【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ローディングモードで動作するガード・検
知静電容量式センサーの検知
対象インピーダンス決定のための方法を提供することによって、上記考察された欠陥及び不都合を克服するものである。センサーは、検知ノードに接続された導電性の検知電極、ガードノードに接続された導電性のガード電極、振幅Vgの周期ガード電圧をガードノードに供給するための周期ガード電圧源、及び、検知ノードとガードノードとに動作可能に接続された制御・評価回路を含む。
【0014】
本発明の文言において、そして明確なことわりが無い限り、電流又は電圧の「振幅」という用語は、前記電流又は電圧の複素振幅を指す。
【0015】
制御・評価回路は、検知ノードに電流を加えることにより、検知ノードとガードノードとの間の電位差を動作中ゼロに保持するように、そして、検知ノードに加えられた前記電流の振幅に対応する値を決定するように構成される。
【0016】
本方法は以下の各ステップを含む。
a.周期ガード電圧源を用いて、周期ガード電圧を供給すること。
b.予め定められた
値の基準インピーダンス
Zrefを通して、振幅Vref
iのn個の異なる基準周期電圧を、基準周期電圧源を用いて検知ノードに順次供給すること。ここで、iとnとは正の自然数であり、n ≧ 2に対して1 ≦ i≦ nである。
c.供給された振幅Vref
iの基準
周期電圧それぞれに対して、
制御・評価回路によって検知ノードに加えられた電流の、それぞれの振幅
Imiを決定すること。
d.制御・評価回路によって加えられる振幅ゼロの電流
となる、基準周期電圧源を用いて検知ノードに供給されるべき検知基準電圧
の振幅Vsを決定すること。
e.ステップdで決定された検知基準電圧
の振幅Vs、周期ガード電圧
の振幅Vg、及び基準インピーダンスZrefを参照して、検知電極の未知の検知
対象インピーダンスZxを計算すること。
【0017】
本発明による方法は、ガード・検知間インピーダンスの影響無しで検知電極の未知の
検知対象インピーダンスを決定する手段を提供する。実際、未知の検知
対象インピーダンスの計算は、制御・評価回路によって検知ノードに加えられる振幅ゼロの電流を仮想的に考慮することにより行われる。このことは、理論的近似によって、本発明が、寄生ガード・検知間インピーダンスを通してガードノードと検知ノードとの間に流れる電流が存在せず、その結果、ガードノードと検知ノードとの間のガード・検知間インピーダンスが決定から除去されるという、仮想的なケースにおける未知の
検知対象インピーダンス決定を目指すことを意味する。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップeは、ステップdで決定された検知基準電圧
の振幅Vsを参照して、以下の式を用いて検知電極の未知の検知
対象インピーダンスZxを計算するステップを含む。
【数1】
【0019】
この式は、
振幅Vs
の検知基準電圧が加えられる仮想的な動作点において、制御・評価回路によって検知ノードに加えられる電流が実質的にゼロに等しい振幅を有するという、回路における単純化を用いている。この式は、予め決定された値を結び付けるだけのものである。
【0020】
実施形態において、ステップdは、以下の式を用いて
前記検知基準電圧
の振幅Vsを補間によって計算するステップを含む。
【数2】
ここで、Vref
1及びVref
2は、基準周期電圧源から供給される2つの異なる基準
周期電圧
の振幅であり、Im
1及びIm
2はそれぞれ、供給された
振幅Vref
1及びVref
2の基準周期電圧に対して、検知測定回路によって検知ノードに加えられる電流の振幅である。
【0021】
従って、検知基準電圧
の振幅Vsは、最小で2点の測定で決定することが出来、それは、より大きな誤差範囲を有する典型的な従来技術の検知
対象インピーダンス測定より1点多いだけである。測定されるインピーダンスは時変であるから、測定結果のスピードは重要な特徴である。
【0022】
実施形態において、ステップdは、検知測定回路によって検知ノードに加えられる電流の振幅が実質的にゼロである検知基準電圧
の振幅Vsに到達するまで、制御ループによって基準
周期電圧
の振幅Vref
iを調整するステップを含む。
【0023】
検知基準電圧
の振幅Vsを決定するために用いられるそれぞれの測定に存在する誤差範囲を減らすために、本発明の本実施形態では、予め定められた誤差範囲に到達するまで基準
周期電圧
の振幅Vrefiを調整する制御ループを用いる。制御ループは、センサーの応答性を減速させるが、結果として得られる検知
