(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、チルト機構は、構造が簡素であり、また、コンパクトであることが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、チルト機構の構造を簡素化することができる乗物用シートを提供することを目的とする。
また、本発明は、チルト機構をコンパクト化することを目的とする。
また、本発明は、チルト機構を構成する回動部材の回動範囲を規制することを目的とする。
また、本発明は、設計の自由度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の乗物用シートは、シートクッションと、前記シートクッションの前部を上下させるチルト機構と、を備えた乗物用シートであって、前記シートクッションは、左右のフレームを構成する左右のサイドフレームを備え、前記チルト機構は、前記サイドフレームに対して第1軸線を中心に回動可能に連結され、前端部が上下に揺動することで前記シートクッションの前部を上下させる回動部材と、前記回動部材と摺接する摺接部を有するとともに、前記サイドフレームに対して前記第1軸線と異なる第2軸線を中心に回動可能に連結され、回動により前記摺接部が前記回動部材に摺接しながら前記回動部材を押し上げる押上部材と、前記押上部材を回動させる駆動部材と、を備え、前記回動部材は、一方のサイドフレームの左右方向における一方側に配置され、前記押上部材は、前記回動部材との間で前記一方のサイドフレームを挟むように、前記一方のサイドフレームの左右方向における他方側に配置されていることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、回動部材と押上部材の両方がサイドフレームの左右同じ側に配置される構成と比較して、例えば、回動部材と押上部材とが干渉しないような配置や形状などをそれほど考慮しなくても済むため、各部材を簡素な構成とすることができる。これにより、チルト機構の構造を簡素化することができる。
【0008】
前記した乗物用シートにおいて、前記一方のサイドフレームは、前記回動部材の回動方向に延びる貫通穴を有し、前記回動部材は、前記貫通穴を通って前記一方のサイドフレームの左右方向他方側に延びる被摺接部を有し、前記押上部材は、回動により前記摺接部が前記被摺接部に摺接しながら前記回動部材を押し上げる構成とすることができる。
【0009】
これによれば、回動部材の被摺接部がサイドフレームの上や下を通って押上部材側に延びる構成と比較して、回動部材や押上部材を小型化することができるので、チルト機構をコンパクト化することができる。
【0010】
前記した乗物用シートにおいて、前記押上部材は、上下方向において前記摺接部との間で前記被摺接部を挟むように設けられた規制部を有する構成とすることができる。
【0011】
これによれば、例えば、乗物の後面衝突などによって回動部材が上方へ回動しようとしたときには、被摺接部が規制部に当接することで、回動部材の回動範囲を規制することができる。
【0012】
前記した乗物用シートにおいて、前記回動部材と前記押上部材は、左右方向から見て重なって配置されている構成とすることができる。
【0013】
これによれば、例えば、回動部材と押上部材が上下方向にずれて配置されている構成と比較して、チルト機構をコンパクト化することができる。
【0014】
前記した乗物用シートにおいて、前記駆動部材は、ピニオンギヤであり、前記押上部材は、前記ピニオンギヤが噛み合うセクタギヤ部を有し、前記摺接部は、前後方向において前記セクタギヤ部と前記第2軸線との間に配置されている構成とすることができる。
【0015】
これによれば、例えば、摺接部とセクタギヤ部を第2軸線を挟んで前後に配置する構成と比較して、押上部材を前後方向に小型化することができるので、チルト機構をコンパクト化することができる。
【0016】
前記した乗物用シートは、乗物の機体に支持されるシート支持部材と、前記シートクッションを前記シート支持部材に対して昇降させる高さ調整機構と、を備え、前記高さ調整機構は、前記サイドフレームおよび前記シート支持部材に回動可能に連結されたフロントリンクを備え、前記被摺接部の左右方向外側の端は、前記フロントリンクの左右方向外側の端よりも左右方向内側に配置されている構成とすることができる。
【0017】
これによれば、被摺接部の左右方向外側への突出量を抑えることができるので、チルト機構をコンパクト化することができる。
【0018】
前記した乗物用シートは、前記駆動部材を駆動させる第1アクチュエータと、乗物の機体に支持されるシート支持部材と、前記シートクッションを前記シート支持部材に対して昇降させる高さ調整機構と、前記高さ調整機構を駆動させる第2アクチュエータと、を備え、前記第1アクチュエータは、前記第2アクチュエータよりも一方のサイドフレームの近くに取り付けられ、前記第2アクチュエータは、前記第1アクチュエータよりも他方のサイドフレームの近くに取り付けられている構成とすることができる。
【0019】
これによれば、2つのアクチュエータが片方のサイドフレームの近くに集中して取り付けられる構成と比較して、アクチュエータのサイズや配置、取付方法など、設計の自由度を向上させることができる。
【0020】
前記した乗物用シートにおいて、前記第1アクチュエータは、前記一方のサイドフレームの左右方向内側に取り付けられている構成とすることができる。
【0021】
これによれば、第1アクチュエータがサイドフレームの左右方向外側に取り付けられる構成と比較して、設計の自由度をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、チルト機構の構造を簡素化することができる。
【0023】
