(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィードバックコントローラが、前記受電器に接続されるかまたはその一部である電荷蓄積部を通した電圧を表す信号をディザリングし、前記発振器起動制御信号に前記ディザを付加するように構成される、請求項1に記載のシステム。
前記フィードバックコントローラが、充電回路の充電電流および/またはキャパシタンスをディザリングし、前記発振器起動制御信号にディザリングを付加するように構成された充電回路をさらに備える、請求項5に記載のシステム。
前記フィードバックコントローラが、カウンタ回路であって、電荷蓄積部を通した電圧を表す信号を、前記カウンタ回路のカウンタ値と比較することによって、前記発振器起動制御信号を発生させるように構成された、カウンタ回路を備え、前記フィードバックコントローラが、カウンタインクリメント、前記カウンタ回路のカウンタレート、前記カウンタ回路の初期値、または前記電圧を表す前記信号に対して付与されたオフセットのうちの1つ以上をディザリングするように構成される、請求項1に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
概要
本開示の様々な実施形態はシステムおよび絶縁バリヤを横切って電力を供給または充電するための方法に関する。具体的な実施形態は、電力を伝送するときに発生する信号のスペクトル分布を修正することに関する。
【0018】
図1は、様々な実施形態が動作し得る環境の一例を図示する。具体的には、環境は、プロセス、例えば工業的製造プロセスを実行するためのマシン1000の一部を図示する。以下に続く例は、本開示のいくつかの実施形態が動作し得るかまたは使用され得る範囲内の非限定的な文脈を提供するためにのみ開示されることが理解されるべきである。他の実施形態は、様々な環境の中で、例えば様々な電子機器の中で動作し得る。例示的な電子デバイスは、民生用電子製品、航空宇宙製品、自動車製品、電子製品の部品、電子試験機器等を含むことができるが、これらに限定されない。民生用電子製品の例には、無線装置、携帯電話(例えば、カメラ付きスマートフォン)、コンピュータモニタ、コンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、電子レンジ、冷蔵庫、ステレオシステム、DVDプレーヤ、CDプレーヤ、デジタルビデオレコーダー(DVR)、MP3プレーヤ、ラジオ、カムコーダー、カメラ、デジタルカメラ、ポータブルメモリチップ、洗濯機、乾燥機、洗濯機/乾燥機、コピー機、ファクシミリ機、スキャナ、多機能周辺機器、スマートウォッチ、時計等を含むことができるが、これらに限定されない。さらに、電子機器は、未完成品を含むことができる。
【0019】
図1に示された例を参照すると、マシン1000は、コントローラエリアネットワーク(CAN)バス1002を含み、これは、モータ駆動回路を有するモータ1004、マイクロコントローラ1006、および位置センサ1008の各々に接続される。マイクロコントローラ1006は、CANバス1002を介してモータ制御信号をモータ1004に送信することができる。モータ1004は、受信されたモータ制御信号によって指示されたように動作し得る。位置センサ1008は、モータ1004の位置を判定することができるように、モータ1004と関連付けられ得る。位置センサ1008は、モータ1004の位置に関するモータ位置データを生成し得、位置センサ1008は、CANバス1002を介して、マイクロコントローラ1006にモータ位置データを送信し得る。このように、マイクロコントローラ1006は、受信されたモータ位置データに基づいてモータ制御信号を発生させることができる。
【0020】
マシン1000の1つ以上の構成要素は、1つ以上のマシン1000の1つ以上の他の構成要素とは異なる電圧ドメインで動作してもよい。例えば、CANバス1002は5Vで動作してもよく、モータ1004は数百ボルト以上で動作してもよく、マイクロコントローラ1006は3V程度で動作してもよく、位置センサは未知の電圧で動作してもよい。したがって、それぞれの異なる電圧ドメイン間では、次のことが望ましいかまたは必要である。(i)1つの電圧ドメインをその他の電圧ドメインから絶縁すること、および(ii)絶縁された電圧ドメイン間のデータの伝送を容易にすること。例えば、マイクロコントローラ1006からモータ1004およびモータ駆動回路にモータ制御信号を送信するために、制御信号は、まずマイクロコントローラの電圧ドメインからCANバスの電圧ドメインへ、そして次にCANバスの電圧ドメインからモータの電圧ドメインへと伝送される必要がある。これは、
図2に示されるような装置を使用して行われ得る。
【0021】
図2から分かるように、絶縁バリヤ4の第1の側10の回路は、絶縁バリヤ4の第2の側12の回路から分離されている。第1の側10は、マイクロコントローラ1006の電圧ドメインを表し得、第2の側12は、CANバス1002の電圧ドメインを表し得る。第1のデータ送信システム1016が設けられ、それによって、データ(例えば、モータ制御信号)が、絶縁バリヤ4を越えて第1の側10から第2の側12へ伝送されることができるようにされる。任意には、第2のデータ送信システム1018が設けられ、それによって、データ(例えば、モータ位置データ)が、絶縁バリヤ4を越えて第2の側12から第1の側10へと伝送されることができるようにされる。データ送信システム1016、1018の各々は、一方の側に送信機(TX)を含み、他方の側に受信機(RX)を含む。送信機および受信機は、アイソレータ(I)を介して相互に結合され、それによって、受信機は、送信機からデータを受け取ることができるが、そこからDC絶縁されている。このように、データは、絶縁バリヤ4を越えて伝送されることができる。データ伝送チャネル1016および1018の構成要素、絶縁バリヤ、データおよび電力を一方の側の絶縁バリヤからその他のものに伝送する構成要素、1つ以上の受信機および電力伝送システム2はすべて、1つまたは複数のダイ上に構成要素を含み得る単一の集積回路スタイル(チップスケール)パッケージで提供されることができる。
【0022】
電源1020は、絶縁バリヤ4の第1の側10に位置付けられ、第1の側10の電子部品に電力を供給する。加えて、第2の側12の電子部品もまた、電源1020から提供されることができる電力を必要とする場合がある。いくつかのケースでは、第2の電圧ドメイン(側12)の電力の状態、すなわち、存在しないかどうかが不明な場合があるため、第2の電圧ドメインの電力に頼って絶縁バリヤ4の第2の側12の受信機と送信機に電力を供給することは、それらのための電力が第2の電圧ドメインから確実に得られ、適切な電圧に変換されたとしても、賢明ではないであろう。例えば、第1の電圧ドメインが、分散したシステムを制御するためのCPUを含む場合、第1の電圧ドメイン内の送信機および受信機のための電力は、CPUが電力供給されずコントロールシステムは機能していないかについての観察に基づいて、第1の電圧ドメインから直接取られることができる。第1の電圧ドメインが起動している場合、電力はアイソレータを介して第2の電圧ドメイン内の送信機および受信機に供給されることができ、それによって、第2の電圧ドメインで電力が「オン」であるかどうかにかかわらず、これらの装置が動作可能であることを確実にすることができるようにされる。したがって、絶縁バリヤ4を越えて第1の側10から第2の側12に電力を伝送して第2の側12の電子部品に電力を供給するための電力伝送システム2が設けられている。
【0023】
様々な実施形態により、電力伝送システム2の機能性を提供することを目的としたシステムおよび方法が提供される。以下の説明は、そのような実施形態の概要である。
【0024】
一実施形態では、電源1020からのDC電力は、DCからACに変換され、それによって、電力が絶縁バリヤ4を越えて、変圧器を介して伝送されるようにされる。変圧器の一次巻線は、絶縁バリヤ4の第1の側10に位置付けられた発振器によって発生した発振電力信号を受信する。受電器(例えば、整流器および蓄積装置)は、絶縁バリヤ4の第2の側12に位置し、伝送された発振電力信号を受信して整流する。負荷回路もまた、絶縁バリヤ4の第2の側に配置され、動作するために受電器から電力を受け取るように配置される。このように、絶縁バリヤ4の第1の側10の電源1020から電力を引き込み、絶縁バリヤ4の第2の側12に伝送し、負荷回路に電力供給することができる。負荷回路は、データ送信システム1016および/またはデータ送信システム1018の送信機、ならびに/もしくは他の部品の受信機であってもよい。
【0025】
システム2は、絶縁バリヤの第1の側10から第2の側12への電力の伝送を制御または調整するためのフィードバック経路(以下でさらに詳述する)を含み得る。具体的には、ドライバは、発振器を制御し、第1の側10で受信された制御信号に基づいて、発振電力信号を発生させてもよい。制御信号は、コントローラによって絶縁バリヤ4の第2の側12に発生させることができる。ドライバは、絶縁バリヤ4の第1および第2の側にまたがるさらなるアイソレータを介して、コントローラから制御信号を受信し得る。コントローラは、受電器によって蓄積された電荷またはエネルギの量に基づいて、または負荷のうちの一方における供給電圧に基づいて、少なくとも1つの制御信号を発生させ得る。具体的には、ドライバは、発振器を起動させて、ステータス、例えば制御信号または信号の「有効」または「無効」に基づいて、発振電力信号を発生させ得る。制御信号は、第1の側10から第2の側12へ電力を伝送させ、それによって、受信機によって蓄積された電荷の量が、許容範囲内に収まるようにし得、すなわち、第2の側12の過電圧状態を避けながら、負荷回路を動作させるための最低要件を満たすようにし得る。
【0026】
上記のシステムは、集積回路パッケージ内での高信頼の電力伝送を提供し、それによって、第2の電圧ドメイン内の重要な構成要素が、第2の電圧ドメインの状態に関係なく電力供給されることができるようにされる。このことは、ピン配置が制限されている場合にパッケージ内のピン数を減らすためか、またはいくつかの構成要素、例えば受信機または電力切替トランジスタを制御する回路等の動作の信頼性を改善するために利用されることができる。
【0027】
しかしながら、変圧器の一次巻線に結合された発振器の動作は、他のシステムへの干渉の原因となる可能性がある。干渉は2つの異なる方法で発生する場合がある。第一に、発振電力信号は、変圧器をまたいだ電力伝送が効率的であるように、一定の発振周波数を有し得るが、これは、一次巻線が、LCタンク回路に含まれ、一次巻線における電圧を増大させるためである。しかしながら、この一定の発振周波数は、他の回路の観点からは、発振周波数に関するノイズまたは干渉ピークを引き起こす可能性がある。発振器の出力は狭い範囲の周波数に集中しているので、第1のノイズ成分(発振器の周波数)は、隣接する電子部品に対する問題となる可能性がある。第二に、システム2の定常状態動作は、受電器が一定の負荷に電力供給する場合、周期的であり得る。そのような定常状態条件下では、制御信号は、受電機の実質的に一定のサイクル周波数での周期的な充電および放電サイクルを生じさせる実質的に一定のデューティサイクルを有し得る。この周期的な動作は、第2のノイズ成分を生じさせる場合がある。さらに、これら2つのノイズ成分を組み合わせて、発振電力信号の発振周波数に主なノイズピークを有し、オン/オフ切替のサイクル周波数によって発振周波数からオフセットされるより小さいピークを有する複合ノイズシグネチャを生成し得る。
【0028】
