【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の態様によれば、本開示はクリームチーズの製造方法を提供し、本方法は、
(i)第1の乳液体を提供することと、
(ii)第1の乳液体を発酵させて、第1の酸性化した乳液体を形成することと、
(iii)第2の乳液体を提供することと、
(iv)第2の乳液体をクエン酸により酸性化させて、第2の酸性化した乳液体を形成することと、
(v)第1の酸性化した乳液体と第2の酸性化した乳液体とを組み合わせて、クリームチーズを形成することと、を含む。
【0015】
後述するように、本方法は、高レベルのカルシウムを有する、栄養的に改良された、風味良好なクリームチーズを提供する。驚くべきことに、本方法は、予想される苦い異味を伴うことなく、これらの高レベルを可能にする。なお、本方法ではホエーが存在せず、従って、酸ホエー副産物の生成を回避する。
【0016】
ここで、本開示を更に詳しく記載する。以下の節では、本開示の異なる態様/実施形態がより詳しく定義されている。そのように定義された各態様/実施形態は、特に明確に異議を唱えない限り、任意のその他の1つ以上の態様/実施形態と組み合わされてよい。特に、好ましい、又は有利なものとして示されている特徴は、好ましい、又は有利なものとして示されている任意のその他の1つ以上の特徴と組み合わされてよい。
【0017】
本開示は、クリームチーズの製造方法に関する。クリームチーズは周知の食品である。クリームチーズは軟らかく、まろやかな味のチーズであり、多くの場合、脂肪含有量が高い。伝統的に、クリームチーズは、追加のクリームを濃縮させた全乳から製造される。クリームチーズは自然には熟成しないので、新鮮に消費されることを意味する。クリームチーズは、多くの場合、パン、ベーグル、クラッカー等に塗られ、かつポテトチップ及び類似のスナック品目のディップとして使用され、またサラダに使用される。
【0018】
本開示の方法は、多数の工程を伴う。理解されるように、これらの工程は順次行われてもよい一方で、連続して処理を行う場合には、代替的に同時に行われてもよい、又は工程間で重複して行われてもよい。
【0019】
本開示の方法は、乳液体の使用を伴う。乳液体は、典型的には、ウシ、ヒツジ、ヤギ等の哺乳類の乳から得られる液体である。牛乳は最も普及している。乳液体は、典型的には、脂肪留分と共に、ホエータンパク質、カゼイン、ミネラル及び/又は乳糖を含む。そのようなものであるから、本定義は、それらが液体形状である限り、乳タンパク質濃縮物、全乳タンパク質濃縮物、ホエータンパク質濃縮物、カゼイン等などの乳誘導体を含む。
【0020】
第1及び第2の乳液体は、溶液及び懸濁液などの液体形状である。これらの水性液は、良好な均質の液体混合を可能にするのに重要であり、かつ連続処理に関しても重要である。乳液体は、水による粉末成分の再形成により形成されてよい。第2の乳液体は、例えば、再形成された乳タンパク質粉末であってよい。
【0021】
乳液体の好ましい例としては、周知の工業的定義を有する、全乳、脱脂乳、クリーム(シングル、ダブル)、ホイッピングクリーム等が挙げられる。全乳は、少なくとも3重量%の脂肪を含有する。クリームは、少なくとも10重量%の脂肪、また好ましくは、30重量%〜50重量%の脂肪を含有する。一度、高乳脂相が除去されると、乳の残留部分は、脱脂乳と称される。脱脂乳の脂肪含有量は、通常、0.3重量%未満である。乳液体は、所望により、限外濾過法又は蒸発濃縮法によるなどで、使用前に濃縮されてよい。
【0022】
