(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対の磁石部材((33a,33b,33d,33e),(35a,35b,35d,35e))は、一方の磁石部材(35a,35b,35d,35e)が前記シリンダ(31a,31b,31d,31e)の端部に固定され、他方の磁石部材(33a,33b,33d,33e)が前記ピストン(32a,32b,32d,32e)に固定された状態で前記シリンダ(31a,31b,31d,31e)の内部に可動自在に収容されていることを特徴とする、請求項1から3の何れか1項に記載の補助心臓装置。
前記一対の磁石部材((33c,33f),(35c,35f))は、一方の磁石部材(35c,35f)が前記一対の磁石部材((33c,33f),(35c,35f))間に生じる斥力及び引力によって回動運動を行うように構成され、
前記一方の磁石部材(35c,35f)と前記ピストン(32c,32f)との間には、前記一方の磁石部材(35c,35f)の回動運動を前記ピストン(32c,32f)の往復運動に変換するリンク機構(37c,37f)が設けられていることを特徴とする、請求項1から4の何れか1項に記載の補助心臓装置。
前記一対の磁石部材(33a〜33f,35a〜35f)の間に生じる磁気の磁極状態の変更による前記一対の磁石部材(33a〜33f,35a〜35f)間に生じる駆動源となる力が、少なくとも一方の前記電磁石(35a〜35f)への電流の導入を一定間隔での電流の導入向きに反転操作により生じる前記一対の磁石部材(33a〜33f,35a〜35f)間の引力及び斥力であり、これにより、ピストン(32c,32f)の往復運動を連続的に行う、請求項1から5の何れか1項に記載の補助心臓装置。
前記一対の磁石部材(33a〜33f,35a〜35f)の間には弾性部材(36a〜36f)が設けられていることを特徴とする、請求項1から6の何れか1項に記載の補助心臓装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の補助心臓装置のポンピングシステムの場合、電動モータを駆動源としている。一方、心臓の血流の補助、特に心室の外部からバルーン等の膨張可能容器の膨張収縮によって、心室の拡張収縮を補助するには、非常に繊細な時間的、周期的な制御を要求される。電気的に駆動するモータを用いたポンピングシステムにおいて、電流のON−OFFによるモータの駆動に際しては、若干の即時性に問題を残し、時間的なずれ(タイムラグ)が生じる恐れがある。更にモータ自体の定常駆動に関しても時間的なずれが生じ、駆動時は摩擦等の抵抗によりその駆動力が減少される恐れや、駆動におけるタイムラグを引き起こす要因ともなりうる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、体内設置型ポンピングシステムを備えた補助心臓装置において、ポンピングシステムとバルーンとの間でタイムラグを生じさせることなく、ポンピングシステムの即時性をもたらし、バルーンを高レスポンス且つ確実に膨張、収縮させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明におけるタイムラグを生じさせないポンピングシステムを達成する手段として、磁気の吸引力と反発力に着目し、一対(2つの磁石で構成される)磁石の吸引力と反発力を利用することに着目した。具体的には、基本の構成として、2つの磁石で構成される、一対の磁石において少なくとも一方の磁石は電磁コイル(電磁石)とし、電流のオン−オフまたは電流の向きの逆転等により、当該電磁石の磁極の消滅や、磁極の変化(S極からN極またはN極からS極への転換)といった磁石間の相互作用により、相対する磁石(電磁石であっても、永久磁石であっても差し支えない)との間で相互作用から生じる反発力(斥力)や吸引力(引力)を動力源としたポンピングシステムである。電磁コイル(電磁石)は、電流のON、OFFや電磁石を流れる電流方向の逆転(反転)により瞬時に、磁極の消滅や、磁極の転換が生じることから、本発明のポンピングシステムでの、瞬時に作動する力の変換を達成することが可能となる。ここにおいて、電磁コイル(電磁石)に流れる電流のON、OFFや電流の向きの逆転は心臓からの信号(心電、心拍等)をセンサにより感知し、感知された信号に基づき行われる。
【0008】
本発明においては、一対の磁石により生じる斥力と引力を動力源として、該力を、本発明装置に設けられる、シリンダ内に設置されるピストンに必要に応じてコイルバネ(弾性部材)(以下、単にバネとも記す。)の復元力との併用により伝達され、該ピストンにより、本発明の装置における流体のシリンダ内への吸入、排出を行う。排出された流体は心臓の外壁を覆い、接するように設置されたバルーン(心臓用容器)内のバルーン室に導入される。また、逆にピストンの運動によりシリンダ内への流体の吸入を行うことによって、バルーン室の流体が排出される。
【0009】
ここにおいて、本発明装置をより詳しく説明するために、具体的な装置を以下に例示するが、本発明はこれらの例示された装置のみに限定されるものではなく、上記したように、磁力による反発−吸引力をピストン運動に変換させて流体移動をさせ、これにより、心臓のバルーン等の流体の導入と排出により心室部周囲を中心とした、心臓外壁への圧迫・弛緩を行う装置であれば、後記するバルーンタイプの容器形状、圧迫位置や部位、シリンダやピストン形状等を含めて、いずれの装置であっても本発明の装置となり得る。
【0010】
本発明の補助心臓装置の具体的例示の一つとしては、図に示すように心臓(特に心室部)の外壁に接する、総てまたは少なくとも一部が可撓性材質からなるバルーンタイプの心臓用容器(20a〜20f)と、体内に配置され且つ前記心臓用容器(20a〜20f)を該容器への流体の導入と排出により、膨張及び、弛緩(容器の通常の形状に戻る)させるピストンポンプ(30a〜30c)とを備え、前記ピストンポンプ(30a〜30f)は、前記心臓用容器(20a〜20f)に接続されたシリンダ(31a〜31f)と、前記シリンダ(31a〜31f)に収容されたピストン(32a〜32f)と、少なくとも電磁誘導コイルからなる一方に電磁石(35a〜35f)を含む一対の磁石部材(33a〜33f,35a〜35f)とを有し、前記ピストン(32a〜32f)が前記一対の磁石部材(33a〜33f,35a〜35f)の一方のみに固定もしくは連結されるとともに、前記電磁石(35a〜35f)のコイルに流れる電流をON−OFFさせることや該電流の流れ方向を一定の間隔で逆転(反転)を繰り返す操作といった電流制御を行うことで前記一対の磁石部材(33a〜33f, 35a〜35f)間に生じる磁気の相互作用(磁石間の引力と斥力)を制御させて、更には必要に応じて、コイルバネ(36a〜36f)の復元力を併用させて、前記ピストン(32a〜32f)を前記シリンダ(31a〜31f)内で往復運動させることにより、心臓用容器(20a〜20f)における心臓との接触面において、心臓外壁を圧迫(押圧)及び弛緩(圧迫の開放)させる。
【0011】
