(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前記第1の感知キャパシタは、前記プルーフマスに接続された自由端ビームおよび前記基板に据えつけられた固定電極から形成される、請求項1に記載の角および直線加速度計。
【発明を実施するための形態】
【0008】
  出願人は、直線および角加速度の検出が、例えば単一のプルーフマスまた互いに弾性的に接続された複数のマスを有する加速度計として実施され得る単一の微小電気機械システム(MEMS)デバイスを使用して実行され得ることを認識した。角および直線加速度計が別々のデバイスを形成する従来のシステムと比較して、本明細書に記載されるタイプのMEMS加速度計はよりコンパクトであり、そのため、空間の使用(例えば、基板上で使用される空間)およびコストの実質的な削減が可能になる。
 
【0009】
  本明細書に記載されるタイプのMEMS加速度計は、角加速度および直線加速度を、またはその欠如を検出することが望ましい様々なシステムで使用し得る。これらのMEMS加速度計を組み込んだデバイスは、モノのインターネット(IOT)ネットワークで使用されてもよい。例えば、フィットネスセンサーやヘルスケアモニターを含むウェアラブルデバイス、産業用機器および診断用ツール、軍事用機器、およびヘルスケアモニター機器は、本明細書に記載されるタイプの加速度計を採用し得る。
 
【0010】
  本出願のいくつかの態様によれば、MEMS加速度計は、1軸、2軸または3軸周りの角加速度、および1軸、2軸または3軸についての直線加速度を検出するように構成された単一のデバイスを備えてもよい。
図1は、x軸、y軸および/またはz軸周りの角加速度、およびx軸、y軸および/またはz軸に平行な方向の直線加速度を検出するように構成されたMEMS加速度計101を模式的に図示する。そのため、MEMS加速度計101は、2軸慣性センサー(例えば、1軸角加速度計および1軸直線加速度計)として、3軸慣性センサー(例えば、2軸角加速度計および1軸直線加速度計、または1軸角加速度計および2軸直線加速度計)として、4軸慣性センサー(例えば、2軸角加速度計および2軸直線加速度計、1軸角加速度計および3軸直線加速度計、または3軸角加速度計および1軸直線加速度計)として、5軸慣性センサー(例えば、3軸角加速度計および2軸直線加速度計、または2軸角加速度計および3軸直線加速度計)として、または本明細書では「6自由度(6DOF)加速度計」とも呼ばれる、6軸慣性センサー(例えば、3軸角加速度計および3軸直線加速度計)として、動作するように構成されてもよい。
 
【0011】
  いくつかの実施形態では、MEMS加速度計101は、1つ以上のアンカーを介して下にある基板に接続され得る単一のマスを備える。他の実施形態では、MEMS加速度計101は、互いに弾性的に連結された複数のマスを備えてもよい。これらのマスのうちの1つ(プルーフマス)は、1つ以上のアンカーを介して基板に接続され、他のプルーフマス(シャトルマス)は、例えば1つ以上のばねを介してプルーフマスに接続されてもよい。これらの構成の例を以下に提供する。もちろん、本明細書に記載されるタイプのMEMS加速度計は、特記しない限り、特定の数のマスに、または特定の配置に限定されない。
 
【0012】
  いくつかの実施形態では、単一のプルーフマスを有するMEMS加速度計を使用して、角加速度ならびに直線加速度を検出し得る。MEMS加速度計は、1つ以上のテザーを介して1つ以上のアンカー(下にある基板に接続されている)に接続し得る。テザーは、例えば、直線ならびに角加速度に応答して、例えばトルク、屈曲、変形、伸張または圧縮によって応答し得る。すなわち、テザーは、直線感知素子と角感知素子との間で共有されてもよい。そのような構成の一例が
図2に描かれている。
 
【0013】
  図2は、いくつかの非限定的実施形態による、角および直線加速度を検出するためのMEMS加速度計を模式的に図示している。図示のように、MEMS加速度計は、単一のプルーフマス200、固定構造体235、ビーム236、中央部分230、テザー232、マス部分201、211、および221、ビーム215、角z感知ビーム216、直線x感知ビーム226、および直線y感知ビーム228を備える。
 
【0014】
  プルーフマス200は、シリコン、ドープシリコン、ポリシリコンまたはドープポリシリコンなどの導電性材料で(少なくとも部分的に)作製されてもよい。シリコンおよび/またはポリシリコンは、いくつかの実施形態では10
16cm
−3〜5×10
20cm
−3、いくつかの実施形態では10
18cm
−3〜10
20cm
−3、いくつかの実施形態では5×10
18cm
−3〜5×10
19cm
−3、または任意の適切な値の間、または値の範囲の、ドーピング濃度を有するn型ドープおよび/またはp型ドープであってもよい。他の値もまた可能である。代わりに、他の導電性材料を使用することもできる。
 
【0015】
  プルーフマス200は、限定されないが、多角形(例えば、長方形または正方形)、円板または楕円形を含む任意の適切な形状を有し得る。いくつかの実施形態では、プルーフマス200は、マス部分201、211、および221などの1つ以上のマス部分を備えてもよい。マス部分211および221は、リング状構成に配備されてもよく、いくつかの実施形態では同心円状リングを形成してもよいが、すべての実施形態がこの点において制限されているわけではない。マス部分201は、プルーフマス200の周辺近くに配置し得る。
図2は、3つのマス部分を有するプルーフマス200を図示している。しかしながら、本出願は、特定の数のマス部分に限定されない。各マス部分は、内縁および外縁を有し得る。各外縁は、それぞれの内縁を備える区域を境界付けてもよい。例えば、マス部分201は、内縁204を備える区域を境界付ける外縁202を有してもよい。様々なマス部分は、支持ビーム215のような1つ以上の支持ビームを介して接続されてもよい。
図2は、4つの支持ビームを有するプルーフマスを図示しているが、任意の他の適切な数の支持ビームを使用してもよい。支持ビームは、図に示すような長方形の形状、または他の適切な形状を有し得る。
 
【0016】
  いくつかの実施形態では、プルーフマス200は、中央部分230を備えてもよい。中央部分230は、いくつかの実施形態では、プルーフマス200の中心を囲む区域を画定し得る。いくつかの実施形態では、中央部分230は、1つ以上のアンカー(
図2には示されていない)に接続されてもよい。アンカーは、基板に接続されていてもよい。いくつかの実施形態では、x軸および/またはy軸の周りの1つ以上のねじりに応答して、アンカーは、プルーフマス200のための枢動支点として機能し得る。中央部分230は、任意の適切な形状を有してもよい。例えば、中央部分230は、正方形、長方形、円形、楕円形、などを有してもよい。
 
