(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の従来の手法によるプリント配線板の低熱膨張化は既に限界が近づいており、さらなる低熱膨張化が困難となっている。
【0007】
一方、積層板の高剛性化は積層板に使用する樹脂組成物中にフィラーを高充填させることや、アルミナ等の高弾性率の無機充填材を使用することで達成される。しかしながら、フィラーの高充填化は積層板の成形性を悪化させ、アルミナ等の無機充填材の使用は積層板の熱膨張率を悪化させてしまう問題がある。したがって、積層板の高剛性化は半導体プラスチックパッケージの反りの抑制を十分に達成できていない。
【0008】
また、積層板の高Tg化による手法はリフロー時の弾性率を向上させることから、半導体プラスチックパッケージの反り低減に効果を示す。しかしながら、高Tg化による手法は、架橋密度の上昇による吸湿耐熱性の悪化や、成形性の悪化によるボイドの発生を引き起こすことから、非常に高い信頼性が必要とされる電子材料分野では実用上問題となることが多い。したがって、これらの問題を解決する手法が望まれている。
【0009】
そこで、本発明は、弾性率維持率が良好で、熱膨張率が低い樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定の成分を含む樹脂組成物が、弾性率維持率が良好で、熱膨張率が低いことを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]
アルケニル置換ナジイミド(A)、マレイミド化合物(B)、及びアミノ変性シリコーン(C)を含む樹脂組成物。
[2]
前記マレイミド化合物(B)の少なくとも一部が、前記アミノ変性シリコーン(C)と重合したプレポリマー(P)の形態で含まれる、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記アルケニル置換ナジイミド(A)が下記一般式(1)で表される化合物を含む、[1]又は[2]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、R
1はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R
2は炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、又は下記一般式(2)若しくは(3)で表される基を示す。)
【化2】
(式(2)中、R
3はメチレン基、イソプロピリデン基、CO、O、S、又はSO
2で表される置換基を示す。)
【化3】
(式(3)中、R
4はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数5〜8のシクロアルキレン基を示す。)
[4]
前記アルケニル置換ナジイミド(A)が、下記式(4)で表される化合物及び/又は下記式(5)で表される化合物を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【化4】
【化5】
[5]
前記マレイミド化合物(B)が、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ポリテトラメチレンオキシド−ビス(4−マレイミドベンゾエート)及び下記一般式(6)で表されるマレイミド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【化6】
(式(6)中、R
5は各々独立に水素原子又はメチル基を示し、n
1は1以上の整数を示す。)
[6]
シアン酸エステル化合物をさらに含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]
前記シアン酸エステル化合物が、下記式(7)で表される化合物及び/又は下記式(8)で表される化合物を含む、[6]に記載の樹脂組成物。
【化7】
(式(7)中、R
6は各々独立に水素原子又はメチル基を示し、n
2は1以上の整数を示す。)
【化8】
(式(8)中、R
7は各々独立に水素原子又はメチル基を示し、n
3は1以上の整数を示す。)
[8]
下記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(X)をさらに含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【化9】
(式(I)中、Arは各々独立にフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基、アントラセン基又はその水酸基変性物であり、Rは水素原子、アルキル基若しくはその水酸基変性物、又はアリール基である。)
[9]
前記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(X)が、2,4,5−トリフェニルイミダゾールである、[8]に記載の樹脂組成物。
[10]
前記アミノ変性シリコーン(C)が、下記一般式(Y)で表される化合物を含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【化10】
(式(Y)中、R
9は各々独立に水素原子、メチル基又はフェニル基を表し、R
10は、各々独立に側鎖を有してもよい炭素数が1〜10のアルキレン基を表し、nは0以上の整数を表す。)
[11]
無機充填材(D)をさらに含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[12]
前記無機充填材(D)が、シリカ、アルミナ及び窒化アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[11]に記載の樹脂組成物。
[13]
前記無機充填材(D)の含有量が、アルケニル置換ナジイミド(A)、マレイミド化合物(B)、及びアミノ変性シリコーン(C)の合計100質量部に対して50〜500質量部である、[11]又は[12]に記載の樹脂組成物。
[14]
[1]〜[13]のいずれかに記載の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布したプリプレグ。
[15]
前記基材が、Eガラスクロス、Tガラスクロス、Sガラスクロス、Qガラスクロス及び有機繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[14]に記載のプリプレグ。
[16]
[1]〜[13]のいずれかに記載の樹脂組成物を支持体に塗布したレジンシート。
[17]
[14]及び[15]に記載のプリプレグ、並びに[16]に記載のレジンシートからなる群より選ばれる少なくとも1種を1枚以上重ねた積層体の硬化物を含む積層板。
[18]
[14]及び[15]に記載のプリプレグ、並びに[16]に記載のレジンシートからなる群より選ばれる少なくとも1種と、金属箔とを積層した積層体の硬化物を含む金属箔張積層板。
[19]
絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成された導体層とを含むプリント配線板であって、前記絶縁層が、[1]〜[13]のいずれかに記載の樹脂組成物を含むプリント配線板。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、弾性率維持率が良好で、熱膨張率が低い樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態(以下「本実施形態」とも記す。)について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施形態のみに限定されない。
【0014】
〔樹脂組成物〕