また、本発明によれば、回動部材がサイドフレームの貫通穴を通って押上部材側に延びる被摺接部を有し、押上部材を被摺接部に摺接しながら回動部材を押し上げる構成とすることで、チルト機構をコンパクト化することができる。
【0024】
また、本発明によれば、押上部材が規制部を有することで、回動部材の回動範囲を規制することができる。
【0025】
また、本発明によれば、回動部材と押上部材を左右方向から見て重ねて配置することで、チルト機構をコンパクト化することができる。
【0026】
また、本発明によれば、摺接部を前後方向においてセクタギヤ部と第2軸線との間に配置することで、チルト機構をコンパクト化することができる。
【0027】
また、本発明によれば、被摺接部の左右方向外側の端を高さ調整機構のフロントリンクの左右方向外側の端よりも左右方向内側に配置することで、チルト機構をコンパクト化することができる。
【0028】
また、本発明によれば、第1アクチュエータを第2アクチュエータよりも一方のサイドフレームの近くに取り付け、第2アクチュエータを第1アクチュエータよりも他方のサイドフレームの近くに取り付けることで、設計の自由度を向上させることができる。
【0029】
また、本発明によれば、第1アクチュエータを一方のサイドフレームの左右方向内側に取り付けることで、設計の自由度をより向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付の図面を参照しながら、発明の一実施形態について説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、乗物用シートに座った者から見た前後、左右、上下を基準とする。
図1に示すように、本実施形態の乗物用シートは、自動車に搭載される車両用シートSとして構成されており、シートクッションS1と、シートバックS2とを備えている。
【0032】
シートクッションS1の内部には、
図2に示すようなシートクッションフレームF1が内蔵されている。シートクッションフレームF1は、シートクッションS1の骨格を構成する部材である。シートクッションS1は、シートクッションフレームF1に、ウレタンフォームなどからなるパッド材と、布地や皮革などからなる表皮材を被せることで構成されている。
【0033】
シートクッションフレームF1は、左右のサイドフレーム11,11と、フロントフレームとしてのフロント連結パイプ12と、リアフレームおよび連結パイプとしてのリア連結パイプ13と、パンフレーム14とを備えている。
左右のサイドフレーム11,11は、シートクッションS1の左右のフレームを構成する部材であり、左右に所定の間隔をあけて離間した状態で配置されている。各サイドフレーム11は、金属板を板金加工することにより形成されており、上端および下端が左右方向内側に延出した断面形状を有している。
【0034】
フロント連結パイプ12は、左右のサイドフレーム11,11の前部同士を連結する部材であり、リア連結パイプ13は、左右のサイドフレーム11,11の後部同士を連結する部材である。フロント連結パイプ12およびリア連結パイプ13は、金属製のパイプ材から形成されている。本実施形態において、フロント連結パイプ12およびリア連結パイプ13は、左右のサイドフレーム11,11に回動可能となるように連結されている。
【0035】
図3に示すように、フロント連結パイプ12とリア連結パイプ13との間には、乗員支持部材15が架け渡された状態で配置されている。なお、乗員支持部材15は、
図2においては図示を省略している。
乗員支持部材15は、シートクッションS1に座った乗員を下から支持する部材であり、シートスプリング15Aと、連結部材15Bとを有している。
【0036】
シートスプリング15Aは、金属製の線材を左右に蛇行するようにジグザグに屈曲してなるバネであり、3つが左右に並んだ状態で設けられている。また、連結部材15Bは、3つのシートスプリング15Aを連結する樹脂製の部材であり、インサート成形により3つのシートスプリング15Aと一体に形成されている。乗員支持部材15は、各シートスプリング15Aの前端がフロント連結パイプ12に掛止され、連結部材15Bに覆われた各シートスプリング15Aの後端がリア連結パイプ13に掛止されていることで、フロント連結パイプ12とリア連結パイプ13との間に架設されている。
【0037】
パンフレーム14は、シートクッションS1に座った乗員の大腿を下から支持する部材であり、左右のサイドフレーム11,11の前端部に架け渡すように配置されている。パンフレーム14は、金属板を板金加工することにより形成されている。
【0038】
図2に戻って、車両用シートSは、シート支持部材としてのスライドレール30,30と、高さ調整機構100と、チルト機構200とをさらに備えている。
【0039】
スライドレール30,30は、シートクッションS1を前後にスライド移動させることでシートクッションS1の前後位置を調整するための機構であり、左右に所定の間隔をあけて離間した状態で配置されている。各スライドレール30は、乗物の機体としての車体に支持されており、ロアレール31と、アッパーレール32とを備えている。
ロアレール31は、金属板を板金加工することにより形成されており、前後に長く延びた形状を有している。ロアレール31は、車体の床に固定されている。
【0040】
アッパーレール32は、金属板を板金加工することにより形成されており、前後に長く延びた形状を有している。アッパーレール32は、ロアレール31に前後にスライド移動可能に係合している。アッパーレール32は、後述するリンク110,120,130,140を介してシートクッションフレームF1と接続されているため、アッパーレール32がロアレール31に対して前後にスライド移動することで、シートクッションS1が車体に対して前後にスライド移動する。アッパーレール32の上面には、前端部にリンク110,120を連結するためのリンク連結部32Aが設けられており、後部にリンク130,140を連結するためのリンク連結部32Bが設けられている。
