【文献】
Digital Private Mobile Radio (dPMR) using FDMA with a channel spacing of 6,25kHz,ETSI TS 102 658[online],インターネット<URL:http://www.etsi.org/deliver/et,2015年 7月29日,V2.5.1,p.23-24,53-54,130-133,140,234-235
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定部は、通信用の前記チャネルの内、前記割り当て可能なチャネルの割合を示す余裕率が第1の閾値以下である場合に、前記割り当て可能なチャネルが不足していると判定する請求項1または2に記載のマルチサイトトランキングシステム。
前記判定部は、前記制御信号の送受信を行う少なくとも1つの前記レピータの前記チャネルで待ち受け状態にある前記無線端末の数の合計が第2の閾値以上である場合に、前記割り当て可能なチャネルが不足していると判定する請求項1から3のいずれか1項に記載のマルチサイトトランキングシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レピータシステムのアンテナの設置位置によっては、レピータシステムのカバレッジエリア内に不感地帯が存在する。そこで、該レピータシステムを主サイトとし、不感地帯での通信を可能にするための従サイトとして他のレピータシステムを設けることがある。これにより、無線端末が主サイト内の不感地帯に移動した場合であっても、従サイトであるレピータシステムを介して通信を行うことが可能である。
【0006】
従サイトは、主サイトのカバレッジエリアを補うために設けられるため、主サイトと比べてチャネル数が少ない場合がある。ETSI(European Telecommunications Standards Institute:欧州電気通信標準化機構) TS102 658の規格では、レピータシステムが、該レピータシステムに登録されている無線端末に、他のレピータシステムのチャネルでの待ち受けを指示するVote Now信号を送信することが定められている。従サイトとして設けられたレピータシステムが、該レピータシステムに登録されている無線端末に、主サイトでの待ち受けを指示するVote Now信号を送信することで、従サイトであるレピータシステムにおける通信用チャネルの不足を抑制することができる。従サイトであるレピータシステムは、一定間隔でVote Now信号を送信する。そのため、従サイトの通信用チャネルが不足していない場合であっても、無線端末においてレピータシステムの切り替え処理が発生することがある。この切替処理中、すなわち、他のサイトのダウンリンク信号の信号強度検出を開始してから、該信号強度が十分であるために他のサイトへの登録を要求し、他のサイトへの登録が完了するまでの間は、該無線端末は、他の無線端末と通信をすることができないという課題がある。
【0007】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、無線端末においてレピータシステムの不要な切り替え処理を抑制しながら、無線端末の間の通信に割り当て可能なチャネルが不足することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る
マルチサイトトランキングシステムは、
無線端末と、
主サイトと、
従サイトと、を備え、
前記主サイトは、それぞれに固有のチャネルが割り当てられる複数のレピータと該複数のレピータを制御するレピータコントローラとを有するレピータシステムであって、前記無線端末の間の通信を中継し、
前記従サイトは、それぞれに固有のチャネルが割り当てられる複数のレピータ
と該複数のレピータを制御するレピータコントローラ
とを有するレピータシステムであって、
前記主サイトのカバレッジエリアを補って前記無線端末の間の通信を中継し、
前記従サイトが有する前記レピータコントローラは、
前記無線端末からの他の
前記無線端末との通信要求に応じて、前記チャネルを前記無線端末の間の通信に割り当て、該チャネルを有する前記レピータに前記無線端末の間の通信を中継させる割当部と、
前記無線端末の間の通信に割り当て可能なチャネルが不足しているか否かを判定する判定部と、
前記判定部で前記割り当て可能なチャネルが不足していると判定された場合に、制御信号の送受信を行う少なくとも1つの前記レピータを制御して、該レピータから該レピータの前記チャネルで待ち受け状態にある前記無線端末に対し、
前記主サイトが有する前記レピータコントローラが制御する、前記制御信号の送受信を行う前記レピータの前記チャネルでの待ち受けを指示する切替信号を送信させる切替制御部と、
を有し、
前記無線端末は、前記切替信号を受信すると、前記主サイトが有する前記レピータコントローラが制御する、前記制御信号の送受信を行う前記レピータの前記チャネルの通信品質を検出し、該チャネルの通信品質が十分であると判定した場合には、該チャネルに待ち受けチャネルを移動する。
【0009】
好ましくは、
前記従サイトが有する前記レピータコントローラは、他の前記レピータコントローラから、前記割り当て可能なチャネルが不足しているか否かを示す判定結果を取得する判定結果取得部をさらに備え、
前記切替制御部は、前記判定部で前記割り当て可能なチャネルが不足していると判定された場合であって、前記判定結果取得部で取得した前記判定結果が前記割り当て可能なチャネルが不足していないことを示している場合に、前記制御信号の送受信を行う少なくとも1つの前記レピータを制御して、該レピータから該レピータの前記チャネルで待ち受け状態にある前記無線端末に対し、前記切替信号を送信させる。
【0010】