本実施形態の樹脂組成物は、アルケニル置換ナジイミド(A)、マレイミド化合物(B)、及びアミノ変性シリコーン(C)を含む。また、本実施形態の樹脂組成物は、前記マレイミド化合物(B)の少なくとも一部が、前記アミノ変性シリコーン(C)と重合したプレポリマー(P)の形態で含まれることが、ピール強度の向上、耐デスミア性の向上、成形性の向上、あるいはシリコーン成分のブリードアウトの抑制の傾向がある点で、好ましい。
以下、当該樹脂組成物について詳細に説明する。
【0015】
〔アルケニル置換ナジイミド(A)〕
本実施形態に用いるアルケニル置換ナジイミド(A)は、分子中に1個以上のアルケニル置換ナジイミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。その具体例としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0017】
式(1)中、R
1はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、R
2は炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、又は下記一般式(2)若しくは(3)で表される基を示す。
【0019】
式(2)中、R
3はメチレン基、イソプロピリデン基、CO、O、S、又はSO
2で表される置換基を示す。
【0021】
式(3)中、R
4はそれぞれ独立に選ばれた炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数5〜8のシクロアルキレン基を示す。
【0022】
また、式(1)で表されるアルケニル置換ナジイミド(A)は、市販のものを用いることもできる。市販されているものとしては、特に限定されないが、例えば、下記式(4)で表される化合物(BANI−M(丸善石油化学(株)製))、下記式(5)で表される化合物(BANI−X(丸善石油化学(株)製))などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0025】
本実施形態の樹脂組成物において、アルケニル置換ナジイミド(A)の含有量は、特に限定されるものではなく、後述するアルケニル置換ナジイミド(A)の官能基のひとつであるアルケニル基数(α)とマレイミド化合物のマレイミド基数(β)との官能基数の比(〔β/α〕)によって決定されてもよいが、成分(A)〜(C)の合計100質量部に対して10〜60質量部とすることが好ましく、15〜50質量部とすることがより好ましく、20〜40質量部とすることがさらに好ましい。成分(A)の含有量をこのような範囲とすることで、フィラー充填時においても成形性優れ、硬化性、熱時弾性率(例えば、250℃における曲げ弾性率、半田リフロー温度における曲げ弾性率)、耐デスミア性、耐薬品性に優れるプリント配線板を得ることができる。上述したアルケニル置換ナジイミド(A)のアルケニル基数(α)及びマレイミド化合物(B)のマレイミド基数(β)の比(〔β/α〕)は0.9〜4.3であることが好ましく、1.5〜4.0とすることがより好ましく、1.5〜3.0とすることがさらに好ましい。
【0026】
〔マレイミド化合物(B)〕
本実施形態に用いるマレイミド化合物(B)は、分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。その具体例としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ポリテトラメチレンオキシド−ビス(4−マレイミドベンゾエート)、下記式(6)で表されるマレイミド化合物、これらマレイミド化合物のプレポリマー、若しくはマレイミド化合物とアミン化合物のプレポリマーなどが挙げられる。これらは1種若しくは2種以上を適宜混合して使用することも可能である。
【0027】
その中でも、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ポリテトラメチレンオキシド−ビス(4−マレイミドベンゾエート)、下記一般式(6)で表されるマレイミド化合物が好ましく、とりわけ、下記一般式(6)で表されるマレイミド化合物が好ましい。このようなマレイミド化合物(B)を含むことにより、得られる硬化物の熱膨張率の低下、ガラス転移温度の向上、耐熱性の向上、熱時弾性率の向上が起こる傾向にある。
【0029】
式(6)中、R
5は各々独立に水素原子又はメチル基を表し、中でも水素原子が好ましい。
【0030】
式中、n
1は1以上の整数を表す。n
1の上限値は、好ましくは10、より好ましくは7である。
【0031】
本実施形態の樹脂組成物は、マレイミド化合物(B)とアミノ変性シリコーン(C)とを重合させて得られるプレポリマー(P)と、アルケニル置換ナジイミド(A)と、マレイミド化合物(B)と、を含むことが好ましい。ここでプレポリマー(P)の原料として用いるマレイミド化合物(B)(以下「マレイミド化合物(B−1)」とも記す)と、該マレイミド化合物(B−1)とは別に樹脂組成物に含ませるマレイミド化合物(B)(以下「マレイミド化合物(B−2)」とも記す)とは、同一であってもよく異なっていてもよいが、異なっていることが好ましい。
マレイミド化合物(B−1)としては、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ポリテトラメチレンオキシド−ビス(4−マレイミドベンゾエート、上記一般式(6)で表されるマレイミド化合物が好ましく、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンがより好ましく、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパンがさらに好ましい。
マレイミド化合物(B−2)としては、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ポリテトラメチレンオキシド−ビス(4−マレイミドベンゾエート)、上記一般式(6)で表されるマレイミド化合物が好ましく、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ポリテトラメチレンオキシド−ビス(4−マレイミドベンゾエート)、下記一般式(6)で表されるマレイミド化合物がより好ましく、上記一般式(6)で表されるマレイミド化合物がさらに好ましい。
マレイミド化合物(B−1)及び(B−2)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の樹脂組成物において、マレイミド化合物(B)の含有量は、特に限定されるものではなく、上述したアルケニル置換ナジイミド(A)のアルケニル基数とマレイミド化合物(B)のマレイミド基数との比によって決定されてもよいが、成分(A)〜(C)の合計100質量部に対して30〜80質量部とすることが好ましく、35〜70質量部とすることがより好ましく、40〜60質量部とすることがさらに好ましい。また、本実施形態の樹脂組成物において、マレイミド化合物(B)として、上記マレイミド化合物(B−1)及び(B−2)を用いる場合、マレイミド化合物(B−1)の含有量はアミノ変性シリコーン(C)のアミノ基数によって決定される。すなわち、アミノ変性シリコーン(C)のアミノ基数に対するマレイミド化合物(B−1)のマレイミド基数の比(〔B−1/C〕)が1.0〜20.0であることが好ましく、4.0〜15.0とすることがより好ましく、6.0〜12.0とすることがさらに好ましい。マレイミド化合物(B−2)の含有量はマレイミド化合物(B)の含有量とマレイミド化合物(B−1)の含有量との差(〔(B−(B−1)〕)とすることが好ましい。成分(B)の含有量をこのような範囲とすることで、フィラー充填時においても成形性に優れ、硬化性、熱時弾性率、耐デスミア性、耐薬品性に優れるプリント配線板を得ることができる。
【0032】