好ましくは、乳液体は、使用前に低温殺菌及び/又は均質化され、特に、乳液体は、乳タンパク質濃縮物ではなく、乳又はクリームなどの液体を直接得る。低温殺菌及び均質化は、任意の順序で実施されてよい。より均一な乳液体が、調整可能な処理においてより少ない調整を必要とする際に、均質化された乳液体の使用により処理を手助けする。均質化及び低温殺菌プロセスは、当該技術分野において周知である。
【0023】
第1の工程は、第1の乳液体の提供である。第1の乳液体は、好ましくは、クリームなどの脂肪が豊富な乳液体である。好ましくは、第1の乳液体は少なくとも30%の脂肪を含み、より好ましくは、第1の乳液体は30%〜50%の脂肪、好ましくは、35〜45%の脂肪を含み、かつ約2%のタンパク質をも含有してよい。好ましくは、第1の乳液体はクリームを含む。好ましくは、第1の乳液体はクリームからなる。クリームは、均質化の前に乳の上部から脱脂された高乳脂層からなる乳製品である。未均質化乳では、密度の小さい脂肪は、最終的に最上部まで上昇し得る。クリームの工業的生産において、「セパレータ」と称される遠心分離機を使用することにより、本プロセスが促進される。多数の国で、総乳脂含有量に応じたいくつかの等級にて、クリームが販売されている。遠隔市場への出荷用に、クリームを粉末へと乾燥させることができる。クリームに加えて、バター、濃縮乳脂肪又は無水乳脂肪同様のその他の乳脂肪源を使用して、第1の乳液体中の脂肪含有量を調整することができる。従って、第1の乳液体は、比較的高い脂肪対タンパク質比を有し、かつ主要な脂肪源として考慮されてよい。
【0024】
好ましくは、第1の乳液体は、発酵に先立って低温殺菌及び/又は均質化される。低温殺菌された第1の乳液体の使用は、更なる低温殺菌工程の必要性を取り除き得て、一方で、依然として、低温殺菌された貯蔵安定性を有する製品を生産する。
【0025】
本方法は、第1の乳液体を発酵させて、第1の酸性化した乳液体を形成することを伴う。本適用との関係においては、発酵とは、好ましくは乳酸発酵であり、ブドウ糖及びその他の六炭糖による生物学的なプロセスを意味し、また最初に六炭糖へと分解するショ糖又は乳糖などの二糖類が、細胞エネルギー及び乳酸代謝物へと変換される。本プロセス中に、乳糖はブドウ糖及びガラクトースへと分解され、また次に、細胞エネルギー及び乳酸代謝物へと変換される。これは、乳酸産生菌により発生する、嫌気性の発酵反応である。これらの細菌は中温性であってよく、即ち、それらは中温にて、典型的には15〜30℃にて最良に成長する。あるいは、これらの細菌は好熱性であってよく、即ち、それらは比較的高温の35〜55℃にて最良に成長する。最も幅広く使用されている乳酸産生菌の属は、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、連鎖球菌属及び乳酸桿菌属である。乳酸産生菌の好適な株は、市販されている。
【0026】
好ましくは、第1の乳液体は、中温性の乳酸産生菌により発酵される。好ましくは、発酵はクエン酸塩陽性の細菌の使用を含む。クエン酸塩を代謝する菌は、伝統的なクリームチーズに関連した望ましい風味兆候を発生させる。即ち、クエン酸塩は、望ましい芳香化合物、例えばジアセチルのための前駆体である。
【0027】
それらがクエン酸塩を代謝することが可能か否かに基づいて、菌をグループ化してよい。炭素及びエネルギーの単独源として、又はエネルギー源としての乳糖などの発酵可能な糖の存在下における炭素源として、のどちらかで、クエン酸塩は代謝され得る。クエン酸塩単独、又はクエン酸塩及び発酵可能な糖により培地上で成長が可能なこれらの細菌はクエン酸塩陽性として分類され、提供されたクエン酸塩も同様に消費され、そうでないものは、クエン酸塩陰性として分類される。理解されるように、このような細菌は、当然、同様にその他の炭素源上で成長し得る。
【0028】