好ましくは、前記判定部は、通信用の前記チャネルの内、前記割り当て可能なチャネルの割合を示す余裕率が第1の閾値以下である場合に、前記割り当て可能なチャネルが不足していると判定する。
【0011】
好ましくは、前記判定部は、前記制御信号の送受信を行う少なくとも1つの前記レピータの前記チャネルで待ち受け状態にある前記無線端末の数の合計が第2の閾値以上である場合に、前記割り当て可能なチャネルが不足していると判定する。
【0014】
本発明の第
2の観点に係るサイト切替方法は、
無線端末と、それぞれに固有のチャネルが割り当てられる複数のレピータと該複数のレピータを制御するレピータコントローラとを有するレピータシステムであって、前記無線端末の間の通信を中継する主サイトと、それぞれに固有のチャネルが割り当てられる複数のレピータ
と該複数のレピータを制御する
レピータコントローラとを有するレピータシステムであって、前記主サイトのカバレッジエリアを補って前記無線端末の間の通信を中継する従サイトと、を備えるマルチサイトトランキングシステムの前記従サイトが有する前記レピータコントローラが行うサイト切替方法であって、
前記無線端末の間の通信に割り当て可能なチャネルが不足しているか否かを判定し、
前記割り当て可能なチャネルが不足していると判定した場合に、制御信号の送受信を行う少なくとも1つの前記レピータを制御して、該レピータから該レピータの
前記チャネルで待ち受け状態にある前記無線端末に対し、
前記主サイトが有する前記レピータコントローラが制御する、
前記制御信号の送受信を行う前記レピータの前記チャネルでの待ち受けを指示する切替信号を送信させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、割り当て可能なチャネルが不足していると判定した場合に、制御信号の送受信を行うレピータのチャネルで待ち受け状態にある無線端末に対し、他のレピータコントローラが制御する、制御信号の送受信を行うレピータのチャネルでの待ち受けを指示する切替信号を送信することで、無線端末におけるレピータシステムの不要な切り替え処理を抑制しながら、無線端末の間の通信に割り当て可能なチャネルが不足することを抑制することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るマルチサイトトランキングシステムの構成例を示すブロック図である。マルチサイトトランキングシステム1は、ネットワーク2を介して接続される複数のレピータシステム4a,4bを備える。レピータシステム4aは、レピータコントローラ5aおよび複数のレピータ6a_1,6a_2,6a_3,・・・,6a_nを備える。レピータシステム4bは、レピータコントローラ5bおよび複数のレピータ6b_1,6b_2,6b_3,・・・,6b_nを備える。レピータコントローラ5aは、複数のレピータ6a_1,6a_2,6a_3,・・・,6a_nを制御する。レピータコントローラ5bは、複数のレピータ6b_1,6b_2,6b_3,・・・,6b_nを制御する。
図1の例では、レピータシステム4aのカバレッジエリア3aに無線端末7a,7bが位置し、レピータシステム4bのカバレッジエリア3bに無線端末7c,7dが位置する。
【0020】
以下の説明において、カバレッジエリア3は、カバレッジエリア3a,3bの内、任意のカバレッジエリアを意味し、レピータシステム4は、レピータシステム4a,4bの内、任意のレピータシステムを意味し、レピータコントローラ5は、レピータコントローラ5a,5bの内、任意のレピータコントローラを意味する。レピータ6aは、レピータ6a_1,6a_2,6a_3,・・・,6a_nの内、任意のレピータを意味し、レピータ6bは、レピータ6b_1,6b_2,6b_3,・・・,6b_nの内、任意のレピータを意味する。またレピータ6は、レピータ6a,6bの内、任意のレピータを意味する。無線端末7は、無線端末7a,7b,7c,7dの内、任意の無線端末を意味する。各レピータ6には、固有のチャネルが割り当てられる。各レピータ6に割り当てられるチャネルは、マルチサイトトランキングシステム1全体で固有のチャネルであることが好ましい。しかしながら、例えばカバレッジエリア3a,3bが混線が生じない程度に十分に離れている場合には、レピータ6aに割り当てられるチャネルの周波数と、レピータ6bに割り当てられるチャネルの周波数とが重複していてもよい。
【0021】
マルチサイトトランキングシステム1は、専用制御方式および分散型制御方式のいずれでもよい。専用制御方式の場合は、レピータシステム4のそれぞれにおいて、複数のレピータ6の内、いずれかのレピータ6のチャネルが制御チャネルに割り当てられる。例えば、無線端末7aは、レピータシステム4aの制御チャネルとなるレピータ6aに登録を要求し、レピータコントローラ5aがレピータシステム4aへの無線端末7aの登録を行う。その後、無線端末7aは、制御チャネルで待ち受けをし、通信する際には、制御チャネルを介して送信される制御信号に応じて、他のレピータ6aのチャネルである通信用チャネルに移動し、通信を行う。
【0022】
分散型制御方式の場合は、レピータシステム4のそれぞれにおいて、レピータシステム4を構成する複数のレピータ6の内、いずれかのレピータ6がコレクトレピータに割り当てられる。例えば、無線端末7aはコレクトレピータに割り当てられたレピータ6aに登録を要求し、該レピータ6aがレピータシステム4aへの無線端末7aの登録を行い、いずれかのレピータ6aを無線端末7aのホームレピータとして割り当てる。その後、無線端末7aは、ホームレピータのチャネルで待ち受けをし、通信する際には、ホームレピータから送信される制御信号に応じて、他のレピータ6aのチャネルである通信用チャネルに移動し、通信を行う。
【0023】