〔アミノ変性シリコーン(C)〕
本実施形態に用いるアミノ変性シリコーン(C)は、分子中に1個以上のアミノ基を有する化合物であれば、特に限定されるものではない。その具体例としては下記一般式(Y)で表される化合物が挙げられる。
【化17】
【0033】
式(Y)中、R
9は各々独立に水素原子、メチル基又はフェニル基を表し、中でもメチル基が好ましい。式(Y)中、R
10は、各々独立に側鎖を有してもよい炭素数が1〜10のアルキレン基を表し、中でも炭素数が2〜10のアルキレン基が好ましい。式(Y)中、nは0以上の整数を表す。
【0034】
アミノ変性シリコーン(C)のアミノ基当量として、130〜6000が好ましく、400〜3000がより好ましく、600〜2500がさらに好ましい。このようなアミノ変性シリコーン(C)を用いることにより、弾性率維持率が良好で、熱膨張率がより低い樹脂組成物を得ることができる。
本実施形態の樹脂組成物において、アミノ変性シリコーン(C)の含有量は、特に限定されるものではないが、成分(A)〜(C)の合計100質量部に対して1〜40質量部とすることが好ましく、3〜30質量部とすることがより好ましく、5〜20質量部とすることがさらに好ましい。成分(C)の含有量をこのような範囲とすることで、弾性率維持率が良好で、熱膨張率がより一層低い樹脂組成物を得ることができる。
【0035】
〔他の樹脂〕
また、本実施形態の樹脂組成物においては、所期の特性が損なわない範囲において、前記成分(A)〜(C)に加え、他の樹脂を添加することも可能である。当該他の樹脂の種類については絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン化合物、フェノール樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂が挙げられる。これらの樹脂を適宜併用することで、金属密着性や応力緩和性といった特性を付与することができる。
例えば、エポキシ樹脂を併用する場合、エポキシ樹脂としては、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、イソシアヌレート環含有エポキシ樹脂、或いはこれらのハロゲン化物が挙げられる。なかでも、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が、ガラス転移温度、耐熱性の観点からより好ましい。エポキシ樹脂は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、成分(A)〜(C)の合計100質量部に対して、好ましくは3〜40質量部であり、より好ましくは3〜30質量部であり、さらに好ましくは3〜20質量部である。エポキシ樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、耐熱性、硬化性がより向上する傾向にある。
【0036】
〔無機充填材(D)〕
また、本実施形態の樹脂組成物は、無機充填材(D)さらに含むことが好ましい。
本実施形態に用いる無機充填材(D)は絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベーマイト、酸化モリブデン、酸化チタン、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、ガラス短繊維(EガラスやDガラスなどのガラス微粉末類)、中空ガラス、球状ガラスなどが挙げられる。これらは1種若しくは2種以上を適宜混合して使用することが可能である。
【0037】
これらの中でも、低熱膨張の観点からシリカ、高熱伝導性の観点からアルミナや窒化アルミニウムを使用することが好ましい。
【0038】
本実施形態の樹脂組成物において、無機充填材(D)の含有量は特に限定されないが、成分(A)〜(C)の合計100質量部に対して50〜500質量部であることが、低熱膨張や、高熱伝導といった特性の観点から好ましく、その中でも、100〜300質量部であることがより好ましく、100〜250質量部であることがさらに好ましい。
【0039】
〔シアン酸エステル化合物〕
本実施形態の樹脂組成物は、シアン酸エステル化合物をさらに含むことが好ましい。
本実施形態に用いるシアン酸エステル化合物の種類としては特に限定されないが、例えば下記一般式(7)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル、下記一般式(8)で表されるノボラック型シアン酸エステル、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステル、ビス(3,3−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、2、7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4、4’−ジシアナトビフェニル、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、2、2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、及びこれらのプレポリマー等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
この中でも下記一般式(7)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、下記一般式(8)で表されるノボラック型シアン酸エステル、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステルが難燃性に優れ、硬化性が高く、かつ硬化物の熱膨張係数が低いことから特に好ましい。
【0042】
式(7)中、R
6は各々独立に水素原子又はメチル基を示し、中でも水素原子が好ましい。
【0043】
式(7)中、n
2は1以上の整数を示す。n
2の上限値は、好ましくは10、より好ましくは6である。
【0045】
式(8)中、R
7は各々独立に水素原子又はメチル基を示し、中でも水素原子が好ましい。
【0046】
式(8)中、n
3は1以上の整数を示す。n
3の上限値は、好ましくは10、より好ましくは7である。
【0047】
これらのシアン酸エステル化合物の製法は、特に限定されず、シアン酸エステル合成法として現存するいかなる方法で製造してもよい。具体的に例示すると、下記一般式(9)で表されるナフトールアラルキル型フェノール樹脂とハロゲン化シアンとを不活性有機溶媒中で、塩基性化合物存在下反応させることにより得ることができる。また、同様なナフトールアラルキル型フェノール樹脂と塩基性化合物による塩とを、水を含有する溶液中にて形成させ、その後、ハロゲン化シアンと2相系界面反応を行い、合成する方法を採ることもできる。
【0049】
式(9)中、R
8は各々独立に水素原子又はメチル基を示し、中でも水素原子が好ましい。
【0050】
式(9)中、n
4は1以上の整数を示す。n
4の上限値は、好ましくは10、より好ましくは6である。
【0051】
また、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物は、α−ナフトールあるいはβ−ナフトール等のナフトール類とp−キシリレングリコール、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン、1,4−ジ(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン等との反応により得られるナフトールアラルキル樹脂とシアン酸とを縮合させて得られるものから選択することができる。
【0052】
