特許第6774083号(P6774083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6774083送出プランジャ上に中空円筒体を有する骨セメントアプリケータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774083
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】送出プランジャ上に中空円筒体を有する骨セメントアプリケータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/88 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   A61B17/88
【請求項の数】30
【外国語出願】
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-91819(P2018-91819)
(22)【出願日】2018年5月11日
(65)【公開番号】特開2018-192249(P2018-192249A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2018年7月11日
(31)【優先権主張番号】10 2017 110 732.0
(32)【優先日】2017年5月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510340506
【氏名又は名称】ヘレウス メディカル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】フォクト セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クルーゲ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ストラトハウゼン ライナー
【審査官】 吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/014764(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0056984(US,A1)
【文献】 特表2016−535115(JP,A)
【文献】 特開2012−130797(JP,A)
【文献】 特開2017−064398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56−17/88
A61C 5/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨セメントペースト(54)の親成分としてのモノマー液(4)とセメント粉末(5)とから前記骨セメントペースト(54)を製造するための、および前記混合された骨セメントペースト(54)を送出するための、装置であって、前記装置は、
円筒形の内部を有するカートリッジ(1)を有し、前記カートリッジ(1)の前記内部は、前記骨セメントペースト(54)を放出するための送出口は別として前側で閉じられ、送出プランジャ(7)が前記カートリッジ(1)の前記内部に配置され、前記送出プランジャ(7)は前記送出口の方向に押し込み可能であり、前記セメント粉末(5)は、前記送出口と前記送出プランジャ(7)との間の前記カートリッジ(1)の前記内部に配置され、
中空円筒体(9)が前記送出プランジャ(7)の前側に前記送出口に面して配置され、前記中空円筒体(9)は、前記送出口に面する前面で開口して、前記送出プランジャ(7)の前側から前記カートリッジ(1)の前記内部に少なくとも3mm延在し、
前記モノマー液(4)を前記カートリッジ(1)の前記内部に導入するための少なくとも1つの接続部(14)が前記送出プランジャ(7)の後側から前記送出プランジャ(7)の前側まで前記送出プランジャ(7)内に設けられ、前記少なくとも1つの接続部(14)は、前記モノマー液(4)および気体に対して透過性であり、かつ前記セメント粉末(5)に対して不透過性であり、前記少なくとも1つの接続部(14)は、前記送出プランジャ(7)から前記中空円筒体(9)内を、または前記中空円筒体(9)の前記前面で前記中空円筒体(9)内の複数の管路を通って、前記カートリッジ(1)の前記内部に通じる、
装置。
【請求項2】
前記中空円筒体(9)は、その外周面が前記カートリッジ(1)の前記内部の内壁から最大0.5mm離間されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中空円筒体(9)は、その外周面が前記カートリッジ(1)の前記内部の内壁から最大0.1mm離間されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記中空円筒体(9)は、前記カートリッジ(1)の前記内部の内壁に少なくとも複数の個所で押し当てられることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記中空円筒体(9)は、その外周面が前記カートリッジ(1)の前記内部の内壁に押し当てられることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記中空円筒体(9)の前記前面が前記カートリッジ(1)の前記内部の前側に押し当てられるときに、前記中空円筒体(9)は前記カートリッジ(1)の前側の方向への前記送出プランジャ(7)の更なる移動を阻止し、そうすると前記送出プランジャ(7)は、前記カートリッジ(1)の前記内部の前側から離間されて、デッドボリュームが前記カートリッジ(1)の内部に残ることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記中空円筒体(9)は、少なくとも1つのスロットを有することを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのスロットは、前記中空円筒体(9)の円筒軸に平行に延びていることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのスロットは、前側から前記送出プランジャ(7)に達していることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記中空円筒体(9)によって包囲された前記カートリッジ(1)の前記内部の部分にセメント粉末(5)が収容されるかまたは押し込まれることを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記中空円筒体(9)によって画成された前記カートリッジ(1)の前記内部の前記部分は、少なくとも1cmのサイズの容積を有することを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記中空円筒体(9)は、前記送出プランジャ(7)の前側から前記カートリッジ(1)の前記内部に少なくとも5mm延在することを特徴とする、請求項1〜11の何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記中空円筒体(9)は、前記送出プランジャ(7)の前側から前記カートリッジ(1)の前記内部に少なくとも10mm延在することを特徴とする、請求項1〜12の何れか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記中空円筒体(9)の壁厚は、少なくとも1mmに達することを特徴とする、請求項1〜13の何れか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記中空円筒体(9)の壁厚は、少なくとも2mmに達することを特徴とする、請求項1〜14の何れか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は、前記モノマー液(4)または前記モノマー液(4)を収容しているモノマー液容器(3)が収容されるレセプタクル(2)を有し、前記カートリッジ(1)の後側が前記レセプタクル(2)の前側に接続されることを特徴とする、請求項1〜15の何れか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記カートリッジ(1)の前記内部が前記レセプタクル(2)の内部に位置合わせされるように、前記カートリッジ(1)の後側は前記レセプタクル(2)の前側に接続されることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記レセプタクル(2)の内部と前記カートリッジ(1)の前記内部とは、前記モノマー液(4)および気体に対して透過性のしかし前記セメント粉末(5)に対して不透過性の接続部(14)を介して互いに接続されることを特徴とする、請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