【0017】
  いくつかの実施形態では、テザー232などの複数のテザーは、中央部分230を内側マス部分に接続してもよい。テザーの例は、以下でさらに説明される。いくつかの実施形態では、テザーは、加速度に応答して復元力を提供するように構成されるばねとして働き得る。ばねは、プルーフマスを摂動のない状態に戻すように作用し得る。テザーの弾性定数は、テザーの形状に依存し得る。テザーは、加速に応答してプルーフマス200の運動を可能にし得る。例えば、プルーフマス200がx軸周りの角加速度を経験するとき、テザーの少なくともいくつかは、平面外にトルクを与え、このため、プルーフマスがx軸の周りに傾くことを可能にする。別の例として、プルーフマス200がz軸周りの角加速度を経験するとき、テザーはxy平面内で変形し、このため、プルーフマスの面内回転を可能にする。さらに別の例として、プルーフマス200がx軸に沿った直線加速度を経験するとき、テザーのいくつかはx軸に沿って伸張し、テザーのいくつかはx軸に沿って収縮し、このため、x軸に沿ったプルーフマスの変位を可能にする。さらに別の例として、プルーフマス200がz軸に沿った直線加速度を経験するとき、テザーは、平面外に屈曲する可能性があり、このため、プルーフマスが下にある基板に接近または基板から離れるように動くことを可能にする。
 
【0018】
  図2のMEMS加速度計は、1軸、2軸、または3軸周りの角加速度を検出するように構成し得る。
 
【0019】
  いくつかの実施形態では、プルーフマス200は、z軸周りのねじりを検出するために、角z感知ビーム216のような複数のビームを備えてもよい。本出願では、
図2に図示されるタイプの「ビーム」は、代わりに、「フィンガー」、「クランプフリービーム」と呼ばれることがあり、いくつかの実施形態では、カンチレバーとすることがある。いくつかの実施形態では、ビームは、内縁204のようなマス部分の内縁に固定し得る。いくつかの実施形態では、ビームは、それらが内縁204に接触する領域がそれらの唯一の固定点であるように掛け得る。いくつかの実施形態では、ビームはプルーフマス200の中心に向かって延在し得る。いくつかの実施形態では、ビームはプルーフマス200の中心に向かって半径方向に延在し得る。z軸周りのねじりに応答して、ビームは内縁204に接触する領域の周りでxy平面上で枢動し得る。以下でさらに説明するように、ビームが動くにつれて、静電容量などのパラメータの変動が検出され得る。プルーフマス200は、任意の適切な数の角z感知ビームを備え得る。いくつかの実施形態では、プルーフマス200は、
図2に図示するように、マス部分211の内縁に接触する第2のビームの組を備え得る。
図2は、プルーフマス200が2つのビームの組を有するものとして図示しているが、本出願は、この点で限定されず、0より大きい任意の他の適切な数のビームの組を使用してもよい。いくつかの実施形態では、ビーム接触マス部分201は、ビーム接触マス部分211よりも長くてもよい。いくつかの実施形態では、ビーム接触マス部分201は、ビーム接触マス部分211の角ピッチよりも小さい角ピッチを有してもよい。
 
【0020】
  図3は、本出願の一非限定的実施形態による、一端がプルーフマスの内縁に固定されたビームを備える角z感知素子300の上面図である。角z感知素子300は、内縁204と接触するビーム216を備え得る。いくつかの実施形態では、ビーム216は、z軸周りのねじりに応答して、矢印320および矢印321によって図示されるように、xy平面内を動くように構成され得る。いくつかの実施形態では、角z感知素子300は電極313を備え得る。電極313は、いくつかの実施形態において、ビーム216に隣接していてもよい。電極313は、いくつかの実施形態において、アルミニウム、銅、ドープシリコン、および/またはドープポリシリコンなどの導電性材料を備え得る。いくつかの実施形態では、電極313はポスト316に接続されてもよい。ポスト316は、基板に接続されてもよい。
図3は、1つのポストを介して基板に接続された電極313を図示しているが、1つより大きい任意の他の適切な数のポストを使用してもよい。いくつかの実施形態では、電極として電極313およびビーム216を有するキャパシタC
Az+が形成され得る。ビーム216がz軸周りのねじりに応答して動くとき、ビーム216と電極313との間の距離が変化し、このため、キャパシタC
Az+と関連付けられた静電容量に変化をもたらす。静電容量の変化は、z軸周りのねじりを検出するために使用され得る。
 
【0021】
  いくつかの実施形態では、角z感知素子300は、ポスト318を介して基板に接続され、電極313と同じ材料で作られ得る、第2の電極314を備え得る。いくつかの実施形態では、電極として電極314およびビーム216を有するキャパシタC
Az−が形成され得る。
 
【0022】
  いくつかの実施形態では、キャパシタC
Az−に関連付けられた静電容量の変化は、キャパシタC
Az+に関連付けられた静電容量の変化とは反対になるように構成し得る。例えば、ΔCA
zが、z軸周りのねじりに応答してキャパシタC
Az−に関連付けられた静電容量の変化である場合、キャパシタC
Az+に関連付けられた静電容量の変化は、−ΔC
Azに等しくなり得る。その結果、xy平面内での動きは、差動信号の発生につながり得る。
 
【0023】
  図4は、本出願の一非限定的実施形態による、角z感知素子によって発生された差動信号の例を図示する。
図4の非限定的な例において、正弦波状ねじれを、プルーフマス200にz軸周りに加え得る。そのようなねじれに応答して、ビーム216は、矢印320および321に従って時間の経過とともに動き、このため、キャパシタC
Az+に関連付けられた静電容量に時間の経過に伴う変化をもたらし、それは正弦波で、かつキャパシタC
Az−に関連付けられた静電容量の変化とは反対である。2つの静電容量の変化は、
図4に図示するように、差動信号402および404の発生をもたらし得る。いくつかの実施形態では、差動信号を使用する方が、コモンモード信号を抑制するためにシングルエンド信号を使用するよりも好ましい可能性がある。例えば、コモンモード信号は、z軸に関して起こる直線加速度によって、基板の変形によって、および/またはノイズによって引き起こされ得る。別の例では、コモンモード信号は、2つのそれぞれ直交する軸に関連付けられた2つのモード間で起こるクロストークによって引き起こされ得る。
 