本実施形態の樹脂組成物において、シアン酸エステル化合物の含有量は、成分(A)〜(C)の合計100質量部に対して0.1〜10質量部とすることが好ましく、0.1〜5質量部とすることがより好ましく、0.3〜3質量部とすることがさらに好ましい。シアン酸エステル化合物の含有量をこのような範囲内とすることで、フィラー充填時においても成形性に優れ、熱時弾性率、耐デスミア性、耐薬品性に優れるプリント配線板を得ることができる。
【0053】
〔イミダゾール化合物(X)〕
本実施形態の樹脂組成物は、下記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(X)をさらに含むことが好ましい。
【化21】
(式(I)中、Arは各々独立にフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基、アントラセン基又はその水酸基変性物であり、Rは水素原子、アルキル基若しくはその水酸基変性物、又はアリール基である。)
本実施形態において用いられる一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(X)は硬化促進の作用を有し、硬化物のガラス転移温度を上げる作用を有する。このイミダゾール置換基Arはフェニル基、ナフタレン基、ビフェニル基、アントラセン基またはその水酸基変性物等が挙げられるが、その中でもフェニル基が好適である。イミダゾール置換基Rは水素原子、アルキル基またはその水酸基変性物、フェニル基等のアリール基が好適であり、さらに、Ar基、R基ともにフェニル基がさらに好ましい。
前記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(X)は、2,4,5−トリフェニルイミダゾールであることが、硬化度、ガラス転移温度の観点から、特に好ましい。
【0054】
本実施形態の樹脂組成物において、上記一般式(I)で表されるイミダゾール化合物(X)の含有量は、プリプレグの保存安定性、銅張積層板へ加工する時の成形性の観点から、全樹脂組成物100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲が好ましく、0.2〜5質量部の範囲が特に好適である。
【0055】
〔シリコーンパウダー〕
本実施形態の樹脂組成物は、シリコーンパウダーを含有していてもよい。シリコーンパウダーは燃焼時間を遅らせ、難燃効果を高める難燃助剤としての作用がある。
シリコーンパウダーとしては、特に限定されないが、例えば、シロキサン結合が三次元網目状に架橋したポリメチルシルセスキオキサンを微粉末化したもの、ビニル基含有ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの付加重合物を微粉末化したもの、ビニル基含有ジメチルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンの付加重合物による微粉末の表面にシロキサン結合が三次元網目状に架橋したポリメチルシルセスキオキサンを被覆させたもの、無機担持体表面にシロキサン結合が三次元網目状に架橋したポリメチルシルセスキオキサンを被覆させたもの等が挙げられる。これらは、シリコーンゴムパウダー、シリコーン複合パウダーとして、市販されている。
【0056】
シリコーンパウダーの平均粒子径(D50)は特に限定されないが、分散性を考慮すると平均粒子径(D50)が1〜15μmであることが好ましい。
【0057】
本実施形態の樹脂組成物において、シリコーンパウダーの含有量は特に限定されないが、成分(A)〜(C)の合計100質量部に対して、3〜120質量部が好ましく、多すぎると成形性や分散性が低下することがあることから、3〜60質量部が特に好ましい。
【0058】
〔シランカップリング剤や湿潤分散剤〕
本実施形態の樹脂組成物には、微粒子の分散性、樹脂と微粒子やガラスクロスの接着強度を向上させるために、シランカップリング剤や湿潤分散剤を併用することも可能である。これらのシランカップリング剤としては、一般に無機物の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン系、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリルシラン系、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩などのカチオニックシラン系、フェニルシラン系などが挙げられ、1種若しくは2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。また湿潤分散剤としては、塗料用に使用されている分散安定剤であれば、特に限定されるものではない。例えばビッグケミー・ジャパン(株)製のDISPER−110、111、118、180、161、BYK−W996、W9010、W903等の湿潤分散剤が挙げられる。
【0059】
〔他の硬化促進剤〕
また、本実施形態の樹脂組成物においては、所期の特性が損なわれない範囲において、前記イミダゾール化合物(X)に加え、他の硬化促進剤を併用する事も可能である。他の硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチル−ジ−パーフタレート等で例示される有機過酸化物;アゾビスニトリル等のアゾ化合物;N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、2−N−エチルアニリノエタノール、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、キノリン、N−メチルモルホリン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルブタンジアミン、N−メチルピペリジンなどの第3級アミン類;フェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシン、カテコールなどのフェノール類;ナフテン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オレイン酸錫、ジブチル錫マレート、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸コバルト、アセチルアセトン鉄などの有機金属塩;これら有機金属塩をフェノール、ビスフェノールなどの水酸基含有化合物に溶解してなるもの;塩化錫、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどの無機金属塩;ジオクチル錫オキサイド、その他のアルキル錫、アルキル錫オキサイドなどの有機錫化合物などが挙げられる。
【0060】
〔溶剤〕
さらに本実施形態の樹脂組成物は、必要に応じて溶剤を含有していてもよい。例えば、有機溶剤を用いると、樹脂組成物の調製時における粘度が下がり、ハンドリング性を向上されるとともにガラスクロスへの含浸性が高められる。溶剤の種類は、樹脂組成物中の樹脂の一部又は全部を溶解可能なものであれば、特に限定されない。その具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びそのアセテートなどが挙げられるが、これらに特に限定されない。溶剤は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0061】
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の樹脂組成物は、例えば、上述したアルケニル置換ナジイミド(A)、マレイミド化合物(B)、及びアミノ変性シリコーン(C)、必要に応じてその他の任意性分を混合することにより製造することができる。特に、本実施形態の樹脂組成物は、マレイミド化合物(B)とアミノ変性シリコーン(C)とを重合させてプレポリマー(P)を得て、該プレポリマー(P)と、アルケニル置換ナジイミド(A)と、マレイミド化合物(B)と、必要に応じてその他の任意性分とを混合することにより製造することが、ピール強度、耐デスミア性、成形性、シリコーン成分のブリードアウト等の観点から好ましい。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法において用いる(A)〜(C)成分及び任意成分については上記樹脂組成物の段落で説明したとおりである。
