特許第6773797号(P6773797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビトロ フラット グラス エルエルシーの特許一覧

特許6773797寒い気候における窓のための低放射率被覆
<>
  • 特許6773797-寒い気候における窓のための低放射率被覆 図000009
  • 特許6773797-寒い気候における窓のための低放射率被覆 図000010
  • 特許6773797-寒い気候における窓のための低放射率被覆 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773797
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】寒い気候における窓のための低放射率被覆
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/36 20060101AFI20201012BHJP
   E06B 3/66 20060101ALI20201012BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20201012BHJP
   B32B 15/04 20060101ALI20201012BHJP
   B32B 15/00 20060101ALI20201012BHJP
   B32B 17/06 20060101ALI20201012BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   C03C17/36
   E06B3/66 E
   B32B7/023
   B32B15/04 B
   B32B15/00
   B32B17/06
   G02B5/00 Z
【請求項の数】14
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2018-545275(P2018-545275)
(86)(22)【出願日】2016年8月26日
(65)【公表番号】特表2019-509245(P2019-509245A)
(43)【公表日】2019年4月4日
(86)【国際出願番号】US2016048913
(87)【国際公開番号】WO2017146770
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2018年10月23日
(31)【優先権主張番号】62/299,036
(32)【優先日】2016年2月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/240,437
(32)【優先日】2016年8月18日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518301590
【氏名又は名称】ビトロ フラット グラス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー、アンドリュー ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブキャナン、マイケル ジェイ.
【審査官】 山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/190111(WO,A1)
【文献】 特表2016−538229(JP,A)
【文献】 特開2016−041651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 17/36
B32B 7/023
B32B 15/00
B32B 15/04
B32B 17/06
E06B 3/66
G02B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低放射率被覆であって、前記低放射率被覆は、
亜鉛及び錫の酸化物を備える第1の位相調節層と、
前記第1の位相調節層の上に配置され、幾何学的厚さを6nm〜8nmの範囲で有する銀を備える第1の金属機能層と
前記第1の金属機能層の上に配置されている第1の下塗層と、
前記第1の下塗層の上に配置され、光学的厚さを155nm〜178nmの範囲で有する亜鉛及び錫の酸化物を備える第2の位相調節層と、
前記第2の位相調節層の上に配置され、幾何学的厚さを8nm〜10nmの範囲で有する銀を備える第2の金属機能層と
前記第2の金属機能層の上に配置されている第2の下塗層と、
前記第2の下塗層の上に配置されている第3の位相調節層と、
前記第3の位相調節層の上に配置されている保護層と
を備え
前記低放射率被覆は、少なくとも0.4の基準IGUの夏季/昼間のSHGCと、0.4BTU/hr−ft−°Fでしかない基準IGUの冬季/夜間のU値とを提供する、低放射率被覆。
【請求項2】
前記低放射率被覆は、2つだけの金属機能層を含む、請求項1に記載の低放射率被覆。
【請求項3】
前記第1の金属機能層は、前記第2の金属機能層よりも薄い、請求項1に記載の低放射率被覆。
【請求項4】
前記第1の金属機能層は、幾何学的厚さを6.5nm〜7.5nmの範囲で有する、請求項1に記載の低放射率被覆。
【請求項5】
前記第2の金属機能層は、幾何学的厚さを8.5nm〜9.5nmの範囲で有する、請求項1に記載の低放射率被覆。
【請求項6】
前記低放射率被覆は、放射率を0.04〜0.06の範囲で有する、請求項1に記載の低放射率被覆。
【請求項7】
前記低放射率被覆は、基準IGUのSHGCを0.4〜0.65の範囲で提供する、請求項1に記載の低放射率被覆。
【請求項8】
前記被覆は、焼き戻しした被覆である、請求項1に記載の低放射率被覆。
【請求項9】
前記被覆は、焼き戻ししていない被覆である、請求項1に記載の低放射率被覆。
【請求項10】
学的厚さを84nm〜103nmの範囲で有する第1の位相調節層と
学的厚さを55nm〜68nmの範囲で有する亜鉛及び錫の酸化物を備える第3の位相調節層と
学的厚さを10.5nm〜13nmの範囲で有する保護層と
を備える、請求項1に記載の低放射率被覆。
【請求項11】
断熱ガラスユニットであって、前記断熱ガラスユニットは、
複数のガラス重ねと、
前記ガラス重ねのうちの少なくとも1つの主表面上に配置される低放射率被覆であって、前記低放射率被覆は、
亜鉛及び錫の酸化物を備える第1の位相調節層、
前記第1の位相調節層の上に配置され、幾何学的厚さを6nm〜8nmの範囲で有する銀を備える第1の金属機能層、
前記第1の金属機能層の上に配置されている第1の下塗層、
前記第1の下塗層の上に配置され、光学的厚さを155nm〜178nmの範囲で有する亜鉛及び錫の酸化物を備える第2の位相調節層、
前記第2の位相調節層の上に配置され、幾何学的厚さを8nm〜10nmの範囲で有する銀を備える第2の金属機能層、
前記第2の金属機能層の上に配置されている第2の下塗層、
前記第2の下塗層の上に配置されている第3の位相調節層、及び、
前記第3の位相調節層の上に配置されている保護層
を備える、低放射率被覆と
を備え、
前記低放射率被覆は、少なくとも0.4の基準IGUの夏季/昼間のSHGCと、0.4BTU/hr−ft−°Fでしかない基準IGUの冬季/夜間のU値とを提供する、断熱ガラスユニット。
【請求項12】
前記低放射率被覆は2つだけの金属機能層を含む、請求項11に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項13】
前記第1の金属機能層は、前記第2の金属機能層よりも薄い、請求項11に記載の断熱ガラスユニット。
【請求項14】
3番目の表面に前記低放射率被覆を伴う二重断熱ガラスユニットと、5番目の表面に前記低放射率被覆を伴う三重断熱ガラスユニットとから成る群から選択される、請求項11に記載の断熱ガラスユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年2月24日に出願された米国仮特許出願第62/299,036号への優先権を主張し、この仮特許出願は本明細書において参照によりその全体において組み込まれている。
【0002】
本発明は、大きい日射熱取得率(SHGC:solar heat gain coefficient)と、小さい総括伝熱係数(U値)とを有する低放射率被覆に関する。被覆は、断熱ガラスユニット(IGU:insulating glass unit)にとって特に有用である。
【背景技術】
【0003】
従来の建築用の窓ガラスは熱的な放射性が高い。太陽エネルギーはこのようなガラスを容易に通過してしまう。太陽エネルギーの通過を低減するために、低放射率被覆がガラスに施されている。低放射率被覆は、放射赤外線(IR)エネルギーの放出、特には、熱赤外線エネルギーの放出を低減させる熱障壁として作用する。放射率が小さくなるにつれて、被覆は熱IRエネルギーの放出をより良好に遮蔽する。
【0004】
日射熱取得率(SHGC)は、窓が太陽熱をどれだけ良好に遮蔽するかの評価尺度である。SHGCが小さくなるにつれて、太陽熱がより多く遮蔽され、つまり、建物の内部での太陽熱の蓄積がより小さくなる。
【0005】
総括伝熱係数(U値)は、窓を通じた熱損失の評価尺度である。U値が小さくなるにつれて、窓を通じた伝熱がより小さくなり、つまり、窓の断熱レベルがより大きくなる。
【0006】
建築用の窓のための従来の低放射率被覆は、典型的には、小さいSHGCと小さいU値とを提供するために設計されている。小さいSHGCは、窓を通過して構造体の中へと入る太陽エネルギー、特には、太陽赤外線エネルギーを遮蔽する。これらの従来の低放射率被覆は、夏季において空調コストを抑えるのを助け、温暖な気候及び暑い気候に良好に適合されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらの従来の低放射率被覆は、冬が長く夏が短い気候、又は、長期間の非常に寒い天気のある気候など、寒い気候には良好に適合されていない。寒い気候では、短い夏の数カ月の間の空調コストを低減することについての関心は、1年間の残りの間に建物を加熱することについての関心よりはるかに小さい。寒い気候のために、小さいU値を維持しつつ従来の低放射率被覆より大きいSHGCを提供する低放射率被覆を提供することは、望ましいと思われる。小さいU値は建物の内部の熱を保持するのを助ける、一方、大きいSHGCは、建物の内部を加熱するためにより多くの太陽熱を建物内へと通過させることができる。任意選択で、このような低放射率被覆が大きな可視光透過率を有することは、望ましいと思われる。大きな可視光透過率は、より多くの光を建物に入らせることができ、電灯及び人工的な照明の必要性を低下させる。任意選択で、このような低放射率被覆が、住宅市場及び商業市場の需要を満たすための望ましい美観を有することは、望ましいと思われる。これらの市場は、様々な異なる建物の色で使用できながら、なおも美観的に心地よい無彩色を望む傾向がある。任意選択で、このような被覆が、被覆へと向けられる太陽の紫外線(UV)放射の少なくとも一部を遮蔽する場合、望ましいと思われる。太陽のUV放射は、家具を損なう可能性があり、色あせを引き起こす可能性がある。任意選択で、このような被覆が長波長の太陽IRエネルギーの少なくとも一部を遮蔽することも、望ましいと思われる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
低放射率被覆は、複数の位相調節層と、第1の金属機能層と、第1の金属機能層にわたって配置されると共に第1の金属機能層から離間される第2の金属機能層とを備え、低放射率被覆は、少なくとも0.4の基準IGUの夏季/昼間のSHGCと、2.27ワット/平方メートル−絶対温度(W/m2K)(0.4英熱単位/時間−平方フィート−華氏温度(BTU/hr−ft−°F))より大きくない基準IGUの冬季/夜間のU値とを提供する。
【0009】
第2の金属機能層の幾何学的厚さによって除算された第1の金属機能層の幾何学的厚さの割合が、0.6〜1の範囲など、0.6〜2の範囲にある。
【0010】
IGUは、低放射率被覆を有する基板を備える。
【0011】
本発明は、全体を通じて同様の参照番号が同様の部品を特定している以下の図面を参照して説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の低放射率被覆を有するモノリシック透明体の形態での被覆された物品の側面図(一定の縮尺でない)である。
図2】二重断熱ガラスユニット(IGU)へと組み込まれた図1の被覆の側面図(一定の縮尺でない)である。
図3】三重断熱ガラスユニット(IGU)へと組み込まれた図1の被覆の側面図(一定の縮尺でない)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上方」、「下方」などの空間又は方向の用語は、図面に示されているようにして本発明に関連する。しかしながら、本発明は、様々な代替の向きを取ることができ、したがって、このような用語は限定するようにみなされるべきものではない。
【0014】
明細書及び特許請求の範囲で使用されるすべての数字は、すべての場合で「約」という用語によって修飾されるとして理解されるものである。「約」は、述べられた値のプラス又はマイナス10パーセントの範囲を意味する。
【0015】
本明細書で開示されているすべての範囲は、始まり及び終わりの範囲の値と、そこに含まれる任意及びすべての部分的範囲とを包含している。本明細書で開示された範囲は、特定の範囲にわたっての平均値を表している。
【0016】