【0024】
  x軸およびy軸周りのねじりは、感知キャパシタを使用して検出することができ、これらの感知キャパシタの一方の電極を基板上に配置し得る。このようにして、プルーフマスの平面外角運動は、プルーフマスの一部と基板との間の距離の変動を感知することによって検出し得る。
図5Aは、本出願の一非限定的実施形態による、プルーフマス200、アンカー503、および角x感知電極541および542を備えるMEMS加速度計のyz平面で取られた側面図である。いくつかの実施形態では、プルーフマス200は、基板501上に形成された空洞502内に配置し得る。例えば、空洞502は、基板501の一部をエッチングすることによって得てもよい。基板501は、いくつかの実施形態ではシリコン基板であってもよい。いくつかの実施形態では、プルーフマス200は、アンカー503を介して基板501に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、アンカー503を中央部分230に接続してもよい。プルーフマスの底面と基板の上面との間の距離は、z軸に沿って測定され、いくつかの実施形態では1μm〜10μm、いくつかの実施形態では1.5μm〜3μm、いくつかの実施形態では1.7μm〜1.9μm、または任意の適切な値の間あるいは値の範囲であってもよい。他の値もまた可能である。プルーフマス200は、z軸に沿って測定して、いくつかの実施形態では1μm〜50μm、いくつかの実施形態では10μm〜20μm、いくつかの実施形態では15μm〜17μm、または任意の適切な値の間あるいは値の範囲の、厚さを有してもよい。他の値もまた可能である。
 
【0025】
  図5Aは、アンカー503の両側の、基板501上に配置された角x感知電極541および542を図示する。いくつかの実施形態では、角x感知電極541および542は、プルーフマス200の外縁に対応する位置、例えば外縁202に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、角x感知電極542およびプルーフマス200を電極として有するキャパシタC
Ax+が形成され得る。x軸周りの加速度に応答して、プルーフマス200は、アンカー503を支点として使用してx軸周りに枢動し得る。その結果、プルーフマス200と角x感知電極542との間の距離が変化し、このため、静電容量C
Ax+に関連する静電容量の変化を引き起こす。静電容量の変化は、x軸周りのねじりを検出するために使用され得る。
 
【0026】
  いくつかの実施形態では、角x感知電極541およびプルーフマス200を電極として有するキャパシタC
Ax−が形成され得る。x軸周りの加速度に応答して、プルーフマス200は、アンカー503を支点として使用してx軸周りに枢動し得る。その結果、プルーフマス200と角x感知電極541との間の距離が変化し、このため、静電容量C
Ax−に関連する静電容量の変化を引き起こす。静電容量の変化は、x軸周りのねじりを検出するために使用され得る。
 
【0027】
  いくつかの実施形態では、キャパシタC
Ax−に関連付けられた静電容量の変化は、キャパシタC
Ax+に関連付けられた静電容量の変化とは反対になるように構成し得る。例えば、ΔC
Axが、キャパシタC
x−に関連付けられた静電容量の変化である場合、キャパシタC
x+に関連付けられた静電容量の変化は、−ΔC
Axに等しくなり得る。その結果、yz平面内での動きは、差動信号の発生につながり得る。
 
【0028】
  図5Aは、
図3に図示されるような角z感知素子300の一部であり得る電極313をさらに図示する。簡単にするために、1つの電極313のみが
図5Aに図示されている。上述のように、電極313は、ポスト316を介して基板501に接続されてもよい。ポスト316は、いくつかの実施形態では導電性材料で作られてもよい。いくつかの実施形態では、角z感知電極540は基板501上に配置されてもよく、ポスト316を介して電極313と電気的に接触してもよい。いくつかの実施形態では、電極540は、基板501の上面の下に配置されてもよい。
 
【0029】
  いくつかの実施形態では、角x感知電極541は、角x感知電極541とアンカー503との間の距離が電極313とアンカー503との間の距離よりも大きいような任意の適切な場所に位置決めされてもよい。同様に、角x感知電極542は、角x感知電極542とアンカー503との間の距離が電極313の任意の1つとアンカー503との間の距離よりも大きいような任意の適切な場所に位置決めされてもよい。
 
【0030】
  y軸周りの角加速度の検出は、同様に実行し得る。
図5Bは、本出願の一非限定的実施形態による、プルーフマス200、アンカー503、および角y感知電極551および552を備えるMEMS加速度計のxz平面で取られた側面図である。図示するように、キャパシタC
Ay+は、プルーフマス200と角y感知電極552との間に形成され、キャパシタC
Ay−は、プルーフマス200と角y感知電極551との間に形成されてもよい。キャパシタC
Ay+およびC
Ay−は、y軸周りの角加速度に応答し、キャパシタC
Ax+およびC
Ax−に関連して説明したのと同様に動作し得る。
 
【0031】
  いくつかの実施形態では、角y感知電極551は、角y感知電極551とアンカー503との間の距離が電極313とアンカー503との間の距離よりも大きいような任意の適切な場所に位置決めされてもよい。同様に、角y感知電極552は、角y感知電極552とアンカー503との間の距離が電極313の任意の1つとアンカー503との間の距離よりも大きいような任意の適切な場所に位置決めされてもよい。
 
【0032】
  図5Cは、本出願の一非限定的実施形態による、角x感知電極、角y感知電極、および角z感知電極を備えるMEMS加速度計の上面図である。マス部分201の内縁204および外縁202、マス部分211の内縁214および外縁212に対応する破線は、プルーフマス200の表面に対応するxy平面上に配置されてもよい。
図5Cは、2つのマス部分を図示しているが、任意の適切な数のマス部分を使用し得る。
 
【0033】
  いくつかの実施形態では、角x感知電極541および542は、マス部分201に対応する場所で、基板501上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、角x感知電極541および542は、外縁202に対応する場所に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、角x感知電極541および542は、マス部分201の両側に配置されてもよい。角x感知電極541は、ワイヤボンディングを介してまたはプローブを通してアクセス可能な、金属パッドS
Ax−に接続されてもよい。同様に、角x感知電極542は、ワイヤボンディングを介してまたはプローブを通してアクセス可能な、金属パッドS
Ax+に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、金属パッド基準は、アンカーに接続されてもよく、かつ基準電圧を提供するように構成されてもよい。
 
【0034】
  いくつかの実施形態では、x軸周りのプルーフマス200の動きは、金属パッドS
Ax−と金属パッド基準との間に第1の電圧の発生を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、x軸周りのプルーフマス200の動きは、金属パッドS
Ax+と金属パッド基準との間に第2の電圧の発生を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、2つの電圧は2つの差動信号を形成し得る。したがって、プルーフマスがアンカー503の周りを枢動すると、角x感知電極541に対応するマス部分201の部分は、角x感知素子541に向かって(または離れて)動いてもよく、一方同時に、角x感知電極542に対応するマス部分201の部分は、角x感知素子542から離れて(または向かって)動いてもよい。
 
【0035】
  いくつかの実施形態では、角y感知電極551および552は、マス部分201に対応する場所で、基板501上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、角y感知電極551および552は、外縁202に対応する場所に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、角y感知電極551および552は、マス部分201の両側に配置されてもよい。角y感知電極551は、金属パッドS
Ay−に接続されてもよく、角y感知電極552は、金属パッドS
Ay+に接続されてもよい。
 