【0062】
本実施形態の樹脂組成物の製造時において、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。有機溶剤の種類は、樹脂組成物中の樹脂を溶解可能なものであれば、特に限定されない。その具体例は、上述したとおりである。
【0063】
なお、本実施形態の樹脂組成物の製造時に、各成分を均一に溶解或いは分散させるための公知の処理(攪拌、混合、混練処理など)を行うことができる。例えば、無機充填材(D)を用いる場合、無機充填材(D)の均一分散にあたり、適切な攪拌能力を有する攪拌機を付設した攪拌槽を用いて攪拌分散処理を行うことで、樹脂組成物に対する分散性が高められる。上記の攪拌、混合、混練処理は、例えば、ボールミル、ビーズミルなどの混合を目的とした装置、又は、公転又は自転型の混合装置などの公知の装置を用いて適宜行うことができる。
【0064】
〔プリプレグ〕
本実施形態のプリプレグは、上記の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布したプリプレグである。
本実施形態のプリプレグは、例えば、上記の樹脂組成物を基材と組み合わせる、具体的には、上記の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布させることにより、得ることができる。本実施形態のプリプレグの製造方法は、常法にしたがって行うことができ、特に限定されない。例えば、上記の樹脂組成物を基材に含浸又は塗布させた後、100〜200℃の乾燥機中で1〜30分加熱するなどして半硬化(Bステ−ジ化)させることで、プリプレグを得る方法が挙げられる。なお、本実施形態において、プリプレグの総量に対する上記の樹脂組成物(無機充填材を含む。)の量は、特に限定されないが、30〜90質量%の範囲であることが好ましい。
【0065】
本実施形態のプリプレグで使用される基材としては、特に限定されるものではなく、各種プリント配線板材料に用いられている公知のものを、目的とする用途や性能により適宜選択して使用することができる。その具体例としては、例えば、Eガラス、Dガラス、Sガラス、Qガラス、球状ガラス、NEガラス、Tガラス等のガラス繊維、クォーツ等のガラス以外の無機繊維、ポリパラフェニレンテレフタラミド(ケブラー(登録商標)、デュポン株式会社製)、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド(テクノーラ(登録商標)、帝人テクノプロダクツ株式会社製)等の全芳香族ポリアミド、2,6−ヒドロキシナフトエ酸・パラヒドロキシ安息香酸(ベクトラン(登録商標)、株式会社クラレ製)等のポリエステル、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(ザイロン(登録商標)、東洋紡績株式会社製)、ポリイミドなどの有機繊維が挙げられるが、これらに特に限定されない。
【0066】
これらの中でも低熱膨張性の観点から、Eガラスクロス、Tガラスクロス、Sガラスクロス、Qガラスクロス及び有機繊維が好ましい。
【0067】
これら基材は1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0068】
基材の形状としては、特に限定されないが、例えば、織布、不織布、ロービング、チョップドストランドマット、サーフェシングマットなどが挙げられる。織布の織り方としては、特に限定されないが、例えば、平織り、ななこ織り、綾織り等が知られており、これら公知のものから目的とする用途や性能により適宜選択して使用することができる。また、これらを開繊処理したものやシランカップリング剤などで表面処理したガラス織布が好適に使用される。基材の厚さや質量は、特に限定されないが、通常は0.01〜0.3mm程度のものが好適に用いられる。とりわけ、強度と吸水性との観点から、基材は、厚み200μm以下、質量250g/m
2以下のガラス織布が好ましく、Eガラス、Sガラス、及びTガラス等のガラス繊維からなるガラス織布がより好ましい。
【0069】
〔プリプレグを用いた積層板〕
本実施形態の積層板は、例えば、上述のプリプレグを1枚以上重ねて硬化して得ることができる。
また、本実施形態の金属箔張積層板は、例えば、上述のプリプレグと、金属箔とを積層して硬化して得ることができる。
本実施形態の金属箔張積層板は、具体的には、例えば、上述のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね、その片面若しくは両面に金属箔を配して積層成形することにより、得ることができる。より具体的には、前述のプリプレグを1枚あるいは複数枚以上を重ね、所望によりその片面若しくは両面に銅やアルミニウムなどの金属箔を配置した構成とし、これを必要に応じて積層成形することにより、金属箔張積層板を製造することができる。ここで使用する金属箔は、プリント配線板材料に用いられるものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔や電解銅箔などの公知の銅箔が好ましい。また、金属箔の厚みは、特に限定されないが、1〜70μmが好ましく、より好ましくは1.5〜35μmである。金属箔張積層板の成形方法及びその成形条件についても、特に限定されず、一般的なプリント配線板用積層板及び多層板の手法及び条件を適用することができる。例えば、金属箔張積層板の成形時には多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機などを用いることができる。また、金属箔張積層板の成形において、温度は100〜300℃、圧力は面圧2〜100kgf/cm
2、加熱時間は0.05〜5時間の範囲が一般的である。さらに、必要に応じて、150〜300℃の温度で後硬化を行うこともできる。また、上述のプリプレグと、別途作成した内層用の配線板とを組み合わせて積層成形することにより、多層板とすることも可能である。
【0070】
本実施形態の金属箔張積層板は、所定の配線パターンを形成することにより、プリント配線板として好適に用いることができる。そして、本実施形態の金属箔張積層板は、低い熱膨張率、良好な成形性及び耐薬品性を有し、そのような性能が要求される半導体パッケージ用プリント配線板として、殊に有効に用いることができる。
【0071】
また、本実施形態において、上述したプリプレグの形態の他、上述の樹脂組成物を金属箔やフィルムに塗布した形態の埋め込みシートの形態とすることもできる。
【0072】
〔レジンシート〕
本実施形態のレジンシートは、上述の樹脂組成物を支持体の片面又は両面に塗布したレジンシートである。ここで、レジンシートとは、薄葉化の1つの手段として用いられるもので、例えば、金属箔やフィルムなどの支持体に、直接、プリプレグ等に用いられる熱硬化性樹脂(無機充填材を含む)を塗布及び乾燥して製造することができる。
【0073】
本実施形態のレジンシートを製造する際において使用される支持体は、特に限定されないが、各種プリント配線板材料に用いられている公知のものを使用することができる。例えばポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、アルミニウム箔、銅箔、金箔など挙げられる。その中でも電解銅箔、PETフィルムが好ましい。
【0074】
