特許第6773791号(P6773791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773791
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】斜流式タービンホイール
(51)【国際特許分類】
   F02C 6/12 20060101AFI20201012BHJP
   F02B 39/16 20060101ALI20201012BHJP
   F02B 39/00 20060101ALI20201012BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20201012BHJP
   G01M 1/38 20060101ALI20201012BHJP
   G01M 1/34 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   F02C6/12
   F02B39/16 H
   F02B39/00 Q
   F01D25/00 V
   G01M1/38
   G01M1/34
【請求項の数】11
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-535928(P2018-535928)
(86)(22)【出願日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】JP2016074339
(87)【国際公開番号】WO2018037441
(87)【国際公開日】20180301
【審査請求日】2019年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】若島 幸司
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 誠
(72)【発明者】
【氏名】幡野 王男
(72)【発明者】
【氏名】橋本 文平
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 博
(72)【発明者】
【氏名】力丸 卓哉
【審査官】 中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−281197(JP,A)
【文献】 特開昭57−200831(JP,A)
【文献】 特開平10−299501(JP,A)
【文献】 特開2012−112676(JP,A)
【文献】 特開2003−302304(JP,A)
【文献】 特許第5588085(JP,B1)
【文献】 特表平03−503315(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/119828(WO,A1)
【文献】 米国特許第09181804(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 6/12
F01D 25/00
F02B 39/00
F02B 39/16
G01M 1/34
G01M 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に固定されるハブであって、先端面、背面、及び先端面と背面との間に形成されるとともに周方向に沿って延在する周面、を有するハブ部と、
前記ハブの周面に、周方向に間隔を置いて設けられる複数の動翼であって、前記複数の動翼の各々の前縁が、子午面視において、前記前縁と前記回転軸の軸線との距離がチップ側からハブ側に向かうにつれて小さくなる斜縁部を含むように構成される複数の動翼と、を備える斜流式タービンホイールにおいて、
光センサ装置による検出が可能なマーキングが施された平坦状のセンサ検出面を有し、
前記センサ検出面は、子午面視において、前記回転軸の軸線と前記斜縁部の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度よりも、前記回転軸の軸線と前記センサ検出面の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度の方が小さくなるように、前記ハブの周面または
前記複数の動翼のうちの一つである基準動翼の縁部、の少なくとも一方に形成され
前記基準動翼の前縁は、子午面視において、前記斜縁部に接続し、且つ、前記回転軸の軸線に対して平行な方向に延在する第1平縁部を含み、
前記基準動翼の前記前縁における前記第1平縁部は、子午面視において、前記前縁のハブ側端を含む位置に形成される
ことを特徴とする斜流式タービンホイール。
【請求項2】
前記基準動翼の前記前縁における前記斜縁部は、子午面視において、直線状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の斜流式タービンホイール。
【請求項3】
回転軸に固定されるハブであって、先端面、背面、及び先端面と背面との間に形成されるとともに周方向に沿って延在する周面、を有するハブ部と、
前記ハブの周面に、周方向に間隔を置いて設けられる複数の動翼であって、前記複数の動翼の各々の前縁が、子午面視において、前記前縁と前記回転軸の軸線との距離がチップ側からハブ側に向かうにつれて小さくなる斜縁部を含むように構成される複数の動翼と、を備える斜流式タービンホイールにおいて、
光センサ装置による検出が可能なマーキングが施された平坦状のセンサ検出面を有し、
前記センサ検出面は、子午面視において、前記回転軸の軸線と前記斜縁部の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度よりも、前記回転軸の軸線と前記センサ検出面の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度の方が小さくなるように、前記ハブの周面または前記複数の動翼のうちの一つである基準動翼の縁部、の少なくとも一方に形成され、
前記基準動翼の前縁は、子午面視において、前記斜縁部に接続し、且つ、前記回転軸の軸線に対して平行な方向に延在する第1平縁部を含み、
前記基準動翼の前記前縁における前記第1平縁部は、子午面視において、前記前縁のチップ側端を含む位置に形成され、
前記基準動翼の前記前縁における前記回転軸の前記軸線に沿った方向の長さをL、
前記第1平縁部における前記回転軸の前記軸線に沿った方向の長さをLa、
と定義した場合に、
La/Lは、1/3以下である
ことを特徴とする斜流式タービンホイール。
【請求項4】
前記基準動翼の前記前縁における前記斜縁部は、子午面視において、前記前縁のハブ側端とチップ側端とを結ぶ直線に対して凸となる円弧状に形成されることを特徴とする請求項3に記載の斜流式タービンホイール。
【請求項5】
回転軸に固定されるハブであって、先端面、背面、及び先端面と背面との間に形成されるとともに周方向に沿って延在する周面、を有するハブ部と、
前記ハブの周面に、周方向に間隔を置いて設けられる複数の動翼であって、前記複数の動翼の各々の前縁が、子午面視において、前記前縁と前記回転軸の軸線との距離がチップ側からハブ側に向かうにつれて小さくなる斜縁部を含むように構成される複数の動翼と、を備える斜流式タービンホイールにおいて、
光センサ装置による検出が可能なマーキングが施された平坦状のセンサ検出面を有し、
前記センサ検出面は、子午面視において、前記回転軸の軸線と前記斜縁部の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度よりも、前記回転軸の軸線と前記センサ検出面の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度の方が小さくなるように、前記ハブの周面または前記複数の動翼のうちの一つである基準動翼の縁部、の少なくとも一方に形成され、
前記基準動翼の後縁は、子午面視において、直線状となるように形成される第2平縁部を含み、
前記センサ検出面は、前記第2平縁部に形成される
ことを特徴とする斜流式タービンホイール。
【請求項6】
回転軸に固定されるハブであって、先端面、背面、及び先端面と背面との間に形成されるとともに周方向に沿って延在する周面、を有するハブ部と、
前記ハブの周面に、周方向に間隔を置いて設けられる複数の動翼であって、前記複数の動翼の各々の前縁が、子午面視において、前記前縁と前記回転軸の軸線との距離がチップ側からハブ側に向かうにつれて小さくなる斜縁部を含むように構成される複数の動翼と、を備える斜流式タービンホイールにおいて、
光センサ装置による検出が可能なマーキングが施された平坦状のセンサ検出面を有し、
前記センサ検出面は、子午面視において、前記回転軸の軸線と前記斜縁部の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度よりも、前記回転軸の軸線と前記センサ検出面の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度の方が小さくなるように、前記ハブの周面または前記複数の動翼のうちの一つである基準動翼の縁部、の少なくとも一方に形成され、
