特許第6773923号(P6773923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ウフルの特許一覧

特許6773923空間価値出力システム、空間価値出力方法、及びプログラム
<>
  • 特許6773923-空間価値出力システム、空間価値出力方法、及びプログラム 図000002
  • 特許6773923-空間価値出力システム、空間価値出力方法、及びプログラム 図000003
  • 特許6773923-空間価値出力システム、空間価値出力方法、及びプログラム 図000004
  • 特許6773923-空間価値出力システム、空間価値出力方法、及びプログラム 図000005
  • 特許6773923-空間価値出力システム、空間価値出力方法、及びプログラム 図000006
  • 特許6773923-空間価値出力システム、空間価値出力方法、及びプログラム 図000007
  • 特許6773923-空間価値出力システム、空間価値出力方法、及びプログラム 図000008
  • 特許6773923-空間価値出力システム、空間価値出力方法、及びプログラム 図000009
  • 特許6773923-空間価値出力システム、空間価値出力方法、及びプログラム 図000010
  • 特許6773923-空間価値出力システム、空間価値出力方法、及びプログラム 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773923
(24)【登録日】2020年10月5日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】空間価値出力システム、空間価値出力方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20201012BHJP
【FI】
   G06Q50/16
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-570204(P2019-570204)
(86)(22)【出願日】2018年2月7日
(86)【国際出願番号】JP2018004218
(87)【国際公開番号】WO2019155554
(87)【国際公開日】20190815
【審査請求日】2020年7月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506042645
【氏名又は名称】株式会社ウフル
(72)【発明者】
【氏名】大橋 聡史
(72)【発明者】
【氏名】谷口 将仁
【審査官】 山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−188023(JP,A)
【文献】 特開2011−233119(JP,A)
【文献】 特開2017−220181(JP,A)
【文献】 特開2013−140517(JP,A)
【文献】 日立情通エンジ,レーザーによる人流計測ソフトをライセンス販売,[online],2016年 2月 2日,[令和2年8月13日検索], インターネット<URL:http://www.optronics-media.com/news/20160202/39058/>
【文献】 川津 昌作,都市の回遊性と消費者行動に関する考察,名古屋学院大学論集 社会科学篇,2015年 1月31日,第51巻 第3号,pp.177-192
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外部空間を撮影する第1カメラにより撮影された第1画像、及び当該建物の内部空間を撮影する第2カメラにより撮影された第2画像を取得する取得手段と、
前記第1画像に含まれる人及び前記第2画像に含まれる人に関するパラメーターを計算する第1計算手段と、
前記パラメーターを用いて、異なる複数の観点の各々について前記内部空間の要素点を計算し、前記複数の観点について計算された要素点を用いて前記建物又は前記内部空間の価値を計算する第2計算手段と、
前記第2計算手段により計算された前記価値を出力する出力手段と、
前記複数の観点の少なくとも一部に対する重みを決定する決定手段と、を有し、
前記第2計算手段は、前記複数の要素点及び前記決定手段により決定された重みを用いて前記価値を計算する、空間価値出力システム。
【請求項2】
前記複数の観点のうち一部の観点を選択する選択手段を有し、
前記第2計算手段は、前記複数の観点のうち、前記選択手段により選択された観点について計算された要素点を用いて前記価値を計算する