また、本発明の補助心臓装置において、心臓に隣接する大動脈(特に下行大動脈)の外周壁面に接する可撓性のバルーンタイプの大動脈用容器(25e,25f)(以下、大動脈用バルーンとも記す。)を備え、前記ピストンポンプ(30e,30f)は、前記シリンダ(31e,31f)の一端に前記心臓用容器(20e,20f)が接続され、前記シリンダ(31e,31f)の他端に前記大動脈用容器(25e,25f)が接続され、前記一対の磁石部材(33a〜33f,35a〜35f)間に生じる磁気の磁極状態を変更させて、前記ピストン(32e,32f)を前記シリンダ(31e,31f)内で往復運動させることにより、心臓用容器(20e,20f)における心臓との接触面を拡縮させるとともに大動脈用容器(25e,25f)における大動脈との接触面を拡縮させるのが好ましい。
【0012】
また、本発明の補助心臓装置において、大動脈の外周壁面に接する可撓性のバルーンタイプの大動脈用容器(25e,25f)を備え、前記シリンダ(31e,31f)は、2つのシリンダ室(45e〜45f,46e〜46f)を有し、前記ピストン(32e,32f)は、各シリンダ室(45e〜45f,46e〜46f)ごとに収容され、前記ピストンポンプ(30e,30f)は、前記心臓用容器(20e,20f)(以下、心臓用バルーンとも記す。)が一方のシリンダ室(45e〜45f)に接続され、前記大動脈用容器(25e,25f)が他方のシリンダ室(46e〜46f)に接続され、前記一対の磁石部材(33a〜33f,35a〜35f)間に生じる磁気の磁極状態を上記したように制御させて、前記ピストン(32e,32f)を前記シリンダ(31e,31f)内で往復運動させることにより、心臓用容器(20e,20f)における心臓との接触面を圧迫、弛緩させるのが好ましい。この場合でも、前記装置と同様にピストンの駆動力は、磁石間の相互作用によって、または、必要により、磁石間の相互作用とコイルバネの復元力とによって得られる。このように動脈と心臓とを並行的に圧迫・弛緩させる場合には、少なくとも一つの電磁石と、各ピストンにそれぞれ固定若しくは連結された、電磁石若しくは永久磁石から、磁気による動力機構は構成される。
【0013】
また、本発明の補助心臓装置においては、上記と異なり、心臓用バルーンを備えず、大動脈用バルーンのみを備えるものも含まれる。すなわち、例えば、大動脈の外壁に接する拡縮自在の大動脈用容器(25g,25h)と、体内に配置され且つ前記大動脈用容器(25g,25h)への流体の導入と吸引により、前記大動脈用容器(25g,25h)の容積変化をもたらす、ピストンポンプ(30g,30h)とを備え、前記ピストンポンプ(30g,30h)が、前記大動脈用容器(25g,25h)に接続されたシリンダ(31g,31h)と、前記シリンダ(31g,31h)に収容されたピストン(32g,32h)と、少なくとも一方に1以上の電磁石(35g,35h)を含む一対の磁石部材(33g,33h,35g,35h)とを有し、前記ピストン(32g,32h)が前記一対の磁石部材(33g,33h,35g,35h)の一方のみに連結または固定されるとともに、前記電磁石(35g,35h)の電流制御を行うことで前記一対の磁石部材(33g,33h,35g,35h)間に生じる磁気の磁極状態を変更させて、前記一対の磁石部材(33g,33h,35g,35h)間に生じる、斥力及び/または引力を駆動源として、前記ピストン(32g,32h)を前記シリンダ(31g,31h)内で往復運動させることにより、前記大動脈用容器(25g,25h)における大動脈との接触面を拡縮させるというものである。この場合においても、前記装置と同様にピストンの駆動力は、後述するように、磁石間の相互作用によって、または、必要に応じて、かかる磁石間の相互作用に加えて、コイルバネの復元力によっても得ることができる。
【0014】
本発明でいう、可撓性材質を有するバルーンタイプの容器(以下、バルーンとも記す。)とは、当該容器に液体や気体などの流体を導入(通常は圧入である。本発明ではピストンによる圧入である。)や、容器から吸引した、テンションがかかった際に、変形し、テンションから開放された際に、元の形状に戻ることが出来る材質を用いた容器である。このような容器に用いる、可撓性材質としては、シリコーンゴム、天然ゴム、スチレンーブタジエンラバー(SBR)やウレタン系エラストマーなどが例示される。また、容器の全体が総て、可撓性材質で構成される必要は無く、該材質が部分的に用いられたバルーンであっても良い。部分的に可撓性材質からなるバルーンとしては、例えば、心臓壁と接触する部分を、可撓性材質として、他の部分は硬質の非可撓性材質からなる容器や、心臓との接触面において、部分的(例えばスリット状やスポット状)に可撓性材質が配置された容器などが挙げられる。
【0015】
また、本発明の補助心臓装置において、前記一対の磁石部材((33a,33b,33d,33e,33g),(35a,35b,35d,35e,35g))は、一方の磁石部材(35a,35b,35d,35e,35g)が前記シリンダ(31a,31b,31d,31e,31g)の端部に固定され、他方の磁石部材(33a,33b,33d,33e,33g)が前記ピストン(32a,32b,32d,32e,32g)に固定または連結された状態で前記シリンダ(31a,31b,31d,31e,31g)の内部に可動自在に収容されているのが好ましい。これにより、磁石が他方の磁石との相互作用により受ける斥力及び/又は引力を直接ピストンに伝達することが可能となる。
【0016】
前記一対の磁石部材((33c,33f,33h),(35c,35f,35h))は、一方の磁石部材(35c,35f,35h)が前記一対の磁石部材((33c,33f,33h),(35c,35f,35h))間に生じる斥力及び引力によって回動運動を行うように構成され、前記一方の磁石部材(35c,35f,35h)と前記ピストン(32c,32f,32h)との間には、前記一方の磁石部材(35c,35f,35h)の回動運動を前記ピストン(32c,32f,32h)の往復運動に変換するリンク機構(37c,37f,37h)が設けられているのが好ましい。この時、一対の磁石部材の構成は、少なくとも一つが電磁石であることが必要である。特に、電磁石と永久磁石の組み合わせが好ましい構成となる。但し、双方とも電磁石であっても、本発明装置を駆動することが出来る。電磁石への、電流のON−OFFによる、磁性の派生と消滅または、電磁石へ流す、電流の向きを交互に反転させることによる、極性(N−S)の転換等により、磁石間の引力と斥力を制御することができる。特に、極性の変換により、瞬間的な引力または斥力を生じさせることができる。
【0017】
また、本発明の補助心臓装置において、前記一対の磁石部材(33a〜33h,35a〜35h)の間には弾性部材(36a〜36h)が設けられているのが好ましい。該弾性部材が外力により変形し、且つ外力を取り除いた際には元の形状に戻る、復元力を有することが更に好ましい。このような弾性部材を介在させることで、一対の磁石部材により生じる斥力または引力のいずれか、若しくは双方に関してバネの復元力をピストンの駆動力として併用したり、または、補助することも推奨される。これにより、一対の磁石部材の間に生じる、急激に大きな斥力及び/または引力の強さを緩和等によりコントロールすることも可能であり、この場合、心臓に極端に大きな刺激力を与えず、マイルドな力を加えることができる。