第1、第2および複合ノイズ成分が、隣接する電子部品に及ぼす悪影響を軽減するために、本開示の実施形態は、システムパラメータをディザリングして、発振器周波数の分布を修正し、例えばより広い周波数範囲にわたってノイズを拡散させる機能を含む。このように、所与の周波数における電力を低減することができる。以下、この概念を「ノイズ拡散」と称する。
【0029】
1つの手法では、発振器の周波数は、発振電力信号によって生じるノイズを拡散させるためにディザリングされ得る。具体的には、発振器は、発振電力信号の発振周波数にディザを加えるように構成されたディザ回路を含み得る。この技術は、共振回路に付与可能であり得、実際には切替モード電源において使用され得るように、非共振回路に付与可能であり得る。ディザ回路は、発振器および/または変圧器に結合された複数の別個に制御可能なキャパシタを含み得、ディザ回路は、ディザ回路のキャパシタを変動させて、発振電力信号の発振周波数にディザを加えるよう、複数のキャパシタを制御してもよい。キャパシタの値は、好適なコントロールによって決定論的に制御可能であり得る。好ましくは、ディザ回路は、疑似乱数発生器を含み得、ディザ回路は疑似ランダムシーケンスに従って、ディザ回路のキャパシタンスを変えるように複数のキャパシタを制御し得る。
【0030】
加えてまたは代替的には、制御信号の制御サイクル期間(例えば、オン時間およびオフ時間の合計)は、システムの周期的な充電および放電によって生じるノイズを拡散させるためにディザリングされ得る。具体的には、コントローラは、制御信号の制御サイクルにディザを追加するように構成され得る。コントローラは、受電器によって蓄積された電荷量に基づいて変化する信号を生成するように構成されてもよく、コントローラは、制御信号のデューティサイクルまたは周波数を設定し、制御信号に基づいて発振器の起動を変動させるように構成されてもよい。例えば、コントローラは、蓄積された電荷または受電器出力電圧を表す信号と閾値との間の差として制御信号を形成し得る。閾値は、固定されていてもよく、または可変であってもよい。また、コントローラは、制御信号にディザを付加し、差をディザリングするように構成されてもよい。いくつかのシステムでは、コントローラは、充電電流および/または受電器回路のキャパシタンスをディザリングし、制御信号の起動のサイクルタイムにディザを付加するように構成された回路をさらに含み得る。
【0031】
したがって、任意の特定の周波数において、第1および/または第2の、ならびに/もしくは複合ノイズ成分の大きさと時間との積を任意の特定の周波数で減少させるように、ノイズ成分をより広い周波数範囲にわたって拡散させ得る。このように、ノイズ成分は、電力伝送システムに非常に近接している電子部品、例えば同じかまたは隣接する集積チップ上にある電子部品にとってさほど問題とはならない。このように、絶縁バリヤを越えて電力を伝送し、居住用EMIクラスB規格等の電磁干渉(EMI)放射規格を満たすシステムを提供し得る。
【0032】
データ伝送機構の例
図2を参照して上述したように、第1および第2のデータ送信システム1016および1018は、絶縁バリヤ4を越えてデータを送信する。完全を期すために、本開示の具体的な実施形態を詳細に説明する前に、
図3および4を参照して、データが絶縁バリヤ4を越えて送信され得る1つの例示的な機構を以下に提供する。
【0033】
図3および4は、Analog devices, Inc.が所有するUS8,736,343に開示されており、参照により本明細書に組み入れられる(特に、US8,736,343の
図4、5ならびに6、および符号化ならびに復号化回路は詳細に説明されている関連文面の教示を参照)。
【0034】
図3は、一対のエッジ検出器1202および1204からの符号化された立ち上りおよび立ち下がりエッジインジケータが、単一のマイクロ変圧器1210に送られる論理信号アイソレータ1200を示す。立ち上りエッジおよび立ち下がりエッジインジケータは、異なる識別可能な信号として符号化される。すなわち、立ち上りエッジ検出器1202から出力されるSET_HI信号は、立ち下がりエッジ検出器1204から出力されるSET_LO信号とは別個である。変圧器1210の二次巻線1210Bに接続された受信側回路(通常、シュミットトリガか、または他の適切な波形整形回路を介する)は、その後これら2つの信号間の識別に基づいて、論理エッジを再構築する。
図3のデータIN信号は、マイクロコントローラ1006電圧ドメインにおけるモータ制御信号データを表し得、一方で
図3のデータOUT信号は、CANバス1002電圧ドメインにおけるモータ制御信号データを表し得ることが理解されるべきである。このように、
図3の論理信号アイソレータ1200は、
図2のデータ送信システム1016の一例を提供し得る。言い換えれば、論理信号アイソレータ1200の機能は、マイクロコントローラ1006からモータ制御信号データを取り、そのデータを、絶縁バリヤを越えてCANバス1002に送信することであり得る。次に、データは、
図3と同様である第2の論理信号アイソレータ(図示せず)を介して、第2のアイソレータ内に埋め込まれた第2の絶縁バリヤを横切って伝送されることができる。いったん第2の時間に送信されると、データは、モータ1004およびそのドライバによって受信され、モータ1004の動作を制御することができる。
【0035】
論理信号アイソレータ1200に目を向けると、エッジ検出器1202が2つの連続する短いパルス1232および1234を立ち上りエッジインジケータとして発生させ、エッジ検出器1204が単一のパルス1236のみを立ち下がりエッジインジケータとして発生させる例が図示される。パルス1232および1234は、好ましくは、それらの間に既知の固定間隔を有する。変圧器1210が広帯域幅のマイクロ変圧器である場合、パルス幅は、1ns程度、またはさらにそれ以下に狭くてもよい。エッジ検出器1202および1204の出力は、好適な組み合わせ論理、例えばORゲート1240によって組み合わせられ、変圧器1210の一次巻線1210Aを駆動する。
【0036】
当該概念は、2つの異なる識別可能な信号を使用することである。それらは、単一のパルスおよび二重のパルスである必要はない。例えば、狭いパルス(例えば、1ns)を1つのエッジインジケータとして使用することができ、より広いパルス(例えば、2ns)をその他のエッジインジケータとして使用することができる。受信機1250が2つの信号を区別できることのみが必要である。当該概念は、他の識別可能な信号の使用に向いているが、同時に、不必要に複雑な構成を使用することを望まないか、または信号処理に何らかの著しい遅延を付加しないものに向いている。図示されたもの以外の信号については、ORゲート1240を、エッジ検出器の出力を、変圧器を駆動するための単一の信号に効果的に組み合わせるであろう他の要素と置き換える必要がある場合がある。
【0037】
SET_HI信号内の2つのパルスは、それらの間に既知の固定間隔を有する。2つのパルスの総持続時間と、SET−HI信号内の両者間に介在するギャップとは、入力信号内の2つの立ち上りエッジ間の最短間隔に関して十分に短い場合、SET−HIパルスとSET_LOパルスとの間の分解能を可能にする。
【0038】
受信回路1250は、二次巻線1210Bに接続され、したがって第2の電圧ドメイン内で変圧器1210の出力を回復し、SET−HIパルスとSET_LOパルスとの間で識別し、入力論理信号をデータ出力信号として再構成する。より具体的には、ノード1252で受信されたパルスは、D型フリップフロップ1254をクロック制御し、非再トリガ可能なエッジトリガ型単安定マルチバイブレータ1256への入力としても機能する。マルチバイブレータ1256は、ライン1258上に、少なくともSET_HI信号内のパルス1232とパルス1232とパルス1234との間の間隔の組み合わせと同じ長さであるパルスを出力する。2つのパルス1232および1234が、各々持続時間が約1nsであり、それらの間の間隔が同様の持続時間である場合、ライン1258上のパルスは、少なくとも長さ約2nsであるべきであり、この例では、フリップフロップ1254のクロッキングを容易にするための「保持」時間を可能にするために3nsが使用される。ライン1258は、フリップフロップ1254のD入力と、そのフリップフロップのリセット入力と、インバータ1262の入力とに接続される。インバータ1262の出力は、エッジ検出器1264の入力に接続され、フリップフロップ1254のQB出力(相補出力)は、別のエッジ検出器1266の入力に接続される。エッジ検出器1264の出力は、ANDゲート1272および1274の各々のうち一方の入力に接続される。エッジ検出器1266の出力は、ANDゲート1272の第2の入力に接続され、インバータ1276を通してANDゲート1274の第2の入力に接続される。次に、ANDゲート1272の出力は、セット/リセットラッチ1278のセット入力に接続され、ANDゲート1274の出力は、ラッチ1278のリセット入力に接続される。データOUT信号は、グリッチフィルタによって受信された、分離されたわずかに遅延したデータIN信号のバージョンに対応し、ラッチ1278のQ出力に出現する。
【0039】
ここで、この回路の動作を、
図4の波形を参照して説明する。データIN入力が波形1302を有すると仮定する。ノード1252において、COIL信号が受信される。パルス1232および1234は、入力信号の立ち上り正方向エッジに応答して、エッジ検出器1202によって発生し、パルス1236は、入力信号の負方向の立ち下がりエッジに応答して、エッジ検出器1204によって発生する。エッジトリガ型単安定(ETMS)マルチバイブレータ1256は、ETMSで示されるように、ライン1258上に出力波形を発生させる。ETMS信号において、パルス1232の立ち上りエッジは、パルス1304を発生させる。単安定1256は、パルス1232の立ち下がりエッジに、または第2のパルス1234のいずれかのエッジに応答して何もしない。パルス1304が出力された後にのみ、単安定1256は新しい入力に応答することができ、これはパルス1236の立ち上りエッジを受信したときに行われる。パルス1236の立ち上りエッジの検出は、パルス1306の出力を生じさせる。
【0040】
2つの初期パルスのうちの第2のパルス1234が検出され、出力信号は以下のように形成される。第1のパルス1232がフリップフロップ1254をクロック制御すると、フリップフロップのD入力は、依然としてライン1258上のエッジトリガ型単安定マルチバイブレータからの低出力を認識する。このことは、フロップ1254のQB出力が、高い値に設定され、Q出力は低い値に設定されることを意味する。第2のパルス1234が受信されてフリップフロップ1254をクロック制御すると、エッジトリガ型単安定の出力はここで高くなり、フリップフロップ1254のQB出力は低い値に遷移する。すなわち、フリップフロップ1254は、
図4の「2パルス検出」信号のパルス1308の立ち上りエッジにおけるもののように高くなる。このH−Lエッジは、エッジ検出器1266によって検知され、これはANDゲート1272の第2の(ボトム)入力に対するパルス1310を生成する。そして、インバータ1262を通した伝播遅延の後、エッジ検出器1264は、インバータ1262の出力における高低遷移(エッジ)を認識し、それに応答して、ANDゲート1272の第1の(トップ)入力と、ANDゲート1274の第1の(トップ)入力とに対する正方向パルス1312を発生させる。
【0041】