好ましくは、第1の乳液体を発酵させて酸性化された第1の乳液体を形成する工程は、少なくとも約6時間、好ましくは約12〜36時間の間実施される。好ましくは、発酵後、第1の酸性化された乳液体は、5.5未満、より好ましくは3.75〜5.3、より好ましくは5.2未満、最も好ましくは4.0〜5.0のpHを有する。一般に、発酵工程温度を下げ、必要な発酵時間を長くする。例えば、18〜25℃にて15〜30時間、必要なpHに到達するまで発酵工程を実施してよい。本明細書で議論されている発酵は、従来の発酵槽内で実施される。
【0029】
更なる工程は、第2の乳液体の提供である。第2の乳液体は、好ましくは、乳濃縮物などのタンパク質が豊富な乳液体である。好ましくは、第2の乳液体は乳濃縮物からなる。好ましくは、第2の乳液体は、少なくとも6重量%のタンパク質、より好ましくは6重量%〜18重量%のタンパク質を含む。好ましくは、第2の乳液体は、微細濾過又は限外濾過された乳濃縮物を含み、好ましくは5〜60℃の温度にて得られる。好ましくは、第2の乳液体は、脱脂乳UF−濃縮物又はMF−濃縮物などの脱脂乳に由来する。このような濃縮物の総脂肪含有量は、典型的には<1%になり得る。乳タンパク質粉末を再形成することにより、本濃縮物を得てよい。30重量%までのホエータンパク質を添加することにより、本濃縮物を強化してよい。従って、第2の乳液体は、比較的低い脂肪対タンパク質比を有し、かつ主要なタンパク質源として考慮されてよい。
【0030】
本方法は、クエン酸の添加による第2の乳液体の酸性化を伴う。第2の乳液体の酸性化は、レモン汁、又はレモン汁濃縮物の添加を含んでよい。好ましくは、混合しやすいように、50%のクエン酸溶液の形態にて、第2の乳液体へとクエン酸を添加する。クエン酸の直接添加による第2の乳液体の酸性化は、望ましい、バランスのとれた、まろやかな酸味のある風味を提供する。理論に束縛されるものではないが、クエン酸塩の存在がクエン酸カルシウム錯体/イオン対の形成をもたらす、と考えられている。これは、製品中の還元可溶性カルシウム含有量により反映される。分析試験を使用して、超遠心分離により可溶性カルシウム含有量を測定する場合に、クエン酸塩により、上澄み中の可溶性カルシウム含有量が減少する、と思われる。
【0031】
所望により、第2の乳液体を酸性化させる工程は、クエン酸による酸性化の前又は後のどちらかに、第2の乳液体を発酵させることを更に含む。酸性化された第2の乳液体を発酵させることにより、望ましい培養風味兆候を補って、クリームチーズ製品の風味及び消費者への訴求全体を向上させてよい。本発明者らは、クエン酸による酸性化の後に第2の乳液体を発酵させる場合に、発酵が、クエン酸塩陰性の細菌を使用することが重要である、ということを見出した。
【0032】
本発明者らは、驚くべきことに、クエン酸による酸性化前、又はクエン酸塩陰性の細菌を使用したクエン酸による酸性化の後に、第2の乳液体を発酵させることが、通常、同様の乳液体の酸性化に関係した不快なミネラル味のある苦い風味をもたらすことなく、培養風味兆候を補い得ることを、見出した。
【0033】
好熱性の細菌を使用する場合、第2の酸性化された乳液体を発酵させる工程は、好ましくは、35〜45℃の温度にて、少なくとも約2〜約12時間の間、実施される。中温性の細菌を使用する場合、第2の酸性化された乳液体を発酵させる工程は、好ましくは、15〜30℃の温度にて、少なくとも約15〜約30時間の間、実施される。
【0034】
好ましくは、酸性化の後、第2の酸性化された乳液体は、5.3未満のpH、好ましくは4.5〜5.0のpHを有する。即ち、添加されるクエン酸の量(及び任意の発酵)は、これらのレベルへとpHを低下させるのに十分である。
【0035】
