(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774035
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】レジンシート、金属箔張積層板及びプリント配線板
(51)【国際特許分類】
C09D 163/00 20060101AFI20201012BHJP
C09D 121/00 20060101ALI20201012BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20201012BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20201012BHJP
C08G 59/40 20060101ALI20201012BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20201012BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20201012BHJP
C08K 5/3415 20060101ALI20201012BHJP
C08K 5/5415 20060101ALI20201012BHJP
C08G 73/06 20060101ALI20201012BHJP
C08L 79/00 20060101ALI20201012BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20201012BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20201012BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20201012BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
C09D163/00
C09D121/00
C09D7/61
C09D7/63
C08G59/40
C08L63/00 A
C08L63/00 Z
C08K3/013
C08K5/3415
C08K5/5415
C08G73/06
C08L79/00
C08J5/18
B32B15/08 J
H05K1/03 610L
H05K1/03 610Q
H05K1/03 630H
H05K3/46 B
H05K3/46 T
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-98764(P2018-98764)
(22)【出願日】2018年5月23日
(62)【分割の表示】特願2014-27288(P2014-27288)の分割
【原出願日】2014年2月17日
(65)【公開番号】特開2018-165368(P2018-165368A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2018年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】植山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】十亀 政伸
(72)【発明者】
【氏名】太田 充
(72)【発明者】
【氏名】猪原 勝利
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 義則
【審査官】
柳本 航佑
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/152402(WO,A1)
【文献】
特開2009−035728(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/165240(WO,A1)
【文献】
特開2010−174242(JP,A)
【文献】
特開2011−162622(JP,A)
【文献】
特開2014−024970(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/008684(WO,A1)
【文献】
特開昭63−183977(JP,A)
【文献】
特開2003−238772(JP,A)
【文献】
特開2003−246843(JP,A)
【文献】
特開平10−178040(JP,A)
【文献】
特開2011−144361(JP,A)
【文献】
特開2013−129827(JP,A)
【文献】
特開2011−225777(JP,A)
【文献】
特開2012−158637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
B32B 15/00− 15/20
B32B 27/00− 27/42
C08G 59/00− 59/72
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00− 13/08
C08J 5/18
H05K 1/03
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シアン酸エステル化合物(A)、エポキシ樹脂(B)、エラストマー成分(C)、無機充填材(D)、シランカップリング剤(E)、及びマレイミド化合物(F)を含有する樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂(B)が、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂を含み、
前記エラストマー成分(C)が、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリエステルゴム、スチレンイソプレンスチレンゴム、スチレンプロピレンゴム、エーテル型ウレタンゴム、ポリエステル型ポリアミドゴム、ブチルアクリレートメチルメタクリレートポリマーから選択される群のうち、いずれか1種以上であり(ただし、エラストマー成分(C)としてカルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴムを除く)、前記エラストマー成分(C)の含有量が、前記シアン酸エステル化合物(A)、前記エポキシ樹脂(B)、及び前記エラストマー成分(C)の合計100質量部に対して、0.5〜15質量部であり、
