(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773888
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】連結器用自動解放機構
(51)【国際特許分類】
B61G 1/14 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
B61G1/14
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-505044(P2019-505044)
(86)(22)【出願日】2017年8月11日
(65)【公表番号】特表2019-524545(P2019-524545A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】CN2017097009
(87)【国際公開番号】WO2018024260
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2019年3月28日
(31)【優先権主張番号】201610778788.8
(32)【優先日】2016年8月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514222673
【氏名又は名称】中▲車▼青▲島▼四方▲車▼▲輛▼研究所有限公司
【氏名又は名称原語表記】CRRC QINGDAO SIFANG ROLLING STOCK RESEARCH INSTITUTE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲全▼
(72)【発明者】
【氏名】杜▲錦▼涛
(72)【発明者】
【氏名】李明▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲継▼波
【審査官】
森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05503280(US,A)
【文献】
実公昭46−034175(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結器ナックルスピンドル(1)と駆動ユニット(2)とを備えており、
前記駆動ユニット(2)は、連結器本体(3)に枢支されるシリンダ本体(201)と、前記シリンダ本体(201)に沿って軸方向に動くことが可能な伸縮部材(202)とを備える、
連結器用自動解放機構であって、
第1の回転部材(4)と、ボス(5)と、ボスストッパ(6)とをさらに備えており、
前記第1の回転部材(4)は、前記伸縮部材(202)に枢支されるクランク(401)と、前記クランク(401)に固定して接続され、前記連結器ナックルスピンドル(1)の周囲に被せられる回転部(402)とを備えており、
前記連結器ナックルスピンドル(1)の軸方向において前記回転部(402)の動きを制限する第2の回転部材(7)をさらに備えており、前記第2の回転部材(7)は、前記連結器ナックルスピンドル(1)に接続され、
前記ボス(5)は前記回転部(402)に固定して取り付けられ、
前記ボスストッパ(6)は、前記連結器ナックルスピンドル(1)に、又は、前記第2の回転部材(7)に位置し、
前記駆動ユニット(2)が前記伸縮部材(202)を一方向に駆動することで、前記ボス(5)と前記ボスストッパ(6)とが当接し、前記回転部(402)が前記連結器ナックルスピンドル(1)を駆動して一方向に回転させて、連結器の解放がなされ、
前記駆動ユニット(2)が前記伸縮部材(202)を駆動して所定位置に戻した後は、連結器の連結を達成するための前記連結器ナックルスピンドル(1)の回転は前記回転部(402)によって制限されない、
連結器用自動解放機構。
【請求項2】
前記連結器ナックルスピンドル(1)の側壁または前記第2の回転部材(7)に溝(10)が形成され、前記ボスストッパ(6)は前記溝の径方向の側壁(11)であり、前記連結器ナックルスピンドル(1)または前記第2の回転部材(7)の周方向の前記溝(10)の寸法は前記ボス(5)の最大の移動距離以上である、請求項1に記載の連結器用自動解放機構。
【請求項3】
前記ボスストッパ(6)は、前記連結器ナックルスピンドル(1)または前記第2の回転部材(7)に固定されるブロック構造のボスストッパである、請求項1に記載の連結器用自動解放機構。
【請求項4】
前記第2の回転部材(7)は、前記回転部(402)よりも上に位置し、カバープレート構造である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の連結器用自動解放機構。