請求項1に記載の空間価値出力システム。
【請求項3】
前記第2画像に含まれる人と同一人物を前記第1画像において同定する同定手段を有し、
前記第2計算手段は、前記同定手段により同定された人の前記第1画像により示される行動及び前記第2画像により示される行動を用いて前記価値を計算する
請求項1または請求項2に記載の空間価値出力システム。
【請求項4】
前記建物が複数の内部空間を含み、
前記第2計算手段は、前記複数の内部空間の各々について計算された価値を用いて、当該建物の価値を計算する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の空間価値出力システム。
【請求項5】
前記パラメーターが、前記第1画像に含まれる人の人数、属性、同伴者の属性、前記建物への注目度、移動速度、移動距離、会話の有無、及び携帯機器を操作しているか否かを示す情報のうち少なくとも1つを含む
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の空間価値出力システム。
【請求項6】
前記パラメーターが、前記第2画像に含まれる人の人数、属性、同伴者の属性、前記内部空間の物品への注目度、当該物品の購入の有無、当該内部空間の滞在時間、移動速度、移動距離、会話の有無、及び携帯機器を操作しているか否かを示す情報のうち少なくとも1つを含む
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の空間価値出力システム。
【請求項7】
建物の外部空間を撮影する第1カメラにより撮影された第1画像、及び当該建物の内部空間を撮影する第2カメラにより撮影された第2画像を取得するステップと、
前記第1画像に含まれる人及び前記第2画像に含まれる人に関するパラメーターを計算するステップと、
前記パラメーターを用いて、異なる複数の観点の各々について前記内部空間の要素点を計算し、前記複数の観点について計算された要素点を用いて前記建物又は前記内部空間の価値を計算するステップと、
前記計算された前記価値を出力するステップと、
前記複数の観点の少なくとも一部に対する重みを決定するステップと、を有し、
前記価値を計算するステップは、前記複数の要素点及び前記決定するステップにより決定された重みを用いて前記価値を計算することを含む、
空間価値出力方法。
【請求項8】
コンピュータに、
建物の外部空間を撮影する第1カメラにより撮影された第1画像、及び当該建物の内部空間を撮影する第2カメラにより撮影された第2画像を取得するステップと、
前記第1画像に含まれる人及び前記第2画像に含まれる人に関するパラメーターを計算するステップと、
前記パラメーターを用いて、異なる複数の観点の各々について前記内部空間の要素点を計算し、前記複数の観点について計算された要素点を用いて前記建物又は前記内部空間の価値を計算するステップと、
前記計算された前記価値を出力するステップと、
前記複数の観点の少なくとも一部に対する重みを決定するステップと、実行させ、
前記価値を計算するステップは、前記複数の要素点及び前記決定するステップにより決定された重みを用いて前記価値を計算することを含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はIoT(Internet of Things)に関し、特に、IoTデバイスを介して取得された画像を用いて建物又はその内部空間の価値を計算する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
不動産の価値を鑑定する技術が知られている。例えば特許文献1には、人工衛星から撮影された画像から建物の高さを特定し、特定された高さを用いてその建物に関する地域の地価を鑑定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−32531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実空間における経済価値は、その周辺にいる人々の経済活動により生じるところ、特許文献1の技術においては建物周辺の人々を考慮することができなかった。
【0005】