前記無機充填材(D)の体積含有率が、前記樹脂組成物の全体積に対して、20体積%以上80体積%以下であり、かつ、前記無機充填材(D)が、前記シアン酸エステル化合物(A)、前記エポキシ樹脂(B)、及び前記エラストマー成分(C)の合計100質量部に対して、301質量部以上であり、
前記シランカップリング剤(E)が、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランであり、前記シランカップリング剤(E)の含有量が、前記シアン酸エステル化合物(A)、前記エポキシ樹脂(B)、及び前記エラストマー成分(C)の合計100質量部に対して、3〜30質量部である
前記樹脂組成物を、支持体に塗布して得られ、
前記支持体が、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PBT(ポリブチレンテレフタレート)フィルム、PP(ポリプロピレン)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルム、アルミ箔、銅箔、又は金箔である、
レジンシート。
【請求項2】
前記無機充填材(D)が、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素及び窒化アルミニウムから選択される群のうち、いずれか1種以上である請求項1に記載のレジンシート。
【請求項3】
前記シアン酸エステル化合物(A)が、式(1)で示されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、式(2)で示されるノボラック型シアン酸エステル化合物及び式(3)で示されるビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物から選択される群のうち、いずれか1種以上である請求項1又は2に記載のレジンシート。
【化1】
(式中、R
1は、各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、n1は1〜50の整数を示す。)
【化2】
(式中、R
2は、各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、n2は1〜50の整数を示す。)
【化3】
(式中、R
3は、各々独立に、水素原子又はメチル基を示し、n3は1〜50の整数を示す。)
【請求項4】
前記樹脂組成物における前記シアン酸エステル化合物(A)の含有量が、前記シアン酸エステル化合物(A)、前記エポキシ樹脂(B)、及び前記エラストマー成分(C)の合計100質量部に対して、10〜90質量部である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレジンシート。
【請求項5】
前記樹脂組成物における前記マレイミド化合物(F)の含有量が、前記シアン酸エステル化合物(A)及びマレイミド化合物(F)の合計100質量部に対して、5〜75質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジンシート。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレジンシートと金属箔とを積層し硬化してなる、金属箔張積層板。
【請求項7】
請求項6に記載の金属箔張積層板の金属箔を、パターン形成することにより作製されたプリント配線板。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレジンシートをビルドアップ材として用いて作製されたプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高熱伝導率を有するプリント配線板用の樹脂組成物、レジンシート及び積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器や通信機、パーソナルコンピューター等に広く用いられている半導体の小型化、高集積化・高機能化・高密度実装化はますます加速しており、以前にもましてプリント配線板に対する要求が高くなっている。高集積化・高機能化・高密度実装化のため、プリント配線板を構成している金属箔張積層板に用いるプリプレグは薄葉化傾向にあるが、プリプレグはガラスクロスの厚み、成形性の観点から、薄葉化の限界があった。
そこで、直接金属箔やフィルムなどの支持体にプリプレグ等に用いられる熱硬化性樹脂を塗布するレジンシートが、薄葉化の一手段として用いられる(特許文献1)。
一方で、更なる高集積化・高機能化・高密度実装化を達成するためには、薄葉化に加えて発熱に対する金属箔張積層板の放熱技術が求められるようになっている。これは、半導体の高機能化に伴い、半導体から発生する熱量が大きくなっており、かつ高集積化・高密度実装化の影響により熱が内部に溜まりやすい構成になってきているためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−316591
【特許文献2】国際公開第2011/152402号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放熱性を向上させる手法の一つとして、プリプレグに用いる樹脂組成物に、熱伝導性に優れた無機充填材を高充填(多量充填)する方法が知られている(特許文献2)。しかしこの方法でレジンシートを作成した場合、レジンシートにおける可とう性の良い樹脂分が少ないため、屈曲するとレジンシートにクラックが発生し、良好なものが作製できない問題があった。
【0005】
本発明は、可とう性が良好で屈曲時のクラックの発生を防止できかつ、高い放熱特性、高弾性率、高いガラス転移温度を有するプリント配線板に用いる樹脂組成物、これを用いたレジンシート、金属箔張積層板及びプリント配線板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、シアン酸エステル化合物(A)、エポキシ樹脂(B)、エラストマー成分(C)、無機充填材(D
)、シランカップリング剤(E)、及びマレイミド化合物(F)
を含有する樹脂組成物であって、
