(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773836
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】プライマリレバーおよびワイパーブレード
(51)【国際特許分類】
B60S 1/38 20060101AFI20201012BHJP
B60S 1/32 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
B60S1/38 B
B60S1/32 B
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-73046(P2019-73046)
(22)【出願日】2019年4月5日
(65)【公開番号】特開2020-169005(P2020-169005A)
(43)【公開日】2020年10月15日
【審査請求日】2019年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230515
【氏名又は名称】株式会社デンソーワイパシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】我妻 丈生
(72)【発明者】
【氏名】青木 義明
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 聡
(72)【発明者】
【氏名】菅原 善之
【審査官】
森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−028947(JP,A)
【文献】
特開2007−253924(JP,A)
【文献】
特開2006−327589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00−1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライマリレバーであって、
ワイパーアームのアームピースに装着可能なクリップを収容する収容部と、
前記収容部内に設けられた補強手段と、
前記収容部の前記アームピース側とは反対側に形成された第1の開口部と、を備え、
前記プライマリレバーは、カバー部材用の材料から構成されており、
前記収容部は、第1から第4までの側壁の内壁部によって画定され、
前記クリップは、前記収容部内で回転可能に前記プライマリレバーに支持されており、
前記補強手段は、前記クリップの回転の支障とならない位置で、前記第1から第4までの側壁のうちの1つの側壁の内壁部から、前記第1から第4までの側壁のうちの他の側壁の内壁部に向けて延在し、
前記補強手段は、前記第1の開口部の少なくとも一部を覆うように形成された第1の補強部材を有する
プライマリレバー。
【請求項2】
請求項1に記載のプライマリレバーであって、
前記収容部内で前記クリップを回転可能に支持するクリップ支持軸を備え、
前記第1の補強部材は、前記第1の開口部の前記クリップ支持軸と対向する位置で、前記プライマリレバーの幅方向に前記第1の開口部を横切って形成される
プライマリレバー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプライマリレバーであって、
前記第1から第4までの側壁のうちの1つの側壁の内壁部から、前記第1の補強部材に向けて延在する補助補強部材を備えた
プライマリレバー。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のプライマリレバーであって、
前記第1の補強部材は、前記プライマリレバーの幅方向に前記第1の開口部を横切って形成され、
前記第1の補強部材は、側壁の内壁部との間に段差が形成されるように、前記側壁の内壁部に接合される
プライマリレバー。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のプライマリレバーであって、
前記補強手段は、前記プライマリレバーの幅方向に互いに対向する2つの側壁の内壁部間を延在する軸状の第2の補強部材を有する
プライマリレバー。
【請求項6】
プライマリレバーであって、
ワイパーアームのアームピースに装着可能なクリップを収容する収容部と、
前記収容部内に設けられた補強手段と、を備え、
前記プライマリレバーは、カバー部材用の材料から構成されており、
前記収容部は、第1から第4までの側壁の内壁部によって画定され、
前記クリップは、前記収容部内で回転可能に前記プライマリレバーに支持されており、
前記補強手段は、前記クリップの回転の支障とならない位置で、前記第1から第4までの側壁のうちの1つの側壁の内壁部から、前記第1から第4までの側壁のうちの他の側壁の内壁部に向けて延在し、
