(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エチレン・α−オレフィン共重合体(D)がエチレン・オクテンゴム及びエチレン・ブテンゴムから選ばれる1種類以上を含む請求項1又は2記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の熱可塑性エラストマー組成物について具体的に説明する。
【0013】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、結晶性オレフィン系樹脂(B)、高密度ポリエチレン(C)、エチレン・α−オレフィン共重合体(D)及びシリコーン化合物(E)を含有している。
【0014】
[エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)]
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、エチレンと、エチレン以外のα−オレフィン、好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィンと、非共役ポリエン、好ましくは非共役ジエンとからなる共重合体である。
【0015】
前記共重合体(A)は、「ポリマー製造プロセス((株)工業調査会、発行p.309〜330)」もしくは本願出願人の出願に係る特開平9−71617号公報、特開平9−71618号公報、特開平9−208615号公報、特開平10−67823号公報、特開平10−67824号公報、特開平10−110054号公報、WO2009/081792号パンフレット、WO2009/081794号パンフレットなどに記載されているような従来公知の方法により製造することができる。
【0016】
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の製造の際に好ましく用いられるオレフィン重合用触媒としては、例えば、
バナジウム(V)、ジルコニウム(Zr)、チタニウム(Ti)等の遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物(有機アルミニウムオキシ化合物)とからなる公知のチーグラー触媒;
元素の周期律表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物又はイオン化イオン性化合物とからなる公知のメタロセン触媒、例えば特開平9−40586号公報に記載されているメタロセン触媒;
特定の遷移金属化合物と、ホウ素化合物等の共触媒とからなる公知のメタロセン触媒、例えばWO2009/072553号パンフレットに記載されているメタロセン触媒;
特定の遷移金属化合物と、有機金属化合物、有機アルミニウムオキシ化合物又は該遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物とからなる遷移金属化合物触媒、例えば特開2011−52231号公報に記載されている遷移金属化合物触媒;
が挙げられる。特にメタロセン触媒を用いると、ジエンの分布が均一となってジエンの導入が少なくても高い架橋効率を得ることができ、また触媒活性が高いため触媒由来の塩素含量を低減できるため特に好ましい。
【0017】
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、エチレンから導かれる構造単位と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位との合計100モル%中において、エチレンから導かれる構造単位の含有率(Eaモル%)が通常40〜90モル%、好ましくは40〜80モル%であり、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位の含有率が通常60〜10モル%、好ましくは60〜20モル%である。
【0018】
エチレンから導かれる構造単位の含有率と、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位の含有率とが前記範囲にあると、機械物性、ゴム弾性、耐寒性及び加工性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得られるという点で優れている。エチレンから導かれる構造単位の含有率が90モル%以下、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位の含有率が10モル%以上であると、熱可塑性組成物が柔軟性、低温でのゴム弾性、加工性に優れる。エチレンから導かれる構造単位の含有率が40モル%以上、炭素数が3〜20のα−オレフィンから導かれる構造単位の含有率が60モル%以下であると、熱可塑性組成物が機械物性、高温でのゴム弾性に優れる。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)のエチレン構造単位の含有率、及びα−オレフィン構造単位の含有率は、
13C−NMR法で測定することができ、例えば後述する方法及び「高分子分析ハンドブック」(朝倉書店 2008年発行 初版 P184〜211)に記載の方法に従ってピークの同定と定量とを行うことができる。
【0019】