【0018】
また、バネ部材の復元力をピストンの駆動力として、磁石間の相互作用と共に併用する場合には、その復元力は、磁石間の相互作用から得られる力(エネルギー)とほぼ拮抗することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、一方の磁石部材をピストンに固定または連結させて、磁石間の相互作用(斥力及び/または引力)をピストンに伝達させることにより、必要に応じて弾性部材の復元力との併用により、ピストンを往復運動させるという簡便な構成を採用したので、従来の小型電気モータに比べて、ピストンポンプとバルーンとの間でタイムラグを生じさせることなく、バルーンを高レスポンス且つ確実に膨張、収縮させることができる。また、上記したように、一対の磁石部材の磁気の磁極状態の変更を利用した簡便な機構であるため、従来の小型電気モータに比べてコンパクトであり、ピストンポンプを体内に設置するのに最適である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る補助心臓装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する一実施形態は例示であり、本発明が一実施形態に限定されるものではない。
【0022】
一実施形態の補助心臓装置(10a)は、心臓や近傍の動脈内への挿入を必要とせず、心臓の拡張と収縮に同調させるように心臓の外壁へ応力を作用させることにより、心臓の拡張と収縮を補助するものである。この補助心臓装置(10a)は、心臓の内部又は動脈の内部に対して非侵襲であって血液と非接触であるので、心臓の動きを補助する際に血液凝固等による血栓を生成させないものである。
【0023】
補助心臓装置(10a)は、
図1及び
図2に示すように、可撓性材質からなるバルーンタイプの心臓用容器としての心臓用バルーン(20a)とピストンポンプ(30a)と制御部(40a)とを備えている。ピストンポンプ(30a)は心臓用バルーン(20a)を拡縮させるものである。ピストンポンプ(30a)は、シリンダ(31a)とピストン(32a)と一対の磁石部材(33a,35a)とを備えている。ピストンポンプ(30a)は体内に配置されている。
【0024】
補助心臓装置(10a)の、一例としての心臓用バルーン(20a)は、心臓が収容される凹部(21a)を有する拡縮自在の袋状体である。ここで、凹部(21a)は、心臓の心室側の外壁を覆って心臓の心房側の外壁の一部を露出させるように構成されている。凹部(21a)の内面は可撓性膜(22a)で形成されて心臓に接し、凹部(21a)の外面は硬質膜(23a)で形成されている。可撓性膜(22a)は硬質膜(23a)よりも弾性変形しやすい。心臓用バルーン(20a)の可撓性膜(22a)は、シリコーンゴムで形成されている。ここで、可撓性膜(22a)は、シリコーンゴムに限定されず、例えば、SBR等の合成ゴムや天然ゴム等、流体を密閉でき、且つ素材が外力により変形し、かつ、外力を取り除いた際には元の形状に復帰できる素材であればいかなる素材であってもよい。
【0025】
心臓用バルーン(20a)の硬質膜(23a)には貫通孔が形成され、この貫通孔に補助心臓装置(10a)の筒状のシリンダ(31a)が接続されている。心臓用バルーン(20a)の内部空間とシリンダ(31a)の内部空間とは互いに連通し、これらの内部空間に流体(24a)が封入されている。
【0026】
シリンダ(31a)内には、補助心臓装置(10a)のピストン(32a)が収容されている。このピストン(32a)をシリンダ(31a)の軸方向に沿って直線的に往復運動させることにより、シリンダ(31a)と心臓用バルーン(20a)との間で流体(24a)を往復流動させて、心臓用バルーン(20a)を膨張と縮小とをさせる。
【0027】
つまり、
図1に示すように、ピストン(32a)が心臓用バルーン(20a)へ向かって前進すると、シリンダ(31a)内の流体(24a)が心臓用バルーン(20a)へ流入し、心臓用バルーン(20a)の内容積が増大し、心臓用バルーン(20a)が膨らんで上記した流体圧力から生じる力によって、バルーン内壁により心室を中心に心臓が押圧されることにより、心臓(特に心室)の収縮を補助する。
【0028】
一方、
図2に示すように、ピストン(32a)及び磁石(33a)が相対する磁石(35a)に接近することで、心臓用バルーン(20a)内の流体(24a)がバルーンから排出され、シリンダ(31a)へ流れて、膨らんでいた心臓用バルーン(20a)の内容積が減少する。これにより、心臓用バルーン(20a)が心臓を押圧する力が減少し、心臓(心室)の拡張時の状態への移行がスムーズに行われる。
【0029】
心臓用バルーン(20a)の動作についてさらに詳しく説明する。
図3は、心臓用バルーン(20a)の動作を示す簡略図である。
図3(a)は心臓用バルーン(20a)が萎んだ状態を示し、
図3(b)は心臓用バルーン(20a)が膨らんだ状態を示す。上述したように、心臓用バルーン(20a)は、ピストン(32a)の往復運動によって膨らんだり、外部からの力を受けない元の形状に戻る、若しくはバルーンからの流体の吸引排出に伴う吸引力により萎んだりする。従って、心室を中心とした心臓への力学的作用は、バルーン内への流体の導入と排出に伴う、バルーン容器の容積の変化に伴い生ずる。また、バルーンの平常時の状態(可撓性材質からなる部分に外力によるテンションのない状態)からの変化の形式については、バルーンにおける、可撓膜部分の膨張と平常時の状態の形式については、(1)バルーン容器内への液体供給時に平常時の状態とし、バルーン容器内からの液体排出時に膨張する形式(以下、形式(1)とも記す)、(2)バルーン容器内からの排出時が平常状態で、バルーン容器内への流体導入時に膨張する形式(以下、形式(2)とも記す)や、更には、(3)バルーン容器への流体の最高導入時(
図1)と最高排出時(
図2)の間の時点(中間点等)が、平常時の状態となる形式(以下、形式(3)とも記す)のいずれの形式であっても差し支えない。
【0030】
本例示の心臓用バルーン(20a)は、硬質膜(23a)が外面(70)側に位置し、可撓性膜(22a)が内面(71)側に位置する。心臓用バルーン(20a)の内面(71)は外科用接着テープを介して心臓(100)に固定されている。尚、外科用接着テープは例示であり、外科用接着剤や、外科用接着テープと外科用接着剤との併用であってもよい。また、心臓(100)と心臓用バルーン(20a)との間に保護膜を設け、心臓(100)を保護するようにしてもよい。更には、本発明における有効となる、公知の心臓用バルーンの固定化方法であれば、いずれの方法も採用することが出来る。
【0031】
この心臓用バルーン(20a)の平常時の状態と、可撓性膜部分の流体の導入若しくは排出による形状変化(膨張、縮小)は、
図3(a)に示すように、上記の形式(1)では、ピストン(32a)が引かれて心臓用バルーン(20a)が膨張からの解除等により容量が縮小する際に、心臓用バルーン(20a)の外面(70)と内面(71)との対向距離(d)が狭まって内面(71)が伸び、膜にテンションがかかった状態になる。一方、ピストン(32a)が押されて心臓用バルーン(20a)が膨らむ際には、