対象インピーダンス測定の感度を改善する。本発明による制御ループは、最適な測定を提供するために、検知
対象インピーダンス測定の応答性を感度とバランスさせるように構成される。
【0024】
好ましくは、本発明のステップdは、以下のステップを含む。
・以下の式を用いて補間によって検知基準電圧
の振幅Vsのスタート値Vscを計算すること。
【数3】
ここで、Vref
1及びVref
2は、基準周期電圧源から供給される2つの異なる基準
周期電圧
の振幅であり、Im
1及びIm
2はそれぞれ、供給された
振幅Vref
1及びVref
2の基準周期電圧に対して、検知測定回路によって検知ノードに加えられる電流
の振幅である。
・及び、計算された検知基準電圧の
振幅Vsのスタート値Vscからスタートして、検知測定回路によって検知ノードに加えられる電流の振幅の測定値が実質的にゼロである、検知基準電圧
の振幅Vsに到達するまで、制御ループによって基準
周期電圧の
振幅Vrefiを調整すること。
【0025】
本発明の本実施形態において、検知基準電圧
の振幅Vsの決定は2つのステップで実行される。第1のステップは、2つの最初の測定に従って行われる補間である。補間は、結果的に理想値に近い値を生じるが、依然として誤差範囲を有する。第2のステップは、制御ループによって結果を微調整することによって、前記誤差範囲を低減することからなる。そのようにして、制御ループを用いるのみの実施形態と比較して、検知基準電圧
の振幅Vsの決定スピードは大いに改善し、補間を用いるのみの方法の実施形態と比較して、結果の精度は改善する。
【0026】
本発明の別の観点によれば、ローディングモードで動作するガード・検
知静電容量式センサーの検知
対象インピーダンス決定のためのインピーダンス測定回路が提供される。前記センサーは、検知ノードに接続された導電性の検知電極、ガードノードに接続された導電性のガード電極を含む。
【0027】
インピーダンス測定回路は、振幅Vgの周期ガード電圧をガードノードに供給するための周期ガード電圧源、及び、検知ノードとガードノードとに動作可能に接続された制御・評価回路を含む。制御・評価回路は、検知ノードに電流を加えることにより、検知ノードとガードノードとの間の電位差を動作中ゼロに保持するように、そして、検知ノードに加えられた前記電流の振
幅を決定するように構成される。
【0028】
インピーダンス測定回路は、予め定められた
値の基準インピーダンス
Zrefを通して、前記検知ノードに振幅Vref
iのn個の異なる基準周期電圧を供給するように構成された、基準周期電圧源を更に含む。ここで、iとnとは正の自然数であり、n ≧ 2に対して1 ≦ i ≦ nである。
【0029】
制御・評価回路は、供給された振幅Vref
iの基準
周期電圧のそれぞれに対して、検知ノードに加えられた電流のそれぞれの振幅I
mi、及び、基準周期電圧源によって検知ノードに供給されるべき検知基準電圧
の振幅Vs、を動作中に決定するように構成され、この
振幅Vsの検知基準電圧が、制御・評価回路によって加えられる振幅ゼロの電流
となる。制御・評価回路は、検知電極の未知の
検知対象インピーダンスを、検知基準電圧
の振幅Vs、周期ガード電圧
の振幅Vg、及び基準インピーダンスZrefを参照して、すなわち、基準周期電圧源によって加えられた
検知基準電圧の振幅Vsを考慮した仮想的な動作点において、動作中計算するようにも構成される。
【0030】
「構成される」という用語は、本願で用いられるように、特別にプログラムされる、設計される、備え付けられる、或いは配置される、ということであると特に理解されたい。
【0031】
本発明による回路は、基準周期電圧源、及び検知ノードに接続された基準インピーダンスの付加によって、典型的な従来技術の検知
対象インピーダンス測定回路とは異なる。基準
周期電圧源により供給される信号は、検知
対象インピーダンスと接地との間の回路で失われる電流を補償するのに必要な信号の決定を、動作中可能とする。
【0032】
本発明は、インピーダンス測定回路によって検知
対象インピーダンスを通して接地に失われる電流を補償する信号を、検知ノードに供給することによって、検知ノードがガードノードの電位と同じ電位を保持し、制御・評価回路によって検知ノードに供給される電流の振幅がゼロとなり、結果的にそれがガード・検知間インピーダンスを抑制することになる動作点において、回路が動作すると概ね考えられる、という洞察の上になされている。この動作点において、前述の検知ノードに供給される信号は、検知
対象インピーダンスに比例する。
【0033】
従って、検知
対象インピーダンスを通して検知電極から接地に流れる電流を補償するために必要とされる信号の決定は、寄生ガード・検知間インピーダンスを抑制しつつ、制御・評価回路が検知
