(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記実装処理において前記部品へ向けて前記ノズルを下降させつつ前記撮像部に撮像させた前記画像に基づき、下降中の前記ノズルを停止させる前記目標高さを制御する請求項1に記載の部品実装機。
前記制御部は、前記画像に含まれる前記ノズルの下端部および前記部品の上端部それぞれの前記撮像部側のエッジに基づき、前記実装処理で前記ノズルを停止させる前記目標高さを制御する請求項2に記載の部品実装機。
前記制御部は、前記部品へ向けて前記ノズルを下降させつつ前記撮像部に前記画像を撮像させて、前記ノズルと前記部品との接触を前記画像から確認したときの前記ノズルの高さを前記目標高さとして求める事前処理を実行し、前記実装処理において下降する前記ノズルを前記事前処理で求めた前記目標高さで停止させる請求項1に記載の部品実装機。
前記制御部は、前記画像に含まれる前記ノズルの下端部および前記部品の上端部それぞれの前記撮像部側のエッジの位置に基づき、前記ノズルと前記部品との接触を確認する請求項4に記載の部品実装機。
前記制御部は、前記事前処理において、前記部品へ向けて前記ノズルを下降させつつ前記撮像部に前記画像を複数回撮像させ、前記ノズルの下端部および前記部品の上端部それぞれの前記撮像部側のエッジの位置が所定関係を満たす前記画像が撮像されると、前記ノズルと前記部品とが接触したと判断する請求項5に記載の部品実装機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の方法では、例えばノズルに付着したゴミ等の影響で流量が変化したような場合、目標高さを正確に設定できないおそれがあった。そこで、ノズルから吸引される空気の流量によらず、ノズルの目標高さを制御できる技術が求められていた。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、部品へ向けてノズルを下降させる際の目標高さを、ノズルから吸引される空気の流量によらずに制御することを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品実装機は、基板を保持する基板保持部と、収納凹部に収納された部品を供給する部品供給部と、部品へ向けて下降させたノズルを目標高さで停止させて目標高さで部品に接触するノズルにより部品を吸着してから部品を基板に実装する実装処理を実行する実装ヘッドと、部品あるいは収納凹部と、部品へ向けて下降するノズルとの両方を含む画像を撮像する撮像部と、実装処理でノズルを停止させる目標高さを、撮像部が撮像した画像に基づき制御する制御部とを備える。
【0007】
本発明に係るノズル高さ制御方法は、部品あるいは部品を収納する収納凹部と、部品へ向けて下降するノズルとの両方を含む画像を撮像する工程と、部品へ向けて下降させたノズルを目標高さで停止させて目標高さで部品に接触するノズルにより部品を吸着してから部品を基板に実装する実装処理を実行する工程とを備え、実装処理でノズルを停止させる目標高さを画像に基づき制御する。
【0008】
このように構成された本発明(部品実装機、ノズル高さ制御方法)では、部品あるいは部品を収納する収納凹部と、部品へ向けて下降するノズルとの両方を含む画像が撮像される。そして、実装処理でノズルを停止させる目標高さが当該画像に基づき制御される。これによって、部品へ向けてノズルを下降させる際の目標高さを、ノズルから吸引される空気の流量によらずに制御することが可能となっている。
【0009】
また、制御部は、実装処理において部品へ向けてノズルを下降させつつ撮像部に撮像させた画像に基づき、下降中のノズルを停止させる目標高さを制御するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、例えば部品の厚みが個体差によりばらついた場合であっても、部品の厚みに対してノズルの目標高さを適切に制御することができる。
【0010】
また、制御部は、画像に含まれるノズルの下端部および部品の上端部それぞれの撮像部側のエッジに基づき、実装処理でノズルを停止させる目標高さを制御するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、画像処理において比較的容易に識別可能なエッジに基づき、ノズルの目標高さを適切に制御することができる。
【0011】