前記エラストマー成分(C)が、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム
、クロロプレンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリエステルゴム、スチレンイソプレンスチレンゴム、スチレンプロピレンゴム、エーテル型ウレタンゴム、ポリエステル型ポリアミドゴム、ブチルアクリレートメチルメタクリレートポリマーから選択される群のうち、いずれか1種以上であり、
前記エラストマー成分(C)の含有量が、
前記シアン酸エステル化合物(A)、
前記エポキシ樹脂(B)、
及び前記エラストマー成分(C
)の合計100質量部に対し
て、0.5〜30質量部であり、
前記無機充填材(D)
の体積含有率が、前記樹脂組成物の全体積に対して、20体積%以上80体積%以下であり、かつ、前記無機充填材(D)が、
前記シアン酸エステル化合物(A)、
前記エポキシ樹脂(B)、
及び前記エラストマー成分(C
)の合計100質量部に対し
て、
301質量部
以上である
前記樹脂組成物を、支持体に塗布して得られるレジンシートを用いることにより、上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0007】
本発明による樹脂組成物は、耐クラック性が良好であり、得られるレジンシートを硬化してなるプリント配線板や金属箔張り積層板は、高い熱伝導性、高い弾性率、ガラス転移温度が高く、薄葉化が可能な事から、高集積・高密度化対応のプリント配線板材料に好適であり、工業的な実用性は極めて高いものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、シアン酸エステル化合物(A)、エポキシ樹脂(B)、エラストマー成分(C)及び無機充填材(D)からなり、該エラストマー成分(C)の含有量が、シアン酸エステル化合物(A)、エポキシ樹脂(B)及びエラストマー成分(C)の合計100質量部に対して、0.5〜30質量部であり、さらに無機充填材(D)が、シアン酸エステル化合物(A)、エポキシ樹脂(B)及びエラストマー成分(C)の合計100質量部に対して、50〜900質量部である樹脂組成物を、支持体に塗布して得られるレジンシートである。
【0009】
また、本発明の別の態様においては、前記樹脂組成物にシランカップリング剤(E)をさらに含有するレジンシートである。
【0010】
また、本発明の別の態様においては、前記樹脂組成物にマレイミド化合物(F)をさらに含有するレジンシートである。
【0011】
さらに、本発明の別の態様においては、前記レジンシートを用いて作製される、金属箔張積層板及びプリント配線板である。
【0012】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物におけるシアン酸エステル化合物(A)としては、一般に公知のシアン酸エステル化合物を使用することができる。例えば式(1)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、式(2)で表されるノボラック型シアン酸エステル化合物、式(3)で表されるビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、ビス(3,5−ジメチル4−シアナトフェニル)メタン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、2、7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4、4’−ジシアナトビフェニル、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、2、2’−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(3、5−ジメチル、4−シアナトフェニル)メタン等が挙げられる。
この中でも式(1)で表されるナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物、式(2)で表されるノボラック型シアン酸エステル化合物、式(3)で表されるビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物が難燃性に優れ、硬化性が高く、かつ硬化物の熱膨張係数が低いことから特に好ましい。
【0013】
【化1】
上記式(1)においてR
1は各々独立しており、水素原子又はメチル基を表すが、特に、置換基R
1が水素であるシアン酸エステル化合物は耐熱性を維持するとともに、吸水性や吸湿耐熱性等の特性に優れ好適に使用できる。
【0014】
【化2】
上記式(2)においてR
2は各々独立しており、水素原子又はメチル基を表すが、特に、置換基R
2が水素であるシアン酸エステル化合物は耐熱性を維持するとともに、吸水性や吸湿耐熱性等の特性に優れ好適に使用できる。
【0015】
【化3】
上記式(3)においてR
3は各々独立しており、水素原子又はメチル基を表すが、特に、置換基R
3が水素であるシアン酸エステル化合物は耐熱性を維持するとともに、吸水性や吸湿耐熱性等の特性に優れ好適に使用できる。
【0016】
また、上記式(1)、(2)、(3)において、n1、n2、n3は、1〜50の整数を表すが、n1、n2、n3が異なる複数のシアン酸エステル化合物(A)を、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用してもよい。
【0017】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物におけるシアン酸エステル化合物(A)の含有量は、硬化物の耐熱性等の観点から、シアン酸エステル化合物(A)、エポキシ樹脂(B)及びエラストマー成分(C)の合計100質量部に対して、10〜90質量部であることが好ましく、より好ましくは30〜70質量部である。