前記基準動翼のシュラウド側縁部は、子午面視において、前記動翼の後縁に接続し、且つ、前記回転軸の軸線に対して平行な方向に延在する第3平縁部を含み、
前記センサ検出面は、前記第3平縁部に形成される
ことを特徴とする斜流式タービンホイール。
【請求項7】
前記マーキングが施された前記センサ検出面の屈折率は、前記センサ検出面以外の前記ハブの周面または前記基準動翼の縁部の屈折率と異なることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の斜流式タービンホイール。
【請求項8】
前記ハブの背面、又は前記ハブのボス部の少なくとも一方には、切削部からなるアンバランス修正部が形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の斜流式タービンホイール。
【請求項9】
請求項1〜のいずれかに記載の斜流式タービンホイールとコンプレッサホイールとを回転軸で結合した回転体と、
前記回転体を回転可能に支持するベアリングを収容するベアリングハウジングと、を備えることを特徴とするターボカートリッジ。
【請求項10】
請求項1〜8の何れか1項に記載の斜流式タービンホイールのアンバランス修正方法であって、
光センサ装置による検出が可能なマーキングを平坦状のセンサ検出面に施すマーキングステップと、
前記光センサ装置を、前記マーキングが施された平坦状の前記センサ検出面に対面可能に設置するセンサ設置ステップと、を備えることを特徴とする斜流式タービンホイールのアンバランス修正方法。
【請求項11】
前記マーキングが施された前記センサ検出面の屈折率は、前記センサ検出面以外の前記ハブの周面または前記基準動翼の縁部の屈折率と異なることを特徴とする請求項10に記載の斜流式タービンホイールのアンバランス修正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、斜流式タービンホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの燃費改善および排出ガス改善が年々強化されており、その対策として、ターボチャージャを利用したエンジンのタウンサイジング化が進められている。ターボチャージャは、タービンホイールとコンプレッサホイールとを回転軸で結合した回転体と、この回転体を回転可能に支持するベアリングを収容するベアリングハウジングと、からなるカートリッジ(以下、ターボカートリッジ)をその中核部品として備えている。上記のタービンホイールには、半径方向からガスが流入するラジアルタービンホイールや、斜め方向からガスが流入する斜流式タービンホイールがある。そして、エンジンの運転時には、エンジンの排気通路に設置されたタービンホイールが排ガスにより回転駆動されるのに伴い、エンジンの吸気通路に設置されたコンプレッサホイールが回転駆動されることにより、エンジンの吸気を過給する。エンジンの運転時においてターボカートリッジの回転体は高速で回転することから、製造時において回転体に対してアンバランス修正作業を行うことにより、回転体のアンバランスに起因した回転時の振動や、振動に伴う騒音、破損などの防止を図っている。
【0003】
上記のアンバランス修正作業は、通常、コンプレッサホイールやタービンホイールといった回転体の構成部材ごと、および、構成部材で組み立てられる回転体の各々に対して順次行われる。より詳細には、アンバランス修正作業では、構成部品や回転体などの作業対象物を実際に回転させることにより、そのアンバランスの検出を行う。そして、アンバランスを検出した際には作業対象物を削るなどしてバランスを調整する(例えば、特許文献1〜3参照)。例えば、回転体に対しては、アンバランス検出装置によって、両方のホイールの各々をハウジング部材(治具)で覆った状態で、ターボカートリッジを支持する。この状態で、コンプレッサホイールなどに空気を供給して回転体を回転させる。この際、回転体のアンバランスに起因して生じる回転時の振動を振動センサで検出すると共に、同時に回転体の回転数(回転の位相)を検出する。そして、回転体の回転時の振動および位相との関係に基づいて、振動を生じさせている回転体の位相を特定する。その後、バランシングさせるために回転体を削ることになるが、削られる質量とそれに伴う振動の大きさなどの変化の関係は同一型番(製品)のターボカートリッジを用いて予め実験を通して取得しておく。そして、上記の振動信号、位相および効果ベクトル(実験結果)に基づいて、回転体のバランシングに最適な質量や切削位置を含む切削情報を計算し、切削情報に基づいて回転体を削る。
【0004】
このようにアンバランス修正作業では、作業対象物の回転時の回転数を検出する必要がある。例えば、特許文献1には、上記の回転数は、反射型の光センサ装置により作業対象物のセンサ検出面を検出することにより行うことが開示されている。より詳細には、上記のセンサ検出面は、コンプレホイールのボス部の先端部の側面又は背板部の側面に対して傾斜して設けられている。また、光センサ装置は、自ら照射した光がセンサ検出面により反射された反射光を検出することにより回転数(位相)を検出しており、回転するコンプレッサホイールのセンサ検出面が光ンセンサ装置の前を通る時(対面する時)の反射光を検出する。
【0005】
また、特許文献2〜3では、ターボカートリッジのアンバランス修正作業において、回転軸の軸線上においてコンプレッサホイールあるいはタービンホイールの近傍に角度センサ(回転検出器)を配置している。特に、特許文献2のタービンは斜流式タービンであり、角度センサは、コンプレッサの回転部の先端側に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5588085号
【特許文献2】特開2011−21889号公報
【特許文献3】特開2007−183203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
どころで、回転体を構成するホイールや回転体のアンバランス修正のために切削される部位は、ホイールのボス部や背面であるのが一般的である。例えば、特許文献2〜3のように、回転軸の軸線上におけるホイールの先端の近傍に角度センサを設置すると、回転体のボス部を削る際には、加工具に干渉しないように角度センサを移動させる必要性が生じる(特許文献2参照)。
【0008】
また、角度センサにより回転を検出する部位と、アンバランス修正のために切削される部位とが一致する場合には、角度センサにより回転を検出する部位の形状が変化してしまい、角度センサによる回転角度の検出を精度良く行えなくなる恐れがある。この点、特許文献1は、コンプレホイールのボス部の先端部の側面又は背板部の側面を加工することでセンサ検出面が形成されるので、アンバランス修正のためにセンサ検出面が切削されることを回避できる点で有利である。ところが、特許文献1の方法をタービンホイールに適用することを検討すると、タービンホイールはコンプレッサホイールと比べて硬い材料で形成されているため、センサ検出面を形成するための加工がより困難であり、製造コストの増加が予想される。
【0009】
そこで、特に、ラジアルタービンの場合には、子午面視において、回転軸の軸線に平行に形成される動翼の前縁に対してマーキング(研磨あるいは塗料の塗布など)することによりセンサ検出面を形成し、光センサ装置を回転軸の径方向に沿って設置することにより、このセンサ検出面に対面可能に設置する方法が考えられる。ラジアルタービンの動翼の前縁は、光センサ装置による検出が可能な大きさを確保可能な部位であり、また、子午面視において回転軸の軸線に平行に形成されることから光センサ装置の設置も比較的容易となる。しかしながら、斜流式タービンホイールでは、動翼の前縁は、回転軸の軸線と平行に形成されてはおらず、回転軸の中心側の方向に向けて傾斜している。また、光センサ装置は、回転軸の中心側に傾斜するセンサ検出面に近接させつつ対面可能に設置する必要がある。このため、斜流式タービンホイールの動翼の前縁にセンサ検出面を形成する場合には、光センサ装置は前縁よりも回転軸の中央側に設置することになる。ところが、光センサ装置を設置しようとする場所には、ターボカートリッジのベアリングハウジングやアンバランス検出装置が存在するため、光センサ装置を設置するのが困難となる。さらに、タービンホイールが小型であるほど、動翼の前縁といったセンサ検出面としてそのまま利用可能な部位の確保は困難となる。
【0010】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、アンバランス修正作業において、回転体の回転を検出可能な光センサ装置を他との干渉なしに対面させることが可能なセンサ検出面を備える斜流式タービンホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る斜流式タービンホイールは、
回転軸に固定されるハブと、