また、制御部は、部品へ向けてノズルを下降させつつ撮像部に画像を撮像させて、ノズルと部品との接触を画像から確認したときのノズルの高さを目標高さとして求める事前処理を実行し、実装処理において下降するノズルを事前処理で求めた目標高さで停止させるように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、実装処理より前の事前処理において、ノズルと部品とを接触させたときのノズルの高さがノズルの目標高さとして求められる。したがって、以後の実装処理において適切な目標高さでノズルの下降を停止させることができる。
【0012】
また、制御部は、画像に含まれるノズルの下端部および部品の上端部それぞれの撮像部側のエッジの位置に基づき、ノズルと部品との接触を確認するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、画像処理において比較的容易に識別可能なエッジに基づき、ノズルと部品との接触を的確に判別することができる。
【0013】
また、制御部は、事前処理において、部品へ向けてノズルを下降させつつ撮像部に画像を複数回撮像させ、ノズルの下端部および部品の上端部それぞれの撮像部側のエッジの位置が所定関係を満たす画像が撮像されると、ノズルと部品とが接触したと判断するように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、複数の画像に基づき、ノズルが部品に接触したか否かを的確に判別することができる。
【0014】
また、事前処理で撮像された画像を表示する表示部をさらに備えるように、部品実装機を構成しても良い。かかる構成では、作業者は、表示部に表示された画像を目視することで、例えばノズルによる部品の吸着ミスの要因を確認することができる。
【0015】
また、撮像部は、実装ヘッドに取り付けられて、鉛直方向に対して傾斜した方向から画像を撮像するように、部品実装機を構成しても良い。かかる撮像部によって、部品あるいは部品を収納する収納凹部と、部品へ向けて下降するノズルとの両方を含む画像を的確に撮像することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、部品へ向けてノズルを下降させる際の目標高さを、ノズルから吸引される空気の流量によらずに制御することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明に係る部品実装機を模式的に示す部分平面図である。
図2は
図1の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図である。
図1および以下の図では、Z方向を鉛直方向とするXYZ直交座標を適宜示す。
図2に示すように、部品実装機1は、装置全体を統括的に制御するコントローラー100を備える。コントローラー100は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)で構成されたプロセッサーである演算処理部110およびHDD(Hard Disk Drive)で構成された記憶部120を有するコンピューターである。
【0019】
コントローラー100は、部品実装機1の駆動系を制御する駆動制御部130と、部品実装機1の撮像系を制御する撮像制御部140とを有する。そして、演算処理部110は駆動制御部130および撮像制御部140を制御することで、所定の手順で部品実装を実行する。さらに、部品実装機1には、表示/操作ユニット150が設けられており、演算処理部110は、部品実装機1の状況を表示/操作ユニット150に表示したり、表示/操作ユニット150に入力された作業者からの指示を受け付けたりする。
【0020】
図1に示すように、部品実装機1は、基台11の上に設けられた一対のコンベア12、12を備える。そして、部品実装機1は、コンベア12によりX方向(基板搬送方向)の上流側から実装処理位置(
図1の基板Bの位置)に搬入した基板Bに対して部品Pを実装し、部品実装を完了した基板Bをコンベア12により実装処理位置からX方向の下流側へ搬出する。
【0021】
