(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774054
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】分割式コンクリート製品の製造方法および分割式コンクリート製品
(51)【国際特許分類】
B28B 7/24 20060101AFI20201012BHJP
B28B 23/00 20060101ALI20201012BHJP
E03F 3/04 20060101ALI20201012BHJP
E04C 5/12 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
B28B7/24
B28B23/00
E03F3/04 A
E04C5/12
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-243226(P2016-243226)
(22)【出願日】2016年12月15日
(65)【公開番号】特開2018-94838(P2018-94838A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138314
【氏名又は名称】株式会社ヤマウ
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】小嶺 啓藏
(72)【発明者】
【氏名】山中 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】川原 信輔
(72)【発明者】
【氏名】大谷 光広
(72)【発明者】
【氏名】石崎 敦郎
(72)【発明者】
【氏名】谷畑 保
(72)【発明者】
【氏名】堤 俊人
(72)【発明者】
【氏名】原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 光一郎
(72)【発明者】
【氏名】溝田 憲史
【審査官】
末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−010629(JP,A)
【文献】
特開平03−147932(JP,A)
【文献】
特開平10−037288(JP,A)
【文献】
実開昭60−018182(JP,U)
【文献】
特許第5914624(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 7/00−7/46
B28B 21/00−23/22
E04C 5/00−5/20
E03F 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートを打設して分割式コンクリート製品を製造する型枠であり、前記分割式コンクリート製品の接合部となる位置を一定厚さの仕切板により区分した型枠であり、前記仕切板が、前記分割式コンクリート製品を構成する第1および第2のセグメントブロックを接合する対の接合キーが当該仕切板を挟み込むようにして取り付けられたものである型枠を構成すること、
前記仕切板により区分された前記型枠内の複数の区画にコンクリートを同時に打設すること
を含む分割式コンクリート製品の製造方法。
【請求項2】
前記仕切板は、前記分割式コンクリート製品を構成する第1および第2のセグメントブロックを一体化するための連結部材が、当該仕切板を挟み込むようにして取り付けられたものである請求項1記載の分割式コンクリート製品の製造方法。
【請求項3】
前記連結部材は、前記第1のセグメントブロックに埋め込まれるシースパイプおよびこのシースパイプの前記仕切板側の端部に配設される凹部成形用型と、前記第2のセグメントブロックに埋め込まれるPC鋼棒およびこのPC鋼棒の前記仕切板側の端部に配設されるカップラーとを含み、前記仕切板を前記凹部成形用型および前記カップラーにより挟み込むものである請求項2記載の分割式コンクリート製品の製造方法。
【請求項4】
コンクリートを打設して分割式コンクリート製品を製造する型枠であり、前記分割式コンクリート製品の接合部となる位置を一定厚さの仕切板により区分した型枠であり、前記仕切板が、前記分割式コンクリート製品を構成する第1および第2のセグメントブロックを一体化するための連結部材が当該仕切板を挟み込むようにして取り付けられたものであり、前記連結部材が、前記第1のセグメントブロックに埋め込まれるシースパイプおよびこのシースパイプの前記仕切板側の端部に配設される凹部成形用型と、前記第2のセグメントブロックに埋め込まれるPC鋼棒およびこのPC鋼棒の前記仕切板側の端部に配設されるカップラーとを含み、前記仕切板を前記凹部成形用型および前記カップラーにより挟み込むものである型枠を構成すること、