前記ハブの周面に、周方向に間隔を置いて設けられる複数の動翼であって、前記複数の動翼の各々の前縁が、子午面視において、前記前縁と前記回転軸の軸線との距離がチップ側からハブ側に向かうにつれて小さくなる斜縁部を含むように構成される複数の動翼と、を備える斜流式タービンホイールにおいて、
光センサ装置による検出が可能なマーキングが施された平坦状のセンサ検出面を有し、
前記センサ検出面は、子午面視において、前記回転軸の軸線と前記斜縁部の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度よりも、前記回転軸の軸線と前記センサ検出面の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度の方が小さくなるように、前記ハブの周面または前記複数の動翼のうちの一つである基準動翼の縁部、の少なくとも一方に形成される。
【0012】
上記(1)の構成によれば、センサ検出面の法線は、斜縁部の法線よりも相対的に、回転軸の軸線方向の後縁側(ハブの先端側)に向かって延在することとなる。すなわち、光センサ装置を回転軸の中央側から相対的に離れた場所に設置できるようになる。よって、アンバランス検出装置を用いた斜流式タービンホイールおよび斜流式タービンホイールを備えるターボカートリッジの各々におけるアンバランス修正作業において、アンバランス検出装置やターボカートリッジのベアリングハウジングなどに対して物理的に干渉することなく、斜流式タービンホイールの回転位置を検出するための光センサ装置を、斜流式タービンホイールのセンサ検出面に対面可能に設置することができる。これによって、斜流式タービンホイールの回転数(回転位相)といったアンバランス修正作業に必要となる情報を適切に取得することが可能なセンサ検出面を備える斜流式タービンホイールを提供することができる。
【0013】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記基準動翼の前縁は、子午面視において、前記斜縁部に接続し、且つ、前記回転軸の軸線に対して平行な方向に延在する第1平縁部を含み、
前記センサ検出面は前記第1平縁部に形成される。
上記(2)の構成によれば、センサ検出面は、基準動翼の前縁の端部側(後述するハブ側端やチップ側端)の形状を回転軸の軸線に対して平行に形成(第1平縁部)し、この第1平縁部の厚みを利用することにより形成される。斜流式タービンホイールは、高温の排気ガスに晒されることから硬い材料で形成されるものであり、コンプレッサホイールよりも加工性で劣る。ところが、本発明の斜流式タービンホイールは第1平縁部を有するように基準動翼の前縁が形成されるため、センサ検出面を形成するために例えばハブの周面を掘るといったなどの加工の必要はなく、小型の斜流式タービンホイールにも形成可能である。さらに、基準度翼の前縁の端部側に第1平縁部を形成することで、第1平縁部を備えていない従来の斜流式タービンホイールに対する形状の変更の程度を小さくできる。このため、第1平縁部による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面を容易に形成することができる。
【0014】
また、例えば、動翼の前縁が回転軸の軸線に対して平行となるラジアルタービンホイールにおいてセンサ検出面を前縁に形成する場合には、本発明の斜流式タービンホイールの第1平縁部に形成されたセンサ検出面に対してするのと同様に光センサ装置を設置することができる。つまり、複数種類のタービンホイールに対して、アンバランス修正を行うためのアンバランス検出装置の設備を共有することができ、製造コストの低減を図ることもできる。
【0015】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記基準動翼の前記前縁における前記第1平縁部は、子午面視において、前記前縁のハブ側端を含む位置に形成される。
上記(3)の構成によれば、基準動翼の前縁の端部(ハブ側端)に第1平縁部を形成することによって、第1平縁部による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面を容易に形成することができる。すなわち、前縁のハブ側端と回転軸との距離は前縁のチップ側端と回転軸との距離よりも短く、回転軸のトルクに及ぼす影響は、前縁のハブ側端の方が前縁のチップ側端よりも小さい。また、ハブ側端を含む位置に形成された第1平縁部は、タービンのスクロール部から供給される排ガスの主流の端にあり、排ガスの流れる量が前縁の斜縁部に比べて小さい部分となる。つまり、ハブ側端を含む位置に第1平縁部を形成する場合には、排ガスの流れが存在する位置(流路)から外れるように形成可能である。
【0016】
このため、第1平縁部を形成することによる前縁の形状変更の過給機の性能への影響は、前縁のハブ側端の方が前縁のチップ側端よりも小さい。よって、第1平縁部を前縁のハブ側端に設けることにより、第1平縁部を前縁のチップ側端に設けるよりも、過給機の性能への影響の抑制を図ることができる。また、ハブは、ハブの背面を形成する背板部を有しており、例えば、センサ検出面を第1平縁部および背板部の側面(厚み)を利用して形成する場合には、基準動翼のハブ側端の形状変更の程度をより小さくすることができ、第1平縁部による過給機の性能への影響の抑制をさらに図ることができる。
【0017】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記基準動翼の前記前縁における前記斜縁部は、子午面視において、直線状に形成される。
上記(4)の構成によれば、直線状に形成された斜縁部を有する基準動翼において、その前縁のハブ側の端部(ハブ側端)に第1平縁部を形成することによって、第1平縁部による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面を容易に形成することができる。すなわち、直線状に形成された斜縁部におけるハブ側端に最も近い端での接線と回転軸の軸線とのなす鈍角は、円弧状に形成された斜縁部におけるハブ側端に最も近い端での接線と回転軸の軸線とのなす鈍角よりも大きい。これは、斜縁部におけるハブ側端に最も近い端においては、直線状の斜縁部の方が、円弧状の斜縁部よりも、より緩やかに第1平縁部を接続することが可能であることを意味する。換言すれば、直線状の斜縁部を有する基準動翼においては、その前縁のハブ側端に第1平縁部を形成することで、第1平縁部による形状変更量を抑制することができる。
【0018】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記基準動翼の前記前縁における前記第1平縁部は、子午面視において、前記前縁のチップ側端を含む位置に形成される。
上記(5)の構成によれば、第1平縁部に形成されるセンサ検出面は、基準動翼の前縁のチップ側の端部(チップ側端)に第1平縁部が形成されることにより、第1平縁部がハブ側の端部(ハブ側端)に形成されるよりも、回転軸から離れた位置に設けられることになる。ここで、光センサ装置は、ターボカートリッジの周囲においてアンバランス検出装置によって回転軸から離れた位置で支持される。この際、基準動翼の前縁のチップ側端に第1平縁部が形成されることにより、光センサ装置は、回転軸のより近傍まで光センサ装置9の支持位置から伸ばすことなく、この支持位置により近い位置で設置することができ、光センサ装置をより安定的に容易に設置することができる。
【0019】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記基準動翼の前記前縁における前記斜縁部は、子午面視において、前記前縁のハブ側端とチップ側端とを結ぶ直線に対して凸となる円弧状に形成される。
上記(6)の構成によれば、上記のように円弧状に形成された斜縁部を有する基準動翼において、その前縁のチップ側の端部(チップ側端)に第1平縁部を形成することによって、第1平縁部による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面を容易に形成することができる。すなわち、上記の円弧状の斜縁部を有する前縁のチップ側端は、チップ側端にいくほど、回転軸の軸線に対して平行に近づく位置である。このため、円弧状の斜縁部のハブ側端に第1平縁部を形成するよりも、そのチップ側端に第1平縁部を形成することにより、性能への影響が大きい前縁の形状の形状変更量を最小限に抑制することができる。
【0020】
(7)幾つかの実施形態では、上記(2)〜(6)の構成において、
前記基準動翼の前記前縁における前記回転軸の前記軸線に沿った方向の長さをL、
前記第1平縁部における前記回転軸の前記軸線に沿った方向の長さをLa、
と定義した場合に、
La/Lは、1/3以下である。
上記(7)の構成によれば、第1平縁部による過給機の性能への影響を抑制しつつ、光センサ装置の設置の自由度の増大を図ることができる。
