(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6773877
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】ジッパー付き容器およびジッパー付き容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20201012BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D33/25 A
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-223834(P2019-223834)
(22)【出願日】2019年12月11日
【審査請求日】2019年12月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸▲高▼ 匠
【審査官】
吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−024767(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/062136(WO,A1)
【文献】
特開2007−276868(JP,A)
【文献】
特開2004−155446(JP,A)
【文献】
特開2002−104440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
B65D 33/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間に面する第1面を有する容器本体と、
前記第1面に接合されて前記収納空間の一辺を画定する長尺部材とを備え、
前記長尺部材は、
前記第1面に接合される第1基部条片と、
前記第1基部条片に部分的に対向し、前記長尺部材の幅方向で前記収納空間とは反対側に位置する前記第1基部条片とは対向しない領域で前記第1面に接合される第2基部条片と、
前記第1および第2基部条片からそれぞれ突出し互いに係合可能な第1および第2の係合部と、
前記長尺部材の前記幅方向で前記第1基部条片から分離して形成され、前記第1面に接合される切裂き条片部と
を断面形状に含み、
前記切裂き条片部の基部、または前記切裂き条片部の全体は前記第1基部条片と同じ材料で形成される、ジッパー付き容器。
【請求項2】
前記第1基部条片と前記切裂き条片部との間に隙間が形成される、請求項1に記載のジッパー付き容器。
【請求項3】
前記第1基部条片と前記切裂き条片部との間の隙間の大きさが、0.3mm以上10mm以下である、請求項2に記載のジッパー付き容器。
【請求項4】
前記長尺部材の断面形状は、前記幅方向で前記切裂き条片部側に位置する前記第1基部条片の端部に形成される第1凸部をさらに含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のジッパー付き容器。
【請求項5】
前記第1凸部と前記切裂き条片部との間に隙間が形成される、請求項4に記載のジッパー付き容器。
【請求項6】
前記第1凸部と前記切裂き条片部との間の隙間の大きさが、0.3mm以上10mm以下である、請求項5に記載のジッパー付き容器。
【請求項7】
前記切裂き条片部の全体が前記第1基部条片と同じ材料で形成され
前記切裂き条片部の厚さは、前記第1凸部と同程度の厚さである、請求項5または請求項6に記載のジッパー付き容器。
【請求項8】
前記切裂き条片部は、前記第1基部条片と同じ材料で形成される基部と、前記基部とは異なる材料で形成されて前記基部に積層される切裂き条片とを含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のジッパー付き容器。
【請求項9】
前記長尺部材の断面形状は、前記幅方向で前記切裂き条片部に対して前記第1基部条片とは反対側に形成される第2凸部をさらに含む、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のジッパー付き容器。
【請求項10】
前記第2凸部は、前記第2基部条片から突出し、かつ前記第1面に接合される、請求項9に記載のジッパー付き容器。
【請求項11】
前記第2凸部と前記切裂き条片部との間に隙間が形成される、請求項9または請求項10に記載のジッパー付き容器。
【請求項12】
前記第2凸部と前記切裂き条片部との間の隙間の大きさが、0.3mm以上10mm以下である、請求項11に記載のジッパー付き容器。
【請求項13】
前記容器本体は袋状である、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のジッパー付き容器。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のジッパー付き容器の製造方法であって、
前記第1基部条片と前記切裂き条片部との間が分離していない前記長尺部材を連続的に供給する工程と、
前記第1基部条片と前記切裂き条片部との間を切断する工程と、
前記切裂き条片部を、前記幅方向で前記第1基部条片から離隔するように誘導する工程と、
前記第1基部条片および前記誘導された前記切裂き条片部をそれぞれ前記容器本体に接合する工程と