【請求項5】
前記駆動ユニット(2)は電動シリンダである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の連結器用自動解放機構。
【請求項6】
前記第1の回転部材(4)の内壁と前記連結器ナックルスピンドル(1)の側面との間にスリーブ(19)が設けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の連結器用自動解放機構。
【請求項7】
前記第2の回転部材(7)は、前記連結器ナックルスピンドル(1)に固定される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の連結器用自動解放機構。
【請求項8】
前記第2の回転部材(7)が2つ以上のネジ(8)によって前記連結器ナックルスピンドル(1)に固定される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の連結器用自動解放機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、列車連結器用連結装置の技術分野に属し、特に連結器用自動解放機構に関する。
【背景技術】
【0002】
連結器用連結装置の基本構成として、解放装置は、連結器を解放するように連結器ナックル機構を押して回転させるように機能する。従前の解放方法は手動解放と自動解放とを含み、中国における鉄道車両の従前の自動解放方法は空気圧解放である。従来の解放装置を
図1に示す。
図1には2つの解放機構が示されている。2つの解放機構の構造は同じであるので、これらの一方のみを説明する。従来の解放装置は、連結器ナックルスピンドル2´が設けられている連結器本体1´を含む。連結器ナックルスピンドル2´は連結器ナックル3´を貫通し、連結器ナックル3´を押して回転させることができる。連結器ナックル3´は連結ロッド4´に接続されている。たとえば、連結器ナックル3´と連結ロッド4´との間の接続はピン5´によって実現してもよい。解放装置は付勢バネ6´をさらに含む。付勢バネ6´の一端は連結ロッド4´に接続されている一方で、その他端は連結器本体1´に接続されている。連結器本体1´には、連結器ナックル3´を押して動かす動力を提供するシリンダピストンロッド7´がさらに設けられている。空気圧解放法による解放の際、シリンダピストンロッド7´が伸び出て連結器ナックル3´を直接押して回転させる。しかしながら、解放ピストンロッド7´と接触する連結器ナックル3´の表面は比較的短いので、連結器ナックル3´の応力方向がピストンロッド7´の方向に常に沿うことを保証することはきわめて困難である。その結果、連結器ナックル3´がシリンダピストンロッド7´に大きい横方向の力を加え、シリンダピストンロッド7´によって連結器ナックル上の塗装に損傷が生じるなどのいくつかの課題がある。
【0003】
上記の技術的課題を解決するために、特許文献1には、解放シリンダが連結器本体の内部の空所に配置され、解放シリンダの一端が解放クランクに枢支され、その他端が連結器本体の内壁に取り付けられている、コンパクトな強力ロック連結器が開示されている。解放中、2つの連結器の解放シリンダが膨らみ、2つの連結器が互いに解放されるまで、ピストンプッシュロッドが解放クランクを駆動して2つの連結器ナックルを押して回転させる。2つの連結器が互いに解放された後、連結器ナックルは付勢バネの付勢により予定連結位置(to−be−coupled position)に戻る。この解放装置では、シリンダピストンロッドを連結器ナックル機構に枢支する技術的手段が設けられ、これにより、解放中、シリンダピストンに加えられる大きい横方向の力と、シリンダピストンロッドによって生じる連結器ナックル上の塗装の損傷との技術的課題は解消する。しかしながら、この解放装置には依然として以下の技術的課題がある。
【0004】
連結器の連結過程では、2つの連結器の連結器ナックルは2つの列車による駆動力によって押されて回転する。連結器が最大角度まで回転された後は、シリンダロッドによる抵抗のために、連結器ナックルが付勢バネの付勢を受けて素早く回転して2つの連結器をロックすることが困難である。