マルチサイトトランキングシステム1は主サイトであるレピータシステム4と従サイトであるレピータシステム4とを備える。例えば、レピータシステム4aが主サイトとして動作し、レピータシステム4bが、従サイトとして動作する。従サイトとして動作するレピータシステム4bは、無線端末7の間の通信に割り当て可能なチャネルが不足しているか否かを判定する。レピータシステム4bは、割り当て可能なチャネルが不足していると判定した場合に、制御信号の送受信を行う少なくとも1つのレピータ6bから、該レピータ6bのチャネルで待ち受け状態にある無線端末7c,7dにレピータシステム4aでの待ち受けを指示する切替信号を送信する。制御信号の送受信を行うレピータ6は、専用制御方式の場合は制御チャネルとなるレピータ6であり、分散型制御方式の場合はホームレピータとなるレピータ6である。従サイトとして動作するレピータシステム4bでチャネルが不足している場合に、待ち受け状態にある無線端末7c,7dにレピータシステム4aのチャネルでの待ち受けを促すことで、無線端末7c,7dにおけるレピータシステム4の不要な切り替え処理を抑制しながら、レピータシステム4bにおいて無線端末7の間の通信に割り当て可能なチャネルが不足することを抑制することが可能である。
【0024】
専用制御方式であるマルチサイトトランキングシステム1を例にして、マルチサイトトランキングシステム1の各部の動作について説明する。無線端末7aが無線端末7cとの通信を要求する場合を例にして説明する。
図1に示すように、無線端末7aはレピータシステム4aに登録されており、無線端末7cはレピータシステム4bに登録されている。無線端末7aは、制御チャネルとなるレピータ6aに無線端末7cとの通信を要求し、該レピータ6aは、無線端末7aからの通信要求をレピータコントローラ5aに送る。レピータコントローラ5aは、無線端末7cは、レピータシステム4aに登録されていないため、コントロールサーバ8に通信要求を送信する。コントロールサーバ8は、レピータシステム4bのレピータコントローラ5bに該通信要求を転送する。無線端末7cはレピータシステム4bに登録されているため、レピータコントローラ5bは、無線端末7cにACK(ACKnowledgement)要求を送信する。レピータコントローラ5bは、無線端末7cからACKを受信すると、コントロールサーバ8にACKを転送し、無線端末7cに通信用チャネルを割り当てる。コントロールサーバ8は、受信したACKをレピータコントローラ5aに転送する。レピータコントローラ5aは、ACKを受信すると、無線端末7aに通信用チャネルを割り当てる。これにより、無線端末7a,7cの通信が可能になる。
【0025】
図2は、実施の形態1に係る無線端末の構成例を示すブロック図である。無線端末7(7a,7b,7c,7d)はそれぞれ、アンテナ70、送受信切替部71、送信部72、ベースバンド処理部73、A−D(Analog-to-Digital)変換器74、マイク75、受信部76、品質検出部77、ベースバンド処理部78、D−A(Digital-to-Analog)変換器79、スピーカ80、コントローラ10、表示部15、および操作部16を備える。コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)11、RAM(Random Access Memory)13、およびROM(Read-Only Memory)14を備える。
【0026】
複雑化を避け、理解を容易にするために、コントローラ10から各部への信号線が省略されているが、コントローラ10は無線端末7の各部にI/O(Input/Output)12を介して接続しており、各部の処理の開始、終了、処理内容の制御を行う。CPU11は、ROM14に記憶されている制御プログラムを実行して、無線端末7の制御を行う。またI/O12を介して操作部16から入力されるコマンドやデータ、およびベースバンド処理部78から得られるデータを処理してRAM13に一時的に記憶し、必要に応じて記憶したコマンドやデータをLCD(Liquid Crystal Display)などから構成される表示部15に表示する。
【0027】
操作部16により発信操作がされ、上述の手順により無線端末7の間の通信が確立された場合に、無線端末7は送信モードとなる。無線端末7が送信モードである場合には、マイク75は音声入力に応じてアナログの音声信号をA−D変換器74に出力する。A−D変換器74は、マイク75からの音声信号をアナログからデジタルに変換してベースバンド処理部73に出力する。ベースバンド処理部73は、A−D変換器74からの音声信号のデータ、または、コントローラ10のRAM13に記憶されているデータに基づいて、予め定められたフォーマットの通信フレームを生成して送信部72に出力する。送信部72は、ベースバンド処理部73が生成した通信フレームを変調して、送受信切替部71およびアンテナ70を介してレピータ6に送信する。送信部72で用いる変調方式は、例えばGMSK(Gaussian filtered Minimum Shift Keying)、PSK(Phase Shift Keying)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、FSK(Frequency Shift Keying)などである。
【0028】