を含む、ジッパー付き容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッパー付き容器およびジッパー付き容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジッパー付き容器において、容器本体を切り裂くことによってジッパーに面する容器の開口を形成する技術が知られている。例えば、特許文献1には、雄部材および雌部材がそれぞれ設けられた1対の帯状基部のうちの一方にカットテープが積層され、カットが積層される部分が隣接する部分よりも相対的に薄肉に形成され、他方の帯状基部の端部には袋体に接着する凸部が形成されているジッパー付き容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−123986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたジッパー付き容器の場合、ユーザがカットテープを引っ張って袋体を切り裂いて開口を形成するときに、袋体を形成するフィルムだけではなく帯状基部も引き裂かなければならず、抵抗が大きいために開口を形成するために比較的大きな力が必要であった。
【0005】
そこで、本発明は、容器本体を切り裂くことによってジッパーに面する容器の開口を形成するにあたり、より小さい力で容易に容器本体に開口を形成することが可能なジッパー付き容器およびジッパー付き容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]収納空間に面する第1面を有する容器本体と、第1面に接合されて収納空間の一辺を画定する長尺部材とを備え、長尺部材は、第1面に接合される第1基部条片と、第1基部条片に部分的に対向し、長尺部材の幅方向で収納空間とは反対側に位置する第1基部条片とは対向しない領域で第1面に接合される第2基部条片と、第1および第2基部条片からそれぞれ突出し互いに係合可能な第1および第2の係合部と、長尺部材の幅方向で第1基部条片から分離して形成され、第1面に接合される切裂き条片部とを断面形状に含む、ジッパー付き容器。
[2]第1基部条片と切裂き条片部との間に隙間が形成される、[1]に記載のジッパー付き容器。
[3]第1基部条片と切裂き条片部との間の隙間の大きさが、0.3mm以上10mm以下である、[2]に記載のジッパー付き容器。
[4]長尺部材の断面形状は、幅方向で切裂き条片部側に位置する第1基部条片の端部に形成される第1凸部をさらに含む、[1]から[3]のいずれか1項に記載のジッパー付き容器。
[5]第1凸部と切裂き条片部との間に隙間が形成される、[4]に記載のジッパー付き容器。
[6]第1凸部と切裂き条片部との間の隙間の大きさが、0.3mm以上10mm以下である、[5]に記載のジッパー付き容器。
[7]切裂き条片部は、第1基部条片と同じ材料で形成される基部と、基部とは異なる材料で形成されて基部に積層される切裂き条片とを含む、[1]から[6]のいずれか1項に記載のジッパー付き容器。
[8]長尺部材の断面形状は、幅方向で切裂き条片部に対して第1基部条片とは反対側に形成される第2凸部をさらに含む、[1]から[7]のいずれか1項に記載のジッパー付き容器。
[9]第2凸部は、第2基部条片から突出し、かつ第1面に接合される、[8]に記載のジッパー付き容器。
[10]第2凸部と切裂き条片部との間に隙間が形成される、[8]または[9]に記載のジッパー付き容器。
[11]第2凸部と切裂き条片部との間の隙間の大きさが、0.3mm以上10mm以下である、[10]に記載のジッパー付き容器。
[12]容器本体は袋状である、[1]から[11]のいずれか1項に記載のジッパー付き容器。
[13][1]から[12]のいずれか1項に記載のジッパー付き容器の製造方法であって、第1基部条片と切裂き条片部との間が分離していない長尺部材を連続的に供給する工程と、第1基部条片と切裂き条片部との間を切断する工程と、切裂き条片部を、幅方向で第1基部条片から離隔するように誘導する工程と、第1基部条片および誘導された切裂き条片部をそれぞれ容器本体に接合する工程とを含む、ジッパー付き容器の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、切り裂き条片部が第1基部条片から分離して形成されていることによって、切り裂き条片部を引っ張るときに第1基部条片と切り裂き条片部との間を引裂く必要がなく、容器本体の第1面だけを切り裂けばよい。従って、より小さい力で容易に容器本体に開口を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るジッパー付き袋の平面図である。
【
図2】
図1に示したジッパー付き袋のII−II線断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態において第2凸部が形成される例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るジッパー付き袋の製造方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
図1は本発明の一実施形態に係るジッパー付き袋の平面図であり、
図2は