インバータ1262は、フリップフロップ1254のD入力からQB出力までのものと実質的に等しい伝播遅延を有するように設計される。したがって、エッジ検出器1264および1266は、ANDゲート1272に対して実質的に同時に出力パルス1310および1312を生成する。その結果、ANDゲート1272の出力1314は同時に低から高になり、SRフリップフロップ1278のセット(S)入力を設定し、データ出力信号であるそのQ出力は高になる。ANDゲート1274の第2の(ボトム)入力は、インバータ1276を介してエッジ検出器1266の出力に応答するので、第1および第2のパルスは、ANDゲート1274の出力に影響を及ぼさず、フリップフロップ1278の出力に影響を与えない。しかしながら、第3のパルス1236がエッジトリガ型単安定器1256をトリガして、その第2の出力パルス1306を生成すると、これは、上述したように、結果として単安定出力パルスの立ち下がりエッジ時に、エッジ検出器1264の出力におけるパルスを生成することになる。インバータ1276からのANDゲート1274の第2の入力は、このとき高となるが、それは、エッジ検出器1266の出力が第2のパルス検出信号1308を発生させるときにのみ低となるためである。したがって、フリップフロップ1278のリセット(R)入力は、エッジ検出器1264からの出力パルスの立ち下がりエッジ時に(パルス伝播遅延)、ANDゲート1274からの出力パルス1316を認識し、ラッチ1278がリセットされ、データOUT信号が低になる。
【0042】
別の実施形態では、
図3の論理信号アイソレータ1200は、例えばFETまたは絶縁ゲートバイポーラトランジスタの形態の、データOUT信号に結合された入力を有する他の構成要素を含んでもよい。この例では、電源スイッチは、モータ1004等のさらなる構成要素に接続され得る。このように、モータ1004は、データIN信号およびデータOUT信号によって表される制御信号データに基づいて、電源スイッチによって起動させ得る。
【0043】
図5は、電力伝送システム2の実施形態をより詳細に示す。システム2は、順方向動力伝達経路内に変圧器6と、フィードバック経路内に、絶縁バリヤ4の第1の側10を絶縁バリヤ4の第2の側12から分離するアイソレータ8とを含む。変圧器6は、第1の側10に関連する一次巻線14と、第2の側12に関連する二次巻線16とを含む。一次および二次巻線は、誘電体層または誘電体スタックの両側に巻線を有するマイクロ変圧器の一部として形成されてもよい。マイクロ変圧器は、半導体製造技術を使用して、半導体基板上に形成されることができる。
【0044】
発振器18は、第1の側10に配置され、一次巻線14に結合されている。発振器18は、使用時に一次巻線14において発振電力信号20を発生させるように構成される。発振電力信号20は、電力が絶縁バリヤ4を越えて伝送されることができる手段を提供する。システム2は、DC電源22を受信し得、発振器18はDC/AC変換器として機能する。また、ドライバ24は、第1の側10に配置されている。ドライバ24は、発振器18に結合され、発振器18の動作を制御するようにされている。ドライバ24は、絶縁バリヤ4の第1の側10のアイソレータ8の第1の部分に結合される。アイソレータ8の第2の部分は、第2の側12にあり、ドライバ24は第2の側12からアイソレータ8を介して制御信号26を受信することができる。制御信号26は、発振器18を制御するための制御信号が絶縁バリヤ4を越えて伝送されることができる手段を提供する。一実施形態では、制御信号26は、発振信号であるか、またはパルスもしくはパルス列であることができる。
【0045】
使用時には、変圧器6の一次巻線14における発振電力信号20は二次巻線16に結合し、その中に信号20aを誘起する。第2の側12に位置付けられた受電器28は、二次巻線16に結合されて、伝送された発振電力信号20aを受信する。受電器28は、伝送された発振電力信号20aからの電荷を蓄積するように構成される。このように、電力は、変圧器6を介して第1の側10から第2の側12へ絶縁バリヤ4を越えて供給される。以下により詳細に説明されるように、受電器28は、発振電力信号20aを整流するための整流器と、整流された発振電力信号20aからの電荷を蓄積するための蓄積装置(例えば、キャパシタ)とを含み得る。負荷回路30は、第2の側12に配置されてもよく、そこから電力を受け取るように受電器28に結合されてもよい。
【0046】
本実施形態では、第2の側12にも位置付けられたコントローラ32は、受電器28に結合され、受電器28に蓄積された電荷の量を、例えばリザーバキャパシタを通した電圧を監視することによって判定する。コントローラ32は、受電器28によって蓄積された電荷の量に比例する信号を発生させるための回路(例えば、分圧器)を含み得る。コントローラ32は、使用時に、制御信号26aを発生させるように構成される。制御信号26aは、発振器がオンであるかまたはオフであるかを定義する。本開示のいくつかの実施形態では、制御信号は、発振器18の起動のデューティサイクルを制御するパルス幅変調信号であり得る。コントローラ32は、受電器28によって蓄積された判定された電荷量に基づいて、起動のデューティサイクルを設定する。コントローラ32は、アイソレータ8の第2の部分、すなわち第2の側12に関連するアイソレータの部分に結合され、それによって、絶縁バリヤ4の第2の側12のコントローラ32によって発生した制御信号26が、アイソレータ8を介して、絶縁バリヤ4の第1の側10上のドライバ24に送信されることができるようにされる。このように、発振器18を制御するための制御信号は、受電器28に蓄えられた電荷に基づいて、第2の側12において発生することができ、その後、絶縁バリヤ4を越えて第1の側10へ伝送されることができ、それによって、それらが発振器18の制御に使用されることができるようにされる。
【0047】
ドライバ24は、制御信号26に基づいて、発振器18の動作を制御し、それによって、発振器18が、制御信号26の起動、すなわちその状態のデューティサイクルに従って、発振電力信号20を生成するようにされる。
【0048】
システム2の動作を、
図6の方法50を参照してさらに説明する。
【0049】
ブロック52では、発振電力信号20が、絶縁バリヤ4の第1の側10で発生する。ブロック54では、発振電力信号20が、絶縁バリヤ4の第1の側10から第2の側12へ伝送される。一実施形態では、発振電力信号20は、変圧器6によって第1の側10から第2の側12へ伝送される。このように、変圧器6は、絶縁バリヤ4を越えて発振電力信号20を伝送するための手段を提供する。
【0050】
ブロック56で、伝送された発振電力信号20から電荷が回収され、蓄積される。一実施形態では、伝送された発振電力信号20は、受電器28によって受信され、受電器は、受信された信号からの電荷をリザーバキャパシタに蓄える。このように、受電器28は、発振電力信号20からの電力を蓄積するための手段を提供する。
【0051】
ブロック58では、リザーバキャパシタ(実または寄生)に蓄積された電荷量に基づく制御信号26aが発生する(これは、例えば起動のデューティサイクルを定義する)。
【0052】
ブロック60では、制御信号26aが第2の側12から第1の側10へ伝送され、それによって、発振電力信号20が、制御信号26に従って発生する。
【0053】
上記のシステム2および方法50は、システム2によって生成されたノイズまたは発振電力信号20を拡散させるために、発振電力信号20のパラメータをディザリングするように構成される。具体的には、
図5を参照すると、一実施形態では、発振器18は、発振電力信号20の発振周波数にディザ20を加えるように構成されたディザ回路70を含み得る。このように、ディザ回路70は、発振電力信号20の発振周波数をディザリングするための手段を提供し得る。第二に、コントローラ32は、制御信号26aの起動または制御サイクル期間のデューティサイクルにディザを加えるように構成されたディザモジュール72を含み得る。このように、ディザモジュール72は、制御信号26および26aの起動のデューティサイクルをディザリングするための手段を提供し得る。
【0054】
用語「ディザ」は、変数が時間の経過とともにその意図された値について増減するか、動揺するか、変動するか、または変更されることを意味すると解釈されるべきである。しかしながら、実際の値が意図された値からどの程度まで変化するかを最小限にするために、大きさの変動は制限されてもよい。例えば、変数は、実際の値が以下のように経時的に変化するようにディザリングされ得る60の意図された値を有し得る。61、63、59、60、58、59、および61。したがって、変数は、その意図された値60に近いままであるが、変数はまた、実際の値が長期間にわたって一定ではないように増減する。一実施形態では、「ディザ」は、実際の値がY秒ごとに、意図された値の±X%だけ変動することを意味すると解釈される。例えば,Xは5であってもよく、Yは0.002であってもよく、それによって、意図された値が60の場合、ディザは、実際の値を2ミリ秒ごとに57〜63の間の異なる数値(±5%)に変更し得る。当然ながら、異なる実施形態では、XおよびYの値は異なってもよい。例えば、Xは、1%、2%、3%、4%、5%、7%、10%、15%または20%であってもよい。また、Yは100ns、150ns、500nsまたは1ms以上であってもよい。
【0055】
ここで、システム2または振動10電力信号20によって発生するノイズのより詳細な説明が以下に続く。
【0056】
前述のように、発振器信号は変圧器をまたいで電力を伝送するために必要とされるが、それ自体が干渉信号または他のシステムへのノイズとして存在する可能性を有する。電力伝送システムによって発生する干渉は、広範な周波数範囲に拡散するのではなく、狭い周波数帯域に集中し、結果として、同様の周波数の信号を処理するために要求され得るシステム2と同じチップ上にある他の電子部品等の隣接する電子部品にとって、干渉が問題となる可能性がある。ノイズは、第1および第2のノイズ成分の組み合わせであり得、その各々は、
図7を参照して以下により詳細に説明される。
【0057】
第1のノイズ成分は、発振器18の発振周波数を中心として発生する場合がある。このノイズは、変圧器6が高品質(Q)値を有するように設計され得ることに起因して、発振周波数の周りまたは発振周波数に集中する場合がある。例えば、高Q値が望ましい場合があり、それによって、(i)変圧器6は、一次巻線14から二次巻線16への効率的な電力伝送を提供するように低い電気抵抗を有し、(ii)発振器18によって一次巻線14で生成された振動は大きさが大きく、再度一次巻線14から二次巻線16への効率的な(または少なくとも改善された)電力伝送を提供する。しかしながら、高Q値を有することの結果は、発振器18によって一次巻線14内に生成された発振が周波数範囲内に制約され、その結果、発振器の動作によって供給レールに導入されたノイズもまた狭い周波数範囲にあることである。第2のノイズ成分は、上記のシステム2の動作により発生し得る。例えば、受電器28が負荷回路30に結合され、負荷回路30が一定量の電荷を引き込む場合、システム2は、周期的な動作を示し得る。しかしながら、定常状態の周期的動作が確立される前に、初期の過渡的動作期間があり得ることを理解すべきである。いずれにせよ、定常状態の周期的動作の間、制御信号26の起動の名目上では一定の繰り返しのオンオフ制御サイクルがある。したがって、制御信号26の各サイクルの間、発振器18は、サイクルの同じ固定部分の間に発振電力信号20を発生させるように制御される。例えば、起動の一定のデューティサイクルは、制御信号26の各サイクルの第1の60%であるように60%であり得、発振器18は、発振電力信号20を生成するように制御され、各サイクルの残りの40%の間、発振器18は、発振電力信号20を生成しないように制御される。このように、システム2は周期的に動作する。10第2のノイズ成分は、定常状態時にシステム2のこの周期的な動作によって発生する場合がある。
【0058】