図3(b)に示すように、上述の対向距離(d)が広がって内面(71)がその復元力で伸びた状態から元に戻った状態になる。
【0032】
このように、上記の形式(1)では心臓用バルーン(20a)が膨らむ場合には、上述した内面(71)の復元力が加わるため、心臓用バルーン(20a)を素早く膨らませることができる。これにより、心臓(100)の圧迫を短時間で行うことができる。
【0033】
また、上記の形式(2)のように、心臓用バルーン(20a)が膨らんだときに内面(71)にテンションがかかって内面(71)が縮むように構成されている(
図3(b)を参照)。この場合には、心臓用バルーン(20a)を素早く萎ませることができ、心臓(100)の圧迫を短時間で解除させることができる。
【0034】
尚、心臓用バルーン(20a)の内面(71)全体が可撓性膜(22a)で形成される必要はなく、例えば、
図4に示すように、内面(71)の一部が硬質膜(23a)で形成され、その硬質膜(23a)に多数の孔(55)が形成され、その孔(55)を覆うように可撓性膜(22a)が配置され、その可撓性膜(22a)をピストン(32a)の往復運動によって拡縮させてもよい。
【0035】
補助心臓装置(10a)の一対の磁石部材(33a,35a)は、電磁石(35a)及び永久磁石(33a)である。尚、一対の磁石部材(33a,35a)において、電磁石(35a)及び永久磁石(33a)の組み合わせは例示であり、電磁石(35a)を2つ用いて一対の磁石部材としてもよい。更には、シリンダ(31a)内の磁石部材(33a)を永久磁石とし、シリンダ(31a)外の磁石部材(35a)を電磁石としているが、シリンダ(31a)内の磁石部材(33a)を電磁石とし、シリンダ(31a)外の磁石部材(35a)を永久磁石としても差し支えないが、この際は、制御部(40a)に内蔵される電源回路からの配線は、シリンダ(31a)内の磁石部材(33a)に結線される。また、双方を電磁石とした場合には、何れか一方の電磁石は、常時、同一方向に電流を通電させ常時、磁石としての機能を維持させておくか、相手方の電磁石への通電をOFFとした際には、当該一方の電磁石の通電を同時に停止し、磁性を消失させても良い。
【0036】
電磁石(35a)は、鉄芯と、鉄芯の周囲に巻かれたコイルと、鉄芯及びコイルを被覆するテフロン(登録商標)等の膜とを備えている。尚、上述の鉄芯は例示であり、芯は鉄以外の磁性材料であればよく、例えばニッケルであってもよい。また、上述のテフロン(登録商標)は例示であり、テフロン(登録商標)以外の絶縁性の高分子材料であってもよく、例えばポリエチレン系、ポリプロピレン系、アクリル系の樹脂やシリコーン樹脂であってもよい。この電磁誘導コイルからなる電磁石(35a)は、コイルを流れる電流の向きを逆転させることにより、磁極を反転させることができる。
【0037】
ここにおいて、
図1、
図2における一対の磁石の相互作用とピストンへの力の伝達についてより詳しく述べる。
【0038】
図1及び
図2では、ピストンに固定若しくは連結した磁石(33a)を永久磁石とし、シリンダ外部に設置された磁石(35a)を電磁石としている。この時、制御部内において、回路の電流をONにし、電磁石(35a)へ通電することにより、
図2に示すように、一対の磁石の近接した磁極が異なり、N−Sの組み合わせ(
図2の場合、通電することで電磁石(35a)はN極となり、永久磁石はS極を維持)による磁石間での引力が発生し、永久磁石(33a)が電磁石にひきつけられ、これに伴い、ピストン(32a)が電磁石方向に移動し、その結果バルーン容器内の流体がシリンダ内に移入することで、バルーン容器による心臓(特に心室)の押圧状態が解除され、心臓の心室に血液が流入することを補助する。従って、心臓(心室)の拡張期と磁石同士の相互作用である引力とを同調させることが好ましい。
【0039】
磁石同士の力学的作用、ピストン運動及びバルーンの容量変化による心臓への作用については、
図1及び
図2に示したように、電磁石(35a)に通電(電源ON)することによって、電磁石(35a)が磁化し、対の磁石(33a)との間に引力が発生し、磁石(33a)はシリンダの電磁石側末端に引き寄せられる。これに付随し、磁石(33a)に連結したピストンも同様に該末端側に引き寄せられることで、バルーン容器内からシリンダ内へ流体が流入し、結果としてバルーン内の流体量及びバルーン体積は最小となる。この際、バネ(36a)は、
図1に示した、通常の状態(力学的な力を加えられたいない状態)から、磁石間の引力を受けて縮む。又、電磁石(35a)への通電を停止(電源OFF)により、電磁石の磁性消失により磁石間の引力が解除される。この時、バネ(36a)は縮んだ状態から、元の状態(通常の状態であり
図1の状態)に戻ろうとする復元力を有していることから、該復元力が、ピストンを押す力となる。これにより、ピストンは
図2に示す位置から
図1に示す位置に移行する。この結果、シリンダ内の流体がバルーン内に導入され、バルーン体積の膨張により、心臓を押圧する。この際に、バルーンの作用形式が、上記した、バルーンの可撓性膜の形状変化が形式(1)であれば、この作用を補助することとなる。
【0040】
また、電磁石(35a)の作用が、このような電流のON−OFF操作によるものではなく、電磁石への電流通電の向きの制御(電流方向の逆転)により、一連の作用を行うことも出来る。このような電流の向きの制御における装置について、
図5及び
図6に例示する。この場合、先ず
図6における、電流の向きが、一対の磁石において相対する磁極を異なる磁極(NとS)にすることで磁石間に引力が生じるように、電磁石(35b)を設置する。その後、制御器(42b)において、電流の方向を逆転させる。この結果、電磁石(35b)の磁極は逆転し、磁石(33b)と電磁石(35b)との間に電流の制御により相対する磁極が同一となり、斥力が生じ、
図5の状態へ移行する。従って、このように磁石間の相互作用として、引力及び斥力を併用する方法による、補助心臓装置とすることも推奨される。磁石間の引力及び斥力双方の相互作用を利用する場合、図中に示されたバネ(36b)については、前記のように、
図5の状態がバネの通常状態である又は、
図6の状態が通常状態であるバネのいずれのバネを用いても差し支えない。
図5におけるバネの状態を通常状態として、電磁石の電流を反転させ生じる、磁石間の引力により、バネが圧縮状態となる(
図6)、又は
図6におけるバネの状態が通常状態であり、磁石間の斥力によりバネが進展状態(
図5)となる、いずれの方式のバネを用いることも可能である。また、バネを使用しない装置であっても本発明の補助心臓装置となり得る。
【0041】
又、電磁石の電流のON−OFF操作による、電磁石の磁極の発生と消失による磁石間の相互作用により、本発明の装置を作動する場合に、磁石間の斥力を利用することも可能である。磁石間の斥力を利用する場合には、
図1の状態を電磁石への通電状態(ON)とし、
図2の状態を通電OFF状態とする。これにより、
図1において、磁石間の相互作用として斥力が発生する状態となる。このように、通電することで
図1及び
図2とは全く逆の電磁石側の磁極となるように、電磁石及び永久磁石(常時ONの電磁石でも良い。また、磁極は
図1及び