図1に示したジッパー付き袋のII−II線断面図である。図示されているように、ジッパー付き袋100は、収納空間SPに面する第1面111Aを有するフィルム110によって形成される袋状の容器本体と、フィルム110の第1面111Aに接合されて収納空間SPの一辺を画定する長尺部材120とを含む。
【0011】
本実施形態において、フィルム110は第1面111Aに加えて第1面111Aに対向する第2面111Bを有し、第1面111Aおよび第2面111Bはそれぞれ収納空間SPに面する。フィルム110は、例えば単層または多層の熱可塑性樹脂で形成される。より具体的には、フィルム110は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)で形成されてもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。フィルム110が多層である場合、表基材に二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、または二軸延伸ナイロン(ONy)を用いてもよい。これらは、化石燃料由来の樹脂に限られず、環境に配慮したバイオプラスチックであってもよいし、化石燃料由来の樹脂とバイオプラスチックの混合物を用いてもよい。また、フィルム110はアルミニウム蒸着やアルミニウム箔の積層などによって形成された無機材料の層を含んでもよい。
【0012】
なお、本実施形態では、2枚のフィルム110がトップシール部112、ボトムシール部113およびサイドシール部114において互いに接合されることによって袋本体を形成しているが、別の実施形態では、1枚のフィルム110がサイドシール部114に対応する部分で折り返されてもよい。また、ボトムシール部113またはサイドシール部114に対応する部分でフィルム110が内側に折り込まれた部分、いわゆるガセットが形成されてもよい。この場合、ガセットは、フィルム110によって形成されてもよいし、フィルム110に接合された別のフィルムによって形成されてもよい。また、ジッパー付き袋100は、底部にガセットが形成されることによって立てて置くことが可能なスタンディングパウチであってもよい。
【0013】
長尺部材120は、ジッパー部130および切裂き条片部140を断面形状に含む長尺状の部材である。ジッパー部130は、フィルム110の第1面111Aに接合される第1基部条片131Aと、第1基部条片131Aに部分的に対向し、長尺部材120の幅方向で収納空間SPとは反対側に位置する第1基部条片131Aとは対向しない領域で第1面111Aに接合される第2基部条片131Bと、基部条片131A,131Bからそれぞれ突出し互いに係合可能な第1および第2の係合部132A,132Bを含む。切裂き条片部140は、長尺部材120の幅方向で第1基部条片131Aから分離して形成される基部141および切裂き条片142を含む。切裂き条片部140では、基部141が第1面111Aに接合される。
【0014】
ジッパー部130は、第1および第2の係合部132A,132Bが互いに係合および係合解除が可能な形状であることによって、ジッパー付き袋100を封止および再封することを可能にする。なお、第1および第2の係合部132A,132Bの形状は、図示された例に限られず、爪状、鉤状、または瘤状などを組み合わせた公知の各種のジッパーの係合部の形状にすることが可能である。図示された例では第1の係合部132Aが雄型、第2の係合部132Bが雌型であるが、逆であってもよい。また、図示された例では1対の係合部が配置されているが、複数対の係合部が配置されてもよい。長尺部材120の幅方向で切裂き条片部140側に位置する第1基部条片131Aの端部には、第1基部条片131Aよりも厚肉に形成された第1凸部133が形成される。
【0015】
切裂き条片部140において、基部141は、例えば第1基部条片131Aと同じ材料で形成される。切裂き条片142は、基部141とは異なる材料で形成されて基部141に積層される。ここで、基部141は、ジッパー部130で第1基部条片131Aの端部に形成される第1凸部133よりも薄肉に形成される。他の実施形態では、切裂き条片部140の全体が第1基部条片131Aと同じ材料で形成されてもよい。この場合、切り裂き条片部140は、
図2に示された基部141と切裂き条片142とを合わせた厚さで形成され、第1凸部133と同程度の厚さであることが、製袋効率向上の観点から好ましい。同程度の厚さとすることで、製袋時の当たり、すなわち第1凸部133から切り裂き条片部140にかけての長尺部材120のフィルム110への接触状態を均一化することができる。
【0016】
上記のような長尺部材120は、例えばポリオレフィン系樹脂の押出成形によって形成される。より具体的には、長尺部材120は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)で形成されてもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。これらは、化石燃料由来の樹脂に限られず、環境に配慮したバイオプラスチックであってもよいし、化石燃料由来の樹脂とバイオプラスチックの混合物を用いてもよい。長尺部材120の材料には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、または着色剤などが添加されてもよい。