【0041】
高さ調整機構100は、シートクッションS1をスライドレール30に対して昇降させることでシートクッションS1の高さ位置を調整するため機構である。
図4に示すように、高さ調整機構100は、左のフロントリンク110と、右のフロントリンク120と、第1リンクとしての左のリアリンク130と、右のリアリンク140と、ロッド150と、アクチュエータとしての第2アクチュエータ160と、第2リンクとしての支持リンク170とを備えている。
【0042】
フロントリンク110およびリアリンク130は、左のサイドフレーム11およびスライドレール30に回動可能に連結されていることで、左のサイドフレーム11およびスライドレール30とともに4節リンク機構を構成している。同様に、フロントリンク120およびリアリンク140は、シートクッションS1を構成する右のサイドフレーム11およびスライドレール30に回動可能に連結されていることで、右のサイドフレーム11およびスライドレール30とともに4節リンク機構を構成している。
【0043】
詳しくは、
図2に示すように、フロントリンク110,120は、その上端部が、サイドフレーム11の左右方向外側に配置され、ピン191によりサイドフレーム11の前後方向中央部付近に回動可能に連結されている。また、フロントリンク110,120の下端部は、アッパーレール32に設けられたリンク連結部32Aの左右方向内側に配置され、ピン192によりリンク連結部32Aに回動可能に連結されている。
【0044】
また、リアリンク130,140は、その上端部が、サイドフレーム11の左右方向内側に配置され、溶接によりリア連結パイプ13の左右の端部に接続されていることで、サイドフレーム11の後部にリア連結パイプ13と一体で回動可能に連結されている。また、リアリンク130,140の下端部は、アッパーレール32に設けられたリンク連結部32Bの左右方向内側に配置され、ピン194によりリンク連結部32Bに回動可能に連結されている。
【0045】
図5に示すように、左のリアリンク130は、第1連結部131と、第2連結部132と、第1連結部131と第2連結部132を接続する接続部133とを有している。
第1連結部131は、左のサイドフレーム11とスライドレール30に連結される部分であり、リア連結パイプ13が挿通されるパイプ挿通穴131Aと、ピン194が挿通されるピン挿通穴131Bとを有している。
【0046】
第2連結部132は、ロッド150に連結される部分であり、リアリンク130の下部、具体的には、ピン挿通穴131Bの下側部分からパイプ挿通穴131Aの前斜め下側部分にわたる範囲に形成されている。第2連結部132は、リアリンク130の回動軸方向に対応する左右方向において、第1連結部131に対し右側(支持リンク170側)にずれた位置に配置されている。第2連結部132の下端部には、ピン195(
図4参照)が挿通されるピン挿通穴132Aが形成されている。また、リアリンク130には、第2連結部132と、第2連結部132と第1連結部131を接続する接続部133とによって、左右方向において、第1連結部131に対して右側に向けて膨出する膨出部134が形成されている。このため、第2連結部132は、膨出部134に形成されているということもできる。
【0047】
なお、膨出部134の裏側に形成される凹部135には、高さ調整機構100による高さ調整によってシートクッションS1の高さ位置がある程度低くなったときに、左のアッパーレール32の一部が入り込むようになっている(
図11(b)参照)。つまり、膨出部134の裏側の凹部135は、他部材との干渉を避けるための逃げ部となっている。これにより、リアリンク130をスライドレール30に近づけて配置することが可能となるので、車両用シートS内のスペースを有効に利用することができる。
【0048】
図6に示すように、支持リンク170は、左右方向においてリアリンク130と並ぶように配置されている。詳しくは、支持リンク170は、リアリンク130の左右方向内側に隣接して配置されている。また、
図3に示すように、支持リンク170は、左右方向において、左右のサイドフレーム11,11の一方、具体的には、左のサイドフレーム11と、乗員支持部材15との間に配置されている。さらに説明すると、支持リンク170は、左右方向において、左のサイドフレーム11と乗員支持部材15との間に形成されるスペースに配置されている。
【0049】
図6に戻って、支持リンク170の上端部は、溶接によりリア連結パイプ13の左端部に接続されていることで、サイドフレーム11の後部にリア連結パイプ13およびリアリンク130,140(
図2参照)と一体で回動可能に連結されている。言い換えると、支持リンク170の上端部は、サイドフレーム11の後部にリアリンク130,140と同軸で回動可能に連結されている。また、さらに説明すると、リア連結パイプ13の左端部には、当該リア連結パイプ13の内側に向けて凹む形状の左右に長い凹部13Aが形成されており、支持リンク170の上端部は、左右方向において、リア連結パイプ13の凹部13Aが形成された部分と重なる位置に溶接により固定されている。
【0050】
図7に示すように、ロッド150は、軸方向、具体的には、略前後にスライド移動することでリアリンク130を回動させ、これによって、高さ調整機構100を駆動させてシートクッションS1をスライドレール30に対して昇降させる部材である。ロッド150は、略前後に延びる棒状に形成されており、前端部152の外周面にネジ溝153が形成されている。
