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特許6773957情報処理システム、その制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6773957
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】情報処理システム、その制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   H04N1/00 C
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-256785(P2015-256785)
(22)【出願日】2015年12月28日
(65)【公開番号】特開2017-120991(P2017-120991A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2018年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189751
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友輔
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 篤
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−126433(JP,A)
【文献】 特開2009−230632(JP,A)
【文献】 特開2001−320513(JP,A)
【文献】 特開2011−254366(JP,A)
【文献】 特開2014−121048(JP,A)
【文献】 特開2013−229857(JP,A)
【文献】 特開2015−084211(JP,A)
【文献】 特開2014−074982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
書類を撮像することが可能な撮像部を備える情報処理システムであって、
ユーザによる書類のめくり動作および書類の裏返し動作のジェスチャを検知する検知手段と、
前記撮像部での撮像により、前記めくり動作または裏返し動作がなされた前記書類の対象面の撮像データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された撮像データを、前記検知手段による検知結果に基づいて書類のページ順になるように管理する管理手段と
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記管理手段で管理されるページ順に基づき、前記取得手段により取得された撮像データを用いて電子文書データを生成する生成手段
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記生成手段は、前記管理手段で管理されるページ順に基づき、前記書類の裏返し前の撮像で得られたページの撮像データと前記書類の裏返し後の撮像で得られたページの撮像データとを、交互に用いて電子文書データを生成することを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記生成手段は、前記管理手段で管理されるページ順に基づき、前記書類の裏返しの前の撮像で得られたページの順方向からの撮像データと前記書類の裏返し後の撮像で得られたページの逆方向からの撮像データとを、交互に用いて電子文書データを生成することを特徴とする請求項2または3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記管理手段は、前記書類の裏返し前の撮像で得られたページの撮像データを奇数ページとして、前記書類の裏返し後の撮像で得られたページの撮像データを偶数ページとして管理することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記撮像部による撮像の終了指示を受け付ける受付手段を備え、
前記管理手段は、前記書類が裏返されることなく前記受付手段により終了指示を受け付けた場合に、前記撮像部で撮像された順番を前記ページ順として管理することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記書類の裏返し前の撮像で得られたページの撮像データの枚数と前記書類の裏返し後の撮像で得られたページの撮像データの枚数とに基づき、正しく撮影されているかを判定する判定手段と、
前記判定手段で、正しく撮影されたと判定されない場合、警告を表示させるよう制御する表示制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
書類を撮像することが可能な撮像部を備える情報処理システムの制御方法であって、
ユーザによる書類のめくり動作および書類の裏返し動作のジェスチャを検知する検知ステップと、
前記撮像部での撮像により、前記めくり動作または裏返し動作がなされた前記書類の対象面の撮像データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された撮像データを、前記検知ステップによる検知結果に基づいて書類のページ順になるように管理する管理ステップと