これに対し本発明は、建物周辺の人々を考慮してその建物又は内部空間の価値を計算する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物の外部空間を撮影する第1カメラにより撮影された第1画像、及び当該建物の内部空間を撮影する第2カメラにより撮影された第2画像を取得する取得手段と、第1画像に含まれる人及び第2画像に含まれる人に関するパラメーターを計算する第1計算手段と、パラメーターを用いて、異なる複数の観点の各々について内部空間の要素点を計算し、複数の観点について計算された要素点を用いて建物又は内部空間の価値を計算する第2計算手段と、第2計算手段により計算された価値を出力する出力手段と、複数の観点の少なくとも一部に対する重みを決定する決定手段と、を有し、第2計算手段は、複数の要素点及び決定手段により決定された重みを用いて価値を計算する、空間価値出力システムを提供する。
本発明は、建物の外部空間を撮影する第1カメラにより撮影された第1画像、及び当該建物の内部空間を撮影する第2カメラにより撮影された第2画像を取得するステップと、第1画像に含まれる人及び第2画像に含まれる人に関するパラメーターを計算するステップと、パラメーターを用いて、異なる複数の観点の各々について内部空間の要素点を計算し、複数の観点について計算された要素点を用いて建物又は内部空間の価値を計算するステップと、計算された価値を出力するステップと、複数の観点の少なくとも一部に対する重みを決定するステップと、を有し、価値を計算するステップは、複数の要素点及び決定するステップにより決定された重みを用いて価値を計算することを含む、空間価値出力方法を提供する。
本発明は、コンピュータに、建物の外部空間を撮影する第1カメラにより撮影された第1画像、及び当該建物の内部空間を撮影する第2カメラにより撮影された第2画像を取得するステップと、第1画像に含まれる人及び第2画像に含まれる人に関するパラメーターを計算するステップと、パラメーターを用いて、異なる複数の観点の各々について内部空間の要素点を計算し、複数の観点について計算された要素点を用いて建物又は内部空間の価値を計算するステップと、計算された価値を出力するステップと、複数の観点の少なくとも一部に対する重みを決定するステップと、実行させ、価値を計算するステップは、複数の要素点及び決定するステップにより決定された重みを用いて価値を計算することを含む、プログラムを提供する。
本発明は、建物の外部空間を撮影する第1カメラにより撮影された第1画像、及び当該建物の内部空間を撮影する第2カメラにより撮影された第2画像を取得する取得手段と、前記第1画像に含まれる人及び前記第2画像に含まれる人に関するパラメーターを計算する第1計算手段と、前記パラメーターを用いて、前記建物又は前記内部空間の価値を計算する第2計算手段と、前記第2計算手段により計算された前記価値を出力する出力手段とを有する空間価値出力システムを提供する。
【0007】
前記第2計算手段は、異なる複数の観点の各々について、前記パラメーターを用いて前記内部空間の要素点を計算し、前記複数の観点について計算された要素点を用いて前記価値を計算してもよい。
【0008】
この空間価値出力システムは、前記複数の観点の少なくとも一部に対する重みを決定する決定手段を有し、前記第2計算手段は、前記複数の要素点及び前記決定手段により決定された重みを用いて前記価値を計算してもよい。
【0009】
この空間価値出力システムは、前記複数の観点のうち一部の観点を選択する選択手段を有し、前記第2計算手段は、前記複数の観点のうち、前記選択手段により選択された観点について計算された要素点を用いて前記価値を計算してもよい。
【0010】
この空間価値出力システムは、前記第2画像に含まれる人と同一人物を前記第1画像において同定する同定手段を有し、前記第2計算手段は、前記同定手段により同定された人の前記第1画像により示される行動及び前記第2画像により示される行動を用いて前記価値を計算してもよい。
【0011】
前記建物が複数の内部空間を含み、前記第2計算手段は、前記複数の内部空間の各々について計算された価値を用いて、当該建物の価値を計算してもよい。
【0012】
前記パラメーターが、前記第1画像に含まれる人の人数、属性、同伴者の属性、前記建物への注目度、移動速度、移動距離、会話の有無、及び携帯機器を操作しているか否かを示す情報のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0013】
前記パラメーターが、前記第2画像に含まれる人の人数、属性、同伴者の属性、前記内部空間の物品への注目度、当該物品の購入の有無、当該内部空間の滞在時間、移動速度、移動距離、会話の有無、及び携帯機器を操作しているか否かを示す情報のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0014】