無線端末7が待ち受け状態である場合または上述の手順により無線端末7の間の通信が確立され、通信を受信している状態である場合、すなわち受信モードである場合について説明する。レピータ6から無線信号が送信された場合に、受信部76は、アンテナ70および送受信切替部71を介してレピータ6から無線信号を受信する。受信部76は、受信した信号を増幅するとともに、復調処理などの信号処理を施して復調信号を生成し、復調信号を品質検出部77に出力する。品質検出部77は、例えば復調信号のRSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度)を検出し、無線信号を受信したチャネルの通信品質を判定する。品質検出部77は、RSSIの他に、BER(Bit Error Rate:符号誤り率)またはMER(Message Error Rate:メッセージ誤り率)などを用いて通信品質を判定してもよい。品質検出部77は復調信号をベースバンド処理部78に出力する。なお品質検出部77は、ベースバンド処理部78の一部の機能として設けてもよい。
【0029】
ベースバンド処理部78は、復調信号から通信フレームを抽出し、通信フレームのヘッダ部の情報をCPU11に出力する。CPU11は、ヘッダ部の情報を分析する。送信先が自装置である場合には、CPU11は、ベースバンド処理部78に、通信フレームのデータ部に含まれている音声信号のデータをD−A変換器79に出力させ、通信フレームのデータ部に含まれている音声信号以外のデータについてはRAM13に一時的に記憶させ、必要に応じて表示部15に表示させる。D−A変換器79は、音声信号のデータをデジタルからアナログに変換してスピーカ80に出力する。スピーカ80は、アナログに変換されたデータを出力する。
【0030】
図3は、実施の形態1に係るレピータの構成例を示すブロック図である。レピータ6(6a,6b)は、無線端末7から受信した無線信号に対し、増幅処理や波形処理などの信号処理を行い、信号処理した無線信号をレピータコントローラ5に転送する。またレピータ6は、レピータコントローラ5から取得したデータに基づいて無線信号を生成し、無線端末7に送信する。レピータ6は、送信用のアンテナ60、送信部61、ベースバンド処理部62、入力部63、通信IF(Interface)64、受信用のアンテナ65、受信部66、ベースバンド処理部67、出力部68、コントローラ20、表示部25、および操作部26を備える。コントローラ20は、
図2に示すコントローラ10と同様に、CPU21、RAM23、およびROM24を備える。コントローラ20は、通信IF64を介して、レピータコントローラ5およびコントロールサーバ8のそれぞれと制御信号の送受信を行う。コントローラ20は、レピータ6の各部にI/O22を介して接続しており、各部の処理の開始、終了、処理内容の制御を行う。
【0031】
上述の手順により無線端末7の間の通信が確立された後は、レピータ6は、無線端末7の間の通信を中継する。受信部66は、受信用のアンテナ65を介して無線端末7から無線信号を受信する。受信部66は、受信した信号を増幅するとともに、復調処理などの信号処理を施して復調信号を生成し、復調信号をベースバンド処理部67に出力する。ベースバンド処理部67は、復調信号から通信フレームを抽出する。出力部68は、抽出された通信フレームを通信IF64を介してレピータコントローラ5に出力する。レピータコントローラ5は、該通信フレームを受信し、コントロールサーバ8に転送する。コントロールサーバ8は、該通信フレームを受信し、全てのレピータコントローラ5に転送する。
【0032】
コントロールサーバ8から通信フレームを受信したレピータコントローラ5はそれぞれ、自装置を有するレピータシステム4に、該通信フレームの送信先である無線端末7が登録されているか否かを判定する。自装置を有するレピータシステム4に送信先の無線端末7が登録されている場合に、レピータコントローラ5は、該通信フレームを、該無線端末7の通信に割り当てられたチャネルを有するレピータ6に送信する。該レピータ6が有する入力部63は、通信IF64を介してレピータコントローラ5が送信した通信フレームを受信し、ベースバンド処理部62に出力する。ベースバンド処理部62は必要な処理を施して通信フレームを送信部61に出力する。送信部61は、通信フレームを変調して無線信号を生成し、送信用のアンテナ60から送信先の無線端末7に送信する。送信部61で用いる変調方式は、例えば、GMSK、PSK、QAM、FSKなどである。
【0033】
無線端末7が、レピータ6を介して通信を行う場合には、無線端末7からレピータ6への通信であるアップリンクと、レピータ6から無線端末7への通信であるダウンリンクとが、異なる周波数またはタイムスロットを用いて同時に行われる。そのため、レピータ6は、送信用のアンテナ60および受信用のアンテナ65を備える。
【0034】
図4は、実施の形態1におけるカバレッジエリアの例を示す図である。
図4の例では、レピータシステム4aのカバレッジエリア3a内に、例えば地形の起伏または建物の影響によって信号品質が低下する不感地帯が存在する。不感地帯での通信を可能にするため、該不感地帯をカバレッジエリア3bとするレピータシステム4bが設けられる。すなわち、
図4の例では、レピータシステム4aが主サイトとして動作し、レピータシステム4bが従サイトとして動作する。
【0035】
図5は、実施の形態1に係るレピータコントローラの構成例を示すブロック図である。本実施の形態では、レピータコントローラ5(5a,5b)は、主サイトおよび従サイトの2つの動作モードを有する。動作モードはコントロールサーバ8によって設定される。レピータコントローラ5は、通信IF51、割当部52、判定部53、および切替制御部54を備える。割当部52、判定部53、および切替制御部54は、通信IF51を介して、レピータ6およびコントロールサーバ8のそれぞれに対して、制御信号の送受信を行う。割当部52は、上述のように、コントロールサーバ8に対して通信要求の送受信を行い、無線端末7に対してACK要求の送信およびACKの受信を行う。割当部52は、無線端末7が送信したACKを受信すると、制御対象のレピータ6のチャネルを該無線端末7の通信用チャネルとして割り当てる。また割当部52は、通信要求の送信先である無線端末7が送信したACKをコントロールサーバ8から受信すると、制御対象のレピータ6のチャネルを通信要求を行った無線端末7の通信用チャネルとして割り当てる。