本実施形態のレジンシートは、特に、上述した樹脂組成物を支持体に塗布後、半硬化(Bステージ化)させたものであることが好ましい。本実施形態のレジンシートの製造方法は一般にBステージ樹脂及び支持体の複合体を製造する方法が好ましい。具体的には、例えば、上記樹脂組成物を銅箔などの支持体に塗布した後、100〜200℃の乾燥機中で、1〜60分加熱させる方法などにより半硬化させ、レジンシートを製造する方法などが挙げられる。支持体に対する樹脂組成物の付着量は、レジンシートの樹脂厚で1〜300μmの範囲が好ましい。
【0075】
本実施形態のレジンシートは、プリント配線板のビルドアップ材料として使用可能である。
【0076】
〔レジンシートを用いた積層板〕
本実施形態の積層板は、例えば、上述のレジンシートを1枚以上重ねて硬化して得ることができる。
また、本実施形態の金属箔張積層板は、例えば、上述のレジンシートと、金属箔とを積層して硬化して得ることができる。
本実施形態の金属箔張積層板は、具体的には、例えば、上述のレジンシートを用いて、その片面もしくは両面に金属箔を配置して積層形成することにより、得ることができる。より具体的には、例えば、前述のレジンシートを1枚あるいは所望によりその支持体を剥離したものを複数枚重ね、その片面もしくは両面に銅やアルミニウムなどの金属箔を配置した構成とし、これを必要に応じて積層成形することにより、金属箔張積層板を製造することができる。ここで使用する金属箔は、プリント配線板材料に用いられるものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔や電解銅箔などの公知の銅箔が好ましい。金属箔張積層板の成形方法及びその成形条件についても、特に限定されず、一般的なプリント配線板用積層板及び多層板の手法及び条件を適用することができる。例えば、金属箔張積層板の成形時には多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機などを用いることができる。また、金属箔張積層板の成形時において、温度は100〜300℃、圧力は面圧2〜100kgf/cm
2、加熱時間は0.05〜5時間の範囲が一般的である。さらに、必要に応じて、150〜300℃の温度で後硬化を行うこともできる。
【0077】
〔レジンシート及びプリプレグを用いた積層板〕
本実施形態の積層板は、レジンシートとプリプレグとを各々1枚以上重ねて硬化して得られる積層板であってもよく、レジンシートとプリプレグと金属箔とを積層して硬化して得られる金属箔張積層板であってもよい。
【0078】
本実施形態において、回路となる導体層を形成しプリント配線板を作製する際、金属箔張積層板の形態をとらない場合、無電解めっきの手法を用いることもできる。
【0079】
〔プリント配線板〕
本実施形態のプリント配線板は、絶縁層と、前記絶縁層の表面に形成された導体層とを含むプリント配線板であって、前記絶縁層が、上述の樹脂組成物を含む。
【0080】
本実施形態のプリント配線板は、例えば、絶縁層に金属箔や無電解めっきによって回路となる導体層が形成されて作成される。導体層は一般的に銅やアルミニウムから構成される。導体層が形成されたプリント配線板用絶縁層は、所定の配線パターンを形成することにより、プリント配線板に好適に用いることができる。そして本実施形態のプリント配線板は、絶縁層が上述の樹脂組成物を含むことにより半導体実装時のリフロー温度下においても優れた弾性率を維持することで、半導体プラスチックパッケージの反りを効果的に抑制することから、半導体パッケージ用プリント配線板として、殊に有効に用いることができる。
【0081】
本実施形態のプリント配線板は、具体的には、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、上述の金属箔張積層板(銅張積層板等)を用意する。金属箔張積層板の表面にエッチング処理を施して内層回路の形成を行い、内層基板を作成する。この内層基板の内層回路表面に、必要に応じて接着強度を高めるための表面処理を行い、次いでその内層回路表面に上述のプリプレグを所要枚数重ね、更にその外側に外層回路用の金属箔を積層し、加熱加圧して一体成形する。このようにして、内層回路と外層回路用の金属箔との間に、基材及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層が形成された多層の積層板が製造される。次いで、この多層の積層板にスルーホールやバイアホール用の穴あけ加工を施した後、硬化物層に含まれている樹脂成分に由来する樹脂の残渣であるスミアを除去するためデスミア処理が行われる。その後この穴の壁面に内層回路と外層回路用の金属箔とを導通させるめっき金属皮膜を形成し、更に外層回路用の金属箔にエッチング処理を施して外層回路を形成し、プリント配線板が製造される。
【0082】
本実施形態のプリント配線板において、例えば、上述のプリプレグ(基材及びこれに添着された上述の樹脂組成物)、上述のレジンシート(支持体及びこれに添着された上述の樹脂組成物)、金属箔張積層板の樹脂組成物層(上述の樹脂組成物からなる層)が、上述の樹脂組成物を含む絶縁層を構成することになる。
【0083】
本実施形態のプリント配線板において、絶縁層は、25℃における曲げ弾性率と250℃における熱時曲げ弾性率との差が20%以下であることが好ましく、0〜20%であることがより好ましく、0〜15%であることがさらに好ましい。絶縁層は、25℃における曲げ弾性率と250℃における熱時曲げ弾性率との差が前記範囲内であると、弾性率維持率が良好となる。ここで、弾性率維持率とは、25℃における曲げ弾性率に対する250℃における曲げ弾性率の割合をいう。
【0084】
本実施形態において、絶縁層の25℃の曲げ弾性率と250℃の熱時曲げ弾性率との差を20%以内とするための手法は、特に限定されないが、例えば、絶縁層に用いられる樹脂組成物の各成分の種類及び含有量を上述した範囲に適宜調整する手法が挙げられる。
【0085】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【実施例】
【0086】
[合成例1] α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂の合成
温度計、攪拌器、滴下漏斗及び還流冷却器を取りつけた反応器を予めブラインにより0〜5℃に冷却しておき、そこへ塩化シアン7.47g(0.122mol)、35%塩酸9.75g(0.0935mol)、水76ml、及び塩化メチレン44mlを仕込んだ。
【0087】
この反応器内の温度を−5〜+5℃、pHを1以下に保ちながら、撹拌下、式(9)におけるR
8がすべて水素原子であるα−ナフトールアラルキル型フェノール樹脂(SN485、OH基当量:214g/eq.軟化点:86℃、新日鐵化学(株)製)20g(0.0935mol)、及びトリエチルアミン14.16g(0.14mol)を塩化メチレン92mlに溶解した溶液を滴下漏斗により1時間かけて滴下し、滴下終了後、更にトリエチルアミン4.72g(0.047mol)を15分間かけて滴下した。
【0088】
滴下終了後、同温度で15分間撹拌後、反応液を分液し、有機層を分取した。得られた有機層を水100mlで2回洗浄した後、エバポレーターにより減圧下で塩化メチレンを留去し、最終的に80℃で1時間濃縮乾固させて、α−ナフトールアラルキル型フェノール樹脂のシアン酸エステル化物(α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂)、23.5gを得た。
【0089】
[実施例1]