被覆する層又は膜に関して、「わたって」という用語は、議論されている被覆する層又は膜が配置されている基板(又は基層)からさらに遠いことを意味する。例えば、第1の層に「わたって」配置された第2の層は、第2の層が第1の層より基板(又は基層)からさらに遠くに配置されることを意味する。第2の層は第1の層と直接接触していてもよい。あるいは、1つ又は複数の他の層が第1の層と第2の層との間に配置されてもよい。
【0017】
「膜」という用語は、材料の、化学的に区別できるか又は均質である組成又は混合物を有する領域を意味する。「層」は1つ又は複数の「膜」を備える。「被覆」は1つ又は複数の「層」を備える。
【0018】
「ポリマ」又は「ポリマの」という用語は、例えば2つ以上の種類のモノマ又はポリマから形成されたポリマといった、オリゴマ、ホモポリマ、コポリマ、及びターポリマを含む。
【0019】
「紫外線放射」という用語は、波長を100nmから380nm未満までの範囲で有する電磁放射を意味する。「可視光放射」又は「可視光」という用語は、波長を380nmから780nmまでの範囲で有する電磁放射を意味する。「赤外線放射」という用語は、波長を780nm超から100,000nmまでの範囲で有する電磁放射を意味する。「太陽赤外線放射」という用語は、波長を1,000nmから3,000nmまでの範囲で有する電磁放射を意味する。「熱赤外線放射」という用語は、波長を3,000nm超から100,000nmまでの範囲で有する電磁放射を意味する。
【0020】
本明細書で言及されるすべての文献は、それらの全体において「参照により組み込まれている」。
【0021】
「光学的厚さ」という用語は、550nmの基準波長における材料の屈折率によって乗算される材料の幾何学的厚さを意味する。例えば、5nmの幾何学的厚さと、550nmの基準波長における2の屈折率とを有する材料は、10nmの光学的厚さを有することになる。
【0022】
「焼き戻し」又は「熱処理」という用語は、議論されている物品又は被覆が、熱焼き戻し、熱曲げ、又は熱強化を達成するのに十分な温度まで加熱されていること、又は、加熱させることができることを意味する。この定義は、例えば、熱焼き戻し、熱曲げ、又は熱強化を達成するための時間の期間にわたって、少なくとも600℃など、少なくとも620℃など、少なくとも580℃の温度でオーブン又は炉で物品を加熱することを含む。例えば、1〜5分間など、1〜15分間の範囲の時間の期間にわたって物品を加熱する。
【0023】
「焼き戻し可能」という用語は、議論されている物品又は被覆が最終的な使用のために焼き戻しされるように設計されることを意味する。
【0024】
「非焼き戻し」及び「非熱処理」という用語は、最終的な使用のために、焼き戻しされないこと、熱処理されないこと、又は、焼き戻し若しくは熱処理されるように設計されないことを意味する。
【0025】
「金属」及び「金属酸化物」という用語は、シリコンは従来から金属と見なされていない可能性があるが、伝統的に見なされている金属及び金属酸化物と同様に、シリコン及びシリカをそれぞれ含む。
【0026】
「少なくとも〜」は、「〜以上」を意味する。「〜より大きくない」は、「〜以下」を意味する。
【0027】
他に特定されていない場合、量へのあらゆる言及は、「重量パーセントによる」ものである。
【0028】
厚さの値は、そうでないと指示されていない場合、幾何学的厚さの値である。
【0029】
「ドーパント」は、2wt.%までなどのwt.%までなど、5wt.%までなど、10wt.%までの量で存在できる材料である。例えば、1wt.%までである。例えば、0.5wt.%までである。例えば、0.1wt.%までである。
【0030】
「含む」(include)という用語は「備える」(comprise)と同じ意味である。
【0031】
「硬化性」という用語は、重合又は架橋結合のできる材料を意味する。「硬化」は、材料が少なくとも部分的に重合又は架橋結合され、好ましくは完全に重合又は架橋結合されることを意味する。
【0032】
LSG(light to solar gain:日射に対する光の取得)比率は、SHGCによって除算された可視光の透過率である。
【0033】
「基準IGU」は、空気で満たされた1.2mm(0.5インチ)の隙間によって分けられた、2つの離間された3mmの澄んだガラスの物品を有するIGUとして定められている。「基準IGU値」は、基準IGUにおける被覆についての報告値を意味する。
【0034】
「基準積層ユニット」は、ポリビニル・ブチラールの0.76mmの中間層によって、2番目の表面における被覆を伴って、連結される2.1mmの澄んだガラスの2枚重ねを有するとして定義される。基準積層ユニット値は、被覆が2番目の表面における基準積層ユニットへと組み込まれるときの報告値を意味する。
【0035】
「日射制御被覆」(solar control coating)という用語は、被覆から反射される、被覆によって吸収される、又は被覆を通じて透過される太陽放射の量など、被覆された物品の日射特性に影響を与える1つ又は複数の層又は膜から成る被覆を言っている。
【0036】
光学的及び日射制御性能の値(例えば、可視光透過率及び/又は曇価)は、そうでないと指示されていない場合、Perkin Elmer 1050 Spectrophotometerを用いて決定されるものである。基準IGU値は、そうでない指示されていない場合、Lawrence Berkeley National Laboratoryから入手可能なOPTICS(v6.0)ソフトウェア及びWINDOW(v7.3.4.0)ソフトウェアに従って決定され、ガラス窓の中心(COG)で測定され、NFRC2010(NFRC100−2010を含む)標準デフォルト設定により計算されるものである。
【0037】
U値は、そうでないと指示されていない場合、冬季/夜間のU値である。U値は、そうでないと指示されていない場合、BTU/hr−ft−°Fの単位で報告される。
【0038】
SHGC値は、そうでないと指示されていない場合、夏季/昼間の値である。
【0039】
シート抵抗値は、そうでないと指示されていない場合、4点プローブ(例えば、Nagy Instruments SD−600測定装置又はAlessi4点プローブ)を用いて決定されるものである。表面粗さ値は、Instrument Dimension 3100 Atomic Force Microscopeを用いて決定されるものである。
【0040】
明度(例えば、L、a、b、C、及び色相°)は、国際照明委員会によって特定された1976年CIELAB色システムに従っている。
【0041】
明細書及び特許請求の範囲におけるL、a、及びbの値は、色中心点の値を表している。通常の製造誤差内での本発明の日射制御被覆を組み込む基準IGU又は基準積層ユニットは、中心点の値に対して、4CMC単位未満(つまり、ΔEcmc<4)、好ましくは、2CMC単位未満(つまり、ΔEcmc<2)のΔEcmc色差を有するべきである。
【0042】
本発明の議論は、「特には」又は「好ましくは」特定の制限内にあるものとして、特定の特徴を記載するかもしれない(例えば、特定の制限内において「好ましくは」、「より好ましくは」、又は「なおもより好ましくは」)。本発明が、これらの特定又は好ましい制限に限定されず、本開示の全体の範囲を包含することは、理解されよう。
【0043】
本発明は、任意の組み合わせで、本発明の以下の態様を備え、から成り、又は、本質的にから成る。本発明の様々な態様は別々の図に示されている。しかしながら、これが単に図示及び議論を容易にするためのものであることは、理解されよう。本発明の実施では、ある図に示した本発明の1つ又は複数の態様は、他の図に示した本発明の1つ又は複数の態様と組み合わされてもよい。
【0044】
本発明は、建築用透明体に関して詳述されている。「建築用透明体」は、窓、IGU、又は天窓など、建物に配置される任意の透明体を意味する。しかしながら、本発明は、建築用透明体での使用に限定されず、陸上、空中、宇宙、水上、又は水中の乗り物のための積層又は非積層の住宅用又は商用の窓又は透明体など、任意の所望の分野における透明体で実施されてもよいことと、理解されよう。そのため、具体的に開示されている実例が、本発明の一般的な概念を説明するだけのために提示されていることと、本発明がこれらの具体的な実例に限定されていないことが、理解されよう。また、典型的な「透明体」は、実体が透明体を通じてはっきりと見られるように十分な可視光透過性を有し得る一方で、本発明の実施では、「透明体」は可視光に対して透明である必要はなく、半透明であってもよい。
【0045】
本発明の特徴を組み込んでいるモノリシック透明体の形態での被覆された物品10が、図1に示されている。被覆された物品10は、第1の主表面14と、反対の第2の主表面16とを有する基板12を備えている。
【0046】
本発明の低放射率被覆30が、基板12の少なくとも1つの主表面の少なくとも一部分にわたって配置される。図1に示した実例では、低放射率被覆30は、基板12の第2の主表面16の少なくとも一部分にわたって配置されている。低放射率被覆30は第1の位相調節層40を備えている。第1の金属機能層46が第1の位相調節層40にわたって配置されている。第1の下塗層48が第1の金属機能層46にわたって配置されている。第2の位相調節層50が、第1の金属機能層46にわたって(例えば、第1の下塗層48にわたって)配置されている。第2の金属機能層58が第2の位相調節層50にわたって配置されている。第2の下塗層60が第2の金属機能層58にわたって配置されている。第3の位相調節層62が、第2の金属機能層58にわたって(例えば、第2の下塗層60にわたって)配置されている。保護層92が第3の位相調節層62にわたって配置されている。
【0047】
基板12は可視光放射に対して透明であり得る。「透明」は、0%より大きく100%までの可視光放射の透過率を有することを意味する。あるいは、重なりは半透明であり得る。「半透明」は、視認者の反対の側における物体がはっきりと見えないように拡散する可視光放射を意味する。適切な材料の例には、限定されることはないが、プラスチック基板(ポリアクリレートなどのアクリルポリマなどや、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレートなどのポリアルキルメタクリレートや、ポリウレタンや、ポリカーボネートや、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキルテレフタレートや、ポリシロキサン含有ポリマや、若しくは、これらを調製するための任意のモノマのコポリマや、又はそれらの任意の混合物)、セラミック基板、ガラス基板、又は上記のうちのいずれかの混合物若しくは組み合わせがある。例えば、基板は、従来のソーダ石灰珪酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、又は鉛入りガラスを備えてもよい。ガラスは澄んだガラスであり得る。「澄んだガラス」は、着色されていないガラス又は色付きとされていないガラスを意味する。あるいは、ガラスは、着色されたガラス又は色付きとされたガラスであり得る。ガラスは、熱処理されたガラス又は熱処理されていないガラスであり得る。ガラスは、従来のフロート・ガラスなどの任意の種類のものとでき、例えば、可視光放射の透過率、紫外線放射の透過率、赤外線放射の透過率、又は全体の太陽エネルギーの透過率のいずれかの値といった任意の光学的特性を有する任意の組成のものであり得る。「フロート・ガラス」は、溶融ガラスが溶融金属浴上に堆積され、フロート・ガラス・リボンを形成するように制御可能に冷却される従来のフロート工程によって形成されるガラスを意味する。
【0048】
基板12は、例えば、澄んだフロート・ガラスであり得る、又は、着色若しくは色付きとされたガラスであり得る。基板12は、例えば長さ、幅、形、又は厚さといった、任意の所望の寸法のものであり得る。本発明の実施のために使用され得るガラスの非限定的な例には、澄んだガラス、Starphire(登録商標)、Solargreen(登録商標)、Solextra(登録商標)、GL−20(登録商標)、GL−35(商標)、Solarbronze(登録商標)、Solargray(登録商標)ガラス、Pacifica(登録商標)ガラス、SolarBlue(登録商標)ガラス、及びOptiblue(登録商標)ガラスがあり、すべてPittsburgh、PennsylvaniaのPPG Industries Inc.から市販されている。
【0049】
位相調節層40、50、62は非金属材料を備えている。例えば、位相調節層40、50、62は誘電材料又は半導体材料を備え得る。例えば、位相調節層40、50、62は、酸化物、窒化物、酸窒化物、ホウ化物、炭化物、オキシ炭化物、ホウ炭化物、ホウ窒化物、炭窒化物、又は、それらの混合物、組み合わせ、混ぜ合わせ、若しくは合金を備え得る。位相調節層40、50、62のための適切な材料の例には、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、錫、シリコン、アルミニウム、ホウ素、及び、それらの混合物、組み合わせ、混ぜ合わせ、又は合金の酸化物、窒化物、又は酸窒化物がある。これらは少量の他の材料を有してもよい。例として、酸化ビスマスにおけるマンガン、酸化インジウムにおける錫などがある。また、金属合金又は金属混合物の酸化物が使用されてもよい。例として、亜鉛及び錫を含む酸化物(例えば、錫酸亜鉛)、インジウム錫合金の酸化物、窒化ケイ素、シリコン窒化アルミニウム、又は窒化アルミニウムがある。さらに、ドープされた金属酸化物、亜酸化物、窒化物、亜窒化物、又は酸窒化物が使用され得る。例として、アンチモン若しくはインジウムのドープされた酸化錫、又は、ニッケル若しくはボロンのドープされたシリコン酸化物がある。材料の具体的な例には、酸化亜鉛、酸化錫、シリコン窒化物、シリコン−アルミニウム窒化物、シリコン−ニッケル窒化物、シリコン−クロム窒化物、アンチモンでドープされた酸化錫、錫でドープされた酸化亜鉛、アルミニウムでドープされた酸化亜鉛、インジウムでドープされた酸化亜鉛、酸化チタン、又は、それらの混合物、組み合わせ、混ぜ合わせ、若しくは合金がある。