図2と同一。)を配置させる。この時、磁石間の斥力がピストンに伝達され、
図1の状態で流体をバルーン室に導入させる。更に、電流をOFFとした場合、磁石間の相互作用が消失することから、ピストン及び、バネを
図2の状態にし、シリンダ内への流体を吸入させるには、バネの復元力により行う。従って、電磁石への電流のON−OFF操作での磁石間の斥力とバネの復元力との併用を動力とするピストン運動のためには、使用するバネは通常のバネ状態から、磁石の斥力よって、バネが伸展し、斥力の消失によって、バネの復元力によって、バネが通常の状態に戻るバネを選択、配置する必要がある。
【0042】
以上、記載したように、磁石の相互作用を用いる場合、引力のみ、又は斥力のみを利用する場合には、バネの復元力等を用いる必要がある。又、バネの相互作用の利用として、引力と斥力双方を利用する場合には、必ずしも、バネ等の復元力は必要としないが、ピストン運動の滑らかさ、緩衝的な役割等が期待されることから、バネ等を利用することが推奨される。
【0043】
前記したように、磁石間の相互作用として、引力と斥力の双方を用いる方法としては、電磁石(35b)に流す電流方向の逆転による方法を例示したが、引力、斥力の双方を利用する他の手段としては、電磁石(35b)が、異なる電流回路を有する、2つの電磁石(35b1及び35b2)から構成される電磁石であっても本発明に用いることが出来る。
【0044】
この方式は、上記したように、電磁石(35b)が電磁石1及び電磁石2の2つの電磁石で構成されており、制御部において、電磁石への通電を切り替える方式による。具体的には電磁石1に通電している際には、電磁石2には通電されず、この際に、電磁石1と永久磁石(33b)との相互作用を引力となるように設置し、次に電磁石1への通電をOFFとし、電磁石2へ通電させると、電磁石2と永久磁石(33b)との相互作用が斥力となるように設定する。このように、2つの電磁石の通電を一定間隔で交互にON−OFFのスイッチングさせることで、電流方向を反転させるときと同様に、引力、斥力の双方を利用することが出来、本発明の補助心臓装置に使用することが出来る。本磁石相互作用方式では、前記の電磁石に通電する電流の一定間隔での反転による、引力と斥力によるピストン駆動と同様に、必ずしもバネを設置する必要は無いが、設置しても前記同様に何ら差し支えはない。
【0045】
補助心臓装置(10a)の制御部(40a)は、センサ(41a)と制御器(42a)とを備えている。センサー(41a)は、一般的には心電計等のセンシングと同様に、心臓の鼓動を電気信号に変換して制御器(42a)へ伝達するものであり、心臓の心拍、鼓動等の動きを感知し、これを電気信号として制御器(42a)へ伝達する方式であれば良い。センサ(41a)の設置位置・部位に関しては、心臓の動きを感知し、該動きの状態から、補助心臓装置(10a)を効果的に駆動させうる位置・部位であればいずれの位置・部位に設置しても差し支えないが、基本的には直接心臓外壁部に接触等で設置することが、より確実なセンシングを容易とすることが期待され好ましい。例えば、心臓の左心房側等の外壁部に設置される。制御器(42a)は、体外に設置されている。センサ(41a)と制御器(42a)とは、信号線によって接続されている。尚、制御器(42a)の設置位置は、体内、体外のいずれの位置にも設置することが可能であり、特に限定されるものではない。より侵襲性を低下させることや、違和感等の観点から、体内に留置させることが推奨される。
【0046】
センサ(41a)は、一般的な心電計と同様のセンシングシステムを用いることが例示される。尚、一般的な心電計は例示であり、心臓の拍動等の心臓の状態を検出できるものであれば、心電計以外のものと同様のセンシングシステムを利用することも出来る。
【0047】
制御器(42a)は、本補助心臓装置を作動させるための電源とセンサからの信号を基に、電磁石の相互作用を制御する機能を有している。電源は、電磁コイルから形成される電磁石を作動させることから、直流の電源であり、一般的には電池で構成される。
【0048】
また、電磁石を制御する機能としては、前記したように、以下の機能のいずれかの機能が採用される。
(1)電磁石への通電のON−OFFによる制御により、一対の磁石の相互作用として引力と斥力の双方を用いる場合。
(2)電磁石への通電の電流方向の制御(電流方向の反転)により、一対の磁石の相互作用として引力と斥力の双方を用いる場合。
(3)2個の電磁石を用いて、通電する磁石を状況に応じて、いずれかの電磁石とすることで、電磁石と相対する磁石との相互作用として、引力と斥力の双方を用いる場合。
【0049】
(1)のON−OFF操作は、センサからの信号を受けて、ONの操作により、電磁石を作動させて、相対する磁石との相互作用を生じ、OFF操作により相対する磁石との相互作用を消失させる。このような制御には、具体的には例えば、センサからの信号に基づき作動する、マグネットスイッチ等を使用することで制御されることが出来る。しかしながら、本発明装置においてはこのような例示に限定されることは無く、信号に追随して、電磁石への通電のON−OFFが達成される方法であればいずれの方法も採用される。
【0050】
(2)の電流の向きの制御(反転・逆転)の方法も同様に、2つの電流回路が形成されるシステムにより、例えば、マグネットスイッチ等を用いて、回路選択(回路端子との接合選択)を行うことで可能であるが、電磁石へ導入される電流の向きを交互に反転させることが出来る制御方法であればいずれの方法も採用することが出来る。
【0051】
(3)の2つの電磁石への通電を選択制御する方法としては、前記の回路選択方法と同様の手法により達成することが出来る。また、2つの電源を用いて、相互にON−OFF操作を行うことでも可能であるが、回路選択を行う方法であればいずれの方法を採用して差し支えない。
【0052】
これらの例示した制御器に関しては、前記及び以降に記載する何れの例示装置、変形例にも用いることが出来る。
【0053】
このように、補助心臓装置(10a,10b)の磁気の相互作用をピストン運動に転換させることから、ピストンポンプ(30a,30b)は、流体(24a,24b)の流出入を直接100%ロス無く且つタイムラグ無しに同時的に実施することができる。
【0054】
(一実施形態の変形例1)
変形例1の補助心臓装置(10c)は、
図7及び
図8に示すように、ピストン(32c)を駆動させる構成が上述の一実施形態とは異なる。以下、この異なる点について主に説明する。
【0055】
変形例1では、シリンダ(31c)の外側に永久磁石(33c)とコイルバネ(36c)とが配置されている。電磁石(35c)は棒状に形成されている。棒状の電磁石(35c)は、長さ方向中間部分に回転軸(38c)が取り付けられている。棒状の電磁石(35c)は、回転軸(38c)を中心として回動自在に回転軸(38c)に支持されている。
【0056】
棒状の電磁石(35c)の一端は、リンク機構(37c)を介してピストン(32c)に接続されている。このリンク機構(37c)は、棒状の電磁石(35c)の回動運動をピストン(32c)の往復運動へ変換させるものである。一方、棒状の電磁石(35c)の他端は、コイルバネ(36c)を介して永久磁石(33c)に接続されている。この場合も同様にコイルバネとの間でのリンク機構による接続が好ましい。尚、永久磁石(33c)は、心臓用バルーン(20c)の硬質膜(23c)に接合・固定されている。電磁石(35c)と永久磁石(33c)とは、これらの磁石の磁極同士が互いに対向するように配置されている。