マレイミド化合物(BMI−80、マレイミド基当量285g/eq、ケイ・アイ化成(株)製)30質量部とジアミノ変性シリコーン(X−22−161B、アミノ基当量1500g/eq、信越化学工業(株)製)15質量部とを重合してプレポリマーを得た。得られたプレポリマー、ビスジアリルナジイミド(BANI−M、アルケニル基当量286g/eq、丸善石油化学(株)製)25質量部、マレイミド化合物(BMI−2300、マレイミド基当量186g/eq、大和化成工業(株)製)30質量部、エポキシシランカップリング剤(Z6040、東レ・ダウコーティング(株)製)5質量部、湿潤分散剤(DISPERBYK−161、ビックケミージャパン(株)製)1質量部、湿潤分散剤(DISPERBYK−111、ビックケミージャパン(株)製)0.5質量部、スラリーシリカ(SC−2050MB、アドマテックス(株)製)120質量部、及び2,4,5−トリフェニルイミダゾール(TPIZ、和光純薬社製)0.5質量部を混合し、マレイミド基数/アミノ基数比が10.5、
マレイミド基数/アルケニル基数が3.0の樹脂組成物を得た。
なお、本実施例において、マレイミド基数/アミノ基数及び
マレイミド基数/アルケニル基数は、下記計算式で表される。
〔マレイミド基数/アミノ基数〕=(マレイミド化合物の質量部数/マレイミド化合物のマレイミド基当量)/(ジアミノ変性シリコーンの質量部数/ジアミノ変性シリコーンのアミノ基当量)
〔
マレイミド基数/アルケニル基数〕=
(マレイミド化合物の質量部数/マレイミド化合物のマレイミド基当量)/(ビスジアリルナジイミドの質量部数/ビスジアリルナジイミドのアルケニル基当量)
得られた樹脂組成物をメチルエチルケトンで希釈することでワニスを得た。このワニスを0.1mmのSガラス織布に含浸塗工し、160℃で3分間加熱乾燥して、樹脂組成物含有量44.5質量%のプリプレグを得た。
【0090】
[実施例2]
マレイミド化合物(BMI−80、マレイミド基当量285g/eq、ケイ・アイ化成(株)製)15質量部とジアミノ変性シリコーン(X−22−161B、アミノ基当量1500g/eq、信越化学工業(株)製)10質量部とを重合してプレポリマーを得た。得られたプレポリマー、ビスジアリルナジイミド(BANI−M、アルケニル基当量286g/eq、丸善石油化学(株)製)30質量部、マレイミド化合物(BMI−2300、マレイミド基当量186g/eq、大和化成工業(株)製)35質量部、エポキシシランカップリング剤(Z6040、東レ・ダウコーティング(株)製)5質量部、スラリーシリカ(SC−2050MB、アドマテックス(株)製)120質量部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000FH、日本化薬(株)製)9.5質量部、2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210、三菱ガス化学製)0.5質量部及び2,4,5−トリフェニルイミダゾール(TPIZ、和光純薬社製)0.5質量部を混合し、樹脂組成物を得た。得られたマレイミド基数/アミノ基数比が7.9、
マレイミド基数/アルケニル基数が2.3の樹脂組成物をメチルエチルケトンで希釈することでワニスを得た。このワニスを0.1mmのSガラス織布に含浸塗工し、160℃で3分間加熱乾燥して、樹脂組成物含有量44.5質量%のプリプレグを得た。
【0091】
[実施例3]
マレイミド化合物(BMI−80、マレイミド基当量285g/eq、ケイ・アイ化成(株)製)25質量部とジアミノ変性シリコーン(X−22−161B、アミノ基当量1500g/eq、信越化学工業(株)製)15質量部とを重合してプレポリマーを得た。得られたプレポリマー、ビスジアリルナジイミド(BANI−M、アルケニル基当量286g/eq、丸善石油化学(株)製)25質量部、マレイミド化合物(BMI−2300、マレイミド基当量186g/eq、大和化成工業(株)製)30質量部、エポキシシランカップリング剤(Z6040、東レ・ダウコーティング(株)製)5質量部、湿潤分散剤(DISPERBYK−161、ビックケミージャパン(株)製)1質量部、湿潤分散剤(DISPERBYK−111、ビックケミージャパン(株)製)0.5質量部、スラリーシリカ(SC−2050MB、アドマテックス(株)製)120質量部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000FH、日本化薬(株)製)4.5質量部、及び2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210、三菱ガス化学製)0.5質量部を混合し、マレイミド基数/アミノ基数比が8.8、
マレイミド基数/アルケニル基数が2.8の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をメチルエチルケトンで希釈することでワニスを得た。このワニスを0.1mmのSガラス織布に含浸塗工し、160℃で3分間加熱乾燥して、樹脂組成物含有量44.5質量%のプリプレグを得た。
【0092】
[実施例4]
マレイミド化合物(BMI−80、マレイミド基当量285g/eq、ケイ・アイ化成(株)製)25質量部とジアミノ変性シリコーン(X−22−161B、アミノ基当量1500g/eq、信越化学工業(株)製)15質量部とを重合してプレポリマーを得た。得られたプレポリマー、ビスジアリルナジイミド(BANI−M、アルケニル基当量286g/eq、丸善石油化学(株)製)25質量部、マレイミド化合物(BMI−2300、マレイミド基当量186g/eq、大和化成工業(株)製)30質量部、エポキシシランカップリング剤(Z6040、東レ・ダウコーティング(株)製)5質量部、湿潤分散剤(DISPERBYK−161、ビックケミージャパン(株)製)1質量部、湿潤分散剤(DISPERBYK−111、ビックケミージャパン(株)製)0.5質量部、スラ
リーシリカ(SC−2050MB、アドマテックス(株)製)200質量部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000FH、日本化薬(株)製)4.5質量部、上記合成例1で得られたα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂0.5質量部、及び2,4,5−トリフェニルイミダゾール(TPIZ、和光純薬社製)0.5質量部を混合し、マレイミド基数/アミノ基数比が8.8、
マレイミド基数/アルケニル基数が2.8の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をメチルエチルケトンで希釈することでワニスを得た。このワニスを0.1mmのSガラス織布に含浸塗工し、160℃で3分間加熱乾燥して、樹脂組成物含有量47.0質量%のプリプレグを得た。
【0093】
[実施例5]
マレイミド化合物(BMI−80、マレイミド基当量285g/eq、ケイ・アイ化成(株)製)25質量部とジアミノ変性シリコーン(X−22−161B、アミノ基当量1500g/eq、信越化学工業(株)製)15質量部とを重合してプレポリマーを得た。得られたプレポリマー、ビスジアリルナジイミド(BANI−M、アルケニル基当量286g/eq、丸善石油化学(株)製)25質量部、マレイミド化合物(BMI−2300、大和化成工業(株)製)30質量部、エポキシシランカップリング剤(Z6040、東レ・ダウコーティング(株)製)5質量部、湿潤分散剤(DISPERBYK−161、ビックケミージャパン(株)製)1質量部、湿潤分散剤(DISPERBYK−111、ビックケミージャパン(株)製)0.5質量部、スラリーシリカ(SC−2050MB、アドマテックス(株)製)200質量部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000FH、日本化薬(株)製)4.5質量部、及び上記合成例1で得られたα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂0.5質量部を混合し、マレイミド基数/アミノ基数比が8.8、