前記仕切板により区分された前記型枠内の複数の区画にコンクリートを同時に打設すること
を含む分割式コンクリート製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分割式ボックスカルバートなどの複数のセグメントブロックからなる分割式コンクリート製品の製造方法および分割式コンクリート製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、現場打ちコンクリートにより施工していたものが、工場で予め製造されたコンクリート製品(プレキャストコンクリート(PC))に置き換わり、施工時間の短縮が図られている。しかしながら、工場で生産されたコンクリート製品の形状や重量等により運搬の問題があることから、コンクリート製品の大きさには限界がある。運搬の問題とは、例えばボックスカルバート等の大型のコンクリート製品を大型トラックで現場に運ぶ際、夜間に道路使用許可を取り、トレーラーを使用する必要があるため、運送コストが増大するというものである。
【0003】
そのため、高さが3m、4mまたはそれ以上になると、分割式またはハーフプレキャスト式のボックスカルバートが選択されることになる。ハーフプレキャスト式では、左右側壁をコンクリート製品とし、底版を現場打ちコンクリートとし、頂版はスラブを掛け、左右の隅角部のみを現場打ちコンクリートとすることで、大断面のボックスカルバートを構築する。分割式のボックスカルバートは、例えば、上下二分割としたセグメントブロックをPC鋼材で緊張一体化するものである。
【0004】
二分割または四分割のボックスカルバートと、ハーフプレキャスト式のボックスカルバートとは、横幅または高さにより適宜選択されるが、例えば横幅5mまでは分割式が選択され、それ以上になるとハーフプレキャスト式が選択される。ハーフプレキャスト式では、それぞれのセグメントブロックを一体化する方法として、例えば特許文献1に記載のように、各セグメントブロックの接合部に突出したループ筋を接合し、現場打ちコンクリートにより一体化する。
【0005】
一方、分割式のボックスカルバートの場合、例えば上下二分割のコンクリート製品は、上部セグメントブロックおよび下部セグメントブロックをそれぞれ別々に製造し、現場で一体化する。一体化の方法は、例えばプレートやボルト連結による一体化や、PC鋼棒により上下緊張することにより行われる(例えば、特許文献2,3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−127363号公報
【特許文献2】実開昭60−18182号公報
【特許文献3】特許第5914624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上下二分割の場合、それぞれ別々に製造された上部セグメントブロックおよび下部セグメントブロックでは、製造精度の問題から製品寸法にわずかな違いが発生する。そのため、施工時にこのわずかな製品寸法の違いが積み重なり、特に施工延長が長くなった場合などは上下左右のずれが大きくなる。これを解消するため、一つ一つ施工する際に微調整作業が必要となり、手間と時間が掛かるうえに、目地の通りが悪くなる。また、微調整の際に使用するバールによって、製品に傷が入るなどの問題が生じる。さらに、上下セグメントブロックのそれぞれの接合端面のわずかな不陸により偏荷重が掛かり、一体化後に、または一体化作業中に製品にひびが入るなどの問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明においては、分割式コンクリート製品の各セグメントブロックの接合部を高精度に製造することが可能な分割式コンクリート製品の製造方法および分割式コンクリート製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の分割式コンクリート製品の製造方法は、コンクリートを打設して分割式コンクリート製品を製造する型枠であり、分割式コンクリート製品の接合部となる位置を一定厚さの仕切板により区分した型枠を構成すること、仕切板により区分された型枠内の複数の区画にコンクリートを同時に打設することを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の分割式コンクリート製品の製造方法によれば、分割式コンクリート製品の接合部となる位置が一定厚さの仕切板により区分された型枠内の複数の区画にコンクリートが同時に打設されることで、コンクリートの打設時に仕切板が微妙にずれていたり、撓んでいたりしても、これらの微妙なずれや撓みが一定厚さの仕切板を挟んで互いの接合部に転写されるため、接合部の微妙な寸法の狂いや接合面の微妙な凹凸が合致する高精度なセグメントブロックが得られる。