また、本発明は、建物の外部空間を撮影する第1カメラにより撮影された第1画像、及び当該建物の内部空間を撮影する第2カメラにより撮影された第2画像を取得するステップと、前記第1画像に含まれる人及び前記第2画像に含まれる人に関するパラメーターを計算するステップと、前記パラメーターを用いて、前記内部空間の価値を計算するステップと、前記計算された前記価値を出力するステップとを有する空間価値出力方法を提供する。
【0015】
さらに、本発明は、コンピュータに、建物の外部空間を撮影する第1カメラにより撮影された第1画像、及び当該建物の内部空間を撮影する第2カメラにより撮影された第2画像を取得するステップと、前記第1画像に含まれる人及び前記第2画像に含まれる人に関するパラメーターを計算するステップと、前記パラメーターを用いて、前記内部空間の価値を計算するステップと、前記計算された前記価値を出力するステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る価値評価システムの構成を例示する図。
図2】カメラ20の機能構成を例示する図。
図3】サーバ10の機能構成を例示する図。
図4】サーバ10のハードウェア構成を例示する図。
図5】価値評価の対象を例示する図。
図6】サーバ10の動作を例示するフローチャート。
図7】画像データ解析を例示するフローチャート。
図8】対象フレーム及び直前のフレームを例示する図。
図9】計算されたパラメーターを例示する図。
図10】価値データを例示する図。
【符号の説明】
【0017】
1…空間価値出力システム、10…サーバ、11…取得手段、12…記憶手段、13…解析手段、14…同定手段、15…第1計算手段、17…第2計算手段、18…出力手段、20…カメラ、21…撮像手段、22…記憶手段、23…通信手段、30…カメラ、50…通信ネットワーク、101…CPU、102…メモリ、103…ストレージ、104…通信IF。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.構成
図1は、一実施形態に係る空間価値出力システム1の構成を例示する図である。空間価値出力システム1は、実空間の価値を評価し、評価結果を出力するシステムである。空間価値出力システム1は、サーバ10、カメラ20、カメラ30を有する。カメラ20(第1カメラの一例)は建物Oの外部空間を撮影する。カメラ30(第2カメラの一例)は建物Oの内部空間Rを撮影する。サーバ10(情報処理装置の一例)は、カメラ20により撮影された画像及びカメラ30により撮影された画像を用いて、建物Oの内部空間R(又は建物O自体)の価値を評価(鑑定、判定、又は判断)する。
【0019】
この例において、カメラ20及びカメラ30は、通信ネットワーク50を介して他の装置と通信可能な装置、いわゆるIoTデバイスである。通信ネットワーク50は、例えばインターネットである。
【0020】
図2は、カメラ20の機能構成を例示する図である。カメラ20は、撮像手段21、記憶手段22、及び通信手段23を有する。撮像手段21は、画像をデータ化する機能要素であって、例えばレンズ、撮像素子、及び画像処理回路を有する。ここで、「画像」とは静止画及び動画を包括する概念である。以下、撮像手段21により得られたデータを画像データという。記憶手段22は、画像データ及び他のデータを記憶する機能要素であって、例えば、SSD(Solid State Drive)を有する。通信手段23は、撮像手段21により得られた画像データをインターネット等の通信ネットワークに送信する機能要素であって、例えば、無線通信モジュールを有する。通信手段23において、データの送信先としてサーバ10が設定されている。カメラ30も、カメラ20と同様の機能を有する。
【0021】
図3は、サーバ10の機能構成を例示する図である。サーバ10は、取得手段11、記憶手段12、解析手段13、同定手段14、第1計算手段15、第2計算手段17、及び出力手段18を有する。取得手段11はカメラ20及びカメラ30から画像データを取得する。記憶手段12は、各種のデータを記憶する。記憶手段12が記憶するデータには、取得手段11が取得した画像データが含まれる。以下、カメラ20から取得された画像データを画像データDoutといい、カメラ30から取得された画像データを画像データDinという。画像データDout及び画像データDinにより示される画像を、それぞれ画像Iout(第1画像の一例)及び画像Iin(第2画像の一例)という。
【0022】