【0036】
判定部53は、動作モードが従サイトである場合に、無線端末7の間の通信に割り当て可能なチャネルが不足しているか否かを判定する。判定部53は、例えば、通信用のチャネルの内、無線端末7の間の通信に割り当て可能なチャネルの割合を示す余裕率が第1の閾値以下である場合に、割り当て可能なチャネルが不足していると判定する。マルチサイトトランキングシステム1が専用制御方式であり、レピータシステム4aが32個のレピータ6aを有する場合に、レピータコントローラ5aが有する判定部53は、割当部52で無線端末7の間の通信に割り当てられていないチャネルの数を、制御チャネルを除くチャネルの数、例えば31で除算した値を余裕率として算出する。
【0037】
判定部53は、制御チャネルで待ち受け状態にある無線端末7の数の合計が第2の閾値以上である場合に、割り当て可能なチャネルが不足していると判定してもよい。第1の閾値および第2の閾値は、マルチサイトトランキングシステム1において、許容される待ち合わせ率または呼損率などに応じて定めることができる。割り当て可能なチャネルが不足しているか否かを判定する方法は上述の例に限られない。判定部53は、例えば、予め定められた時間帯または予め定められた曜日においては、割り当て可能なチャネルが不足していると判定してもよい。この判定方法は、特定の時間帯または曜日に、無線端末7を使用するユーザ数が他の時間帯または曜日と比べて多いことが予めわかっている場合に効果的である。判定部53は、上述の割り当て可能なチャネルが不足しているか否かを判定する方法を組み合わせてもよい。例えば、判定部53は、余裕率が第1の閾値以下であり、かつ、制御チャネルで待ち受け状態にある無線端末7の数の合計が第2の閾値以上である場合に、割り当て可能なチャネルが不足していると判定してもよい。あるいは、例えば、判定部53は、余裕率が第1の閾値以下である場合、または制御チャネルで待ち受け状態にある無線端末7の数の合計が第2の閾値以上である場合に、割り当て可能なチャネルが不足していると判定してもよい。
【0038】
切替制御部54は、判定部53で割り当て可能なチャネルが不足していると判定された場合に、制御信号の送受信を行う少なくとも1つのレピータ6を制御して、該レピータ6から該レピータ6のチャネルで待ち受け状態にある無線端末7に対し、他のレピータコントローラ5が制御する、制御信号の送受信を行うレピータ6のチャネルでの待ち受けを指示する切替信号を送信させる。専用制御方式のマルチサイトトランキングシステム1においては、レピータシステム4が有する切替制御部54は、制御チャネルとなるレピータ6を制御して、他のレピータシステム4の制御チャネルとなるレピータ6のチャネルでの待ち受けを指示する切替信号を送信させる。切替信号は他のレピータシステム4の制御チャネルとなるレピータ6のチャネルでの待ち受けを指示、すなわち、他のレピータシステム4への登録を指示する。分散制御方式のマルチサイトトランキングシステム1においては、切替制御部54は、ホームレピータであるレピータ6を制御して、切替信号を送信させる。切替制御部54は、例えば、ETSI(European Telecommunications Standards Institute:欧州電気通信標準化機構) TS102 658の規格で定められているVote now信号を切替信号として用いる。Vote now信号は、他のレピータシステム4の制御チャネル、およびレピータシステム4が主サイトであるか従サイトであるかを示すコードを含む。例えば、専用制御方式のマルチサイトトランキングシステム1において、レピータコントローラ5が有する切替制御部54は、制御チャネルとなるレピータ6を制御し、レピータシステム4に登録されている全ての無線端末7に切替信号をブロードキャストする。
【0039】
図1および
図4の例では、レピータコントローラ5aの動作モードは主サイトであり、レピータコントローラ5bの動作モードは従サイトである。レピータコントローラ5bの判定部53が割り当て可能なチャネルが不足していると判定すると、切替制御部54は、制御チャネルとなるレピータ6bに制御信号を送信することで、該レピータ6bから該レピータ6bのチャネルで待ち受け状態である無線端末7c,7dに、レピータシステム4aの制御チャネルでの待ち受けを指示する切替信号を送信させる。
【0040】
切替信号を受信した無線端末7の動作について説明する。CPU11は、ベースバンド処理部78から取得したヘッダ部の情報を分析し、切替信号を受信したことを検出すると、受信周波数を切替信号が示す他のレピータシステム4の制御チャネルの周波数に変更する。受信周波数の変更が完了すると、無線端末7は、他のレピータシステム4の制御チャネルで無線信号を受信する。品質検出部77は、該無線信号の通信品質、例えばRSSIを検出する。品質検出部77は、切替信号が示す他のレピータシステム4が主サイトであって、該無線信号のRSSIが第3の閾値以上である場合、他のレピータシステム4の制御チャネルの通信品質が十分であると判定する。第3の閾値は、無線端末7の特性に応じて定めることができる。他のレピータシステム4が主サイトであって、品質検出部77が通信品質が十分であると判定した場合に、無線端末7は、他のレピータシステム4に対して登録を要求し、該レピータシステム4の制御チャネルで待ち受け状態となる。すなわち、無線端末7は、待ち受けチャネルを移動する。品質検出部77が通信品質が十分でないと判定した場合に、CPU11は、受信周波数を元の待ち受けチャネルの周波数に戻す。すなわち、無線端末7は、待ち受けチャネルの移動を行わない。