【0017】
なお、切裂き条片部140の基部141は、第1基部条片131Aとは異なる材料で形成することも可能であるが、上記のように第1基部条片131Aと同じ材料で形成することが、製造上の観点等から好ましい。また、基部141に積層される切裂き条片142は、基部141とは異なる材料で形成されることが好ましい。具体的には、例えば、基部141をLDPEで形成し、切裂き条片142をPPで形成する場合のように、基部141との切裂き条片142との間が剥離することを容易にする材料でそれぞれの部分を形成してもよい。これによって、開封性をさらに向上させることができる。このような材料は、上記で長尺部材120の材料として例示したものであってもよいし、それ以外のものであってもよい。
【0018】
上述したような本実施形態に係るジッパー付き袋100では、ユーザが長尺部材120の長手方向の端部に形成されるタブ144(
図1参照)から切裂き条片142を摘持して引っ張ることによって、フィルム110の第1面111Aを切り裂き、外部からジッパー部130を介して収納空間SPにアクセスすることを可能にする開口を形成することができる。このとき、切裂き条片142を含む切裂き条片部140がジッパー部130の第1基部条片131Aから分離して形成されていることによって、例えば
図3に示す参考例(切り裂き条片部140Pが第1基部条片131Aから分離されていない)の場合のように切裂き条片部140Pを引っ張るときに第1基部条片131Aと切裂き条片部140Pとの間を切り裂く必要がなく、フィルム110の第1面111Aだけを切り裂けばよい。従って、本実施形態に係るジッパー付き袋100では、より小さい力で容易に容器本体に開口を形成することができる。
【0019】
ここで、図示された例では、第1基部条片131Aと切裂き条片部140との間に隙間dがある。他の例では、第1基部条片131Aと切り裂き条片部140とが分離されているが隙間なく接していてもよい。隙間dの大きさは、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.7mm以上である。隙間dがあり、また大きくなるほど、タブ144を形成する際の刃の位置決めが容易になり、製造上の利点がある。タブ144を形成する刃の位置が第1基部条片131Aと切り裂き条片部140との間から大きくずれると、タブ144を起点とする開封が困難になる。その一方で、容器原料の使用量を節減する観点からは、隙間dが大きすぎないことが好ましい。隙間dの上限は、通常10mm程度である。
【0020】
また、本実施形態では、切裂き条片部140側に位置する第1基部条片131Aの端部に第1凸部133が形成されるため、切裂き条片142が引っ張られたときに第1面111Aの切り裂きが第1凸部133に沿って直線状に進展するように誘導される。これによって、第1面111Aに形成される開口の形状を安定させることができる。第1凸部133と切り裂き条片部140との間には隙間がなくてもよく、隙間があってもよく、また隙間の大きさは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.7mm以上である。隙間dがあり、また大きくなるほど、タブ144を形成する際の刃の位置決めが容易になり、製造上の利点がある。タブ144を形成する刃の位置が第1凸部と切り裂き条片部140との間から大きくずれると、タブ144を起点とする開封が困難になる。隙間の上限は、通常10mm程度である。
【0021】
さらに、長尺部材120の幅方向で切裂き条片部140に対して第1基部条片131Aとは反対側に形成される第2凸部をさらに含んでもよい。第2凸部は、例えば切り裂き条片部140と同様に第1面111Aに接合される部分であってもよいし、あるいは第2基部条片131Bから突出する第2凸部が形成されてもよい。
図4には、第2凸部151が第2基部条片131Bから突出し、かつ第1面111Aに接合される例が示されている。第2凸部151は、厚肉に形成された第2基部条片131Bの一部であってもよいし、第2基部条片131Bに接合される別の部材であってもよい。第2凸部151が第2基部条片131Bとは別の部材である場合、図示された例のように第2基部条片131Bは第2凸部151を介して第1面111Aに接合されてもよい。
【0022】
上記のような第2凸部を設けることによって、第1面111Aの切り裂きが第2凸部に沿って直線状に進展するように誘導することができ、第1面111Aに形成される開口の形状を安定させることができる。第2凸部と切り裂き条片部140との間には隙間がなくてもよく、隙間があってもよく、また隙間の大きさは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.7mm以上である。隙間dがあり、また大きくなるほど、タブ144を形成する際の刃の位置決めが容易になり、製造上の利点がある。タブ144を形成する刃の位置が第2凸部と切り裂き条片部140との間から大きくずれると、タブ144を起点とする開封が困難になる。隙間の上限は、通常10mm程度である。第1凸部133および第2凸部は、いずれか一方が設けられてもよいし、両方が設けられてもよいし、設けられなくてもよい。