部品実装機1では、Y方向に延びる一対のY軸レール21、21と、Y方向に延びるY軸ボールネジ22と、Y軸ボールネジ22を回転駆動するY軸モーターMy(サーボモーター)とが設けられ、X軸レール23が一対のY軸レール21、21によりY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ22のナットに固定されている。X軸レール23には、X方向に延びるX軸ボールネジ24と、X軸ボールネジ24を回転駆動するX軸モーターMx(サーボモーター)とが取り付けられており、ヘッドユニット20がX軸レール23にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ24のナットに固定されている。したがって、駆動制御部130は、Y軸モーターMyによりY軸ボールネジ22を回転させてヘッドユニット20をY方向に移動させ、あるいはX軸モーターMxによりX軸ボールネジ24を回転させてヘッドユニット20をX方向に移動させることができる。
【0022】
一対のコンベア12、12のY方向の両側それぞれでは、2つの部品供給部3がX方向に並んでいる。各部品供給部3に対しては、複数のテープフィーダー31がX方向に並んで着脱可能に装着されている。テープフィーダー31はY方向に延設されており、Y方向におけるヘッドユニット20側の先端部に、集積回路、トランジスター、コンデンサ等の小片状の部品Pを供給する。つまり、所定ピッチで配列された複数のポケットTpのそれぞれに部品Pを収納したテープが各テープフィーダー31に装填されており、各テープフィーダー31は、テープをヘッドユニット20側へ向けてY方向に間欠的に送り出す。これによって、テープ内の部品PがY方向に送り出されて、各テープフィーダー31の先端部(
図1のポケットTpの位置)に順番に供給される。
【0023】
ヘッドユニット20は、いわゆるロータリー型の実装ヘッド4を有する。つまり、実装ヘッド4には、回転軸A4を中心に円周状に等角度間隔で配列された複数(8個)のノズル41が着脱可能に取り付けられており、複数のノズル41は、R軸モーターMr(サーボモーター)の駆動力を受けて回転軸A4を中心に回転可能である。そして、実装ヘッド4は、Z軸モーターMz(サーボモーター)の駆動力によってノズル41を昇降させて、部品Pの吸着・実装を行う。なお、駆動制御部130は、Z軸モーターMzのエンコーダーの出力に基づきノズル41の高さを確認しつつノズル41を昇降させる。また、ヘッドユニット20には、ノズル制御カメラ5が取り付けられており、部品Pを吸着する際の部品Pの高さは、ノズル制御カメラ5により撮像された画像Iに基づき制御される。
【0024】
具体的には、ヘッドユニット20は、ノズル制御カメラ5の視野に吸着対象の部品Pを収めるとともに、複数のノズル41を回転させて一のノズル41を当該部品Pに上方から対向させる。そして、実装ヘッド4は、ノズル41を下降させてノズル41の下端面を部品Pの上面に接触させる。この際、撮像制御部140は、部品Pおよびノズル41の両方を含む画像Iをノズル制御カメラ5により撮像し、演算処理部110は、この画像Iに基づき駆動制御部130を制御することでノズル41の下降を調整する。これによって、ノズル41を部品Pに的確に接触させることが可能となっている。続いて、実装ヘッド4は、ノズル41により部品Pを吸着しつつノズル41を上昇させることで、実装ヘッド4を保持(ピックアップ)する。かかる動作を繰り返すことで、実装ヘッド4に複数の部品Pを保持させることができる。
【0025】
さらに、部品実装機1は、上方を向いて基台11に取り付けられた部品認識カメラ6をX方向に並ぶ2個の部品供給部3の間に備える。部品認識カメラ6は、ノズル41あるいはノズル41に吸着された部品Pを下方から撮像する。そして、演算処理部110は、撮像制御部140を介して取得した部品認識カメラ6の撮像結果に基づき、ノズル41の外形や、ノズル41による部品Pの吸着状態を認識することができる。
【0026】
図3はノズル制御カメラの構成の一例を模式的に示す図である。なお、同図ではヘッドユニット20等の他の部材がノズル制御カメラ5と併記されている。また、複数のノズル41のうち、2個のノズル41が代表して示されるとともに、ノズル41が部品Pから離れた状態(実線)と、ノズル41が部品Pに接触した状態(2点鎖線)とが併記されている。ノズル制御カメラ5は、撮像素子51、テレセントリックレンズ52およびミラー53を有し、撮像対象物(部品P、ノズル41)から射出されてミラー53で反射された光はテレセントリックレンズ52によって撮像素子51に結像される。また、ノズル制御カメラ5は照明54を有し、照明54によって撮像対象物を照らした状態で、撮像対象物を撮像素子51により撮像する。撮像素子51は、CMOS(Complementary MOS)イメージセンサーあるいはCCD(Charge