【0011】
ここで、仕切板は、分割式コンクリート製品を構成する第1および第2のセグメントブロックを接合する対の接合キーが、当該仕切板を挟み込むようにして取り付けられたものであることが望ましい。これにより、仕切板を挟んで第1および第2のセグメントブロックに対の接合キーが位置決めされた状態で埋め込まれたセグメントブロックが得られる。
【0012】
また、仕切板は、分割式コンクリート製品を構成する第1および第2のセグメントブロックを一体化するための連結部材が、当該仕切板を挟み込むようにして取り付けられたものであることが望ましい。これにより、仕切板を挟んで第1および第2のセグメントブロックに、第1および第2のセグメントブロックを一体化するための連結部材が位置決めされた状態で埋め込まれたセグメントブロックが得られる。
【発明の効果】
【0013】
(1)コンクリートを打設して分割式コンクリート製品を製造する型枠であり、分割式コンクリート製品の接合部となる位置を一定厚さの仕切板により区分した型枠を構成し、仕切板により区分された型枠内の複数の区画にコンクリートを同時に打設することにより、一定厚さの仕切板を挟んで接合部の微妙な寸法の狂いや接合面の微妙な凹凸が合致する高精度なセグメントブロックが得られるので、現場での施工時に微調整作業が不要となり、施工スピードが格段に向上する。また、施工時に製品に傷が入ったり、ひびが入ったりすることを防止することができる。
【0014】
(2)分割式コンクリート製品を構成する第1および第2のセグメントブロックを接合する対の接合キーが挟み込むようにして取り付けられた仕切板を使用することで、仕切板を挟んで第1および第2のセグメントブロックに対の接合キーが位置決めされた状態で埋め込まれたセグメントブロックが得られるので、製品を組み立て一体化する際に、この対の接合キーにより簡単に位置決めが行われ、施工スピードがさらに向上する。
【0015】
(3)分割式コンクリート製品を構成する第1および第2のセグメントブロックを一体化する連結部材が挟み込むようにして取り付けられた仕切板を使用することで、仕切板を挟んで連結部材が位置決めされた状態で埋め込まれたセグメントブロックが得られるので、製品の組み立て一体化が容易となり、施工スピードがさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態における分割式ボックスカルバートの正面図である。
【
図3】
図1の分割式ボックスカルバート1を製造する型枠の平面図である。
【
図5】型枠内に配設された連結部材を示す平面図である。
【
図7】型枠内に配設された連結部材の別の例を示す平面図である。
【
図9】脱型後、セグメントブロックを分割した状態の接合部の部分拡大断面図である。
【
図10】製品組み立て一体化後のセグメントブロックの接合部の部分拡大断面図である。
【
図11】第1のセグメントブロックを接合部側からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の実施の形態における分割式ボックスカルバートの正面図、
図2は
図1のII−II断面図、
図3は
図1の分割式ボックスカルバートを製造する型枠の平面図、
図4は
図3のIV部拡大断面図、
図5は型枠内に配設された連結部材を示す平面図、
図6は
図5の連結部材の縦断面図である。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施の形態における分割式コンクリート製品としての分割式ボックスカルバート1は、上下二分割とした第1および第2のセグメントブロック1A,1Bから構成される。また、セグメントブロック1A,1Bの接合部2には、
図2に示すように、セグメントブロック1A,1Bを接合するための対の接合キー3が埋め込まれている。なお、後述するセグメントブロック1A,1Bを連結するための連結部材10(
図5および
図6参照。)やその他の部材等については、
図1〜
図4においては図示を省略している。
【0019】