【0050】
位相調節層40、50、62は単一の材料を備え得る。あるいは、位相調節層40、50、62は、複数の材料及び/又は複数の膜を備え得る。位相調節層40、50、62は、化学的に異なる材料若しくは相の層状の一連の膜を備え得る、又は、1つ若しくは複数の化学的に異なる材料若しくは相の1つ若しくは複数の複合材料を備え得る。異なる位相調節層40、50、62は、同じ又は異なる材料を備え得る。位相調節層40、50、62は、同じ又は異なる厚さを有し得る。
【0051】
位相調節層40、50、62は、低放射率被覆30の層の様々な界面境界から部分的に反射される、又は、その界面境界から部分的に透過される電磁放射の建設的及び相殺的な光学干渉の調節を可能にする。位相調節層40、50、62の厚さ及び/又は組成を変えることで、低放射率被覆30の全体の反射率、透過率、及び/又は吸収率を変化させることができ、これは、低放射率被覆30の日射制御性能、熱赤外線絶縁性能、色、及び/又は美観を変更することができる。また、位相調節層40、50、62は、金属機能層など、低放射率被覆30の他の層に対して化学的及び/又は機械的な保護を提供する。
【0052】
位相調節層40、50、62は、低放射率被覆30の全可視光の反射率を低下させるために、及び/又は、可視光透過率を増加させるために、金属機能層を反射防止させるための反射防止層として作用できる。約2の屈折率を有する材料が、金属機能層の反射防止にとって特に有用である。
【0053】
図示した例示の被覆30では、第1の位相調節層40は、基板12の第2の主表面16の少なくとも一部分にわたって配置されている。第1の位相調節層40は、単一の層であり得る、又は、先に記載した反射防止材料又は誘電材料の1つ若しくは複数の膜を備え得る。第1の位相調節層40は可視光に対して透明であり得る。第1の位相調節層40は、例えば可視光といった、電磁スペクトルの1つ又は複数の領域において最小の吸収を呈し得るか、又は呈しなくてもよい。
【0054】
第1の位相調節層40は、金属酸化物、金属酸化物の混合物、又は、金属合金酸化物を備え得る。例えば、第1の位相調節層40は、ドープされた又はノンドープの亜鉛及び錫の酸化物を備え得る。
【0055】
第1の位相調節層40は、光学的厚さを75nm〜112nmの範囲で有し得る。例えば、光学的厚さは84nm〜103nmの範囲である。例えば、光学的厚さは89nm〜99nmの範囲である。例えば、光学的厚さは93nm〜95nmの範囲である。
【0056】
第1の位相調節層40は、幾何学的厚さを36nm〜56nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは42nm〜52nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは42nm〜49nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは44nm〜48nmの範囲である。
【0057】
例示の焼き戻しした被覆30では、第1の位相調節層40は、光学的厚さを75nm〜112nmの範囲で有し得る。例えば、光学的厚さは84nm〜103nmの範囲である。例えば、光学的厚さは89nm〜99nmの範囲である。例えば、光学的厚さは93nm〜95nmの範囲である。
【0058】
例示の焼き戻しした被覆30では、第1の位相調節層40は、幾何学的厚さを37nm〜56nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは42nm〜52nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは44nm〜49nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは46nm〜48nmの範囲である。
【0059】
例示の非焼き戻しした被覆30では、第1の位相調節層40は、光学的厚さを72nm〜108nmの範囲で有し得る。例えば、光学的厚さは81nm〜99nmの範囲である。例えば、光学的厚さは85nm〜94nmの範囲である。例えば、光学的厚さは89nm〜91nmの範囲である。
【0060】
例示の焼き戻ししていない被覆30では、第1の位相調節層40は、幾何学的厚さを36nm〜54nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは40nm〜50nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは42nm〜47nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは44nm〜46nmの範囲である。
【0061】
第1の位相調節層40は、第1の膜42と第2の膜44とを有する多膜構造を備えてもよい。第2の膜44は第1の膜42にわたって配置され得る。
【0062】
第1の膜42は、金属合金の酸化物、又は、金属酸化物の混合物であり得る。例えば、第1の膜42は亜鉛及び錫の合金又は混合物の酸化物であり得る。「亜鉛及び錫の合金」は、真の合金及び真の混合物を意味する。亜鉛及び錫の合金の酸化物は、亜鉛及び錫の陰極からのマグネトロン・スパッタリング真空蒸着から得られるものであり得る。陰極は、10wt.%〜90wt.%の亜鉛と90wt.%〜10wt.%の錫の割合など、5wt.%〜95wt.%の亜鉛と95wt.%〜5wt.%の錫の割合で亜鉛及び錫を備え得る。しかしながら、亜鉛の錫に対する他の割合が用いられてもよい。第1の膜42のための例示の金属合金酸化物は、ZnSn1−x2−X(化学式1)として記述でき、ここで、「x」は0超から1未満までの範囲で変化する。例えば、「x」は0より大きくでき、0超から1未満の間の任意の分数又は小数であり得る。化学式1の化学量論的形態は、錫酸亜鉛と一般的に称される「ZnSO」である。錫酸亜鉛層は、酸素の存在において52wt.%の亜鉛と48wt.%の錫とを有する陰極からスパッタ蒸着され得る。例えば、第1の膜42は錫酸亜鉛を備え得る。
【0063】
ドープされた酸化亜鉛が、陰極のスパッタリング特性を向上させるために別の材料を含む亜鉛陰極から蒸着され得る。例えば、亜鉛陰極は、スパッタリングを向上させるために少量の錫(例えば、5wt.%までなどの10wt.%まで)を含み得る。その場合、結果生じる酸化亜鉛膜は、例えば10wt.%までの酸化錫、例えば5wt.%までの酸化錫といった、わずかな比率の酸化錫を含むことになる。その他の材料の例には、アルミニウム、インジウム、及びそれらの組み合わせがある。好ましくは、他の材料は錫を備える。酸素の存在下において90wt.%の亜鉛と10wt.%の錫とを備える陰極から蒸着される、錫でドープされた酸化亜鉛材料は、ZnO90/10と本明細書では称される。
【0064】
第2の膜44は、金属酸化物、ドープされた金属酸化物、又は、金属酸化物の混合物を備え得る。例えば、第2の膜44は、酸化亜鉛又はドープされた酸化亜鉛を備え得る。例えば、第2の膜44は、錫でドープされた酸化亜鉛を備え得る。例えば、第2の膜44はZnO90/10を備え得る。
【0065】
第2の膜44は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは5nm〜15nmの範囲である。
【0066】
第1の膜42は、幾何学的厚さを24nm〜46nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは30nm〜42nmの範囲である。
【0067】
例示の焼き戻しした被覆30では、第2の膜44は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは5nm〜15nmの範囲である。
【0068】
例示の焼き戻しした被覆30では、第1の膜42は、幾何学的厚さを26nm〜46nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは32nm〜42nmの範囲である。
【0069】
例示の非焼き戻しした被覆30では、第2の膜44は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは5nm〜15nmの範囲である。
【0070】
例示の焼き戻ししていない被覆30では、第1の膜42は、幾何学的厚さを24nm〜44nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは30nm〜40nmの範囲である。
【0071】
金属機能層46、58は、例えば、電磁スペクトルの太陽赤外線放射の領域、又は、熱赤外線放射の領域において、電磁スペクトルの赤外線放射範囲に少なくとも一部分において電磁放射の反射率を提供する。被覆30は2つの金属機能層を有し得る。あるいは、被覆30は3つ以上の金属機能層を有し得る。
【0072】
金属機能層46、58に対して有用な材料の例には、貴金属又は準貴金属がある。このような金属の例には、銀、金、白金、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、銅、水銀、レニウム、アルミニウム、及びそれらの組み合わせがある。例えば、金属機能層46、58の1つ又は複数は金属の銀を備え得る。
【0073】
第1の金属機能層46は上記の金属のいずれかを備え得る。例えば、第1の金属機能層46は銀を備え得る。
【0074】
第1の金属機能層46は連続層であり得る。例えば、第1の金属機能層46は、幾何学的厚さを5nm〜8.5nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは6.5nm〜7.5nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは6.6nm〜7.3nmの範囲である。
【0075】
例示の焼き戻しした被覆30では、第1の金属機能層46は、幾何学的厚さを5nm〜8nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは6nm〜7.5nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは6.5nm〜7nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは6.6nm〜6.8nmの範囲である。
【0076】
例示の焼き戻ししていない被覆30では、第1の金属機能層46は、幾何学的厚さを5.5nm〜8.5nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは6.5nm〜8nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは6.8nm〜7.5nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは7nm〜7.3nmの範囲である。
【0077】
下塗層48、60は、関連する下にある金属機能層46、58と直に接触して配置され得る。下塗層48、60は、被覆工程、又は、熱焼き戻しなどの後に続く工程の間、関連する金属機能層46、58を保護する。下塗り材料は金属として蒸着される。上にある位相調節層の蒸着、又は、熱焼き戻しなどの後に続く工程の間、金属下塗り材料の一部又は全部が酸化する。酸化物材料又は窒化物材料が位相調節層で使用されるとき、下塗層48、60はそれぞれ親酸素性材料又は親窒素性材料を備え得る。下塗層48、60はすべて同じ材料である必要はない。下塗層48、60は同じ厚さのものである必要はない。
【0078】
下塗層48、60について有用である材料の例には、チタン、ニオブ、タングステン、ニッケル、クロム、鉄、タンタル、ジルコニウム、アルミニウム、シリコン、インジウム、錫、亜鉛、モリブデン、ハフニウム、ビスマス、バナジウム、マンガン、及びそれらの組み合わせがある。好ましくは、下塗層48、60はチタンを備える。
【0079】
第1の下塗層48は第1の金属機能層46にわたって配置されている。第1の下塗層48は単一の膜又は複数の膜の層であり得る。第1の下塗層48は、先に記載した材料のいずれかを備え得る。例えば、第1の下塗層48はチタンを備え得る。
【0080】
第1の下塗層48は、幾何学的厚さを1.5nm〜3.6nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは1.8nm〜3.2nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは1.9nm〜3.1nmの範囲である。
【0081】
例示の焼き戻しした被覆では、第1の下塗層48は、幾何学的厚さを2.5nm〜3.6nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは2.7nm〜3.3nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは2.8nm〜3.2nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは2.9nm〜3.1nmの範囲である。
【0082】