Coupled Device)イメージセンサーといった固体撮像素子で構成されたエリアセンサーであり、撮像素子51により撮像された画像Iは、撮像制御部140に出力される。
【0027】
このノズル制御カメラ5の光軸OAは、Z方向(鉛直方向)に対して傾斜角θ(90°>θ>0°)だけ傾斜しており、換言すればノズル制御カメラ5は、斜め上方から撮像対象物を撮像する。これによって、ノズル制御カメラ5は、部品Pと当該部品Pに向かって下降するノズル41とを同時に視野に納めつつ、部品Pおよびノズル41の両方を含む画像Iを撮像することができる。そして、撮像制御部140は、この画像Iから算出したノズル41と部品Pとの距離Hに基づき、ノズル41を下降させる目標高さZtを調整する。
【0028】
図4はノズル制御カメラが撮像する画像の一例を模式的に示す図であり、
図5はノズル制御カメラが撮像した画像からノズルと部品との距離を算出する方法の一例を模式的に示す図である。なお、
図4および
図5では、ノズル41の中心線C41が部品Pの上面Paの中心(幾何重心)に一致する場合が示されている。
【0029】
図4に示すように、ノズル制御カメラ5により撮像された画像Iには、ノズル41の下端面41aのノズル制御カメラ5側のエッジ41bと、部品Pの上面Paのノズル制御カメラ5側のエッジPbとの距離Lが現れる。そして、撮像制御部140は、エッジ検出などの画像処理によって各エッジ41b、Pbを検出した結果に基づき、この距離Lを求める。
【0030】
これに対して、
図5から分かるように、ノズル41と部品PとのZ方向への距離Hは、次の関係式
h1=L/cos(90°−θ) …式1
h2=ΔW×tan(90°−θ) …式2
H=h1+h2 …式3
により求められる。ここで、寸法差ΔWは、ノズル41の下端面41aのX方向(ノズル制御カメラ5の奥行き方向)への幅W41と、部品Pの上面PaのX方向の幅Wpとの差の半分である。ノズル41の幅W41は、例えば部品認識カメラ6でノズル41の下端面41aを撮像した結果から求められ、部品Pの幅Wpは、例えばノズル制御カメラ5で部品Pの上面Paを撮像した結果から求められる。そして、演算処理部110は、式1〜式3により算出したノズル41と部品PとのZ方向への距離Hに基づき、ノズル41を下降させる目標高さZtを部品Pの上面Paに調整する。
【0031】
図6は本発明の第1実施形態に係るフローチャートであり、具体的には
図1の部品実装機1が実行する実装処理の一例を示す。このフローチャートは、演算処理部110の制御によって実行される。ちなみに、
図6に示す実装処理は、実装ヘッド4が部品供給部3から部品Pを各ノズル41により順次吸着して各部品Pを基板Bに実装する1回の処理であり、部品実装機1は、必要に応じて実装処理を繰り返し実行することで基板Bに対する部品Pの実装を完了する。
【0032】
実装処理では、テープフィーダー31が部品Pを供給するのに伴って(ステップS101)、ノズル41がテープフィーダー31により供給された部品Pの上方へ移動する(ステップS102)。なお、ステップS102では、特開2015−90925号公報と同様の方法によって、ノズル41と部品Pとの位置関係をX方向およびY方向に調整することで、部品Pの上面Paのうちの吸着位置にノズル41をZ方向から対向させる。具体的には、演算処理部110は、ノズル制御カメラ5による部品Pの撮像結果に基づき部品Pの上面Paの中心(吸着位置)を求めて、ノズル41の中心線C41が当該中心に一致するようにノズル41を移動させる。これによって、Z方向からの平面視において部品Pの吸着位置とノズル41の中心線C41が重なる。
【0033】
続いて、ノズル41が部品Pへ向けて下降を開始する(ステップS103)。ノズル41の下降は、開始から所定時間は速度Vaで実行され、開始から所定時間が経過すると速度Vaより遅い速度Vbで実行される。そして、ノズル41が速度Vaで下降中に、制御カメラ5が、ノズル
図4に例示したようなノズル41および部品Pを含む画像Iを撮像する(ステップS104)。
【0034】