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチルデセン−1、11−メチルドデセン−1、12−エチルテトラデセン−1などが挙げられる。中でも、プロピレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく、とりわけプロピレンが好ましい。これらのα−オレフィンは、単独で、又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0020】
非共役ポリエンとしては、具体的には、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン等の鎖状非共役ジエン;メチルテトラヒドロインデン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−イソブテニル−2−ノルボルネン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン等のトリエンなどが挙げられる。中でも、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、シクロペンタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエンが好ましい。
【0021】
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.6〜6.5dl/g、好ましくは0.8〜6.0dl/g、より好ましくは0.9〜5.5dl/gであることが望ましい。135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]がこの範囲にあると、機械特性、ゴム弾性及び加工性のバランス優れた熱可塑性エラストマーが得られるという点で優れている。
【0022】
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)のヨウ素価は、通常2〜50g/100g、好ましくは5〜40g/100g、より好ましくは7〜30g/100gであることが望ましい。ヨウ素価がこの範囲を下回ると、熱可塑性エラストマー中での架橋効率が低下し、ゴム弾性が低下する。ヨウ素価がこの範囲を上回ると、架橋密度が高くなりすぎて伸びが低下し、物性バランスが悪化する場合がある。
【0023】
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)は、GPCにより測定した分子量分布(Mw/Mn)が、通常1.5〜50であり、好ましくは1.8〜30であり、より好ましくは2.0〜6である。分子量分布がこの範囲を下回ると低分子量成分の含有量が少なくなり、加工性が低下する。分子量分布がこの範囲を上回ると、低分子量成分の含有量が多くなり、耐フォギング性が悪化する。
【0024】
本発明に係るエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)のムーニー粘度[ML
1+4(100℃)]は、好ましくは15〜400である。ムーニー粘度がこの範囲にあると、機械特性と加工性のバランスに優れる。
【0025】
[結晶性オレフィン系樹脂(B)]
本発明に用いる結晶性オレフィン系樹脂(B)としては、好ましくはペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックが挙げられる。
【0026】
ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックとは、ペルオキシドと混合し、加熱下で混練することにより熱分解して分子量を減じ、樹脂の流動性が増加するオレフィン系のプラスチックをいい、例えばアイソタクチックポリプロピレンや、プロピレンと他の少量のα−オレフィンとの共重合体、例えばプロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体等を挙げることができる。
【0027】
前記ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックとしては、炭素数2〜20のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体が挙げられる。
【0028】
前記のα−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が挙げられる。
【0029】
前記(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックの具体的な例としては、以下のような(共)重合体が挙げられる。
(1)プロピレン単独重合体
(2)プロピレンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(3)プロピレンと30モル%以下の他のα−オレフィンとのブロック共重合体
(4)1−ブテン単独重合体
(5)1−ブテンと10モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
(6)4−メチル−1−ペンテン単独重合体
(7)4−メチル−1−ペンテンと20モル%以下の他のα−オレフィンとのランダム共重合体