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、特許文献2には、連結器ナックルの内部の空所に中心シャフトが配置され、中心シャフトにスピンドルが動かないように取り付けられ、スピンドルに解放クランクが接続ロッドによって枢支され、スピンドルの尾部に解放シリンダのシリンダピストンが配置される、強力ロック連結器用のリンク型自動解放装置が開示されている。さらに、解放装置では、シリンダピストンの周囲に被せられるバネがさらに設けられる。この解放装置では、連結器の連結過程で、連結器ナックルを引っ張って所定位置に戻すときに付勢バネが受ける荷重が軽減される。しかしながら、この解放装置では、付勢バネが連結器ナックルを引っ張って所定位置に戻すときに発生する抵抗は完全には除去されず、連結器の連結過程で、連結器ナックルが付勢バネの付勢を受けて素早く回転して2つの連結器をロックすることは依然としてきわめて困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開200981560Y
【特許文献2】中国特許出願公開201136515Y
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従前の連結器用自動解放装置の課題に鑑み、本出願により新規の連結器用自動解放機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願では以下の技術的解決手段を採用する。
【0009】
連結器用自動解放機構は連結器ナックルスピンドルと駆動ユニットとを備える。駆動ユニットは、連結器本体に枢支されたシリンダ本体と、シリンダ本体に沿って軸方向に移動可能な伸縮部材とを備える。連結器用自動解放機構は、第1の回転部材と、ボスと、ボスストッパとをさらに備えており、第1の回転部材は、伸縮部材に枢支されるクランクと、クランクに動かないように接続され、連結器ナックルスピンドルの周囲に被せられる回転部とを備える。駆動ユニットが伸縮部材を一方向に駆動することで、ボスのボスストッパとの当接によって回転部が連結器ナックルスピンドルを駆動して一方向に回転させ、この結果、連結器の解放が実現され、駆動ユニットが伸縮部材を駆動して所定位置に戻した後は、連結器の連結を達成するための連結器ナックルスピンドルの回転は回転部によって制限されない。
【0010】
好ましい実施の形態として、連結器用自動解放機構は、連結器ナックルスピンドルの軸方向の回転部の動きを制限する第2の回転部材をさらに備えており、第2の回転部材は、連結器ナックルスピンドルに動かないように接続される。
好ましい実施の形態として、ボスは回転部に動かないように取り付けられる。
好ましい実施の形態として、連結器ナックルスピンドルの側面に溝が形成され、ボスストッパは溝の径方向の側壁であり、連結器ナックルスピンドルの周方向の溝の寸法はボスの最大移動距離以上である。
【0011】
好ましい実施の形態として、ボスストッパは、連結器ナックルスピンドルに固定されるブロック構造のボスストッパである。
【0012】
好ましい実施の形態として、第2の回転部材に溝が形成され、ボスストッパは溝の径方向の側壁であり、連結器ナックルスピンドルの周方向の溝の寸法はボスの最大移動距離以上である。
【0013】
好ましい実施の形態として、ボスストッパは第2の回転部材に固定されるブロック構造のボスストッパである。
【0014】
上記の実現例は以下のように要約することができる。
(1)連結器ナックルスピンドルの側壁または第2の回転部材に溝が形成され、ボスストッパは溝の径方向の側壁であり、連結器ナックルスピンドルまたは第2の回転部材の周方向の溝の寸法はボスの最大移動距離以上である。動く際、ボスが回転部によって駆動されて溝の側部を押すことで、最終的に連結器ナックルスピンドルを回転させる。
【0015】
(2)ボスストッパは連結器ナックルスピンドルまたは第2の回転部材に固定されるブロック構造のボスストッパである。動く際、ボスは回転部によって駆動されてボスストッパを押して動かすことで、最終的に連結器ナックルスピンドルを回転させる。
【0016】
代替実施の形態として、ボスと溝/ブロック構造との間の配置場所を互いに入れ替えてもよく、すなわち、ボスが連結器ナックルスピンドルまたは第2の回転部材に配置される一方で、溝またはブロック構造は回転部に形成される。ボスと溝/ブロック構造とは互いに合わさり、ボスは溝またはブロック構造によって駆動されて動かされる。動く際、ブロック構造、または溝の側部は回転部によって駆動されてボスを押すことで、連結器ナックルスピンドルを回転させる。
【0017】
好ましい実施の形態として、駆動ユニットは電動シリンダである。
好ましい実施の形態として、第1の回転部材の内壁と連結器ナックルスピンドルの側面との間にスリーブが設けられる。
【0018】
好ましい実施の形態として、第2の回転部材が2つ以上のネジによって連結器ナックルスピンドルに固定される。
【0019】
好ましい実施の形態として、この機構は、ハンドルを備える手動解放装置をさらに備えており、ハンドルの一端は回転ヘッドであり、回転ヘッドの一面にはクランプ部材が設けられる。
【0020】