対象インピーダンスを決定することを可能とする。
【0034】
注目すべきは、本発明による回路の実現は、特に高価な部品無しで一般に用いられる基本的な電気部品に依拠することである。従って、回路の全体的なコストは低く抑えられる。
【0035】
本発明の好ましい実施形態において、制御・評価回路は、検知基準電圧
の振幅Vs、周期ガード電圧
の振幅Vg、及び基準インピーダンスZrefを参照して、以下の式を用いて、検知電極と接地との間の未知の
検知対象インピーダンスを動作中計算するように構成される。
【数4】
【0036】
実施形態において、制御・評価回路は、以下の式に
より検知基準電圧
の振幅Vsを動作中に決定するように構成される。
【数5】
Vref
1及びVref
2は、基準周期電圧源から供給される2つの異なる基準
周期電圧
の振幅であり、Im
1及びIm
2はそれぞれ、供給された
振幅Vref
1及びVref
2の基準周期電圧に対して、検知測定回路によって検知ノードに加えられる電流の振幅である。
【0037】
実施形態において、制御・評価回路は、検知測定回路によって検知ノードに加えられる電流の振幅が実質的にゼロである検知基準電圧
の振幅Vsに到達するまで、制御ループによって基準
周期電圧
の振幅Vref
iを調整することにより、検知基準電圧
の振幅Vsを動作中に決定するように構成される。
【0038】
本発明の好ましい実施形態において、制御・評価回路は、検知基準電圧
の振幅Vsのスタート値Vscを決定するため
の以下の式による補間による計算結果を用いて、検知基準電圧の振幅
Vsを動作中に決定するように構成される。
【数6】
ここで、Vref
1及びVref
2は、基準周期電圧源から供給される2つの異なる基準
周期電圧
の振幅であり、Im
1及びIm
2はそれぞれ、供給された
振幅Vref
1及びVref
2の基準周期電圧に対して、検知測定回路によって検知ノードに加えられる電流
の振幅である。次に、計算された検知基準電圧の振幅
Vsのスタート値Vscからスタートして、制御・評価回路は、検知測定回路によって検知ノードに加えられる電流の振幅の測定値が実質的にゼロである、検知基準電圧
の振幅Vsに到達するまで、制御ループによって基準
周期電圧の
振幅Vrefiを動作中調整するように構成される。
【0039】
本発明によるインピーダンス測定回路の長所は、本発明による方法の全ステップを動作中に実行するように構成されることである。その結果、方法の利点が回路に当てはまる。更に、本回路は特に高価な部品を一切含まない。
【0040】
有利にも、制御・評価回路は、プロセッサユニット及びディジタルメモリユニットを更に含み、前記ディジタルメモリユニットはそこに記憶されるプログラムコードを含む。プログラムコードは、プロセッサで実行されると、本発明によるローディングモードで動作するガード・検
知静電容量式センサーの検知
対象インピーダンス決定のための方法をプロセッサに実行させる。
【0041】
計算機プログラムコードは、自動化されたプロセスで且つリアルタイムで、インピーダンス測定回路が本発明による方法のステップを実行するのを可能とする。
【0042】
本発明による回路及び/又は方法は、着座検知を実行するために自動車に装備され得る。結果として得られるセンサーは、例えば、着座センサー、腕位置センサー、チャイルドシート検知センサーなどであり得る。
【0043】
本発明のさらなる細部及び利点は、添付図面を参照した、限定的でない実施形態の以下の詳細な説明から明らかとなる。
図1は本発明によるインピーダンス測定回路の実施形態の配置図を示す。
図2は本発明による方法の実施形態のフローチャートである。
図3は
図2による未知の検知
対象インピーダンスの計算を実施するのに用いられる、
図1の検知ノード周りを解説する配置図である。
【0044】
本発明の文言において、「ガード・検
知静電容量式センサー」という用語は、「ローディングモードで動作するガード・検
知静電容量式センサーの検知
対象インピーダンス決定のためのインピーダンス測定回路」を示すために用いられる。
【0045】
図1に示すように、本発明によるガード・検
知静電容量式センサー10は、検知ノード14に接続された導電性の検知電極12、ガードノード18に接続された導電性のガード電極16を含む。2つの電極12、16は、両者間に直流電流が流れないように直流的に絶縁されている。
【0046】
センサー10は、ガードノード18に接続された周期ガード電圧源20、及び検知ノード14とガードノード18とに動作可能に接続された制御・評価回路22を含む。
【0047】
センサー10は、予め定められた値
の基準インピーダンス
Zrefを通して検知ノード14に接続された基準周期電圧源24を更に含む。