【0021】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記基準動翼の後縁は、子午面視において、直線状となるように形成される第2平縁部を含み、
前記センサ検出面は、前記第2平縁部に形成される。
上記(8)の構成によれば、センサ検出面は、基準動翼の後縁の少なくとも一部を子午面視において直線状となるように形成(第2平縁部)し、この第2平縁部の厚みを利用することにより形成される。これによって、上記(2)と同様に、第1平縁部による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面を容易に形成することができる。また、製造コストの低減を図ることもできる。
【0022】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記基準動翼のシュラウド側縁部は、子午面視において、前記動翼の後縁に接続し、且つ、前記回転軸の軸線に対して平行な方向に延在する第3平縁部を含み、
前記センサ検出面は、前記第3平縁部に形成される。
上記(9)の構成によれば、センサ検出面は、基準動翼のシュラウド側縁部のうちの後縁と接続する部分の形状を回転軸の軸線に対して平行に形成(第3平縁部)し、この第3平縁部の厚みを利用することにより形成される。特に、基準動翼のシュラウド側縁部は、前縁側から後縁側に向かうに従って、回転軸の軸線に対して平行に近くづく部分であり、第3平縁部を備えない斜流式タービンホイールに対する形状の変更が小さい。このため、上記(2)と同様に、第3平縁部による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面を容易に形成することができる。また、製造コストの低減を図ることもできる。
【0023】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記ハブの周面は、
前記ハブの先端に設けられるボス部によって周方向に沿って形成されるボス領域と、
前記複数の動翼が設けられる領域であって、周方向に沿って形成される動翼設置領域と、
前記ボス領域と前記動翼設置領域との間の領域となる中間領域と、を含んで形成されており、
前記センサ検出面は、前記中間領域に形成された平坦面からなる。
上記(10)の構成によれば、センサ検出面は、ハブの周面における動翼設置領域とボス領域との間の中間領域に部分的な平坦面を形成することによって形成される。一般に光センサ装置は、センサ検出面との距離が数mm以内(1〜2mmなど)になるように、センサ検出面に接近させて設置する必要があるところ、中間領域にセンサ検出面を形成することによって、回転軸の回転に伴って回転する動翼との物理的な干渉を回避しつつ、光センサ装置を設置することができる。
【0024】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(10)の構成において、
前記マーキングが施された前記センサ検出面の屈折率は、前記センサ検出面以外の前記ハブの周面または前記基準動翼の縁部の屈折率と異なる。
上記(11)の構成によれば、斜流式タービンホイールに形成されたセンサ検出面の検出を光センサ装置によって行うことができる。
【0025】
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(11)の構成において、
前記ハブの背面、又は前記ハブのボス部の少なくとも一方には、切削部からなるアンバランス修正部が形成されている。
上記(12)の構成によれば、アンバランス修正部はハブの背面やボス部となる。つまり、上述したように、本発明のセンサ検出面は、ハブの周面や基準動翼の縁部に形成されるものであり、アンバランス修正作業によってセンサ検出面を削る必要性が生じるような事態を回避することができる。
【0026】
(13)本発明の少なくとも一実施形態に係るターボカートリッジは、
上記(1)〜(12)のいずれかに記載の斜流式タービンホイールとコンプレッサホイールとを回転軸で結合した回転体と、
前記回転体を回転可能に支持するベアリングを収容するベアリングハウジングと、を備える。
上記(13)の構成によれば、上記(1)と同様な効果を奏する斜流式タービンホイールを備えるターボカートリッジを提供することができる。
【0027】
(14)本発明の少なくとも一実施形態に係る斜流式タービンホイールのアンバランス修正方法は、
回転軸に固定されるハブと、
前記ハブの周面に、周方向に間隔を置いて設けられる複数の動翼であって、前記複数の動翼の各々の前縁が、子午面視において、前記前縁と前記回転軸の軸線との距離がチップ側からハブ側に向かうにつれて小さくなる斜縁部を含むように構成される複数の動翼と、を有する斜流式タービンホイールのアンバランス修正方法であって、
前記斜流式タービンホイールは平坦状のセンサ検出面を有し、
前記センサ検出面は、子午面視において、前記回転軸の軸線と前記斜縁部の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度よりも、前記回転軸の軸線と前記センサ検出面の法線とがなす2つの角度のうちの後縁側の角度の方が小さくなるように、前記ハブの周面または前記複数の動翼のうちの一つである基準動翼の縁部、の少なくとも一方に形成されており、
前記斜流式タービンホイールのアンバランス修正方法は、
光センサ装置による検出が可能なマーキングを平坦状のセンサ検出面に施すマーキングステップと、
前記光センサ装置を、前記マーキングが施された平坦状の前記センサ検出面に対面可能に設置するセンサ設置ステップと、を備える。
【0028】
上記(14)の構成によれば、上記(1)と同様な効果を奏するアンバランス修正方法を提供することができる。
【0029】
(15)幾つかの実施形態では、上記(14)の構成において、
前記マーキングが施された前記センサ検出面の屈折率は、前記センサ検出面以外の前記ハブの周面または前記基準動翼の縁部の屈折率と異なる。
上記(15)の構成によれば、上記(11)と同様な効果を奏するアンバランス修正方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、アンバランス修正作業において、回転体の回転を検出可能な光センサ装置を他との干渉なしに対面させることが可能なセンサ検出面を備える斜流式タービンホイールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に係るターボカートリッジのアンバランス修正作業時に用いられるアンバランス検出装置を模式的に示す図であり、アンバランス検出装置によってターボカートリッジが支持された状態を示す。
図2】本発明の一実施形態に係る斜流式タービンホイールを子午面視で示す模式図であり、センサ検出面は、基準動翼の前縁ハブ側端に位置する第1平縁部に形成される。
図3】本発明の一実施形態に係る斜流式タービンホイールを子午面視で示す模式図であり、センサ検出面は、基準動翼の前縁チップ側端に位置する第1平縁部に形成される。
図4】本発明の一実施形態に係る斜流式タービンホイールを子午面視で示す模式図であり、センサ検出面は基準動翼の後縁に形成される。
図5】本発明の一実施形態に係る斜流式タービンホイールを子午面視で示す模式図であり、センサ検出面は、基準動翼のシュラウド側縁部に位置する第3平縁部に形成される。
図6】本発明の一実施形態に係る斜流式タービンホイールを子午面視で示す模式図であり、センサ検出面はハブの周面の中間領域に形成される。
図7】斜流式タービンホイールの比較例であり、前縁の斜縁部が直線状に形成される。
図8】斜流式タービンホイールの比較例であり、前縁の斜縁部が円弧状に形成される。
図9】本発明の一実施形態に係る斜流式タービンホイールのアンバランス修正方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係るターボカートリッジ5のアンバランス修正作業時に用いられるアンバランス検出装置6を模式的に示す図であり、アンバランス検出装置6によってターボカートリッジ5が支持された状態を示す。
ターボカートリッジ5はターボチャージャの中核部品であり、斜流式タービンホイール1とコンプレッサホイール54とを回転軸4で一体的に結合した回転体51と、回転体51を回転可能に支持するベアリング52bを収容するベアリングハウジング52とで構成される(図1参照)。そして、ターボカートリッジ5が例えば不図示の自動車のエンジンに設置された際には、ターボカートリッジ5は、エンジンの排気通路に設置される斜流式タービンホイール1がエンジンから排出される排ガスにより回転されることによって、回転軸4で同軸に結合されたコンプレッサホイール54がエンジンの吸気通路において回転し、エンジンへの吸気を圧縮するように構成される。
【0034】