【0041】
また品質検出部77は、切替信号が示す他のレピータシステム4が従サイトであって、他のレピータシステム4の制御チャネルの通信品質が、現在待ち受けしているレピータシステム4の制御チャネルの通信品質より良い場合、例えば、他のレピータシステム4の制御チャネルで受信した無線信号のRSSIが、現在待ち受けしているレピータシステム4の制御チャネルで受信した無線信号のRSSIより大きい場合に、他のレピータシステム4の制御チャネルの通信品質が十分であると判定する。他のレピータシステム4が従サイトである場合であって、品質検出部77が通信品質が十分であると判定した場合に、無線端末7は、他のレピータシステム4に対して登録を要求し、該レピータシステム4の制御チャネルで待ち受け状態となる。すなわち、無線端末7は、待ち受けチャネルを移動する。品質検出部77が通信品質が十分でないと判定した場合に、CPU11は、受信周波数を元の待ち受けチャネルの周波数に戻す。すなわち、無線端末7は、待ち受けチャネルの移動を行わない。
【0042】
上述のようにレピータ6から切替信号を受信した場合に加え、無線端末7は、待ち受けしているレピータシステム4の制御チャネルの通信品質を定められた間隔で検出し、該通信品質が低下した場合に、待ち受けチャネルの移動を試みる。品質検出部77は、待ち受けしているレピータシステム4の制御チャネルで受信した無線信号の通信品質、例えばRSSIを検出する。品質検出部77は、該無線信号のRSSIが第4の閾値以上である場合、通信品質が十分であると判定する。無線端末7は、品質検出部77が、通信品質が十分であると判定した場合に、引き続き同じ制御チャネルで待ち受けを行う。第4の閾値は、無線端末7の特性に応じて定めることができる。
【0043】
品質検出部77は、該無線信号のRSSIが第4の閾値未満である場合に、現在の待ち受けチャネルの通信品質が十分でないと判定する。品質検出部77が、現在の待ち受けチャネルの通信品質が十分でないと判定した場合に、無線端末7は、定められた他のレピータシステム4の制御チャネルで無線信号を受信する。定められた他のレピータシステム4の制御チャネルは、予め無線端末7に設定された、他のレピータシステム4の制御チャネルである。品質検出部77は、該無線信号のRSSIを検出する。該無線信号のRSSIが第4の閾値以上である場合、品質検出部77は、定められた他のレピータシステム4の制御チャネルの通信品質は十分であると判定する。品質検出部77が、定められた他のレピータシステム4の制御チャネルの通信品質が十分であると判定した場合には、無線端末7は、他のレピータシステム4での登録を要求し、該レピータシステム4の制御チャネルで待ち受け状態となる。すなわち、無線端末7は、待ち受けチャネルを移動する。品質検出部77が、定められた他のレピータシステム4の制御チャネルの通信品質が十分でないと判定した場合に、無線端末7は、待ち受けチャネルの移動を行わない。
【0044】
上述の例では、現在の待ち受けチャネルの通信品質が十分でないと判定した場合に、待ち受けチャネルの移動を試みたが、現在登録しているレピータシステム4が従サイトである場合に、現在の待ち受けチャネルの通信品質によらず、定期的に主サイトである他のレピータシステム4の制御チャネルへの移動を試みてもよい。
【0045】
図6は、実施の形態1に係るコントロールサーバの設定画面の例を示す図である。コントロールサーバ8での操作によって、レピータシステム4を主サイトまたは従サイトとして動作させるための設定を行うことが可能である。コントロールサーバ8の表示画面81には、主サイトまたは従サイトとしての動作させるための設定を行うチェックボックス82が設けられる。
図6の例では、チェックボックス82がチェックされており、対象のレピータシステム4は、従サイトとして動作する。表示画面81には、対象のレピータシステム4と同じ地域、例えば関西、関東、中部などの地理的範囲、に位置するレピータシステム4を示す一覧表示部83が設けられる。また表示画面81には、切替信号が示す他のレピータシステム4の候補を表示する対象表示部84が設けられる。一覧表示部83に表示されているレピータシステム4を選択し、対象表示部84に表示される、切替信号が示す他のレピータシステム4の候補に追加することが可能である。なお対象表示部84の表示は、チェックボックス82がチェックされた場合にのみ有効である。
【0046】
例えば、主サイトであるレピータシステム4のカバレッジエリア3内の不感地帯に、従サイトであるレピータシステム4を設置しているとする。この場合に、該従サイトであるレピータシステム4に対し、切替信号が示す他のレピータシステム4の候補として、該主サイトであるレピータシステム4を設定することができる。また例えば、主サイトであるレピータシステム4のカバレッジエリア3内に複数の不感地帯が存在することがある。この場合に、1つの不感地帯に設置されている従サイトであるレピータシステム4に対し、切替信号が示す他のレピータシステム4の候補として、他の不感地帯に設置されている従サイトであるレピータシステム4を設定することができる。
【0047】
図7は、実施の形態1に係るレピータコントローラが行うサイト切替処理の動作の一例を示すフローチャートである。レピータコントローラ5が有する判定部53は、無線端末7の間の通信に割り当て可能なチャネルが不足しているか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11において、割り当て可能なチャネルが不足していると判定された場合(ステップS12;Y)、切替制御部54は、該レピータコントローラ5が制御するレピータ6の内、制御信号の送受信を行う少なくとも1つのレピータ6を制御し、該レピータ6から該レピータ6のチャネルで待ち受け状態にある無線端末7に対し、切替信号を送信させる(ステップS13)。ステップ13の処理が完了すると、レピータコントローラ5はサイト切替処理を終了する。ステップS12において、割り当て可能なチャネルが不足していないと判定された場合(ステップS12;N)、ステップS13の処理を行わずに、レピータコントローラ5はサイト切替処理を終了する。レピータコントローラ5は定められた間隔で、上述のサイト切替処理を繰り返し行う。