また、撮像制御部140は、上述の式1〜式3に従ってノズル41と部品PとのZ方向への距離Hを算出し(ステップS105)、この距離Hに基づき目標高さZtを設定する(ステップS106)。具体的には、ステップS104〜S105の実行中にノズル41が下降した距離ΔHを距離Hから引いた下降距離(=H−ΔH)だけ下方の高さが、目標高さZtに設定される。
【0035】
演算処理部110は、ノズル41の下端面41aが目標高さZtまで下降したのを確認すると(ステップS107で「YES」)、ノズル41の下降を停止させて(ステップS108)、ノズル41に部品Pを吸着させる(ステップS109)。こうして、ノズル41と部品Pとを撮像した画像Iに基づき設定された目標高さZtでノズル41の下降を停止させることで、ノズル41を部品Pに的確に接触させて、ノズル41による部品Pの吸着ミスの発生を抑制することが可能となっている。そして、この実装処理で吸着すべき全ての部品Pの吸着を完了するまで(ステップS110で「NO」)、ノズル41を切り換えつつステップS102〜S109が繰り返される。全ての部品Pの吸着が完了すると(ステップS110で「YES」)、実装ヘッド4は基板Bの上方へ移動して、各ノズル41により保持する部品Pを基板Bに実装する(ステップS111)。
【0036】
以上に説明した第1実施形態では、部品Pと、部品Pへ向けて下降するノズル41との両方を含む画像Iが撮像される(ステップS104)。そして、実装処理でノズル41を停止させる目標高さZtが当該画像Iに基づき制御される(ステップS105〜S107)。これによって、部品Pへ向けてノズル41を下降させる際の目標高さZtを、ノズル41から吸引される空気の流量によらずに制御することが可能となっている。
【0037】
また、コントローラー100は、実装処理において部品Pへ向けてノズル41を下降させつつノズル制御カメラ5に撮像させた画像Iに基づき、下降中のノズル41を停止させる目標高さZtを制御する(ステップS103〜S107)。かかる構成では、下降中のノズル41により吸着予定の部品Pを含む画像Iによりノズル41の目標高さZtを調整できるため、例えば部品Pの厚みが個体差によりばらついた場合であっても、部品Pの厚みに対してノズル41の目標高さZtを適切に制御することができる。
【0038】
また、コントローラー100は、画像Iに含まれるノズル41の下端面41aおよび部品Pの上面Paそれぞれのノズル制御カメラ5側のエッジ41b、Pbに基づき、実装処理でノズル41を停止させる目標高さZtを制御する。かかる構成では、画像処理において比較的容易に識別可能なエッジ41b、Pbに基づき、ノズル41の目標高さZtを適切に制御することができる。
【0039】
また、ノズル制御カメラ5は、ヘッドユニット20を介して実装ヘッド4に取り付けられ、Z方向に対して傾斜した方向から画像Iを撮像する。かかるノズル制御カメラ5によって、部品Pと、部品Pへ向けて下降するノズル41との両方を含む画像Iを的確に撮像することが可能となっている。
【0040】
図7は本発明の第2実施形態に係るフローチャートであり、具体的には
図1の部品実装機1が実装処理の前に実行する事前処理の一例を示す。このフローチャートは、演算処理部110の制御によって実行される。
図8は
図7の事前処理で撮像される画像の一例を模式的に示す図である。
【0041】
事前処理では、テープフィーダー31が部品Pを供給するのに伴って(ステップS201)、ノズル41がテープフィーダー31により供給された部品Pの上方へ移動する(ステップS202)。なお、ステップS202では、特開2015−90925号公報と同様の方法によって、ノズル41と部品Pとの位置関係をX方向およびY方向に調整することで、ノズル41のエッジ41bを部品PのエッジPbに対向させる。具体的には、演算処理部110は、ノズル制御カメラ5による部品Pの撮像結果に基づき部品PのエッジPbを求め、ノズル41のエッジ41bが部品PのエッジPbに上方から対向するようにノズル41を移動させる。この際、ノズル41のエッジ41bの位置は、部品認識カメラ6によるノズル41の撮像結果に基づき予め算出されている。なお、各エッジ41b、Pbは、エッジ検出などの画像処理によって求めることができる。かかるステップS202の実行によって、Z方向からの平面視において部品PのエッジPbとノズル41のエッジ41bとが重なる。
【0042】
