特許第6774037号(P6774037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774037
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】防水型コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20201012BHJP
   H01R 13/523 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   H01R13/52 301H
   H01R13/52 301E
   H01R13/523
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-191058(P2018-191058)
(22)【出願日】2018年10月9日
(65)【公開番号】特開2020-61254(P2020-61254A)
(43)【公開日】2020年4月16日
【審査請求日】2019年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(74)【代理人】
【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
(72)【発明者】
【氏名】小山 裕己
(72)【発明者】
【氏名】浅井 清
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊彦
【審査官】 杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−174497(JP,A)
【文献】 特開2017−168336(JP,A)
【文献】 特開2015−053177(JP,A)
【文献】 実開昭56−137371(JP,U)
【文献】 特開2004−342415(JP,A)
【文献】 特表2008−543021(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0162483(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40−13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続端子がハウジングに保持されてなるコネクタ本体と、該コネクタ本体が収容される凹穴状のコネクタ収容部を有するケースと、前記ハウジングの外周部に固定され、前記ハウジングとケースとの間を止水するシール材とを備えた防水型コネクタにおいて、
前記シール材は、前記コネクタ収容部の内周面に当接する周側当接部と、前記コネクタ収容部の奥壁部に当接する奥側当接部とを備え、
前記ハウジングには、前記奥側当接部の背面部を支持するシール材支持面が形成されていることを特徴とする防水型コネクタ。
【請求項2】
前記奥側当接部は、断面凸形状の複数の接触凸部と、該接触凸部間に形成された溝状の変形吸収部とを備えている請求項1に記載の防水型コネクタ。
【請求項3】
前記接続端子は、大径部と軸方向に連続した小径部を有する有段ピン状に形成され、前記ハウジングに前面側より挿入され、
前記小径部は、前記ハウジングの端面より突出し、前記奥壁部又は該奥壁部の背面側に支持された支持板部に形成された挿通孔に貫通され、先端に固定された抜け止め部材によって前記挿通孔の開口縁部に係止され、
前記コネクタ本体が前記抜け止め部材によって前記ケースに抜け止めされている請求項1又は2に記載の防水型コネクタ。
【請求項4】
前記シール材は、液状シリコーンゴム材によって前記ハウジングと一体に成形されている請求項1〜3の何れか一に記載の防水型コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水仕様の電子機器に使用されるコネクタであって、水深の深い位置でも対応可能な防水性コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の携帯通信端末や腕時計型端末等の電子機器には、防水仕様のものが広く用いられており、このような防水仕様の電子機器には、充電器やその他の機器との接続用に防水型コネクタが備えられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この防水型コネクタは、電子機器の基板等と接続される接続用の端子と、端子を保持するコネクタ本体とを備え、このコネクタ本体が電子機器の筐体を形成するケース内に収容されるとともに、コネクタ本体の外周に嵌合されたパッキン等のシール材によってケースとコネクタ本体との間の隙間が止水される構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5155492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、コネクタを備えた電子機器が水深の深い位置まで沈降し、高い水圧が作用する状況に至った場合、水圧によってコネクタ本体が押圧され、ケースとシール材との間に隙間が生じる方向にコネクタ本体が移動することによってケース内部に浸水する懸念があった。
【0006】
また、このような防水型コネクタでは、高い防水性が要求される場合、複数のシール材が必要であったり、シール材の圧縮量を多くしたりするなどの対策が必要となり、その分、コネクタの大型化や組込み時の作業性が低下する等の課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、高い水圧に対しても高い防水性を維持することができる防水性コネクタの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、接続端子がハウジングに保持されてなるコネクタ本体と、該コネクタ本体が収容される凹穴状のコネクタ収容部を有するケースと、前記ハウジングの外周部に固定され、前記ハウジングとケースとの間を止水するシール材とを備えた防水型コネクタにおいて、前記シール材は、前記コネクタ収容部の内周面に当接する周側当接部と、前記コネクタ収容部の奥壁部に当接する奥側当接部とを備え、前記ハウジングには、前記奥側当接部の背面部を支持するシール材支持面が形成されていることにある。