を含むことを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理システムとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ユーザが煩雑な作業を行わなくとも、複数のページからなる両面印刷された書類を正しい順番の電子文書データとして生成することができる情報処理システム、その制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙の書類を電子文書データとして保存する際には、読み取り領域に載置された書類をカメラで撮像して、カメラで撮像することにより得られた書類の画像データを処理して保存するということが行われている。
【0003】
例えば下記の特許文献1には、同時に撮像された複数の書類間の順序を特定し、特定された順序で画像データの整理、保存を行う仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−216953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、銀行やオフィスなどでは、両面で印刷された複数の印刷物がステープラーなどの留め具を用いて束ねられた書類を扱うことがあるが、上述した特許文献1の仕組みでは、このように両面印刷がされた複数の印刷物が束ねられた書類を撮像して、電子文書データの順番を正しく保存するためには、書類の留め具を外して印刷物をバラバラにした状態で撮像しなければならない。そうすると撮像後に書類を保存するために再度複数の印刷物を留め具で留める必要があるため、ユーザの手間がかかってしまう。
【0006】
一方ステープラー等の留め具を外さずに書類の順番を正しく撮像し電子文書データを作成するためには、ページの裏側を撮像する際に逆方向からめくる動作が必要となり、ユーザの作業が煩雑となってしまう。
【0007】
そこで本発明は、ユーザが煩雑な作業を行わなくとも、複数ページからなる両面印刷書類のページ順でページの撮影データを管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の情報処理装置は、書類を撮像することが可能な撮像部を備える情報処理システムであって、ユーザによる書類のめくり動作および書類の裏返し動作のジェスチャを検知する検知手段と、前記撮像部での撮像により、前記めくり動作または裏返し動作がなされた前記書類の対象面の撮像データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された撮像データを、前記検知手段による検知結果に基づいて書類のページ順になるように管理する管理手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザが煩雑な作業を行わなくとも、複数ページからなる両面印刷書類のページ順でページの撮影データを管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態における情報処理システムの外観構成図である。
図2】本実施形態における情報処理装置100のハードウェア構成を説明する図である。
図3】実施形態における情報処理装置100の機能構成を説明する図である。
図4】実施形態における情報処理装置100の利用形態を示す図である。
図5】実施形態における処理手順を説明するフローチャートである。
図6図5のフローチャートの撮像処理の詳細な処理の流れを説明するフローチャートである。
図7】実施形態における投影範囲411のイメージである。
図8】書類をめくって撮像を行っていくイメージを示す図である。
図9】まだ撮像していないことをユーザに通知する警告を表示するイメージを示す図である。
図10】撮像データテーブル1000の一例を示すデータテーブルである。
図11図5のフローチャートの電子文書データ生成処理の詳細な処理の流れを説明するフローチャートである。
図12】実施形態における電子文書データのイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、実施形態における情報処理システムの外観構成図であり、図2はシステムを構成する情報処理装置100のハードウェア構成図である。本システムは、システム全体の制御を司る情報処理装置100を有する。そして、この情報処理装置100には、投影撮像装置110をはじめ、ユーザとの間のユーザインターフェースとして機能するディスプレイ120、入力デバイス(キーボードやマウス等)130が接続されている。また、図示していないが、業務に係る基幹ネットワークとも接続される。投影する投影データなどは基幹ネットワークなどに記憶されていてもよい。
【0013】
情報処理装置100は通常のPC(パーソナルコンピュータ)等と同じハードウェア構成の情報処理装置である。プログラムに従って処理を行うCPU101、ブートプログラムやBIOS等を記憶するROM102、CPU101が実行するOSやアプリケーションを格納するため、並びにCPU101がワークエリアとして利用するRAM103を有する。また、情報処理装置100は、投影撮像装置110と通信するためのI/F部105、CPU101の指示に従って描画処理やビデオ信号の出力処理等を行うビデオコントローラ106を有する。更に、情報処理装置100はハードディスク(HDD)に代表される外部記憶装置108(記憶手段)に対する読み書きを行うストレージコントローラ107、基幹ネットワーク(特にネットワークプリンタ)と通信するためのネットワークI/F104を有する。外部記憶装置108には、オペレーティングシステム(OS)、情報処理システムとして機能させるためのアプリケーションプログラムをはじめ、本実施形態で用いる撮像データや、データテーブル等が格納されている。
【0014】