【0030】
本発明に用いる結晶性オレフィン系樹脂(B)は、230℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローレート(MFR:ISO1133,230℃、荷重2.16kg)が通常5〜150g/10分であり、好ましくは30〜100g/10分の範囲内である。
【0031】
また、密度は、通常0.90g/cm
3以上、かつ0.92g/cm
3以下、好ましくは0.91g/cm
3以上、0.92g/cm
3以下である。ここで、密度はピクノメーター法(JIS K7112 B法)により測定した密度である。
【0032】
本発明に用いる結晶性オレフィン系樹脂(B)としては、α−オレフィンと少量の例えば10モル%以下の他の重合性単量体との共重合体、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体等を用いてもよい。
【0033】
本発明に用いる結晶性オレフィン系樹脂(B)としては、ポリプロピレンが特に好ましい。
【0034】
本発明に用いるポリオレフィン樹脂の市販品としては、例えば、プライムポリプロ((株)プライムポリマー製)、ミラソン((株)プライムポリマー製)、サンテック(旭化成ケミカルズ(株)製)、ノバテック(日本ポリプロ(株)製)、住友ノーブレン(住友化学(株)製)、エボリュー((株)プライムポリマー製)、ハイゼックス((株)プライムポリマー製)、ポリメチルペンテン樹脂(TPX)(三井化学(株)製)が挙げられる。
【0035】
本発明に用いる結晶性オレフィン系樹脂(B)は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)とともに、完全又は部分架橋熱可塑性エラストマーに存在してもよい。
【0036】
このような完全又は部分架橋熱可塑性エラストマーのうち、部分架橋熱可塑性エラストマーとしては、例えば、
(1)(a)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムと、(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック(結晶性オレフィン系樹脂(B))とからなる混合物、又は(a)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムと、(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック(結晶性オレフィン系樹脂(B))と、(c)ペルオキシド非架橋型ゴム状物質及び/又は(d)鉱物油系軟化剤とからなる混合物を、有機ペルオキシドの存在下に動的に熱処理して得られた、部分的に架橋された熱可塑性エラストマー、
(2)(a)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムと、(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチック(結晶性オレフィン系樹脂(B))と、(c)ペルオキシド非架橋型ゴム状物質及び/又は(d)鉱物油系軟化剤とからなる混合物を、有機ペルオキシドの存在下に動的に熱処理して得られた架橋されたゴム組成物に、(e)結晶性オレフィン系樹脂(B)を均一に配合せしめた、部分的に架橋された熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0037】
前記の(c)ペルオキシド非架橋型ゴム状物質とは、例えばポリイソブチレン、ブチルゴム、アタクチックポリプロピレン、プロピレン含量が50モル%以上のプロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム等のように、ペルオキシドと混合し、加熱下に混練しても架橋せず、流動性が低下しない炭化水素系のゴム状物質をいう。
【0038】
前記の(d)鉱物油系軟化剤とは、通常ゴムをロール加工する際、ゴムの分子間作用力を弱め、加工を容易にするとともに、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の分散を助けたり、あるいは加硫ゴムの硬さを低下せしめて柔軟性、弾性を増す目的で使用されている高沸点の石油留分で、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等に区別されている。鉱物油系軟化剤としては、例えばパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等が挙げられる。
【0039】
前記熱可塑性エラストマーにおいて、(b)ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックと(a)ペルオキシド架橋型オレフィン系共重合体ゴムとの質量配合比((b)/(a))は、通常90/10〜10/90、好ましくは70/30〜15/85の範囲である。
【0040】
また、ゴムとして、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)とその他のゴムを組み合わせて用いる場合には、その他のゴムは、ペルオキシド分解型オレフィン系プラスチックとゴムとの合計量100質量部に対して、通常40質量部以下、好ましくは5〜20質量部の割合で配合する。