好ましくは、第2の乳液体は、クエン酸により5.5〜6.0のpHへと最初に前酸性化されて、次に、好熱性又は中温性の細菌により、5.3未満のpH、好ましくは4.5〜5.0のpHへと発酵される。
【0036】
好ましくは、第2の乳液体は、
(a)乳を含む第3の乳液体を提供することと、
(b)第3の乳液体を低温殺菌することと、
(c)低温殺菌された第3の乳液体を限外濾過又は微細濾過することと、所望により、
(d)濾過した低温殺菌された第3の乳液体を熱処理することと、
を含む方法により生成され、好ましくは、第3の乳液体は脱脂乳を含む。好ましくは、第2の乳液体の総脂肪含有量は、1%未満である。
【0037】
あるいは、第2の乳液体は、全乳又は脱脂乳、ホエータンパク質濃縮物、乳タンパク質濃縮物、若しくはミセル性カゼイン粉末などの、乳又は乳粉末を再水和することにより、生成されてよい。好ましくは、第2の乳液体は、第2の乳液体の総タンパク質含有量重量に対して、20〜30重量%のホエータンパク質を含む。第2の乳液体がどのように生成されるかの非依存性は、タンパク質含有粉末の添加により補われ得る。粉末を含有する好適なタンパク質は、ミセル性カゼイン粉末、ホエータンパク質濃縮物、及び乳タンパク質濃縮物である。
【0038】
所望により、タンパク質流動は、凝固酵素又は架橋酵素、例えば、レンネット又はトランスグルタミナーゼにより、処理することができる。これにより、製品の最終的な質感を調整することができる。
【0039】
本方法は、第1及び第2の酸性化された乳液体を共に混合することを更に含む。第1及び第2の酸性化された乳液体の両方は、酸性化された混合物の重要な構成成分である。即ち、それぞれ、一般に、少なくとも最終混合物の20重量%を形成する。
【0040】
酸性化された混合物を形成するために組み合わされた第1及び第2の酸性化された乳液体の相対量は、生産される特定の種類のクリームチーズと同様に、両方ともそれらのそれぞれの脂肪含有量及びタンパク質含有量に依存する。全脂クリームチーズに関しては、低脂クリームチーズに関してよりもより大きい比率にて第1の乳液体を含んでおり、同様の又は類似の第1及び第2の乳液体が使用されていると考えられる。あるいは、より小さい比率の脂肪50%の第1の乳液体が、脂肪20%の乳液体よりも、同様の種類のクリームチーズの生産に使用され得る。本明細書にて開示された方法に従事する当業者は、第1及び第2の乳液体を容易に選択し、かつ本方法を使用して所望のクリームチーズ製品を得るために、その相対量を調整し得る。
【0041】
好ましくは、第1の酸性化された乳液体と第2の酸性化された乳液体との比率は、1:4〜4:1、より好ましくは1:3〜3:1、最も好ましくは1:2〜2:1である。即ち、酸性化された乳液体のそれぞれは、総酸性化混合物の少なくとも20%を構成する。
【0042】
本発明者らは、第1及び第2の酸性化された乳液体並びにそれらの各絶対脂肪含有量及びタンパク質含有量の比率を変化させることにより、伝統的なクリームチーズの培養兆候及びまろやかな酸味を維持しつつ、望ましくない酸味、ミネラル味、又は苦い風味を有さない、望ましい栄養含有量を伴う「全脂」又は「低脂」クリームチーズを生産することが可能であることを、見出した。
【0043】
必要に応じて、本混合物の最終pHを調整して所望の酸性度レベルを得てよい。例えば、pHの増大は、少量の未発酵クリーム又は非酸性タンパク質が豊富な乳液体を添加することにより、達成されてよい。pHの低下は、混合物へのクエン酸の追加供与により達成されてよい。混合物の最終のpH−調整は、いずれかの任意の加熱工程又は均質化工程に先立って、又はそれらの後に実施されてよい。
【0044】