前記レセプタクル(2)は、前記モノマー液(4)または前記モノマー液(4)を収容している前記モノマー液容器(3)がその内部に配置される円筒形の内部を有することを特徴とする、請求項16〜18の何れか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記レセプタクル(2)の長手方向に移動可能な移送プランジャ(6)が前記レセプタクル(2)内に配置され、前記移送プランジャ(6)は、前記レセプタクル(2)の前側とは反対の前記レセプタクル(2)の後側から前記レセプタクル(2)の前側の方向に前進可能であり、前記モノマー液(4)または前記モノマー液(4)を収容しているモノマー液容器(3)は、前記移送プランジャ(6)と前記送出プランジャ(7)との間に配置されることを特徴とする、請求項16〜19の何れか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記レセプタクル(2)の前記内部を周囲環境に接続する少なくとも1つの通気口(20)が前記レセプタクル(2)の壁に配置されることを特徴とする、請求項16〜20の何れか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記レセプタクル(2)内に配置された、前記モノマー液(4)が収容されているモノマー液容器(3)が前記移送プランジャ(6)の前記移動によって開口される前に、前記レセプタクル(2)の前側の方向への前記移送プランジャ(6)の移動によって前記少なくとも1つの通気口(20)が閉じられるように、前記少なくとも1つの通気口(20)は、前記移送プランジャ(6)の極めて近くに配置されることを特徴とする、請求項20に従属するときの、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
排出装置(43)を固締するための固締手段(8)が前記装置の後側に配置され、前記送出プランジャ(7)は、前記固締された排出装置(43)によって前記送出口の方向に押し込み可能であることを特徴とする、請求項1〜22の何れか1項に記載の装置。
【請求項24】
前記送出口はその前側でクロージャ(36)によってまたはプラグ(36)によって閉じられ、前記送出口が開いているとき、前記カートリッジ(1)から前記送出口を通って前記骨セメントペースト(54)の吐出が可能であることを特徴とする、請求項1〜23の何れか1項に記載の装置。
【請求項25】
前記クロージャ(36)は、気体に対して透過性でしかし前記セメント粉末(5)に対して不透過性であることを特徴とする、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記クロージャ(36)は前記カートリッジ(1)の前記内部に面する後側に窪み(37)を有し、前記窪みに前記セメント粉末(5)の最前部が収容されることを特徴とする、請求項24または25に記載の装置。
【請求項27】
送出管(34)が前記カートリッジ(1)の前側に配置され、前記送出管(34)を通して前記骨セメントペースト(54)の吐出が可能であることを特徴とする、請求項1〜26の何れか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記カートリッジ(1)の前記内部の断面積は、最大16cmに達することを特徴とする、請求項1〜27の何れか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記中空円筒体(9)は、前記送出プランジャ(7)と、または前記カートリッジ(1)の内壁に押し当てられる前記送出プランジャ(7)の部分と一体に形成されることを特徴とする、請求項2〜5の何れか1項に従属しないときの、請求項1または6〜28の何れか1項に記載の装置。
【請求項30】
前記中空円筒体(9)は、前記送出プランジャ(7)と、または前記カートリッジ(1)の前記内壁に押し当てられる前記送出プランジャ(7)の部分と一体に形成されることを特徴とする、請求項2〜5の何れか1項に従属するときの、請求項2〜5または6〜28の何れか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨セメントペーストの親成分としてのモノマー液とセメント粉末とから骨セメントペーストを製造するための、および混合された骨セメントペーストを送出するための、装置に関する。
【0002】
本発明は、このような装置を用いて骨セメントペースト、特にペースト状のポリメチルメタクリレート骨セメントペースト、を製造する方法にも関する。
【0003】
本発明は、特に、ポリメチルメタクリレート骨セメントのセメント粉末とモノマー液とを別々に貯蔵するための、その後に骨セメントペーストを形成するためにセメント粉末とモノマー液とを混合するための、および混合された骨セメントペーストを送出するための、装置を提供する。本発明による装置は、好ましくは完全に事前包装されたセメンティングシステムである。
【背景技術】
【0004】
ポリメチルメタクリレート(PMMA:polymethyl methacrylate)骨セメントは、Sir John Charnleyによって行われた先駆的研究(非特許文献1)に帰する。従来のポリメチルメタクリレート(PMMA)骨セメントは、粉末成分と液体モノマー成分とから成る(非特許文献2)。モノマー成分は、一般に、モノマーメチルメタクリレートとそこに溶解された活性剤(N,N−ジメチル−p−トルイジン)とを含有する。セメント粉末または骨セメント粉末としても公知の粉末成分は、メチルメタクリレート、およびスチレン、メチルアクリレート、または同様のモノマーなどのコモノマーをベースとして重合、好ましくは懸濁重合、によって製造された1種以上ポリマー、放射線不透過物質、および開始剤である過酸化ジベンゾイルを含む。粉末成分とモノマー成分とを混合すると、メチルメタクリレート内の粉末成分のポリマーの膨張によって、塑性的に変形可能なペースト、骨セメント、または骨セメントペースト自体、になる。粉末成分とモノマー成分との混合時、活性剤N,N−ジメチル−p−トルイジンは過酸化ジベンゾイルと反応してフリーラジカルを形成する。形成されたフリーラジカルは、メチルメタクリレートのフリーラジカル重合を開始させる。メチルメタクリレートの重合が進むにつれ、骨セメントペーストの粘度が高まり、最終的に凝固する。
【0005】
PMMA骨セメントの混合は、適した混合カップ内でヘラを用いてセメント粉末とモノマー液とを混合することによって行われ得る。これにより、気泡が骨セメントペースト内に閉じ込められ得る。これは、硬化後の骨セメントの機械的特性に悪影響を有し得る。
【0006】
骨セメントペースト内への空気の閉じ込めを回避するために、多種多様な真空セメンティングシステムが説明されている。そのうちの特許文献1〜14を例として挙げる。
【0007】
セメンティング技術における更なる一進展は、セメント粉末およびモノマー液の両方が混合装置の別々の隔室に予め充填されており、セメントの塗布の直前にのみセメンティングシステム内で一緒に混合されるセメンティングシステムによって代表される。このような完全に事前包装された密閉型の混合装置が特許文献15〜21によって提案されている。
【0008】
特許文献16は、完全に事前包装されたセメンティングシステムの形態の貯蔵および混合装置を開示している。この貯蔵および混合装置には骨セメントペーストを製造するために必要な親成分が既に貯蔵されており、この貯蔵および混合装置内で組み合わされて混合され得る。この貯蔵および混合装置は、セメントカートリッジを閉じるための二部構成の送出プランジャを有する。この場合、気体透過性の滅菌プランジャと気体不透過性の密閉プランジャとの組み合わせが使用されている。
【0009】
セメント粉末と液体モノマー成分との混合後、ポリメチルメタクリレート骨セメントがまだ未硬化のペースト状態で骨セメントペーストとして塗布される。混合装置の使用時、粉末/液体セメントの場合、骨セメントペーストはカートリッジ内に配置されている。このような従来のPMMA骨セメントの塗布時、2つの親成分の混合後に形成された骨セメントペーストは手動操作可能な排出装置を用いて吐出される。この骨セメントペーストは、送出プランジャの移動によってカートリッジから押し出される。送出プランジャは、従来、30mmと40mmの間の直径を有し、ひいては、排出工程中に排出装置のタペットまたはロッドが作用する外面に7.0cm〜12.5cmの表面積を有する。送出プランジャの移動は、好ましくは、手動操作可能な機械式の排出装置によってもたらされる。これら手動排出装置は、通常、ほぼ1.5kN〜3.5Nの範囲内の排出力を実現する。
【0010】
これら単純な機械式排出装置は、特に、手動作動可能なロッカアームによって駆動されるクランピングロッドを排出のために使用する。手動駆動式の排出装置は、世界中で数十年にわたって試用および試験されており、既存の技術になっている。これら排出装置の1つの利点は、手動力を加えることによって、医療ユーザが骨構造(海綿骨)内への骨セメントペーストの浸透抵抗を感じられることである。
【0011】
現在までに公知の完全に事前包装されたセメンティングシステムは、何れも使用時に、混合された骨セメントペーストが得られて塗布可能になるまで、医療ユーザが装置に対して複数の作業工程を所定の順番で次々と実施する必要がある。これら作業工程における如何なる失敗も混合装置の障害を招き得るので、外科手順の混乱を引き起こし得る。したがって、ユーザエラーを回避するために、高価な医療ユーザ訓練が必要である。
【0012】