投影撮像装置110は、その筐体内に、情報処理装置100と通信するためのI/F部118、投影部115、撮像部116、距離測定部117(検知部に相当する)を収容している。投影撮像装置110には、投影部115から出射した投影光を通過させるための開口部111が設けられている。更に、撮像部116並びに距離測定部117に共有され、外部からの光(赤外線を含む)を入射するための開口部112も設けられている。
【0015】
投影部115は、情報処理装置100から要求された映像を表す投影光を開口部112を介して天板113に向け、且つ、若干斜め方向に出射する。天板113の下面側にはミラーが設けられており、投影部115からの投影光を反射する。この結果、図1における投影撮像装置110の設置位置より手前側の領域(実際にはテーブルの上面)が投影スクリーンとして、その映像を表示することになる。なお、出射する方向を斜めにするのではなく、天板113を傾けても構わない。
【0016】
また、撮像部116並びに距離測定部117は、天板113のミラーを介して、投影部115によるテーブル上の投影領域よりも広い範囲を撮像範囲、又は、測距範囲として設定されている。撮像範囲と測距範囲は同一であっても構わない。撮像部116は通常のデジタルカメラに代表される撮像装置と同じ構成であり、テーブルの撮像範囲内の映像を光学的に読み取るものである。距離測定部117は、奥行き(距離)を検出するものであり、予め設定された2次元パターンを示す赤外線を照射する照射部と、その対象物から2次元空間での反射赤外線を検出するセンサで構成される。そして、撮像部116で得らえた映像データと、距離測定部117より検出された距離データの時間軸に対する変化に基づき、情報処理装置100のCPU101による処理によって、ユーザの手の動きや指(操作指示部)でテーブルをたたく操作(ジェスチャ)、ユーザの手と手の接触や書類の検出・検知処理が実現する。なお、映像と、赤外線によるパターン照射/検出によってユーザのジェスチャ検出を行う技術は公知(たとえば、米国マイクロソフト社のKINECT(商標))であるので、ここでの詳細は省略する。ただし、ユーザのジェスチャが検出できれば良く、その構成、原理は特に問わない。なお、投影撮像装置110の筐体内に十分なスペースがあれば、情報処理装置100を構成する回路を投影撮像装置110に内蔵させることで、これらを一体化しても構わない。
【0017】
上記構成において、本装置の電源がONになると、CPU101はROM102に格納されたブートプログラムを実行し、外部記憶装置108に格納されたOSをRAM103にロードし実行する。そして、そのOSの制御下にて、外部記憶装置108から情報処理システムのアプリケーションプログラムをRAM103にロードして、実行させる。
【0018】
次に図3を用いて、情報処理装置100の機能構成を説明する。
【0019】
情報処理装置100は機能部として、記憶部301、取得部302、決定部303、受付部304、生成部305を備える。
【0020】
記憶部301は複数のページからなる両面印刷された書類を、当該書類のページがめくられるごとに撮像部で撮像することにより各ページの撮像データを記憶する機能部である。取得部302は書類が裏返しされたタイミングを、前記検知部によるジェスチャの検知により取得する機能部である。決定部303は記憶された各ページの撮像データの結合順を、取得されたタイミングに応じて書類のページ順となるように決定する機能部である。受付部304は、投影面上の書類の撮像終了指示を受け付ける機能部である。生成部305は、順序が割り当てられた電子文書データを生成する機能部である。
【0021】
以上で図3に示す、情報処理装置100の機能構成の説明を終了する。
【0022】
次に図4を用いて、本システムの利用形態を示す。本実施形態における情報処理システムは、図示のように、テーブル400には、ディスプレイ120、入力デバイス130がユーザの操作しやすい位置に配置されている。また、投影撮像装置110は、その天板113によって斜め方向から投影光がテーブル400に向けて照射することになる。なお、検出範囲410、投影範囲411(撮像面)が示す矩形は、テーブル400上にそれぞれの範囲が規定されていることを示すためであって、その境界線が表示されることを意図するものではない。
【0023】
以上、実施形態における情報処理システムの利用形態を説明した。次に、情報処理システムの処理内容を、特にCPU101の処理手順として図5のフローチャートを用いて説明する。
【0024】
本システムが起動されると、まず、ステップS101にて、情報処理装置100のCPU101は選択メニューの画面(不図示)をディスプレイ120に表示し、ユーザに項目の1つを選択させる。表示する選択メニュー(項目)は、「撮像ボタン」、「書類投影ボタン」等、情報処理装置100で実行可能な処理に対応する項目である。ユーザから項目の選択を受け付けると、対応する処理を実行することができる。
【0025】
ステップS102にて、情報処理装置100のCPU101は、ユーザによる入力デバイス130の操作による項目の選択を待つ。選択がなされると、ステップS103にて、情報処理装置100のCPU101はその選択した項目がいずれのボタンであるかを判定する。書類取り込みボタンであると判定した場合、処理はステップS105に進み撮像処理を行う。書類投影ボタン等の書類読取ボタン以外のボタンが押下されたと判定した場合、処理はステップS104に進む。
【0026】