解析手段13は、画像データDout及び画像データDinを解析する。具体的には、解析手段13は、画像Iout及び画像Iinの中から人物の像を特定する。同定手段14は、解析手段13による解析の結果を用いて、画像Iout及び画像Iinの中から同一人物を同定する。例えば、同定手段14は、画像Iinに含まれる人と同一人物を画像Ioutにおいて同定する。解析手段13は、同定手段14による同定の結果を用いて、その人物の行動を解析する。解析手段13及び同定手段14は、例えば、いわゆるAI(Artificial Intelligence)により実装されてもよい。
【0023】
第1計算手段15は、画像Iout及びその解析結果を用いて、画像Ioutに含まれる人に関するパラメーターPout(パラメーターの一例)を計算する。パラメーターPoutは、画像Ioutに含まれる人の人数、属性(年齢、性別、服装(ビジネス又はカジュアル)等)、同伴者の属性(家族、同性友人、異性友人、夫婦等)、建物Oへの注目度(建物Oに視線を向けているか)、移動速度、移動距離、会話の有無、及び携帯機器(スマートフォン等)を操作しているか否かを示す情報のうち少なくとも1つを含む。
【0024】
第1計算手段15は、画像Iin及びその解析結果を用いて、画像Iinに含まれる人に関するパラメーターPin(パラメーターの一例)を計算する。パラメーターPinは、画像Iinに含まれる人の人数、属性(年齢、性別、服装(ビジネス又はカジュアル)等)、同伴者の属性(家族、同性友人、異性友人、夫婦等)、内部空間Rに存在する物品(商品等)への注目度(商品に視線を向けているか)、物品の購入の有無、内部空間Rにおける滞在時間、移動速度、移動距離、会話の有無、及び携帯機器(スマートフォン等)を操作しているか否かを示す情報のうち少なくとも1つを含む。
【0025】
第2計算手段17は、パラメーターPout及びパラメーターPinの少なくとも一方を用いて、内部空間Rの価値Vを計算する。この例において、第2計算手段17は、パラメーターPout及びパラメーターPinに加え、解析手段13により解析された、人物の行動を用いて価値Vを計算する。価値Vは、対象となる内部空間R(又は建物O)を特定する情報と共に、記憶手段12に記憶される。
【0026】
出力手段18は、価値Vを示すデータDvを出力する。データDvは、例えば地図上にマッピングされる。データDvを受信した端末装置(図示略)は、データvを視覚的に表示する。
【0027】
図4は、サーバ10のハードウェア構成を例示する図である。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、ストレージ103、通信IF104を有するコンピュータ装置である。CPU101は、プログラムに従って処理を実行し、サーバ10の他のハードウェア要素を制御する制御装置である。メモリ102は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置であり、例えばRAM(Random Access Memory)を含む。ストレージ103は、各種のプログラム及びデータを記憶する不揮発性の補助記憶装置であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)の少なくとも一方を含む。通信IF104は、所定の通信規格(例えばTCP/IP)に従った通信を行うためのインターフェースであり、例えばNIC(Network Interface Card)を含む。
【0028】
ストレージ103は、コンピュータ装置を空間価値出力システム1におけるサーバとして機能させるためのプログラム(以下「評価プログラム」という)を記憶している。CPU101が評価プログラムを実行している状態において、通信IF104は取得手段11及び出力手段18の一例である。メモリ102及びストレージ103の少なくとも一方は、記憶手段12の一例である。CPU101は、解析手段13、同定手段14、第1計算手段15、第1計算手段15、及び第2計算手段17の一例である。
【0029】
2.動作
図5は、価値評価の対象を例示する図である。以下、この例を用いて空間価値出力システム1の動作を説明する。建物Oは、各階に2つずつ部屋R(内部空間の一例)を有する。各部屋Rにそれぞれカメラ30が設置されている。建物Oにおいて第i階のj番目の部屋を部屋R[i,j]と表し、部屋R[i,j]に設置されたカメラをカメラ30[i,j]と表す。各部屋を区別しないときは、それぞれ単に部屋R及びカメラ30という。建物Oは、道路Sに面している。カメラ20は、道路Sを撮影するように設置されている。カメラ20及びカメラ30は、それぞれ、動画を撮影する。すなわち、画像データDout及び画像データDinは、いずれも動画データである。