【0057】
この変形例1では、
図7からわかるように、心臓が収縮するタイミングで電磁石(35c)の通電がOFFとなり、電磁石の磁気が消滅し、電磁石(35c)と永久磁石(33c)との間の磁気的相互作用が消失する。すると、コイルバネ(36c)が復元力で通常の形状に伸びて電磁石(35c)が回転軸(38c)を中心に右回りの回転が生じ、この結果、この回転力によって電磁石のピストン(32c)は電磁石の他端により押され、クランク機構を介して前進して心臓用バルーン(20c)へシリンダ内の流体を押し込まれ、膨らみ、心臓の収縮を補助するように心臓用バルーン(20c)が心臓を押圧する。従って、
図7のコイルバネが、通常の外力が加わっていない形状とほぼ同一の形状である。
【0058】
心臓用バルーン(20c)が心臓を押圧した後、
図8からわかるように、心臓が拡張するタイミングで電磁石(35c)の通電がONとなり、電磁石(35c)と永久磁石(33c)との間に引力が生じると、コイルバネ(36c)が縮んでコイルバネ(36c)に弾性エネルギが蓄えられるとともに電磁石(35c)が逆回転することにより、ピストン(32c)が後退して心臓用バルーン(20c)が萎み、心臓の拡張を補助するように心臓用バルーン(20c)の心臓に対する押圧力が減少する。
【0059】
尚、変形例1では、電磁石(35c)の通電がONのときに電磁石(35c)と永久磁石(33c)との間に引力が生じ、コイルバネ(36c)が縮むことでコイルバネ(36c)に弾性エネルギが蓄えられていたが、これに限定されず、電磁石(35c)の通電がONのときに斥力が生じ、コイルバネ(36c)が伸びることでコイルバネ(36c)に弾性エネルギが蓄えられるように構成されてもよい。また、上述の一実施形態と同様に、電磁石(35c)の磁極を交互に反転させることにより、ピストン(32c)を往復運動させるようにしてもよい。この場合は、
図8に示したコイルバネの形状が、通常の外力を加えられていない形状であり、
図7の形状が、斥力に基づいて伸張した状態であり、バネの弾性エネルギを蓄えた状態となる。
【0060】
また、
図7及び
図8における、硬質膜(23c)に接合・固定された磁石部材(33c)を電磁石とし、棒状の磁石部材(35c)を永久磁石としても、本発明装置となる。この場合、制御器からの電流は電磁石(33c)へ流れる。作用機構については前記の一実施形態で示した変形例と同様である。寧ろ、硬質膜(23c)に接合・固定された磁石部材(33c)を電磁石とし、棒状の磁石部材(35c)を棒状の永久磁石とした方が、形態を好ましい形状に変形、成型しやすく、その結果、ピストンやバネとの間の力の伝達がスムーズとなる場合も有る。
【0061】
更には、電磁石(35c)と永久磁石の相互作用として、当然、斥力と引力の双方の相互作用を用いる装置であっても差し支えない。このような装置としては、前記したように、電磁石に通電する電流の方向を正逆、反転することや電磁石を2つ用いて、交互に通電する方法等により達成される。さらに、このような装置でも、上記のように
図7及び
図8における永久磁石と電磁石を変換し、硬質膜(23c)に接合・固定された磁石部材(33c)を電磁石とし、棒状の磁石部材(35c)を永久磁石とすることも当然可能であり、本発明の装置に適用される。
【0062】
また、棒状の磁石部材(35c)を電磁石に代えて、双方とも電磁石としても差し支えない。この場合、電流のON、OFF機構による磁石間の相互作用として斥力又は引力のいずれか一方を用いる場合には、同時に2つの電磁石のON、OFF操作を行っても差し支えないし、何れか一方の電磁石のみON、OFF操作を行い、他方の電磁石は常時通電状態としても差し支えない。
【0063】
(一実施形態の変形例2)
変形例2の補助心臓装置(10d)は、
図9に示すように、心臓用バルーン(20d)とシリンダ(31d)との間がチューブ(39d)を通じて接続されている点が、一実施形態、変形例1とは異なる。尚、変形例2では、最初に例示した、一実施形態と同様に、電磁石(35d)の通電のON/OFFでピストン(32d)を往復運動させているが、これに限定されず、変形例1と同様に、電磁石(35d)の磁極の反転によって、ピストン(32d)を往復運動させてもよい。
【0064】
また、変形例2では、電磁石(35d)がONのときに一対の磁石(33d,35d)間に引力が生じコイルバネ(36d)が縮むことで弾性エネルギを蓄えるように構成されているが、これに限定されず、電磁石(35d)がONのときに一対の磁石(33d,35d)間に斥力が生じコイルバネ(36d)が伸びることで弾性エネルギを蓄えるように構成されてもよい。
【0065】
更には、電磁石と永久磁石の相互作用として、当然、斥力と引力の双方の相互作用を用いる装置であっても差し支えない。このような装置としては、前記したように、電磁石に通電する電流の方向を正逆、反転することや電磁石を2つ用いて、交互に通電する方法等により達成される。さらに、このような装置でも、上記のように
図7及び
図8における永久磁石と電磁石を変換し、シリンダ(31d)内の磁石部材(33d)を電磁石とし、シリンダ(31d)外の磁石部材(35d)を永久磁石とすることも当然可能であり、本発明の装置に適用される。
【0066】
また、シリンダ(31d)外の磁石部材(35d)を電磁石に代えて、双方とも電磁石としても差し支えない。この場合、電流のON、OFF機構による磁石間の相互作用として斥力又は引力のいずれか一方を用いる場合には、同時に2つの電磁石のON、OFF操作を行っても差し支えないし、何れか一方の電磁石のみON、OFF操作を行い、他方の電磁石は常時通電状態としても差し支えない。
【0067】
(一実施形態の変形例3)
変形例3の補助心臓装置(10e)は、
図10及び
図11に示すように、心臓だけでなく下行大動脈(50)も拡縮させる点において一実施形態及び変形例1〜2とは異なる。以下、この異なる点を主に説明する。
【0068】
変形例3では、シリンダ(31e)が2つのシリンダ室(45e,46e)を有している。シリンダ(31e)の一方のシリンダ室(45e)にはチューブ(39e1)を通じて心臓用バルーン(20e)が接続され、他方のシリンダ室(46e)にはチューブ(39e2)を通じて大動脈用バルーン(25e)が接続されている。
【0069】
大動脈用バルーン(25e)は、
図12からわかるように、1枚の中空シート(18)を巻いて継ぎ目(19)で合わせることにより筒状となるように構成されている。中空シート(18)には、上述したチューブ(39e2)が接続されている。この大動脈用バルーン(25e)は、下行大動脈(50)の外周方向全体に亘って一定の幅で覆う。大動脈用バルーン(25e)内の流体が排出されると、大動脈用バルーン(25e)が萎んで(
図12(a)を参照)、下行大動脈(50)への押圧力が減少し、下行大動脈(50)の拡張を補助する。一方、大動脈用バルーン(25e)内へ流体が流入されると、大動脈用バルーン(25e)が膨らんで(