続いて、このノズル41が部品Pへ向けて下降を開始する(ステップS203)。そして、ノズル41が下降中に、ノズル制御カメラ5がノズル41および部品Pを含む画像Iを撮像する(ステップS204)。ステップS204の撮像は、ステップS205でノズル41のエッジ41bと部品PのエッジPbとがZ方向において一致(接触)したことが画像Iにより確認されるまで、繰り返し実行される。これによって、
図8の「1回目」「2回目」および「3回目」の各欄に示す画像Iが撮像される。なお、これらの画像Iは、表示/操作ユニット150に表示される。
図8の「3回目」の欄に示すように、ノズル41のエッジ41bと部品PのエッジPbとが接触した画像Iが取得されると(ステップS205で「YES」)、当該画像Iを撮像した時点でのノズル41の下端面41aの高さが目標高さZtに設定される(ステップS206)。
【0043】
そして、部品実装機1は、以後に実行する実装処理において、この目標高さZtへノズル41を下降させる。
図6の実装処理のフローチャートを用いて説明すると、ステップS101〜S103は上述と同じ要領で実行される。一方、ステップS104〜S106は省略され、ステップS107では、
図8の事前処理で設定された目標高さZtまでノズル41が下降したかが判断される。そして、ノズル41の目標高さZtへの下降が確認されると(ステップS107で「YES」)、ステップS108〜S111が上述と同じ要領で実行される。このように第2実施形態においても、ノズル41と部品Pとを撮像した画像Iに基づき設定された目標高さZtでノズル41の下降を停止させることで、ノズル41を部品Pに的確に接触させて、ノズル41による部品Pの吸着ミスの発生を抑制することが可能となっている。
【0044】
以上に説明した第2実施形態では、部品Pと、部品Pへ向けて下降するノズル41との両方を含む画像Iが撮像される(ステップ204)。そして、実装処理でノズルを停止させる目標高さZtが当該画像Iに基づき制御される(ステップS206、S107)。これによって、部品Pへ向けてノズル41を下降させる際の目標高さZtを、ノズル41から吸引される空気の流量によらずに制御することが可能となっている。
【0045】
また、コントローラー100は、部品Pへ向けてノズル41を下降させつつノズル制御カメラ5に画像Iを撮像させて、ノズル41と部品Pとの接触を画像Iから確認したときのノズル41の高さを目標高さZtとして求める事前処理を実行する。そして、コントローラー100は、実装処理において下降するノズル41を事前処理で求めた目標高さZtで停止させる。かかる構成では、実装処理より前の事前処理において、ノズル41と部品Pとを接触させたときのノズル41の高さがノズル41の目標高さZtとして求められる。したがって、以後の実装処理において適切な目標高さZtでノズル41の下降を停止させることができる。
【0046】
また、コントローラー100は、画像Iに含まれるノズル41の下端面41aおよび部品Pの上面Paそれぞれのノズル制御カメラ5側のエッジ41b、Pbの位置に基づき、ノズル41と部品Pとの接触を確認する。かかる構成では、画像処理において比較的容易に識別可能なエッジ41b、Pbに基づき、ノズル41と部品Pとの接触を的確に判別することができる。
【0047】
また、コントローラー100は、事前処理において、部品Pへ向けてノズル41を下降させつつノズル制御カメラ5に画像Iを複数回撮像させる(ステップS203〜S205)。そして、コントローラー100は、ノズル41の下端面41aおよび部品Pの上面Paそれぞれのノズル制御カメラ5側のエッジ41b、Pbの位置が所定関係を満たす画像I(
図8の「3回目」の欄)が撮像されると、ノズル41と部品Pとが接触したと判断する。かかる構成では、複数の画像Iに基づき、ノズル41が部品Pに接触したか否かを的確に判別することができる。
【0048】
また、部品実装機1は、事前処理で撮像された画像Iを表示/操作ユニット150に表示する。したがって、作業者は、表示/操作ユニット150に表示された画像Iを目視することで、例えばノズル41による部品Pの吸着ミスの要因を確認することができる。
【0049】