【0018】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(B)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に制限なく、公知のものを使用することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、3官能フェノール型エポキシ樹脂、4官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリオール型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエステル、ブタジエンなどの2重結合をエポキシ化した化合物、水酸基含有シリコン樹脂類とエピクロルヒドリンとの反応により得られる化合物等が挙げられる。
これらのなかでも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂は耐熱性を維持するとともに、吸水性や吸湿耐熱性等の特性に優れ好適に用いることができる。これらのエポキシ樹脂(B)は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0019】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(B)の含有量は、耐熱性、熱伝導性及び吸水性の観点から、シアン酸エステル化合物(A)、エポキシ樹脂(B)及びエラストマー成分(C)の合計100質量部に対して、10〜90質量部であることが好ましく、より好ましくは30〜70質量部である。
【0020】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物においては、エラストマー成分(C)を使用する。その理由としては、エラストマー成分を添加することで、樹脂組成物全体に柔軟性を持たせることができ、屈曲や衝撃によるクラック発生を抑えることができるからである。
【0021】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物におけるエラストマー成分(C)は、主鎖に不飽和結合をもつジエン系ゴム、主鎖に不飽和結合をもたない非ジエン系ゴムであれば特に制限なく、公知のものを使用することができる。例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、イソブチレンイソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、スチレンブタジエンエチレンゴム、エチレンプロピレンジエンターゴム、ポリエステルゴム、スチレンブタジエンスチレンゴム、スチレンイソプレンスチレンゴム、スチレンプロピレンゴム、カプロラクトン型ウレタンゴム、アジペート型ウレタンゴム、エーテル型ウレタンゴム、ポリエステル型ポリアミドゴム、ポリオール型アミドゴムなどが挙げられる。これらの中でも、耐熱性の観点からアクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムを好適に用いることができる。これらのエラストマー成分は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用しても良い。
エラストマー成分(C)は、市販品を用いることもでき、例えばアクリロニトリルブタジエンゴムとしては、JSR(株)製のN220S等が挙げられる。
【0022】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物におけるエラストマー成分(C)の含有量は、耐クラック性、耐熱性、弾性率、外観及び成形性の観点からシアン酸エステル化合物(A)、エポキシ樹脂(B)及びエラストマー成分(C)の合計100質量部に対して、0.5〜30質量部であることを必須とする。その中でも1〜15質量部が特に好ましい。
【0023】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物における無機充填材(D)は、硬化物の熱伝導性を高めるものを選択して使用される。具体例としては、天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ等のシリカ類、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化モリブデン、モリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物、ホウ酸亜鉛、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム加熱処理品(水酸化アルミニウムを加熱処理し、結晶水の一部を減じたもの)、水酸化マグネシウム等の金属水和物、錫酸亜鉛、クレー、カオリン、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、焼成タルク、マイカ、ガラス短繊維(EガラスやDガラスなどのガラス微粉末類)、中空ガラス等が挙げられる。これらのなかでも熱伝導率及び充填率の観点から、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、窒化ホウ素、凝集窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒素化アルミニウムなどが好適である。これらの無機充填材(D)は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0024】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物における無機充填材(D)の含有量は、熱伝導率の観点から、シアン酸エステル化合物(A)、エポキシ樹脂(B)及びエラストマー成分(C)の合計100質量部に対して、50〜900質量部であることを必須とする。このような範囲にあることで、外観、成形性、弾性率及び熱伝導性の良好な硬化物が得られる。その中でも301〜900質量部が特に好ましい。また、無機充填材(D)の体積含有率が、樹脂組成物の全体積に対して、20体積%以上80体積%以下であることが好ましい。