【0041】
本発明で好ましく用いられる熱可塑性エラストマーは、結晶性ポリプロピレンと、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体とからなり、熱可塑性エラストマー中においてこれらが部分架橋された状態で存在し、かつ、結晶性ポリプロピレンとゴムとの質量配合比(結晶性ポリプロピレン/ゴム)が70/30〜10/90の範囲内にあるオレフィン系熱可塑性エラストマーである。
【0042】
本発明で好ましく用いられるオレフィン系熱可塑性エラストマーのより具体的な例としては、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体からなるゴム(a−1)30〜90質量部と結晶性ポリプロピレン(b−1)70〜10質量部[成分(a−1)及び(b−1)の合計量は、100質量部とする]と、前記ゴム(a−1)以外のゴム(c)及び/又は鉱物油系軟化剤(d)5〜150質量部とからなる混合物を、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理して得られる、前記ゴム(a−1)が部分的に架橋された熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0043】
前記有機ペルオキシドとしては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
【0044】
これらのうち、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレートが好ましく、なかでも、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが最も好ましい。
【0045】
有機ペルオキシドは、結晶性ポリオレフィンとゴムとの合計量100質量部に対して、通常0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜3質量部の割合で用いられる。
【0046】
前記有機ペルオキシドによる架橋処理に際し、イオウ、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N,4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン、N,N’−m−フェニレンジマレイミド、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートのような架橋助剤、あるいはエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
【0047】
前記のような化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、前記の被架橋処理物の主成分である結晶性ポリオレフィン及びゴムとの相溶性が良好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を有し、有機ペルオキシドの分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランスのとれた熱可塑性エラストマーが得られる。
【0048】
前記のような架橋助剤又は多官能性ビニルモノマーは、前記の被架橋処理物全体100質量部に対して、0.01〜5質量部、特に0.05〜3質量部の割合で用いるのが好ましい。架橋助剤又は多官能性ビニルモノマーの配合割合が5質量部を超えると、有機ペルオキシドの配合量が多い場合には、架橋反応が速く進行し過ぎるため、得られる熱可塑性エラストマーは、流動性に劣り、一方、有機ペルオキシドの配合量が少ない場合には、架橋助剤及び多官能性ビニルモノマーが、熱可塑性エラストマー中に未反応のモノマーとして残存し、熱可塑性エラストマーは、加工成形の際に熱履歴による物性の変化が生じたりする。したがって、架橋助剤及び多官能性ビニルモノマーは、過剰に配合すべきではない。
【0049】
前記の「動的に熱処理する」とは、前記のような各成分を融解状態で混練することをいう。
【0050】
混練装置としては、従来公知の混練装置、例えば開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出機、ニーダー、連続ミキサー等が用いられる。これらのうちでは、非開放型の混練装置が好ましく、混練は、窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。
【0051】
混練温度は、通常150〜280℃、好ましくは170〜250℃であり、混練時間は、通常0.5〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断力は、剪断速度として10〜50,000sec
−1、好ましくは100〜20,000sec
−1の範囲内で決定される。
【0052】
なお、完全に架橋された熱可塑性エラストマーは、前記(1)、(2)の熱可塑性エラストマーの調製方法に準じて有機ペルオキシドの使用量、混練時間等の条件を変えることによって調製することができる。
【0053】
[高密度ポリエチレン(C)]