【0048】
周期ガード電圧は、予め定められた振幅Vg及び所与の周波数を有する。ガード電圧の周波数は、好ましくは周囲の寄生インピーダンスの検知
対象インピーダンスへの影響を最小化するように決定される。この決定は既知値のリストに基づく。
【0049】
制御・評価回路22は、検知ノード14にリアルタイムで電流を加えることにより、検知ノード14とガードノード18との間の電位差を、動作中ゼロに保持するように構成されるが、この電流は、検知電極12から未知の
値Zxの検知
対象インピーダン
スを通して接地に流れる電流を補償する。以下では、制御・評価回路22によって加えられた電流は、注入電流と呼んでもよい。
【0050】
制御・評価回路22は、注入電流の振幅に対応する値を、動作中且つリアルタイムで決定するように更に構成される。以下では、後者の値は測定電流
の振幅Imと呼んでもよい。
【0051】
実施形態において、制御・評価回路は、例えば、負入力が検知ノード14に接続され、正入力がガードノード18に接続されたトランスインピーダンス増幅器26の様な、電流・電圧変換器を含む。トランスインピーダンス増幅器26の出力電圧
の振幅は、検知ノード14とガードノード18とに同じ電位を保持するために、検知ノード14に加えられた電流
の振幅に比例する。
【0052】
好ましくは、制御・評価回路22は、トランスインピーダンス増幅器26の出力電圧
の振幅の変化量を決定し、その情報を、トランスインピーダンス増幅器26によって加えられた入力電流
の振幅Imに変換するように構成された、測定回路28を含む。
【0053】
身体が検知電極12に近づくと、前記検知電極12から前記身体を通して接地に電流が流れる。検知ノード14から接地に流れる電流は増加する。制御・評価回路22は、注入電流
の振幅Imを増加させることにより反応し、前記注入電流
の振幅Imを測定する。
【0054】
検知電極12に近い身体の存在は、センサー回路10において、検知電極12と接地との間の付加的な未知の検知
対象インピーダンスZxとしてモデル化することが出来る。加えて、
インピーダンスZxは前記身体の特性に関連付けることが出来る。従ってセンサーは、大人、子供、及び別の身体を区別することが可能である。与えられた身体に対して、未知の
検知対象インピーダンス
Zxは、検知電極12からの身体の距離に比例する。
【0055】
図2に示すように、方法50の最初のステップ52では、
周期ガード電圧源20は、ガードノード18に
振幅Vgの周期ガード電
圧を加える。周期ガード電圧は、好ましくは振幅Vgの正弦波信号である。
【0056】
次のステップ54では、基準電圧源24は、基準インピーダンスZrefを通して、検知ノード14に振幅Vref
iのn個の異なる基準周期電圧を順次供給する。ここで、iとnとは正の自然数であり、n ≧ 2に対して1 ≦ i≦ nである。
【0057】
有利にも、基準
周期電圧源24は、第1の予め定められた振幅Vref
1の基準
周期電圧を供給し、Vref
1の値は、誘電性の物体が検知電極12に隣接していない時に必要な電圧に対応する、予め定められた値であり得る。
【0058】
一部の実施形態では、測定回路28が、例えばプロセッサユニット30及びディジタルメモリユニット32の様な、データを記憶して自動ステップを実行するための構成要素を更に含む。ディジタルメモリユニット32は、方法50で用いられる予め定められた値を記憶するように構成される。
【0059】
好ましくは、異なる基準
周期電圧は全て同じ周波数を有し、前記周波数はガード電圧の周波数と同一である。
【0060】
方法50の別のステップ56において、測定システム28は、供給された振幅Vref
iの基準
周期電圧のそれぞれに対して、制御・評価回路22によって検知ノード14に加えられた電流のそれぞれの振幅
Imiを決定する。
【0061】
次にステップ58において、制御・評価回路22は、振幅Imsがゼロに等しい検知注入電流
となる、検知基準電圧の
振幅Vsを決定する。
【0062】
測定された注入電流
の振幅Imは、Im+が正の閾値でありIm-が負の閾値であるIm-≦Im≦Im+の様な、予め定められた閾値域の範囲内であれば、実質的にゼロに等しいと見なされる。閾値Im+及びIm-は、センサーの目標とする感度及び応答性に従って予め定められる。実際、広い閾域に対しては、
検知基準電圧
の振幅Vsの決定は高速であるが不正確になり、逆に、狭い閾域に対しては、Vsの決定は時間がかかり且つ正確になる。閾域は、好ましくはセンサーの構想中に設定される。
【0063】
好ましい実施形態において、本発明による方法50のステップ58は以下のステップを含む。
【0064】
第1のステップ60において、2つの異なるVref