【0025】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物には、所期の特性が損なわれない範囲において、シランカップリング剤(E)を使用してもよい。シランカップリング剤のシラノール基は、表面に水酸基を持つ素材と、特に親和性及び反応性を示すため、有機物−無機物の結合に効果があり、無機充填材の表面がシランカップリング剤と反応する場合には、熱硬化性樹脂と無機充填材の密着性が改善される。使用されるシランカップリング剤(E)としては、一般に無機物の表面処理に使用されているシランカップリング剤であれば、特に限定されるものではない。具体例としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン系、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのビニルシラン系、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩などのカチオニックシラン系、フェニルシラン系などが挙げられ、1種もしくは2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0026】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物におけるシランカップリング剤(E)の含有量は、耐熱性の観点からシアン酸エステル化合物(A)、エポキシ樹脂(B)及びエラストマー成分(C)の合計100質量部に対して、3〜30質量部であることが好ましい。
【0027】
無機充填材(D)に関して、湿潤分散剤を併用することも可能である。湿潤分散剤を含有させることによって無機充填材の分散性を向上させることができる。これらの湿潤分散剤としては、塗料用に使用されている分散安定剤であれば、特に限定されるものではない。例えばビッグケミー・ジャパン(株)製のDisperbyk−110、111、161、180、W903等の湿潤分散剤が挙げられ、1種もしくは2種以上を適宜組み合わせて使用することも可能である。
【0028】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物は、所期の特性が損なわれない範囲において、さらにマレイミド化合物(F)を含んでいてもよい。マレイミド化合物を用いると、耐熱性や弾性率が向上される事が期待される。マレイミド化合物としては、1分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物であれば特に制限なく使用することができる。例えば、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−マレイミドフェニル)メタン、トリス(4−マレイミドフェニル)メタン、式(4)で表されるマレイミド化合物などが挙げられる。これらのマレイミド化合物は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。また、モノマーの形態だけでなく、プレポリマーの形態であってもよく、また、ビスマレイミド化合物とアミン化合物とのプレポリマーの形態であってもよい。これらのなかでも、耐熱性の観点から、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス{4−(4−マレイミドフェノキシ)−フェニル}プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、式(4)で表されるマレイミド化合物を好適に使用することができる。
【0029】
【化4】
上記式(4)においてR
4は各々独立しており、水素原子又はメチル基を表すが、特に、置換基R
1が水素であるマレイミド化合物は耐熱性を維持するとともに、吸水性や吸湿耐熱性等の特性に優れ好適に使用できる。
また、上記式(4)において、n4は、1〜10の整数を表すが、n4が異なる複数のマレイミド化合物(F)を、1種もしくは2種以上を適宜混合して使用してもよい。
【0030】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物におけるマレイミド化合物(F)は、耐熱性及び弾性率の観点から、シアン酸エステル化合物(A)及びマレイミド化合物(F)の合計100質量部に対して、5〜75質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜70質量部である。
【0031】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物は、上記した成分以外にも、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。例えば、硬化速度を適宜調節するために、硬化促進剤が含まれていてもよい。硬化促進剤としては、シアン酸エステル化合物(A)やエポキシ樹脂(B)の硬化促進剤として一般に使用されるものであれば、特に制限なく使用することができる。例えば、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル等の有機金属塩類、イミダゾール類及びその誘導体、第3級アミン等が挙げられる。また、上記した硬化促進剤は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。硬化促進剤の添加量は、樹脂の硬化度や樹脂組成物の粘度等の観点から適宜調整でき、通常は、樹脂の総量100質量部に対して0.01〜15質量部程度である。
【0032】
また、本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物は、所期の特性が損なわれない範囲において、他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、及びそのオリゴマーなどの種々の高分子化合物、他の難燃性の化合物、添加剤などが添加されていてもよい。これらは、一般に使用されているものであれば、特に制限なく使用することができる。例えば、難燃性の化合物としては、リン酸エステル、リン酸メラミンなどのリン化合物、メラミンやベンゾグアナミンなどの窒素含有化合物、オキサジン環含有化合物、シリコン系化合物などが挙げられる。添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤、光増感剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光沢剤、重合禁止剤等が挙げられ、必要に応じて、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0033】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤は、樹脂組成物の粘度を下げ、ハンドリング性を向上させると共に銅箔との塗れ性を高めるために用いられる。有機溶剤としては、シアン酸エステル化合物(A)、エポキシ樹脂(B)及びエラストマー成分(C)の混合物が相溶するものであれば、特に制限なく使用することができる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これら有機溶剤は、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0034】