図6に示すように、ロッド150の一端部である後端部151は、リアリンク130(第2連結部132)の下端部と支持リンク170の下端部との間に配置されている。そして、ロッド150の後端部151は、リアリンク130の下端部と支持リンク170の下端部とによって挟まれた状態で、ピン195によりリアリンク130および支持リンク170に回動可能に連結されている。ロッド150の後端部151とリアリンク130との間には、後端部151とリアリンク130との間隔を調整するためのカラー180が配置されている。
【0051】
図4に示すように、第2アクチュエータ160は、ロッド150を略前後に往復移動させて高さ調整機構100を駆動させるための機構であり、正逆回転可能なモータ161と、ギヤボックス162と、ハウジング163とを有している。
モータ161は、ギヤボックス162に固定されている。
【0052】
ギヤボックス162は、モータ161の回転駆動力を減速してロッド150に伝達するための図示しない複数のギヤを収容する部材であり、ロッド150の他端部である前端部152が挿通される図示しないロッド挿通穴を有している。ギヤボックス162内に収容されたギヤは、モータ161の軸から回転駆動力が入力される入力ギヤと、ギヤボックス162に挿通されたロッド150のネジ溝153(
図7参照)と噛み合う出力ギヤと、入力ギヤに入力された回転駆動力を減速して出力ギヤに伝達する伝達ギヤを有している。このような構成により、モータ161の軸が第1方向に回転駆動すると、ロッド150は、回転しながら略後方にスライド移動する。また、モータ161の軸が第1方向とは逆の第2方向に回転駆動すると、ロッド150は、回転しながら略前方にスライド移動する。
【0053】
ハウジング163は、モータ161およびギヤボックス162を保持する部材であり、金属板を板金加工することにより形成されている。ハウジング163は、ベース部163Aと、ベース部163Aの前後両端から上方に向けて延びる前後一対の保持部163B,163Cと、後側の保持部163Cの左右両端から後方に向けて延びる左右一対の取付部163D,163E(
図7参照)とを有している。モータ161が固定されたギヤボックス162は、一対の保持部163B,163Cの間に配置され、ネジ182(
図8参照)により一対の保持部163B,163Cに固定されている。これにより、ハウジング163は、モータ161およびギヤボックス162を保持する。一対の保持部163B,163Cには、ギヤボックス162のロッド挿通穴と連通して、ロッド150の前端部152が挿通されるロッド挿通穴163Hが形成されている。また、一対の取付部163D,163Eは、後述する第2ブラケット320に回動可能に取り付けられる部分である。
【0054】
第2アクチュエータ160は、金属製のブラケット300により左のスライドレール30に取り付けられている。
ブラケット300は、第2アクチュエータ160をスライドレール30に取り付けるための部材であり、第1ブラケット310と、第2ブラケット320とを有している。
【0055】
第1ブラケット310は、スライドレール30に固定される部材であり、第1固定部311と、第1固定部311の左右方向内側の端から略下方に向けて延びる延出部312と、延出部312の下端から左右方向内側に向けて延びる第2固定部313とを有している。また、第1ブラケット310には、前後方向中央付近に、略上方に向けて突出するビード部314が形成されている。ビード部314は、第1固定部311、延出部312および第2固定部313にわたって延びており、その上面が略平らな面となっている。
図8に示すように、第1ブラケット310は、第1固定部311がアッパーレール32の上面にボルト181,181の締結により固定されていることで、スライドレール30に固定されている。
【0056】
図4に戻って、第2ブラケット320は、第1ブラケット310に固定される部材であり、第1壁321と、第1壁321の左右両端から立ち上がる左右一対の第2壁322,322とを有する略U字の断面形状を有している。
図8に示すように、第2ブラケット320は、一対の第2壁322,322がハウジング163に形成された一対の取付部163D,163Eの間に配置され、ピン196,196により一対の取付部163D,163Eに回動可能に連結されている。これにより、第2ブラケット320の一対の第2壁322,322は、左右方向に平行な軸としてのピン196,196を中心に、第2アクチュエータ160を略上下に回動可能に保持している。
図9に示すように、第2ブラケット320は、第1壁321が第1ブラケット310の第2固定部313において図示しないボルトとナットの締結などによりビード部314の上面に固定されていることで、第1ブラケット310に固定されている。支持リンク170は、左右方向において、一対の第2壁322,322の間の位置に配置されている。
【0057】
ここで、高さ調整機構100の動作について説明する。
図10に示す状態から、第2アクチュエータ160のモータ161が第1方向に回転駆動してロッド150が略後方に向けてスライド移動すると、ロッド150によりピン195を介して左のリアリンク130の下端部が後方へ押されることで、リアリンク130がピン194を中心に図示時計回りに回動する。これにより、
図11(a)に示すように、リアリンク130が前方へ立ち上がる。また、このとき、左右のリアリンク130,140がリア連結パイプ13により接続されていることで、右のリアリンク140も、リアリンク130とともに回動して前方へ立ち上がる。そして、リアリンク130,140が前方へ立ち上がることにより、フロントリンク110,120も回動して前方へ立ち上がり、これによって、サイドフレーム11(シートクッションフレームF1)をスライドレール30に対して上昇させることができる。その結果、シートクッションS1の高さ位置を高くすることができる。
【0058】