前記補強手段は、前記プライマリレバーの幅方向に互いに対向する2つの側壁の内壁部間を延在する軸状の第2の補強部材を有する
プライマリレバー。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のプライマリレバーであって、
前記収容部内で回転可能に前記プライマリレバーに支持されたホルダを備え、
前記第2の補強部材は、前記ホルダを支持するホルダ支持軸である
プライマリレバー。
【請求項8】
請求項7に記載のプライマリレバーであって、
前記ホルダ支持軸は、前記収容部の長手方向一端側および他端側にそれぞれ形成される
プライマリレバー。
【請求項9】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のプライマリレバーであって、
前記収容部の前記アームピース側に形成された第2の開口部と、
前記第2の開口部の少なくとも一部を開閉可能なホルダであって、前記収容部内で回転可能に前記プライマリレバーに支持されたホルダと、を備え、
前記収容部は、前記クリップが収容可能なクリップ収容部と、前記クリップ収容部に隣接したクリップ非収容部とを有し、前記クリップ収容部と前記クリップ非収容部とは、前記プライマリレバーの長手方向に沿って配置され、前記第2の開口部に連通しており、
前記ホルダは、前記第2の開口部のうち、前記クリップ非収容部上の部分を閉じる閉位置と、前記第2の開口部のうち、前記クリップ非収容部上の部分を開ける開位置との間を移動する
プライマリレバー。
【請求項10】
請求項9に記載のプライマリレバーであって、
前記クリップは、その向きを変えて、前記クリップ非収容部にも配置でき、また、
前記クリップが、前記クリップ非収容部に配置されたとき、前記ホルダは、前記第2の開口部のうち、前記クリップ収容部上の部分を閉じる閉位置と、前記第2の開口部のうち、前記クリップ収容部上の部分を開ける開位置との間を移動する
プライマリレバー。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載のプライマリレバーであって、
前記クリップと前記ホルダとが、前記収容部に並んで配置されている
プライマリレバー。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のプライマリレバーであって、
前記カバー部材用の材料は、樹脂製である
プライマリレバー。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載のプライマリレバーと、
前記プライマリレバーに装着されたブレードラバーアッセンブリと、を備えた
ワイパーブレード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プライマリレバーおよびこれを用いたワイパーブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ワイパーアームは、車両に固定されるアームヘッドと、フロントガラスを払拭するためのワイパーブレードを保持可能なアームピースと、このアームピースに連結されるリテーナと、このリテーナをアームヘッドに枢動可能に取り付けるための軸受け装置とを備えている。アームヘッドは、ボルトを通して車体に固定できるようにボルト孔がその一端に設けられており、反対側の他端にはヒンジ部が設けられている。
【0003】
ワイパーブレードは、フロントガラスを払拭するためのブレードラバーアッセンブリと、このブレードラバーアッセンブリをアームピースに保持可能に取り付けるためのレバーアッセンブリとを備えている。レバーアッセンブリは、プライマリレバー、セカンダリレバー、ヨーク等の複数のレバー部材から構成されている。
【0004】
近年、レバー部材を樹脂製のカバー部材で覆うことにより外観を向上させたワイパーブレード(いわゆるデザインブレード)が用いられるようになってきている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1で提案されているワイパーブレードは、ブレードラバーアッセンブリを支持する支持部を構成するレバーアッセンブリとして、プライマリレバーとセカンダリレバーとを備えている。また、このワイパーブレードは、これらのレバーアッセンブリを覆うカバー部材として、センターカバー部とサイドカバー部とを備えている。
【0006】
一方、部品点数を削減してコストの低減を図るとともに外観を向上させるために、プライマリレバーをカバー部材用の材料(例えば、樹脂)から構成し、セカンダリレバーやヨーク等を省略して、このプライマリレバーのみからレバーアッセンブリを構成するワイパーブレードが提案されている。このワイパーブレードでは、プライマリレバーだけでブレードラバーアッセンブリを支持する構造となっている。
【0007】
図9および
図10は、このようなワイパーブレード50の構成を示している。