例示の焼き戻ししていない被覆では、第1の下塗層48は、幾何学的厚さを1.5nm〜2.5nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは1.7nm〜2.3nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは1.8nm〜2.2nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは1.9nm〜2.1nmの範囲である。
【0083】
第2の位相調節層50は、位相調節層について先に記載した材料のいずれかを備え得る。
【0084】
第2の位相調節層50は、光学的厚さを136nm〜204nmの範囲で有し得る。例えば、光学的厚さは155nm〜178nmの範囲である。例えば、光学的厚さは162nm〜172nmの範囲である。
【0085】
第2の位相調節層50は、幾何学的厚さを65nm〜102nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは77nm〜89nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは81nm〜86nmの範囲である。
【0086】
例示の焼き戻しした被覆では、第2の位相調節層50は、光学的厚さを136nm〜204nmの範囲で有し得る。例えば、光学的厚さは153nm〜187nmの範囲である。例えば、光学的厚さは161nm〜178nmの範囲である。例えば、光学的厚さは168nm〜172nmの範囲である。
【0087】
例示の焼き戻しした被覆では、第2の位相調節層50は、幾何学的厚さを68nm〜102nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは76nm〜94nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは80nm〜89nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは84nm〜86nmの範囲である。
【0088】
例示の焼き戻ししていない被覆では、第2の位相調節層50は、光学的厚さを147nm〜181nmの範囲で有し得る。例えば、光学的厚さは155nm〜172nmの範囲である。例えば、光学的厚さは162nm〜166nmの範囲である。
【0089】
例示の焼き戻ししていない被覆では、第2の位相調節層50は、幾何学的厚さを65nm〜98nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは73nm〜90nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは77nm〜86nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは81nm〜83nmの範囲である。
【0090】
第2の位相調節層50は、単一の層又は多層の構造であり得る。例えば、第2の位相調節層50は、第1の膜52と、第2の膜54と、第3の膜56と、任意選択で第4の膜57とを含み得る。
【0091】
第1の膜52、及び/又は第3の膜56、及び/又は任意選択の第4の膜57は、金属酸化物膜又はドープされた金属酸化物膜を備え得る。例えば、酸化亜鉛膜、又は、ZnO90/10などの錫でドープされた酸化亜鉛膜である。
【0092】
第2の膜54は金属合金酸化物膜を備え得る。例えば、第2の膜54は錫酸亜鉛膜を備え得る。任意選択の第4の膜57が存在する場合、第2の膜54は2つ以上の蒸着ステップで蒸着でき、第4の膜57は、第2の膜54のための蒸着ステップのうちの2つの間で蒸着される。
【0093】
第1の膜52、及び/又は第3の膜56、及び/又は任意選択の第4の膜57は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは5nm〜15nmの範囲である。
【0094】
第2の膜54は、幾何学的厚さを62nm〜84nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは72nm〜85nmの範囲である。
【0095】
例示の焼き戻しした被覆30において、第1の膜52、及び/又は第3の膜56、及び/又は任意選択の第4の膜57は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは5nm〜15nmの範囲である。
【0096】
例示の焼き戻しした被覆30では、第2の膜54は、幾何学的厚さを65nm〜84nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは75nm〜85nmの範囲である。
【0097】
例示の焼き戻ししていない被覆30において、第1の膜52、及び/又は第3の膜56、及び/又は任意選択の第4の膜57は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは5nm〜15nmの範囲である。
【0098】
例示の焼き戻ししていない被覆30では、第2の膜54は、幾何学的厚さを62nm〜81nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは72nm〜77nmの範囲である。
【0099】
第2の金属機能層58は第2の位相調節層50にわたって(例えば、第3の膜56にわたって)配置されている。
【0100】
第2の金属機能層58は連続層であり得る。第2の金属機能層58は、金属機能層について先に記載した材料のいずれかを備え得る。例えば、第2の金属機能層58は銀を備え得る。
【0101】
第2の金属機能層58は、幾何学的厚さを7nm〜11nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは8nm〜10nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは8.3nm〜9.5nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは8.7nm〜9.2nmの範囲である。
【0102】
例示の焼き戻しした被覆30では、第2の金属機能層58は、幾何学的厚さを7nm〜11nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは8nm〜10nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは8.5nm〜9.5nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは9nm〜9.2nmの範囲である。
【0103】
例示の焼き戻ししていない被覆30では、第2の金属機能層58は、幾何学的厚さを7nm〜11nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは8nm〜10nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは8.3nm〜9.5nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは8.7nm〜8.9nmの範囲である。
【0104】
第2の下塗層60は、第1の下塗層48に関して先に記載したような材料及び/又は厚さのいずれかのものであり得る。例えば、第2の下塗60はチタンを備え得る。
【0105】
第2の下塗層60は、幾何学的厚さを1.5nm〜3.6nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは1.8nm〜3.2nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは1.9nm〜3.1nmの範囲である。
【0106】
例示の焼き戻しした被覆では、第2の下塗層60は、幾何学的厚さを2.5nm〜3.6nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは2.7nm〜3.3nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは2.8nm〜3.2nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは2.9nm〜3.1nmの範囲である。
【0107】
例示の焼き戻ししていない被覆では、第2の下塗層60は、幾何学的厚さを1.5nm〜2.5nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは1.7nm〜2.3nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは1.8nm〜2.2nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは1.9nm〜2.1nmの範囲である。
【0108】
第3の位相調節層62は、第1の位相調節層40及び第2の位相調節層50に関して先に詳述したような材料及び/又は層のいずれかを含み得る。例えば、第3の位相調節層62は多膜構造であり得る。
【0109】
第3の位相調節層62は、光学的厚さを46nm〜73nmの範囲で有し得る。例えば、光学的厚さは55nm〜68nmの範囲である。例えば、光学的厚さは57nm〜67nmの範囲である。
【0110】
第3の位相調節層62は、幾何学的厚さを23nm〜40nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは27nm〜35nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは28nm〜34nmの範囲である。
【0111】
例示の焼き戻しした被覆30では、第3の位相調節層62は、光学的厚さを46nm〜70nmの範囲で有し得る。例えば、光学的厚さは52nm〜64nmの範囲である。例えば、光学的厚さは55nm〜61nmの範囲である。例えば、光学的厚さは57nm〜59nmの範囲である。
【0112】
例示の焼き戻しした被覆30では、第3の位相調節層62は、幾何学的厚さを23nm〜35nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは26nm〜32nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは27nm〜31nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは28nm〜30nmの範囲である。
【0113】
例示の焼き戻ししていない被覆30では、第3の位相調節層62は、光学的厚さを59nm〜73nmの範囲で有し得る。例えば、光学的厚さは62nm〜68nmの範囲である。例えば、光学的厚さは65nm〜67nmの範囲である。
【0114】
例示の焼き戻ししていない被覆30では、第3の位相調節層62は、幾何学的厚さを26nm〜40nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは29nm〜36nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは31nm〜35nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは32nm〜34nmの範囲である。
【0115】
例えば、第3の位相調節層62は第1の膜64と第2の膜66とを含み得る。
【0116】
第1の膜64は金属酸化物材料を備え得る。例えば、酸化亜鉛又はドープされた酸化亜鉛の材料である。例えば、錫でドープされた酸化亜鉛である。例えば、ZnO90/10である。第2の膜66は金属合金酸化物材料を備え得る。例えば、錫酸亜鉛である。
【0117】
第1の膜64は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは5nm〜15nmの範囲である。
【0118】
第2の膜66は、幾何学的厚さを9nm〜32nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは14nm〜28nmの範囲である。
【0119】
例示の焼き戻しした被覆30では、第1の膜64は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは5nm〜15nmの範囲である。
【0120】
例示の焼き戻しした被覆30では、第2の膜66は、幾何学的厚さを9nm〜28nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは14nm〜24nmの範囲である。
【0121】
例示の焼き戻ししていない被覆30では、第1の膜64は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは5nm〜15nmの範囲である。
【0122】
例示の焼き戻ししていない被覆30では、第2の膜66は、幾何学的厚さを13nm〜32nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは18nm〜28nmの範囲である。
【0123】
保護層92は低放射率被覆30の末端層であり得る。保護層92は、位相調節層に関して先に記載されているものなどの1つ又は複数の非金属材料を備え得る。あるいは、保護層92は金属材料を備え得る。保護層92は化学的及び/又は機械的な保護を下にある被覆層に提供できる。
【0124】
例えば、保護層92は金属酸化物又は金属窒化物の層であり得る。例えば、保護層92はチタニアを備え得る。
【0125】