【0036】
  いくつかの実施形態では、
図3に関連して説明された角z感知素子300のような複数の角z感知素子が、内縁204に接触してもよい。
図5Cは、4つの角z感知素子を図示しているが、任意の適切な数の角z感知素子が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、角z感知素子は、端部が内縁204に固定されたビーム216を備えてもよい。いくつかの実施形態では、角z感知素子は、ビーム216の両側に配置された電極313および314を備えてもよい。電極313および314は、ポスト316を介して、およびポスト318を介して、それぞれ基板501上に配置された角z感知電極(
図5Cには図示せず)に接続されてもよい。
 
【0037】
  いくつかの実施形態では、電極313に連結された角z感知電極のすべてまたは一部は、
図5Cに図示されるように相互に接続されてもよい。そのような角z感知電極は、金属パッドS
Az−にさらに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、電極314に連結された角z感知電極のすべてまたは一部は、
図5Cに図示されるように相互に接続されてもよい。そのような角z感知電極は、金属パッドS
Az+にさらに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、z軸周りのプルーフマス200の動きは、金属パッドS
z−と金属パッド基準との間に第1の電圧の発生を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、z軸周りのプルーフマス200の動きは、金属パッドS
z+と金属パッド基準との間に第2の電圧の発生を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、2つの電圧は2つの差動信号を形成し得る。したがって、ビーム216が電極313および314に向かってならびに電極313および314から離れるように移動すると、キャパシタC
Az−およびC
Az+に関連付けられた静電容量は変化し、このため、
図4に示す差動信号402および404のような差動信号の発生を引き起こす。
 
【0038】
  上述の実施形態では、プルーフマスを基板に接続するために単一のアンカーが使用されている。他の実施形態では、複数のアンカーを使用してもよい。
図5Dは、いくつかの非限定的実施形態による、複数のアンカーを有するMEMS加速度計の一部を図示する上面図である。図示のように、MEMS加速度計は、
図2に関連して先に説明した、中央部分230、テザー232、アンカー553、およびマス部分221を接続するビーム555を備えてもよい。
図5Dは、4つのアンカーを有するMEMS加速度計を図示しているが、任意の他の適切な数のアンカーを使用してもよい。アンカーは、互いに対して等角度でオフセットしていてもよい。例えば、4つのアンカーが使用される実施形態では、各アンカー553は、隣接するアンカーに対して、約90
0(例えば、89
0〜91
0、または85
0〜95
0)だけ角度オフセットしてもよい。中心部分230の中心とアンカーの場所との間の半径方向の距離は、直線加速度に対する応答と角加速度に対する応答との間の所望のトレードオフを提供するように選択されてもよい。例えば、そのような半径方向の距離を増加させると、角加速度と直線加速度との間のクロストークが減少する可能性がある。しかしながら、半径方向の距離が大きくなると、プルーフマスの実効ねじり剛性が増加するため、角加速度に対する感度の低下を引き起こす可能性もある。
 
【0039】
  いくつかの実施形態では、アンカーは、ビーム555を介してプルーフマスに連結されてもよい。例えば、アンカー553は、テザー232を介して中央部分230に連結され、中央部分230は、ビーム555を介してマス部分221に連結されてもよい。ビーム555は、いくつかの実施形態ではテザー232よりも剛性が強くてもよい。いくつかの実施形態では、各ビーム555は、隣接するアンカーに対して、約45
0(例えば、44
0〜46
0、または40
0〜50
0)だけ角度オフセットしてもよい。z軸周りの角加速度が起こると、テザー232はxy平面内で屈曲し、このためプルーフマスの運動を可能にし得る。同時に、ビーム555が平面内で回転して、このためプルーフマスの回転を引き起こし得る。
 
【0040】
  上述したように、テザー232は、プルーフマス200をその摂動のない位置に戻すように構成された弾性定数を提示し得る。いくつかの実施形態では、テザー232は、プルーフマス200内で生じ得る応力を吸収するようにさらに構成されてもよい。したがって、テザーは部分的に可撓性であり、適用される応力に基づいてその形状を調整し得て、プルーフマスの外側部分によって受ける応力を低減する。いくつかの実施形態では、テザーは、対角モードなどの非直交モードを抑制するようにさらに構成されてもよい。テザー232は、非対称であっても、または対称であってもよい。
 
【0041】
  図6Aは、いくつかの非限定的実施形態による、非対称テザー632を図示する上面図である。非対称テザー632は、テザー232のうちの任意の1つとして機能してもよい。いくつかの実施形態では、テザー632は、蛇行形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、テザー632は、s字形状を有する素子を備えてもよい。テザー632は、s字素子を中央部分230に接続する第1のビームと、s字素子をマス部分221に接続する第2のビームとをさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、テザー632は、軸295などの、テザーおよびプルーフマスの中心を通過する半径に平行な軸の周りで非対称であってもよい。いくつかの実施形態では、テザー632は、点297など、中心部分230とマス部分221との間に位置する点の周りに180度回転対称性を有してもよい。いくつかの実施形態では、点297は、中央部分230の縁部とマス部分221の内側縁部との中間点であってもよい。いくつかの実施形態では、テザー632は、プルーフマスの中心を通り、テザーの軸に垂直である軸に対して反対側のテザーに対して対称であってもよい。そのような対称性は鏡面対称と呼ばれることがある。
 
【0042】
  非対称であることによって、テザー632は、角加速度が加えられなくてもプルーフマスのねじれを生じさせることがある。この挙動は、クロストークにつながる可能性があるため、あまり望ましくない。このため、いくつかの実施形態では、対称テザーが利用され、いくつかの実施形態において望ましくないねじれの影響を受けにくい。非対称テザーとは異なり、対称テザーは、角加速度が加えられていないときにプルーフマスのねじれを防止し得る。
図6Bは、いくつかの非限定的実施形態による、対称テザー例を図示する。テザー633は、テザー232のうちの任意の1つとして機能してもよい。図示のように、テザー633は、対称軸285に対して対称であってもよい。
 
【0043】
  いくつかの実施形態では、テザー633を通して1つ以上の穴639をエッチングしてもよい。例えば、
図6Bに図示するように、穴は、対称軸285に沿ってエッチングされてもよい。穴の形状および数は、テザー633の剛性を所望通りに制御するように選択し得る。例えば、穴のサイズおよび/または数を増加させると、いくつかの実施形態ではテザーの剛性を低下させる可能性がある。
 
【0044】
  角加速度を検出することに加えて、
図2に描いたMEMS加速度計は、1軸、2軸、または3軸に沿った直線加速度を検出するように構成され得る。
 
【0045】
  z軸に沿った直線加速度は、プルーフマス200と基板との間の距離の変動を感知することによって検出し得る。例えば、プルーフマス200がz軸に沿った加速度を経験するとき、テザー232は、平面外に屈曲する可能性があり、このため、プルーフマスが基板に接近または基板から離れるように動くことを可能にする。プルーフマスと基板との間の距離は、基板上に配置された電極を備え、プルーフマスが第2の電極として機能する、1つ以上のセンスz感知キャパシタC
Lzを使用して電気的に感知し得る。
 