酸性化混合物とみなされてよい第1及び第2の酸性化された乳液体の組み合わせは、次に、直接クリームチーズとして使用することができる。所望のクリームチーズの種類及び形態によっては、クリームチーズを形成するための更なるステップを必要としなくてもよいが、典型的には、乳酸菌を不活性化させて貯蔵寿命を延長するための低温殺菌工程、及び/又は最終製品の硬度を増大させるための質感を与える工程(剪断及び熱処理)を実施する。これらの工程は、当該技術分野において周知である。
【0045】
好ましくは、本方法は、酸性化された混合物に熱処理を行う工程、及び/又は均質化を行う工程、及び/又は質感を与える工程を更に含む。好ましくは、酸性化された混合物に質感を与える工程は、10〜80分、好ましくは15〜70分、より好ましくは30〜60分、また最も好ましくは40〜50分の間、実施される。好ましくは、酸性化された混合物に質感を与える工程は、70〜90℃、好ましくは73〜80℃、より好ましくは75〜80℃、また最も好ましくは約78℃の温度にて、実施される。
【0046】
酸性化された混合物は、所望により、含まれる比較的少量の任意の成分を伴う、第1及び第2の酸性化された乳液体を実質的に含む。好ましくは、任意の成分としては、ホエータンパク質濃縮物及び乳糖濃縮物、その他のタンパク質源、乳糖、塩、ローカストビーンガム、カラギーナン、ゼラチン、クエン酸塩、安定剤、着色剤、香料などの、その他の乳構成成分が挙げられる。
【0047】
好ましくは、酸性化された混合物は、第1及び第2の酸性化された乳液体を含む乳系成分を実質的に含み、これにより、乳系含有量は、酸性化された混合物の少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%である。好ましくは、第1及び第2の乳液体は、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%の酸性化された混合物を提供する。
【0048】
好ましくは、工程(iii)及び又は工程(v)は、上述した1種以上の任意の成分、より好ましくは1種以上のタンパク質濃縮物、乳糖、塩、クエン酸塩、安定剤、及び香料を添加することを更に含む。塩の添加が特に好ましい(NaCl)。添加される塩の量は、典型的には、最終製品の重量比で0.1〜1.5重量%となり得る。
【0049】
好ましくは、工程(iii)中に、第2の乳液体へと塩を添加する。本発明者らは、驚くべきことに、酸性化に先立った塩の添加が乳液体の粘度を減少させ得ることを、見出した。乳液体の流動中の高粘度により、従来の設備の使用では、処理困難性が示される。特に、酸ホエーの分離を回避するために濃縮乳液体からクリームチーズを生産する場合には、従来のクリームチーズの生産方法におけるものよりも、既に中間体の粘度がより高い。従って、粘度を低下させることで、加工性が向上する。
【0050】
本明細書にて開示されたプロセスは、ホエーを有さないプロセスであり、よって酸ホエー副産物が生成されない。従って、好ましくは、本明細書にて開示された方法は、酸ホエー又は酸透過物を除去する工程を伴わない。
【0051】
更なる態様では、本開示は、本明細書にて開示された方法に従って生産されるクリームチーズを提供する。本クリームチーズは、好ましくは、好適な容器内に販売用に包装され、また所望により、特定の製品系列のために、その他の成分とブレンドされてよい、又は巻かれてよい(ハーブ混合など−香味料の調製と称される)。このような更なる成分を20%まで形成してよく、また典型的には、製品の約15重量%まで形成してよい。
【0052】