一方、
図10に示す状態から、第2アクチュエータ160のモータ161が第1方向とは逆の第2方向に回転駆動してロッド150が略前方に向けてスライド移動すると、ロッド150によりピン195を介して左のリアリンク130の下端部が前方へ引っ張られることで、リアリンク130がピン194を中心に図示反時計回りに回動する。これにより、
図11(b)に示すように、リアリンク130が後方へ倒れる。また、このとき、右のリアリンク140も、リアリンク130とともに回動しながら後方へ倒れる。そして、リアリンク130,140が後方へ倒れることにより、フロントリンク110,120も回動して後方へ倒れ、これによって、サイドフレーム11(シートクッションフレームF1)をスライドレール30に対して下降させることができる。その結果、シートクッションS1の高さ位置を低くすることができる。なお、このとき、リアリンク130の膨出部134の裏側の凹部135に、左のアッパーレール32の一部が入り込むことで、アッパーレール32とリアリンク130との干渉を抑制している。
【0059】
図12に示すように、チルト機構200は、シートクッションS1の前部を上下させることでシートクッションS1の座面の水平面に対する角度を調整するための機構である。チルト機構200は、左の回動フレーム210と、回動部材としての右の回動フレーム220と、左の押上リンク230(
図13参照)と、押上部材としての右の押上リンク240と、駆動部材としてのピニオンギヤ250と、第1アクチュエータ260とを備えている。なお、本実施形態においては、回動フレーム210,220が略左右対称に形成されているため、以下では、右の回動フレーム220の構成について詳細に説明し、左の回動フレーム210については同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
図13に示すように、回動フレーム220は、金属板を板金加工することにより形成されたフレーム本体21と、被摺接部22Aを形成するピン22とを有している。
フレーム本体21は、側部23と、側部23の上端から左右方向内側に向けて延びるフレーム固定部24とを有している。側部23には、ピン22の先端部が挿通されるピン挿通穴23Aが形成されている。ピン22は、サイドフレーム11の左右方向内側から、押上リンク240に形成された貫通穴242と、サイドフレーム11に形成された貫通穴11Aを通って、先端部がピン挿通穴23Aに挿通された状態で側部23に溶接などにより固定されている。サイドフレーム11の貫通穴11Aは、回動フレーム220のピン291を中心とした回動方向に延びる円弧状に形成されている。貫通穴11Aは、左右のサイドフレーム11,11に左右対称となるように形成されている。
【0061】
図14に示すように、被摺接部22Aは、ピン22の軸部分であり、サイドフレーム11の貫通穴11Aを通ってサイドフレーム11の左右方向内側に延びるように設けられている。被摺接部22Aの左右方向外側の端、つまり、ピン22の先端面22Bは、フロントリンク120の左右方向外側の端である外側面121よりも左右方向内側に配置されている。言い換えると、ピン22は、フロントリンク120よりも左右方向外側に飛び出さないように配置されている。なお、図示は省略するが、本実施形態においては、左の回動フレーム210の被摺接部22Aの左右方向外側の端も、フロントリンク110の外側面左右方向外側の端よりも左右方向内側に配置されている。
【0062】
図13に戻って、回動フレーム220は、側部23が右のサイドフレーム11の左右方向における一方側、具体的には、外側に隣接して配置され、フレーム固定部24がサイドフレーム11の上面に対向して配置されている。また、回動フレーム220は、右のサイドフレーム11に対して左右方向に平行な第1軸線L1を中心に回動可能に連結されている。詳しくは、回動フレーム220は、側部23の後端部が、ピン291によりサイドフレーム11の前後方向中央部付近に上下に回動可能に連結されている。
【0063】
図12に示すように、パンフレーム14は、左右の回動フレーム210,220のフレーム固定部24,24の上に架け渡すように配置され、左右の端部がフレーム固定部24,24に固定されている。回動フレーム210,220は、その前端部がサイドフレーム11に対して上下に揺動することで、シートクッションS1の前部を構成するパンフレーム14を上下に揺動させるようになっている。
【0064】
図13に示すように、押上リンク230,240は、回動フレーム210,220を押し上げることで回動フレーム210,220を上に揺動させるための部材である。
【0065】
押上リンク240は、前後に長い板状の部材であり、パイプ挿通穴241と、貫通穴242と、セクタギヤ部243とを有している。
パイプ挿通穴241は、フロント連結パイプ12が挿通される穴であり、押上リンク240の後端部に形成されている。
セクタギヤ部243は、ピニオンギヤ250が噛み合う部分であり、押上リンク240の前端に形成されている。
【0066】
貫通穴242は、前後に長い穴であり、前後方向において、パイプ挿通穴241とセクタギヤ部243との間に形成されている。貫通穴242の内周面は、下側の面が摺接部245となっており、上側の面が規制部246となっている。摺接部245は、回動フレーム220の被摺接部22Aに下から当接し、回動フレーム220を押し上げる際に被摺接部22Aと摺接する部分である。摺接部245は、前後方向において、貫通穴242がセクタギヤ部243とパイプ挿通穴241との間に形成されていることで、セクタギヤ部243とパイプ挿通穴241(第2軸線L2(
図16参照))との間に配置されている。また、規制部246は、上下方向において、摺接部245と対向し、摺接部245との間で被摺接部22Aを挟むように設けられている。