ステップS104にて、情報処理装置100のCPU101は、押下されたボタンに対応する処理を実行する。例えば、書類投影ボタンが押下された場合には、ステップS106で生成された電子文書データを投影面上に投影する処理を行う。ステップS104の処理が行われたあと、処理をステップS102に戻す。
【0027】
ステップS105にて、情報処理装置100のCPU101は、投影面上の書類を撮像する処理である撮像処理を行う。撮像処理の詳細な処理の説明は図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0028】
ステップS106にて、情報処理装置100のCPU101は、撮像処理で撮像された撮像データをもとに電子文書データを生成する処理である電子文書データ生成処理を行う。電子文書データ生成処理の詳細な処理の説明は図11に示すフローチャートを用いて説明する。
【0029】
図6のフローチャートを用いて撮像処理の詳細な処理の説明を開始する。
【0030】
ステップS601では、情報処理装置100のCPU101は、投影部115に投影指示を行い、外部記憶装置108に記憶される撮像画面700を投影範囲411に投影させる。図7に示すように撮像画面700には、書類読取ボタン702と取り込み終了ボタン703が配置されている。また、書類を載置すべき位置をユーザに通知するための領域の枠701が投影されている。
【0031】
ステップS602では、情報処理装置100のCPU101は、投影範囲411上に書類が検知されたか否かを判定する。投影範囲411上に書類が検知されたと判定された場合には処理をステップS603に進める。書類が検知されたか否かの判定は、例えば、距離測定部117から得られる距離データの時間軸に対する変化によって、矩形状の物体が所定時間以上検出されたことを以て、書類が検知されたと判定することができる。また、撮像部116で現在のタイミングで撮像されたカメラ画像と直前のタイミングで撮像されたカメラ画像とを比較することにより、矩形状の物体がカメラ画像に含まれているか否かを判定することによっても判定可能であり、これらを組み合わせて判定してもよい。
【0032】
ステップS603では、情報処理装置100のCPU101は、ステップS602で検知したと判定された書類の撮像の実行条件を満たすか否かを判定する。書類の撮像の実行条件を満たすと判定された場合は処理をステップS604に進め、そうでない場合は処理をステップS608に進める。本実施形態では、投影範囲411上の書類読取ボタン702のユーザによるタッチ操作を受け付けた場合に撮像実行条件を満たしたと判定する。撮像実行条件は、書類が投影範囲411で静止した状態で所定時間以上経過したことを条件に、自動的に撮像するようにしてもよく、他の条件でもよい。
【0033】
ステップS604では、情報処理装置100のCPU101は、撮像部116に撮像する指示を行う。撮像する指示を行うと、投影範囲411上の書類読取ボタン702が図8に示すようにグレーアウト(押下を受け付けることができない状態)される。このように、書類読取ボタンを押下不能にすることで、ユーザが書類読取ボタン702を押下したとしても、撮像指示はなされなくなる。このようにすることで、同一のページを複数回撮影してしまうことを防止することができる。
【0034】
ステップS605では、情報処理装置100のCPU101は、撮像部116で撮像された画像データである撮像データを撮像部116から取得する。
【0035】
ステップS606では、情報処理装置100のCPU101は、ステップS605で取得された撮像データを所定のフォルダに保存する。
【0036】
ステップS607では、情報処理装置100のCPU101は、撮像データテーブル1000に情報を記憶する処理を行う。図10に示す撮像データテーブル1000には、ID1001、保存場所1002、裏返しフラグ1003、撮像順1004、書類順1005が対応付けて記憶されている。ID1001は、撮像データに一意に割り当てられるIDである。保存場所1002は撮像データの保存されている場所を示すリンク情報が格納されている。裏返しフラグ1003は、書類が裏返されたことを示すフラグである。撮像順1004は、撮像データが撮像された順番を示す。書類順1005は実際の書類のページの順番であり電子文書データのページ順を示す値である。ステップS607では、ID1001と保存場所1002と撮像順1004を記憶する。具体的には、ID1001には一意のIDが割り当てられる。保存場所1002には、ステップS606で保存した撮像データの保存されている場所を示すリンク情報が格納される。撮像順1004には、撮像データテーブル1000に既に記憶されている撮像順1004の中で最も大きい値に1を足した値が格納される。なお、再帰処理により、ステップS611で裏返しフラグ1003を立てる指示があった場合には、裏返しフラグ1003を立てる。
【0037】
ステップS608では、情報処理装置100のCPU101は、投影範囲411に載置された書類のページがめくられたかを距離測定部117からの情報に基づいて判定する。書類がめくられたと判定された場合には処理をステップS609に進め、そうでない場合には処理をステップS610に進める。投影範囲411に載置された書類のページがめくられたかの判定は、例えば、特開2014−143745に開示されているように、投影範囲411上を撮像して得られる画像データから特徴点を検出して、複数の画像データ間での特徴点を比較することにより、当該特徴点の速度ベクトルを演算する手法など、公知の手法を用いるものとする。
【0038】