保護層92は、幾何学的厚さを1nm〜10nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは4nm〜5.5nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは4.3nm〜5.25nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは4.4nm〜5.05nmの範囲である。
【0126】
例示の焼き戻しした被覆30では、保護層92は、幾何学的厚さを4.5nm〜5.5nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは1nm〜10nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは2nm〜8nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは4.75nm〜5.25nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは4.95nm〜5.05nmの範囲である。
【0127】
例示の焼き戻ししていない被覆30では、保護層92は、幾何学的厚さを4nm〜5nmの範囲で有し得る。例えば、幾何学的厚さは4.3nm〜4.7nmの範囲である。例えば、幾何学的厚さは4.4nm〜4.6nmの範囲である。
【0128】
第2の金属機能層58は第1の金属機能層46より厚い。第2の金属機能層58の幾何学的厚さによって除算された第1の金属機能層46の幾何学的厚さの割合は0.5より大きい。例えば、0.6以上である。例えば、0.6〜1.5など、0.5超〜2の範囲である。例えば、0.6〜1の範囲である。
【0129】
焼き戻しした被覆30について、第2の金属機能層58の幾何学的厚さによって除算された第1の金属機能層46の幾何学的厚さの割合が、0.6〜0.9など、0.6〜1の範囲にある。例えば、0.7〜0.8の範囲である。例えば、0.72〜0.76の範囲である。
【0130】
焼き戻ししていない被覆30について、第2の金属機能層58の幾何学的厚さによって除算された第1の金属機能層46の幾何学的厚さの割合が、0.67〜1など、0.6〜1の範囲にある。例えば、0.75〜0.85の範囲である。例えば、0.8〜0.84の範囲である。
【0131】
低放射率被覆30は任意の従来の方法によって堆積され得る。このような方法の例には、従来の化学蒸着(CVD)方法及び物理蒸着(PVD)方法がある。CVD工程の例には噴霧熱分解がある。PVD工程の例には、電子ビーム蒸着及び真空スパッタリング(マグネトロン・スパッタ蒸着(MSVD))がある。限定されることはないが、ゾルゲル堆積など、他の被覆方法が使用されてもよい。ある非限定的な実施例では、被覆30はMSVDによって蒸着され得る。
【0132】
低放射率被覆30は放射率を0.035〜0.065の範囲で有する。例えば、0.04〜0.06の範囲である。
【0133】
低放射率被覆30は基準IGUのSHGCを0.4〜0.65の範囲で提供する。例えば、0.45〜0.62の範囲である。例えば、0.5〜0.6の範囲である。例えば、0.55〜0.59の範囲である。
【0134】
例示の焼き戻しした被覆30は基準IGUのSHGCを0.55〜0.585の範囲で提供する。例えば、0.57〜0.58の範囲である。
【0135】
例示の焼き戻ししていない被覆30は基準IGUのSHGCを0.56〜0.57の範囲で提供する。例えば、0.562〜0.566の範囲である。
【0136】
低放射率被覆30は、基準IGUの冬季/夜間のU値を1.14〜2.27W/m2−K(0.2〜0.4BTU/hr−ft−°F)の範囲で提供する。例えば、1.25〜1.99W/m2−K(0.22〜0.35BTU/hr−ft−°F)の範囲である。例えば、1.31〜1.76W/m2−K(0.23〜0.31BTU/hr−ft−°F)の範囲である。例えば、1.36〜1.70W/m2−K(0.24〜0.30BTU/hr−ft−°F)の範囲である。
【0137】
例示の焼き戻しした被覆30は、基準IGUの冬季/夜間のU値を1.6〜1.8W/m2−K(0.28〜0.32BTU/hr−ft−°F)の範囲で提供する。例えば、1.66〜1.68W/m2−K(0.29〜0.30BTU/hr−ft−°F)の範囲である。
【0138】
例示の焼き戻ししていない被覆30は、基準IGUの冬季/夜間のU値を1.7〜1.82W/m2−K(0.299〜0.320BTU/hr−ft−°F)の範囲で提供できる。例えば、1.71〜1.75W/m2−K(0.301〜0.308BTU/hr−ft−°F)の範囲である。
【0139】
低放射率被覆30は基準IGUの外部で可視反射率を5〜20パーセントの範囲で提供する。例えば、7〜18パーセントの範囲である。例えば、10〜15パーセントの範囲である。例えば、11〜13パーセントの範囲である。例えば、12〜13パーセントの範囲である。
【0140】
低放射率被覆30は基準IGUの可視光透過率を60〜95パーセントの範囲で提供する。例えば、65〜85パーセントの範囲である。例えば、70〜80パーセントの範囲である。例えば、72〜76パーセントの範囲である。例えば、74〜76パーセントの範囲である。
【0141】
低放射率被覆30は基準IGUの透過Lを80〜95の範囲で提供する。例えば、81〜92の範囲である。例えば、85〜91の範囲である。例えば、88〜90の範囲である。例えば、89〜90パーセントの範囲である。
【0142】
低放射率被覆30は基準IGUの透過aを1〜−4の範囲で提供する。例えば、0〜−3の範囲である。例えば、−0.05〜−2.75の範囲である。例えば、−1〜−2.5の範囲である。
【0143】
低放射率被覆30は基準IGUの透過bを3〜−1の範囲で提供する。例えば、0〜2.5の範囲である。例えば、0.5〜2の範囲である。例えば、0.7〜1.5の範囲である。
【0144】
低放射率被覆30は基準IGUの外部反射Lを30〜50の範囲で提供する。例えば、35〜45の範囲である。例えば、40〜45の範囲である。例えば、41〜43の範囲である。
【0145】
低放射率被覆30は基準IGUの外部反射aを3〜−3.5の範囲で提供する。例えば、0〜−3の範囲である。例えば、−1〜−2.75の範囲である。例えば、−1.5〜−2.7の範囲である。
【0146】
低放射率被覆30は基準IGUの外部反射bを3〜−3の範囲で提供する。例えば、2〜−2の範囲である。例えば、1〜−1の範囲である。例えば、0.5〜−0.5の範囲である。
【0147】
図2は、二重断熱ガラスユニット(IGU)100へと組み込まれた図1の被覆30を示している。IGU100は、建物外部を向く、つまり、外を向く主表面である第1の主表面114(1番目の表面)と、建物の内部を向く、つまり、内を向く面である第2の主表面116(2番目の表面)とを有する第1の重なり112を備えている。断熱ガラスユニット100は、外を向く主表面120(3番目の表面)と、内を向く主表面122(4番目の主表面)とを有する第2の重なり118を備えている。第2の重なり118は第1の重なり112から離間されている。重なりの表面のこの番号付けは、窓割りの技術における従来の実践に沿っている。
【0148】
第1の重なり112及び第2の重なり118は、基板12について先に記載した材料のうちのいずれかのものであり得る。第2の重なり118は第1の重なり112と同じであり得、又は、第2の重なり118は第1の重なり112と異なり得る。第1の重なり112及び第2の重なり118は各々、例えば、澄んだフロート・ガラスであり得、又は、着色若しくは色付きとされたガラスであり得、又は、一方の重なり112、118は澄んだガラスであり、他方の重なり112、118は色付きとされたガラスであり得る。
【0149】
第1の重なり112と第2の重なり118とは、従来のスペーサ・フレーム124に接着で接合されることによってなど、任意の適切な手法で一体に連結され得る。隙間又は区画室126が2つの重なり12、118の間に形成されている。区画室126は、例えば、空気、又は、アルゴン若しくはクリプトンのガスなどの非反応性ガスといった、選択された雰囲気で満たされ得る。
【0150】
低放射率被覆30は表面114、116、120、又は122のいずれかに配置され得る。図示した例では、低放射率被覆30は3番目の表面120に配置されている。
【0151】
図3は、三重断熱ガラスユニット(IGU)200へと組み込まれた図1の被覆30を示している。IGU200は、建物外部を向く、つまり、外を向く主表面である第1の主表面214(1番目の表面)と、建物の内部を向く、つまり、内を向く面である第2の主表面216(2番目の表面)とを有する第1の重なり212を含んでいる。断熱ガラスユニット200は、外を向く主表面220(3番目の表面)と、内を向く主表面222(4番目の主表面)とを有する第2の重なり218を含んでいる。断熱ガラスユニット200は、外を向く主表面226(5番目の表面)と、内を向く主表面228(6番目の主表面)とを有する第3の重なり224を含んでいる。第1の重なり212、第2の重なり218、及び第3の重なり224は互いから離間されている。重なりの表面のこの番号付けは、窓割りの技術における従来の実践に沿っている。
【0152】
第1の重なり212と、第2の重なり218と、第3の重なり224とは、従来のスペーサ・フレーム232に接着で接合されることによってなど、任意の適切な手法で一体に連結され得る。第1の隙間又は区画室234が第1の重なり212と第2の重なり218との間に定められており、第2の隙間又は区画室236が第2の重なり218と第3の重なり224との間に形成されている。区画室234及び236は、例えば、空気、又は、アルゴン若しくはクリプトンのガスなどの非反応性ガスといった、選択された雰囲気で満たされ得る。
【0153】
低放射率被覆30は表面214、216、220、222、226、又は228のいずれかに配置され得る。図示した例では、低放射率被覆30は5番目の表面226に配置されている。
【0154】
第1の重なり212、第2の重なり218、及び/又は第3の重なり234は、基板12について先に記載した材料のうちのいずれかのものであり得る。重なり同士は同じであり得、又は、1つ若しくは複数の重なりが他の1つ若しくは複数の重なりと異なり得る。重なりはそれぞれ、例えば、澄んだフロート・ガラスであり得、又は、着色若しくは色付きとされたガラスであり得、又は、1つ又は複数の重なりは澄んだガラスであり、他の1つ若しくは複数の重なりは色付きとされたガラスであり得る。
【0155】
第2の被覆238が、ガラス重ねの1つ又は複数の他の表面に配置されてもよい。例えば、第2の被覆238は、2番目の表面216、3番目の表面220、又は4番目の表面222に配置され得る。好ましくは、第2の被覆238は2番目の表面216又は3番目の表面220に配置される。より好ましくは、第2の被覆238は3番目の表面220に配置される。
【0156】
第2の被覆238は第1の被覆30と同じであってもよい。
【0157】
あるいは、第2の被覆238は第1の被覆30と異なってもよい。例えば、第1の被覆30は2つの金属機能層を有してもよく、第2の被覆238は1つだけの金属機能層を有してもよい。第2の被覆238は第1の被覆30より大きいSHGCを有してもよい。第2の被覆238は第1の被覆30より大きいU値を有してもよい。例示の第2の被覆238は、PPG Industries,Inc.から市販されているSUNGATE400被覆である。
【実施例】
【0158】
表1は、本発明の例示の焼き戻しした被覆(試料1)と、例示の焼き戻ししていない被覆(試料2)とを示している。各々の被覆は3mmの澄んだフロート・ガラスの一片に形成されている。報告された厚さはnmでの幾何学的厚さである。試料における錫でドープされた酸化亜鉛の膜は、10重量パーセントの錫と90重量パーセントの亜鉛を含む陰極から蒸着された(つまりZnO90/10)。「PAL」は位相調節層を意味する。各々の第1のPALは、錫酸塩の膜にわたる錫でドープされた酸化亜鉛であった。錫でドープされた酸化亜鉛膜は、5〜15nmの範囲で幾何学的厚さを有している。各々の第2のPALは、各々の錫でドープされた酸化亜鉛膜が5〜15nmの範囲で幾何学的厚さを有する状態で、錫でドープされた酸化亜鉛/錫酸亜鉛/錫でドープされた酸化亜鉛の層になっている。第3のPALは、錫でドープされた酸化亜鉛膜が5〜15nmの範囲で幾何学的厚さを有する状態で、錫でドープされた酸化亜鉛の膜にわたる錫酸亜鉛の膜になっている。保護層「PL」はチタニアであった。下塗層は、金属として蒸着され、さらなる処理ステップによって少なくとも部分的に酸化されている、チタニアであった。反射層(IR#1及びIR#2)は金属の銀である。試料1及び2は製作コーティング機で作られている。
【0159】
【表1】
【0160】
表2は、Perkin Elmer Model 1050を機器の取扱説明書に従って使用して、試料1についての測定されたデータを示している。表3は、Perkin Elmer Model 1050を機器の取扱説明書に従って使用して、試料2についての測定されたデータを示している。「UV」は、300〜380nmの範囲でのパーセントでの紫外線放射である。「VIS」は可視光放射(光源D65、2°観察者)である。「IR」は、780〜2500nmの範囲でのパーセントでの赤外線放射である。「日射」は、300〜2500nmの範囲でのパーセントでの太陽放射である(ISO 9050規格に従って測定された)。色パラメータL、a、b、C、及び色相°は、光源D65、10°観察者についての値である。
【0161】
【表2】
【0162】
【表3】
【0163】