特許文献22は、ポリメチルメタクリレートセメント粉末がカートリッジ内に貯蔵される装置を提案している。このセメント粉末はカートリッジの全容積を占め、セメント粉末の粒子間の隙間の容積は、カートリッジ内に貯蔵されているセメント粉末で骨セメントペーストを製造するために必要なモノマー液の体積に相当する。この装置は、真空の作用によってモノマー液が上からカートリッジ内に導入されるように構成されている。このために、カートリッジの底部の真空ポートに真空が加えられる。これにより、モノマー液はセメント粉末内に引き込まれ、セメント粉末粒子間の隙間に存在する空気はモノマー液に置換される。したがって、攪拌器によるセメントペーストの完全な機械式混合が不要である。
【0013】
このシステムの1つの欠点は、この装置ではモノマー液によって急速に膨張するセメント粉末の混合を行えないことである。その理由は、モノマー液がセメント粉末内にほぼ1〜2cm浸透すると、急速に膨張するセメント粉末粒子がゲル状バリアを形成し、セメント粉末全体へのモノマー液の移動を妨げるからである。また、従来のセメント粉末は、さまざまな表面エネルギーの故に、セメント粉末粒子がメチルメタクリレートによって十分に濡らされないという現象を免れない。したがって、メチルメタクリレートは、セメント粉末内に比較的低速でしか浸透しない。更に、セメント粉末がモノマー液に完全に浸透した後、真空の作用下でモノマー液が真空ポートから吸い出されるという危険性を排除できない。これにより、フリーラジカル重合による硬化のために利用可能なモノマー液が不十分になるか、または混合比が不所望に変わり、ひいては骨セメントペーストの粘度も変わる。更に、セメント粉末粒子間に封入された空気を上から下にモノマー液に置換する必要があるという問題がある。その理由は、空気は、モノマー液より比重量が小さいため、重力故に、セメント粉末内で上方に移動し、真空ポートの方向に下方に移動しない傾向があることによる。
【0014】
電気駆動式の排出装置も接着剤および密封材の分野から公知である。これら装置は、一次および二次電池のどちらでも、更には定置型電源によっても、駆動され得る。時にはその極めて大きな排出力によって、これら装置は、特に粘性の、ペースト状組成物を吐出させ得る。ただし、電気モータを使用することの1つの欠点は、電気モータは非鉄金属を含有し、購入するのに費用がかかることである。無菌状態を維持する必要がある手術エリアにおいて、このような装置は複雑な滅菌処理が必要になるか、または交換さえ必要になる。電気配線は、手術中のユーザの移動を妨げ得る。
【0015】
更に空気圧式の装置も提案されている。これら装置は、定置型または可動式の圧縮空気接続を必要とする(特許文献23、24)。このために、圧縮空気用ホースが必要とされ、これもユーザの移動を妨げ得る。
【0016】
あるいは、圧縮気体を供給するために圧縮気体カートリッジの使用も可能である。このために、圧縮気体の流入が1つの弁によって制御され、粘性組成物の流れが第2の弁によって更に制御される装置が提案されている(特許文献25、26)。これら装置の場合は、気体カートリッジが装置に組み込まれている。圧縮空気に接続されている、または圧縮気体カートリッジを収容している、このようなシステムでは、圧縮気体源が常に必要であり、このような圧縮気体源なしではシステムの使用はもはや不可能である。
【0017】
未公開の特許文献27は、骨セメント粉末を収容したカートリッジを有する完全に事前包装されたセメンティングシステムを提案している。送出プランジャがカートリッジ内に設けられ、モノマー液容器を収容するレセプタクルがカートリッジの背後に配置されている。レセプタクルの後側に移送プランジャが配置されており、これによってモノマー液容器が押し潰されてモノマー液がレセプタクルからカートリッジ内に押し込まれ得る。
【0018】
この装置を用いて製造された骨セメントペーストは、適したセメント粉末がモノマー液に対して適した重量比で使用された場合、常に良好な粘度を有することが実地試験によって証明されている。破裂したモノマー液容器がモノマーの移送中に最大限圧縮された場合は、良好なセメントペーストが再現可能に得られる。ただし、いくつかの組み合わせは、セメント粉末とモノマー液との間の混合比を変化させ、骨セメントペーストの粘度の望ましくない変化を排出工程の最後にもたらし得る。ただし、時には、吐出されたセメントペーストの端縁に数マイクロリットルの体積範囲内に1〜数個の小さなモノマー泡が発生し得る。
【0019】
本発明の諸目的のために、これは、モノマー液容器の選択および安定性と、セメント粉末とカートリッジの内壁との間へのモノマー液の浸透とに関連付けられることが判明している。例えば極めて堅牢な壁を有するモノマー液容器の選択により発生し得る、破裂したモノマー液容器の圧縮が不十分であると、送出プランジャと移送プランジャとの間で裂けたモノマー液容器の断片内にモノマー液の残滓が残り得る。この残滓は、送出プランジャ側への移送プランジャの軸線方向移動の結果として裂けたモノマー液容器に対するその後の圧縮の継続によって、骨セメントペーストの排出の最後に送出管を通って流出し得る。このモノマー液は、この過程で周囲のセメント粉末に素早く混合されず、カートリッジの内壁に沿ってセメント粉末とカートリッジの内壁との間に入り込み得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第6,033,105A号明細書
【特許文献2】米国特許第5,624,184A号明細書
【特許文献3】米国特許第4,671,263A号明細書
【特許文献4】米国特許第4,973,168A号明細書
【特許文献5】米国特許第5,100,241A号明細書
【特許文献6】国際公開第99/67015A1号
【特許文献7】欧州特許出願公開第1020167A2号
【特許文献8】米国特許第5,586,821A号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第1016452A2号
【特許文献10】独国特許出願公開第3640279A1号
【特許文献11】国際公開第94/26403A1号
【特許文献12】欧州特許出願公開第1005901A2号
【特許文献13】欧州特許出願公開第1886647A1号
【特許文献14】米国特許第5,344,232A号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公開第0692229A1号
【特許文献16】独国特許第102009031178B3号
【特許文献17】米国特許第5,997,544A号明細書
【特許文献18】米国特許第6,709,149B1号明細書
【特許文献19】独国特許第69812726T2号
【特許文献20】欧州特許出願公開第0796653A2号
【特許文献21】米国特許第5,588,745A号明細書
【特許文献22】国際公開第00/35506A1号
【特許文献23】米国特許第2,446,501A号明細書
【特許文献24】独国実用新案登録第202005010206U1号
【特許文献25】米国特許出願公開第2004/0074927A1号明細書
【特許文献26】米国特許第6,935,541B1号明細書
【特許文献27】独国特許第102016121607号
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Charnley,J.著「Anchorage of the femoral head prosthesis of the shaft of the femur」ジャーナル・オブ・ボーン・アンド・ジョイント・サージャリ、第42号(1960年)p.28−30
【非特許文献2】K.−D.Kuehn著「Knochenzemente fuer die Endoprothetik:Ein aktueller Vergleich der physikalischen und chemischen Eigenschaften handelsueblicher PMMA−Zemente(Bone Cements for Endoprosthetics: An Up−To−Date Comparison of the Physical and Chemical Properties of Commercial PMMA Cements)」シュプリンガー出版社、ベルリン、ハイデルベルク、ニューヨーク、2001年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、本発明の目的は、従来技術の諸欠点を克服することにある。特に、本発明の目的は、親成分からの骨セメントペーストを混合するために、および混合された骨セメントペーストを送出するために、設けられた、これらのために適した装置と、骨セメントペースト、特にペースト状のポリメチルメタクリレート骨セメントペースト、を製造する方法とを進展させることにあり、骨セメントペーストはこのような装置を用いてセメント粉末とモノマー液とから製造され、この装置および方法は、従来の装置および方法の諸欠点を克服する。本発明の目的は、製造された骨セメントペースト内のモノマー泡の形成を防止することである。更に、本発明の目的は、モノマー液容器の圧縮が不完全な場合でも骨セメントペーストの送出の最後にカートリッジの送出管からのモノマー液の流出が積極的に防止されるように、このような装置を改良することである。したがって、本発明による装置および本発明による方法では、極めて簡単で安価な装置構造であっても、同時に排出工程の開始から完了まで極めて簡単で単純な装置操作性で、均質な骨セメントペースの製造および塗布が行われ得ることを保証しようとするものである。したがって、この目的は、骨セメントペースト内への少量のモノマーの閉じ込めの確率的発生なしに、再現可能に骨セメントペーストの形成が可能であるように、未公開の特許文献27に記載の装置を改良することである。