【0009】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記奥側当接部は、断面凸形状の複数の接触凸部と、該接触凸部間に形成された溝状の変形吸収部とを備えていることにある。
【0010】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記接続端子は、大径部と軸方向に連続した小径部を有する有段ピン状に形成され、前記ハウジングに前面側より挿入され、前記小径部は、前記ハウジングの端面より突出し、前記奥壁部又は該奥壁部の背面側に支持された支持板部に形成された挿通孔に貫通され、先端に固定された抜け止め部材によって前記挿通孔の開口縁部に係止され、前記コネクタ本体が前記抜け止め部材によって前記ケースに抜け止めされていることにある。
【0011】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1〜3の何れか一の構成に加え、前記シール材は、液状シリコーンゴム材によって前記ハウジングと一体に成形されていることにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る防水型コネクタは、請求項1に記載の構成を具備することによって、コネクタ収容部の内周面及び奥壁部にシール材が当接することで、高い防水性を発揮し、コネクタを備えた電子機器が水深の深い位置まで沈降し、そのケースに高い水圧が作用する状況に至った場合、シール材がさらに圧縮されることで高い防水性を維持することができる。
【0013】
また、本発明において、請求項2に記載の構成を具備することによって、接触凸部間に形成された溝状の変形吸収部が接触凸部の変形代となって圧縮方向の変形を許容できる。
【0014】
さらに、本発明において、請求項3に記載の構成を具備することによって、シール材がさらに圧縮される方向への若干のスラスト量が確保され、コネクタ本体に水圧が作用した際に、シール材が圧縮される方向に接触端子がハウジングを押圧し、高い防水性を発揮することができる。
【0015】
更にまた、本発明において、請求項4に記載の構成を具備することによって、形状の自由度が増すとともに、組込み作業が容易となり、コネクタの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る防水型コネクタの使用態様の一例を示す斜視図であって、(a)は開口側から見た図、(b)はその裏側から見た図である。
図2】同上の断面図である。
図3】同上の分解斜視図である。
図4】同上の分解断面図である。
図5図1中のコネクタ本体を示す斜視図であって、(a)は開口側から見た図、(b)はその裏側から見た図である。
図6図5中のシール材を示す図であって、(a)は平面図、(b)は同正面図、(c)は同止水材の断面図、(d)は同部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る防水型コネクタの実施態様を図1図6に示した実施例に基づいて説明する。図中符号1は、防水型コネクタである。
【0018】
防水型コネクタ1は、接続端子2,2…がハウジング3に保持されてなるコネクタ本体4と、コネクタ本体4が収容される凹穴状のコネクタ収容部5を有するケース6と、ハウジング3の外周部に固定されたシール材7とを備え、シール材7によってハウジング3とケース6との間が止水されるようになっている。
【0019】
ケース6は、前面側に開口した凹状のコネクタ収容部5を備え、コネクタ収容部5の前面側よりコネクタ本体4が挿入されるようになっている。
【0020】
コネクタ収容部5は、内周面51の奥側に奥壁部52が形成され、奥壁部52によってコネクタ収容部5内部とケース内部61とが隔てられ、開口側より挿入されたコネクタ本体4が奥壁部52側に向けて挿入され、奥壁部52に当て止めされるようになっている。
【0021】
奥壁部52は、中央部にハウジング3の一部が挿入されるハウジング挿通孔53を備え、その背面側、即ち、ハウジング挿通孔53のケース内部61側の開口縁部に板状の支持板部54が固定されている。
【0022】
支持板部54は、間隔をおいて複数の挿通孔55,55…を備え、各挿通孔55,55…に後述する接続端子2,2…の小径部22が貫通され、小径部22の先端に固定された抜け止め部材25が挿通孔55,55…の開口縁部に係止されることによって、コネクタ本体4がケース6に抜け止めされている。
【0023】
コネクタ本体4は、樹脂製のハウジング3と、ハウジング3に収容されるピン状の接続端子2,2…と、ハウジング3の外周部に固定されたシール材7とを備えている。
【0024】
接続端子2は、導電性金属材によって形成され、円柱状の大径部21と、大径部21と軸方向に連続した小径部22とを備え、大径部21と小径部22との境界に段部を有する有段ピン状を成している。
【0025】
大径部21は、周方向に連続した複数のシール用溝23,23を外周部に備え、各シール用溝23,23にOリング等の端子用シール材24が嵌合されている。
【0026】
小径部22は、大径部21より小径の円柱状に形成され、大径部21と同軸配置に軸方向で連続している。
【0027】
この小径部22には、先端部にeリング等の抜け止め部材25が係合されるようになっている。
【0028】
ハウジング3は、絶縁性樹脂材によって形成され、前面側に開口し、接続端子2,2…が挿入される端子挿入部31,31…を有する本体部32と、本体部32の外周部に張り出したフランジ部33とを備えている。
【0029】
端子挿入部31,31…は、本体部32の一端側(前面側)に開口した円形穴状に形成され、後端側に接続端子2,2…の小径部22が貫通する貫通孔34を備え、貫通孔34を通して本体部32の後端側から小径部22の先端が突出するようになっている。