表4及び表5は、3mmの澄んだフロート・ガラスの2枚重ねを、2枚重ねの間に1.27cm(0.5インチ)の隙間を伴うと共に3番目の表面に被覆を伴って有する基準IGUについての基準IGUデータを示している。「空気」は、IGUが基準IGUであったこと、つまり、隙間が空気で満たされていたことを意味する。T(V)はパーセントでの可視光放射透過率を意味する。RE(V)はパーセントでの可視光放射の外部反射率を意味する。RI(V)はパーセントでの可視光放射の内部反射率を意味する。T(S)はパーセントでの太陽放射透過率を意味する。RE(S)はパーセントでの太陽放射の外部反射率を意味する。RI(S)はパーセントでの太陽放射の内部反射率を意味する。UV(T)はパーセントでの紫外線放射透過率を意味する。UF(W)は冬季/夜間のU値(BTU/hr−ft−°F)を意味する。UF(S)は夏季/昼間のU値(BTU/hr−ft−°F)を意味する。SCは遮蔽係数を意味する。SHGCは夏季/昼間の日射熱取得率を意味する。LSGは日射に対する光の取得の比率を意味する。L(T)、a(T)、及びb(T)は透過されたL、a、及びbを意味する。L(RE)、a(RE)、及びb(RE)は反射された外部L、a、及びbを意味する。
【0164】
【表4】
【0165】
【表5】
【0166】
表6及び表7は、3mmの澄んだフロート・ガラスの2枚重ねを、2枚重ねの間に1.27cm(0.5インチ)の隙間を伴うと共に3番目の表面に被覆を伴って有する基準IGUについての基準IGUデータを示している。「AR90」という用語は、IGUが90パーセントのアルゴンと10パーセントの空気とを隙間に有することを意味する。
【0167】
【表6】
【0168】
【表7】
【0169】
本発明は、以下の番号付けられた条項を参照してさらに説明され得る。
【0170】
条項1:低放射率被覆30が、複数の位相調節層40、50、62と、第1の金属機能層46と、第1の金属機能層46にわたって配置されると共に第1の金属機能層46から離間される第2の金属機能層58とを備え、低放射率被覆30は、少なくとも0.4の基準IGUの夏季/昼間のSHGCと、0.4BTU/hr−ft−°Fでしかない基準IGUの冬季/夜間のU値とを提供する。
【0171】
条項2:第1の位相調節層40と、第1の位相調節層40にわたって配置される第1の金属機能層46と、第1の金属機能層46にわたって配置される第1の下塗層48と、第1の下塗層48にわたって配置される第2の位相調節層50と、第2の位相調節層50にわたって配置される第2の金属機能層58と、第2の金属機能層58にわたって配置される第2の下塗層60と、第2の下塗層60にわたって配置される第3の位相調節層62と、第3の位相調節層62にわたって配置される保護層92とを備える、条項1に記載の低放射率被覆30。
【0172】
条項3:位相調節層40、50、62は非金属層を備える、条項1又は2に記載の低放射率被覆30。
【0173】
条項4:位相調節層40、50、62は誘電材料又は半導体材料を備える、条項1から3のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0174】
条項5:位相調節層40、50、62は酸化物、窒化物、酸窒化物、又はそれらの混合物を備える、条項1から4のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0175】
条項6:位相調節層40、50、62は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、錫、及び、それらの混合物の酸化物、窒化物、又は酸窒化物を備える、条項1から5のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0176】
条項7:位相調節層40、50、62は、好ましくは亜鉛及び錫を含む酸化物である、1つ又は複数の金属、金属合金、又は金属混合物の酸化物を備える、条項1から6のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0177】
条項8:位相調節層40、50、62は複数の膜を備える、条項1から7のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0178】
条項9:第1の位相調節層40は亜鉛及び錫の酸化物を備える、条項1から8のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0179】
条項10:第1の位相調節層40は、光学的厚さを72nm〜112nmの範囲で、好ましくは光学的厚さを84nm〜103nmの範囲で、より好ましくは光学的厚さを89nm〜95nmの範囲で有する、条項1から9のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0180】
条項11:第1の位相調節層40は、幾何学的厚さを36nm〜56nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを42nm〜49nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを44nm〜48nmの範囲で有する、条項1から10のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0181】
条項12:第1の位相調節層40は第1の膜42と第2の膜44とを備える、条項1から11のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0182】
条項13:第1の膜42は、金属合金酸化物、又は、金属酸化物の混合物を備える、条項12に記載の低放射率被覆30。
【0183】
条項14:第2の膜44は、金属酸化物膜、ドープされた金属酸化物膜、又は酸化物混合物膜を備える、条項12又は13に記載の低放射率被覆30。
【0184】
条項15:第1の膜42は、亜鉛及び錫、好ましくは亜鉛/錫合金酸化物、より好ましくは錫酸亜鉛を備える、条項12から14のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0185】
条項16:第2の膜44は、金属酸化物、好ましくはドープされた酸化亜鉛、より好ましくは錫でドープされた酸化亜鉛を備える、条項12から15のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。例えば、ZnO90/10である。
【0186】
条項17:第2の膜44は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを5nm〜15nmの範囲で有する、条項12から16までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0187】
条項18:第1の膜42は、幾何学的厚さを24nm〜46nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを30nm〜42nmの範囲で有する、条項12から17までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0188】
条項19:金属機能層46、58は、銀、金、白金、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、銅、水銀、レニウム、アルミニウム、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される材料を備え、好ましくは銀を備える、条項1から18までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0189】
条項20:第1の金属機能層46は、幾何学的厚さを5nm〜8.5nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを6.5nm〜7.5nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを6.6nm〜7.3nmの範囲で有する、条項1から19のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0190】
条項21:下塗層48、60は、チタン、ニオブ、タングステン、ニッケル、クロム、鉄、タンタル、ジルコニウム、アルミニウム、シリコン、インジウム、錫、亜鉛、モリブデン、ハフニウム、ビスマス、バナジウム、マンガン、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される材料を含み、好ましくはチタンを含む、条項2から20のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0191】
条項22:第1の下塗層48は、幾何学的厚さを1.5nm〜3.6nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを1.8nm〜3.2nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを1.9nm〜3.1nmの範囲で有する、条項2から21のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0192】
条項23:第2の位相調節層50は、光学的厚さを136nm〜204nmの範囲で、好ましくは光学的厚さを155nm〜178nmの範囲で、より好ましくは162nm〜172nmの範囲で有する、条項1から22のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0193】
条項24:第2の位相調節層50は、幾何学的厚さを65nm〜102nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを77nm〜89nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを81nm〜86nmの範囲で有する、条項1から23のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0194】
条項25:第2の位相調節層50は、第1の膜52と、第2の膜54と、第3の膜56と、任意選択で第4の膜57とを備える、条項1から24のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0195】
条項26:第1の膜52、及び/又は第3の膜56、及び/又は任意選択の第4の膜57は、金属酸化物、好ましくはドープされた金属酸化物、より好ましくは錫でドープされた酸化亜鉛を備える、条項25に記載の低放射率被覆30。例えば、ZnO90/10である。
【0196】
条項27:第2の膜54は金属合金酸化物を備え、好ましくは錫酸塩を備える、条項25又は26に記載の低放射率被覆30。
【0197】
条項28:第1の膜52、及び/又は第3の膜56、及び/又は任意選択の第4の膜57は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを5nm〜15nmの範囲で有する、条項25から27までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0198】
条項29:第2の膜54は、幾何学的厚さを62nm〜84nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを72nm〜85nmの範囲で有する、条項25から28までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0199】
条項30:第2の金属機能層58は銀を備える、条項1から29のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0200】
条項31:第2の金属機能層58は、幾何学的厚さを7nm〜11nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを8.3nm〜9.5nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを8.7nm〜9.2nmの範囲で有する、条項1から30のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0201】
条項32:第2の下塗層60はチタンを備える、条項2から31のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0202】
条項33:第2の下塗層60は、幾何学的厚さを1.5nm〜3.6nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを1.8nm〜3.2nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを1.9nm〜3.1nmの範囲で有する、条項2から32のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0203】
条項34:第3の位相調節層62は、光学的厚さを46nm〜73nmの範囲で、好ましくは光学的厚さを55nm〜68nmの範囲で、より好ましくは光学的厚さを57nm〜67nmの範囲で有する、条項1から33のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0204】