他方、アンバランス検出装置6はアンバランス修正作業時において作業対象物を支持するための装置である。図1に示される実施形態では、アンバランス検出装置6は、タービン側ハウジング部材6tおよびコンプレッサ側ハウジング部材6cの2つのハウジング部材によってターボカートリッジ5の両側を挟んで支持している。より詳細には、アンバランス検出装置6は、上記の2つのハウジング部材(6t、6c)の内部にターボカートリッジ5の斜流式タービンホイール1およびコンプレッサホイール54をそれぞれ収容した状態で、支持機構により2つのハウジング部材の少なくとも一方を他方に向けて押圧することで、ターボカートリッジ5を支持している。
【0035】
詳述すると、図1に示される実施形態では、図示されるように、アンバランス検出装置6の支持機構は、コンプレッサ側ハウジング部材6cに接続されるコンプレッサ側支持機構61と、タービン側ハウジング部材6tに接続されるタービン側支持機構62とを備えており、各々の支持機構(61、62)は、ターボカートリッジ5を押圧した際に動かないように工場などの床にそれぞれ固定される。また、支持機構(61、62)は、床面の上方において、これらの2つのハウジング部材(6t、6c)に振動絶縁部材8(例えば、ゴムなどの弾性部材)を介して接続される。また、コンプレッサ側支持機構61に押圧装置71が設けられており、押圧装置71がコンプレッサ側ハウジング部材6cをターボカートリッジ5に向かって押圧するように構成されている。この押圧装置71は、ハウジング部材(6c)に接続される押圧ロッド72と、ハウジング部材(6c)に向けて押圧ロッド72を押し出すピストン装置73とを備えており、ピストン装置73が押圧ロッド72をハウジング部材(6c)に向け押し出すことで、コンプレッサ側ハウジング部材(6c)がターボカートリッジ5に向かって押圧される。この際、押圧装置71、コンプレッサ側ハウジング部材6c、ターボカートリッジ5、タービン側ハウジング部材6t、タービン側支持機構62は、この並びで押圧方向(図1の矢印の方向)に沿って配列されており、押圧装置71による押圧力はこれらの配列によりタービン側支持機構62に伝達される。そして、押圧装置71からの押圧力とタービン側支持機構62からの反力とによってターボカートリッジ5が支持される。なお、押圧ロッド72および、送風機76からの空気をハウジング部材に導くための空気供給配管75は連結部材74によって互いに連結されており、押圧ロッド72の押圧方向への移動に伴って、空気供給配管75も送風機76から伸縮するように移動可能に構成されている。
【0036】
また、図1に示される実施形態では、図示されるように、アンバランス検出装置6は、ベアリングハウジング52に収容されたベアリング52bに潤滑油を供給するための給油配管77を備えている。給油配管77は、タービン側支持機構62の上部から、コンプレッサ側支持機構61の上方まで伸びる支持アーム78の先端側で支持されている。支持アーム78は、給油配管77を鉛直方向に沿って上下に移動することが可能に構成されている。そして、給油配管77を鉛直方向の下方(重力方向)に移動させて、ベアリングハウジング52に形成された給油口57に給油配管77を接続することにより、給油口57を介したベアリング52bへの潤滑油の供給が可能となる。なお、給油配管77は、振動絶縁部材8を介してベアリングハウジング52の給油口57に接続されている。
【0037】
そして、アンバランス修正作業では、アンバランス検出装置6で作業対象物を支持した状態において、エンジンの運転時に排ガスによって回転されるのと同様に作業対象物を回転させることを通して、作業対象物のアンバランスを検出する。具体的には、作業対象物が回転体51の場合には、コンプレッサホイール54あるいは斜流式タービンホイール1のいずれか一方に空気(気体)を供給することで、回転体51を回転させる。図1に示される実施形態では、支持機構の備える空気供給配管75とコンプレッサ側ハウジング部材6cとが振動絶縁部材8を介して接続されており、空気供給配管75を介して、送風機76からの空気をコンプレッサ側ハウジング部材6cに収容されたコンプレッサホイール54に供給するように構成されている。このコンプレッサホイール54の回転に伴って、斜流式タービンホイール1が回転する。なお、他の幾つかの実施形態では、空気供給配管75とタービン側ハウジング部材6tとが接続されることによって、斜流式タービンホイール1に空気を供給し、回転体51を回転させるよう構成しても良い。
【0038】
なお、作業対象物が斜流式タービンホイール1の場合には、アンバランス検出のために、斜流式タービンホイール1が回転軸4とのみ結合された状態で回転される。この場合には、図1に示されたようなアンバランス検出装置6とは異なる他のアンバランス検出装置により、作業対象物を支持しても良い。すなわち、上記の他のアンバランス検出装置6は、斜流式タービンホイール1および回転軸4を回転可能に支持することができれば良く、例えば、上述した2つのハウジング部材(6t、6c)を備えておらず、斜流式タービンホイール1を覆わない状態で支持しつつ、斜流式タービンホイール1に空気を吹き付けることで、斜流式タービンホイール1を回転させるような装置であっても良い。以下、作業対象物を回転体51として図1を用いた説明を続ける。
【0039】
また、アンバランス検出装置6は、検出された回転体51のアンバランスを修正するための切削情報を得るために、回転体51の回転数(位相)を検出するための光センサ装置9を備えている。切削情報は、回転体51(作業対象物)のバランシングに最適な質量や切削位置を含んでおり、アンバランスが検出された際には、切削情報に基づいて回転体51(作業対象物)が削られることになる。また、光センサ装置9は、回転体51(作業対象物)に形成された平坦状のセンサ検出面Sに対面可能に設置される。図1および後述する図2図6に示される実施形態では、図2に示されるように(図3図6では省略)、光センサ装置9は、光を照射する光放射部91および光放射部91が照射した光の反射光を受光するための受光部92を有している。そして、光センサ装置9(光放射部91および受光部92)は、回転体51(作業対象物)が1回転する毎にセンサ検出面Sを通過(対面)するように設置される。また、平状のセンサ検出面Sは、例えば、研磨や塗料の塗布などとなるマーキングが施されており、マーキングが施されたセンサ検出面Sの屈折率は、マーキングが施されていないセンサ検出面S以外の部分の屈折率と異なる。このため、光センサ装置9がセンサ検出面Sに対面している時と、センサ検出面S以外に対面している時とでは、光センサ装置9(受光部92)が受光する反射光に違いが生じる。この反射光の違い(例えば反射光の強度など)に基づいて、光センサ装置9はセンサ検出面Sを検出し、回転数(位相)の検出を行う。光センサ装置9は、例えばファイバセンサであっても良い。なお、光センサ装置9(光放射部91および受光部92)は、センサ検出面Sから1〜2mmなどの所定の検知限界間隔以内まで近づけて設置されるものであり、説明上、図2図6における光センサ装置9およびセンサ検出面Sの間隔と実際の検知限界間隔とは対応しない。
【0040】
次に、本発明の斜流式タービンホイール1について、図2図8を用いて説明する。図2図6は、本発明の一実施形態に係る斜流式タービンホイールを子午面視で示す模式図である。図7図8は、斜流式タービンホイールの比較例である。また、図2では、センサ検出面Sは、基準動翼3sの前縁ハブ側端に位置する第1平縁部33に形成される。図3では、センサ検出面Sは、基準動翼3sの前縁チップ側端に位置する第1平縁部33に形成される。図4では、センサ検出面Sは基準動翼3sの後縁に形成される。図5では、センサ検出面Sは、基準動翼3sのシュラウド側縁部36に位置する第3平縁部37に形成される。また、図6では、センサ検出面Sはハブ2の周面22の中間領域Rmに形成される。一方、図7の比較例は、子午面視において前縁31の斜縁部32が直線状に形成される。また、図8の比較例では、子午面視において前縁31の斜縁部32が円弧状に形成される。以下の説明では、回転軸4の軸線4Lに沿った方向を軸線方向と呼び、回転軸4の軸線4Lと直交する方向を径方向と呼ぶ。また、軸線方向における斜流式タービンホイール1側(紙面の右側)の方向を軸線方向の後縁側と呼び、その反対方向(紙面の左側)を軸線方向の前縁側と呼ぶものとする。
【0041】
図2図8に示されるように、斜流式タービンホイール1は、回転軸4に固定されるハブ2と、ハブ2の周面22に、周方向に間隔を置いて設けられる複数の動翼3と、を備える。より詳細には、ハブ2の周面22は、ハブ2の先端(軸線方向の後縁側の先端)に設けられるボス部23によって周方向に沿って形成されるボス領域Rbと、複数の動翼3が設けられる領域であって、回転軸4の周方向に沿って形成される動翼設置領域Rcと、ボス領域Rbと動翼設置領域Rcとの間の領域となる中間領域Rmと、を含んで形成される(図6参照)。また、上記の動翼設置領域Rcに設けられる動翼3は、斜縁部32を含む前縁31と、後縁34と、前縁31のチップ側端31cおよび後縁34の各々に接続されるシュラウド側縁部36とからなる縁部を有する。上記の前縁31のチップ側端31cは、前縁31の端部(31c、31h)のうち、ハブ2の周面22側に位置する側をハブ側端31hとした時に、このハブ側端31hの反対側の端部を意味する。また、上記の前縁31は、動翼3の縁部のうちの、ターボカートリッジ5がエンジンに設置された際に、タービンのスクロール部(不図示)を通過した排ガスが供給される入口側に位置する部分であり、上記の後縁34は、動翼3の縁部のうちの、排ガスの出口側に位置する部分である。上記のシュラウド側縁部36は、動翼3の縁部のうちの、斜流式タービンホイール1を収容するタービンハウジング(不図示)の内壁に対面する部分である。