【0030】
フランジ部33は、コネクタ収容部5の内周面に合わせて本体部32の外周より鍔状に張り出した形状に形成され、外周面がコネクタ収容部5の内周側に若干の隙間をおいて嵌め込まれるようになっている。
【0031】
また、フランジ部33には、その背面側外周部にシール材7が固定されるシール材保持部35を備え、シール材保持部35に固定されたシール材7がコネクタ収容部5の内周面及び奥壁部52に当接するようになっている。
【0032】
シール材保持部35は、周方向に連続する段部36を備え、段部36の背面が後述するシール材7の奥側当接部72の背面部を支持する奥側のシール材支持面36aを形成し、段部36の側面がシール材7の周側当接部71を支持するシール材支持面36bを形成している。
【0033】
シール材7は、コネクタ収容部5の内周面51に当接する周側当接部71と、コネクタ収容部5の奥壁部52に当接する奥側当接部72とを備え、周側当接部71と奥側当接部72とが互いにL字状配置された断面がフランジ部33の全周に亘って連続した環状を成している。
【0034】
奥側当接部72は、フランジ部側に平坦な支持面72aを有するとともに、奥壁部52側に断面凸形状の複数(本実施例は一対)の接触凸部72b,72bと、接触凸部72b,72b間に形成された溝状の変形吸収部72cとを備え、断面波形状を成している。
【0035】
周側当接部71は、内側に平坦な支持面71aを有するとともに、外側に断面凸形状の複数(本実施例は一対)の接触凸部71b,71bと、接触凸部71b,71b間に形成された溝状の変形吸収部71cとを備え、断面波形状を成している。
【0036】
このシール材7は、液状シリコーンゴム材によってハウジング3と一体的に成形され、小型のものであっても、奥側当接部72及び周側当接部71を断面凸形状の複数(本実施例は一対)の接触凸部72b,72b(71b,71b)と、接触凸部間72b,72b(71b,71b)に形成された溝状の変形吸収部72c(71c)とを備えた断面波形状に形成できるようになっている。
【0037】
この防水型コネクタ1は、ハウジング3の端子挿入部31,31…に各接続端子2,2…を挿入することによって、大径部21が端子挿入部31に嵌合されるとともに、小径部22がハウジング3の端部より突出した状態に組み込まれる。
【0038】
また、大径部21の外周と端子挿入部31,31…の内周面との間には、端子用シール材24が介在され、ハウジング3と接続端子2,2…間の止水がされる。
【0039】
そして、この防水型コネクタ1は、開口側よりコネクタ本体4をコネクタ収容部5に挿入し、ハウジング3のフランジ部33が奥壁部52に当接する位置まで挿し込まれると、各接続端子2,2…の小径部22が支持板部54の挿通孔55,55…を貫通するので、そこにeリング等の抜け止め部材25を固定することによって、抜け止め部材25によって小径部22が挿通孔55,55…の開口縁部に係止され、コネクタ本体4を構成するハウジング3及び各接続端子2,2…がケース6の奥壁部52に対し、若干のスラスト量を許容する状態で抜け止めされる。
【0040】
この状態では、シール材7の周側当接部71がコネクタ収容部5の内周面に圧縮された状態で当接し、奥側当接部72がコネクタ収容部5の奥壁部52に圧縮された状態で当接し、コネクタ本体4とケース6との間が止水された状態となる。
【0041】
このように構成された防水型コネクタ1は、通常の状態においてもシール材7の周側当接部71がコネクタ収容部5の内周面に当接し、奥側当接部72がコネクタ収容部5の奥壁部52に当接した状態にあるので止水された状態となっている。
【0042】
一方、この防水型コネクタ1は、電子機器が水深の深い位置まで沈降し、高い水圧が作用する状況に至った場合、水圧によってハウジング3がケース6の奥側に押圧され、奥側当接部72の背面部がシール材支持面36aに支持された状態で圧縮される。
【0043】
その際、シール材7は、奥側当接部72及び周側当接部71が断面凸形状の複数(本実施例は一対)の接触凸部72b,72b(71b,71b)と、接触凸部72b,72b(71b,71b)間に形成された溝状の変形吸収部72c(71c)とを備えた断面波形状であることによって、変形吸収部72c(71c)を変形代として接触凸部72b,72b(71b,71b)が好適に弾性変形することができ、高い止水性を発揮する。
【0044】
また、この防水型コネクタ1は、接続端子2,2…が有段ピン状に形成されているので、高い水圧が作用する状況に至った場合、水圧が接続端子2,2…を奥側に向けて押圧し、大径部21がハウジング3を押圧することによって、シール材7の奥側当接部72が奥壁部52側に押し付けられ、シール材7がさらに圧縮されるようになっている。
【0045】
尚、上述の実施例では、止水材を液状シリコーンゴム材によってハウジング3と一体的に成形する場合について説明したが、止水材をゴム材等の弾性部材によってハウジング3と別体に構成し、ハウジング3に組み込むようにしてもよい。
【0046】
また、ケース6の態様は、上述の実施例に限定されず、使用する電子機器の筐体等に合わせて自由な形状とすることができる。
【0047】
さらに、上述の実施例では、奥壁部52と支持板部54とを別体に備えた例について説明したが、支持板部54を奥壁部52と一体に形成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 防水型コネクタ
2 接続端子
21 大径部
22 小径部
23 シール用溝
24 端子用シール材
25 抜け止め部材
3 ハウジング
31 端子挿入部
32 本体部
33 フランジ部
34 貫通孔
35 シール材保持部
36 段部
4 コネクタ本体
5 コネクタ収容部
51 内周面
52 奥壁部
53 ハウジング挿通孔
54 支持板部
55 挿通孔
6 ケース
61 ケース内部
7 シール材
71 周側当接部
72 奥側当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6