iのセット及びそれらに対応する決定されたIm
iに基づいて、制御・評価回路22は、振幅Ims=0である検知注入電流
となる、検知基準電圧の振幅
Vsのスタート値Vscを、外挿によって計算する。
【0065】
外挿による計算は、
振幅Vrefiの基準
周期電圧の所与の周波数に対して、注入電流の振幅の変化量は基準
周期電圧源24によって供給される電圧の振幅の変化量に線形に比例する、という洞察に基づいている。これは、基準周期電圧源24によって検知ノードに供給される、Vref
a、Vref
bのそれぞれの振幅を有する2つの何れの異なる基準周期電圧に対しても、制御・評価回路22は、Vref
a、Vref
bのそれぞれに対して、2つの注入電流
の振幅Im
a、Im
bを測定し、次式の関係を得ることを意味する。
【数7】
ここでKは定数である。
【0066】
結果として、以下の式を導くことが出来る。
【数8】
ここで、Vref
1及びVref
2は、基準周期電圧源から供給される2つの異なる基準
周期電圧
の振幅であり、Im
1及びIm
2はそれぞれ、供給された
振幅Vref
1及びVref
2の基準周期電圧に対して、検知測定回路によって検知ノードに加えられる電流の振幅である。Ims=0に対して、後式は以下のように変形することが出来る。
【数9】
【0067】
有利にも、Vref
1及びVref
2は、基準電圧源24によって順次供給される2つの最初の基準
周期電圧
の振幅である。
【0068】
第2のステップ62において、制御・評価回路22は、結果を微調整するために制御ループ34を用いる。一部の実施形態では、制御ループ34がPID制御器36を含む。
スタート値Vscからスタートして、PID制御器36は、検知注入電流振幅Imsに到達するまで、基準周期電圧
の振幅Vrefiを動作中調整する。
【0069】
振幅Vscからスタートして、制御・評価回路22は、ステップ62で実施されるそれぞれの新たな測定に従って、実質的にゼロに等しいと見なされる検知注入電流振幅Imsに到達するまで、基準周期電圧の振幅
Vrefiを調整する。一旦検知注入電流振幅Imsの値に到達すると、制御・評価回路は検知基準電圧
の真の振幅
Vsを導出する。
【0070】
注目すべきは、本発明の実施形態において、検知基準電圧
の振幅Vsを決定するステップ58は、上述のように外挿による計算のみを用いて実現されるということである。制御・評価回路22は、計算された検知基準電圧
の振幅Vsのスタート値Vscを、以下の近似を用いて真の検知基準電圧
の振幅Vsと同じとする。
【数10】
【0071】
本発明の更に他の実施形態においては、全ての測定で同一である制御ループが基準電圧振幅のプリセット値からスタートする点を除き、検知基準電圧
の振幅Vsを決定するステップ58は、上述のとおり制御ループを含む制御・評価回路のみで実現される。
【0072】
本発明による方法の好ましい実施形態において、一旦検知基準電圧
の振幅Vsが決定されると、方法50は制御・評価回路22によって検知電極14と接地との間の未知の検知
対象インピーダンスZxを計算するステップ64を含む。未知の検知
対象インピーダンスZxの計算は、
図3に示すように、制御・評価回路22によって検知ノード14に注入される電流が実質的にゼロに等しく、検知ノード14の電位がガード
電極18の電位に等しいという状況で、検知ノード14に適用されるキルヒホッフの回路法則から導出される。用いられる式は例えば下記であってもよい。
【数11】
【0073】
本発明による回路の好ましい実施形態において、ディジタルメモリユニット32はそこに記憶される計算機プログラムコードを含む。
【0074】
プロセッサで実行されると、プログラムコードは、本発明によるローディングモードで動作するガード・検
知静電容量式センサーの検知
対象インピーダンス決定のための方法を、上述のようにプロセッサ30に実行させる。
【0075】
10 センサー回路
12 検知電極
14 検知ノード
16 ガード電極
18 ガードノード
20 周期ガード電圧源
22 制御・評価回路
24 基準周期電圧
源
26 トランスインピーダンス増幅器
28 測定回路
30 プロセッサユニット
32 メモリユニット
34 制御ループ
36 PID制御器
方法ステップ
52
振幅Vgの周期ガード電
圧を加えること
54
振幅Vrefiの複数の基準
周期電
圧を順次供給すること
56 それぞれのVref
iに対してそれぞれのIm
iの
振幅を決定すること
58 検知基準電圧
の振幅Vsを決定すること
60 外挿によってVs
のスタート値Vscを計算すること
62 制御ループを用いてVsを決定すること
64 未知の検知
対象インピーダンスZxを計算すること