【0023】
本装置は、簡単な排出装置によって駆動可能であり、その過程でできる限り簡単に操作されるものとする。その構造は安価であるものとし、したがって本装置は衛生上の理由により単回使用のみが可能である。両親成分の混合、骨セメントペーストの送出、場合によっては更にモノマー液容器の開口、および場合によっては更にカートリッジの開口など、本装置における処理手順の多くが、または全てが、可能最小数の作業工程で、できる限り自動的に、進められ、好ましくは単一の直線駆動装置によって駆動されるものとする。
【0024】
したがって、本発明の目的は、セメント粉末とモノマー液との混合のための装置を開発することでもある。装置の取り扱いは、組み立て工程が不正に行われた結果としてのユーザエラーを基本的に回避するために、最大限簡素化されるものとする。その意図は、医療ユーザに包装から取り出した装置を排出装置に接続させ、その後に排出装置を作動させることである。装置の構造によって、更なる組み立ておよび作業工程を回避しようとするものである。装置の保管中にセメント成分の不測の混合を排除するように、装置は、セメント粉末およびモノマー液を互いに隔離された隔室に安全に貯蔵可能にすることも好ましい。装置は、酸化エチレンガスによる滅菌を可能にするものとする。このために、装置内に貯蔵されたセメント粉末に酸化エチレンがアクセス可能である必要がある。装置を排出装置に相互係止または摩擦連結した後に排出装置を作動すると、排出装置の軸線方向に前進可能なロッドが装置に作用し、場合によってはモノマー液容器を開口し、その後にロッドを更に移動させるとモノマー液がセメント粉末内に移送されるように、手術中に手動で駆動可能な排出装置によって装置の起動が可能であるものとする。モノマー液とセメント粉末との混合は、外側から手動で動かせるミキサーなしに行われることが意図されている。セメント成分の混合、骨セメントペーストの形成、および混合された骨セメントペーストの排出は、できる限り、排出装置のロッドの前方移動のみによってわれることが意図されている。好ましくは、モノマー液容器の開口およびその後のセメント粉末内へのモノマー液の移送も、できる限り、排出装置のロッドの前方移動のみによって行われることが意図されている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の諸目的は、骨セメントペーストの親成分としてのモノマー液とセメント粉末とから骨セメントペーストを製造するための、および混合された骨セメントペーストを送出するための、装置によって達成される。本装置は、内部が円筒形のカートリッジを有し、カートリッジの内部は、骨セメントペーストを放出するための送出口を除き、前側で閉じられ、送出プランジャがカートリッジの内部に配置され、送出プランジャは送出口の方向に押し込み可能であり、セメント粉末は送出口と送出プランジャとの間のカートリッジの内部に配置され、送出口に面する送出プランジャの前側に中空円筒体が配置され、中空円筒体は送出口に面する前面が開口し、送出プランジャの前側からカートリッジの内部に少なくとも3mm延在する。
【0026】
好ましくは、送出プランジャはカートリッジの内部の内壁に対して密着または密閉される、特に少なくとも1つの円周シールによって密閉される、ようにし得る。
【0027】
本発明による装置は、好ましくは、セメント粉末を貯蔵するためにも、および特に好ましくはモノマー液を貯蔵するためにも、提供される。
【0028】
送出口はカートリッジの前側に配置されるようにし得る。送出口を画成する送出管がカートリッジの前側に配置される、または好ましくは配置されている。
【0029】
中空円筒体は、カートリッジの内部に配置される。
【0030】
中空円筒体が送出プランジャからカートリッジの前側の方向にカートリッジの内部に延在するという事実は、中空円筒体によってカートリッジの内部にデッドボリュームが画成されることを意味する。デッドボリュームがカートリッジの内部に残るので、中空円筒体がカートリッジの内部の前側に押し当てられ、これにより、送出プランジャを送出口の方向に更に前進させることができなくなると、セメント粉末とモノマー液との混合物で充填される容積が送出口と送出プランジャとの間に残り得る。
【0031】
カートリッジ、送出プランジャ、および中空円筒体は、好ましくは熱可塑性物質から、特に射出成形法を用いて、製造される。
【0032】
カートリッジの内部は、円筒形状を有する。円筒形状は、カートリッジの内部を製造し得る最も単純な形状である。円筒形状とは、幾何学的に、何れか所望の底面域を有する略円筒体の形状を意味する、すなわち円形の底面域を有する円筒形のみではない、ことを理解されたい。したがって、カートリッジの内部の内壁は、何れか所望の底面域を有する、特にさまざまな底面域を有する、すなわち円形でない、または丸くない、底面域を有する、円筒体の円筒外被によって形成され得る。ただし、本発明によると、回転対称の、特に円形の、底面域を有する円筒形状が内部のために好適である。その理由は、これは製造が最も容易であることによる。
【0033】
送出プランジャの前側は、中空円筒体を除き、平坦であることが好ましい。
【0034】
本発明による装置において、中空円筒体は、その外周面がカートリッジの内部の内壁から最大0.5mm、カートリッジの内部の内壁から好ましくは最大0.1mm、離間されるようにし得る。
【0035】
これにより、モノマー液が到達し難い、および送出プランジャの移動を妨げることになる、セメント粉末がカートリッジの内部の内壁と中空円筒体の外周面との間に存在しないこと、存在したとしても僅かである、ことが保証される。
【0036】
中空円筒体がカートリッジの内部の内壁に少なくとも複数個所において押し当てられる、好ましくはその外周面がカートリッジの内部の内壁に押し当てられる、ようにもし得る。
【0037】
これにより、モノマー液が到達し難い、および送出プランジャの移動を妨げることになる、セメント粉末がカートリッジの内部の内壁と中空円筒体の外周面との間に存在しないことが保証される。
【0038】
更に、送出プランジャがカートリッジの内部の前側から離間されてデッドボリュームがカートリッジの内部に残るように、中空円筒体の前面がカートリッジの内部の前側に押し当てられると中空円筒体がカートリッジの前側の方向への送出プランジャの更なる移動を阻止するようにし得る。
【0039】
これにより、中空円筒体で包囲されたデッドボリュームは、十分に混合されていない、または排出工程の最後にカートリッジの内部に流入し続けたモノマー液の故に可変粘度を有する、製造された骨セメントペーストの残滓をカートリッジ内に確実に貯留する。
【0040】
更に、中空円筒体は、少なくとも1つのスロット、好ましくは中空円筒体の円筒軸に平行に延びる少なくとも1つのスロット、特に好ましくは前側から送出プランジャに達する少なくとも1つのスロット、を有するようにされ得る。
【0041】
これにより、カートリッジの内壁への中空円筒体の嵌合がより容易に適合化され得るので、送出プランジャの移動が中空円筒体によって阻止される危険性が低減される。少なくとも1つのスロットは、中空円筒体の円筒軸に平行な経路の代わりに、螺旋の形態でも中空円筒体の壁に延在し得る。
【0042】
モノマー液をカートリッジの内部に導入するための少なくとも1つの接続部が送出プランジャの後側から送出プランジャの前側まで送出プランジャに設けられる。この少なくとも1つの接続部は、モノマー液および気体に対して透過性であり、セメント粉末に対して不透過性である。この少なくとも1つの接続部は、送出プランジャから中空円筒体内に、または中空円筒体の前面に設けられた中空円筒体内の複数の管路を通って、カートリッジの内部に達するようにもされ得る。
【0043】
これにより、モノマー液は、フィードスルーを通って中空円筒体の内側でセメント粉末に流入すると、最初に中空円筒体内のセメント粉末を通って流れる必要があり、カートリッジの内壁のセメント粉末を通って送出口に達することはできない。モノマー液は、中空円筒体内の複数の管路を通ってカートリッジの内部に達すると、カートリッジの内部の真ん中により近い領域を流れるので、モノマー液はそこから送出プランジャの方向にも広がってより良好に分散され得る。カートリッジの内部に通じる各管路の口部は、中空円筒体の内周面の領域にあることが好ましい。これにより、モノマー液が最短経路に沿ってカートリッジの内部の内壁に流れ得ないことが保証される。これら対策の全ては、製造される骨セメントペーストおよび装置から送出される骨セメントペーストがより均質になり、骨セメントペースト内に閉じ込められるモノマー液が皆無に、またはできる限り少なく、なることを保証するために役立つ。
【0044】
本発明の更なる進展の1つは、セメント粉末が中空円筒体によって包囲されたカートリッジの内部の部分に収容される、特に押し込まれる、ことを提案する。
【0045】