【0023】
図5は、本発明の一実施形態に係るジッパー付き袋の製造方法の例を示す図である。本実施形態に係るジッパー付き袋100は、長尺部材120をフィルム110に接合し、フィルム110を第1面111Aおよび第2面111Bを含む袋本体の形状に成形することによって製造されるが、
図5には長尺部材120をフィルム110に接合する前に、ジッパー部130の第1基部条片131Aと切裂き条片部140との間を分離させる工程が示されている。この工程は、供給手段510、切断手段520、誘導手段530、および接合手段540によって実施される。なお、ジッパー部130の第2基部条片131Bおよび第2の係合部132Bの図示は省略されている。
【0024】
供給手段510は、第1基部条片131Aと切裂き条片部140との間が分離していない長尺部材120を連続的に供給する。このような長尺部材120は、例えばジッパー部130の第1基部条片131Aおよび第1の係合部132Aならびに切裂き条片部140を含む部分と、第2基部条片131Bおよび第2の係合部132Bを含む部分とをそれぞれ押出成形することによって製造される。切断手段520は、供給手段510によって供給された長尺部材120の第1基部条片131Aと切裂き条片部140との間を切断する。図示された例において、切断手段520は刃として機能する薄片521である。切断および搬送を円滑にするために、薄片521の刃として機能する辺521Aを曲線状にしてもよい。薄片の材質としては、特に限定はないが、金属や樹脂などが使用できる。ここで、上述した第1凸部133を設ける場合、切断手段520がより安定して直線状に第1基部条片131Aと切裂き条片部140との間を切断することができる。
【0025】
誘導手段530は、切断手段520によって切断された切裂き条片部140を、長尺部材120の幅方向で第1基部条片131Aから離隔するように誘導する。図示された例において、誘導手段530は先端に円環状部分531Aを有する棒状部材531である。切断後も直線状に搬送される第1基部条片131Aに対して円環状部分531Aが所定の距離だけ離隔するように配置し、切断された切裂き条片部140が円環状部分531Aの中を通るように配置することによって、切裂き条片部140を第1基部条片131Aから離隔させることができる。切裂き条片部140が第1基部条片131Aから離隔する距離は、例えば接合手段540によって第1基部条片131Aおよび切裂き条片部140をそれぞれフィルム110に接合するときにこれらの部分の間が再び融着せず、また上述のような所定の間隔が確保されるように設定される。
【0026】
接合手段540は、ジッパー部130の第1基部条片131A、および誘導手段530によって誘導された切裂き条片部140を、それぞれフィルム110に接合する。図示された例において、接合手段540はヒートシール用のシールバー541である。シールバー541が、第1基部条片131Aと、これとは離隔して誘導される切裂き条片部140とを含む領域に熱を加えることによって、各部をフィルム110に接合することができる。シールバー541の入口側で切裂き条片部140を位置決めする位置決め手段542がさらに設けられてもよい。位置決め手段542は、例えば1対の柱状部材542A,542Bであり、誘導手段530によって誘導された切裂き条片部140が1対の柱状部材542A,542Bの間を通るように配置することによって、シールバー541に入る切裂き条片部140を正しく位置決めすることができる。
【0027】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明の属する技術の分野の当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0028】
100…ジッパー付き袋、110…フィルム、111A…第1面、111B…第2面、112…トップシール部、113…ボトムシール部、114…サイドシール部、120…長尺部材、130…ジッパー部、131A…第1基部条片、131B…第2基部条片、132A…第1の係合部、132B…第2の係合部、133…第1凸部、140…切裂き条片部、141…基部、142…切裂き条片、151…第2凸部、510…供給手段、520…切断手段、521…薄片、521A…辺、530…誘導手段、531…棒状部材、531A…円環状部分、540…接合手段、541…シールバー、542…位置決め手段、542A,542B…柱状部材、SP…収納空間。
【要約】
【課題】容器本体を切り裂くことによってジッパーに面する容器の開口を形成するにあたり、より小さい力で容易に容器本体に開口を形成することを可能にする。
【解決手段】収納空間に面する第1面を有する容器本体と、第1面に接合されて収納空間の一辺を画定する長尺部材とを備えるジッパー付き容器が提供される。長尺部材は、第1面に接合される第1基部条片と、第1基部条片に部分的に対向し、長尺部材の幅方向で収納空間とは反対側に位置する第1基部条片とは対向しない領域で第1面に接合される第2基部条片と、第1および第2基部条片からそれぞれ突出し互いに係合可能な第1および第2の係合部と、長尺部材の幅方向で第1基部条片から分離して形成され、第1面に接合される切裂き条片部とを断面形状に含む。
【選択図】
図2