本発明のレジンシートに用いる樹脂組成物の作製方法は、シアン酸エステル化合物(A)、エポキシ樹脂(B)、エラストマー成分(C)、無機充填材(D)を組み合わせて樹脂組成物を作製する方法であれば、特に限定されない。例えば、エポキシ樹脂(B)に無機充填材(D)を配合し、ホモミキサー等で分散させ、そこへ、シアン酸エステル化合物(A)、エラストマー成分(C)を配合する方法などが挙げられる。さらに、粘度を下げ、ハンドリング性を向上させると共に銅箔との塗れ性を高めるために有機溶媒を添加することが望ましい。
【0035】
本発明のレジンシートを製造する際において使用される支持体は、特に限定されないが、各種プリント配線板材料に用いられている公知の物もの使用することが出来る。例えばポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、PETフィルム、PBTフィルム、PPフィルム、PEフィルム、アルミ箔、銅箔、金箔など挙げられる。その中でも電解銅箔、PETフィルムが好ましい。
【0036】
上記した支持体は、樹脂との密着性や吸湿耐熱性の観点から、表面処理が施されていてもよく、例えば、表面をシランカップリング剤などで表面処理することができる。
【0037】
本発明のレジンシートは、シアン酸エステル化合物(A)、エポキシ樹脂(B)、エラストマー成分(C)及び無機充填材(D)を必須成分として含有する樹脂組成物を支持体に塗布後、半硬化(Bステージ化)させたものである。このレジンシートの製造方法は一般にBステージ樹脂及び支持体の複合体を製造するものであれば特に制限されない。例えば、上記樹脂組成物を銅箔などの支持体に塗布した後、100〜200℃の乾燥機中で、1〜60分加熱させる方法などにより半硬化させ、レジンシートを製造する方法などが挙げられる。支持体に対する樹脂組成物の付着量は、レジンシートの樹脂厚で1〜300μmの範囲が好ましい。
【0038】
本発明の金属箔張積層板は、上述のレジンシートを用いて、その片面もしくは両面に金属箔を配置して積層形成することにより、得ることができる。例えば、前述のレジンシートを1枚あるいは所望によりその支持体を剥離したものを複数枚重ね、その片面もしくは両面に銅やアルミニウムなどの金属箔を配置した構成とし、これを必要に応じて積層成形することにより、本実施形態の金属箔張積層板を作製することができる。ここで使用する金属箔は、プリント配線板材料に用いられるものであれば、特に限定されないが、圧延銅箔や電解銅箔などの公知の銅箔が好ましい。金属箔張積層板の成形方法及びその成形条件についても、特に限定されず、一般的なプリント配線板用積層板及び多層板の手法及び条件を適用することができる。例えば、金属箔張積層板の成形時には多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機などを用いることができ、また、温度は100〜300℃、圧力は面圧2〜100kgf/cm
2、加熱時間は0.05〜5時間の範囲が一般的である。さらに、必要に応じて、150〜300℃の温度で後硬化を行うこともできる。
【0039】
上記の本発明の金属箔張積層板は、所定の配線パターンを形成することにより、プリント配線板として好適に用いることができる。
【0040】
本発明のレジンシートは、プリント配線板のビルドアップ材料として使用可能である。ビルドアップとは、レジンシートを積層すると共に、一層毎に穴あけ加工、配線形成などを繰り返すことによって、多層構造のプリント配線板を作製することを意味する。例えば、各種プリント配線板材料に用いられている公知の銅張積層板に回路形成をし、得られた回路に黒化処理を実施して内層回路板を得、この内層回路板に片面又は両面に本発明のレジンシートをビルドアップ材として配置してその表面に回路形成し、その操作を繰り返して多層プリント配線板を作製するという方法があるが、本発明のレジンシートは該ビルドアップ材料に使用することができる。レジンシートをビルドアップ材として使用する場合の成形方法及びその成形条件についても、特に限定されず、一般的なプリント配線板用積層板及び多層板の手法及び条件を適用することができる。例えば、金属箔張積層板の成形時には多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブ成形機などを用いることができ、また、温度は100〜300℃、圧力は面圧2〜100kgf/cm
2、加熱時間は0.05〜5時間の範囲が一般的である。さらに、必要に応じて、150〜300℃の温度で後硬化を行うこともできる。このようにして得られるプリント配線板は、耐クラック性、高い熱伝導性、高い弾性率、高いガラス転移温度という優れた特性を有する。
【0041】
以下に合成例、実施例、比較例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明の実施態様は以下に限定されるものではない。
【実施例】
【0042】
以下に、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
(合成例1)