図9および
図10において、プライマリレバー52のほぼ中央部には、クリップ54を収容する収容部56が設けられている。クリップ54は、収容部56内に設けられたクリップ支持軸58により、収容部56内の一方の側に回転可能に支持されている。
【0008】
そして、クリップ54を、収容部56から部分的に突出する方向に回転させることにより、アームピース(図示せず)と連結できる。また、プライマリレバー52には、アームピースをクリップ54と連結した際に、クリップ54に隣接した部位に形成される空間を塞ぐためのホルダ60が設けられている。
【0009】
図9および
図10に示したプライマリレバー52は、右ハンドル用および左ハンドル用にそれぞれ専用で設定されている。このとき、プライマリレバー52の長手方向に沿った収容部56の長さは、クリップ54およびホルダ60が右ハンドル用および左ハンドル用に対応する一方の向きにしか取り付けられないことを考慮して決定される。以下、プライマリレバーの長手方向に沿った収容部の長さを、収容部のサイズと称する。
【0010】
また、近年、部品を共通化してコストを低減するために、収容部のサイズを大きくして、クリップを取り付ける向きを変えて収容部に配置できるようにすることで、右ハンドル用および左ハンドル用のプライマリレバーを共用化することが提案されている。
【0011】
図11は、このようなワイパーブレード50の構成を示している。
図11において、プライマリレバー52に設けられた収容部56は、
図10に示した収容部56よりも大きなサイズを有している。また、収容部56は、クリップ54が支持されるクリップ支持軸58に対して、左右対称の形状を有している。これにより、クリップ54を一方の向きまたはその逆向きに取り付けることができ、1つのプライマリレバー52を左右両ハンドルに用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第4227052号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図9および
図10に示したようなワイパーブレード50のプライマリレバー52において、収容部56のサイズが大きくなると、プライマリレバー52の強度を確保することが困難になるという問題がある。
【0014】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、収容部のサイズを大きくした場合であっても、強度を確保することができるプライマリレバーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、例えば、以下の態様として実現することが可能である。
第1態様によれば、プライマリレバーであって、ワイパーアームのアームピースに装着可能なクリップを収容する収容部と、収容部内に設けられた補強手段と、を備え、プライマリレバーは、カバー部材用の材料から構成されており、収容部は、第1から第4までの側壁の内壁部によって画定され、クリップは、収容部内で回転可能にプライマリレバーに支持されており、補強手段は、クリップの回転の支障とならない位置で、第1から第4までの側壁のうちの1つの側壁の内壁部から、第1から第4までの側壁のうちの他の側壁の内壁部に向けて延在するプライマリレバーが提供される。
【0016】
第2態様によれば、第1態様のプライマリレバーにおいて、収容部のアームピース側とは反対側に形成された第1の開口部を備え、補強手段は、第1の開口部の少なくとも一部を覆うように形成された第1の補強部材を有する。
【0017】
第3態様によれば、第2態様のプライマリレバーにおいて、収容部内でクリップを回転可能に支持するクリップ支持軸を備え、第1の補強部材は、第1の開口部のクリップ支持軸と対向する位置で、プライマリレバーの幅方向に第1の開口部を横切って形成される。
【0018】
第4態様によれば、第2態様または第3態様のプライマリレバーにおいて、第1から第4までの側壁のうちの1つの側壁の内壁部から、第1の補強部材に向けて延在する補助補強部材を備えている。
【0019】
第5態様によれば、第2態様から第4態様までのいずれかのプライマリレバーにおいて、第1の補強部材は、プライマリレバーの幅方向に第1の開口部を横切って形成され、第1の補強部材は、側壁の内壁部との間に段差が形成されるように、側壁の内壁部に接合される。
【0020】
第6態様によれば、第1態様から第5態様までのいずれかのプライマリレバーにおいて、補強手段は、プライマリレバーの幅方向に互いに対向する2つの側壁の内壁部間を延在する軸状の第2の補強部材を有する。
【0021】
第7態様によれば、第6態様のプライマリレバーにおいて、収容部内で回転可能にプライマリレバーに支持されたホルダを備え、第2の補強部材は、ホルダを支持するホルダ支持軸である。
【0022】