【0046】
  いくつかの状況において、基板の形状は、例えば、基板とパッケージとが異なる熱膨張係数を有する事実によって引き起こされる応力に応答して変形され得る。結果として、基板とプルーフマスとの間の距離は、加速度が存在しなくても変化し得る。直線z軸加速度の検出は、少なくともいくつかの実施形態では、プルーフマスと基板との間の距離の検出に基づいている可能性があるので、これらの基板の変形は、そのような加速度を感知する能力を制限し得る。いくつかの実施形態では、基板変形の影響を抑制するために、基準キャパシタを使用し得る。ちょうどz感知キャパシタC
Lzと同じように、基準キャパシタは、プルーフマスと基板との間の距離の変動を検出し得る。しかしながら、z感知キャパシタC
Lzとは異なり、基準キャパシタは加速度に対して不感応(または弱感応)にし得る。このようにして、基板変形の測量を加速度の存在とは独立して獲得し得る。一例において、基準キャパシタは、
図2に図示されている基板と基準ビーム236との間に形成される。基準ビーム236は、固定構造体235に堅固に接続することができ、そのため、直線z軸加速度に対して不感応(または弱感応)となり得る。
 
【0047】
  図7Aは、
図2のAA線に沿って取られた
図2のMEMS加速度計の断面図である。図示するように、直線z感知キャパシタC
Lzは、プルーフマス200と直線z感知電極700との間に形成される。加えて、基準キャパシタC
基準は、基準ビーム236と基準電極702との間に形成され得る。参照ビーム236は、固定構造体235に接続されてもよく、いくつかの実施形態では片持ちであってもよい。いくつかの実施形態では、基準ビーム236は、中央部分230に向かって延在する自由端を有してもよい。
 
【0048】
  z軸に平行な加速度a
zが加えられると、プルーフマス200は、例えば矢印710で示すように動き得る。さらに
図7Bに示すように、テザー232はプルーフマスの平面外運動を可能にすることができ、加速度計がもはや加速下にないときに、プルーフマス200をその自然な、または静止している位置に復元するように構成し得る。プルーフマス200が加速に応答してz軸内で移動する間、基準ビーム236は実質的に静止したままである(例えば、100nm未満の変位を有する)。
 
【0049】
  一方、例えばパッケージの応力のために基板が変形した場合、そのような変形は、直線z感知キャパシタC
Lz、ならびに基準キャパシタC
基準によって感知し得る。基準キャパシタの静電容量は、基板の変形に依存し、加速度から実質的に独立しているので、いくつかの実施形態では、基準キャパシタを使用して、基板501が変形している程度を感知し得る。直線z感知キャパシタC
Lzの静電容量は、加速度a
zの大きさ、ならびに基板501が変形している程度を反映し得る。したがって、加速度a
zの大きさは、基板変形の影響を相殺する(または少なくとも制限する)ような方法で、基準キャパシタC
基準および直線z感知キャパシタC
Lzで得られた信号を合成することによって感知し得る。いくつかの実施形態では、直線z感知キャパシタC
Lzおよび基準キャパシタC
基準に連結された制御/感知回路を使用して信号を合成し得る。制御/感知回路は、基板501上または別個の基板上に配置し得る。
 
【0050】
  いくつかの実施形態では、基準キャパシタおよび直線z感知キャパシタC
Lzの静電容量が変化する程度を定量するために、プローブ信号をキャパシタに印加してもよい。いくつかの実施形態では、プローブ信号は、クロック信号(例えば、周期的方形波)であってもよい。いくつかの実施形態では、第1のクロック信号は、直線z感知キャパシタC
Lzを充電するために使用され、第2のクロック信号は、基準キャパシタC
基準を充電するために使用され得る。クロック信号は、制御/感知回路を使用して発生し得る。
 
【0051】
  第1のクロック信号は、直線z感知キャパシタC
Lzに電荷を生成し得、電荷はその静電容量および第1のクロック信号の電圧振幅(V
1)に依存する。例えば、電荷は、V
1C
Lzによって与えられ得る。同様に、第2のクロック信号は、基準キャパシタC
基準に電荷を生成し得、電荷はその静電容量および第2のクロック信号の電圧振幅(V
2)に依存する。例えば、電荷は、V
2C
基準によって与えられ得る。
 
【0052】
  いくつかの実施形態では、基板応力からz軸加速度の検出を分離するために、基板変形に応答してキャパシタによって発生される電荷の量は、振幅が実質的に等しく、符号が互いに反対であるように構成され得る。反対の符号は、少なくともいくつかの実施形態では、第1および第2のクロック信号を互いに対して位相がずれる(例えば、180度だけ)ように設定することによって得てもよい。同じ量の電荷は、次の関係:V
1C
Lz−V
2C
基準=0に従って、V
1、V
2、C
基準およびC
Lzを設定することによって確保され得る。
 
【0053】
  x軸の直線加速度は、直線x感知ビーム226を使用して感知され、y軸の直線加速度は、直線y感知ビーム228を使用して感知され得る。
図2に図示したように、直線x感知ビーム226およびy感知ビーム228は、プルーフマス200の外縁202に接続されてもよい。例えば、直線x感知およびy感知ビームの一端をプルーフマスに接続し、他端を自由にしてもよい。そのようにして、直線x感知およびy感知ビームは、概して、プルーフマス200の中心から離れる方向を指してもよい。他の構成もまた可能であって、直線x感知およびy感知ビームを外縁202に接続する必要はないことを理解されたい。直線x感知およびy感知ビームは、
図8Aおよび
図8Bにさらに詳細に図示したように、固定ビームを有する感知キャパシタを形成し得る。例えば、直線y感知ビーム228は、直線y感知キャパシタC
Ly+およびC
Ly−を、それぞれ固定電極229
1および229
2と形成してもよい(
図8Aを参照)。直線x感知ビーム226は、直線x感知キャパシタC
Lx+およびC
Lx−を、それぞれ固定電極227
1および227
2と形成してもよい(
図8Bを参照)。直線感知ビームは、加速度に応答して固定電極に対するそれらの距離が減少するとき、反対側の固定電極に対するそれらの距離が増加するように配置され得る。このようにして、加速度に応答して差動信号が発生され得る。
 