【0048】
図8は、実施の形態1に係る無線端末が行うサイト切替処理の動作の一例を示すフローチャートである。無線端末7は、切替信号を受信する(ステップS21)。品質検出部77は、切替信号が示す他のレピータシステム4の制御チャネルの通信品質を検出する(ステップS22)。品質検出部77が通信品質が十分であると判定した場合には(ステップS23;Y)、無線端末7は、待ち受けチャネルを移動する(ステップS24)。無線端末7は、ステップS24の処理が完了すると、サイト切替処理を終了する。品質検出部77が通信品質が十分でないと判定した場合には(ステップS23;N)、ステップS24の処理は行わずに、無線端末7はサイト切替処理を終了する。無線端末7は、切替信号を受信するたびに上述のサイト切替処理を行う。
【0049】
図9は、実施の形態1に係る無線端末が行うサイト切替処理の動作の一例を示すフローチャートである。
図8に示すように切替信号を受信した場合に加え、無線端末7は、現在待ち受けしているレピータシステム4の制御チャネルの通信品質を定められた間隔で検出し、通信品質が劣化した場合に、待ち受けチャネルの移動を試みてもよい。品質検出部77は、該レピータシステム4の制御チャネルの通信品質を検出する(ステップS31)。品質検出部77が通信品質が十分であると判定した場合には(ステップS32;Y)、無線端末7は、サイト切替処理を終了する。すなわち、無線端末7は、引き続き同じ制御チャネルで待ち受けを行う。
【0050】
品質検出部77が通信品質が十分でないと判定した場合には(ステップS32;N)、無線端末7は、定められた他のレピータシステム4の制御チャネルで無線信号を受信し、品質検出部77は、該制御チャネルの通信品質を検出する(ステップS33)。品質検出部77が、定められた他のレピータシステム4の制御チャネルの通信品質が十分であると判定した場合には(ステップS34;Y)、無線端末7は、待ち受けチャネルを移動する(ステップS35)。無線端末7は、ステップS35の処理が完了すると、サイト切替処理を終了する。品質検出部77が、定められた他のレピータシステム4の制御チャネルの通信品質が十分でないと判定した場合には(ステップS34;N)、ステップS35の処理は行わずに、無線端末7はサイト切替処理を終了する。無線端末7は、定められた間隔で、上述のサイト切替処理を繰り返し行う。なお、レピータコントローラ5は、主サイトである他のレピータシステム4を対象とし、
図9に示すステップS33〜S35の処理のみを定められた間隔で、繰り返し行ってもよい。
【0051】
以上説明したとおり、本発明の実施の形態1に係るマルチサイトトランキングシステム1によれば、レピータコントローラ5が、無線端末7の間の通信に割り当て可能なチャネルが不足していると判定した場合に、制御信号の送受信を行うレピータ6を制御し、該レピータ6から該レピータ6のチャネルで待ち受け状態にある無線端末7に対して切替信号を送信させることで、無線端末7におけるレピータシステム4の不要な切り替え処理を抑制しながら、無線端末7の間の通信に割り当て可能なチャネルが不足することを抑制することが可能である。
【0052】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るレピータコントローラ5は、無線端末7の間の通信に割り当て可能なチャネルが不足していると判定した場合であって、他のレピータコントローラ5を有するレピータシステム4において無線端末7の通信に割り当て可能なチャネルが不足していない場合に、他のレピータコントローラ5が制御する、制御信号の送受信を行うレピータ6のチャネルでの待ち受けを指示する切替信号を送信する。
図10は、本発明の実施の形態2に係るレピータコントローラの構成例を示すブロック図である。実施の形態2に係るレピータコントローラ5(5a,5b)は、
図5に示す実施の形態1に係るレピータコントローラ5の構成に加えて、判定結果取得部55を備える。判定結果取得部55は、通信IF51を介して、他のレピータコントローラ5から、判定部53の割り当て可能なチャネルが不足しているか否かの判定結果を取得する。また判定部53は、通信IF51を介して、他のレピータコントローラ5に判定結果を送信する。
【0053】
判定結果取得部55は、取得した判定結果に基づき、他のレピータコントローラ5を有するレピータシステム4において無線端末7の間の通信に割り当て可能なチャネルが不足しているか否かを切替制御部54に通知する。
【0054】
切替制御部54は、判定部53でチャネルが不足していると判定された場合であって、判定結果取得部55から他のレピータコントローラ5を有するレピータシステム4において無線端末7の間の通信に割り当て可能なチャネルが不足していないことを通知された場合に、制御信号の送受信を行う少なくとも1つのレピータ6を制御し、該レピータ6から該レピータ6のチャネルで待ち受け状態にある無線端末7に対し、切替信号を送信させる。他のレピータシステム4において割り当て可能なチャネルが不足していない場合に切替信号が送信されるため、無線端末7の待ち受けチャネルの移動によって、他のレピータシステム4において割り当て可能なチャネルが不足することを抑制することが可能である。
【0055】