マレイミド基数/アルケニル基数が2.8の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をメチルエチルケトンで希釈することでワニスを得た。このワニスを0.1mmのSガラス織布に含浸塗工し、160℃で3分間加熱乾燥して、樹脂組成物含有量47.0質量%のプリプレグを得た。
【0094】
[実施例6]
マレイミド化合物(BMI−80、マレイミド基当量285g/eq、ケイ・アイ化成(株)製)25質量部とジアミノ変性シリコーン(X−22−161B、アミノ基当量1500g/eq、信越化学工業(株)製)15質量部とを重合してプレポリマーを得た。得られたプレポリマー、ビスジアリルナジイミド(BANI−M、アルケニル基当量286g/eq、丸善石油化学(株)製)25質量部、マレイミド化合物(BMI−2300、大和化成工業(株)製)30質量部、エポキシシランカップリング剤(Z6040、東レ・ダウコーティング(株)製)5質量部、湿潤分散剤(DISPERBYK−161、ビックケミージャパン(株)製)1質量部、湿潤分散剤(DISPERBYK−111、ビックケミージャパン(株)製)0.5質量部、シリコーン複合パウダー(KMP−600、信越化学工業(株)製)20質量部、スラリーシリカ(SC−2050MB、アドマテックス(株)製)120質量部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000FH、日本化薬(株)製)4.5質量部、及び2,2-ビス(4-シアネートフェニル)プロパンのプレポリマー(CA210、三菱ガス化学製)0.5質量部を混合し、マレイミド基数/アミノ基数比が8.8、
マレイミド基数/アルケニル基数が2.8の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をメチルエチルケトンで希釈することでワニスを得た。このワニスを0.1mmのSガラス織布に含浸塗工し、160℃で3分間加熱乾燥して、樹脂組成物含有量43.0質量%のプリプレグを得た。
【0095】
[比較例1]
ビスジアリルナジイミド(BANI―M、アルケニル基当量286g/eq、丸善石油化学(株)製)45質量部、マレイミド化合物(BMI−2300、マレイミド基当量186g/eq、大和化成工業(株)製)45質量部、エポキシシランカップリング剤(Z6040、東レ・ダウコーティング(株)製)5質量部、湿潤分散剤(DISPERBYK−161、ビックケミージャパン(株)製)1質量部、スラリーシリカ(SC−2050MB、アドマテックス(株)製)120質量部、及び上記合成例1で得られたα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂10質量部を混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をメチルエチルケトンで希釈することでワニスを得た。このワニスを0.1mmのSガラス織布に含浸塗工し、160℃で3分間加熱乾燥して、樹脂組成物含有量44.5質量%のプリプレグを得た。
【0096】
[比較例2]
マレイミド化合物(BMI−80、マレイミド基当量285g/eq、ケイ・アイ化成(株)製)15質量部とジアミノ変性シリコーン(X−22−161B、アミノ基当量1500g/eq、信越化学工業(株)製)10質量部とを重合してプレポリマーを得た。得られたプレポリマー、マレイミド化合物(BMI−70、マレイミド基当量221g/eq、ケイ・アイ化成(株)製)10質量部、マレイミド化合物(BMI−2300、マレイミド基当量186g/eq、大和化成工業(株)製)5質量部、エポキシシランカップリング剤(Z6040、東レ・ダウコーティング(株)製)5質量部、湿潤分散剤(DISPERBYK−161、ビックケミージャパン(株)製)3質量部、シリコンレジンパウダー(トスパール、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)10質量部、スラリーシリカ(SC−2050MB、アドマテックス(株)製)120質量部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000FH、日本化薬(株)製)30質量部、及び上記合成例1で得られたα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂40質量部を混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をメチルエチルケトンで希釈することでワニスを得た。このワニスを0.1mmのSガラス織布に含浸塗工し、160℃で3分間加熱乾燥して、樹脂組成物含有量44.5質量%のプリプレグを得た。
【0097】
[比較例3]
マレイミド化合物(BMI−70、マレイミド基当量221g/eq、ケイ・アイ化成(株)製)10質量部、エポキシシランカップリング剤(Z6040、東レ・ダウコーティング(株)製)5質量部、湿潤分散剤(DISPERBYK−161、ビックケミージャパン(株)製)3質量部、シリコンレジンパウダー(トスパール、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)10質量部、スラリーシリカ(SC−2050MB、アドマテックス(株)製)120質量部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC3000FH、日本化薬(株)製)40質量部、上記合成例1で得られたα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル樹脂50質量部及びオクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛、日本化学産業株式会社製)0.05質量部を混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をメチルエチルケトンで希釈することでワニスを得た。このワニスを0.1mmのSガラス織布に含浸塗工し、160℃で3分間加熱乾燥して、樹脂組成物含有量44.5質量%のプリプレグを得た。
【0098】
[金属箔張積層板の作成]
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られたプリプレグを、それぞれ1枚又は8枚重ねて12μm厚の電解銅箔(3EC−III、三井金属鉱業(株)製)を上下に配置し、圧力30kgf/cm
2、温度220℃で120分間の積層成型を行い、絶縁層厚さ0.8mmの銅張積層板を得た。
【0099】
得られた銅張積層板を用いて、曲げ弾性率、熱膨張率、及び半田耐熱の測定を実施した結果を表1に示す。
【0100】
[銅張積層板の物性評価方法]
【0101】
曲げ弾性率:50mm×25mm×0.8mmのサンプルを使用しJIS規格C6481に準じて、オートグラフ((株)島津製作所製AG−Xplus)にて、それぞれ25℃、250℃で測定を実施した。
【0102】
弾性率維持率:上記手法によって測定された25℃の曲げ弾性率(a)と250℃の熱時曲げ弾性率(b)とから下記式によって算出した。
【0103】
弾性率維持率(%)=(b)/(a)×100
【0104】
熱膨張率:4.5mm×30mm×0.1mmのサンプルを使用し、熱機械分析装置(TAインスツルメント製)で40℃から340℃まで毎分10℃で昇温し、60℃から120℃での面方向の線膨張係数を測定した。測定方向は積層板のガラスクロスの縦方向(Warp)を測定した。
【0105】
耐熱性評価:銅箔張り積層板を用いて、下記方法で評価した。
耐熱性:50×50mmのサンプルを、288℃半田に30分間フロートさせて、デラミネーションが発生するまでの時間を測定した。30分経過してもデラミネーションが発生しなかった場合は表に>30minと表した。
【0106】
【表1】