【0054】
  図2に描いた構成では、一組のテザーを使用して、直線加速度および角加速度に応答してMEMS加速度計の運動を可能にし得る。
図2に図示するように、テザー232を使用して、プルーフマスの直線変位ならびに角変位を可能にする。しかしながら、いくつかの実施形態では、これらのテザーを位置決めし、整形する様態は、直線加速度に対するプルーフマスの応答を犠牲にしながら角運動に有利になるように最適化してもよい(またはその逆であってもよい)。すなわち、テザーの設計は、直線加速度に対して大きな応答を達成することと角加速度に対して大きな応答を達成することとの間のトレードオフを考慮することよって規定されてもよい。例えば、いくつかの状況では、角加速度に対する応答は、一組のテザーを介して中央部分230の中心に取り付けられた単一のアンカーを含むことによって向上させ得る。このようにして、基板内の応力に対する耐性を向上させ得る。一方、直線加速度に対する応答は、中央部分230の中心から離れて位置決めされた複数のアンカーと、アンカーをプルーフマスに接続するテザーとを含むことによって向上させ得る。このようにして、角加速度に起因するクロストークを軽減し得る。
 
【0055】
  しかしながら、他の実施形態では、テザーの別個の組を使用してもよい。例えば、第1の組のテザーが、直線加速度に応答してMEMS加速度計の運動を可能にし、別の組のテザーが、角加速度に応答してMEMS加速度計の運動を可能にしてもよい。このようにして、テザーの組は、独立して設計および/または配備されてもよく、直線および角加速度に対する加速度計の応答は、互いに独立して技術的に扱われてもよい。
 
【0056】
  別個の組のテザーを活かす直線および角加速度を検出するための1つの代表的な構成が
図9に図示されている。MEMS加速度計900は、プルーフマス901、シャトルマス920および922、テザー928およびテザー912を備えてもよい。MEMS加速度計900は、1軸、2軸または3軸に沿った直線加速度、および/または1軸、2軸または3軸の周りの角加速度を感知するように構成し得る。テザー928を使用して、直線加速度に応答してMEMS加速度計の運動を可能にしてもよく、テザー912を使用して、角加速度に応答してMEMS加速度計の運動を可能にしてもよい。プルーフマス901かつシャトルマス920および922は、下にある基板の上に懸架されてもよい。
 
【0057】
  テザー912は、プルーフマス901をアンカー910に弾性的に連結し得る。テザー912は、
図6Aまたは
図6Bの構成に従って、または任意の他の適切な様態で、配備されてもよい。いくつかの実施形態では、プルーフマス901を基板に接続するために複数のアンカーを使用してもよい。複数のアンカーは、例えば、
図5Dに関連して説明したように配備されてもよい。
 
【0058】
  プルーフマス901かつシャトルマス920および922は、シリコン、ドープシリコン、ポリシリコンまたはドープポリシリコンなどの導電性材料で(少なくとも部分的に)作製されてもよい。シリコンおよび/またはポリシリコンは、いくつかの実施形態では10
16cm
−3〜5×10
20cm
−3、いくつかの実施形態では10
18cm
−3〜10
20cm
−3、いくつかの実施形態では5×10
18cm
−3〜5×10
19cm
−3、または任意の適切な値の間または値の範囲の、ドーピング濃度を有するn型ドープおよび/またはp型ドープであってもよい。他の値もまた可能である。代わりに、他の導電性材料を使用することもできる。
 
【0059】
  いくつかの実施形態では、プルーフマス901は、内側部分914および外側部分916を備えてもよい。内側部分914および外側部分916は、ビーム915を介して互いに接続されてもよい。内側部分914は、テザー912を介してアンカー910に結合されてもよく、外側部分916は、少なくともいくつかの実施形態では、その中の内側部分914を囲んでもよい。
 
【0060】
  シャトルマス920および922は、いくつかの実施形態では、内側部分914と外側部分916との間に配置してもよい。いくつかの実施形態では、シャトルマスは、隣接ビーム915の間に配置してもよい。シャトルマス920および922は、テザー928を介してプルーフマス901に弾性的に連結されてもよい。テザーは、それぞれのシャトルマスをビーム915または外側部分916に連結し得る。シャトルマス920および922は、以下でさらに説明するように、直線加速度を感知するように構成されてもよい。この目的のために、シャトルマス920はセンサー924を備え、シャトルマス922はセンサー926を備えてもよい。
 
【0061】
  テザー928は、シャトルマスの回転軸を画定し得る。例えば、シャトルマス920のうちの1つは、回転軸929を有するものとして図示されている。回転軸は、それぞれのシャトルマスを一対のマス部分MP
1およびMP
2に分割するように構成されてもよい。マス部分MP
1は、回転軸に対してシャトルマスの一方の側を画定し得る。マス部分MP
2は反対側を画定し得る。いくつかの実施形態では、マス部分MP
1およびMP
2は、互いに対し異なる重量を有してもよい。このようにして、MEMS加速度計900がz軸に沿った直線加速度を経験するとき、シャトルマスの重心が回転軸からオフセットしているので、シャトルマスは、対応する回転軸929の周りで平面外に回転し得る。
 
【0062】
  最初に、直線x軸加速度の検出について論じる。直線x軸加速度は、少なくともいくつかの実施形態では、基板に対してx軸におけるシャトルマス920の運動を感知することによって感知し得る。この様態で直線x軸加速度を感知するための一代表的構成を
図10Aに図示する。明快にするために、シャトルマス920とプルーフマス901の一部のみが
図10Aに図示されている。x軸に沿って方向付けられた加速度a
xの存在下で、シャトルマス920は、基板に対して動き得る。いくつかの実施形態では、シャトルマス920の重量はプルーフマス901の重量よりも小さい。このようにして、運動量保存により、シャトルマスのプルーフマスに対する動きが引き起こされ得る。プルーフマスに対するシャトルマスの運動は、テザー928の存在によって可能となり、テザー928は自然な位置に対して屈曲し得る。
 
【0063】
  基板に対するシャトルマスの運動は、センサー924を使用して感知され得、センサー924は、
図10Aの非限定的な例では、フィンガー934および固定電極932を備える。固定電極932は、基板に据えつけられてもよく、そのため、x軸加速度の存在下でも静止したままであり得る。フィンガー934および固定電極932は、複数の感知キャパシタを形成し得る。シャトルマス920の運動は、感知され、そのようなキャパシタの静電容量の変動を検出し得る。
 
【0064】
  直線y軸加速度a
yの検出は、
図10Bに図示するように、同様に実行し得る。この例では、いくつかの実施形態においてプルーフマス901よりも重いシャトルマス922が、基板に対してy軸に沿って動いてもよい。シャトルマス922の運動は、感知され、フィンガー938および固定電極936によって形成されるキャパシタの静電容量の変動を検出し得る。
 