第2のノイズ成分は、負荷回路20が一定の負荷を引き込む場合、さらに大きくなり、より顕著になる場合があるが、これは、このことが周期的な性質を強調し得るためであることが理解されるべきである。しかしながら、負荷回路20が一定量の電力を引き出さないときでも、システム2は依然として周期的動作または準周期的動作を呈し得る。上述のように、第1および第2のノイズ成分は、互いに結合して、複合ノイズ成分または周波数シグネチャを形成し得る。複合ノイズ20は、発振周波数付近において主ピークを含み、オンオフ制御サイクルおよび発振器周波数の和周波数ならびに差周波数において小さな側波帯を含み得る。
【0059】
図7は、絶縁バリヤ4´を越えて電力を伝送するための電力伝送システム2の実施形態を示す。システム2´は、前述の電力伝送システム2に類似しており、類似の方法で動作する。また、システム2´は、システム2と類似の構成要素を含む。例えば、システム2´は、システム2の発振器18に対応する発振器18´を含む。システム2´の以下の説明は、システム2の上記の説明に基づく。
【0060】
図7および
図8に示された実施形態では、発振器18´は、変圧器6´の第1の巻線14´に結合された一対の交差結合トランジスタ100、101を含み、変圧器6´の第1の巻線14´に発振電力信号20´を発生させる。具体的には、トランジスタ100、101のソースは互いに結合されており、トランジスタ100のドレインは、中央でタップされた一次巻線14´の第1の側に接続され、トランジスタ101のドレインは一次巻線14´の第2の側に接続されている。トランジスタ100のゲートは、トランジスタ101のドレインに接続され、トランジスタ101のゲートはトランジスタ100のドレインに接続されている。
【0061】
本実施形態では、発振器18´は、発振器の発振周波数に、そしてひいては発振電力信号20´の周波数にディザを付加するように構成されたディザ回路70´を含む。
図8に示すように、ディザ回路70´は、変圧器6´の第1の巻線14´に結合された、複数の別個に制御可能なコンデンサを含み得る。具体的には、ディザ回路70´は、複数のキャパシタスイッチ対を含み得る。キャパシタスイッチ対は、2つの別個のバンクに配置され得、各バンクは一次巻線14´の異なる側に接続されている。一実施形態では、第1のバンクは、キャパシタスイッチ対102〜112を含み得る。各対102〜112のキャパシタは、一次巻線14´の第1の側に接続された第1の端子と、関連するスイッチの第1の端子に接続された第2の端子とを有する。各対102〜112のスイッチは、関連するキャパシタに接続された第1の端子と、電圧基準114、例えば供給レールのうちの1つに接続された第2の端子とを有する。第2のバンクは、キャパシタスイッチ対116〜126を含み得る。各対116〜126のキャパシタは、一次巻線14´の第2の側に接続された第1の端子と、関連するスイッチの第1の端子に接続された第2の端子とを有する。各対116〜126のスイッチは、それに関連するキャパシタに接続された第1の端子と、電圧基準114に接続された第2の端子とを有する。代替として、キャパシタスイッチ対に代えて、バラクタダイオードを使用してもよく、電圧114をディザリングしてもよい。
【0062】
図7の実施形態では、一次巻線14´が中央でタップされ、タップは供給電圧22に接続される。供給電圧22は、巻線14´に沿ったほぼ中間点に接続される。いくつかの他の実施形態では、一次巻線14´は、中央でタップされていなくてもよく、すなわち、供給部22は、一次巻線の一方の端部の近くに、またはその一端に接続されてもよい。
【0063】
図7に示される実施形態では、発振器18´の動作は、制御信号26´に基づいて、ドライバ24´によって制御される。ドライバ24´は、トランジスタ132を制御することによって発振器18´を起動させるかまたは起動解除させる。ドライバ24´の動作は、以下により詳細に説明される。しかしながら、今のところ、トランジスタ132が「オン」のとき、トランジスタ100および101のソースは接地され、それによって発振器18´を起動させるが、一方トランジスタ132が「オフ」のときには、トランジスタ100および101のソースは接地から切り離され、それによって発振器18´を起動解除する。さらに、発振器18´がドライバ24´によって起動されると、供給電圧22を有するトランジスタ100および101は、一次巻線14´内に発振信号を確立し、この発振信号が発振電力信号20´である。逆に、発振器18´がコントローラ24´によって起動解除されると、一次巻線14´には発振信号が確立されない。
【0064】
インダクタ18´回路はインダクタ−キャパシタ(LC)発振器を提供し、そしてディザ回路70´がない場合、インダクタンスおよびキャパシタンス値は、固有のキャパシタンスおよび発振器18´回路のインダクタンスによって設定されることを理解することができる。例えば、これらのキャパシタンスは、発振器18´回路の寄生キャパシタンスを含み、これらのインダクタンスは、一次巻線14´のインダクタンスを含む。したがって、ディザ回路70´が存在しない場合、発振電力信号20´は、発振器18´回路のキャパシタンスおよびインダクタンスに対応する実質的に一定の発振周波数を有する。ディザ回路70´が存在しない場合、発振器18´回路のキャパシタンスおよびインダクタンス値は変化しないかまたは実質的に不変であるため、発振周波数は実質的に一定である。したがって、ディザ回路70´が存在しない場合、発振器18´が起動されると、発振電力信号20´は、共振周波数を中心とする周波数分布を有し、これは、潜在的に大きな信号(LC回路のQファクタに起因する)が、それ自体がそれらの回路への干渉として存在する可能性があるため、隣接する電気的構成要素にとって問題となる可能性がある。いくつかの実施形態では、回路が温まるにしたがって、発振周波数がゆっくりとドリフトすることがあることを理解すべきである。一実施形態では、発振周波数は公称で180MHzであるが、この図は単なる例証であり、回路設計者は、実質的に異なる周波数を所望のように選択することができる。
【0065】
図7および
図8に図示された実施形態に示されるように、ディザ回路70´は、発振器18´に接続され、LC発振器18´のキャパシタンス(C)をディザする。このようにキャパシタンスをディザリングすることは、発振器18´の共振周波数をディザリングし、したがって、発振電力信号20´の発振周波数をディザリングする。したがって、発振電力信号20´によって生成されるノイズまたは干渉は、常に特定の周波数に集束されるのではなく、より広範な周波数範囲にわたって時変的に拡散されることができる。このようにノイズをアックさんすることは、隣接する電気部品にとってノイズをさほど問題とはならなくなるようにする。短絡させることができる経路を設けることによって、回路のインダクタンスを変動させることも可能であるが、これは、インダクタおよび巻線がかなり多くのスペースを占めることがあるため、あまり好ましくない。
【0066】
一実施形態では、キャパシタスイッチ対の各バンクを制御して、異なる時間に異なる量のキャパシタを提供することができる。例えば、第1のバンクは、対102〜112を含み、各対のキャパシタは、関連するスイッチによって別個に切り替え可能または制御可能である。したがって、バンクキャパシタンス全体を、発振電力信号20´の異なる期間にわたってディザリングまたは変化させることができ、例えば、第1の期間において、対102のキャパシタのみが起動され得、それによって、発振器18´のキャパシタンスは、対102の影響を受けるが対104〜112の影響は受けないようにされる。そして、第2の期間では、対104および112のキャパシタのみが起動され得、それによって、発振器18´のキャパシタは対104および112の影響を受けるが、対102および106〜110の影響は受けないようにされる。そして、第3の期間では、対104および110のキャパシタのみが起動され得、それによって、発振器18´のキャパシタは、対104および110によって影響を受けるが、対102、106、108および112によっては影響されないようにされる。このシーケンスは、決定論的方法またはランダムな方法で継続し得る。一実施形態では、第1および第2のバンクは、1つとして動作させ得、すなわち、第1のバンクは第2のバンクと同時に同じキャパシティを提供し得る。しかしながら、他の実施形態では、第1および第2のバンクは、互いに異なるキャパシティを提供し得る。キャパシタは、制御の温度計符号化型を付与するように、すべてが同じ値を有していてもよく、または、例えばバイナリ加重されていることによって、互いに異なってもよいが、このことは限定ではなく、キャパシタに加重するために別の基数を選択することができる。
【0067】
上記を考慮して、ディザ回路70´は、時間とともに発振電力信号20´の発振周波数をディザリングすることができる。このように、早い時点での発振周波数は、遅い時点での発振周波数とは異なることができる。このことは、バンク102〜112のキャパシタンスを、異なる時点で異なる値に設定することによって、および/またはバンク116〜126のキャパシタンスを異なる時点で異なる値に設定することによって達成されることができる。例えば、本開示の一実施形態では、180MHzの発振周波数は約±11%(すなわち約±20MHz)だけディザリングされ得、周波数は約150nsごとに更新される。しかしながら、これは非限定的な例であり、他の周波数、ディザサイズ、および更新レートが選択されることができる。
【0068】
バンク102〜112は、バンク116〜126の動作を反映し得るか、あるいはバンク102〜112は、異なるキャパシタンス値をバック116〜126に提供することができる。
【0069】
一実施形態では、異なる対102〜112および116〜126の切り替えは、繰り返しのシーケンスに基づき、発振周波数を予測可能または決定論的な方法でディザリングし得る。例えば、インクリメントカウントシーケンスは、一定のカウントインクリメントおよび期間をもって使用され得る。代替的には、異なる対102〜112および116〜126の切り替えは、ランダムなシーケンスに基づき、発振周波数をランダムにディザリングし得る。例えば、一実施形態では、ディザ回路70´は、疑似乱数バイナリシーケンスを生成する疑似乱数発生器を含む。
【0070】
図9は、本開示の実施形態による疑似乱数発生器138を示す。疑似乱数発生器138は、フィードバック経路内に排他的OR(XOR)ゲート154を有する線形フィードバックシフトレジスタとして配置された複数のフリップフロップ140〜152を含む。フリップフロップはD型である。各フリップフロップ140〜152のリセットピンは、乱数発生器138のリセットノード156に結合されている。リセット信号は、各フリップフロップ140〜152をリセットするために、リセットノード156に付与され得る。フリップフロップ140〜152のクロックピンは、疑似乱数発生器138のクロックノード158に結合される。クロック信号は、クロックノード158に付与され、フリップフロップ140〜152を動作させる。各フリップフロップ140〜150の出力ピンは、次のフリップフロップのデータピンに結合され、例えば、フリップフロップ140の出力ピンは、フリップフロップ142のデータピンに結合され、フリップフロップ142の出力は、フリップフロップ144の入力に結合され、以下フリップフロップ150の出力ピンがフリップフロップ152のデータピンに結合されるまで同様である。
【0071】