図12(b)を参照)、下行大動脈(50)への押圧力が増加し、下行大動脈(50)の収縮を補助する。
【0070】
ここで、変形例3の大動脈用バルーン(25e)の大動脈と接する内面の素材は可撓性材料で構成され、且つ形状は平坦であるが、形状については、特にこれに限定されず、例えば、大動脈用バルーン(25e)が膨らんだときに、その内面が部分的に隆起するものであってもよい。こうすることで、下行大動脈(50)への押圧力を増加させることができる。又、大動脈用バルーン(25e)の外面に関しては、内面同様に可撓性材料で構成されていても良く、また、前記の例示のごとく、硬質素材であっても差支えない。
【0071】
シリンダ(31e)の内部には、前記されている、いくつかの例示と同様のシリンダ室(45e,46e)が2つ設けられており、それぞれのシリンダ室毎に、ピストン(32e1,32e2)と永久磁石(33e1,33e2)とコイルバネ(36e1,36e2)とが収容されている。下行大動脈側のコイルバネ(36e2)は、伸びたときに弾性エネルギを蓄えるように構成され、心臓側のコイルバネ(36e1)は、縮んだときに弾性エネルギを蓄えるように構成されている。
【0072】
また、2つの永久磁石(33e1,33e2)の間には、各永久磁石(33e1,33e2)に対向するように、シリンダ室(45e,46e)の外側に電磁石(35e)が配置されている。
【0073】
変形例3の装置では、心臓が収縮するタイミングで電磁石(35e)への通電がOFFされると、心臓の収縮を補助するように心臓用バルーン(20e)が膨らむと同時に大動脈用バルーン(25e)が萎むように構成されている(
図10を参照)。心臓用バルーン(20e)が膨らむことで心臓の収縮を補助すると同時に、大動脈用バルーン(25e)が萎むことで、下行大動脈(50)が大動脈用バルーン(25e)の圧迫から解放され、心室からの血液の流出がサポートされる。
【0074】
具体的には、電磁石(35e)への通電がOFFされると、電磁石(35e)と心臓側の永久磁石(33e1)との引力が消失するとともに電磁石(35e)と下行大動脈側の永久磁石(33e2)との斥力が消失する。すると、心臓側のコイルバネ(36e1)が復元力で伸びる。また、下行大動脈側のコイルバネ(36e2)が復元力で縮む。心臓側のコイルバネ(36e1)が伸びると心臓側のピストン(32e1)が押され、流体(24e)が心臓用バルーン(20e)へ流入し、心臓用バルーン(20e)が膨らむ。下行大動脈側のコイルバネ(36e2)が縮むと下行大動脈側のピストン(32e2)が引かれ、流体(24e)が大動脈用バルーン(25e)から流出し、大動脈用バルーン(25e)が萎む。
【0075】
一方、心臓が拡張するタイミングで電磁石(35e)への通電がONされると、心臓の拡張を補助するように心臓用バルーン(20e)が萎むと同時に大動脈用バルーン(25e)が膨らむように構成されている(
図11を参照)。心臓用バルーン(20e)が萎むことで心臓の拡張を補助すると同時に、大動脈用バルーン(25e)が膨らむことで、下行大動脈(50)が大動脈用バルーン(25e)から圧迫され、下行大動脈(50)の血液の流れを抑えることで、心室への血液の流入がサポートされる。
【0076】
尚、本変形例3において、電磁石(35e)への通電のON/OFFでピストン(32e1,32e2)の往復運動に代えて、これに限定されず、前記したように電磁石へ通電される電流の向きの反転による、電磁石(35e)の磁極の反転でピストン(32e1,32e2)を往復運動させる補助心臓装置も好ましい例として例示される。この場合、コイルバネ(36e1,36e2)を単純な緩衝用として用いてもよいし、コイルバネ(36e1,36e2)の復元力を利用してピストン(32e1,32e2)の磁気の磁極状態の変更による往復運動を補助させるようにしてもよい。
【0077】
また、用いる磁石総てを電磁石とすることも、本例示の装置と同様の装置となりうる。この理由は、電流をONとした状態での、磁石間の斥力、又は引力の発生は、永久磁石の極性と同様の極性をもたらすことができるため、同様のテンションをコイルバネに与えることが出来、また電流をOFFにした際は、磁力は総て消失した状態であり、磁気の相互作用は消失する。これは、一方が永久磁石であっての他方の電磁石が磁気消失した際も同様に、磁石間の相互作用は消失し、同一の状態をもたらすことができるためである。
【0078】
また、前記のように電流の向きを反転させ、磁石間の相互作用として、斥力と引力を利用する装置の場合であっては、本例示の永久磁石を固定電磁石とし、常時通電し、永久磁石と同一の極性を示すようにすることで、永久磁石と同等の結果を得ることが出来るためである。
【0079】
本変形例3においては、心臓用バルーンの膨張収縮と大動脈用バルーンの膨張収縮は密接な相関関係を保持させることが求められ、その相関関係は、上記したように、心臓用バルーンの膨張時(心臓を押圧)は、大動脈用バルーンは収縮状態である必要があり、逆に、心臓用バルーンの収縮時(心臓を拡張)では、大動脈用バルーンは膨張状態で、大動脈を押圧することが必要となる。
【0080】
また、本例示においては、心臓用及び大動脈用として、ピストン、シリンダを2基用いて、心臓用バルーン及び大動脈用バルーンへ流体を出し入れする。心臓や大動脈の構造やその大きさから、その出し入れする流体量は通常異なり、出し入れする流体量は圧倒的に心臓用バルーンへの出し入れ量が大きくなる。このような場合への対応としては、例えば、以下のように対応する。
(1)ほぼ同等のシリンダ内径である場合には、ピストンの可動領域を変化させる。具体的には、双方のコイルバネの可動域(通常状態のコイル長さと、テンションがかかった状態での長さとの差)を調節する。
(2)シリンダ内径の調節による。双方のピストンの可動域が同等である場合には、内径の長さに2乗で量的な差を達成できる。及び、
(3)これらの組み合わせにより達成することが出来る。
【0081】
(一実施形態の変形例4)
変形例4の補助心臓装置(10f)は、
図13に示すように、心臓だけでなく下行大動脈(50)も拡縮させる点において変形例3と一致するが、ピストン(32f1,32f2)の駆動方法が異なる。変形例4では、変形例1に示したように、棒状の電磁石(35f)の回転によってピストン(32f1,32f2)が駆動される。
【0082】
変形例4では、シリンダ(31f)が2つのシリンダ室(45f,46f)を有している。シリンダ(31f)の一方のシリンダ室(45f)に心臓用バルーン(20f)が接続され、他方のシリンダ室(46f)にはチューブ(39f)を通じて大動脈用バルーン(25f)が接続されている。大動脈用バルーン(25f)はチューブ(39f)を介してシリンダ室(46f)に接続されている。また、シリンダ(31f)の内部には、シリンダ室(45f,46f)毎にピストン(32f)が収容されている。これらのピストン(32f)は、リンク機構(37f)を介して棒状の電磁石(35f)の一端に接続されている。2つのピストン(32f)は、電磁石(35f)の一端を挟んで両側に配置されている。
【0083】