【0065】
  テザー928は、多数の方法のいずれかで実施され得る。例えば、テザー928は、加速度に応答してトルクを与えるおよび/または屈曲するように構成された1つ以上のビームを備えてもよい。テザー928の1つの可能な実装を
図11に示す。図示のように、テザー928は、プルーフマス901をシャトルマス922に接続するビーム970を備えてもよい。シャトルマス922は、凹部972を備え、ビーム970の一端は、凹部内にあるシャトルマスの一部に接続されてもよい。ビーム970は、y軸に沿ってシャトルマスの運動を可能にするように屈曲してもよく、および/またはx軸周りのシャトルマスの回転を可能にするようにトルクを与えてもよい。
 
【0066】
  図12に図示するように、直線z軸加速度の検出は、シャトルマスの回転を感知することによって実行されてもよい。
図12は、xz平面におけるMEMS加速度計900の断面図であって、外側部分916、内側部分914、およびシャトルマス920を含むプルーフマス901の一部を図示している。図示のように、回転軸929は、シャトルマス920をマス部分MP
1およびMP
2に分離する。この構成では、マス部分MP
2はマス部分MP
1よりも重い(MP
2は、MP
2に対しより大きい表面を有する)が、反対の構成も可能である。マス部分の重量が異なる実施形態では、シャトルマスの重心は、回転軸929に対してオフセットされている。その結果、加速度a
zが加えられると、シャトルマスは回転軸929の周りを回転し得る。この回転は、マス部分のMP1が基板990に接近し、マス部分のMP
2が基板990から離れる方向に動くことを引き起こし得、または逆も同じである。
 
【0067】
  マス部分と基板との間の距離の変動を感知することによって、シャトルマスの回転を感知し得る。これは、少なくともいくつかの実施形態では、シャトルマスと基板上に配置された電極との間にキャパシタを形成することによって達成し得る。例えば、キャパシタC
LZ1は、マス部分MP
1(第1の電極として機能し得る)と電極952との間に形成され得る。同様に、キャパシタC
LZ2は、マス部分MP
2と電極950との間に形成され得る。キャパシタC
LZ1およびC
LZ2は、直線z軸加速度を差動方式で感知するように構成し得る。実際、これらのキャパシタの一方の静電容量が増加すると、他方のキャパシタの静電容量は減少し得る。差動的に配備されているので、キャパシタによって発生された信号は、コモンモード信号(基板の変形に起因して発生された信号など)に不感応となり得る。
 
【0068】
  図12は、以下にさらに説明するように、角加速度を感知するために使用され得る電極954をさらに図示している。いくつかの実施形態では、電極954は、電極950および/または電極952に対してアンカー910により近い。
 
【0069】
  いくつかの実施形態では、x軸および/またはy軸周りの角加速度の検出は、プルーフマス901の平面外運動を感知することによって感知することができる。例えば、y軸周りの角加速度の検出が
図13に図示されている。x軸周りの角加速度の検出は、同様に実行し得ることを理解されたい。y軸周りの角加速度の存在下で、プルーフマス901は、一方の側が基板990に近づき、反対側が基板990から離れる(
図13に示すように)ように回転し得る。プルーフマスの回転は、テザー912の存在によってを可能にされ得る。弾性であるので、テザー912は、MEMS加速度計がもはや角加速度下にないときに、プルーフマスをその自然な、または静止の、位置に戻すことができる。
 
【0070】
  そのような角加速度は、キャパシタC
ay1およびC
ay2を使用して感知し得る。キャパシタC
ay1は、電極954とシャトルマス920および/または内側部分914との間に形成され得る。同様に、キャパシタC
ay2は、電極956とシャトルマス920および/または内側部分914との間に形成され得る。図示するように、キャパシタC
ay1の静電容量が増加すると、キャパシタC
ay2の静電容量は減少する(またはその逆も同じ)という事実のために、角y軸加速度に応答して差動信号が発生され得る。
 
【0071】
  いくつかの実施形態では、シャトルマス920は、y軸周りの角加速度のために、それぞれの回転軸929の周りを回転し得ることを理解されたい。しかしながら、これらの回転はコモンモード信号として除かれ得る。例えば、角加速度に応答して、キャパシタC
Lz1、C
Lz2、C
Lz1’、およびC
Lz2’によって生成された信号は、互いを相殺するように合成され、直線z軸加速度に応答して非ゼロ値を出力し得る。
 
【0072】
  z軸周りの角加速度は、フィンガー916と固定電極918との間に形成されたキャパシタを使用して感知し得る。再び
図9を参照して、フィンガー916は、プルーフマス901の外縁に接続された一端と自由端を有してもよい。自由端は、アンカー910から概して離れる方向を指してもよい。固定電極918は、基板に据えつけられてもよい。他の実施形態では、
図14の非限定的な例に図示するように、フィンガーは、概してアンカー910の方向を指してもよい。この構成では、フィンガー960は、プルーフマス901の開口部970内に形成される。対応する固定電極962を、フィンガー960に隣接して配置し得る。フィンガー960と固定電極962との間に形成されるキャパシタの静電容量の変動は、MEMS加速度計が経験する角z軸加速度の指示を提供し得る。
 
【0073】
  本明細書に記載されたタイプのMEMS加速度計は、とりわけ、スポーツ、軍事、医療、および産業設定(例えば、機械健全性監視)のような様々な分野のアプリケーションで様々なシステムの一部を形成し得る。様々なシステムは、モノのインターネットネットワークにおいて、その一部を形成するか、または使用されてもよい。そのようなシステムおよびアプリケーションの例をここで説明する。
 
【0074】
  図15は、2軸慣性センサー、3軸慣性センサー、4軸慣性センサー、5軸慣性センサーおよび/または6軸慣性センサーとして構成し得るシステム1500を図示するブロック図である。システム1500は、MEMS加速度計1502、電源ユニット1504、感知回路1506、入力/出力(I/O)インターフェース1508を備え得る。MEMS加速度計1502は、上述のMEMS加速度計のうちの任意の1つとして実装されてもよい。いくつかの実施形態では、感知回路1506およびMEMS加速度計1502は、シリコン基板などの同じ基板上に配置されてもよい。他の実施形態では、感知回路1506およびMEMS加速度計1502は、互いに接合され、および/または共通のハウジング内にパッケージングされ得る別個の基板上に配置されてもよい。
 
【0075】
  感知回路1506は、例えば、静電容量の変動を加速度の大きさにマッピングすることによって、(直線および/または角)加速度を感知するように構成されてもよい。感知回路1506は、増幅器、アナログデジタル変換器、メモリ、プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他のアナログおよび/またはデジタル回路を備えてもよい。
 