好ましい実施の形態として、第2の回転部材の実際の取り付け法によると、クランプ部材は立ち上がり構造または孔構造のクランプ部材である。
【0021】
先行技術と比較して、本出願の利点および好ましい効果は以下の通りである。
1.本出願では、既存の連結器用自動連結装置の解放機構を改善する。すなわち、第1の回転部材、ボスおよびボスストッパを設け、第1の回転部材と連結器ナックルスピンドルとの間に分割型接続関係を構成することにより、連結器ナックルスピンドルを、解放過程では第1の回転部材と同時に回転させ、連結過程では独立して動作させてもよく、これにより、付勢バネが連結器ナックルを駆動して迅速に回転させて連結器をロックすることが確実になり、したがって、これは、高効率の自動解放法を確実にすることを約束しつつ連結器の連結を実施するのに有効である。
【0022】
2.本出願によって提供される自動解放機構では、連結器の解放過程で連結器ナックルの駆動ユニットに対する横方向の力を減少させることができ、連結器の連結過程でバネによって連結器ナックルを駆動して迅速に回転させて連結器をロックすることができる。
【0023】
3.中国における既存の鉄道車両の自動解放法はすべて空気圧解放である。しかしながら、空気圧解放法は応答速度が遅く、メンテナンスが困難であり、安定性に劣り、空気圧解放には空気源、一般的にはエアコンプレッサが必要であり、大きい容積を占め、騒音が大きいなどの欠点をともなう。したがって、電動シリンダを用いることで、既存の空気圧解放法は電動解放法に改良され、これにより、連結器用自動解放装置の応答速度および安定性が改善され、連結器用自動解放装置のメンテナンスコストが削減され、省スペース化され、快適性が改善される。
【0024】
4.電動解放法を適用することにより、上述の高い応答速度や高い安定性などの技術的効果を実現し得るが、電動解放法に用いられる電動シリンダには大きいセルフロック力が存在し、これが連結器用自動解放装置の連結器の連結を大きく妨げる。したがって、電動解放法を連結器用自動解放装置に適用し得ないという困難を克服するために、本出願では、連結器ナックルスピンドルとの第1の回転部材の分割型接続法と、電動解放法とを組み合わせ、これにより、連結器用自動解放装置の安定性と解放の効率とが改善され、連結器の連結過程の円滑な実施が保証される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】従前の連結器用解放装置の概略構造図である。
【
図2】本出願に係る連結器用自動解放機構の上面図である。
【
図8】結合器本体が省略された後の構成要素の接続図である。
【
図9】別の実現例におけるボスおよび溝の合わさり図である。
【
図13】2つの連結器が連結器の解放過程で互いから完全に解放され得るときの連結器用自動解放機構の部分図である。
【
図14】連結器が解放された後の連結器用自動解放機構の部分図である。
【
図15】2つの連結器の連結器ナックル連結器の連結が連結器の連結中に最大角度まで回転させられるときの連結器用自動解放機構の部分図である。
【符号の説明】
【0026】
1´連結器本体、2´連結器ナックルスピンドル、3´連結器ナックル、4´連結ロッド、5´ピン、6´付勢バネ、7´シリンダピストンロッド、1連結器ナックルスピンドル、2駆動ユニット、201シリンダ本体、202伸縮部材、3連結器本体、4第1の回転部材、401クランク、402回転部、5ボス、6ボスストッパ、7第2の回転部材、8ネジ、9ワッシャ、10溝、11上側の側壁、12連結器ナックル、13連結ロッド、14ピン、15付勢バネ、16キー、17第1のシャフトスリーブ、18第2のシャフトスリーブ、19スリーブ、20手動解放装置、21ハンドル、22回転ヘッド、23クランプ部材。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、典型的な実施の形態を用いて本出願を具体的に説明する。ただし、さらに説明せずに実施の形態の要素、構造および特徴を他の実施の形態に効果を奏するように組み込んでもよいと当然解する。
【0028】
本出願の説明では、用語「内側(inside)」、「外側(outside)」、「上(up)」、「下(down)」、「前(front)」、「後(back)」、「左(left)」、「右(right)」、「時計回り(clockwise)」、「反時計回り(anticlockwise)」などが、単に本出願の説明を簡便にし、記載を単純にするために、図面に示されている位置的関係に応じた位置的なものまたは位置的関係を示すが、特定の向きのものでなければならずかつ特定の向きで構成され動作しなければならないように記載されている装置または要素を示したり示唆したりせず、したがって本出願を限定するものと解釈するべきではないことに留意するべきである。さらに、用語「第1(first)」、「第2(second)」、「第3(third)」などは単に説明を目的として用いられており、相対的な重要度を示したり示唆したりするものと解するべきではない。