図3に示すように、型枠4は現場で一体化するセグメントブロック1A,1Bの全体を一度に製造するものである。この型枠4は、セグメントブロック1A,1Bの接合部2となる位置が、厚さ5〜10mmの一定厚さの仕切板5により区分されている。仕切板5には、
図4に示すように、対の接合キー3が当該仕切板5を挟み込むようにして取り付けられている。
【0020】
接合キー3は、一体化される一方のセグメントブロック1Aに埋め込まれるメス型の第1キー6と、他方のセグメントブロック1Bに埋め込まれるオス型の第2キー7とから構成される。メス型の第1キー6は、セグメントブロック1Aからの抜けを防止するための鍔部60と、オス型の第2キー7が嵌合する凹部61と、凹部61に連通する貫通孔62とを有する。
【0021】
オス型の第2キー7は、セグメントブロック1Bからの抜けを防止するための鍔部70と、メス型の凹部61に嵌合する凸部71と、凸部71の先端部に設けられたボルト72とを有する。ボルト72は、凸部71の中心に形成された雌ねじ部73にねじ込まれている。接合キー3は、仕切板5に形成された貫通孔5Aを介して、メス型の第1キー6とオス型の第2キー7とにより挟み込むようにして取り付けられる。このとき、第1キー6および第2キー7は、ボルト72に貫通孔62よりも大径な樹脂製のワッシャー74を介して、貫通孔62よりも小径なナット75を締め付けることにより仕切板5に固定される。
【0022】
また、型枠4内には、
図5および
図6に示すように、セグメントブロック1A,1Bを現場で一体化するための連結部材10が仕切板5を挟み込むようにして取り付けられる。なお、
図5においては、前述の接合キー3等の図示を省略している。
【0023】
連結部材10は、上側(第1)のセグメントブロック1Aに埋め込まれるシースパイプ11と、下側(第2)のセグメントブロック1Bに埋め込まれるPC鋼棒12と、PC鋼棒12の上端部(仕切板5側の端部)に設けられるカップラー13と、PC鋼棒12の下端部に設けられる定着板(アンカー)14とから構成される。カップラー13は、内側がねじ切りされている。
【0024】
シースパイプ11の上端部および下端部(仕切板5側の端部)には、それぞれ凹部成形用型15A,15Bが設けられる。凹部成形用型15Aは、セグメントブロック1A,1Bを一体化する際、シースパイプ11内に挿通するPC鋼棒に締結されるナットを収容するための空間を形成するためのものである。凹部成形用型15Bは、このシースパイプ11内に挿通するPC鋼棒の下端部をカップラー13に締結して緊張する際にカップラー13が侵入可能な空間(凹部80(
図11参照。))を形成するためのものである。
【0025】
シースパイプ11および凹部成形用型15A,15Bは、シースパイプ11B内に挿通されるPC鋼棒16によって下端部が仕切板5を挟んでカップラー13に固定され、上端部が型枠4に固定される。なお、PC鋼棒16の上端部および下端部はねじ切りされており、下端部はカップラー13に締結され、上端部はナット17により型枠4に締結される。
【0026】
定着板14は正方形状の鋼板である。定着板14の下面側にはナット18が溶接されている。PC鋼棒12の上端部および下端部はねじ切りされており、上端部はカップラー13に締結され、下端部には定着板14がナット18によりねじ込まれ、さらに、内側がねじ切りされた固定金具19がねじ込まれ、Tボルト20により型枠4の外側から締結される。
【0027】
本実施形態における分割式ボックスカルバート1は、上記型枠4を構成した後、仕切板5により区分された型枠4内のそれぞれの区画4A,4B内にコンクリートを同時に打設することにより製造する。なお、コンクリートを同時に打設とは、文言通り区画4A,4Bに同時にコンクリートを打設する場合だけでなく、仕切板5に過度な圧力が掛からない程度に区画4A,4Bに交互にコンクリートを打設する場合も含む。要するに、区画4A,4Bにそれぞれコンクリートを打設して、セグメントブロック1A,1Bを同時に製造する意である。
【0028】
そして、養生後、脱型し、仕切板5を取り外す。こうして製造された分割式ボックスカルバート1は、セグメントブロック1A,1Bの接合部2となる位置が一定厚さの仕切板5により区分された型枠4内のそれぞれの区画4A,4Bにコンクリートが同時に打設されることで、仕切板5の両面がセグメントブロック1A,1Bの接合面にそれぞれ転写されたものとなる。すなわち、得られたセグメントブロック1A,1Bは、コンクリートの打設時に仕切板5が微妙にずれていたり、撓んでいたりしても、これらの微妙なずれや撓みが一定厚さの仕切板5を挟んで互いの接合部2に転写されたものとなり、接合部2の微妙な寸法の狂いや接合面2の微妙な凹凸が合致する高精度なものとなる。