【0030】
建物Oは商業ビルであり、各部屋Rにはそれぞれ別個の店舗等が入居している。例えば、部屋R[1,1]には喫茶店が、部屋R[1,2]には若者向けの洋服店が、部屋R[2,1]には眼鏡店が、部屋R[2,2]には内科医院が入居している。この状況で、多くの人が道路Sを行き交っている。道路Sを行き交う人々のうち一部は建物O内の部屋Rに入り、それぞれ、喫茶店でお茶を飲んだり、洋服店で服を買ったり、眼鏡店で眼鏡を買ったり、内科医院で診察を受けたりといった、経済活動を行う。
【0031】
図6は、サーバ10の動作(空間価値出力方法の一例)を例示するフローチャートである。図6のフローは、例えば、サーバ10において評価プログラムが起動されたことを契機として開始される。なお以下において、取得手段11等の機能要素を処理の主体として説明するが、これは、評価プログラム等のソフトウェアをCPU101が実行することにより、CPU101が演算又は他のハードウェアの制御を行うことによりその処理を行うことを意味する。
【0032】
ステップS101において、取得手段11は、カメラ20から画像データDoutを取得する。記憶手段12は、取得手段11が取得した画像データDoutを記憶する。画像データDoutは、画像を示すデータ本体の他に、画像データDoutの属性を示す属性情報を含む。属性情報は、例えば、カメラ20の識別子、画像のファイル形式、解像度、フレームレート、及びタイムスタンプのうち少なくとも1つを示す情報を含む。
【0033】
ステップS102において、取得手段11は、カメラ30から画像データDinを取得する。記憶手段12は、取得手段11が取得した画像データDinを記憶する。画像データDinは、画像を示すデータ本体の他に、画像データDinの属性を示す属性情報を含む。属性情報については画像データDoutと同様である。
【0034】
ステップS103において、解析手段13は、画像データの解析を開始するための条件が満たされたか判断する。解析を開始するための条件は、例えば、前回の解析を行ってから所定の時間が経過した、未解析の画像データのデータ量がしきい値を超えた、又はユーザ等から解析の指示が入力された、というものである。解析を開始するための条件が満たされたと判断された場合(S103:YES)、解析手段13は、処理をステップS104に移行する。解析を開始するための条件がまだ満たされていないと判断された場合(S103:NO)、解析手段13は、条件が満たされるまで待機する。
【0035】
ステップS104において、解析手段13は、画像データDout及び画像データDinを解析する。以下、画像データ解析の例を説明する。なお、特にここで説明する処理はあくまで一例であって、解析手段13が行う解析はこれに限定されるものではない。
【0036】
図7は、画像データ解析を例示するフローチャートである。ステップS201において、解析手段13は、記憶手段12に記憶されている画像データDoutのうち、解析の対象となるデータを特定する。画像データDoutには、例えば、解析済又は未済を示すフラグが付加されており、解析手段13はこのフラグを参照して未解析の画像データを対象として特定する。以下、解析の対象となる画像データを対象画像データという。
【0037】
ステップS202において、解析手段13は、対象画像データのうち対象となるフレームを対象として特定する。以下、解析の対象となるフレームを対象フレームという。対象フレームは、例えば、画像データの時系列に従って順番に特定される。
【0038】
ステップS203において、解析手段13は、対象フレームに含まれる人の像を特定する。画像中の人の特定には周知の技術が用いられる。ステップS204において、解析手段13は、特定された人に仮の識別子を付与する。仮の識別子は、フレーム内において用いられる識別子である。ステップS204において、同定手段14は、対象フレームと時間軸上において所定の位置関係にあるフレーム、例えば直前のフレームを、対象フレームと対比して同一人物を特定する。同一人物の特定には周知の技術が用いられる。
【0039】
図8は、対象フレーム及び直前のフレームを例示する図である。この例において、対象フレームには5人の像が、直前のフレームには4人の像が、それぞれ含まれている。以下、第mフレームにおけるn人目の人を、人[m,n]という。この例においては、人[m,2]、人[m,3]、人[m,4]、及び人[m,5]が直前のフレームから継続して映っている人であり、人[m,1]が新たにフレームに入った人である。