【0029】
図2〜
図8に示されているように、連結器ナックルスピンドル1と駆動ユニット2とを含む連結器用自動解放機構が設けられている。駆動ユニット2は、連結器本体3に枢支されているシリンダ本体201と、このシリンダ本体201の軸方向に動くことができる伸縮部材(telescopic member)202とを含む。連結器用自動解放機構は、第1の回転部材4、ボス5、およびボスストッパ6をさらに含み、第1の回転部材4は、伸縮部材202に枢支されているクランク401と、クランク401に動かないように接続されている回転部402とを含む。回転部402は連結器ナックルスピンドル1の周囲に被せられている。駆動ユニット2が伸縮部材202を一方向に駆動することで、ボス5とボスストッパ6との当接によって回転部402が連結器ナックルスピンドル1を駆動して一方向に回転させ、この結果、連結器の解放が実現される。駆動ユニット2が伸縮部材202を駆動して所定位置に戻した後は、連結器の連結を達成するための連結器ナックルスピンドル1の回転は回転部402によって制限されない。
【0030】
枢支接続は構成要素間の直接枢支接続であってもよいし、間接枢支接続であってもよい。
図6および
図7に示されているように、駆動ユニット2と連結器本体3との間の枢支接続は、駆動ユニット2と連結器本体3との間の枢支接続が間接枢支接続であるように、駆動ユニット2の下に位置する支持プレートとの間の、連結器本体3との枢支接続であってもよく、伸縮部材202とクランク401との間の直接枢支接続は、ピン、固定部材または他の従来の構成要素によって実現してもよい。
【0031】
第1の回転部材4が連結器ナックルスピンドル1の軸方向に動くことによって第1の回転部材4が不安定に回転することを防止するために、好ましい実施の形態として、連結器用自動解放機構は、連結器ナックルスピンドル1の軸方向の回転部402の動きを制限する第2の回転部材7をさらに含み、第2の回転部材7は、回転部402よりも上に位置し、連結器ナックルスピンドル1に動かないように接続されている。
【0032】
第1の回転部材4、ボス5およびボスストッパ6を設け、第1の回転部材4と連結器ナックルスピンドル1との間に分割型接続を設けることにより、連結器ナックルスピンドル1は、連結器の解放過程では第1の回転部材4と同時に回転し、連結器の連結過程では独立して回転することができる。したがって、付勢バネが連結器ナックルを駆動して素早く回転させ連結器をロックすることが確実になり、自動解放法の高い効率を確保することを前提とした滑らかな連結器の連結に有効である。
【0033】
特定の実施の形態として、
図2〜
図8に示されているように、ボス5を回転部402よりも上で動かないように取り付けてもよい。第2の回転部材7は回転部402よりも上に位置し、カバープレート構造であってもよい。第2の回転部材7の左右部分は(
図3および
図4に示されているように)回転部402と近接する。すなわち、第2の回転部材7は回転部402を覆って、回転部の軸方向の動きを妨げてもよい。ボス5の位置は第2の回転部材7の位置に対応する。
図6および
図7に示されているように、第2の回転部材7が連結器ナックルスピンドル1から離れて回転するのを防止するために、第2の回転部材7を2つ以上のネジ8によって連結器ナックルスピンドル1に固定してもよい。ネジ8の固定に際して、より強固な固定を実現する目的でワッシャ9などの構成要素も用いてもよい。
図2〜
図8に示されているように、第2の回転部材7には溝10が形成されており、ボスストッパ6は溝10の径方向の側壁、すなわち
図2に示されている上側の側壁11である。
【0034】
本出願の技術的解決手段をより明確に理解するために、本出願に関する従来技術をここで簡単に説明する。
図1および
図6〜
図8に示されているように、ここで、括弧内の参照番号は
図1の参照番号であり、連結器ナックルスピンドル1(2´)と連結器ナックル12(3´)とが連結器本体3(1´)に含まれ、連結器ナックルスピンドル1(2´)は連結器ナックル12(3´)を貫通し、連結器ナックルスピンドル1(2´)は連結器ナックル12(3´)を押して回転させることができ、連結器ナックル12(3´)は連結ロッド13(4´)に接続されており、双方ともピン14(5´)によって接続されており、付勢バネ15(6´)が連結器本体3(1´)にさらに含まれ、付勢バネ15(6´)の一端が連結ロッド13(4´)に接続されている一方で、その他端は連結器本体3(1´)に接続されている。連結器ナックルスピンドル1(2´)によって連結器ナックル12(3´)を押すことは、キー16によって実現してもよいと当然解する。連結器ナックルスピンドル1(2´)と連結器本体3(1´)との間の信頼性の高い回転を確保するために、連結器ナックルスピンドル1(2´)の上下に第1のシャフトスリーブ17と第2のシャフトスリーブ18とをそれぞれ設けてもよい。当該技術的解決手段は先行の技術的解決手段と見なすことができる。