これは、中空円筒体によって包囲された部分に骨セメントペーストのためのデッドボリュームが形成され、そこには他のものが何もないことを明らかにする。
【0046】
更に好ましくは、中空円筒体によって画成されるカートリッジの内部の部分は、少なくとも1cmのサイズ、好ましくは少なくとも3cmのサイズ、であるようにされ得る。
【0047】
これにより、包囲されたデッドボリュームが混合工程の最後に発生する可変粘度の骨セメントペーストの残留量を収容するために十分に大きいため、この残留量が本装置によって送出および塗布されないことが保証される。これらデッドボリュームは、カートリッジの内部で送出プランジャの領域に発生し得る骨セメントペーストの不完全に混合された部分をカートリッジの内部に貯留するために十分である。これにより、使用に適さない、不十分に混合された骨セメントペーストまたは組成ひいては粘度が可変の骨セメントペーストが送出工程の最後に送出されることを防止することが可能である。
【0048】
本発明の好適な更なる一進展によると、中空円筒体は送出プランジャの前側からカートリッジ内に少なくとも5mm、好ましくはカートリッジ内に少なくとも7.5mm、特に好ましくはカートリッジ内に少なくとも10mm、延在するようにし得る。
【0049】
したがって、一方では、中空円筒体によって包囲される領域内のデッドボリュームが増大し、他方では、セメント粉末とカートリッジの内壁との間の境界面までの距離が増大する。この距離は、モノマー液がセメント粉末、または既に発生している骨セメントペースト、を通過してカートリッジの内壁に沿って流れ得る危険性が発生する前に、モノマー液がセメント粉末内を移動する必要がある距離である。
【0050】
更に、中空円筒体の壁厚が少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.5mm、特に好ましくは少なくとも2mm、に達するようにされ得る。
【0051】
この対策は、カートリッジの内壁までのモノマー液の移動距離を延長し、ひいては製造される骨セメントペーストのより高い均質性を実現するためにも役立つ。加えて、これにより、好ましくはプラスチック製の中空円筒体の十分な安定性がもたらされるので、中空円筒体は排出工程の最後に変形されない、または過度に変形されない。
【0052】
更に、モノマー液の貯蔵にも適した、ひいては完全に事前包装されたシステムを提供する、本発明の特に好適な一実施形態において、装置はモノマー液、具体的にはモノマー液を収容しているモノマー液容器、が収容されるレセプタクルを有し、カートリッジの後側がレセプタクルの前側に接続される、好ましくはカートリッジの内部がレセプタクルの内部に位置合わせされるように接続される、ようにし得る。
【0053】
これにより、装置は、モノマー液の貯蔵にも、および装置内でのモノマー液とセメント粉末との混合にも、適している。したがって、装置は完全に事前包装されたセメンティングシステムである。カートリッジおよびレセプタクルの位置合わせされた両内部は、最初に移送プランジャの後側に作用する圧力によって移送プランジャが移動され得ること、次に移送プランジャを送出プランジャと共に送出口の方向に更に押すことによって送出プランジャを駆動するために、移送プランジャが使用され得ることを保証する。
【0054】
レセプタクルは熱可塑性物質から、特に射出成形法を用いて、製造されることが好ましい。
【0055】
これにより、本装置は衛生的な使い捨て製品として安価に製造され得る。
【0056】
モノマー液が装置内のモノマー液容器内に配置される本発明による装置において、モノマー液容器は、ガラス製アンプル、プラスチック製アンプル、プラスチックフィルム製アンプル、またはアルミニウム/プラスチック複合材料製パウチにし得る。このようなモノマー液容器は、モノマー液を特に長期間にわたって貯蔵し得る。
【0057】
レセプタクルを有する装置において、レセプタクルの内部とカートリッジの内部とがモノマー液および気体に対して透過性の、しかしセメント粉末に対して不透過性の、接続部を介して互いに接続されるようにもし得る。
【0058】
これにより、セメント粉末がこの接続部を通ってレセプタクルの内部に進入しないのでそこでモノマー液と時期尚早に反応しないこと、およびそのときカートリッジ内部へのモノマーの移送を妨げないこと、が保証される。この接続部は、送出プランジャ内に配置されることが特に好ましい。
【0059】
レセプタクルは、モノマー液、具体的にはモノマー液を収容しているモノマー液容器、が配置される円筒形内部を有するように更にし得る。
【0060】
レセプタクルの内部は、円筒形状を有する。ここでも、円筒形状は、レセプタクルの内部を製造し得る最も単純な形状である。円筒形状とは、幾何学的に、何れか所望の底面域を有する略円筒状の形状を意味する、すなわち、円形の底面域を有する円筒形だけではない、ことを理解されたい。
【0061】
更に、レセプタクルの長手方向に移動可能な移送プランジャがレセプタクル内に配置され、移送プランジャはレセプタクルの後側から前側の方向に前進可能であり、モノマー液、具体的にはモノマー液を収容しているモノマー液容器、が移送プランジャと送出プランジャとの間に配置されるようにし得る。レセプタクルの後側は、レセプタクルの前側とは反対の側にある。
【0062】
これにより、骨セメントペーストの全ての親成分、すなわちモノマー液とセメント粉末、が収容される、更には貯蔵され得る、完全に事前包装されたセメンティングシステムが提供される。
【0063】
移送プランジャは、存在し得る通気口を除き、レセプタクルをその後ろ側で液密に閉じる(以下を参照)。
【0064】
この場合、モノマー液容器を破断するために、少なくとも1つの突出点、刃縁、および/または切り刃が移送プランジャの前側に配置されるようにし得る。
【0065】
規定の力を空間的に規定された所定位置に加えることによって、この位置における圧力が同一の力の下で増大され得るので、これにより、モノマー液容器の規定された破断が実現され得る。これにより、モノマー液容器の破断開口の操作がより再現可能になる。
【0066】
移送プランジャを有する本発明による装置においては、代わりに、または加えて、レセプタクルの前側の方向への移送プランジャの移動によってレセプタクル内のモノマー液容器が開口される、好ましくは破断開口される、または引裂開口される、ようにし得る。
【0067】
これにより、移送プランジャの軸線方向への直線移動によってモノマー液容器が開口され得ることが保証される。これにより、モノマー液容器を開口するために、およびモノマー液をカートリッジ内に押し込むために、更には骨セメントペーストをカートリッジから押し出すために、軸線方向への直線駆動装置として単一のロッドを有する排出装置が使用され得る。
【0068】
本発明の更なる1つの進展において、レセプタクルの内部を周囲環境に接続する少なくとも1つの通気口がレセプタクルの壁に配置されるようにし得る。
【0069】
これにより、レセプタクルの内部が滅菌ガスで滅菌され得る。
【0070】
この場合、レセプタクルの前側に向かう移送プランジャの移動によって、レセプタクル内に配置された、モノマー液が収容されているモノマー液容器が移送プランジャの移動によって開口される前に、少なくとも1つの通気口が閉じられるように、この少なくとも1つの通気口が移送プランジャの極めて近くに配置されるようにし得る。
【0071】
これにより、移送プランジャの移動によってモノマー液容器が開口する前に、すなわち、例えば、移送プランジャによってレセプタクルの内部でモノマー液容器が押し潰される、粉々にされる、または引裂開口される前に、この少なくとも1つの通気口がレセプタクルの前側に向かって移動する移送プランジャによって閉じられると、モノマー液がレセプタクルの内部から漏出できない。
【0072】
好ましくは、レセプタクルとカートリッジとが一管状容器によって一体に形成されるようにし得る。
【0073】
この構造は、実現可能な最も単純で最も安価な構造である。
【0074】
排出装置を固締するための固締手段が装置の後側に配置され、固締された排出装置によって送出プランジャが送出口の方向に押し込み可能であるようにもし得る。
【0075】
装置は、前進可能なロッドを有する排出装置に接続および固締され得る。
【0076】
セメント粉末が送出プランジャの前側に、特にその表面全体にわたって、押し当てられ、セメント粉末がカートリッジの内部に好ましくは押し込まれるようにし得る。
【0077】
これにより、相対的に大量の気体が閉じ込められてカートリッジ内に残ることが防止される。カートリッジ内に気体が残っていると、モノマー液とセメント粉末との混合時に骨セメントペースト内に気体が閉じ込められ得る。これは、高密度に圧縮された、または好ましくは加圧された、セメント粉末では発生し得ない。その理由は、モノマー液はセメント粉末の粒子を十分に濡らすので、モノマー液の表面張力がセメント粉末の粒子間への気体の閉じ込めを一切、または少なくとも殆ど、許容しないからである。
【0078】
更に、送出口がその前側でクロージャによって、特にプラグによって、閉じられるようにし得る。骨セメントペーストは、送出口が開いているときにカートリッジから送出口を通って吐出可能である。クロージャは、気体に対して透過性であり、セメント粉末に対して不透過性であることが好ましい。
【0079】