本発明に用いる高密度ポリエチレン(C)は、接着性と摺動性を両立させるための成分であり、密度は、通常0.940〜0.970g/cm
3、好ましくは0.945〜0.965g/cm
3である。ここで、密度はピクノメーター法(JIS K7112 B法)により測定した密度である。
【0054】
高密度ポリエチレン(C)としては、例えばエチレン単独重合体、又はエチレン・プロピレン、エチレン・1−ブテン、エチレン・1−ヘキセン、エチレン・4−メチル−1−ペンテン、エチレン・1−オクテンなどのエチレン・α−オレフィン共重合体からなるものを用いることができる。これらの重合体の重合に用いられる重合触媒としては、例えば、公知のチーグラー系、フィリップス系などのマルチサイト触媒、ジルコノセン、チタノセン、ハフノセン(総称して、メタロセン)などのカミンスキー触媒、ポストメタロセン触媒などの高活性なシングルサイト触媒が挙げられる。
【0055】
高密度ポリエチレン(C)の融点は、接着性の観点から、通常110〜150℃であり、好ましくは115〜150℃、より好ましくは120〜140℃である。ここで融点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温して、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温した時に測定されたサーモグラムから求めた結晶融解ピーク温度(Tm)である。
【0056】
高密度ポリエチレン(C)のメルトフローレート(MFR)は、摺動性改良の観点から、好ましくは0.01〜25g/10分、より好ましくは0.01〜15である。ここで、MFRはASTM D1238に準拠して測定される値であり、その測定条件は190℃、2.16kg荷重である。
【0057】
[エチレン・α−オレフィン共重合体(D)]
本発明に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体(D)は、得られる成形体の低温衝撃強度を高めるための成分であり、非晶性であり、かつ、メルトフローレート(MFR)は、摺動性改良の観点から、好ましくは0.05〜15g/10分、より好ましくは0.05〜10である。ここで、MFRはASTM D1238に準拠して測定される値であり、その測定条件は230℃、2.16kg荷重である。
【0058】
エチレン・α−オレフィン共重合体(D)のメルトフローレートは、原料であるエチレンとα−オレフィンを重合する際に、重合度を適宜調整することによって所望の範囲内となるように調整することが可能である。
【0059】
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(D)は、密度が0.85〜0.92g/cm
3であるものを使用することが好ましい。密度をこのような範囲とすることによって得られる成形体の引張破断伸び及び耐衝撃性を高めることが可能となる。本発明における密度とは、JIS K 7112「プラスチックの密度と比重の測定方法」に準拠して測定された値を意味する。比重を前記の範囲内に調節するには、エチレン・α−オレフィン共重合体(D)の重合に用いる原料モノマーの比率を適宜調整すればよい。
【0060】
エチレン・α−オレフィン共重合体(D)としては、例えばエチレン・オクテンゴム、エチレン・ブテンゴムが挙げられる。
【0061】
エチレン・α−オレフィン共重合体(D)の製造方法としては、オレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が用いられる。エチレン・α−オレフィン共重合体(D)は、例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン錯体や非メタロセン錯体等の錯体系触媒を用いた、溶液重合法、スラリー重合法、高圧イオン重合法、気相重合法、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法、溶液重合法等により製造することが好ましい。中でもチーグラー・ナッタ系触媒や錯体系触媒を用いてモノマーを重合する方法、又はメタロセン触媒の存在下でモノマーを重合する方法を用いることが特に好ましい。
【0062】
[シリコーン化合物(E)]
本発明に用いるシリコーン化合物(E)は、主として、摺動抵抗低減のために添加するものである。
【0063】
本発明に用いるシリコーン化合物としては、例えば、シリコーンオイル、高分子量シリコーン(シリコーンガム)、シリコーンパウダー等が挙げられるが、(E−1)シリコーンオイル、好ましくは動粘度5000mm
2/s未満のシリコーンオイルと(E−2)高分子量シリコーン(シリコーンガム)とを併用することが好ましい。
【0064】
(E−1)シリコーンオイルと(E−2)高分子量シリコーン(シリコーンガム)との質量配合比((E−1)/(E−2))は、通常90/10〜10/90、好ましくは75/25〜25/75の範囲である。
【0065】
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、テトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、変性シリコーン油等が挙げられる。
【0066】