【0035】
先行技術と組み合わせて本出願の技術的解決手段を理解する場合、連結器の連結過程で連結器ナックル12が付勢バネ15によって所定位置に完全に戻ることを可能にするために、好ましい実施の形態として、連結器ナックルスピンドル1の周方向の溝10の寸法は、ボス5の最大移動距離以上であるべきである。
【0036】
ボスの最大移動距離は、解放の際には、ボス5が連結器ナックルスピンドル1を(直接的または間接的に)押して回転させることで、連結器ナックル12および連結ロッド13を完全に解放された位置まで駆動することができることを確実とすることができる一方で、連結の際には、ボス5の回転が第2の回転部材7、すなわち連結器ナックルスピンドル1によって妨げられないことが確実になる(摩擦を除く)ことを意味する。
【0037】
上記の特定の実施の形態には以下の効果がある。一方では、第2の回転部材7を設けることによって、回転部402の回転はより安定し、他方では、ボスストッパ6を第2の回転部材7に配置し、第2の回転部材7を2つ以上のネジ8によって固定することによって、第2の回転部材7と連結器ナックルスピンドル1との相対回転がさらに制限されるので、ボス5が連結器ナックルスピンドル1と直接接触することによって生じる連結器ナックルスピンドル1の損傷が回避され、これは連結器ナックルスピンドル1の長い耐用年数を確保するのに有効である。
【0038】
上記の特定の実施の形態の別の変形例として、
図9および
図10に示されているように、技術的解決手段を理解し易くするために、いくつかの構成要素が省略されているが、図中、溝10が連結器ナックルスピンドル1の側面に形成され、ボスストッパ6が溝10の径方向の側壁11である。組み立ての際は、ボス5を溝10内まで延ばし、溝10の径方向の側壁11を押すことによって連結器ナックルスピンドル1が押されて回転する。この過程で、第2の回転部材7をさらに設ける場合には、第2の回転部材7は回転を伝達せずに回転部402の軸方向の動きを制限するようにしか機能しない。連結器の連結過程で連結器ナックル12が付勢バネ15によって所定位置に完全に戻ることを可能にするために、連結器ナックルスピンドル1の周方向の溝10の寸法がこの場合もボス5の最大移動距離以上である必要があることは同様である。
【0039】
上記の特定の実施の形態の変形例として、ボスストッパ6もブロック構造のボスストッパであってもよい(図示せず)。ブロック構造を第2の回転部材7に動かないように取り付けて、位置的にブロック構造がボス5に対応していてもよいし、ブロック構造を連結器ナックルスピンドル1に固定して、位置的にブロック構造がボス5に対応していてもよい。
【0040】
ボスストッパ6をブロック構造として設計する利点は、溝10を形成する手法と比較して、ブロック構造を設ける手法では寸法制限に対する要求がなく、機械加工に都合がよいことである。ブロック構造を連結器ナックルスピンドル1に取り付ける手法を採用する場合、第2の回転部材7は回転部402の軸方向の動きを制限するようにしか機能せず、ネジ8の数は制限されない。
【0041】
なお、ボスストッパ6を連結器ナックルスピンドル1に配置する手法については、第2の回転部材7を省略してもよい。このようにして、本出願の連結器用自動解放機構による滑らかな連結器の連結過程を確保する目的を達成することも可能である。
【0042】
上記の特定の実施の形態の変形例として、ボス5とボスストッパ6との特定の構造を互いに交換してもよい。たとえば、上記の特定の実施の形態では、ボス5を回転部402に配置し、溝10を連結器ナックルスピンドル1の側面または第2の回転部材7に配置し、伸縮部材202が伸び出ると、溝10の側部(ボスストッパ6)がボス5によって押されることで、最終的に連結器ナックルスピンドル1を回転させる。交換後では、ボスを連結器ナックルスピンドル1の側面または第2の回転部材7に配置してもよく、回転部402に溝を形成し、伸縮部材202が伸び出ると、ボスが溝の側部によって押されることで、最終的に連結器ナックルスピンドル1を回転させる。
【0043】
あるいは、当初用いるボスストッパ6がブロック構造のボスストッパである場合は、交換後では、ボスを連結器ナックルスピンドル1の側面または第2の回転部材7に配置してもよく、ブロック構造は回転部402に配置される。この場合、伸縮部材202が伸び出ると、ボスがブロック構造によって押されることで、最終的に連結器ナックルスピンドル1を回転させる。