【0076】
  システム1500は、感知された角加速度および/または直線加速度を示す信号を、コンピュータ、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、スマートメガネ、または任意の他の適切な受信デバイスのような外部監視システムに、有線接続または無線を介して、周期的に送信してもよい。I/Oインターフェース1508は、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)  Low  Energy(BLE)、Zigbee、Thread、ANT、ANT+、IEEE  802.15.4、IEEE  802.11.ah、または任意の他の適切な無線通信プロトコルを介してデータを送信および/または受信するように構成されてもよい。代わりに、または追加して、I/Oインターフェース1508は、独自接続プロトコルを使用してデータを送信および/または受信するように構成されてもよい。I/Oインターフェース1508は、マイクロストリップアンテナのような1つ以上のアンテナを備えてもよい。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース1508はケーブルに接続されてもよく、ケーブルを介して信号を送信および/または受信するように構成されてもよい。
 
【0077】
  システム1500は、電源ユニット1504を使用して電力供給されてもよい。電源ユニット1504は、感知回路1506、I/Oインターフェース1508、および/またはMEMS加速度計1502に電力を供給するように構成し得る。いくつかの実施形態では、電源ユニット1504は、1つ以上のバッテリを備えてもよい。システム1500は、少なくともいくつかの実施形態では、バッテリ電力のみに基づいて、その動作を長期間にわたって可能にするために十分にわずかな電力を消費し得る。バッテリまたはバッテリ(複数)は、いくつかの実施形態では充電式であってもよい。電源ユニット1504は、1つ以上のリチウムイオン電池、リチウムポリマー(LiPo)電池、スーパーキャパシタ型電池、アルカリ電池、アルミニウムイオン電池、水銀電池、乾電池、亜鉛炭素電池、ニッケルカドミウム電池、グラフェン電池、または任意の他の適切なタイプのバッテリを含むことができる。いくつかの実施形態では、電源ユニット1504は、AC電力をDC電力に変換する回路を備えてもよい。例えば、電源ユニット1504は、I/Oインターフェース1508を介してなど、システム1500の外部の電源からAC電力を受け取り、システム1500の一部またはすべてのコンポーネントにDC電力を供給してもよい。そのような事例では、電源ユニット1504は、整流器、電圧レギュレータ、DCDCコンバータ、または電力変換のための任意の他の適切な装置を備えてもよい。
 
【0078】
  電源ユニット1504は、いくつかの実施形態では、エネルギーハーベスティングコンポーネントおよび/またはエネルギー蓄積コンポーネントを備えてもよい。エネルギーは、周辺環境から収穫し、必要に応じてシステム1500に電力を供給するために蓄えられてもよく、それは周期的、ランダムまたは連続的な電力供給を含み得る。実施されるエネルギーハーベスティングコンポーネントのタイプは、システム1500の予想される環境に基づいて選択されてもよく、例えば、可能な考慮事項の中でも、システム1500が経験する可能性のある運動の予期される大きさおよび頻度、システムが経験する可能性のあるストレスの量、システムが経験する可能性のある露光量、および/またはシステムが晒される可能性のある温度、に基づく。適切なエネルギーハーベスティング技術の例には、熱電エネルギーハーベスティング、磁気振動ハーベスティング、電気的オーバーストレスハーベスティング、光起電力ハーベスティング、無線周波数ハーベスティング、および運動エネルギーハーベスティングが含まれる。エネルギー蓄積コンポーネントは、いくつかの実施形態ではスーパーキャパシタを含み得る。
 
【0079】
  システム1500は、とりわけ、スポーツ、医療、軍事、および産業用アプリケーションを含めて、直線および/または角加速度を検出するための様々な設定で展開されてもよい。いくつかの非限定的な例をここで記載する。システム1500は、スポーツ関連の身体活動およびパフォーマンス、患者の健康状態、軍人の活動、またはユーザの関心のある他のアプリケーションを監視する際に配備されるウェアラブルセンサーであってもよい。
 
【0080】
  1つのそのような設定は、自動車にあり、または船や航空機などの他の乗り物にある。
図16は、本明細書に記載のタイプのセンサーシステムが自動車に採用されている例を図示する。
図16の例では、自動車1600は、自動車の車載コンピュータ1604に有線または無線接続によって連結された制御ユニット1601を含む。制御ユニット1601は、
図15のシステム1500を備えてもよい。システム1500は、自動車1600の適切な部分に取り付けられたパッケージまたはハウジングを備えてもよい。システム1500のMEMS加速度計は、一例として、駆動方向に沿った加速度および/または駆動方向に垂直な加速度を感知し得る。加えて、または代わりに、MEMS加速度計は、垂直加速度を感知するように構成されてもよく、そうして、例えばサスペンションの状態を監視する。加えて、または代わりに、MEMS加速度計は、例えば自動車の安定性を監視するために角加速度(例えば、ロール、ピッチおよび/または偏揺れ)を感知するように構成されてもよい。制御ユニット1601は、直線および/または角加速度を示す情報を運転者に出力する車載コンピュータ1604から電力および制御信号を受信してもよい。
 
【0081】
  別の例として、システム1500をカテーテルに使用してもよい。システム1500は、カテーテルの端部の近くに配置し得る。カテーテルが被験者に挿入されるかまたは被験者から取り外されると、角および直線加速度は、MEMS加速度計1502によって検出され得る。この情報は、一例として、使用されている力の量の指示、および患者に損傷が結果として生じるかどうかを提供し得る。感知回路1506は、I/Oインターフェース1508を介してカテーテルから検出された加速度を提供し得る。
図17は、患者の心臓1701に関連して使用するためのカテーテル1710を図示する。カテーテル1710は、システム1500を備え得るデバイス1712を備えてもよい。いくつかの実施形態では、デバイス1712は、カテーテル1710の一端に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル1710は心臓1701と接触して設置され、角MEMS加速度計1502を使用して、心臓の運動および/または心拍数を感知するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル1710は、血管1702のような心臓1701に通じる血管内に挿入し得る。
図17は、心臓に関連して使用するためのカテーテル1710を図示しているが、カテーテル1710を使用して任意の他の適切な器官の運動を感知してもよい。
 
【0082】
  本出願の態様は、1つ以上の利点を提供することができ、それらのいくつかは前述した。ここで、そのような利点のいくつかの非限定的な例が説明される。すべての態様および実施形態が、ここで説明される利点のすべてを必然的に提供するわけではないことを理解されたい。さらに、本出願の態様は、ここで説明されるものにさらなる利点を提供し得ることを理解されたい。
 
【0083】
  本出願の態様は、単一のデバイスを用いて直線および角加速度計を感知するように構成されたMEMS加速度計を提供する。従来のデバイスと比較して、本明細書に記載されたタイプのMEMS加速度計は、よりコンパクトであり、そのため、基板上の地所の必要性を低減する。加えて、本明細書に記載されたタイプのMEMS加速度計は、製造工程が直線感知素子と角感知素子との間で共有され得るので、製造コストの低減を可能にし得る。