これにより、カートリッジはセメント粉末を貯蔵するために容易に使用され得る。クロージャは開口され得る。カートリッジの内部とセメント粉末とは、気体に対して透過性でセメント粉末に対して不透過性のクロージャを介した排気と酸化エチレンなどの滅菌ガスによるカートリッジ内部の洗浄とによって滅菌され得る。
【0080】
クロージャは、気体に対して透過性でセメント粉末に対して不透過性のフィルタ、特に多孔質フィルタ、であることが好ましい。
【0081】
クロージャを有する装置において、クロージャは、カートリッジの内部に面する後側に、セメント粉末の最前部が収容される窪みを有するようにし得る。
【0082】
これにより、窪み内に収容されている骨セメントペーストの前部がクロージャと共に除去され得ることが実現される。モノマー液が後側からセメント粉末内に押し込まれると、モノマー液はこの部分に最後に達する。これにより、不十分に混合された骨セメントペーストの部分がクロージャと共に除去され得る。
【0083】
クロージャは、送出プランジャに作用する送出口の方向への軸線方向圧力によって開口可能なカートリッジクロージャシステムを送出プランジャと共に形成することが好ましい。
【0084】
更に、送出管がカートリッジの前側に配置され、骨セメントペーストが送出管を通って吐出可能であるようにし得る。
【0085】
これにより、装置は、アクセス困難な位置への骨セメントペーストの塗布に容易に使用され得る。
【0086】
このために、更に、カートリッジの内部のセメント粉末のセメント粒子間の隙間の体積がセメント粉末の総体積に対して22体積パーセントから40体積パーセントの範囲内であるようにし得る。セメント粉末の総体積は、送出プランジャによって、およびカートリッジの前側の送出口内のクロージャによって、画成されるカートリッジの内部の容積に相当することが好ましい。
【0087】
本発明による好適な装置は、カートリッジの内部の断面積が最大16cm、好ましくは最大5cm、に達することでも識別され得る。
【0088】
同様に、カートリッジの内径が50mm未満、好ましくは20mm未満、であるようにもし得る。
【0089】
内径が小さいことによってカートリッジの内部の断面積も極めて小さくなるので、ホース、アプリケータチューブ、またはスタティックミキサーなど、流動を妨げる更なる管路が骨セメントペーストの流れの方向に設けられた場合でも、粘性の骨セメントペーストは手動駆動式の排出装置によってカートリッジから吐出され得る。
【0090】
更に、装置内のモノマー液の、特に装置内のモノマー液容器内のモノマー液の、体積はカートリッジ内のセメント粉末粒子間の空気で充填された隙間の容積と少なくとも同じであり、好ましくは、カートリッジの内部とモノマー液が収容されているレセプタクルの内部との間の液体管路の容積とカートリッジ内のセメント粉末粒子間の空気で充填された隙間の容積との合計に少なくとも同じであるようにし得る。
【0091】
これにより、セメント粉末全体がモノマー液で濡らされて均質な骨セメントペーストが製造され得ることが保証され得る。
【0092】
更に、中空円筒体が送出プランジャと共に、またはカートリッジの内壁に押し当てられる送出プランジャの部分と共に、一体に形成されるようにし得る。
【0093】
これにより、中空円筒体と送出プランジャとが一体型構成要素として用いられるので、製造コストが下がる。装置の各部品(カートリッジ、中空円筒体、送出プランジャ)はプラスチックから射出成形によって製造され得る。
【0094】
本発明によって対応される諸目的は、本発明による装置を用いてセメント粉末とモノマー液から製造される骨セメントペースト、特にペースト状のポリメチルメタクリレート骨セメントペースト、の製造方法によっても達成される。本方法は、
a)軸線方向に前進可能なロッドを有する排出装置に装置を挿入し、モノマー液がセメント粉末と混合されるようにモノマー液をカートリッジの内部に押し込むステップであって、モノマー液は、カートリッジの内壁に達する前に、中空円筒体の辺りを流れる、ステップと、
b)送出プランジャをロッドによってカートリッジの送出口の方向に前進させるステップであって、カートリッジからのセメント粉末とモノマー液とから成る混合物が送出プランジャの移動によって装置から骨セメントペーストとして放出される、ステップと、
c)中空円筒体の前面がカートリッジの内部の前側に接触し、送出口の方向への送出プランジャの更なる移動が中空円筒体によって阻止されるステップであって、セメント粉末とモノマー液との混合物の残留量が中空円筒体によって画成されたカートリッジの内部の部分に残る、ステップと、
の一連のステップを特徴とする。
【0095】
ここで、ステップa)において、モノマー液は、セメント粉末に対して不透過性の、しかし気体およびモノマー液に対して透過性の、送出プランジャ内の少なくとも1つの接続部を通ってカートリッジ内に押し込まれる、またはこの接続部と中空円筒体内の少なくとも1つの管路とを通ってカートリッジ内に押し込まれる、好ましくは排出装置のロッドによって駆動される移送プランジャの移動によってカートリッジ内に押し込まれる、ようにし得る。
【0096】
これにより、モノマー液の流れの方向が骨セメントペーストをカートリッジから放出する送出プランジャの移動方向と同じになることが保証される。これは、単一の単方向型駆動装置がモノマー液の圧入および骨セメントペーストの吐出の両方に使用され得るという利点を有する。これにより、手動駆動式のカートリッジガンなど、従来の排出装置が本発明による方法のために使用され得る。
【0097】
更に、ステップa)において、先ず初めに、装置が排出装置に挿入され、次に、カートリッジの後側に配置されたレセプタクルの内部で移動可能にレセプタクルの後側に取り付けられた移送プランジャがロッドによってカートリッジの方向に前進され、移送プランジャの移動によってモノマー液が収容されているモノマー液容器が開口され、モノマー液がレセプタクルからカートリッジ内に押し込まれ、カートリッジの内部でセメント粉末とモノマー液とが混合されるようにし得る。
【0098】
これにより、本方法は両親成分の事前貯蔵にも適している。これにより、本方法は、完全に事前包装されたコンパクトなセメンティングシステムを用いて何時でも使用され得る。
【0099】
この場合、移送プランジャの前進により、破断された、または切裂開口された、または破裂開口されたモノマー液容器が一緒に押され、同時に気体がレセプタクルから接続部を通ってカートリッジ内に押し込まれ、カートリッジ内のセメント粉末を通って外側に押されるようにし得る。
【0100】
更に、ステップb)において、カートリッジの前側の送出口内のクロージャ、特に多孔質フィルタ、がセメント粉末とモノマー液との混合物に作用する圧力によって移動され、または押し出され、好ましくはその後にクロージャが送出口から除去され、特に好ましくは塗布用チューブまたは送出管延長部がその後にカートリッジの前側に固締されるようにし得る。
【0101】
これにより、カートリッジ内に収容されているセメント粉末がカートリッジから徐々に出ること、または粉末が外側から汚染されること、が防止され得る。同時に、カートリッジの中身が酸化エチレンなどの滅菌ガスで滅菌され得る。
【0102】
本発明は、モノマー液がカートリッジの内部のセメント粉末に押し込まれたときに、送出プランジャの前側にある中空円筒体によって、モノマー液がカートリッジの内壁に達する前に、セメント粉末を通してより長い距離にわたってモノマー液を案内する、または流動させる、ことが可能であること、およびこれにより、モノマー液泡の形成が、または形成された骨セメントペースト内へのモノマー液の閉じ込めが、防止または低減されるという驚くべき知見に基づく。これにより、より均質な骨セメントペーストが製造される。更に、カートリッジ内で生じたセメント粉末とモノマー液との混合物の少量の残滓をカートリッジの内部に貯留することによって、残留骨セメントペーストがカートリッジ内に貯留され、送出口が閉じられるので、粘度が異なる骨セメントペーストが排出工程の最後に一切送出され得ないことが判明している。
【0103】
本発明による好適な装置は、完全に事前包装されたセメンティングシステムとしてのその更なる進展において、骨セメントペーストの2つの親成分が閉ざされたセメンティングシステム内に貯蔵される、および両親成分の混合が閉ざされた装置内で進行する、という大きな利点を有する。これは、本装置の充填をユーザが行う必要がないことを意味する。医療ユーザは、骨セメントの個々の親成分に接触しない。これにより、臭気の不快感が最小限に留まる。本装置の特定の一利点は、手動駆動式の排出装置のロッドを前方に移動させるだけでモノマー液がセメント粉末内に押し込まれるという事実にもある。この場合、セメント粉末粒子間に存在する空気はモノマー液に置換される。混合用の羽根を有する混合用ロッドによる手動混合の必要なしに、均質な骨セメントペーストが生じる。これは、誤りが起き易い手動混合がもはや必要ないことを意味する。本装置の操作は、最大可能な程度まで簡素化される。本システムは、直ちに使用できるシステムである。
【0104】
本発明による装置および方法の諸利点は、ロッドの直線状の前方移動の力の連続的作用によって、最初にモノマー液容器が開口され、次にモノマー液容器が圧縮され、それによってモノマー液がモノマー液容器から出て圧縮セメント粉末内に押し込まれるように、手動操作式排出装置のロッドのそれ自体は公知の直線状の前方移動が利用され、セメント粉末粒子間に存在する空気が押し込まれたモノマー液に置換され、モノマー液によってセメント粉末粒子が濡らされた後に、骨セメントペーストが生じるという事実に基本的に基づく。このための一前提条件は、モノマー液によって極めて容易に濡らされ、毛管作用によってモノマー液を吸い上げることができるようなセメント粉末の使用である。