高分子量シリコーン(シリコーンガム)としては、通常、重量平均分子量が10万以上のものを用いる。シリコーンガムの重量平均分子量は、好ましくは10万〜80万、更に好ましくは45万〜65万である。また、高分子量シリコーン(シリコーンガム)としては、非架橋性のものが好ましい。
【0067】
ここで、重量平均分子量は、例えば、下記条件のGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)で測定することができる。
【0068】
[ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)の測定条件]
機器 :東ソー株式会社製HLC−8120
カラム :Polymer Laboratories製PL 10u Mixed B(7.5mm I.D×30cm×2)
検出器 :示差屈折率検出器(RI/内蔵)
溶媒 :トルエン(特級)
温度 :40℃
流速 :1.0mL/分
注入量 :110μL
濃度 :0.1質量%
較正試料:単分散ポリスチレン
較正法 :ポリスチレン換算
【0069】
なお、マスターバッチ中の高分子量シリコーン(シリコーンガム)のGPC測定は、予めマスターバッチに、例えば下記処理を行って、高分子量シリコーン(シリコーンガム)とポリプロピレンとに分離した後、得られた高分子量シリコーン(シリコーンガム)について測定することにより行うことができる。
【0070】
[高分子量シリコーン(シリコーンガム)とポリプロピレンとの分離処理]
はじめに、試料(マスターバッチ)を0.05g秤量し、0.1g/L BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)添加キシレン10mLを加えた後、125℃で60分攪拌してマスターバッチを溶解させる。マスターバッチが全溶したことを目視で確認した後、溶液を室温で3時間程度静置して、液中に結晶性ポリプロピレンを析出させる。この結晶が析出した溶液を住友電工製Fluoropore FP−100(1μm)を用いて吸引ろ過し、キシレン3mLで洗浄して、CXS(キシレン可溶部、高分子量シリコーン(シリコーンガム))とCXIS(キシレン不可溶部、ポリプロピレン)とに分離する。CXSを室温の窒素ブローにより予備乾固した後、60℃で真空乾燥する。真空乾燥は重量減少が認められなくなるまで行う。真空乾燥後のCXS分を用いてGPC測定を行う。
【0071】
高分子量シリコーン(シリコーンガム)としては、例えば東レ・ダウコーニング(株)製BY27−001、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製CF−9150、信越シリコーン社製X−21−3043、信越シリコーン社製X−22−2101を用いることができる。
【0072】
[熱可塑性エラストマー組成物]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)5〜30質量部と、結晶性オレフィン系樹脂(B)20〜40質量部と、高密度ポリエチレン(C)20〜40質量部と、エチレン・α−オレフィン共重合体(D)5〜12質量部と、シリコーン化合物(E)5〜9質量部とを含む(但し、(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の合計を100質量部とする)。前記の割合で成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を配合することにより、得られる成形体のコーナー部の接着性と摺動性を両立させ、かつ、低温衝撃強度に優れたグラスランチャネル等の成形体を製造することができる。
【0073】
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の配合量が前記下限未満であると、柔軟性がなく折れ皺が発生し、一方、前記上限を超えると、摺動性が悪化する。結晶性オレフィン系樹脂(B)の配合量が前記下限未満であると、成形性が悪化し、一方、前記上限を超えると、柔軟性がなく折れ皺が発生する。高密度ポリエチレン(C)の配合量が前記下限未満であると、摺動性が悪化し、一方、前記上限を超えると、硬くなり折れ皺が発生する。エチレン・α−オレフィン共重合体(D)の配合量が前記下限未満であると、伸びが低下し、かつ低温特性が悪化し、一方、前記上限を超えると、軟化し摺動性が悪化する。シリコーン化合物(E)の配合量が前記下限未満であると、摺動性が悪化し、一方、前記上限を超えると、得られる成形体のコーナー部の接着性が低下するとともに、低温衝撃強度も悪化する。
【0074】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、少なくとも一部が架橋されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、結晶性オレフィン系樹脂(B)、高密度ポリエチレン(C)、エチレン・α−オレフィン共重合体(D)及びシリコーン化合物(E)、必要に応じて、ゴム用軟化剤(例えば、前記の(d)鉱物油系軟化剤)、更にその他の成分を溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を採用して製造することができる。