【0067】
押上リンク240は、回動フレーム220との間で右のサイドフレーム11を挟むように、右のサイドフレーム11の左右方向における他方側、具体的には、内側に隣接して配置されている。また、押上リンク240と回動フレーム220の側部23とは、左右方向から見て、一部が重なって配置されている(
図16参照)。また、押上リンク240は、サイドフレーム11に対して、左右方向に平行であり、かつ、第1軸線L1と異なる第2軸線L2(
図16参照)を中心に回動可能に連結されている。詳しくは、押上リンク240は、パイプ挿通穴241にフロント連結パイプ12の右端部が挿通された状態で溶接によりフロント連結パイプ12に接続されており、これによって、サイドフレーム11にフロント連結パイプ12と一体で上下に回動可能に連結されている。
【0068】
押上リンク230は、前後に長い板状の部材であり、パイプ係合部231と、貫通穴242とを有している。
パイプ係合部231は、フロント連結パイプ12に係合する下に向けて開放された凹部であり、押上リンク230の後端部に形成されている。
貫通穴242は、前後に長い穴であり、押上リンク230の前端部に形成されている。貫通穴242は、右の押上リンク240の貫通穴242と同様に、内周面の下側の面が摺接部245となっており、上側の面が規制部246となっている。
【0069】
押上リンク230は、回動フレーム210との間で左のサイドフレーム11を挟むように、左のサイドフレーム11の左右方向における内側に隣接して配置されている。また、押上リンク230と回動フレーム210の側部23とは、右の押上リンク240と回動フレーム220の側部23と同様に(
図16参照)、左右方向から見て、一部が重なって配置されている。また、押上リンク230は、パイプ係合部231がフロント連結パイプ12の左端部に係合した状態で溶接によりフロント連結パイプ12に接続されており、これによって、サイドフレーム11にフロント連結パイプ12と一体で上下に回動可能に連結されている。左右の押上リンク
230,240は、フロント連結パイプ12によって接続されているため、一体に回動する。
【0070】
ピニオンギヤ250は、押上リンク240を回動させる部材であり、押上リンク240の前側の位置で右のサイドフレーム11に回転可能に支持されている。
【0071】
図15に示すように、第1アクチュエータ260は、ピニオンギヤ250を回転駆動させてチルト機構200を駆動させるための機構であり、正逆回転可能なモータ261と、ギヤボックス262とを主に有している。
ギヤボックス262は、モータ261の回転駆動力を減速してピニオンギヤ250に伝達するための図示しない複数のギヤを収容する部材である。ギヤボックス262内に収容されたギヤは、モータ261の軸から回転駆動力が入力される入力ギヤと、ピニオンギヤ250と噛み合う出力ギヤと、入力ギヤに入力された回転駆動力を減速して出力ギヤに伝達する伝達ギヤを有している。このような構成により、モータ261の軸が第3方向に回転駆動すると、ピニオンギヤ250は、図示反時計回りに回転する。また、モータ161の軸が第3方向とは逆の第4方向に回転駆動すると、ピニオンギヤ250は、図示時計回りに回転する。
【0072】
第1アクチュエータ260は、ネジ281により第3ブラケット410に取り付けられている。一方、右のサイドフレーム11の前端部の左右方向内側の面には、溶接などにより第4ブラケット420が取り付けられている。第1アクチュエータ260は、第3ブラケット410がネジ282により第4ブラケット420に固定されることで、ブラケット410,420を介して右のサイドフレーム11に取り付けられている。
【0073】
本実施形態において、第1アクチュエータ260は、第2アクチュエータ160よりも右のサイドフレーム11(一方のサイドフレーム11)の近く、具体的には、右のサイドフレーム11の左右方向内側に取り付けられている。一方、
図2に示すように、第2アクチュエータ160は、第1アクチュエータ260よりも左のサイドフレーム11(他方のサイドフレーム11)の近く、具体的には、左のスライドレール30を構成するアッパーレール32の上面に取り付けられている。つまり、本実施形態では、第1アクチュエータ260が車両用シートSの右に配置され、第2アクチュエータ160が車両用シートSの左に配置されている。
【0074】
ここで、チルト機構200の動作について説明する。
図16に示す状態から、第1アクチュエータ260のモータ261(
図15参照)が第3方向に回転駆動してピニオンギヤ250が図示反時計回りに回転すると、右の押上リンク240がフロント連結パイプ12を中心に上方へ回動する。また、このとき、左右の押上リンク230,240がフロント連結パイプ12により接続されていることで、左の押上リンク230も、押上リンク240とともに上方へ回動する。そうすると、
図17に示すように、押上リンク230,240は、上方への回動により摺接部245が回動フレーム210,220の被摺接部22Aに摺接しながら、被摺接部22Aを介して回動フレーム210,220を上方へ押し上げる。これにより、回動フレーム210,220がピン291を中心に上方へ揺動し、これに伴って、回動フレーム210,220に架け渡されたパンフレーム14が上方へ揺動する。その結果、シートクッションS1の前部が上昇し、シートクッションS1の座面の水平面に対する角度を大きくすることができる。
【0075】
一方、
図17に示す状態から、第1アクチュエータ260のモータ261が第3方向とは逆の第4方向に回転駆動してピニオンギヤ250が図示時計回りに回転すると、右の押上リンク240がフロント連結パイプ12を中心に下方へ回動する。また、このとき、左の押上リンク230も、押上リンク240とともに下方へ回動する。そうすると、