α−ナフトールアラルキル樹脂(SN495V、OH基当量:236g/eq.、新日鐵化学製:nは1〜5のものが含まれる)0.47モル(OH基換算)を、クロロホルム500mlに溶解させ、この溶液にトリエチルアミン0.7モルを添加し、これに0.93モルの塩化シアンのクロロホルム溶液300gを、−10℃で1.5時間かけて滴下し、30分撹拌した後、更に0.1モルのトリエチルアミンとクロロホルム30gの混合溶液を滴下し、30分撹拌して反応を完結させた。生成するトリエチルアミンの塩酸塩を濾別した後、得られた濾液を0.1N塩酸500mlで洗浄した後、水500mlでの洗浄を4回繰り返した。これを硫酸ナトリウムにより乾燥した後、75℃でエバポレートし、更に90℃で減圧脱気することにより、褐色固形の上記式(1)のR
1がすべて水素原子であるα−ナフトールアラルキル型のシアン酸エステル化合物を得た。得られたシアン酸エステル化合物を赤外吸収スペクトルにより分析したところ、2264cm
-1付近にシアン酸エステル基の吸収を確認した。
【0044】
(実施例1)
合成例1で得たα−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物40質量部とビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−70、ケイアイ化成(株)製)20質量部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000−FH,日本化薬(株)製)35質量部、アクリロニトリルブタジエンゴム(N220S,JSR(株)製)5質量部、シランカップリング剤(Z6040、東レダウコーニング(株)製)15質量部、酸基を含む湿潤分散剤(BYK−W903、ビッグケミージャパン(株)製)5質量部をメチルエチルケトンで溶解混合し、真球状3μmアルミナ(AX3−15、新日鉄マテリアルズ(株)マイクロン社製)700質量部、0.3μmアルミナ(ASFP−20、電気化学工業(株)製)150質量部、ニッカオクチックスマンガン(Mn8%)(日本合成化学工業(株)製)0.01質量部、2,4,5−トリフェニルイミダゾール(東京化成工業(株)製)0.5質量部を混合してワニスを得た。このワニスをメチルエチルケトンで希釈し、厚み12μm、質量110.0g/m
2の電解銅箔(三井金属鉱業(株)製)に塗布し、130℃で3分間加熱乾燥して、絶縁層が50μmのレジンシートを得た。
【0045】
得られたレジンシートの銅箔を剥離後、該レジンシートを16枚重ねて12μm厚の電解銅箔(三井金属鉱業(株)製)を上下に配置し、圧力30kgf/cm
2、温度220℃で120分間プレスを行い、絶縁層厚0.8mmの銅張り積層板を得た。
【0046】
熱伝導率、切断時クラック発生、弾性率、ガラス転移温度、残溶剤量、吸湿耐熱性評価を行った。結果を表1に示した。
【0047】
(測定方法)
1)熱伝導率:得られた銅箔張積層板の銅箔をエッチングにより除去したのちに密度を測定した。また、比熱をDSC(TA Instrumen Q100型)により測定し、さらに、キセノンフラッシュアナライザ(Bruker:LFA447Nanoflash)により熱拡散率を測定した。そして、熱伝導率を以下の式から算出した。
熱伝導率(W/m・K)=密度(kg/m
3)×比熱(kJ/kg・K)×熱拡散率(m
2/S)×1000
2)切断時クラック発生:得られたBステージレジンシート100mm×100mmのサンプルを厚み0.5mmのカッター刃で50mm切断しひび割れやクラックを目視で観察。ひび割れやクラックが発生してないものを「○」、ひび割れやクラックが発生したものを「×」とした。
3)弾性率:得られた銅箔張積層板の銅箔をエッチングにより除去したのちに、JIS K―6911に準拠して、オートグラフ試験機で測定。
4)ガラス転移温度:得られた銅箔張積層板の銅箔をエッチングにより除去したのちにJIS C6481に準拠して、DMA法にて測定。
5)残溶剤量:基材剥離後のBステージレジンシート質量10gを乾燥機で165℃、90分間投入する。乾燥機から取り出し後、レジンシート質量を測定することで揮発分を算出した。
【0048】
(実施例2)
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000−FH)を39質量部、アクリロニトリルブタジエンゴム(N220S)を1質量部とした以外は実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0049】
(実施例3)
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000−FH)を30質量部、アクリロニトリルブタジエンゴム(N220S)を10質量部とした以外は実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0050】
(実施例4)
Bステージ化するための乾燥条件を、100℃で1分間とした以外は実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0051】
(実施例5)
樹脂付きシートの支持体を厚み30.0μmのPETフィルムした以外は実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0052】
(実施例6)
シランカップリング剤(Z6040)を使用しなかった以外は実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0053】
(比較例1)
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000−FH)を40質量部とし、アクリロニトリルブタジエンゴム(N220S)を使用しなかった以外は実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0054】
(比較例2)
α−ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物を24質量部、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−70)を12質量部、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000−FH)を24質量部、アクリロニトリルブタジエンゴム(N220S)を40質量部用いた以外は実施例1と同様の評価を実施した。評価結果を表1に示した。
【0055】
【表1】