【0105】
本装置は衛生的な使い捨て製品として使用され得る。その理由は、殆ど大部分をプラスチック製にし得ることと、内部を含む全ての部品とセメント粉末とを酸化エチレンによって滅菌可能であることによる。
【0106】
本発明による装置は、軸線方向高さが少なくとも3.0mmで壁厚が少なくとも1.0mmの中空円筒体が送出プランジャ上に、カートリッジヘッドの方向に、またはカートリッジの前側の方向に、取り付けられた場合に、吐出されたセメントペースト内のモノマー泡の発生が効果的に防止されることを特徴とする。これにより、モノマー液がカートリッジの内部のセメント粉末内に送出プランジャの前側の中空円筒体の内側で導入される、または押し込まれると、モノマー液は中空円筒体の内側で少なくとも4.0mmの距離にわたってセメント粉末内に導入される。これにより、モノマー液の押し込み中に、モノマー液の複数部分がセメント粉末または形成されたセメントペーストとカートリッジ壁との間を移動してモノマー泡を形成することが効果的に防止される。
【0107】
ポリメチルメタクリレート骨セメントを貯蔵、混合、および送出するための本発明による装置の一例は、例えば、
a)排出装置との接続用の接続要素がカートリッジ端部に配置された中空の円筒形容器と、
b)中空の円筒形容器に前側で終端するカートリッジヘッドであって、送出管を収容するためのフィードスルーがカートリッジヘッド内に送出口として配置され、少なくとも1つのフィードスルーがカートリッジヘッドの外側をカートリッジヘッドの内部に気体透過式に接続する、カートリッジヘッドと、
c)送出管と、
d)カートリッジヘッド内で軸線方向に移動可能な、気体に対して透過性の、しかし粉末粒子に対して不透過性の、クロージャであって、クロージャはフィードスルーを有し、フィードスルーは最下部から最上部まで延在し、最上部において送出管に液体透過式に接続される、クロージャと、
e)容器内に軸線方向に移動可能に配置された移送プランジャであって、カートリッジの底部を液体不透過式に閉じる移送プランジャと、
f)クロージャと移送プランジャとの間で軸線方向に移動可能であるように容器内に配置された送出プランジャであって、液体に対して透過性の、しかし粉末粒子に対して不透過性の、少なくとも1つの接続部を2つの端面間に有する送出プランジャと、
g)送出プランジャと移送プランジャとの間に容器内に配置された少なくとも1つのモノマー液容器と、
h)セメント粉末が配置される内部(カートリッジの内部)であって、容器の内壁と、クロージャと、送出プランジャとによって画成される内部と、
を有し得る装置であって、
i)その外周面がカートリッジの内壁に押し当てられる中空円筒体がカートリッジヘッドに面する送出プランジャの端面に配置され、この中空円筒体は軸線方向に少なくとも3.0mm、好ましくは少なくとも5.0mm、の高さと、少なくとも1.0mmの壁厚とを有する。
【0108】
この場合、容器は、セメント粉末がその内部に配置されるカートリッジを容器の前部として備え、モノマー液容器がその内部に配置されるレセプタクルを容器の後部として備える。
【0109】
本発明による方法は、以下の連続ステップを有し、例えば、セメント粉末をモノマー液と混合して骨セメントペーストを形成する例示的装置を用いて実現され得る。本方法は、
a)排出装置を容器の接続要素に接続するステップと、
b)排出装置のロッドを前進させるステップと、
c)移送プランジャをカートリッジヘッドの方向に変位させるステップと、
d)送出プランジャと移送プランジャとの間で少なくとも1つのモノマー液容器を圧縮するステップと、
e)モノマー液容器を破裂または断裂させるステップと、
f)破裂または断裂されたモノマー液容器を移送プランジャによって押して空気をレセプタクルの内部から送出プランジャの少なくとも1つの接続部を通して追い出すと共に、モノマー液をカートリッジの内部のセメント粉末内に押し込むステップと、
g)移送プランジャによってモノマー液容器を更に押して、モノマー液を送出プランジャ内の液体透過性の接続部を通して追い出し、モノマー液を中空円筒体経由でカートリッジ内部のセメント粉末内に導入するステップと、
h)モノマー液をセメント粉末内に分散させると同時に、セメント粉末粒子間の隙間から空気を排出させるステップと、
i)セメント粉末粒子をモノマー液で濡らすステップと、
j)気体透過性クロージャを通してセメント粉末から空気を抜くステップと、
k)モノマー液によってセメント粉末粒子を膨張させ、促進剤と開始剤との反応によってモノマー液のフリーラジカル重合を開始させるステップと、
l)セメント粉末とモノマー液とから骨セメントペーストを形成するステップと、
m)カートリッジヘッドの方向に軸線方向に押し込まれた骨セメントペーストによる軸線方向の加圧によって送出口内のクロージャを開くステップと、
n)送出プランジャの、および移送プランジャの、前方移動の結果として骨セメントペーストを送出口から吐出するステップと、
o)中空円筒体がカートリッジヘッドに接触して送出プランジャの更なる移動を阻止するまで、送出プランジャをカートリッジヘッドの方向に軸線方向に移動させるステップと、
を含む。
【0110】
中空円筒体が送出プランジャの更なる移動を阻止すると、混合物の、または骨セメントペーストの、残滓が中空円筒体によって画成されたカートリッジ内のスペースに残る。
【0111】
本方法の一例示的変形例は、上記方法のステップl)に、
l1)クロージャを送出口から追い出すステップと、
l2)クロージャを送出口または送出管から落下させるステップと、
が続くことを特徴とする。
【0112】
9つの模式的に描かれた図を参照して、しかしこれにより本発明を限定することなく、本発明の更なる例示的実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0113】
図1】モノマー液とセメント粉末とを貯蔵し混合するための本発明による一例示的装置の概略的断面図を示す。
図2図1による装置の概略的側面図を示す。
図3】本発明による方法のシーケンスを示すために、排出装置が接続された図1および図2による装置の4つの概略的断面図を上下に示す。
図4】多孔質フィルタを前進させた図1図3による本発明による装置の前部の概略的断面図を拡大詳細図の形態で示す。
図5】塗布用チューブと送出管延長部とを有する本発明による一装置の部品の概略的斜視図を示す。
図6図5による塗布用チューブと送出管延長部とを有する装置の概略的斜視断面図を示す。
図7】モノマー液を押し込み中の図3の上から2番目の図による装置の概略的斜視断面図を拡大詳細図の形態で示す。
図8】骨セメントペーストを前方に押しているときの図3の上から3番目の図による装置の概略的断面図を拡大詳細図の形態で示す。
図9】骨セメントペーストの送出中の図3の上から最後の図による装置の概略的断面図を拡大詳細図の形態で示す。
【発明を実施するための形態】
【0114】
図1図9は、本発明による一装置の図を示す。図1図3図5、および図6は、本発明による例示的装置のさまざまな概略的全体図を示す。図4および図7図9は、本発明による装置のさまざまな領域の概略的断面図を拡大詳細図の形態で示す。
【0115】
本発明による装置は、プラスチック製の管状容器でほぼ構成される。この容器は、円筒形の内部を有するカートリッジ1を前部として形成し(図1および図2の上部、図3図4、および図7図9の左側、図5の右上、および図6の左下)、モノマー液容器としてのガラスアンプル3のためのレセプタクル2を後部として形成する。ガラスアンプル3の代わりに破断開口可能なプラスチック製アンプルもそのまま、または多少の手直しを加えて、使用され得る。金属被膜付きプラスチックから成る引裂開口可能なフィルム製パウチもガラスアンプル3の代わりに使用され得る。
【0116】
本装置の後側は、図1および図2では下側にあり、図3の複数の図では右側にあり、図5では左下にあり、図6では右上にある。容器の管状形状は、図1図3、および図6の断面図において特に明らかである。カートリッジ1の内部およびレセプタクル2の内部はどちらも、底面域が円形の円筒形である。この点に関して、カートリッジ1の内部の直径とレセプタクル2の内部の直径とは同一サイズであり、位置合わせされる。レセプタクル2とカートリッジ1とを有する容器は、射出成形技術を用いてプラスチックから製造されることが好ましい。したがって、レセプタクル2は円筒形の内部を有し、そこにガラスアンプル3が載置されている。ガラスアンプル3は、モノマー液4を収容している。図1には、装置が上下逆さまに示されているので、重力が上方に働き、モノマー液4がガラスアンプル3の上部に集まっている。セメント粉末5はカートリッジ1の内部に注入、または好ましくは圧入、されている。モノマー液4およびセメント粉末5は、本装置を用いて製造可能なPMMA骨セメントの親成分を形成する。ガラスアンプル3のおかげで、モノマー液4はレセプタクル2内に、ひいては装置内に、極めて長期間の貯蔵が可能である。セメント粉末5も同様に本装置内に長期間の貯蔵が可能である。したがって、本装置は、PMMA骨セメントの骨セメントペーストの親成分としてのモノマー液4とセメント粉末5とを貯蔵するために適している。ただし、本装置は、両親成分からの骨セメントペーストの混合および混合された骨セメントペーストの送出にも適しており、そのために提供される。