【0029】
したがって、本実施形態における分割式ボックスカルバート1では、製品を組み立て一体化する際に、セグメントブロック1A,1Bの接合部2がぴったりと一致するので、現場での施工時に微調整作業が不要となり、施工スピードが格段に向上する。また、施工時に製品に傷が入ったり、ひびが入ったりすることを防止することもできる。
【0030】
また、本実施形態における分割式ボックスカルバート1の製造方法では、仕切板5に第1キー6および第2キー7が固定されているが、脱型後、セグメントブロック1A,1Bを分離する際に、樹脂製のワッシャー74が割れることで、貫通孔62よりも小径なナット75が貫通孔62を通過する。
図7は脱型後、セグメントブロック1A,1Bを分割した状態の接合部2の部分拡大断面図である。その後、ボルト72を雌ねじ部73から取り外す。
【0031】
このように、本実施形態における分割式ボックスカルバート1では、第1キー6および第2キー7からなる対の接合キー3、および連結部材10が挟み込むようにして取り付けられた仕切板5を使用することで、仕切板5を挟んで第1および第2のセグメントブロック1A,1Bに対の接合キー3および連結部材10が位置決めされた状態で埋め込まれたセグメントブロック1A,1Bが得られる。
【0032】
こうして得られた分割式ボックスカルバート1では、上述のようにセグメントブロック1A,1Bが接合部2の微妙な寸法の狂いや接合部2の微妙な凹凸が合致するうえ、製品を組み立て一体化する際に、この対の接合キー3により簡単に位置決めを行うことが可能であり、施工スピードがさらに向上する。
図8は製品組み立て一体化後のセグメントブロック1A,1Bの接合部2の部分拡大断面図である。
【0033】
また、本実施形態における分割式ボックスカルバート1は、第1のセグメントブロック1Aと第2のセグメントブロック1Bとを一体化する際、第1のセグメントブロック1Aのシースパイプ11B内にPC鋼棒を挿通して、その下端部を第2のセグメントブロック1Bのカップラー13に締結し、上端部をジャッキにより緊張し、緊張力が定着荷重に達したらナットにより締結する。このとき、PC鋼棒の緊張によりカップラー13が第1のセグメントブロック1A側に引っ張られるが、
図11に示すように、第1のセグメントブロック1Aには凹部成形用型15Bにより形成された凹部80が形成されているため、この凹部80内にカップラー13が侵入し、カップラー13が第1のセグメントブロック1Aに干渉することがないので、PC鋼棒は第1のセグメントブロック1A、第2のセグメントブロック1Bに渡って均等に緊張される。
【0034】
なお、本実施形態においては、第1のセグメントブロック1Aにシースパイプ11が埋め込まれ、第2のセグメントブロック1BにPC鋼棒12が埋め込まれた例について説明したが、
図7および
図8に示すように、第2のセグメントブロック1Bにシースパイプ21を埋め込んだ構成とすることもできる。前述のPC鋼棒12は、このシースパイプ21内に挿通される。また、シースパイプ21の上端部には、PC鋼棒12およびカップラー13を覆うようにカップラーシース22が設けられる。
【0035】
また、上記実施形態においては、分割式コンクリート製品として上下二分割の分割式ボックスカルバート1を例に説明したが、分割数に制限はなく、何分割であっても適用可能である。また、分割式ボックスカルバート1に限らず、複数のセグメントブロックからなるあらゆる分割式コンクリート製品に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、分割式ボックスカルバートなどの複数のセグメントブロックからなる分割式コンクリート製品の製造方法として有用であり、特に、分割式コンクリート製品の各セグメントブロックの接合部を高精度に製造することが可能な分割式コンクリート製品の製造方法として好適である。
【符号の説明】
【0037】
1 分割式ボックスカルバート
1A,1B セグメントブロック
2 接合部
3 接合キー
4 型枠
5 仕切板
6 第1キー
7 第2キー
10 連結部材
11 シースパイプ
12,16 PC鋼棒
13 カップラー
14 定着板
15A,15B 凹部成形用型
17,18 ナット
19 固定金具
20 Tボルト
21 シースパイプ
22 カップラーシース
80 凹部