加えて、フリップフロップ150および152の出力ピンは、XORゲート154の入力ピンに結合される。XORゲート154の出力ピンは、フリップフロップ140のデータピンに結合される。このように、フリップフロップ152の出力端子は、発生器138の出力ノード160を提供し、発生器138は、クロックノード158に付与されたクロック信号(図示しない適切なクロック発生器からの)に基づいて、出力ノード160において疑似ランダムシリアルバイナリシーケンスを提供するように機能する。他のいくつかの実施形態では、異なる数のフリップフロップを使用してもよいことが理解されるべきである。また、いくつかの他の実施形態では、XORゲート154の入力は、異なる対のフリップフロップの出力に結合されてもよい。また、疑似ランダムスイッチ制御シーケンスは、所与のスイッチのスイッチ制御ノードを、対応するD型フリップフロップのうちの1つに接続することによって、スイッチの各々について直接抽出することもできる。例えば、スイッチ−キャパシタ対102および116のスイッチに対する制御信号は、第1のフリップフロップ140のデータ(D)入力に接続され得る。スイッチ−キャパシタ対104および118に対する制御信号は、フリップフロップ142のD入力への接続等によって得られ得る。
【0072】
図8に戻ると、連続した発振期間の間、キャパシタ−スイッチ対102〜112および116〜126は、疑似乱数に従って制御され得、それによって、ディザ回路70´は、ランダムに変動する発振器18´のキャパシタンスを発生させる。例えば、シリアル実装では、疑似類似乱数は、キャパシタ−スイッチ対102〜112および116〜126を通して順次シフトされ得る。代替的には、パラレル実装では、1つのキャパシタ−スイッチ対および30a−1のフリップフロップ、および各フリップフロップの出力(Q)ピン(または反転Q)出力ピン)があり得、およびXORゲート154は、キャパシタ−スイッチ対のうちの異なる1つに供給し得る。
【0073】
疑似乱数発生器は、クロックノード158に付与されるクロック信号のクロックサイクルごとに、またはn振動期間ごとに新しい疑似乱数またはビットを発生させ得、ここで、nは、例えば1、10、20、27、30、64、100、256等の任意の正の数であることができるが、2の累乗がより便利になる傾向がある。このように、キャパシタンス(および発振周波数)は、n振動期間ごとに変化し得る。代替的には、疑似乱数発生器は、発振器18´の発振周波数のものよりもすばやい新しい疑似乱数またはビットシーケンスを発生させ得る。このように、キャパシタンス(および発振周波数)は、振動期間あたり複数の時間変化し得る。疑似乱数発生器に付与されるクロック信号は、疑似乱数が発生される速度を制御することが理解されるべきである。
【0074】
したがって、まとめると、動作中、ディザ回路70´は、複数のキャパシタを制御して、発振器18´のキャパシタンスを変化させ、発振電力信号20´の発振周波数にディザを付加し得る。ディザ回路70´は、疑似乱数発生器を含み得、ディザ回路70´は、複数のキャパシタを制御して、発振器18´のキャパシタンスを、疑似乱数発生器によって発生される疑似乱数に基づいて変動させ得る。
【0075】
異なる実施形態では、キャパシタ−スイッチ対の数は変動してもよいことを理解すべきである。例えば、ディザ回路70´は、1、2、4、5、8、10または任意の適正な数の対の2つのバンクを含み得る。また、2つのバンクは、異なる数の対を有してもよい。例えば、1つのバンクが4つの対を含んでもよく、その他のバンクが8つの対を含んでもよい。一実施形態では、各キャパシタ−スイッチ対のキャパシタのキャパシタンス値は、同じであることができるか、または異なる対および/またはバンク間で異なっていてもよい。ディザ回路70´は、発振器18´に結合された、発振器18´の30発振周波数を経時的に変動させるかまたはディザリングすることが可能である任意の電子回路を含み得る。
【0076】
図10は、別の実施形態によるディザ回路70´´を示す。ディザ回路70´´は、4つのキャパシタスイッチ対の2つのバンクを含む。しかしながら、ディザ回路70´とは異なり、ディザ回路70´´は、別個の電圧基準114または接地ではなく、正の電源22に接続されたコンデンサ−スイッチ対を含む。スイッチは、P型電界効果トランジスタとして形成されることができる。しかしながら、ディザ回路70´´の動作および可能な変形は、ディザ回路70´を参照して上述した通りである。
【0077】
図7を参照して、受電器28´およびモニタ32´の構成および動作について以下に説明する。受電器28´は、上述のように、発振器18´によって発生した発振電力信号20´を受信し、変圧器6´の一次巻線14´から二次巻線16´へ送信されている。受電器28´は、変圧器6´の二次巻線16´に結合された整流器回路を含む。図示された実施形態では、整流回路は、全波整流器を形成するように、ブリッジ構成で接続された4つのダイオード200〜206を含む。動作中、整流器は、発振電力信号20´を整流し、発振交流(AC)信号を直流(DC)信号に変換する。受電器28´は、整流波形によって充電されるように整流器回路に結合されたリザーバキャパシタ208をさらに含む。負荷回路(図示せず)は、キャパシタ208に結合され、キャパシタ208から電荷を受信し、キャパシタ208から電力供給され得る。
【0078】
受電器28´の構造は、異なる実施形態においては異なってもよい。例えば、半波整流器、能動整流器、または能動ベースとダイオードベースの整流器の組み合わせ等、異なる整流器回路を使用してもよい。また、キャパシタ208に代えて、異なる電荷蓄積装置、例えばバッテリ等を使用してもよい。
【0079】
図示されるように、受電器28´は、コントローラ32´に結合され、コントローラ32´は、使用時に、受電器28´によって蓄積された電荷量に基づいて変化する信号を発生するように構成される。また、コントローラ32´は、リザーバキャパシタをまたいだ電圧と閾値との間の差に基づいて、制御信号26´を確立するように構成され得る。閾値は、受電器28´によって電力供給された回路の特性、および/または受電器28の充填容量または充電プロファイルに基づいて選択された、予め設定された閾値であってもよい。コントローラ32´は、受電器28´によって蓄えられた電荷から電力供給される。このように、リザーバキャパシタに電荷が蓄積されていない場合、コントローラは、発振器の動作を妨げるべきではない。
【0080】
コントローラ32´は、受電器28´の電荷蓄積装置、例えばキャパシタ208と並列に接続された分圧回路を含み得る。分圧器は、抵抗300および302を含み得、分圧器は、リザーバキャパシタをまたいだ電圧を表す信号304を出力し得る。この手法は、コントローラの供給電圧で保持された入力ノードにおける信号とともに稼働しなければならないコントローラ上のトランジスタを省く。回路はこのように動作するように構築されることができるが、結果として、より多くの電力を消費する回路になる傾向がある。
【0081】
異なる実施形態では、信号304は、電圧信号以外のもの、例えば電流信号等であってもよいことが理解されるべきである。したがって、蓄積された電荷の量に基づいて変動する信号304の特性は、電圧以外のものであってもよい。この場合、コントローラ32´の他の要素は、異なる形式の信号で動作するように適合され得るが、コントローラ32´の全般的な動作は変化しない。
【0082】
図7に図示される実施形態では、コントローラ32´は、電圧分割器に結合され、そこから信号304を受信するフィードバックモジュール306をさらに含む。フィードバックモジュール306は、発振器18´の起動を制御する制御信号26´を発生させる。具体的には、フィードバックモジュール306は、信号304と閾値との間の差に基づいて、発振器18´を制御するように構成され得る。上述のように、閾値は、例えば、キャパシタ208の充電容量または充電時間に基づく予め設定された閾値であり得る。いずれにせよ、フィードバックモジュール306は、信号304の瞬時値(例えば、瞬時電圧)と閾値との間の差を判定する。そして、フィードバックモジュール306は、当該差に基づいて制御信号を生成する。そして、このデューティサイクルの起動は、制御信号26´に符号化される。例えば、制御信号26´は、パルス幅変調信号またはパルス密度変調信号であってもよい。
【0083】
一実施形態では、閾値は、受電器28´が負荷回路に電力を供給するのに十分な出力電圧を維持することが可能であることを保証するように選択される。
【0084】
代替的には、閾値は、電力を節約するために発振器18´が周期的に電源切断されるように調整されてもよい。閾値の設定は、システム2´の態様および/または負荷回路の態様に依存してもよい。閾値は、予め設定されてもよく、または動作条件に依存して動的に調整されてもよい。上述のように、受電器28´は、一定量の電流を引き込む負荷回路に結合されていると、例えば、その間に一定の活性化サイクルがある静止状態にあることに起因する。この一定のサイクルは、受電器28´の周期的な充電および放電サイクルを生じさせ、これがひいては、システム2´の望ましくないノイズ出力を発生させる一実施形態では、コントローラ32´のディザモジュール72´は、もはや一定ではないように制御サイクルにディザを加えることによってこのノイズ出力に対処するように構成される。ここで、ディザモジュール72´のこの動作をさらに詳細に説明する。
【0085】
一実施形態では、ディザモジュール72´は、信号304と閾値とを比較することによって計算された上述の差をディザリングすることによって、制御サイクルに、例えば起動のデューティサイクルにディザを付加する。例えば、定常状態では、発振器を始動させるべきである前に、許容可能な最低電圧をマークするスイッチオン閾値と、目標値まで充電されているリザーバキャパシタに対応するスイッチオフ閾値との間の差は、周期的に変動し得る。したがって、フィードバックモジュール306のディザモジュール72´は、当該差をディザリングして、制御サイクルのデューティサイクルをディザリングし得る。
【0086】
他の手法、例えば制御サイクルの長さ(期間)をディザリングする等も可能である。
【0087】
図11Aに特に見られるように、一実施形態では、コントローラ32´のフィードバックモジュール306は、パルス幅変調の実施に従って、例えばリザーバキャパシタに格納された電圧Vcapを表す信号から制御信号26´を生成するための充電回路400を含み得る。回路400は、コントローラのサイクルタイムに対応する時間内にリセットされる前に初期値と最終値との間でランプするランプ発生器として作用する。ランプの瞬時値は、リザーバキャパシタをまたいだ電圧を表す信号と比較され、この比較は、パルス幅変調信号として時間ドメインで効果的に符号化される。
図11Aに示された、本開示の教示による充電回路400は、2つの電力レール406および408間でキャパシタ404と直列に接続された電流源402を含み、ここで、電流源402およびキャパシタ404のうちの少なくとも一方は、前述のように、例えば疑似乱数発生器によって発生されたデジタル語であり得るディザ語に応答して可変である。一実施形態では、レール406は、受電器から引き出された正の供給電圧であり、レール408は、ローカルな接地である。可変電流源402と可変キャパシタ404との間のノードは、第1の入力、例えば差動増幅器410の非反転入力に接続される。ノード412は、第2の入力、例えば差動増幅器410の反転入力に接続される。差動増幅器410の出力は、出力ノード414に接続される。リセットスイッチ416は、可変キャパシタ404を越えて接続される。動作中、差動増幅器410は、その反転入力および非反転入力に対する信号間の比較に従って、出力信号を調整する。
【0088】
動作中、制御信号26´は、最初に「低」に設定される。入力信号は、ノード412に付与され、リセットスイッチ416が開かれ、それによって、キャパシタ404は、電流源402によって供給された電流から充電される(しかし、抵抗を使用することもできる)。