第8態様によれば、第7態様のプライマリレバーにおいて、ホルダ支持軸は、収容部の長手方向一端側および他端側にそれぞれ形成される。
【0023】
第9態様によれば、第1態様から第6態様までのいずれかのプライマリレバーにおいて、収容部のアームピース側に形成された第2の開口部と、第2の開口部の少なくとも一部を開閉可能なホルダであって、収容部内で回転可能にプライマリレバーに支持されたホルダと、を備え、収容部は、クリップが収容可能なクリップ収容部と、クリップ収容部に隣接したクリップ非収容部とを有し、クリップ収容部とクリップ非収容部とは、プライマリレバーの長手方向に沿って配置され、第2の開口部に連通しており、ホルダは、第2の開口部のうち、クリップ非収容部上の部分を閉じる閉位置と、第2の開口部のうち、クリップ非収容部上の部分を開ける開位置との間を移動する。
【0024】
第10態様によれば、第9態様のプライマリレバーにおいて、クリップは、その向きを変えて、クリップ非収容部にも配置でき、また、クリップが、クリップ非収容部に配置されたとき、ホルダは、第2の開口部のうち、クリップ収容部上の部分を閉じる閉位置と、第2の開口部のうち、クリップ収容部上の部分を開ける開位置との間を移動する。
【0025】
第11態様によれば、第9態様または第10態様のプライマリレバーにおいて、クリップとホルダとが、収容部に並んで配置されている。
【0026】
第12態様によれば、第1態様から第11態様までのいずれかのプライマリレバーにおいて、カバー部材用の材料は、樹脂製である。
【0027】
第13態様によれば、第1態様から第12態様までのいずれかのプライマリレバーと、プライマリレバーに装着されたブレードラバーアッセンブリと、を備えたワイパーブレードが提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、カバー部材用の材料から構成されたプライマリレバーにおいて、クリップの回転の支障とならない位置で、収容部を画定する第1から第4までの側壁のうちの1つの側壁の内壁部から、第1から第4までの側壁のうちの他の側壁の内壁部に向けて延在する補強手段を設けている。これにより、収容部のサイズを大きくした場合であっても、プライマリレバーの強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係るワイパーブレードの一部を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るワイパーブレードの一部を示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るワイパーブレードの一部を示す断面斜視図である。
【
図4】
図2に示したワイパーブレードの一部を背面側から見た斜視図である。
【
図5】
図2に示したワイパーブレードの一部を拡大した斜視図である。
【
図6】
図2に示したワイパーブレードの一部を拡大した平面図である。
【
図7】
図1に示したワイパーブレードの一部を拡大した断面斜視図である。
【
図8】
図1に示したワイパーブレードの一部を拡大した斜視図である。
【
図9】従来技術に係るワイパーブレードの一部を示す斜視図である。
【
図10】従来技術に係るワイパーブレードの一部を示す平面図である。
【
図11】従来技術に係るワイパーブレードの一部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明によるプライマリレバーの好適な実施形態につき
図1〜
図8に基づいて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0031】
ワイパーブレード10は、被払拭面(例えば、自動車のフロントガラス)を払拭するためのブレードラバーアッセンブリ(図示せず)と、このブレードラバーアッセンブリを装着し、ブレードラバーアッセンブリをワイパーアームのアームピース(図示せず)に保持可能に取り付けるためのレバーアッセンブリとしてのプライマリレバー12とを備えている。
【0032】
レバーアッセンブリは、プライマリレバー12から構成されている。すなわち、部品点数を削減してコストの低減を図るために、ワイパーブレード10には、セカンダリレバーやヨーク等が設けられておらず、このプライマリレバー12のみからレバーアッセンブリが構成されている。プライマリレバー12は、その外観を向上させるために、カバー部材に用いられる材料(例えば、樹脂)から形成されている。
【0033】
プライマリレバー12のほぼ中央部には、ワイパーアームのアームピースに装着可能なクリップ14を収容する収容部16が設けられている。クリップ14は、収容部16内に設けられたクリップ支持軸18(
図2参照)により、収容部16内で回転可能に支持されている。クリップ14は、プライマリレバー12とは別体に形成されており、ワイパーブレード10をワイパーアーム(図示せず)に連結させるための結合部材である。