【0044】
上記の特定の実施の形態の改良例として、
図2および
図7に示されているように、連結器用自動解放機構の駆動ユニット2は電動シリンダとして設定される。電動シリンダを用いることによって、既存の空気圧解放法が電動解放法に改良され、その結果、連結器用自動解放装置の応答速度および安定性が改善され、そのメンテナンスコストが削減される。
【0045】
既存の空気圧解放法を電動解放法に置き換えることにより、高い応答速度や高い安定性などの技術的効果を実現することができるが、電動解放法に用いられる電動シリンダにはきわめて大きいセルフロック力が存在し、これが連結器用自動解放装置の連結器の連結を大きく妨げることになることに注意を要する。したがって、電動解放法を連結器用自動解放装置に適用することができないという困難を克服するために、本発明では、第1の回転部材4と連結器ナックルスピンドル1との分割型接続法を電動解放法と組み合わせることで、連結器用自動解放装置の安定性および解放効率を改善することができ、滑らかな連結器の連結過程も確保することができる。
【0046】
上記の特定の実施の形態の改良例として、
図3および
図4に示されているように、第1の回転部材4と連結器ナックルスピンドル1または第2の回転部材7との間に乾燥摩擦(dry friction)が発生することで、本出願の技術的効果の実現に影響することを避けるため、第1の回転部材4の内壁と連結器ナックルスピンドル1の側面との間にスリーブ19が設けられる。
【0047】
好ましい実施の形態として、本出願では、クランク401、すなわち回転部402が適切に動作しない場合に連結器の手動解放を実現するのに用いることができる手動解放装置20をさらに設ける。
図11〜
図12に示されているように、手動解放装置20はハンドル21を含む。ハンドル21の一端は平板構造の回転ヘッド22である。回転ヘッド22の一面にはクランプ部材(clamping member)23が設けられている。1つ以上のクランプ部材23が存在する。これとは別に、クランプ部材の数はネジ8の数に等しい。
【0048】
ネジ8が第2の回転部材7の外面に埋め込まれる場合には、クランプ部材23はネジに合わさる立ち上がり構造のクランプ部材である。
図11〜
図12に示されているように、クランプ部材は、ネジ8の取り付け口に合わさる2つの立ち上がり構造である。ネジ8が第2の回転部材7の外面から突出する場合には、クランプ部材23はネジに合わさる孔構造(図示せず)のクランプ部材である。ネジとクランプ部材とがどのように合わさるかに関わらず、動作原理は以下の通りである。電動回転または空気圧回転が不適切に働くとき、手動解放装置20のクランプ部材23をネジ8またはネジ孔に合わせ、ハンドル21を回転させて連結器ナックルスピンドル1を駆動して回転させることで、解放を実現する。
【0049】
以下、本出願の連結器用自動解放機構の動作過程を、
図13〜
図15に示されている特定の構造を例として取り上げて説明する。
【0050】
図13に示されているように、連結器の解放中、伸縮ロッド202がシリンダ本体201の駆動を受けて伸び出て、その際、クランク401を駆動して反時計回りに回転させ、クランク401が回転部402を駆動して連結器ナックルスピンドル1の軸まわりに反時計回りに回転させる。
図13に示されているように、第1の回転部材4は、ボス5と、第2の回転部材7に形成されている溝の側壁11との働きによって第2の回転部材7を駆動して反時計回りに回転させる。第2の回転部材7の回転によって連結器ナックルスピンドル1が駆動されて反時計回りに回転することと、2つの連結器が互いに完全に解放されると連結器ナックルスピンドル1の回転をストップすることが
図13および
図3から分かる。
【0051】
図14に示されているように、連結器が解放した後、伸縮ロッド202は
図2および
図14に示されている初期位置に後退する。その間、付勢バネ15の働きにより、第2の回転部材7が連結器ナックルスピンドル1を駆動して時計方向に回転させる。
【0052】
図15に示されているように、連結器の連結中、2つの連結器の連結器ナックル12が2つの列車による駆動力によって押されて反時計回りに回転し、2つの連結器12が最大角度まで回転させられ全開位置に達する(すなわち、
図15に示されている位置まで回転させられる)まで、連結器ナックルスピンドル1が駆動されて反時計回りに回転する。この場合、連結器ナックルスピンドル1は付勢バネ15の付勢により
図2に示されている初期位置まで時計回りに回転する。連結器の連結の全過程で、第1の回転部材4は回転しない。