図12を参照すると、ランプ回路のキャパシタをまたいだ電圧は、ライン420によって示されるように、ゼロ等の初期値と最終値「Vmax」との間で一定の割合で上昇するはずであることが理解できる。
図12において時間T
0で開始される充電プロセスの間、差動増幅器410は、キャパシタ404をまたいだ電圧、すなわち線420によって表されるような電圧の瞬間値を、リザーバキャパシタをまたいだ電圧Vcapを表すノード412の入力電圧と比較する。最初には、キャパシタ404をまたいだ電圧は、入力電圧より低くなければならず、差動増幅器410は、ノード414に低電圧を供給し得る。この間、制御信号26´は「低」のままである。しかしながら、キャパシタ404が充電され、キャパシタをまたいだ電圧Vrampが、入力電圧Vcapと一致するように増加し、次いでそれを超えると、差動増幅器410は、ノード414の電圧を、T
1によって表される正の供給レール電圧に向かって遷移させる。差動増幅器410がノード414において高い値の出力を発生させると、制御信号26´は、「高」から「低」に遷移する。そして、制御信号26´は、時間T
2によって表されるパルスの終わりまで「高」のままであり、その時点で、リセットスイッチ416を閉じて、キャパシタ404を放電する。上記のプロセスは繰り返される。このように、制御信号26´は、受電器28´によって蓄積された電荷量に基づいて設定されたデューティサイクル(またはパルス幅)を有する一連のパルスを有して発生する。サイクル長さは、電流のサイズまたはキャパシタのサイズを変更することによって変更することができることが理解される。これは、0ボルトとVmaxとの間でより遅いレートで遷移する線422によって示される。これは、電流源402からの電流のサイズを減少させるか、キャパシタ404の大きさを増大させるか、またはこれらの動作を組み合わせることによって達成されることができる。ここで、パルス幅符号化信号の生成を完了するためにT
2で表される時間を取り上げることに代えて、ここでは期間T
4を取り上げる。これにより、キャパシタVrampをまたいだ電圧が入力電圧Vcapと一致する時間が、T
1からT
3に増加していることが理解できる。しかしながら、線420によって表される電荷レートに対するマスクスペース比S1:M1は、線422によって表される電荷レートに対するマークスペース比S2:M2と同じである。このように、一次近似に対しては、制御サイクルの長さは変動するが、マークスペース比またはデューティサイクルは同じままである。そうは言っても、制御サイクルが比較的長くなると、その後キャパシタ間の出力電圧は過度の変動を呈し始める可能性がある。また、キャパシタの両端間の電圧が比較的高い(比較的高い電荷を帯びた状態を示す)場合、出力が高く、発振器18が付勢されるべきであることを示す相対的な割合は比較的短く、キャパシタの電荷が枯渇するとより長くなることも観察できる。
【0089】
上記の動作に基づいて、以下の変数が一定のままである場合、制御信号26´のデューティサイクルは一定のままであることが分かる。負荷電流、電流源402の電流、およびキャパシタ404のキャパシタンス。これらの条件下で、システム2´によって発生したノイズは、この定常状態の周期的動作の周波数を中心にして焦点が合わせられる。したがって、ディザを導入するために、ディザモジュール72´は、以下のうちの1つ以上をディザするように構成される。入力信号(例えば、VcapまたはVcapのスケーリングされたバージョンと閾値との間の差を形成するか、または分圧器内の抵抗器のうちの少なくとも1つの抵抗を変えることによる)、キャパシタ404のキャパシタンス、および電流源402の電流。入力電圧を変動させることは、システムの目標電圧を変動させるが、一方で電流またはキャパシタンスを変動させることは、制御サイクルを完了するためにかかる時間、すなわち初期値からランプの最終値までランプするためにかかる時間が変動し、ひいては制御システムの更新頻度が変る。
【0090】
図11Bは、
図11Aに示された回路の変形である別の実施形態による充電回路450を示す。充電回路450は、
図11Aの充電回路400と同じであるが、充電回路450は、キャパシタ404と並列に接続された(電流シンクとして機能する)追加の可変電流源452を含む。動作中、追加の電流源452は、キャパシタ404の充電速度を変動させるかまたはディザリングすることができる別の手段を提供する。
【0091】
他の実施形態では、充電回路が異なってもよいことが理解されるべきである。例えば、可変電流源402、452の一方は可変でなくてもよく、キャパシタ404または電流源402、452のうちの一方のみが可変であってもよく、またはノード412における差のみが可変であってもよい。
【0092】
したがって、ディザモジュール72´は、ノード412で提示される電圧を比較することによって制御信号26´を発生させるように構成され、これは、キャパシタをまたいだ電圧の減衰バージョン、またはキャパシタをまたいだ減衰電圧と基準電圧との差であり得、ランプ発生回路400、450のキャパシタをまたいで電圧が形成される。また、ディザモジュール72´は、ランプ電流生成回路450、452の充電電流(402または452を介して)および/またはキャパシタンス(404を介して)をディザリングして、制御信号26´の制御サイクルの長さにディザを付加するように構成されてもよい。可変電流源402または452は、切り替え可能な電流ミラー構成の複数のトランジスタを使用して実装され得、それによって、電流ミラーとして機能するトランジスタ数をデジタル信号によって制御することができるようにされる。
【0093】
上述の実施形態のランプ発生回路450、452は、アナログ電子機器を使用して実施される。しかしながら、他のいくつかの実施形態では、充電回路は、好適に構成されたデジタル電子機器によって置き換えられてもよく、またはプロセッサ上で実行されるソフトウェアで実施されてもよい。例えば、ディザおよびPWM符号化機能は、デジタルカウンタ回路によって実現されてもよい。カウンタ回路は、特定のカウントインクリメントおよびカウントレートに基づいてカウント値を増分することによって、出力を発生させてもよい。カウント値は、ゼロ等の最低値から始まり、増加し得る。前述のように、制御信号26´は「低」で始まり得る。カウント値は、キャパシタをまたいだ電圧を表す信号と比較され得る。これは、電圧をデジタル化するためのアナログ−デジタル変換器を使用することによって行われることができるか、またはカウンタは、デジタル−アナログ変換器を駆動してカウンタ値のアナログ表現を形成してもよく、比較は、アナログ比較器によって行われる。カウント値がリザーバキャパシタ208をまたいだ電圧を表す信号の値に達すると、制御信号26´は、「低」から「高」に遷移し得、これは絶縁バリヤを越えて電力が伝送されるように、発振器が動作可能にされるべきであることを示す。制御サイクルの終わりには、リザーバキャパシタをまたいだ電圧を表す信号が更新され得、カウンタ回路がリセットされ、制御信号26´が「低」に戻され、制御シーケンスを繰り返すことができるようにされる。したがって、アナログ実装を参照して上述したようにアナログ的に、差異または他の適切な入力信号、カウンタインクリメント、および/またはカウンタレートがディザリングされ、制御信号26´の制御サイクル長またはマークスペース比をディザリングし得る。
【0094】
したがって、ディザモジュール72´は、入力信号をカウンタ回路のカウンタ値と比較することによって、制御信号26´を生成するように構成されたカウンタ回路を含み得る。また、ディザモジュール72´は、a)入力信号、b)ランプ発生器からの電圧に適用されるオフセット(デジタル世界においては、非ゼロ値でカウンタをプリロードすることにより、アナログ実装では、切り替えることによって抵抗器がキャパシタ404と直列に、例えばキャパシタ404と接地レールとの間になる、c)カウンタクリメントサイズ、およびd)制御信号26´にディザを付加するためのカウンタ更新レートのうちの少なくとも1つをディザするように構成されてもよい。
【0095】
上述したモニタ32´の動作に基づいて、制御信号26´が発生し、発振器18´の起動のデューティサイクルを含む。
図7にさらに特に見られるように、コントローラ32´は、使用時に制御信号26´を符号化するように構成されたエンコーダ310を含み得、それによって、アイソレータ8´によって、第2の側12から絶縁バリヤ4´を越えて第1の側10´へ伝送されるようにされる。一実施形態では、例えばアイソレータ8´が変圧器である場合、制御信号26´は振動信号に変換され、それによって、絶縁バリヤ4´を越えて伝達されるようにされ得る。代替的には、例えばアイソレータ8´がオプトカプラである場合、制御信号26´は光信号に変換され、それによって、絶縁バリヤ4´を越えて伝送されるようにされ得る。
【0096】
図7に関して説明された実施形態では、アイソレータ8´は、コントローラ32´に結合した一次巻線600と、ドライバ24´に結合された二次巻線602とを有する第2の変圧器である。さらに、ドライバ24´は、デコーダ604および制御論理606を含み得る。
【0097】
デコーダ604は、二次巻線602に結合され、そこから発振制御信号26´を受信するようにされる。デコーダ604は、エンコーダ310の符号化動作に対して協働する復号化動作を実行する。デコーダ604の出力は、制御論理606に結合され、それによって、デコーダ604が復号化された制御信号26´を制御論理606に出力するようにされる。一実施形態では、定常状態動作中、制御論理606は、復号化された制御信号26´に対していかなる機能も実行せず、その結果、トランジスタ132は、制御信号26´のデューティサイクルに基づいてオンおよびオフ切替される。したがって、いくつかの実施形態では、制御論理606は省略されてもよく、トランジスタ132はデコーダ604の出力に結合されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、制御論理606は、システム2´がオンにされたときにトランジスタ132を起動させるように動作し、それによって、発振電力信号20´が発生し、受電器28´によって電荷が蓄積され始める。また、これにより、コントローラ32´に電力供給することができる。いずれにせよ、トランジスタ132は、制御信号26´に基づいて制御され、制御信号26´に基づいて発振器18´を起動させたり起動解除させたりする。異なる実施形態において、コントローラ32´、アイソレータ8´およびドライバ24´の様々な態様は異なってもよいことが理解されるべきである。例えば、制御信号26´およびアイソレータ8´が、アイソレータ8´によって絶縁バリヤ4´を越えて第2の側12´から第1の側10´まで伝送されるために、制御信号26´が符号化される必要がないように構成される場合、エンコーダ310およびデコーダ604は省略されてもよい。一実施形態では、エンコーダ310およびデコーダ604の動作は、アイソレータ8’に関連付けられている。例えば、アイソレータ8’が変圧器である場合、エンコーダ310およびデコーダ640は、オンオフキーイングを実行し得る。変圧器に代えて、アイソレータ8´は、キャパシタ、またはオプトカプラであってもよい。別の実施形態では、エンコーダ310およびデコーダ604は、国際特許出願第WO2004/100473号に記載されているようなパルス符号化/復号化方式を使用してもよい。
【0098】
上述の実施形態によれば、ディザ回路70、70´およびディザモジュール72、72アッシュの両方が存在してもよいことが理解されるべきである。しかしながら、いくつかの実施形態では、ディザ回路70、70´またはディザモジュール72、72´のうちの一方は省略されてもよい。このように特徴を省略することの利点は、システム2、2´がさほど複雑でないため、より少ないチップ面積を占め、より少ない電力を消費し得ることである。しかしながら、ディザ回路70、70´およびディザモジュール72、72´のうちの一方のみを含むことは、電力伝送システム2または2´によって発生する干渉が、隣接する電子部品にとってさらなる問題になり得るが、これは、ノイズがあまり拡散され得ず、特定の周波数に集中し得るためである。