本実施形態では、図7図8に示すように、複数の紙が束となった書類を、ユーザがページをめくって撮像するという処理を繰り返して書類が撮影されたデータである電子文書データを生成する。片面印刷された紙が束となった書類であれば、表面を撮像するのみで電子文書データを生成することが可能である。しかし、両面印刷された紙が束となった書類であれば、表面だけではなく、裏面の撮像を行う必要がある。撮像した順番で電子文書データを作成する場合には、書類をめくる、撮像する、裏返すという動作が必要になり、ユーザにとって煩雑な処理を行う必要がある。
【0039】
ステップS609では、情報処理装置100のCPU101は、グレーアウトされ、ユーザの押下を受け付けることのできない書類読取ボタン702の押下を受け付けることができるようにする。このように、書類のめくり動作がなされることによって書類読取ボタン702を押下可能にすることで、同じページを複数回撮影されてしまうことを防止し、ページの順番が正しい電子文書データを生成することができる。
【0040】
ステップS610では、情報処理装置100のCPU101は、投影範囲411に載置された書類が裏返されたかを距離測定部117からの情報に基づいて判定する(取得手段に相当する)。投影範囲411に載置された書類が裏返されたと判定された場合には処理をステップS611に進め、そうでない場合には処理をステップS613に進める。裏返されたとは、表向きとなっていた書類が逆向きとなるように書類自体をひっくり返す動作のことを示している。両面印刷された束状の印刷物をめくりながら撮像を行っていくと、最後のページをめくり終わると、図8のように印刷物が2つに開かれた状態ではなく、図7のように印刷物が1つに閉じられた状態となる。そのため、投影範囲411上を撮影して得られる画像データの印刷物の占める面積が減少(半減)したことを以て、書類が裏返されたと判定してもよいし、距離測定部117から得られる赤外線の反射情報をもとに、印刷物の投影範囲411上の占める面積が減少(半減)したことによって書類が裏返されたと判断してもよい。または、ステップS608のめくり動作の検知と同様に、特徴点の移動によって裏返されたか否かを判定してもよいし、投影範囲411上に設けられる裏返しボタンの押下をユーザから受け付けることにより、書類が裏返されたと判定してもよく、その他の方法でもよい。
【0041】
ステップS611では、情報処理装置100のCPU101は、撮像データテーブル1000の次のレコードの裏返しフラグ1003を立てることを示す情報をメモリ上に記憶しておく。裏返しフラグ1003を立てることにより、書類が裏返されたことを示すタイミングを記憶する。なお、このようなフラグ管理でなくともよく、書類が裏返されたタイミングの前の撮像データと書類が裏返されたタイミングの後の撮像データが識別できれば、フラグ管理でなくともよい。
【0042】
ステップS612では、情報処理装置100のCPU101は、グレーアウトされ、ユーザの押下を受け付けることのできない書類読取ボタン702の押下を受け付けることができるようにする。このように、書類のめくり動作がなされることによって書類読取ボタン702を押下可能にすることで、同じページを複数回撮影されてしまうことを防止し、ページの順番が正しい電子文書データを生成することができる。書類読取ボタン702が押下を受け付けることができるようにしたのち、処理をステップS603に戻す。
【0043】
ステップS613では、情報処理装置100のCPU101は、ユーザから書類取り込みの終了指示を受け付けたか否かを判定する。具体的には投影範囲411の取り込み終了ボタン703が押下されたか否かを判定する。取り込み終了ボタン703が押下された場合には処理をステップS614に進め、そうでない場合には処理をステップS602に戻す。
【0044】
ステップS614では、情報処理装置100のCPU101は、撮像データテーブル1000に基づいて正常に取り込みが完了したか否かを判定する。正常に取り込みが完了したと判定された場合には処理を終了させ、正常に取り込みが完了していないと判定された場合には処理をステップS615に進める。具体的には、裏返しフラグ1003の立っている撮像順1004を特定し、特定された撮像順1004に1を減算した値を求める。図10で裏返しフラグ1003が立っている撮像順1004が「4」なので、1を減算した「3」が求まる。ここで求められた値の2倍の数の撮像データが撮像されている場合に、正常に取り込みが完了したと判定する。図10の例の場合、撮像順1004に「6」までレコードが作成されているため、「3」の2倍の数の撮像データが存在していることから正常に撮像が完了したといえる。本実施形態で撮像される書類は両面印刷された書類であることから、表面の撮像データの枚数と裏面の撮像データの枚数が一致している必要がある。つまり、表面の撮像データの枚数(第1の撮像枚数)と裏面の撮像データの枚数(第2の撮像枚数)が一致しているかどうかを判定することができれば上記手法以外の手法を用いてもよい。
【0045】
ステップS615では、情報処理装置100のCPU101は、正常に取り込みが完了していないと判定されたため、ユーザに対して正常に取り込みが完了していないことを警告表示することでユーザに通知する(警告表示制御手段に相当する)。例えば、図9に示すように警告表示901を投影範囲411に投影することにより、ユーザに対して正常に取り込みが完了していないことを通知する。このように、ユーザに対してまだ撮像が完了していないページがあることを通知して、ユーザに書類の読み取りを実行させることで、正常に書類の取り込みを完了させることができる。
【0046】
以上で図6に示すフローチャートの説明を終了する。
【0047】
次に図11のフローチャートを用いて、電子文書データ生成処理の詳細な処理の流れを説明する。