本発明者らは、有利には、本明細書にて開示された方法により生産されたクリームチーズが高総カルシウム含有量を有することを見出したが、驚くべきことに、可溶性であるカルシウムの比率が予測されるよりもより低いことを、見出した。本明細書にて開示された方法により生産されたクリームチーズは、一般に、従来の市販生産されているクリームチーズのものよりも、少なくとも50%更に多いカルシウムを有する。本出願のクリームチーズは、典型的には、総カルシウム含有量パーセントとして、50重量%未満、好ましくは40重量%未満、より好ましくは35重量%未満の可溶性カルシウムを有する。
【0053】
クリームチーズの総カルシウム含有量は、原子吸光分光分析法、又はEDTA(錯滴定)を用いた滴定により測定されてよい。本明細書にて開示された方法により製造されるクリームチーズは、好ましくは製品のkg当たり少なくとも1600mg、より好ましくは少なくとも2000mg/kgのカルシウムを含有する。
【0054】
クリームチーズの可溶性カルシウム含有量は、20℃にて2時間、65,000gでの超遠心分離による水相の分離により、測定されてよい。本明細書にて開示された方法により製造されるクリームチーズは、好ましくは製品のkg当たり1000mg未満、より好ましくは750mg/kg未満の可溶性カルシウムを含有する。
【0055】
クリームチーズをカルシウムで強化することが知られている。しかし、添加されたカルシウムの生体利用効率は、天然に存在するカルシウムのものよりもはるかに低い。本発明者らは、本明細書にて開示された方法が、任意の添加されたカルシウムを伴わない従来の市販生産されているクリームチーズよりも高いカルシウム含有量を伴うクリームチーズを提供することを、見出した。本明細書にて開示された方法により製造されたクリームチーズは、好ましくは、任意の添加されたカルシウムを含まない。即ち、本明細書にて開示された方法により製造されたクリームチーズは、望ましい高カルシウム含有量を有し、かつ存在する全てのカルシウムは生体が利用可能であり、また主として第1及び第2の乳液体に由来する。
【0056】
従って、本開示の方法は、任意の添加されたカルシウムを伴わない、高カルシウム含有量を有するクリームチーズを提供し得る。なお、本明細書にて開示された方法はホエー分離工程を伴わない故に、本クリームチーズは著しいホエータンパク質構成成分を有する。好都合なことに、カルシウム及びホエータンパク質の有益な栄養含有量は、製品に関する消費者の欲求を向上させる。なお、本明細書にて開示された方法は、その他のクリームチーズ製品、特に、ホエー分離工程を伴わずに生産されたようなものにおいて見出される、不快な酸い、ミネラル味のある、また苦い風味の生成を回避する。
【0057】
理論に束縛されるものではないが、クエン酸を用いた第2の乳液体の直接酸性化は、クエン酸カルシウム錯体の保持/安定化及び/又は形成故に、総カルシウム含有量を減少させることなく、クリームチーズ中の遊離カルシウムのレベルを低下させる、と考えられている。従って、望ましくないミネラル味のある、苦い風味を生成することなく、製品中で高カルシウム含有量が保持される。
【0058】
要約すれば、本発明者らは、本明細書にて開示された方法及び本方法により生産されたクリームチーズが、多数の特定の利点に関連することを、見出した。
A)本プロセスはホエープロセスを有さず、よって酸ホエー副産物が生成されない。
B)周知のクリームチーズ製品と比較して、本製品はカルシウムが豊富である。実際に、本製品は、典型的には、その他の、カルシウムで強化されていないクリームチーズよりも、少なくとも50%より多いカルシウムを有する。
C)本方法は、部分的に非可溶性にて提供されるが、生体が利用可能な形態であるカルシウムをもたらすことが、明らかである。これは、良好な栄養的利点を有する。
D)高レベルのカルシウムは、苦い異味に関連しない。理論に束縛されるものではないが、これは、カルシウムの非可溶性形態故であり得る。