【0040】
再び図7を参照する。ステップS204において、同定手段14は、新たにフレームに入った人について、画像データDinのうち、対象フレームと時間軸上において所定の位置関係にある1つ以上のフレーム(例えば3分前〜1分前までのフレーム)と対比を行い、同一人物を特定する。
【0041】
ステップS205において、解析手段13は、画像データDout及びDinのいずれにおいても以前のフレームからは映っていなかった人に対し、識別子を付与する。この識別子はステップS203における仮の識別子とは異なり、画像データDout及び画像データDinを通じて(複数フレームに渡って)共通に用いられる識別子である。なお、以前のフレームから映っていた人に対しては、既に付与された識別子が用いられる。
【0042】
ステップS206において、解析手段13は、新たに識別子が付与された人(以下「対象人」という)の属性を特定する。属性の特定は、例えば対象フレームの画像を用いて行われる。対象フレームから特定される属性は、例えば、対象人の年齢(又は年代)、性別、及び服装である。さらに、解析手段13は、対象フレームに含まれる人の像から、画像Ioutに含まれる人の人数(図8の例では5人)、同伴者の属性(人[m,3]及び人[m,4]が夫婦である等)を計算する。
【0043】
解析手段13は、対象画像データのすべてのフレームが対象フレームとして処理されたか判断する。まだ対象フレームとして処理されていないフレームがあったと判断された場合、解析手段13は、処理をステップS202に移行する。解析手段13は、対象フレームを更新し、ステップS203〜S206の処理を繰り返し実行する。すべてのフレームが対象フレームとして処理されたと判断された場合、解析手段13は、処理をステップS207に移行する。
【0044】
ステップS207において、第1計算手段15は、対象画像データ全体から、対象画像データに映っている人の行動を示すパラメーターを、人毎に計算する。ここで計算されるパラメーターは、例えば、部屋Rに置かれている物品(例えば商品)への注目度、その物品の購入の有無、部屋Rにおける滞在時間、部屋R内の平均移動速度、部屋R内の移動距離、同伴者との会話の有無、携帯機器の操作の有無を示す情報のうち少なくとも1つを含む。これらのパラメーターは、空間毎に、すなわち、建物Oの外部及び各部屋Rについてそれぞれ別個に計算される。
【0045】
図9は、計算されたパラメーターを例示する図である。この例によれば、識別子「0001」が与えられた人は、以下の属性を有している。
・年齢:40代
・性別:男性
・服装:ビジネス
さらに、これらのパラメーターによれば、この人は、
・午後5:30に建物Oの周辺に現れ、
・洋服店に1時間滞在し、
・洋服店で買い物をし、
・喫茶店、眼鏡店、及び内科医院には立ち寄らず、
・午後6:35に建物Oの周辺から去った。
という行動を取ったことが示される。
【0046】
さらに、これらのパラメーターによれば、建物Oについて、例えば、
・道路Sの平均通行人数:1500人/日
・平均滞在時間: 25分/人
・男女比: 6:4
・平均年齢層: 男性40代、女性30代
・平均同伴人数: 0.5人
等の統計値が得られる。
【0047】
さらに、これらのパラメーターによれば、各部屋Rについて、例えば、
・平均客数: 50人/日
・平均滞在時間: 45分/人
・男女比: 8:2
・平均年齢層: 男性30代、女性30代
・平均同伴人数: 0.2人
・商品を購入した客数: 20人/日
等の統計値が得られる。
【0048】
再び図6を参照する。ステップS105において、第2計算手段17は、部屋Rの価値Vを計算する。価値Vは、ステップS207において計算されたパラメーターを用いて計算される。具体的には、第2計算手段17は、あらかじめ設定された複数の観点の各々について要素点を計算する。複数の観点とは、建物O又は部屋Rの価値に関する観点であり、例えば、平均通行人数、平均滞在時間、男女比、平均年齢層、商品を購入した客数等の観点について、これらのパラメーターを指標化(規格化)した数値である。第2計算手段17は、こうして得られた複数の要素点に対し、あらかじめ設定された重み係数を乗算して足し合わせることによって、その部屋Rの総合的な価値Vを計算する。第2計算手段17は、計算した価値Vを、部屋R及び建物Oの識別子と共に価値データとして記憶手段12に記憶する。
【0049】