【0034】
プライマリレバー12は、収容部16のうちアームピースが配置される側に、開口部20(第2の開口部)を有している(
図3参照)。より具体的には、収容部16は、
図3中の上方に開口部20を有している。また、プライマリレバー12は、開口部20の少なくとも一部を開閉可能なホルダ22を有している。ホルダ22は、収容部16内に設けられたホルダ支持軸24(
図2参照)により、収容部16内で回転可能に支持されている。クリップ14とホルダ22とは、プライマリレバー12の長手方向に沿って、収容部16に並んで配置されている。
【0035】
収容部16は、クリップ14が収容されるクリップ収容部26と、このクリップ収容部26に沈設したクリップ非収容部28とを有している(
図2参照)。クリップ収容部26とクリップ非収容部28とは、プライマリレバー12の長手方向に沿って配置され、開口部20に連通している。ホルダ22は、開口部20のうち、クリップ非収容部28上の部分を閉じる閉位置と、開口部20のうち、クリップ非収容部28上の部分を開ける開位置との間を移動する。
【0036】
本実施形態においては、クリップ14の向きを逆にして、収容部16の他方側にも回転可能にクリップ14を取り付けることができ、これによって、1つのプライマリレバー12を左右両ハンドルに用いることが可能となっている。すなわち、クリップ14は、その向きを変えて、クリップ非収容部28にも配置することができる。
【0037】
このとき、ホルダ22は、収容部16内に設けられたホルダ支持軸30(
図2参照)により、収容部16内で回転可能に支持される。ホルダ支持軸24およびホルダ支持軸30は、収容部16の長手方向一端側および他端側にそれぞれ形成されている。また、このとき、ホルダ22は、開口部20のうち、クリップ収容部26上の部分を閉じる閉位置と、開口部20のうち、クリップ収容部26上の部分を開ける開位置との間を移動する。
【0038】
プライマリレバー12は、長尺状のレバー本体としての天板12aと、この天板12aの幅方向の一端から折り曲げて形成された第1の側壁12bと、天板12aの幅方向の他端から折り曲げて形成された第2の側壁12cとを有している。また、第1の側壁12bの一方側と第2の側壁12cの一方側との間には、第3の側壁12dが延在している(
図2参照)。第1の側壁12bの他方側と第2の側壁12cの他方側との間には、第4の側壁12eが延在している(
図2参照)。収容部16は、第1の側壁12b、第2の側壁12c、第3の側壁12dおよび第4の側壁12eの内壁部によって画定されている。
【0039】
収容部16を画定する第1の側壁12bの部分と第2の側壁12cの部分とは、ほぼ平行に天板12aから延在しているが、収容部16を画定する第2の側壁12cの部分以外の第2の側壁12cの部分は、第1の側壁12bよりも天板12aから緩く傾斜している。
そして、プライマリレバー12が右ハンドル用に用いられた場合でも、左ハンドル用に用いられた場合でも、常に、緩やかな傾斜面を有する第2の側壁12cが、フロントガラス上で下になるように、プライマリレバー12が配置される。これにより、走行中に、傾斜面を有する第2の側壁12cにダウンフォースが働き、払拭作業が良好となる。
【0040】
プライマリレバー12は、収容部16のうちアームピースが配置される側とは反対側に、開口部32(第1の開口部)を有している(
図3参照)。より具体的には、収容部16は、
図3中の下方に開口部32を有している。また、プライマリレバー12は、プライマリレバー12の幅方向に開口部32を横切って、第1の側壁12bの内壁部から、第2の側壁12cの内壁部に向けて延在する板状の橋渡し部材34(第1の補強部材)を有している(
図4参照)。
【0041】
橋渡し部材34は、開口部32のクリップ支持軸18と対向する位置で、かつクリップ14の回転の支障とならない位置に設けられている。橋渡し部材34を設けることにより、クリップ支持軸18にかかる応力を橋渡し部材34に分散させることができ、プライマリレバー12の強度を向上させることができる。すなわち、収容部16のサイズを大きくした場合であっても、クリップ支持軸18を金属部品等で補強したり、収容部16を画定する側壁を肉厚化したりすることなく、プライマリレバー12の強度を確保することができる。
【0042】
プライマリレバー12は、第3の側壁12dから橋渡し部材34に向けて延在する橋渡し部材36(補助補強部材)、および第4の側壁12eから橋渡し部材34に向けて延在する橋渡し部材38(補助補強部材)を有している(
図4参照)。橋渡し部材36および橋渡し部材38を設けることにより、プライマリレバー12の強度をより向上させることができる。橋渡し部材36および橋渡し部材38は、いずれか一方のみが設けられてもよいし、橋渡し部材34のみで十分な強度が確保できる場合には、設けられなくてもよい。