条項35:第3の位相調節層62は、幾何学的厚さを23nm〜40nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを27nm〜35nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを28nm〜34nmの範囲で有する、条項1から34のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0205】
条項36:第3の位相調節層62は第1の膜64と第2の膜66とを備える、条項1から35のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0206】
条項37:第1の膜64は、金属酸化物、好ましくはドープされた金属酸化物、より好ましくは錫でドープされた酸化亜鉛を備える、条項36に記載の低放射率被覆30。例えば、ZnO90/10である。
【0207】
条項38:第2の膜66は金属合金酸化物材料を備え、好ましくは錫酸亜鉛を備える、条項36又は37に記載の低放射率被覆30。
【0208】
条項39:第1の膜64は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを5nm〜15nmの範囲で有する、条項36から38までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0209】
条項40:第2の膜66は、幾何学的厚さを9nm〜32nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを14nm〜28nmの範囲で有する、条項36から39までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0210】
条項41:保護層92は、金属、金属酸化物、及び金属窒化物から成る群から選択され、好ましくはチタニアである、条項2から40までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0211】
条項42:保護層92は、幾何学的厚さを4nm〜5.5nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを4.3nm〜5.25nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを4.4nm〜5.05nmの範囲で有する、条項2から41のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0212】
条項43:被覆30は、放射率を0.035〜0.065の範囲で、好ましくは0.04〜0.06の範囲で有する、条項1から42までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0213】
条項44:被覆30は、基準IGUのSHGCを0.4〜0.65の範囲で、好ましくは0.5〜0.6の範囲で、より好ましくは0.55〜0.59の範囲で提供する、条項1から43までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0214】
条項45:被覆30は、基準IGUの冬季/夜間のU値を、1.14〜2.27W/m2−K(0.2〜0.4BTU/hr−ft−°F)の範囲で、好ましくは1.31〜1.76W/m2−K(0.23〜0.31BTU/hr−ft−°F)の範囲で、より好ましくは1.36〜1.70W/m2−K(0.24〜0.30BTU/hr−ft−°F)の範囲で提供する、条項1から44までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0215】
条項46:被覆30は、基準IGUの外部で可視反射率を5〜20パーセントの範囲で、好ましくは10〜15パーセントの範囲で、より好ましくは11〜13パーセントの範囲で提供する、条項1から45までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0216】
条項47:被覆30は、基準IGUの可視光透過率を60〜95パーセントの範囲で、好ましくは70〜80パーセントの範囲で、より好ましくは72〜76パーセントの範囲で提供する、条項1から46までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0217】
条項48:被覆30は、基準IGUの透過Lを80〜95の範囲で、好ましくは85〜91の範囲で、より好ましくは88〜90の範囲で提供する、条項1から47までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0218】
条項49:被覆30は、基準IGUの透過aを1〜−4の範囲で、好ましくは−0.05〜−2.75の範囲で、より好ましくは−1〜−2.5の範囲で提供する、条項1から48までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0219】
条項50:被覆30は、基準IGUの透過bを3〜−1の範囲で、好ましくは0.5〜2の範囲で、より好ましくは0.7〜1.5の範囲で提供する、条項1から49までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0220】
条項51:被覆30は、基準IGUの外部反射Lを30〜50の範囲で、好ましくは40〜45の範囲で、より好ましくは41〜43の範囲で提供する、条項1から50までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0221】
条項52:被覆30は、基準IGUの外部反射aを3〜−3.5の範囲で、好ましくは−1〜−2.75の範囲で、より好ましくは−1.5〜−2.7の範囲で提供する、条項1から51までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0222】
条項53:被覆30は、基準IGUの外部反射bを3〜−3の範囲で、好ましくは1〜−1の範囲で、より好ましくは0.5〜−0.5の範囲で提供する、条項1から52までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0223】
条項54:被覆30は焼き戻しした被覆である、条項1から53のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0224】
条項55:第1の位相調節層40は、光学的厚さを75nm〜112nmの範囲で、好ましくは光学的厚さを84nm〜103nmの範囲で、より好ましくは光学的厚さを93nm〜95nmの範囲で有する、条項54に記載の低放射率被覆30。
【0225】
条項56:第1の位相調節層40は、幾何学的厚さを37nm〜56nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを44nm〜49nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを46nm〜48nmの範囲で有する、条項54又は55に記載の低放射率被覆30。
【0226】
条項57:第1の位相調節層40は第1の膜42と第2の膜44とを備え、第2の膜44は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを5nm〜15nmの範囲で有する、条項54から56までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0227】
条項58:第1の膜42は、幾何学的厚さを26nm〜46nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを32nm〜42nmの範囲で有する、条項57に記載の低放射率被覆30。
【0228】
条項59:第1の金属機能層46は、幾何学的厚さを5nm〜8nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを6.5nm〜7nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを6.6nm〜6.8nmの範囲で有する、条項54から58のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0229】
条項60:第1の下塗層48は、幾何学的厚さを2.5nm〜3.6nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを2.8nm〜3.2nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを2.9nm〜3.1nmの範囲で有する、条項54から59のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0230】
条項61:第2の位相調節層50は、光学的厚さを136nm〜204nmの範囲で、好ましくは光学的厚さを161nm〜178nmの範囲で、より好ましくは168nm〜172nmの範囲で有する、条項54から60のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0231】
条項62:第2の位相調節層50は、幾何学的厚さを68nm〜102nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを80nm〜89nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを84nm〜86nmの範囲で有する、条項54から61のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0232】
条項63:第2の位相調節層50は、第1の膜52、第2の膜54、第3の膜56、及び任意選択の第4の膜57を備え、第1の膜54、及び/又は第3の膜56、及び/又は任意選択の第4の膜57は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを5nm〜15nmの範囲で有する、条項54から62までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0233】
条項64:第2の膜54は、幾何学的厚さを65nm〜84nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを75nm〜85nmの範囲で有する、条項63に記載の低放射率被覆30。
【0234】
条項65:第2の金属機能層58は、幾何学的厚さを7nm〜11nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを8.5nm〜9.5nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを9nm〜9.2nmの範囲で有する、条項54から64のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0235】
条項66:第2の下塗層60は、幾何学的厚さを2.5nm〜3.6nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを2.8nm〜3.2nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを2.9nm〜3.1nmの範囲で有する、条項54から65のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0236】
条項67:第3の位相調節層62は、光学的厚さを46nm〜70nmの範囲で、好ましくは光学的厚さを55nm〜61nmの範囲で、より好ましくは光学的厚さを57nm〜59nmの範囲で有する、条項66に記載の低放射率被覆30。
【0237】
条項68:第3の位相調節層62は、幾何学的厚さを23nm〜35nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを27nm〜31nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを28nm〜30nmの範囲で有する、条項54から67のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0238】
条項69:第3の位相調節層62は第1の膜64と第2の膜66とを備える、条項54から68のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0239】
条項70:第1の膜64は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを5nm〜15nmの範囲で有する、条項69に記載の低放射率被覆30。
【0240】
条項71:第2の膜66は、幾何学的厚さを9nm〜28nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを14nm〜24nmの範囲で有する、条項69又は70に記載の低放射率被覆30。
【0241】
条項72:保護層92は、幾何学的厚さを4.5nm〜5.5nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを4.75nm〜5.25nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを4.95nm〜5.05nmの範囲で有する、条項54から71のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0242】