【0048】
ステップS1101では、情報処理装置100のCPU101は、外部記憶装置108に記憶される撮像データテーブル1000を参照する。
【0049】
ステップS1102では、情報処理装置100のCPU101は、ステップS1101で参照した撮像データテーブル1000の裏返しフラグ1003が立っているレコードがあるか否かを判定する。裏返しフラグ1003が立っているレコードがあると判定された場合には処理をステップS1103に進め、そうでない場合には処理をステップS1112に進める。書類が裏返された場合には自動で撮像データの順番が互い違いとなるよう電子文書データを生成し、裏返されていない場合には撮像データの順番で電子文書データを生成し、ユーザは書類を裏返す動作を行うだけで、自動的に電子文書データの順番が正しくなるよう電子文書データを生成するためユーザの使い勝手が向上する。
【0050】
ステップS1103では、情報処理装置100のCPU101は、撮像データテーブル1000で裏返しフラグ1003が立っている撮像データのID1001を特定する。
【0051】
ステップS1104では、情報処理装置100のCPU101は、ステップS1103で特定された撮像データのID1001の書類順1005(結合順に相当する)を、撮像順1004の最大の値として当てる(決定手段に相当する)。図10を用いて具体的に説明する。図10の撮像データテーブル1000の撮像順1004の最大の値は、「6」である。そして、裏返しフラグ1003が立っているID1001が「4」の書類順1005を「6」とする。
【0052】
ステップS1105では、情報処理装置100のCPU101は、撮像順1004が「1」であるレコードの書類順1005を「1」とする(決定手段に相当する)。
【0053】
ステップS1106では、情報処理装置100のCPU101は、撮像順1004が「1」であるレコードから、裏返しフラグ1003が立っているレコードの前までの書類順1005に、昇順(順方向)で奇数ページを割り当てる(決定手段に相当する)。図10の例でいうと、ID1001が「2」のレコードに「3」が、ID1001が「3」のレコードに「5」が入る。
【0054】
ステップS1107では、情報処理装置100のCPU101は、裏返しフラグ1003が立っているレコードから、撮像順1004が最大となるレコードまでの書類順1005に降順で遇数を割り当てる(決定手段に相当する)。図10で具体的に説明する。裏返しフラグ1003が立っているレコードの撮像順1004は、「6」であるため、この値を基準として降順(逆方向)で偶数ページを、割り当てていく。つまり、ID1001が「5」の書類順1005に「4」を、ID1001が「6」の書類順1005に「2」を割り当てる。ステップS1107の処理を終えた段階で、書類順1005にはすべて値が入った状態となる。
【0055】
ステップS1108では、情報処理装置100のCPU101は、保存場所1002に保存されている撮像データを画像解析など既知の手法を用いることにより白紙か否かを判定する処理を撮像データテーブル1000のレコードすべてに対して行う(白紙判定手段に相当する)。撮像データテーブル1000のレコードのうち、保存場所1002に保存されている撮像データが白紙であると一つでも判定された場合には処理をステップS1109に進め、一つも白紙の撮像データがないと判定された場合には処理をステップS1111に進める。
【0056】
ステップS1109では、情報処理装置100のCPU101は、ステップS1108で保存場所1002に保存されている撮像データが白紙であると判定されたレコードを削除する。
【0057】
ステップS1110では、情報処理装置100のCPU101は、書類順1005が昇順となるように書類順1005を割り当てなおす。ステップS1109でレコードが削除されている場合には書類順1005が連続した数字とならなくなってしまうため、連続した数字となるように書類順1005の数字を割り当てなおす。つまり、書類順1005が昇順となるように書類順1005を割り当てなおした結果、「1、2、3、4、6」という並びで数字が並んでいる場合に、「1、2、3、4、5」とするように数字を割り当てなおす。なお、必ずしもステップS1110の再割り当て処理を実行しなくてもよい。
【0058】
ステップS1111では、情報処理装置100のCPU101は、保存場所1002に保存された撮像データを、書類順1005の順番で結合された電子文書データを生成する。図12のイメージ1200Bを用いて説明する。書類順1005の順番で電子文書データを生成し、一つの電子文書データとして生成する。一方で、撮影順1004の順番で電子文書データを生成してしまうと、イメージ1200Aのように書類の順番が正しくない電子文書データが完成してしまう。
【0059】
ステップS1112では、情報処理装置100のCPU101は、保存場所1002に保存されている撮像データを画像解析など既知の手法を用いることにより白紙か否かを判定する処理を撮像データテーブル1000のレコードすべてに対して行う(白紙判定手段に相当する)。撮像データテーブル1000のレコードのうち、保存場所1002に保存されている撮像データが白紙であると一つでも判定された場合には処理をステップS1113に進め、一つも白紙の撮像データがないと判定された場合には処理をステップS1115に進める。
【0060】
ステップS1113では、情報処理装置100のCPU101は、ステップS1108で保存場所1002に保存されている撮像データが白紙であると判定されたレコードを削除する。
【0061】