図16に示すように、回動フレーム210,220およびパンフレーム14は、自重や乗員の体重によって被摺接部22Aが摺接部245に摺接しながらピン291を中心に下方へ揺動する。その結果、シートクッションS1の前部が下降し、シートクッションS1の座面の水平面に対する角度を小さくすることができる。
【0076】
以上説明した本実施形態によれば、高さ調整機構100において、ロッド150の後端部151がリアリンク130と支持リンク170の間に配置されてリアリンク130および支持リンク170に回動可能に連結されているので、ロッド150の後端部151をリアリンク130と支持リンク170とによって回動軸方向の両側から支持することができる。これにより、リンク130,170がねじれることなく安定して動作することができる。
【0077】
また、リアリンク130の第2連結部132が第1連結部131に対し支持リンク170側にずれた位置に配置されているので、第2連結部132の支持リンク170側とは反対側にスペースを確保することができる。これにより、当該スペースの分、リアリンク130を、左のスライドレール30などの隣接する部材に近づけて配置することができるので、車両用シートS内のスペースを有効に利用することができる。
【0078】
また、リアリンク130が第2連結部132が形成された膨出部134を有するので、リアリンクがフラットな板状である構成と比較して、膨出部134によりリアリンク130の剛性を向上させることができる。
【0079】
また、支持リンク170がリア連結パイプ13の凹部13Aが形成された部分に固定されているので、支持リンク170の取付剛性を向上させることができる。
【0080】
また、支持リンク170が左右方向において左のサイドフレーム11と乗員支持部材15との間に形成されるスペースに配置されているので、車両用シートS内のスペースを有効に利用することができる。また、乗員支持部材15と支持リンク170の干渉を抑制することができる。
【0081】
また、第1ブラケット310がビード部314を有し、第2ブラケット320がビード部314に固定されているので、第1ブラケット310はビード部314により剛性が向上し、この剛性が高い部分に第2ブラケット320を固定することで、第2ブラケット320の取付剛性を向上させることができる。これにより、第2アクチュエータ160の取付剛性を向上させることができる。
【0082】
また、支持リンク170が左右方向において一対の第2壁322,322の間の位置に配置されているので、左右方向において支持リンク170をコンパクトに配置することができる。これにより、車両用シートS内のスペースを有効に利用することができる。
【0083】
また、チルト機構200において、回動フレーム210,220がサイドフレーム11の左右方向外側に配置され、押上リンク230,240が対応する回動フレーム210,220との間でサイドフレーム11を挟むように、サイドフレーム11の左右方向内側に配置されているので、一対の回動フレームと押上リンクの両方がサイドフレームの左右同じ側に配置される構成と比較して、例えば、回動フレーム210,220と対応する押上リンク230,240とが干渉しないような配置や形状などをそれほど考慮しなくても済む。これにより、各部材を簡素な構成とすることができるので、チルト機構200の構造を簡素化することができる。
【0084】
また、押上リンク230,240の摺接部245がサイドフレーム11の貫通穴11Aを通ってサイドフレーム11の左右方向内側に延びる被摺接部22Aに摺接しながら回動フレーム210,220を押し上げるので、回動フレームの被摺接部がサイドフレームの上や下を通って押上リンク側に延びる構成と比較して、回動フレーム210,220や押上リンク230,240を小型化することができる。これにより、チルト機構200をコンパクト化することができる。
【0085】
また、押上リンク230,240が規制部246を有するので、例えば、車両の後面衝突などによって回動フレーム210,220が上方へ回動しようとしたときには、被摺接部22Aが規制部246に当接することで、回動フレーム210,220の上方への回動を規制することができる。
【0086】
また、回動フレーム210,220と押上リンク230,240が左右方向から見て重なって配置されているので、例えば、回動フレームと押上リンクが上下方向にずれて配置されている構成と比較して、チルト機構200をコンパクト化することができる。
【0087】
また、摺接部245が前後方向においてセクタギヤ部243とパイプ挿通穴241(第2軸線L2)との間に配置されているので、例えば、摺接部とセクタギヤ部を第2軸線を挟んで前後に配置する構成と比較して、押上リンク240を前後方向に小型化することができる。これにより、チルト機構200をコンパクト化することができる。
【0088】
また、被摺接部22Aを形成するピン22の先端面22Bがフロントリンク120の外側面121よりも左右方向内側に配置されているので、ピン22(被摺接部22A)の左右方向外側への突出量を抑えることができる。これにより、チルト機構200を左右方向にコンパクト化することができる。
【0089】
また、第1アクチュエータ260が車両用シートSの右に配置され、第2アクチュエータ160が車両用シートSの左に配置されているので、2つのアクチュエータが片方のサイドフレームの近くに集中して取り付けられる構成と比較して、第2アクチュエータ160のサイズや配置、取付方法など、設計の自由度を向上させることができる。
【0090】
また、第1アクチュエータ260が右のサイドフレーム11の左右方向内側に取り付けられているので、第1アクチュエータがサイドフレームの左右方向外側に取り付けられる構成と比較して、設計の自由度をより向上させることができる。
【0091】