【0099】
上記の実施形態は、絶縁バリヤを横切ってリングパワーを伝達する方法を提供する。具体的には、絶縁バリヤの第1の側に発振電力信号が発生する。次に、発振電力信号は、絶縁バリヤの第1の側から絶縁バリヤの第2の側へ伝送される。絶縁バリヤの第2の側では、伝送された発振電力信号から電気エネルギが回収され、蓄積された電荷は、絶縁バリヤの第2の側で負荷回路に電力を供給するために使用され得る。
【0100】
第2の側においても、制御信号が発生する。制御信号は、発振器の起動のデューティサイクルを定義し、これは、絶縁バリヤの第2の側に蓄積された電荷の量に基づく。いったん発生すると、制御信号は、絶縁バリヤの第2の側から絶縁バリヤの第1の側へ伝送され、それによって、発振電力信号が、制御信号によって伝えられる命令に従って発生するようにされる。また、発振器の位相をディザリングすることも可能である。
【0101】
加えてまたは代替的には、制御信号のデューティサイクルまたはサイクル長さにディザが付加される。具体的には、制御信号を生成することは、第1に、絶縁バリヤの第2の側に蓄積された電荷量に基づいて変動する信号を発生させることと、第2に、リザーバキャパシタにおける電圧の関数として、制御周期または制御サイクルの長さのデューティサイクル(マークスペース比)を設定することとを含む。制御信号のデューティサイクルをディザリングすることは、システムによって発生したノイズを拡散させるために、発振電力信号のパラメータをディザリングする効果を有することが理解されるべきである。上述したように、発振器は、制御信号が高のときには発振信号を発生させ得るが、制御信号が低のときには発振信号を発生させ得ない。したがって、発振器を起動させるときに発振電力信号の一部が発振を含み、発振器が起動解除されるときに発振電力信号の一部は発振を含まない。このように、発振電力信号は、発振部分と非発振部分とを含み、これらの部分のサイズおよび位置は、制御信号のデューティサイクルによって定義される。したがって、発振電力信号の発振部分および非発振部分の相対的なサイズおよび位置がディザされるため、デューティサイクルをディザリングすることは、発振電力信号のパラメータをディザリングする。
【0102】
図13は、別の実施形態によるシステム500を示す。システム500は、
図5のシステム2および
図7のシステム2´のすべてではないがいくつかの特徴を含む。具体的には、システム500は、ディザ回路70を有する上述の発振器18を備える。前述のように、発振器18は、発振電力信号20を発生させ、発振器18は発振電力信号20の発振周波数をディザリングするディザ回路70を含む。発振電力信号20は、変圧器6の一次巻線14内に確立され、一次巻線14から二次巻線16に伝送される。伝送された発振電力信号20は、受電器28´´に提供される。負荷回路30は、受電器28´´から動作するための電力を受信する。このように、電力は、第1の側10で発生し、絶縁バリヤ4を越えて第2の側12へ伝送され得、ここで負荷回路30に電力供給するために使用されることができる。
【0103】
本実施形態では、受電器28´´は、上述の通りであってもよい。例えば、受電器28´´は、受電器28´と同じであってもよく、蓄積装置(例えば、キャパシタ)を含んでもよい。蓄積装置は、電荷を蓄積し、蓄積した電荷を負荷回路30に提供する。しかしながら、別の実施形態では、受電器28´´は、電荷を蓄積しなくてもよく、電荷を蓄積することなく、単に伝送された発振電力信号20からの電荷を負荷回路30に中継してもよい。例えば、受電器28´´は、AC発振電力信号20を、負荷回路30に電力供給するためのDC信号に変換するための整流回路を含んでもよい。DC信号は、キャパシタ等の蓄積装置を充電するために使用されるのではなく、負荷回路30に直接伝送されてもよい。
【0104】
図13に示す実施形態では、システム500は、コントローラ、フィードバックアイソレータ、またはドライバを含まない。したがって、システム500は、制御信号を発生させない。それに代えて、システム500は、起動させると、負荷回路30に電荷を供給するために永久的にディザリングされた発振電力信号20を提供する。発振電力信号20は、システム500を起動解除することにより、起動解除されることができる。システム2および2´と比較されたシステム500の利点は、発振器18が、定常状態にあるときには、制御信号の活性化の起動の一定のデューティサイクルに起因して周期的に起動および起動解除されるのではなく、絶えず起動されるため、システム500が第2のノイズ成分を生成しないことである。また、システム500は、さほど15複雑ではなく、したがってより少ないチップ面積を占め、より少ない電力を消費する。しかしながら、システム500と比較したシステム2およびシステム2’の利点は、システム2およびシステム2’が第2の側への電力の過剰供給を回避するフィードバック機能を含み、このように、電力を保存することである。フィードバックを含まない実施形態については、電圧クランプまたは他の消散型負荷を設け、出力電圧の調整を提供することができる。このように、効率が簡易化に取って代わられる。
【0105】
さらなる選択肢として、リザーバキャパシタにおける電圧は、バックレギュレータ、ブースト回路またはバックブースト回路等のさらなるDC−DCコンバータに提供されてもよい。このことは、負荷に電圧安定性を提供し、受電器の出力においてはるかに大きい電圧変動を許容することができる。
【0106】
図14は、別の実施形態によるシステム600を示す。システム500は、
図5のシステム2および
図7のシステム2´のすべてではないがいくつかの特徴を含む。具体的には、システム600は、前述の発振器18を含むが、任意には、ディザ回路70を含まない。例えば、発振器18は、一対の交差結合トランジスタ(例えば、
図7のトランジスタ100および101)のみを含み得る。前述のように、発振器18は、発振電力信号20を発生させるが、今回は、発振電力信号20の発振周波数は、ディザ回路70が存在しないことに起因して一定である。発振電力信号20は、変圧器6の一次巻線14内に確立され、一次巻線14から二次巻線16に伝送される。伝送された発振電力信号20は、電荷蓄積のための受電器28に提供される。負荷回路30は、動作するための蓄えられた電荷を受電器28から受信する。このように、電力は、第1の側10で受信され、絶縁バリヤ4を越えて第2の側12に伝送され、ここで負荷回路30に電力供給するために使用されることができる。
【0107】
一実施形態では、受電器28は上記の通りであってもよい。例えば、受電器28は、受電器28´と同じであってもよく、整流器回路5(
図7の整流器回路等)および記憶装置(
図7のキャパシタ208等)を含んでもよい。蓄積装置は、電荷を蓄積し、蓄積した電荷を負荷回路30に供給し得る。
【0108】
図14に示された実施形態では、システム600は、受電器28に結合されたコントローラ604を含む。上述の実施形態では、コントローラ32´は、第1の側から第2の側への電力の流れを調整するデューティサイクルを有する制御信号26´を提供した。制御信号26´は流れを調整したため、受電器28´への電力の供給不足および過供給を回避することができた。しかしながら、残念なことに、定常状態条件下では、この調整態様は、一定またはほぼ一定の充電および放電サイクルを理由としてノイズを発生させる可能性があった。したがって、本代替実施形態では、一定またはほぼ一定の充電および放電サイクルを理由として発生するノイズを回避するために、調整をランダム化された制御信号で置き換え得る。具体的には、モニタ604は、電圧制御発振器(VCO)606および疑似乱数発生器(PRNG)608を含み得る。
【0109】
本実施形態では、前述のように、コントローラ604は、受電器28によって蓄積された量を表す信号を発生させる。例えば、コントローラは、
図7の電圧分割器を含んでもよい。いずれにせよ、この信号は、VCO606に供給されて、受電器28によって蓄積された電荷の量に基づいて変動する周波数を有する周波数信号を発生させ得る。そして、周波数信号は、PRNG608のクロック信号として使用されてもよい。このように、PRNG608は、VCOの周波数に依存するレートで1および0の疑似ランダムシーケンスを発生させ得、これはひいては、受電器28´によって蓄えられた電荷の量に依存する。コントローラ604は、疑似乱数を制御信号610として出力し得る。ドライバ612は、絶縁バリヤ4の第1の側10に位置付けられ、アイソレータ8を介して、コントローラ604から制御信号610を受信する。ドライバ612は、発振器18に結合され、制御信号610に基づいて、発振電力信号20の発生を制御する。例えば、ドライバ612は、制御信号610の疑似乱数の最新のビットの値に基づいてオンオフするトランジスタ(
図7のトランジスタ132等)を含み得る。すなわち、制御信号610の疑似乱数が「1」のときにトランジスタをオンにし、制御信号610の疑似乱数が「0」のときにオフにされ得る。発振信号のこのランダム化された開始および停止は、位相空間内で信号を拡散させる。同様の効果は、絶縁バリヤの第1の側に疑似乱数シーケンスを発生させ、そのシーケンスから発振器を駆動することによっても達成されることができる。シーケンスジェネレータは、一定のレートでクロック駆動されることができるか、または発振器の動作を使用して、VCOを駆動するために使用される絶縁バリヤの第1の側の漏れ積分器を充電し得る。このように、フィードバックアイソレータによって使用されるスペースは回避される。
【0110】
したがって、要約すると、コントローラ604は、受電器28に結合され、受電器28によって蓄積された電荷の量を判定する。また、コントローラ604は、判定された蓄積電荷量に基づくレートで値を変化させる疑似乱数シーケンスを発生させるように構成される。ドライバ612は、アイソレータ8を介してコントローラ604に結合され、疑似乱数を受け取るようにされる。また、ドライバ612は、発振器18に結合され、疑似乱数値に従って発振電力信号20を確立するように発振器18を制御する。特に、コントローラ604は、リザーバキャパシタ等の電荷蓄積装置に蓄積された電荷量に基づく周波数を有する発振信号を発生させるように構成された追加の発振器(例えば、VCO606)を備える。また、コントローラ604は、疑似乱数の値をVCOの周波数で変化させるように構成された疑似乱数発生器(例えば、PSNG608)を備える。
【0111】
上述の動作に基づいて、周波数ディザ回路が含まれていない場合、発振電力信号20の発振周波数は一定である。しかしながら、発振電力信号20の起動および起動解除は、ランダム化された方法で発生する。このように、発振電力信号20によって発生する干渉は、発振電力信号20の発振周波数等の特定の周波数に集束されるのではなく、周波数範囲にわたって拡散される。特に、受電器28によって蓄積される電荷の量は変化しており、予測不可能である。したがって、PRNG608によって疑似乱数が生成される速度もまた変化しており、予測不可能である。このように、発振器18の起動は、(疑似乱数値を介して)ランダムなレートで(疑似乱数が値を変更するレートを介して)ランダムに変化する。したがって、2つのランダム化された変数がある。このように、定常状態の周期的動作が回避され、そしてこのように、システム600によって生成されたノイズは、特定の周波数に集中するのではなく、周波数範囲にわたって拡散される。
【0112】