【0042】
また、斜流式タービンホイール1が備える複数の動翼3の各々は、複数の動翼3の各々の前縁31が、子午面視において、前縁31と回転軸4の軸線4Lとの距離がチップ側からハブ側に向かうにつれて小さくなる斜縁部32を含むように構成される。また、動翼3の斜縁部32は、子午面視において、直線状に形成されるものと(図2図7参照)、子午面視において、ハブ2と接続される前縁31のハブ側端31hと、チップ側端31cとを結ぶ直線に対して、径方向の回転軸4と離れる向きに凸となる円弧状に形成されるものの2種類がある(図3図6図8参照)。
【0043】
上述した構成を備える斜流式タービンホイール1において、本発明の少なくとも一実施形態に係る斜流式タービンホイール1は、図2図6に示されるように、光センサ装置9による検出が可能なマーキングが施された平坦状のセンサ検出面Sを有する。このセンサ検出面Sは、子午面視において、回転軸4の軸線4Lと斜縁部32の法線32nとがなす2つの角度のうちの後縁側の角度(以下、斜縁角度θr)よりも、回転軸4の軸線4Lとセンサ検出面Sの法線Snとがなす2つの角度のうちの後縁側の角度(以下、センサ検出面角度θs)の方が小さくなるように、ハブ2の周面22または複数の動翼3のうちの一つである基準動翼3sの縁部(31、34、36)、の少なくとも一方に形成される。また、マーキングによって、マーキングが施されたセンサ検出面Sの屈折率は、センサ検出面S以外のハブ2の周面22または基準動翼3sの縁部の屈折率と異なっている。また、上記の基準動翼3sは、センサ検出面Sが形成されることになる動翼3であり、複数の動翼の中の任意の1つの動翼でも良いし、基準動翼3sとして1以上の動翼が選択されても良い。
【0044】
詳述すると、一般的に、斜流式タービンホイール1の斜縁部32は、斜縁部32が直線状あるいは円弧状の形状にかかわらず、斜縁部32の法線32nが回転軸4の軸線4Lの直交線に対してボス部23が位置する側の反対側に傾くように形成される。このため、斜縁角度θrは90度よりも大きい鈍角となる(図2図8参照)。ここで、光センサ装置9は、センサ検出面Sの法線32nの伸びる方向に沿って、センサ検出面Sに対して検知限界間隔以内に近接させて対面可能に設置させる必要がある。また、一般的に、アンバランスの修正のために切削されるのはボス部23や斜流式タービンホイール1の背面24(背板部)であり、センサ検出面Sは、アンバランスの修正のために切削される可能性のある部位とは異なる位置であることが望ましいと、本発明の発明者らは考えた。このため、例えば、比較例として図7で示す直線状の斜縁部32を有する斜流式タービンホイール1に対しては、斜縁部32の一部をセンサ検出面Sとして利用とすることが考えられる。
【0045】
ところが、この斜縁部32の法線32nが伸びる方向には、図1に示されるように、ターボカートリッジ5のベアリングハウジング52や、アンバランス検出装置6(例えば、図1では、上述した給油配管77や空気供給配管75)が存在する。つまり、ターボカートリッジ5のベアリングハウジング52やアンバランス検出装置6などに干渉するため、光センサ装置9の設置が困難である。また、比較例として図8で示すように、斜縁部32が円弧状の形状をしている場合には、そもそも、斜縁部32をセンサ検出面Sとして利用することが困難である。また、斜流式タービンホイール1に対して、その他の部位をセンサ検出面Sとして利用した例はない。
【0046】
このような状況の中で、本発明の発明者らは、鋭意検討により、斜縁角度θrよりもセンサ検出面角度θsの方が小さくなるように、ハブ2の周面22の形状、または、基準動翼3sの縁部の形状を修正することにより、ハブ2の周面22または基準動翼3sの縁部にセンサ検出面Sを形成するとの着想に至った。これによって、ターボカートリッジ5のベアリングハウジング52や、アンバランス検出装置6に干渉することなく、光センサ装置9を設置することが可能となる。後述する図2図6に示される実施形態のように、センサ検出面角度θsは、90度あるいは90度以下が好ましい(θs≦90度)。この方向に設置することで、アンバランス検出装置6に干渉することなく、より確実に光センサ装置9を設置することが可能となる。また、通常、動翼3の形状は、要求性能を満たすことができるように決定されるものであるが、後述する図2図6を用いて説明するように、基準動翼3sの形状修正による性能への影響を抑制する部位にセンサ検出面Sを形成する。
【0047】
上記の構成によれば、センサ検出面Sの法線Snは、斜縁部32の法線よりも相対的に、回転軸4の軸線方向の後縁側(ハブ2の先端側)に向かって延在することとなる。すなわち、光センサ装置9を回転軸4の中央側から相対的に離れた場所に設置できるようになる。よって、アンバランス検出装置6を用いた斜流式タービンホイール1および斜流式タービンホイール1を備えるターボカートリッジ5の各々におけるアンバランス修正作業において、アンバランス検出装置6に対して物理的に干渉することなく、斜流式タービンホイール1の回転位置を検出するための光センサ装置9を、斜流式タービンホイール1のセンサ検出面Sに対面可能に設置することができる。これによって、斜流式タービンホイール1の回転数(回転位相)といったアンバランス修正作業に必要となる情報を適切に取得することが可能なセンサ検出面Sを備える斜流式タービンホイール1を提供することができる。
【0048】
次に、斜流式タービンホイール1に形成されるセンサ検出面Sに関する幾つかの実施形態について、図2図6を用いて説明する。
【0049】
幾つかの実施形態では、図2図3に示されるように、基準動翼3sの前縁31は、子午面視において、斜縁部32に接続し、且つ、回転軸4の軸線に対して平行な方向に延在する第1平縁部33を含み、センサ検出面Sは第1平縁部33に形成される。換言すれば、基準動翼3sの前縁31は、斜縁部32と第1平縁部33とによって形成される。本実施形態では、図2図3に示されるように、第1平縁部33は、子午面視において、回転軸4の軸線4Lに対して平行であることから、上述したセンサ検出面角度θsは90度となる。他方、上述したように、斜縁角度θrは90度よりも大きい。このため、斜縁角度θrよりもセンサ検出面角度θsの方が小さい(θr>θs)。
【0050】
上記の構成によれば、センサ検出面Sは、基準動翼3sの前縁31の端部側の形状を回転軸4の軸線4Lに対して平行に形成(第1平縁部33)し、この第1平縁部33の厚みを利用することにより形成される。斜流式タービンホイール1は、高温の排気ガスに晒されることから硬い材料で形成されるものであり、コンプレッサホイール54よりも加工性で劣る。ところが、本発明の一実施形態に係る斜流式タービンホイール1は第1平縁部33を有するように基準動翼3sの前縁31が形成されるため、センサ検出面Sを形成するために例えばハブ2の周面22を掘るなどの加工の必要はなく、小型の斜流式タービンホイール1にも形成可能である。さらに、基準度翼の前縁31の端部側に第1平縁部33を形成することで、第1平縁部33を備えていない従来の斜流式タービンホイール1に対する形状の変更の程度を小さくできる。このため、第1平縁部33による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面Sを容易に形成することができる。
【0051】
また、例えば、動翼3の前縁31が回転軸4の軸線4Lに対して平行となるラジアルタービンホイールにおいてセンサ検出面Sを前縁31に形成する場合には、本発明の斜流式タービンホイール1の第1平縁部33に形成されたセンサ検出面Sに対してするのと同様に光センサ装置9を設置することができる。つまり、複数種類のタービンホイールに対して、アンバランス修正を行うためのアンバランス検出装置6の設備を共有することができ、製造コストの低減を図ることもできる。
【0052】
この第1平縁部33に関する実施形態についてより具体的に説明すると、幾つかの実施形態では、図2に示されるように、センサ検出面Sが形成される基準動翼3sの前縁31における第1平縁部33は、子午面視において、前縁31のハブ側端31hを含む位置に形成される。つまり、第1平縁部33は、前縁31のハブ側端31hを形成する。通常、前縁31のハブ側端31hと回転軸4(例えば軸線4L)との距離d1は前縁31のチップ側端31cと回転軸4との距離d2よりも短く、このため、回転軸4のトルクに及ぼす影響は、前縁31のハブ側端31hの方がチップ側端31cよりも小さい。また、ハブ側端31hを含む位置に形成された第1平縁部33は、タービンのスクロール部(不図示)から供給される排ガスの主流の端の方にあり、排ガスの流れる量が前縁31の斜縁部32に比べて小さい部分となる。つまり、ハブ側端31hを含む位置に第1平縁部33を形成する場合には、排ガスの流れが存在する位置(流路)から外れるように形成可能である。