以上、実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、乗物の機体に支持されるシート支持部材としてスライドレール30を例示したが、これに限定されない。例えば、シート支持部材は、車両用シートを車体の床に固定するためのブラケットなどであってもよい。また、シート支持部材は、車体自体であってもよい。
【0092】
また、前記実施形態では、乗員支持部材15が、シートスプリング15Aと、シートスプリング15Aを連結する連結部材15Bとを有する構成であったが、これに限定されない。例えば、乗員支持部材は、連結部材を備えずに、左右に並ぶ複数のシートスプリングから構成されていてもよい。つまり、シートスプリングは、連結されていなくてもよい。なお、
図3を参考にして説明すると、乗員支持部材が、連結部材15Bを備えずに、左右に並ぶシートスプリング15Aから構成されている場合には、支持リンク170を、左のサイドフレーム11と、左のサイドフレーム11の最も近くに配置されたシートスプリング15A(最も左に配置されたシートスプリング15A)との間に配置する構成とすることができる。
【0093】
また、前記実施形態では、第2アクチュエータ160が2部品からなるブラケット300を介して左のアッパーレール32に取り付けられ、第1アクチュエータ260が2つのブラケット410,420を介して右のサイドフレーム11に取り付けられていたが、これに限定されない。例えば、アクチュエータを取り付けるためのブラケットは、1部品から構成されていてもよいし、3部品以上から構成されていてもよい。
【0094】
また、前記実施形態では、押上リンク240の摺接部245と規制部246が左右方向から見て閉じられた貫通穴242に設けられていたが、これに限定されない。例えば、
図13を参考にして説明すると、摺接部245と規制部246は、貫通穴242ではなく、左右方向から見て、前側が開放され、後方に向けて凹む形状の凹部に設けられていてもよい。また、押上リンクは、規制部を備えずに、摺接部の上方が開放された構成、例えば、押上リンクの上面が摺接部であるような構成であってもよい。また、前記実施形態では、回動フレーム220がサイドフレーム11の貫通穴11Aを通って内側に延びる被摺接部22Aを有し、押上リンク240が摺接部245で被摺接部22Aを押し上げるように構成されていたが、これに限定されない。例えば、押上リンクが、サイドフレーム11の貫通穴11Aを通って外側に延びる摺接部を有し、この摺接部で回動フレーム220の側部23を押し上げるように構成されていてもよい。また、押上リンクが、回動フレーム220のフレーム固定部24を押し上げるように構成されていてもよい。
【0095】
また、前記実施形態では、第1アクチュエータ260が右のサイドフレーム11の近くに取り付けられ、第2アクチュエータ160が左のサイドフレーム11の近くに取り付けられていたが、これに限定されない。例えば、第1アクチュエータが左のサイドフレームの近くに取り付けられ、第2アクチュエータが右のサイドフレームの近くに取り付けられていてもよい。つまり、第1アクチュエータが車両用シートの左に配置され、第2アクチュエータが車両用シートの右に配置されていてもよい。そして、この場合には、高さ調整機構のロッドや支持リンクを車両用シートの右に配置し、チルト機構のピニオンギヤやセクタギヤ部を有する押上リンクを車両用シートの左に配置してもよい。また、第1アクチュエータと第2アクチュエータの両方を車両用シートの左右同じ側に配置してもよい。また、同じ側に配置する場合、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータの一方をサイドフレームの左右方向内側に取り付け、他方をサイドフレームの左右方向外側に取り付けてもよい。
【0096】
また、前記実施形態では、支持リンク170(第2リンク)が、リア連結パイプ13を介してシートクッションS1を構成するサイドフレーム11にリアリンク130(第1リンク)と同軸で回動可能に連結されていたが、これに限定されない。例えば、第2リンクは、シート支持部材としてのスライドレールに第1リンクと同軸で回動可能に連結されていてもよい。また、第2リンクは、シートクッションおよびシート支持部材の両方に第1リンクと同軸で回動可能に連結されていてもよい。また、前記実施形態では、第2リンクとして、2つのリアリンク130,140の間に配置された支持リンク170を例示したが、これに限定されず、例えば、第1リンクが左右のリアリンクの一方である場合、第2リンクは、左右のリアリンクの他方であってもよい。
【0097】
また、前記実施形態では、第1リンクとしてのリアリンク130が、リア連結パイプ13を介してサイドフレーム11に回動可能に連結されていたが、これに限定されず、例えば、前記実施形態のフロントリンク110,120などと同様に、ピンなどによりサイドフレームに回動可能に連結されていてもよい。また、前記実施形態では、第1リンクとしてのリアリンク130が、第1連結部131や第2連結部132、膨出部134を有していたが、これに限定されず、例えば、第1リンクは、前記実施形態のリアリンク140のような、フラットな板状のリンクであってもよい。また、前記実施形態では、第1リンクとしてリアリンク130を例示したが、これに限定されず、例えば、第1リンクは、フロントリンクであってもよい。
【0098】
また、前記実施形態では、車両用シートSが高さ調整機構100を備えていたが、これに限定されず、高さ調整機構を備えない構成であってもよい。
【0099】
また、前記実施形態では、乗物用シートとして自動車に搭載される車両用シートSを例示したが、これに限定されず、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などに搭載される乗物用シートであってもよい。