なお、第2計算手段17は、部屋Rの価値Vを用いて建物Oの価値Vを計算してもよい。例えば、ある建物が4つの部屋を有している場合、第2計算手段17は、これら4つの部屋Rの価値Vを用いて、建物Oの価値Vを計算する。一例において、第2計算手段17は、これら4つの部屋Rの価値Vを積算することにより、建物Oの価値Vを計算する。
【0050】
ステップS101〜S105の処理は、建物O毎に行われる。すなわち、各建物Oについて、又は各建物Oの中の各部屋Rについて、人の行動に基づく価値Vが計算される。第2計算手段17は、価値Vを地図上にマッピングしたデータを価値データとして生成してもよい。
【0051】
ステップS106において、出力手段18は、価値Vを示すデータを出力する。例えば、サーバ10は、端末装置(図示略)から価値データの送信要求を受け付ける。出力手段18は、要求された価値データを、要求元の端末装置に送信する。
【0052】
図10は、価値データを例示する図である。ここでは、地図上の全ての建物にカメラ20が設置されており、さらにこれらの建物の全ての部屋にカメラ30が設置されている例を想定する。ここでは価値Vを地図上において等高線の形式で表している。本実施形態によれば、建物の周辺又は内部空間にいる人に基づいて、その建物又は内部空間の価値を計算することができる。
【0053】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0054】
3−1.変形例1
複数の要素に対して乗算される重み係数が可変であってもよい。この場合、サーバ10は、複数の観点の少なくとも一部に対する重み係数を決定する決定手段を有する。この決定手段は、例えば、端末装置又はそのユーザからの指示に応じて重み係数を決定する。この指示は、対象となる重み係数及びその値を直接指定するものであってもよいし、対象となる重み係数を選択するための条件、又は値を変更する数式を指定するものであってもよい。この例によれば、価値データを利用するユーザの希望等により重み係数を変更することができる。
【0055】
3−2.変形例2
第2計算手段17は、あらかじめ設定された複数の観点の中から選択された一部の観点のみについての要素点を用いて、部屋Rの価値Vを計算してもよい。この場合、サーバ10は、複数の観点の中から一部を選択する選択手段を有する。この選択手段は、例えば、端末装置又はそのユーザからの指示に応じて、一部の観点を選択する。この指示は、一部の観点を直接指定するものであってもよいし、一部の観点を選択するための条件を指定するものであってもよい。この例によれば、価値データを利用するユーザの希望等により、考慮する観点を選択することができる。
【0056】
3−3.変形例3
出力手段18は、価値データに代えて、又は加えて、複数の要素点を示すデータ(以下「要素点データ」という)を出力してもよい。この場合、要素点データを受信した端末装置が、複数の観点の中から一部の観点を選択肢、選択された一部の観点のみについての要素点を用いて、部屋R又は建物Oの価値Vを計算してもよい。一部の観点は、端末装置のユーザにより選択されてもよいし、端末装置において実行されるクライアントプログラムにより自動的に選択されてもよい。
【0057】
3−4.他の変形例
各パラメーターを用いて第2計算手段17が価値Vを計算する具体的な手法は、実施形態で説明したものに限定されない。例えば、第2計算手段17は、パラメーターPout及びパラメーターPinのいずれか一方のみを用いて価値Vを計算してもよい。
【0058】
実施形態においてサーバ10が有するものとして説明された機能は、物理的に複数の装置に分散して実装されてもよい。すなわち、ネットワーク上に配置された複数の装置が協働して実施形態におけるサーバ10として機能してもよい。あるいは、実施形態においてサーバ10が有するものとして説明された機能の一部を、クライアントに実装してもよい。また、実施形態においてサーバ10が有するものとして説明された機能の一部は省略されてもよい。
【0059】
サーバ10のハードウェア構成は実施形態で例示したものに限定されない。要求される機能を有するものであれば、サーバ10及びカメラ20、30はどのようなハードウェア構成を有していてもよい。
【0060】
CPU101等により実行されるプログラムは、光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの記憶媒体により提供されてもよいし、インターネット等の通信回線を介してダウンロードされてもよい。また、これらのプログラムは、実施形態で説明したすべてのステップを実行させるものでなくてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10