ステップS1114では、情報処理装置100のCPU101は、撮像順1004が昇順となるように撮像順1004を割り当てなおす。ステップS1113でレコードが削除されている場合には撮像順1004が連続した数字とならなくなってしまうため、連続した数字となるように撮像順1004の数字を割り当てなおす。つまり、撮像順1004が昇順となるように撮像順1004を割り当てなおした結果、「1、2、3、5、6」という並びで数字が並んでいる場合に、「1、2、3、4、5」とするように数字を割り当てなおす。なお、必ずしもステップS1110の再割り当て処理を実行しなくてもよい。
【0062】
ステップS1115では、情報処理装置100のCPU101は、保存場所1002に保存された撮像データを、撮像順1004の順番(記憶手段が記憶した順)で結合された電子文書データを生成する(生成手段に相当する)。書類の裏返しがされずに撮像がされているため、撮像された順番で、電子文書データを生成している。
【0063】
ステップS1116では、情報処理装置100のCPU101は、電子文書データの向きを補正する処理を行う。具体的には、OCR(Optical Character Recognition)処理を電子文書データのすべてのページに行い、文字列の向きが一致するように、すべてのページの向きをそろえる。このように、すべてのページの向きをそろえることによって、仮に書類を裏返して撮像をユーザが実行したとしても、すべてのページの向きが正しい電子文書データを得ることができる効果がある。なお、ページの向きをそろえる処理は、ステップS1115で電子文書データを生成する処理の際に実行しても構わない。また、ステップS1116の処理は必ずしも行われなくともよい。
【0064】
ステップS1117では、情報処理装置100のCPU101は、ステップS1116で文書の向きが正しくなった状態の電子文書データを外部記憶装置108の所定の場所に保存する処理を行う。
【0065】
以上で図11に示す電子文書データ生成処理の詳細な処理の流れの説明を終了する。
【0066】
以上、本発明によれば、ユーザが煩雑な作業を行わなくとも、複数のページからなる両面印刷された書類を正しい順番の電子文書データとして生成することの可能な仕組みを提供することが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態では、撮像データに対して行われる補正処理について説明を省略したが、台形補正や、色調補正など、撮像データをユーザの視認しやすいように補正する処理を行うようにしてもよい。
【0068】
本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接、或いは遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム或いは装置の情報処理装置が前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合も本発明に含まれる。
【0069】
したがって、本発明の機能処理を情報処理装置で実現するために、前記情報処理装置にインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0070】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0071】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0072】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0073】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理を情報処理装置で実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0074】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行して情報処理装置にインストールさせて実現することも可能である。
【0075】
また、情報処理装置が、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、情報処理装置上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0076】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、情報処理装置に挿入された機能拡張ボードや情報処理装置に接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0077】
なお、前述した実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0078】
100 情報処理装置
201 CPU
202 RAM
203 ROM
204 システムバス
205 入力コントローラ
206 ビデオコントローラ
207 メモリコントローラ
208 通信I/Fコントローラ
209 キーボード
210 CRTディスプレイ
211 外部メモリ
図1
図2
図3
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図5
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図10
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図12