【0075】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、摺動性と低温特性及び柔軟性の点から、未架橋のエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)と、結晶性オレフィン系樹脂(B)と、有機ペルオキシドと、必要に応じて、その他の成分を含有する混合物を動的に熱処理して、部分的又は完全に架橋されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)を含む熱可塑性エラストマーを作成した後、残りの結晶性オレフィン系樹脂(B)と、高密度ポリエチレン(C)、エチレン・α−オレフィン共重合体(D)及びシリコーン化合物(E)と、必要に応じて、その他の成分を溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法により製造することが好ましい。
【0076】
混練装置としては、ミキシングロール及びインテンシブミキサー(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー)、一軸又は二軸押出機等を用いることができるが、非開放型の装置が好ましい。
【0077】
[熱可塑性エラストマー組成物の用途]
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、種々公知の成形方法、具体的には、例えば、押出成形、プレス成形、射出成形、カレンダー成形、中空成形棟の各種の成形方法により、熱可塑性エラストマー成形体とすることができる。更に、前記成形方法で得られたシートなど成形体を熱成形などで二次加工することができる。
【0078】
本発明の熱可塑性エラストマー成形体は特にその使用用途を限定されるものではないが、例えば、自動車用部品、土木・建材用品、電気・電子部品、衛生用品、フィルム・シートなど種々公知の用途に好適である。
【0079】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物によれば、得られる成形体のコーナー部の接着性と摺動性を両立させ、かつ、低温衝撃強度に優れた成形体を製造することができるので、自動車用グラスランチャネルのようなコーナー部を有する成形体を製造するのに最適である。
【0080】
本明細書は、本願の優先権の基礎である特願2017−072019の明細書に記載される内容を包含する。
【実施例】
【0081】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0082】
なお、以下において各物性は下記の方法により測定又は評価した。
【0083】
[2層成形]
実施例で作成した熱可塑性エラストマー組成物(摺動材料)からなるペレットで2層成形を行った。押出機は50mmの単軸押出機(株式会社日本製鋼社製)を用いて基材にミラストマーA800B(三井化学株式会社製)を用いて温度条件C1/C2/C3/C4/C5=160/170/180/190/200℃で押出成形を実施した。また摺動層には30mmの単軸押出機(株式会社プラスチック工学研究所)でC1/C2/C3=200/210/230℃の条件で摺動層の2層成形を行い、基材/摺動材=1.8mmt/0.2mmtの押出シートを作成した。
【0084】
[ショアーA硬度(瞬間値)]
JIS K6253に準拠して、厚さ2mmのプレスシートを2枚重ねにし、ショアーA硬度計により測定した。
【0085】
[引張特性]
50tプレス機を用いて、熱可塑性エラストマー組成物から調製した(調製条件:予熱230℃、8分間、加圧、6分間)シートサンプル(2mm厚)を被験試料とし、測定温度25℃、引張速度500mm/分及び200mm/分の条件で引張試験を行い、引張破断強度(TB)及び引張破断伸び(EB)を測定した。
【0086】
[メルトフローレート(MFR)]
ASTM D1238に準拠して230℃、10kg荷重にて測定されるメルトフローレート(MFR)を求めた。
【0087】
[低温脆化温度(Btp)]
ASTM D746に準拠して測定した。
【0088】
[動摩擦係数]
サンプルフィルムの表面に200gの荷重のあるガラス板をのせ、これを0.3m/分でフィルム表面と平行方向に引張った。その際に要した力(g)を測定し、この力をガラス板の重さで除したものを動摩擦係数で表した(ASTM D 1894−63に準じる)。
【0089】
[接着強度]
実施例及び比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物(摺動材料)からなるペレットを用いて、以下の方法で融着試験を行った。まず、厚み2mm(摺動面厚み0.2mm)の押出シートからJIS3号ダンベル試験片を打ち抜いて試験片を作成した。その後、このダンベル試験片を2分割し、150ton射出成形機(日本精工製 NEX140)の50℃の試験片金型にインサートした。この後、ミラストマーG800BS(オレフィン系熱可塑性エラストマー、三井化学株式会社製)を射出し、ダンベル試験片を作成した。(シリンダー温度はノズル前部/中間部/後部=250℃/230℃/210℃)その後、引張速度500mm/分で引張試験を行い、接着力(接着力、接着伸び)の評価を行った。
【0090】
[膜厚の残存率(1万回摺動後)]