【0053】
上記の構成によれば、基準動翼3sの前縁31のハブ側端31hに第1平縁部33を形成することによって、第1平縁部33による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面Sを容易に形成することができる。また、ハブ2は、ハブ2の背面24を形成する背板部を有しており、例えば、センサ検出面Sを第1平縁部33および背板部の側面(厚み)を利用して形成する場合には、基準動翼3sのハブ側端の形状変更(斜縁部32による傾斜する形状から回転軸4の軸線4Lに平行となる形状への変更)の程度をより小さくすることができ、第1平縁部33による過給機の性能への影響の抑制をさらに図ることができる。
【0054】
また、特に、図2に示される実施形態では、図示されるように、基準動翼3sの前縁31における斜縁部32は、子午面視において、直線状に形成される。つまり、子午面視において、ハブ側端31hを含む位置に形成された第1平縁部33は、チップ側端31cを含む直線状の斜縁部32に接続されている。このように、直線状に形成された斜縁部32を有する基準動翼3sにおいて、その前縁31のハブ側端31hに第1平縁部33を形成することによって、第1平縁部33による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面Sを容易に形成することができる。つまり、直線状に形成された斜縁部32におけるハブ側端31hに最も近い端での接線と回転軸4の軸線4Lとのなす鈍角は、円弧状に形成された斜縁部32におけるハブ側端31hに最も近い端での接線と回転軸4の軸線4Lとのなす鈍角よりも大きい。これは、ハブ側端31hを形成する第1平縁部33に接続する際に、直線状に形成された斜縁部32の方が、円弧状に形成された斜縁部32よりも、より滑らかに接続すること可能であることを意味する。換言すれば、直線状の斜縁部32を有する基準動翼3sにおいては、その前縁31のハブ側端31hに第1平縁部33を形成することで、第1平縁部33による形状変更量を抑制することができる。
なお、他の幾つかの実施形態においては、ハブ側端31hを形成する第1平縁部33と、円弧状に形成された斜縁部32とによって、前縁31が形成されていても良い。
【0055】
他方、第1平縁部33に関する他の幾つかの実施形態では、図3に示されるように、センサ検出面Sが形成される基準動翼3sの前縁31における第1平縁部33は、子午面視において、前縁31のチップ側端31cを含む位置に形成される。
上記の構成によれば、第1平縁部33に形成されるセンサ検出面Sは、基準動翼3sの前縁31のチップ側端31cに第1平縁部33が形成されることにより、第1平縁部33がハブ側端31hに形成されるよりも、回転軸4から離れた位置に設けられることになる。ここで、光センサ装置9は、ターボカートリッジ5の周囲においてアンバランス検出装置6によって回転軸4から離れた位置で支持される。この際、基準動翼3sの前縁31のチップ側端31cに第1平縁部33が形成されることにより、光センサ装置9は、回転軸4のより近傍まで光センサ装置9の支持位置から伸ばすことなく、この支持位置により近い位置で設置することができ、光センサ装置9をより安定的に容易に設置することができる。
【0056】
また、特に、図3に示される実施形態では、図示されるように、基準動翼3sの前縁31における斜縁部32は、子午面視において、前縁31のハブ側端31hとチップ側端31cとを結ぶ直線に対して凸となる円弧状に形成される。つまり、子午面視において、チップ側端31cを含む位置に形成された第1平縁部33は、ハブ側端31hを含む円弧状の斜縁部32に接続されている。また、斜縁部32が円弧状の場合には、円弧状の斜縁部32のいずれの位置においても、斜縁部32の法線32nは90度よりも大きい。これによって、第1平縁部33による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面Sを容易に形成することができる。つまり、円弧状に形成された斜縁部32におけるチップ側端31cに最も近い端での接線は、直線状に形成された斜縁部32におけるチップ側端31cに最も近い端での接線よりも、回転軸4の軸線4Lに対する角度は小さくなる。このため、チップ側端31cを形成する第1平縁部33に接続する際に、円弧状に形成された斜縁部32の方が、直線状に形成された斜縁部32よりも、より滑らかに接続することができる。
なお、他の幾つかの実施形態において、チップ側端31cを形成する第1平縁部33と、直線状に形成された斜縁部32とによって、前縁31が形成されていても良い。
【0057】
また、幾つかの実施形態では、図2図3に示されるように、子午面視において、基準動翼3sの前縁31における回転軸4の軸線4Lに沿った方向の長さをL、第1平縁部33における回転軸4の軸線4Lに沿った方向の長さをLa、と定義した場合に、La/Lは、1/3以下である(3La≦L)。この条件を満たすように第1平縁部33を形成することにより、過給機の要求性能を満たしつつ、第1平縁部33を形成することができる。より好ましくは、例えばLa/Lは1/5以下など、La/Lがより小さい方が、第1平縁部33の形成に伴う性能への影響が小さくなるため好ましい。ただし、Laは、光センサ装置9による検出が可能な検出限界長以上である必要がある。
上記の構成によれば、第1平縁部33による過給機の性能への影響を抑制しつつ、光センサ装置の設置の自由度の増大を図ることができる。
【0058】
また、他の幾つかの実施形態では、図4に示されるように、基準動翼3sの後縁34は、子午面視において、直線状となるように形成される第2平縁部35を含み、センサ検出面Sは、第2平縁部35に形成される。図4に示されるように、動翼3の後縁34に形成される第2平縁部35の法線(センサ検出面Sの法線Sn)は、上述した軸線方向の後縁側(ボス部23がある側)に延びるため、上述したセンサ検出面角度θsは90度よりも小さい。他方、上述したように、斜縁角度θrは90度よりも大きい。このため、斜縁角度θrよりもセンサ検出面角度θsの方が小さい(θr>θs)。図4に示される実施形態では、動翼3の後縁34のうちの、シュラウド側縁部36との接続箇所に近い位置にセンサ検出面Sが形成されている。ただし、第2平縁部35の位置は図4の位置に限定されず、後縁34のいずれかの位置に形成されていれば良い。一般に、動翼3の後縁34の形状変更に対する過給機の性能への影響は小さい。よって、第2平縁部35を前縁のハブ側端に設けることにより、基準動翼3sの後縁34の厚みを利用して、斜縁角度θrよりもセンサ検出面角度θsの方が小さくなるように、第2平縁部35によってセンサ検出面Sを形成することができる。
【0059】
また、その他の幾つかの実施形態では、図5に示されるように、基準動翼3sのシュラウド側縁部36は、子午面視において、動翼3の後縁34に接続し、且つ、回転軸4の軸線4Lに対して平行な方向に延在する第3平縁部37を含み、センサ検出面Sは、第3平縁部37に形成される。図5に示されるように、第3平縁部37は、子午面視において、回転軸4の軸線4Lに対して平行であることから、上述したセンサ検出面角度θsは90度となる。他方、上述した斜縁角度θrは90度よりも大きい。このため、斜縁角度θrよりもセンサ検出面角度θsの方が小さい(θr>θs)。
【0060】
上記の構成によれば、センサ検出面Sは、基準動翼3sのシュラウド側縁部36のうちの後縁34と接続する部分の形状を回転軸4の軸線4Lに対して平行に形成(第3平縁部37)し、この第3平縁部37の厚みを利用することにより形成される。これによって、斜縁角度θrよりもセンサ検出面角度θsの方が小さくなり、アンバランス修正作業において、アンバランス検出装置に対して物理的に干渉することなく、斜流式タービンホイールの回転位置を検出するための光センサ装置を設置することができる。特に、基準動翼3sのシュラウド側縁部36は、前縁31側から後縁34側に向かうに従って、回転軸4の軸線4Lに対して平行に近くづく部分であり、第3平縁部37を備えていない従来の斜流式タービンホイールに対する形状の変更の程度を小さくできる。このため、第3平縁部37による過給機の性能への影響を抑制しつつ、センサ検出面Sを容易に形成することができる。
【0061】