【0043】
なお、橋渡し部材は、上述したものに限定されない。橋渡し部材は、クリップ14の回転の支障とならない位置で、かつ第1の側壁12bから第4の側壁12eまでのうちの1つの内壁部から、第1の側壁12bから第4の側壁12eまでのうちの他の内壁部に向けて延在し、開口部32の少なくとも一部を覆うように形成されていれば、どこに設けられてもよい。橋渡し部材を設けることにより、収容部16のサイズを縮小したのと同等の効果が得られるため、収容部16を画定する側壁を肉厚化することなく、プライマリレバー12の強度を確保することができる。
【0044】
また、橋渡し部材34は、第2の側壁12cとの間に段差40が形成されるように、第2の側壁12cに接合されている(
図4参照)。上述したように、プライマリレバー12は、第2の側壁12cが、フロントガラス上で常に下になるように配置される。これにより、走行中に、第2の側壁12c側から収容部16内に進入した空気を、第1の側壁12b側から容易に流出させることができ、ワイパーブレードの浮き上がりを抑制することができる。
【0045】
上述したホルダ支持軸24およびホルダ支持軸30は、プライマリレバー12の互いに対向する第1の側壁12bの内壁部と第2の側壁12cの内壁部との間を延在する軸状部材であり、ホルダ22を収容部16内で回転可能に支持することができる。また、ホルダ支持軸24およびホルダ支持軸30は、クリップ14の回転の支障とならない位置に設けられている(
図8参照)。
【0046】
従来、ホルダ22を支持する部材として、ダボが用いられてきたが、ダボは、プライマリレバー12の強度に寄与しないため、収容部16のサイズが大きくなると、プライマリレバー12の強度を確保することが困難になる。そこで、ダボに代えて、第1の側壁12bの内壁部と第2の側壁12cの内壁部との間を延在する軸状部材であるホルダ支持軸24およびホルダ支持軸30を設けて、これらを第2の補強部材として用いることができる。
【0047】
ホルダ支持軸24およびホルダ支持軸30を設けることにより、収容部16のサイズを縮小したのと同等の効果が得ることができ、プライマリレバー12の強度を向上させることができる。すなわち、収容部16のサイズを大きくした場合であっても、収容部16を画定する側壁を肉厚化することなく、プライマリレバー12の強度を確保することができる。なお、ホルダ支持軸24およびホルダ支持軸30以外の位置で、かつクリップ14の回転の支障とならない位置で、第1の側壁12bの内壁部と第2の側壁12cの内壁部との間に延在する別の軸状部材を設けてもよい。また、軸状部材に限定されず、他の形状の部材を設けてもよい。
【0048】
このプライマリレバー12によれば、ワイパーアームのアームピースに装着可能なクリップ14を収容する収容部16と、収容部16内に設けられた補強手段である橋渡し部材34、ホルダ支持軸24およびホルダ支持軸30と、を備えてる。また、プライマリレバー12は、カバー部材用の材料から構成されており、収容部16は、第1から第4までの側壁12b〜12eの内壁部によって画定され、クリップ14は、収容部16内で回転可能にプライマリレバー12に支持されており、補強手段は、クリップ14の回転の支障とならない位置で、第1から第4までの側壁12b〜12eのうちの1つの側壁の内壁部から、第1から第4までの側壁12b〜12eのうちの他の側壁の内壁部に向けて延在する。そのため、収容部16のサイズを大きくした場合であっても、プライマリレバー12の強度を確保することができる。
【0049】
以上、本発明の幾つかの実施形態のみを説明したが、本発明の新規の教示や利点から実質的に外れることなく例示の実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者には容易に理解できるであろう。従って、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含むことを意図する。また、上記実施形態を任意に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…ワイパーブレード
12…プライマリレバー
12a…天板
12b…第1の側壁
12c…第2の側壁
12d…第3の側壁
12e…第4の側壁
14…クリップ
16…収容部
18…クリップ支持軸
20…開口部(第2の開口部)
22…ホルダ
24…ホルダ支持軸(第2の補強部材)
26…クリップ収容部
28…クリップ非収容部
30…ホルダ支持軸
32…開口部(第1の開口部)
34…橋渡し部材(第1の補強部材)
36…橋渡し部材(補助補強部材)
38…橋渡し部材(補助補強部材)
40…段差
50…ワイパーブレード
52…プライマリレバー
54…クリップ
56…収容部
58…クリップ支持軸
60…ホルダ