ガラスラン摺動摩耗試験機(日計電測株式会社)を用いて前記で2層成形した押出シートを用いて摺動層の評価を行った。摩耗子にガラスを使用して摩耗試験を行った。ガラスへの荷重を3kgfとしサイクルスピードを1サイクル/秒として1万回摺動試験を行い、ガラス接触部の削れ面の残存率から摺動性評価を行った。
【0091】
残存率=(初期膜厚−削れた膜厚)/(初期膜厚)
【0092】
〔実施例1〕
(1)エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)を含有する熱可塑性エラストマー(α)の製造
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)として三井EPT(商標)3072EPM(三井化学社製エチレン・プロピレン・ENB共重合体)(カタログ値:エチレン含量64質量%、ENB含量5.4質量%;モル換算値(エチレンとプロピレンの合計を100モル%とする):エチレン含量75.8モル%、プロピレン含量24.2モル%;油展量40質量部;ヨウ素価11.5)を140質量部、結晶性オレフィン系樹脂(B)としてポリプロピレン系樹脂(商品名:プライムポリプロE−200GP、(株)プライムポリマー製、ホモタイプ、MFR(230℃、21.2N)2.0g/10分、密度0.90g/cm
3)を40質量部、架橋剤として有機ペルオキシド(1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン)0.3質量部と、架橋助剤としてジビニルベンゼン0.3質量部と、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(商品名:イルガノックス1010、BASFジャパン(株)製)0.20質量部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(商品名:Tinuvin 326FL、BASFジャパン(株)社製)0.20質量部、ヒンダードアミン(HALS)系耐候安定剤(商品名:サノールLS−770、三共ライフテック社製)0.10質量部、カーボンブラックマスターバッチ(PE4993、Cabot社製)4.0質量部と、軟化剤(ダイアナプロセスPW−100、パラフィンオイル)60質量部とをヘンシェルミキサーで充分に混合し、下記条件下で押出混練して、部分的又は完全に架橋された熱可塑性エラストマー(α)を得た。
【0093】
(混練条件)
押出機:品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製
シリンダー温度:C1〜C2 120℃、C3〜C4 140℃、C5〜C14 200℃
ダイス温度:200℃
スクリュー回転数:400rpm
押出量:80kg/h
【0094】
(2)熱可塑性エラストマー組成物の製造
前記工程により得られた、部分的又は完全に架橋された熱可塑性エラストマー(α)25質量部に対し、結晶性オレフィン系樹脂(B)として、プロピレン/エチレンランダム共重合体(結晶性樹脂)(商品名:プライムポリプロB241、(株)プライムポリマー社製、密度:0.91g/cm
3、MFR(温度:230℃、荷重:21.2N):0.5g/10分、密度0.91g/cm
3)20質量部及び超高分子量ポリエチレン(商品名:ミペロンXM−220、三井化学社製、重量平均分子量200万、融点136℃、平均粒子径30μm)10質量部、高密度ポリエチレン(C)として(株)プライムポリマー社製高密度ポリエチレン(商品名:ハイゼックス8200B、密度=0.95g/cm
3、ASTM D1238によるMFR(190℃、2.16kg荷重)0.03g/10分)40質量部、エチレン・α−オレフィン共重合体(D)としてダウ・ケミカル社製エチレン・オクテンゴム(商品名:エンゲージEG8003、MFR(230℃、2.16kg荷重)2g/10分、密度0.885g/cm
3)10質量部、シリコーン化合物(E)として、シリコーンマスターバッチ(商品名:BY27−001、東レ・ダウコーニング(株)製、ポリプロピレン中にシリコーンガムを分散させたペレット、シリコーンガム含量:50質量%)10質量部及びシリコーンオイル(商品名:SH200−3000CS、東レ・ダウコーニング社製)4質量部をヘンシェルミキサーで充分に混合した後、押出機を用いて下記条件下で混練した。
【0095】
得られた熱可塑性エラストマー組成物の物性を評価した。結果を表1に示す。
【0096】
(混練条件)
押出機:品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製
シリンダー温度:C1〜C2 120℃、C3〜C4 140℃、C5〜C14 200℃
ダイス温度:200℃
スクリュー回転数:400rpm
押出量:80kg/h
【0097】
〔比較例1〜5〕
実施例1(2)において、各成分の配合比率を表1に記載のように変えた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
【0098】
得られたペレットを用いて物性評価を行った。結果を表1に示す。
【0099】
なお、比較例3では、結晶性オレフィン系樹脂(B)としてプロピレン・α−オレフィン共重合体(商品名:タフマーXM−7070、三井化学社製)を用いた。
【0100】
【表1】
【0101】
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。