システム600の利点は、コントローラ32または32´と比較して、コントローラ604が比較的小さいチップ面積を占めることである。これは、VCO606およびPRNG608が比較的小さいチップ面積を占めることに起因する。例えば、PRNG608は、
図9のものと同様であり得るが、23個のフリップフロップおよび1個の排他的ORゲートを含み得る。このように、PRNG608は、8.39×10
6ビット(すなわち、2
23−1)のパターン長を有し得る。一実施形態では、VCO606は、1MHz〜20MHzの周波数範囲を有し得、周波数信号の平均周波数は、約10MHzであり得る。したがって、完全なパターンは、約840msかかり得る(すなわち、8.39×10
6/10
6)。したがって、疑似乱数がそのシーケンスを繰り返し始めるまでに約840msかかり、これは発振器からの干渉が、周波数範囲にわたって十分に拡散することを意味するのに十分な長さである。当然ながら、他のいくつかの実施形態では、PRNG608の構成は異なっていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、フリップフロップの数は、23より多い場合も少ない場合もある。フリップフロップが少ないことの利点は、パターンが長くなり、ノイズがより拡散されることである。より少ないフリップフロップを有することの利点は、PRNG608によって占有されるチップ面積が少ないことである。
【0113】
受電器の電圧(リザーバキャパシタ電圧)一実施形態では、VCO606は、基準電圧とリザーバキャパシタをまたいだ電圧を表す電圧との間の差を形成するように構成された誤差増幅器を含み得、それによって、受電器の出力電圧(リザーバキャパシタ電圧)の変化に対するVCO出力周波数のより大きな変化率を提供する。システム600のさらなる利点は、調整フィードバック態様が含まれず、調整フィードバック態様に対して小さい面積を占めるVCOおよびPRNGによって置き換えられるため、システム600の高電圧領域が最小化されることである。すなわち、発振器602が固定周波数を有するため、高電圧領域が最小化され、したがって、例えば、ディザ回路を使用して発振器周波数の拡散を実施する必要がない。また、電力効率と、負荷回路の駆動に使用される電流が最大化される。例えば、固定発振周波数は、発振器602を、例えば変圧器6をまたいだ電力伝送のために最適な周波数に設定することによって、電力効率を最大化できることを意味する。このように、システム600は、2つのレベルのランダム性を有する低コストのアーキテクチャを提供する。
【0114】
一実施形態によれば、絶縁バリヤを越えて電力を伝送するためのシステムが提供される。該システムは、絶縁バリヤの第1の側の一次巻線と、絶縁バリヤの第2の側の二次巻線とを有する変圧器と、変圧器の二次巻線に伝達された発振電力信号を、変圧器の一次巻線内に確立するように構成された発振器とを備える。該システムは、発振電力信号のパラメータをディザリングし、発振電力信号のスペクトル分布を修正するように構成される。
【0115】
いくつかのそのような実施形態では、発振器は、発振電力信号の発振周波数にディザを付加するように構成されたディザ回路を備える。いくつかのそのような実施形態では、ディザ回路は、変圧器の第1の巻線に選択的に結合された複数のキャパシタを備え、複数のキャパシタの結合を変動させ、発振器に接続されたキャパシタを変動させて、発振電力信号の振動周波数にディザを加える。いくつかのそのような実施形態では、ディザ回路は、疑似乱数発生器を備え、発振器に結合された複数のキャパシタの結合は、疑似乱数発生器によって発生させた疑似乱数に基づいて修正される。
【0116】
本システムのいくつかの実施形態では、受電器がさらに設けられ、二次巻線に結合されて配置され、二次巻線から受信された信号を整流し、リザーバキャパシタを変化させる。
【0117】
本システムのいくつかの実施形態では、ドライバと、アイソレータと、コントローラとを備えるフィードバックシステムがさらに設けられる。コントローラは、受電器に蓄えられた電荷量に反応するように受電器に結合され、蓄積された電荷量に基づいて発振器の起動を制御するための制御信号を発生させるように構成される。コントローラは、アイソレータを介してドライバに制御信号を提供し、ドライバは、発振器に結合され、制御信号に従って発振電力信号を確立するように発振器を制御する。
【0118】
いくつかのそのような実施形態では、コントローラは、制御信号のサイクルタイムに、または制御信号のデューティサイクルに、ディザを付加するように構成される。いくつかのそのような実施形態では、コントローラは、受電器に接続されるかまたはその一部である電荷蓄積部を通した電圧を表す信号をディザリングし、制御信号にディザを付加するように構成される。いくつかのそのような実施形態では、コントローラは、時変信号を発生させ、受電器における電圧を表す信号を、時変信号と比較することによって制御信号を発生させるように構成された充電回路をさらに備え、コントローラは、充電回路の充電電流および/またはキャパシタンスをディザリングし、制御信号にディザリングを付加するように構成された充電回路をさらに備える。
【0119】
コントローラを有する本システムのいくつかの実施形態では、コントローラは、電荷蓄積部を通した電圧を表す信号を、カウンタ回路のカウンタ値と比較することによって、制御信号を発生させるように構成されたカウンタ回路を備え、コントローラは、カウンタインクリメント、カウンタ回路のカウンタレート、カウンタの初期値、および電圧を表す信号に対して付与されたオフセットのうちの1つ以上をディザリングするように構成される。
【0120】
本システムのいくつかの実施形態では、負荷回路が設けられて受電器と結合され、負荷回路は、受電器によって蓄積された電荷を消費することによって電力供給される。
【0121】
本システムのいくつかの実施形態では、システムは、発振器に結合され、発振電力信号をディザリングするように構成されたディザ回路を備える。いくつかのそのような実施形態では、ディザ回路は、発振器の一部である。
【0122】
いくつかの実施形態では、チップスケールパッケージに包含されたアイソレータが設けられ、第1および第2の電圧ドメイン間でデータを伝送するように適合される。アイソレータは、上述の種類の電力伝送システムによって電力供給される内部回路を有する。
【0123】
一実施形態によれば、絶縁バリヤを越えて電力を伝送するための方法が提供される。該方法は、絶縁バリヤの第1の側において発振電力信号を発生させることと、絶縁バリヤの第1の側から絶縁バリヤの第2の側に、発振電力信号を伝送することと、発振電力信号のスペクトル分布を修正するように、発振電力信号をディザリングすることと、を含む。
【0124】
いくつかのそのような実施形態では、該方法は、発振電力信号の発振周波数にディザを付加することをさらに含む。いくつかのそのような実施形態では、発振電力信号は、発振器によって発生し、発振電力信号の発振周波数にディザを付加することは、発振器のキャパシタンスを変動させることを含む。いくつかのそのような実施形態では、キャパシタンスは、疑似ランダムな方法で変動させる。
【0125】
電力を伝送するための方法のいくつかの実施形態では、該方法は、発振器が動作可能とされるかまたは動作不可とされるかを制御するために使用される制御信号のデューティサイクルまたはサイクル長さにディザを付加することをさらに含む。いくつかのそのような実施形態では、該方法は、絶縁バリヤの第2の側に蓄積された電荷量に、または絶縁バリヤの第2の側の負荷に対する電圧に基づいて、制御信号を発生させることと、絶縁バリヤの第2の側から絶縁バリヤの第1の側に制御信号を伝送することと、制御信号に従って発振器を動作させることとをさらに含む。該方法のいくつかの実施形態では、制御信号を発生させることが、絶縁バリヤの第2の側に蓄積された電荷量に、または絶縁バリヤの第2の側の負荷に対する電圧に基づいて変動する信号を発生させることと、制御信号のデューティサイクルまたはサイクルタイムを、信号の関数として設定することと、を含む。
【0126】
一実施形態によれば、絶縁バリヤを越えて電力を伝送するためのシステムが提供される。システムは、アイソレータと、絶縁バリヤの第1および第2の側を分離する変圧器であって、絶縁バリヤの第1の側の一次巻線と、絶縁バリヤの第2の側の二次巻線とを有する変圧器と、変圧器の一次巻線に発振電力信号を提供するように構成された、絶縁バリヤの前記第1の側にある発振器と、発振電力信号を受信するように、絶縁バリヤの前記第2の側において、前記変圧器の二次巻線に結合され、伝送された発振電力信号からの電荷を電荷蓄積装置内に蓄積するように構成された受電器と、受電器に結合され、電圧に基づくレートで値を変化させる疑似乱数またはシーケンスを発生させるように構成された制御回路と、アイソレータを介して制御回路に結合され、疑似乱数を受信し、発振器を駆動させて、疑似乱数またはシーケンスに従って発振電力信号を確立する発振器ドライバと、を含む。
【0127】
いくつかのそのような実施形態では、コントローラは、判定された蓄積された電荷量に基づく発振周波数を有する発振信号を発生させるように構成された付加的な発振器を備える。コントローラは、さらなる発振信号の発振周波数に基づくレートで疑似乱数の値を変化させるように構成された疑似乱数発生器を備える。
【0128】
一実施形態によれば、絶縁バリヤを越えて電力を伝送するための方法が提供される。該方法は、絶縁バリヤの第1の側において発振電力信号を発生させることと、絶縁バリヤの第1の側から絶縁バリヤの第2の側に、発振電力信号を伝送することと、絶縁バリヤの第2の側において、伝送された発振電力信号からの電荷を蓄積することと、絶縁バリヤの第2の側において蓄積された電荷の量に基づくレートで値を変化させる疑似乱数を発生させることと、数値に従って発振電力信号を発生させるように、絶縁バリヤの第1の側から絶縁バリヤの第2の側に疑似乱数を伝送することと、を含む。
【0129】
全般
文脈上明らかに必要でない限り、明細書およびクレーム全体を通して、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」等の語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味、すなわち「含むがこれに限定されない(including, but not limited to)」の意味で解釈されるべきである。
【0130】
本明細書で一般的に使用される用語「結合された(coupled)」または「接続された(connected)」は、直接接続されるか、または1つ以上の中間要素によって接続されるかのいずれかであり得る2つ以上の要素を指す。加えて、「本明細書で(herein)」、「上方(above)」、「下方(below)」、および同様の用語は、本出願で使用される場合、本出願全体を指すものとし、本出願の特定部分を指すものとはしない。文脈が許す場合、詳細な説明において単数形または複数形を使用する語は、それぞれ複数形または単数形も含み得る。2つ以上のアイテムのリストに関する用語「または(or)」は、以下の解釈のすべてを網羅することが意図される。列記内の任意の項目、列記内のすべての項目、および列記内の項目の任意の組み合わせ。
【0131】
上記の実施形態のうちの1つ以上からの特徴のうちの1つ以上の特徴が、上述の実施形態のうちの1つ以上の他の特徴のうちの1つ以上の特徴と組み合わせられ、添付の特許請求の範囲内であるさらなる実施形態を形成してもよいことが理解されるべきである。
【0132】
クレームは、米国特許庁に提出するために好適な単一の従属形式で提示されている。しかしながら、各請求項は、明らかに技術的に実行不可能でない限り、同じ種類の先行する請求項のいずれかに従属する可能性があることが理解されるべきである。