図11は、実施の形態2に係るレピータコントローラが行うサイト切替処理の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS11,S12,S13の処理は、
図7に示す実施の形態1に係るレピータコントローラ5が行う処理と同じである。ステップS12において、割り当て可能なチャネルが不足していると判定された場合(ステップS12;Y)、判定結果取得部55は、他のレピータコントローラ5から判定結果を取得する(ステップS121)。他のレピータコントローラ5を有するレピータシステム4において割り当て可能なチャネルが不足していない場合には(ステップS122;N)、切替制御部54は、該レピータコントローラ5が制御するレピータ6の内、制御信号の送受信を行う少なくとも1つのレピータ6を制御し、該レピータ6から該レピータ6のチャネルで待ち受け状態にある無線端末7に対し、切替信号を送信させる(ステップS13)。ステップ13の処理が完了すると、レピータコントローラ5はサイト切替処理を終了する。他のレピータコントローラ5を有するレピータシステム4において割り当て可能なチャネルが不足している場合には(ステップS122;Y)、ステップS13の処理を行わずに、レピータコントローラ5はサイト切替処理を終了する。ステップS12において、割り当て可能なチャネルが不足していないと判定された場合(ステップS12;N)、ステップS13,S121,S122の処理を行わずに、レピータコントローラ5はサイト切替処理を終了する。レピータコントローラ5は定められた間隔で、上述のサイト切替処理を繰り返し実行する。無線端末7が行うサイト切替処理は実施の形態1と同じである。
【0056】
以上説明したとおり、本発明の実施の形態2に係るマルチサイトトランキングシステム1によれば、他のレピータシステム4において割り当て可能なチャネルが不足していない場合に、レピータコントローラ5が制御信号の送受信を行うレピータ6を制御し、該レピータ6から該レピータ6のチャネルで待ち受け状態にある無線端末7に対して切替信号を送信させることで、無線端末7の待ち受けチャネルの移動によって、他のレピータシステム4において割り当て可能なチャネルの不足が生じることを抑制することが可能である。
【0057】
図12は、本発明の実施の形態に係るレピータコントローラのハードウェアの構成例を示す図である。レピータコントローラ5(5a,5b)は、それぞれの装置を制御するハードウェア構成としてCPUおよび内部メモリなどから構成されるプロセッサ56、RAMおよびフラッシュメモリなどから構成されるメモリ57、ならびにインターフェース58を備える。レピータコントローラ5の各機能は、プロセッサ56がメモリ57に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。インターフェース58はレピータコントローラ5と外部機器を接続し、またレピータ6およびコントロールサーバ8との通信を確立させるためのものであり、必要に応じて複数の種類のインターフェース58から構成されてもよい。
図12では、プロセッサ56およびメモリ57をそれぞれ1つで構成する例を示しているが、複数のプロセッサ56および複数のメモリ57が連携して各機能を実行してもよい。メモリ57には、動作モードを示す情報が記憶されてもよい。
【0058】
その他、前記のハードウェア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0059】
プロセッサ56、メモリ57,およびインターフェース58で構成される制御処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROMなど)に格納して配布し、前記コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行するレピータコントローラ5を構成してもよい。また、通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に前記コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロードすることでレピータコントローラ5を構成してもよい。
【0060】
また、レピータコントローラ5の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0061】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、通信ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0062】
本発明の実施の形態は上述の実施の形態に限られない。上述の実施の形態では、レピータコントローラ5の構造は全て同じであり、コントロールサーバ8における設定に応じて、レピータコントローラ5の動作が異なる。レピータコントローラ5の構成は上述の例に限られず、レピータコントローラ5に設けられたスイッチに応じてレピータコントローラ5の動作モードが切り替わってもよい。また主サイトであるレピータシステム4が有するレピータコントローラ5と、従サイトであるレピータシステム4が有するレピータコントローラ5とを異なる構成としてもよい。この場合、主サイトであるレピータシステム4が有するレピータコントローラ5は通信IF51および割当部52のみを有し、従サイトであるレピータシステム4が有するレピータコントローラ5は、
図5に示すレピータコントローラ5である。判定部53は、マルチサイトトランキングシステム1が分散制御方式であり、レピータシステム4aが32個のレピータ6aを有する場合に、レピータコントローラ5aが有する判定部53は、割当部52で無線端末7の間の通信に割り当てられていないチャネルの数を、コレクトレピータを除くレピータの数、例えば31で除算した値を余裕率として算出する。