条項73:被覆30は、基準IGUのSHGCを0.55〜0.585の範囲で、好ましくは0.57〜0.58の範囲で提供する、条項54から72までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0243】
条項74:被覆30は、基準IGUの冬季/夜間のU値を、1.6〜1.8W/m2−K(0.28〜0.32BTU/hr−ft−°F)の範囲で、好ましくは1.66〜1.68W/m2−K(0.29〜0.30BTU/hr−ft−°F)の範囲で提供する、条項54から73までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0244】
条項75:被覆30は焼き戻ししていない被覆である、条項1から53のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0245】
条項76:第1の位相調節層40は、光学的厚さを72nm〜108nmの範囲で、好ましくは光学的厚さを85nm〜94nmの範囲で、より好ましくは光学的厚さを89nm〜91nmの範囲で有する、条項75に記載の低放射率被覆30。
【0246】
条項77:第1の位相調節層40は、幾何学的厚さを36nm〜54nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを42nm〜47nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを44nm〜46nmの範囲で有する、条項75又は76に記載の低放射率被覆30。
【0247】
条項78:第1の位相調節層40は第1の膜42と第2の膜44とを備え、第1の膜42は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを5nm〜15nmの範囲で有する、条項75から77までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0248】
条項79:第2の膜44は、幾何学的厚さを24nm〜44nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを30nm〜40nmの範囲で有する、条項78に記載の低放射率被覆30。
【0249】
条項80:第1の金属機能層46は、幾何学的厚さを5.5nm〜8.5nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを6.8nm〜7.5nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを7nm〜7.3nmの範囲で有する、条項75から79のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0250】
条項81:第1の下塗層48は、幾何学的厚さを1.5nm〜2.5nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを1.8nm〜2.2nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを1.9nm〜2.1nmの範囲で有する、条項75から80のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0251】
条項82:第2の位相調節層50は、光学的厚さを147nm〜181nmの範囲で、好ましくは光学的厚さを155nm〜172nmの範囲で、より好ましくは162nm〜186nmの範囲で有する、条項75から81のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0252】
条項83:第2の位相調節層50は、幾何学的厚さを65nm〜98nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを77nm〜86nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを81nm〜83nmの範囲で有する、条項75から82のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0253】
条項84:第2の位相調節層50は、第1の膜52、第2の膜54、第3の膜56、及び任意選択の第4の膜57を備え、第1の膜52、及び/又は第3の膜56、及び/又は任意選択の第4の膜57は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを5nm〜15nmの範囲で有する、条項75から83までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0254】
条項85:第2の膜54は、幾何学的厚さを62nm〜81nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを72nm〜77nmの範囲で有する、条項84に記載の低放射率被覆30。
【0255】
条項86:第2の金属機能層58は、幾何学的厚さを7nm〜11nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを8.3nm〜9.5nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを8.7nm〜8.9nmの範囲で有する、条項75から85のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0256】
条項87:第2の下塗層60は、幾何学的厚さを1.5nm〜2.5nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを1.8nm〜2.2nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを1.9nm〜2.1nmの範囲で有する、条項75から86のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0257】
条項88:第3の位相調節層62は、光学的厚さを59nm〜73nmの範囲で、好ましくは光学的厚さを62nm〜68nmの範囲で、より好ましくは光学的厚さを65nm〜67nmの範囲で有する、条項75から87のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0258】
条項89:第3の位相調節層62は、幾何学的厚さを26nm〜40nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを31nm〜35nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを32nm〜34nmの範囲で有する、条項75から88のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0259】
条項90:第3の位相調節層62は第1の膜64と第2の膜66とを備える、条項75から89のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0260】
条項91:第1の膜64は、幾何学的厚さを1nm〜20nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを5nm〜15nmの範囲で有する、条項90に記載の低放射率被覆30。
【0261】
条項92:第2の膜66は、幾何学的厚さを13nm〜32nmの範囲で、好ましくは、幾何学的厚さを18nm〜28nmの範囲で有する、条項90又は91に記載の低放射率被覆30。
【0262】
条項93:保護層92は、幾何学的厚さを4nm〜5nmの範囲で、好ましくは幾何学的厚さを4.3nm〜4.7nmの範囲で、より好ましくは幾何学的厚さを4.4nm〜4.6nmの範囲で有する、条項75から92のいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0263】
条項94:被覆30は、基準IGUのSHGCを0.56〜0.57の範囲で、好ましくは0.562〜0.566の範囲で提供する、条項75から93までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0264】
条項95:被覆30は、基準IGUの冬季/夜間のU値を、1.7〜1.82W/m2−K(0.299〜0.320BTU/hr−ft−°F)の範囲で、好ましくは1.71〜1.75W/m2−K(0.301〜0.308BTU/hr−ft−°F)の範囲で提供する、条項75から94までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0265】
条項96:低放射率被覆30は2つだけの金属機能層46、58を含む、条項1から95までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0266】
条項97:第1の金属機能層46は第2の金属機能層58より薄い、条項1から96までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0267】
条項98:第1の金属機能層46は、幾何学的厚さを、6nm〜8nmの範囲で、好ましくは、6.5nm〜7.5nmの範囲で有する、条項1から97までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0268】
条項99:第2の金属機能層58は、幾何学的厚さを、8nm〜10nmの範囲で、好ましくは、8.5nm〜9.5nmの範囲で有する、条項1から98までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0269】
条項100:第2の金属機能層58の幾何学的厚さによって除算された第1の金属機能層46の幾何学的厚さの割合が0.6〜1の範囲にある、条項1から99までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0270】
条項101:亜鉛及び錫の酸化物を備え、光学的厚さを84nm〜103nmの範囲で有する第1の位相調節層40と、第1の位相調節層40にわたって配置され、幾何学的厚さを6nm〜8nmの範囲で有する銀を備える第1の金属機能層46と、第1の金属機能層46にわたって配置される第1の下塗層48と、第1の下塗層48にわたって配置され、光学的厚さを155nm〜178nmの範囲で有する亜鉛及び錫の酸化物を備える第2の位相調節層50と、第2の位相調節層50にわたって配置され、幾何学的厚さを8nm〜10nmの範囲で有する銀を備える第2の金属機能層58と、第2の金属機能層58にわたって配置される第2の下塗層60と、第2の下塗層60にわたって配置され、光学的厚さを55nm〜68nmの範囲で有する亜鉛及び錫の酸化物を備える第3の位相調節層62と、第3の位相調節層62にわたって配置され、光学的厚さを10.5〜13の範囲で有する保護層92とを備える、条項1から100までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30。
【0271】
条項102:条項1から101までのいずれか1つに記載の低放射率被覆30を備える断熱ガラスユニット100、200。
【0272】
条項103:3番目の表面に低放射率被覆30を伴う二重断熱ガラスユニットである、条項102に記載の断熱ガラスユニット100、200。
【0273】
条項104:5番目の表面に低放射率被覆30を伴う三重断熱ガラスユニットである、条項102に記載の断熱ガラスユニット100、200。
【0274】
条項105:5番目の表面に低放射率被覆30と、2番目の表面216、3番目の表面220、又は4番目の表面222に配置され、好ましくは2番目の表面216又は3番目の表面220に配置され、より好ましくは2番目の表面216に配置される第2の被覆238とを伴う三重断熱ガラスユニット200である、条項102に記載の断熱ガラスユニット100、200。
【0275】
条項106:第2の被覆238は第1の被覆30と同じである、条項105に記載の断熱ガラスユニット200。
【0276】
条項107:第2の被覆238は第1の被覆30と異なる、条項105又は106に記載の断熱ガラスユニット200。
【0277】
条項108:第1の被覆30は2つの金属機能層46、58を有し、第2の被覆238は1つだけの金属機能層を有する、条項105から107のいずれか1つに記載の断熱ガラスユニット200。
【0278】
条項109:第2の被覆238は第1の被覆30より大きいSHGCを有する、条項105から108のいずれか1つに記載の断熱ガラスユニット200。
【0279】
条項110:第2の被覆238は第1の被覆30より大きいU値を有する、条項105から109のいずれか1つに記載の断熱ガラスユニット200。
【0280】
条項111:条項1から101のいずれか1つに記載の低放射率被覆30の、IGU100、200における使用。
【0281】
先の記載において開示された概念から逸脱することなく本発明に改良がおこなわれ得ることは、当業者によって容易に理解されるであろう。したがって、本明細書で詳細に記載された具体的な実施例は、単なる例示であり、本発明の範囲を限定することはなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲と、その任意のすべての等価物の最大範囲を与えられることになる。
図1
図2
図3