このように本実施形態では、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、コンベア12が本発明の「基板保持部」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、部品供給部3が本発明の「部品供給部」の一例に相当し、ポケットTpが本発明の「収納凹部」の一例に相当し、部品Pが本発明の「部品」の一例に相当し、上面Paが本発明の「上端部」の一例に相当し、エッジPbが本発明の「エッジ」の一例に相当し、実装ヘッド4が本発明の「実装ヘッド」の一例に相当し、ノズル41が本発明の「ノズル」の一例に相当し、下端面41aが本発明の「下端部」の一例に相当し、エッジ41bが本発明の「エッジ」の一例に相当し、目標高さZtが本発明の「目標高さ」の一例に相当し、ステップS101〜S111が本発明の「実装処理」の一例に相当し、ノズル制御カメラ5が本発明の「撮像部」の一例に相当し、画像Iが本発明の「画像」の一例に相当し、コントローラー100が本発明の「制御部」の一例に相当し、ステップS201〜S206が本発明の「事前処理」の一例に相当し、表示/操作ユニット150が本発明の「表示部」の一例に相当し、Z方向が本発明の「鉛直方向」の一例に相当する。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、
図6の実装処理のステップS102では、部品Pの上面Paの中心を吸着位置として、ノズル41を吸着位置の上方に移動させていた。しかしながら、部品Pの吸着位置は、部品Pの上面Paの中心に限られず、部品Pの形状や重量等に応じて適宜変更できる。この際、
図5に基づく式1〜式3を吸着位置の変更に応じて適宜変形して、ノズル41と部品PとのZ方向への距離Hを算出するようにしても良い。
【0051】
また、
図6の実装処理では、ノズル41の下降を開始する前に、ノズル41と部品PとのXY方向における位置関係が調整されていた(ステップS103)。しかしながら、ノズル41を下降させながら、ノズル41と部品PとのXY方向における位置関係を調整しても良い。この際、画像Iの撮像は、かかる位置関係の調整が完了した後に行うと良い。
【0052】
また、ステップS104で画像Iを撮像するタイミングは上述の例に限られず、適宜変更しても良い。したがって、ノズル41の下降速度を速度Vaから速度Vbに切り換えた後に画像Iを撮像しても良い。
【0053】
また、
図7の事前処理では、ステップS202において、部品PのエッジPbにノズル41のエッジ41bを上方から対向させていた。しかしながら、ステップS202における部品PのエッジPbとノズル41のエッジ41bとの位置関係はこれに限られず、Z方向からの平面視において、部品PのエッジPbに対してノズル41のエッジ41bがずれていても良い。この場合には、ステップS205において、このずれ量を勘案して、ノズル41と部品Pとの接触を判断すれば良い。
【0054】
また、
図6の実装処理や
図7の事前処理では、ノズル41と部品Pの位置との位置関係をそれぞれのエッジに基づき判断していた。しかしながら、これらの位置関係を判断するための基準はエッジに限られない。
【0055】
また、第1実施形態のステップS104〜S107では、部品Pとノズル41を含む画像Iに基づきノズル41の高さを制御していた。しかしながら、ポケットTpとノズル41とを含む画像Iに基づきノズル41の高さを制御しても構わない。つまり、部品Pとこれを収容するポケットTpとは所定の位置関係を有しており、例えばポケットTpの上端よりも所定のクリアランスだけ低い位置に部品Pの上面Paが存在すると推定できる。したがって、ステップS104でポケットTpとノズル41とを含む画像Iを撮像し、ステップS105でノズル41とポケットTpとの位置関係から、ノズル41と部品PとのZ方向への距離Hを算出しても良い。
【0056】
また、第2実施形態のステップS204〜S205では、部品Pとノズル41を含む画像Iに基づきノズル41と部品Pとの接触を判断していた。しかしながら、ポケットTpとノズル41とを含む画像Iに基づきノズル41と部品Pとの接触を判断しても構わない。つまり、ステップS204でポケットTpとノズル41とを含む画像Iを撮像し、ステップS205でノズル41とポケットTpとの位置関係から、ノズル41と部品Pとの接触を判断しても良い。
【0057】
また、上記の第1・第2実施形態は、ノズル41から吸引される空気の流量に基づく制御を排除するものではなく、当該制御を補完的に用いることもできる。
【0058】
また、部品供給部3の構成は上述のテープフィーダーにより部品Pを供給するものに限られず、トレイによって部品Pを供給するものでも構わない。