また、その他の幾つかの実施形態では、図6に示されるように、センサ検出面Sは、ハブ2の周面22の中間領域Rmに形成された平坦面からなる。通常、ハブ2の周面22は、回転軸4の周方向に沿った曲面である。このため、本実施形態では、ハブ2の周面22の中間領域Rmの一部を平坦状に加工するなどして、平坦状のセンサ検出面Sを形成する必要がある。また、上述したように、ハブ2の周面22は、ボス領域Rb、動翼設置領域Rcおよび中間領域Rmを含む。このうち、ボス領域Rbは、アンバランス修正のために削られる可能性のある部分あることから、上述した切削情報に従ってボス部23を削った際に、平坦状のセンサ検出面Sが削られてしまう可能性がある。そして、センサ検出面Sが削られることにより、光センサ装置9による回転数の検出ができなくなると、その後のバランス作業に支障が生じる可能性がある。一方、動翼設置領域Rcには、上述した光センサ装置9の上記の検知限界間隔を超えて動翼3が径方向に延びるように設けられており、回転時に動翼3と干渉(衝突)するため、光センサ装置9を設置することが困難である。このため、ハブ2の周面22の中間領域Rmがセンサ検出面Sを形成するのに適した領域となる。
【0062】
上記の構成によれば、センサ検出面Sは、ハブ2の周面22における動翼設置領域Rcとボス領域Rbとの間の中間領域Rmに部分的な平坦面を形成することによって形成される。一般に光センサ装置9は、センサ検出面Sとの距離が数mm以内(1〜2mmなど)になるように、センサ検出面Sに接近させて設置する必要があるところ、中間領域Rmにセンサ検出面Sを形成することによって、回転軸4の回転に伴って回転する動翼3との干渉を回避しつつ、光センサ装置を設置することができる。
【0063】
なお、上述した実施形態では、第1平縁部33(図2図3参照)、第2平縁部35(図4参照)、第3平縁部37(図5参照)は複数の動翼の各々に形成されている。ただし、この実施形態には限定されず、他の幾つかの実施形態では、基準動翼3sとなる1つの動翼3にのみ第1平縁部33や第2平縁部35、第3平縁部37を形成しても良い。その他の幾つかの実施形態では、全ての動翼3に第1平縁部33や第2平縁部35、第3平縁部37が形成されても良い。
【0064】
また、幾つかの実施形態では、ハブ2の背面24、又はハブ2のボス部23の少なくとも一方には、切削部からなるアンバランス修正部が形成されている。つまり、切削により切削部が形成され、また、1以上の切削部(切削箇所)を総称したものがアンバランス修正部となる。上記の構成によれば、アンバランス修正部はハブ2の背面24やボス部23となる。つまり、センサ検出面Sは、ハブ2の周面22や基準動翼3sの縁部に形成されるものであり、アンバランス修正作業によってセンサ検出面Sを削る必要性が生じるような事態を回避することができる。
【0065】
以下、本発明の一実施形態に係る上述した斜流式タービンホイール1のアンバランス修正方法について、図9を用いて説明する。図9は、本発明の一実施形態に係る斜流式タービンホイール1のアンバランス修正方法を示す図である。このアンバランス修正方法は、上述した斜流式タービンホイール1(図2図6参照)を備えるターボカートリッジ5の回転体51のアンバランス修正に対して適用されても良いし、ターボカートリッジ5を組み立てられる前の回転軸4に接続された斜流式タービンホイール1(図2図6参照)に対して適用されても良い。
そして、図9に示されるように、斜流式タービンホイール1のアンバランス修正方法は、マーキングステップ(図9のS1)と、光センサ設置ステップ(図9のS3)と、を備える。以下、アンバランス修正作業の作業対象物がターボカートリッジ5の回転体51であるものとして、斜流式タービンホイール1のアンバランス修正方法を図9の各ステップに沿って説明する。
【0066】
図9のステップS1において、マーキングステップを実行する。マーキングステップは、光センサ装置9による検出が可能なマーキングを平坦状のセンサ検出面Sに施すステップである。具体的には、センサ検出面Sは、上述した第1平縁部33(図2図3)、第2平縁部35(図4)、第3平縁部37(図5)に形成されており、本ステップによって、これらの部位にマーキングが施される。なお、上述したように、センサ検出面Sは、子午面視において、回転軸4の軸線4Lと斜縁部32の法線32nとがなす2つの角度のうちの後縁34側の角度よりも、回転軸4の軸線4Lとセンサ検出面Sの法線Snとがなす2つの角度のうちの後縁34側の角度の方が小さくなるように、ハブ2の周面22または複数の動翼3のうちの一つである基準動翼3sの縁部(31、34、36)、の少なくとも一方に形成される。
【0067】
図9に示される実施形態では、ステップS2において、支持ステップが実行される。支持ステップは、アンバランス検出装置6により、ターボカートリッジ5を回転軸4の軸線方向の両側から挟んで支持するステップである。
【0068】
ステップS3において、センサ設置ステップが実行される。センサ設置ステップは、光センサ装置9を、マーキングが施された平坦状のセンサ検出面Sに対面可能に設置するステップである。例えば、平坦状のセンサ検出面Sの法線Snと、光センサ装置9の法線(光放射部91の光照射面91sの法線、および、受光部92の受光面92sの法線)とがそれぞれ可能な範囲で一致するようにするなど、光センサ装置9がセンサ検出面Sを検出することができるように、光センサ装置9を設置する。このように両者が対面可能に設置することで、斜流式タービンホイール1の回転に伴って回転するセンサ検出面Sは、光センサ装置9の通過時となる1回転における1時期だけ両者が対面し、光センサ装置9は、この対面時(通過時)にセンサ検出面Sを検出する。なお、この際、上述した切削情報を得るのに必要となる振動センサを例えば、タービン側ハウジング部材6tやターボカートリッジ5のベアリングハウジング52などに設置しても良い。
【0069】
ステップS4において、回転体51などの作業対象物を回転させる回転ステップが実行される。例えば、図1に示されるアンバランス検出装置6では、上述したように、タービン側ハウジング部材6tあるいはコンプレッサ側ハウジング部材6cに対して送風機76の空気を供給して、回転体51を回転させる。
【0070】
ステップS5において、センサ検出ステップが実行される。具体的には、光センサ装置9を用いて、回転体51などの作業対象物の回転数(位相)を検出すると共に、これと同時に、振動センサ(不図示)により、作業対象物のアンバランスに起因して生じる振動の振動信号を検出する。これによって、作業対象物の回転時の振動信号と位相との関係に基づいて振動を生じさせている作業対象物の位相を特定することが可能となる。
【0071】
ステップS6において、切削情報を算出する切削情報算出ステップが実行される。切削情報は、上記のセンサ検出ステップ(S5)で検出した信号に基づいて算出される、作業対象物のバランシングに最適な質量や位置を含む情報である。アンバランス修正作業では、この切削情報に基づいて作業対象物を削ることによりアンバランスの修正を行う。この切削情報は、振動センサで検出した振動信号と、回転体51の位相と、効果ベクトルとを用いて算出される。効果ベクトルは、削られる質量とそれに伴う振動の大きさなどの変化の関係を示す情報であり、アンバランス修正作業中のターボカートリッジ5と同一の製品に対して予め実験することにより取得される上述したように、斜流式タービンホイール1においては、ハブ2のボス部23または背面24(背板部)が削られることにより切削部(アンバランス修正部)が形成されることになる。
【0072】
以上、本発明の一実施形態に係る斜流式タービンホイール1およびそのアンバランス修正方法を説明した。本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
なお、図4図6の斜流式タービンホイール1では、いずれも、子午面視において斜縁部32は直線状に形成されているが、これは単なる例示であり、図4図6に示される実施形態において、斜縁部32は円弧状に形成されていても良い。
【符号の説明】
【0073】
1 斜流式タービンホイール
2 ハブ
22 周面
23 ボス部
24 背面
3 動翼
31 前縁
31c チップ側端
31h ハブ側端
32 斜縁部
32n 斜縁部の法線
33 第1平縁部
34 後縁
35 第2平縁部
36 シュラウド側縁部
37 第3平縁部
3s 基準動翼
4 回転軸
4L 軸線
5 ターボカートリッジ
51 回転体
52 ベアリングハウジング
52b ベアリング
54 コンプレッサホイール
57 給油口
6 アンバランス検出装置
6c コンプレッサ側ハウジング部材
6t タービン側ハウジング部材
61 コンプレッサ側支持機構
62 タービン側支持機構
71 押圧装置
72 押圧ロッド
73 ピストン装置
74 連結部材
75 空気供給配管
76 送風機
77 給油配管
78 支持アーム
8 振動絶縁部材
9 光センサ装置
91 光放射部
91s 光照射面
92 受光部
92s 受光面

S センサ検出面
Sn センサ検出面の法線
d1 回転軸の軸線と前縁のハブ側端との距離
d2 回転軸の軸線と前縁のチップ側端との距離
Rb ボス領域(ハブの周面)
Rc 動翼設置領域(ハブの周面)
Rm 中間領域(ハブの周面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9