影響を抑制しつつ、光センサ装置の設置の自由度の増大を図ることができる。
【0021】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記基準動翼の後縁は、子午面視において、直線状となるように形成される第2平縁部を含み、
前記センサ検出面は、前記第2平縁部に形成される。
上記(8)の構成によれば、センサ検出面は、基準動翼の後縁の少なくとも一部を子午面視において直線状となるように形成(第2平縁部)し、この第2平縁部の厚みを利用することにより形成される。これによって、上記(2)と同様に、第1平縁部による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面を容易に形成することができる。また、製造コストの低減を図ることもできる。
【0022】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記基準動翼のシュラウド側縁部は、子午面視において、前記動翼の後縁に接続し、且つ、前記回転軸の軸線に対して平行な方向に延在する第3平縁部を含み、
前記センサ検出面は、前記第3平縁部に形成される。
上記(9)の構成によれば、センサ検出面は、基準動翼のシュラウド側縁部のうちの後縁と接続する部分の形状を回転軸の軸線に対して平行に形成(第3平縁部)し、この第3平縁部の厚みを利用することにより形成される。特に、基準動翼のシュラウド側縁部は、前縁側から後縁側に向かうに従って、回転軸の軸線に対して平行に近くづく部分であり、第3平縁部を備えない斜流式タービンホイールに対する形状の変更が小さい。このため、上記(2)と同様に、第3平縁部による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面を容易に形成することができる。また、製造コストの低減を図ることもできる。
【0023】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記ハブの周面は、
前記ハブの先端に設けられるボス部によって周方向に沿って形成されるボス領域と、
前記複数の動翼が設けられる領域であって、周方向に沿って形成される動翼設置領域と、
前記ボス領域と前記動翼設置領域との間の領域となる中間領域と、を含んで形成されており、
前記センサ検出面は、前記中間領域に形成された平坦面からなる。
上記(10)の構成によれば、センサ検出面は、ハブの周面における動翼設置領域とボス領域との間の中間領域に部分的な平坦面を形成することによって形成される。一般に光センサ装置は、センサ検出面との距離が数mm以内(1〜2mmなど)になるように、センサ検出面に接近させて設置する必要があるところ、中間領域にセンサ検出面を形成することによって、回転軸の回転に伴って回転する動翼との物理的な干渉を回避しつつ、光センサ装置を設置することができる。
【0024】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(10)の構成において、
前記マーキングが施された前記センサ検出面の屈折率は、前記センサ検出面以外の前記ハブの周面または前記基準動翼の縁部の屈折率と異なる。
上記(11)の構成によれば、斜流式タービンホイールに形成されたセンサ検出面の検出を光センサ装置によって行うことができる。
【0025】
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(11)の構成において、
前記ハブの背面、又は前記ハブのボス部の少なくとも一方には、切削部からなるアンバランス修正部が形成されている。
上記(12)の構成によれば、アンバランス修正部はハブの背面やボス部となる。つまり、上述したように、本発明のセンサ検出面は、ハブの周面や基準動翼の縁部に形成されるものであり、アンバランス修正作業によってセンサ検出面を削る必要性が生じるような事態を回避することができる。
【0026】
(13)本発明の少なくとも一実施形態に係るターボカートリッジは、
上記(1)〜(12)のいずれかに記載の斜流式タービンホイールとコンプレッサホイールとを回転軸で結合した回転体と、
前記回転体を回転可能に支持するベアリングを収容するベアリングハウジングと、を備える。
上記(13)の構成によれば、上記(1)と同様な効果を奏する斜流式タービンホイールを備えるターボカートリッジを提供することができる。
【0027】
(14)本発明の少なくとも一実施形態に係る斜流式タービンホイールのアンバランス修正方法は、
回転軸に固定されるハブと、
前記ハブの周面に、周方向に間隔を置いて設けられる複数の動翼であって、前記複数の動翼の各々の前縁が、子午面視において、前記前縁と前記回転軸の軸線との距離がチップ側からハブ側に向かうにつれて小さくなる斜縁部を含むように構成される複数の動翼と、を有する斜流式タービンホイールのアンバランス修正方法であって、
前記斜流式タービンホイールは平坦状のセンサ検出面を有し、
前記センサ検出面は、子午面視において、前記回転軸の軸線と前記斜縁部の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度よりも、前記回転軸の軸線と前記センサ検出面の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度の方が小さくなるように、前記ハブの周面または前記複数の動翼のうちの一つである基準動翼の縁部、の少なくとも一方に形成されており、
前記斜流式タービンホイールのアンバランス修正方法は、
光センサ装置による検出が可能なマーキングを平坦状のセンサ検出面に施すマーキングステップと、
前記光センサ装置を、前記マーキングが施された平坦状の前記センサ検出面に対面可能に設置するセンサ設置ステップと、を備える。
【0028】
上記(14)の構成によれば、上記(1)と同様な効果を奏するアンバランス修正方法を提供することができる。
【0029】
(15)幾つかの実施形態では、上記(14)の構成において、
前記マーキングが施された前記センサ検出面の屈折率は、前記センサ検出面以外の前記ハブの周面または前記基準動翼の縁部の屈折率と異なる。
上記(15)の構成によれば、上記(11)と同様な効果を奏するアンバランス修正方法を提供することができる。