制御部(40f)は、棒状の電磁石(35f)の磁極を交互に反転させる整流器を備えている。永久磁石(33f)と電磁石(35f)とが同極で向き合うと、これらの磁石の間に斥力が生じ、電磁石(35f)が時計回りに回動することにより、心臓側のピストン(32f)が心臓用バルーン(20f)へ向かって前進すると同時に、下行大動脈側のピストン(32f)が大動脈用バルーン(25f)のチューブ(39f)から離れるように後退する。これにより、心臓用バルーン(20f)が拡張すると同時に大動脈用バルーン(25f)が収縮する。
【0084】
制御部(40f)によって電磁石(35f)の磁極が入れ替わり、永久磁石(33f)と電磁石(35f)とが異極で向き合うと、これらの磁石間に引力が生じ、電磁石(35f)が反時計回りに回動することにより、心臓側のピストン(32f)が後退すると同時に、下行大動脈側のピストン(32f)が前進する。これにより、心臓用バルーン(20f)が収縮したときに大動脈用バルーン(25f)が拡張する。
【0085】
従って、心臓用バルーン及び動脈用バルーンへの流体の導入に関しての相関関係は、上記した変形例3と同様の相関関係となる。
【0086】
また、変形例1と同様に、棒状の磁石部材(35f)を永久磁石とし、心臓用バルーン(20f)の硬質膜に接合・固定された磁石部材(33f)を電磁石とする装置であっても差し支えない。また、双方とも前記のような電流制御を行うことで、双方とも電磁石を用いることも出来る。
【0087】
更には、これまでの総ての例示と同様に、磁石の相互作用として、斥力と引力の双方を使用するシステムも可能であり、前記と同様に、電流の向きを反転させることで達成される。
【0088】
このように、変形例3、4によれば、下行大動脈と心臓の心室の拡張、収縮の補助を同時に行うことができる。ここで、同時に行うということは、心臓の心室の圧迫時に下行大動脈は拡張状態、心臓の心室の拡張時は下行大動脈を圧迫させることである。1つのピストンポンプ(30e,30f)の実施態様では、心臓(心室)と下行大動脈とに同時的に効率よく作用させることができ、有効な補助心臓となりうる。また、ピストンポンプ(30e,30f)はコンパクトに形成されることから、体内設置用として有効であり、日常の生活に支障をきたさないシステムを構築することが可能である。
【0089】
尚、心臓近傍の下行大動脈周囲にバルーンを設置し、下行大動脈のみを圧迫する従来のシステムがある。このシステムは、バルーンと共に流体を貯留する貯留袋(以下、単に袋とも記す。)が設置されており、当該貯留袋の両外面に一端を回転可能とした、蝶番タイプの板状の電磁石が設置されている。バルーンに流体を挿入させ膨張する際には、電磁力により当該両板は閉じる。板が閉じることで貯留袋を押圧し、流体をバルーンに送る。これにより、バルーンが膨張し、下行大動脈を圧迫する。
【0090】
しかしながら、この従来のシステムでは、下行大動脈拡張補助のために、バルーンに流入させた流体を、上記貯留袋に戻すときは、直接電磁力は作用せず、たとえば貯留袋を元の体積に戻すには、袋の自己復元力に頼らざるを得なく、現実的には非常に非効率な復元速度とならざるを得ない。つまり、袋が元に戻る時間が遅く、流体が袋へ戻る力が弱い。また、貯留袋の圧縮において、上記蝶番上板を用いることから、部分的な貯留袋への蝶番板のよる押圧力となり、力は分散され、上述のタイムラグ等が生じる恐れがある。更には、本システムにおいては、下行大動脈と心室の圧縮弛緩作用を行うことはできない。
【0091】
変形例3、4の場合、ピストン((32e1,32e2),32f)の往復運動によって両方のバルーン((20e,25e),(20f,25f))を拡縮させるので、バルーン((20e,25e),(20f,25f))の拡縮動作を上述の従来システムよりもスムーズに行わせることができる。
【0092】
一方、
図14及び
図15に示す上記と異なる実施形態である補助心臓装置(10g)は、心臓用バルーンを備えず、その替わりに大動脈用バルーン(25g)のみを備えている。心臓用バルーンを備えていないことを除き、その構成部材の材質や基本機能等は、上記した実施形態と同様である。すなわち、補助心臓装置(10g)では、一対の磁石部材(33g,35g)において、一方の磁石部材(35g)が前記シリンダ(31g)のピストン側端部に固定され、他方の磁石部材(33g)がピストン(32g)に固定された状態でシリンダ(31g)の内部に可動自在に収容されており、さらに、一対の磁石部材(33g,35g)の間に弾性部材(36g)であるバネを設けている。この場合、一対の磁石部材(33g,35g)間に生じる駆動力が、当該一対の磁石部材(33g,35g)間の引力または斥力と、前記弾性部材(36g)の復元力を含むこととなる。
【0093】
また、
図16に示す、さらに異なる実施形態である補助心臓装置(10h)では、心臓用バルーンを備えず、その替わりに大動脈用バルーン(25h)のみを備えている点では上記の補助心臓装置(10g)と同様であるが、上記した変形例1(
図7)と同様に一対の磁石部材(33h,35h)が、一方の磁石部材(33h)と、他方の磁石部材(35h)との間に生じる引力または斥力によって回動運動を行うように形成され、一方の磁石部材(35h)の回動運動をピストン(32h)の往復運動に変換するリンク機構(37h)を備えている。
さらに、補助心臓装置(10g)と補助心臓装置(10h)のいずれにおいても、一対の磁石部材(33g,33h,35g,35h)間に生じる駆動力が、電磁石(35g,35h)への電流の導入方向の反転により生じる引力または斥力を含むようにすることもできる。また、補助心臓装置(10g)と補助心臓装置(10h)のいずれにおいても、制御部(40g,40h)やピストンポンプ(30g,30h)及びこれに付随する、シリンダ(31g,31h)、ピストン(32g,32h)及び磁石部材(33g,33h,35g,35h)、更には、コイルバネ(弾性部材)(36g,36h)、リンク機構(37h)等は、体内のみならず、体外に設けることが可能なことはいうまでもない。
【0094】
(その他の実施形態)
上記の心臓用バルーンを備えた一実施形態では、1つの心臓用バルーン(20a)が心臓を覆うように構成されていたが、これに限定されず、例えば心臓用バルーン(20a)が心臓を部分的に圧迫するものであってもよいし、1つの心臓に対してバルーンを複数設置するようにしてもよい。この場合であっても、本願発明と同様の効果を得ることができる。ここで、心臓を部分的に圧迫する場合には、心臓の左心室に対向するように配置すると、心臓内の血液を効率よく大動脈へ排出させることができる。
【0095】
一方、
図14、15及び、
図16に示すような、心臓用バルーンを備えず、その替わりに大動脈用バルーンのみを備えている実施形態においても、ポンピングシステムとバルーンとの間でタイムラグを生じさせることなく、バルーンを高レスポンス且つ確実に膨張、収縮させることができる。
【0096】
さらに、上記の一実施形態では、センサー(41a)を心臓の外壁に設置していたが、これに限定されず、
図17に示すように、センサー(41a)を体表に設置するようにしてもよい。このことは、心臓用バルーンを備えず、大動脈用バルーン(25g,25h)のみを備える補助心臓装置(10g,10h)におけるセンサー(41g,41h)においても同様である。