【0117】
レセプタクル2内には、レセプタクル2の円筒形内部で長手方向に移動可能なプラスチック製の移送プランジャ6が配置される。移送プランジャ6は、レセプタクル2の後側の領域に配置される。移送プランジャ6が前側の方向に、すなわちカートリッジ1の方向に、押されることによって、その過程でガラスアンプル3は移送プランジャ6によってレセプタクル2内で圧縮されて粉砕され得る。移送プランジャ6は複数のワイパを前側に有し、これらワイパによってガラスアンプル3の破片がレセプタクル2の内壁から拭い取られる。このために、ワイパはレセプタクル2の内部の内壁に側方で押し当てられる。
【0118】
プラスチック製の送出プランジャ7がカートリッジ1の内側の後側に配置される(図1および図2では下方、図3図4、および図7図9では右側)。レセプタクル2の後側に固締手段8が設けられる。固締手段8によってレセプタクル2は排出装置43(図1および図2には見えないが、図3を参照)に接続され得る。固締手段8は、差し込みクロージャ8を形成するために適しており、そのために設けられることが好ましい。これにより、レセプタクル2の後側から自由にアクセス可能な移送プランジャ6を排出装置43によってカートリッジ1の前側の方向に前進させることができる。
【0119】
送出プランジャ7はその前側に中空円筒体9を有する。中空円筒体9の目的は、モノマー液4がカートリッジ1の内壁に達する前にモノマー液4がセメント粉末5を通って流れる必要がある距離を延長させることである。加えて、送出プランジャ7または中空円筒体9が最大可能な程度まで押されてカートリッジ1の内部の前側に当たると、中空円筒体9は送出プランジャ7をカートリッジ1の内部の前側にある送出口から離間させ、送出プランジャ7とカートリッジ1の内部の前側との間にデッドボリュームを生じさせる役割を果たす。この場合、中空円筒体9は回転対称であり、筒部分のように形作られている。ただし、中空円筒体9は、中空円筒体9の円筒軸に平行に延びる長手方向の切り込みを更に有し得る。中空円筒体9の前側は平坦である。中空円筒体9は、送出口に面する前面で開口している。
【0120】
レセプタクル2の内側に発泡体製の軸受12が設けられる。軸受12は、搬送のための安全措置としての、およびガラスアンプル3のための衝撃安全措置としての、役割を果たす。これは、振動または衝撃時におけるガラスアンプル3の未故意の破断開口を防止することを目的とする。発泡体ひいては軸受12は気体透過性である。
【0121】
カートリッジ1とレセプタクル2とは、接合プラスチック部品として一体に具現化される。レセプタクル2とカートリッジ1とは、送出プランジャ7内の接続部14を介してモノマー液4に対して液体透過式に互いに接続される。送出プランジャ7を通る接続部14は、セメント粉末5対して不透過性の、しかしモノマー液4に対して透過性の、多孔質フィルタ16を介してカートリッジ1の内部に通じる。
【0122】
送出プランジャ7内の接続部14に通じる口部にフィルタ18が配置される。このフィルタによってガラスアンプル3の破片を堰き止めることができる。フィルタ18の代わりに、またはフィルタ18に加え、スクリーンが設けられ得る。
【0123】
複数の通気口20がレセプタクル2の壁に設けられる。これら通気口20を介してレセプタクル2の内部が酸化エチレンなどの滅菌ガスによって滅菌され得る。軸受12も同様に気体透過性であり、したがって通気口20を閉じない。移送プランジャ6をカートリッジ1の方向に前進させたときに移送プランジャ6が通気口20の真正面で押され、ひいては通気口20を直接閉じるように、通気口20は移送プランジャ6に直接隣接して配置される。これにより、レセプタクル2内のガラスアンプル3が開口されたときに、通気口20からのモノマー液4の漏出が防止される。
【0124】
円筒形の移送プランジャ6は、レセプタクル2の内部の円筒形状に適合する外周を有し、レセプタクル2の内壁に対して2つの円周シール26を介して液密に密閉される。送出プランジャ7も同様にカートリッジ1の内壁に対して2つの円周シール28を介して液密に密閉される。これらシール26、28は、周囲環境(手術室およびユーザ)の汚染を防止するように、モノマー液4または骨セメントの漏出を防止するために役立つ。このために、シール26、28はゴムで構成され得る。
【0125】
カートリッジ1の内部は、その前側で、カートリッジ1の送出口を画成する送出管34に通じる。送出管34はその基部に雄ねじを有する。送出管34の内部には、多孔質フィルタ36がカートリッジ1のためのクロージャとして配置される。多孔質フィルタ34は、セメント粉末5に対して不透過性であるが、気体に対して透過性である。多孔質フィルタ36の後側に窪み37が設けられる。セメント粉末5は窪み37内にも収容される。送出管34の雄ねじにキャップ38が固締される。キャップ38の前部に発泡ポリスチレンまたは発泡体40が充填される。キャップ38を蝶ねじのように手でねじ戻して送出管34から外せるように、2つの羽根42がキャップ38に設けられる。キャップ38は側方開口39を複数有する。この構造の結果として、キャップ38の開口39、発泡ポリスチレンまたは発泡体40、多孔質フィルタ36、およびセメント粉末5の粉末粒子間の隙間が通気性であるので、カートリッジ1の内部とセメント粉末5とは酸化エチレンを用いて滅菌され得る。同時に、移送プランジャ6がレセプタクル1の方向に押されると、レセプタクル2からセメント粉末5、多孔質フィルタ36、発泡ポリスチレンまたは発泡体40、およびキャップ38の開口39を通って空気が放出され得る。キャップ38は、発泡ポリスチレンまたは発泡体40と共に、および多孔質フィルタ36と共に、カートリッジ1の送出口のための、または送出管34のための、クロージャを形成する。
【0126】
全ての開口39および接続部14が多孔質フィルタ16、36によってセメント粉末5に対して不透過式に閉じられるので、セメント粉末5はカートリッジ1内に封入される。この点に関して、カートリッジ1の中身は排気と酸化エチレンによる洗浄とによって滅菌され得る。これにより、装置はセメント粉末5の長期貯蔵にも適するようになる。
【0127】
図5および図6は、装置に加え、装置のための塗布用チューブ66および送出管延長部70も示している。これらは、キャップ38の代わりに、それぞれ送出管34にねじ嵌めされ得る。このために、塗布用チューブ66および送出管延長部70は、送出管34の雄ねじに適合する雌ねじを有する。送出管延長部70は、クロージャ72によって閉じられ得る。クロージャ72はハンドル74に終端する。クロージャ72が送出管延長部70内にあるとき、送出管延長部70はハンドル74によって送出管34に手で容易にねじ嵌めされ得る。加えて、ハンドル74は、送出管延長部70と送出管34とが互いにしっかり螺着されている場合でも、カートリッジ1に面する送出管延長部70の側を閉じているクロージャ72を取り外すためにも容易に使用され得る。
【0128】
図3は、本発明による方法のシーケンスを示すために、図1および図2による本発明による装置の4つの概略的断面図を上下に示す。加えて、図4は、図3の3番目の図の拡大詳細図を示し、図7は、図3の上から2番目の図の拡大詳細図を示し、図8は、図3の上から4番目の図の拡大詳細図を示し、図9は、図3の一番下の図の拡大詳細図を示す。
【0129】
本方法の初めに、本装置は、図1にも示されている初期状態にある。この状態において、本装置は、排出装置43に、例えば従来の手動駆動可能なカートリッジガンに、挿入されている。この状況は、図3の一番上の図に示されている。排出装置43は、直線的に前進可能なロッド44を備える。排出装置43の前部のみが図示されている。排出装置43は、従来の手動駆動式排出装置の場合のように、排出装置43のロッド44を手動で駆動するためのハンドルとロッカアーム(これらの図には見えない)とを更に備える。本装置は、固締手段8によって排出装置43に固締される(図3の一番上の図を参照)。移送プランジャ6を駆動するために、平円板46がロッド44の先端に設けられている。排出装置43のロッド44がレセプタクル2に押し込まれると、ロッド44は、円板46によって移送プランジャ6を押す。このために、ロッド44の前進時に円板46が移送プランジャ6を押してカートリッジ1の方向に前進させるように、排出装置43は相手側固締手段48を介してレセプタクル2の後側に接続される。このために、ロッド44は、軸受50に対して、ひいては相手側固締手段48に対して、ひいてはレセプタクル2に対して、直線状に移動可能であるように、取り付けられる。
【0130】
排出装置43が作動され、その過程でロッド44がカートリッジ1の方向に前進させられ、更にはロッド44によって、移送プランジャ6がカートリッジ1の方向に前進させられる。移送プランジャ6の移動の開始時に、移送プランジャ6は通気口20を閉じる。軸受12は圧縮され、移送プランジャ6はガラスアンプル3の頭部に当たる。ガラスアンプル3の前側が送出プランジャ7に押し当てられ、レセプタクル2の内部がますます小さくなるので、ガラスアンプル3は破断される。モノマー液4は、ガラスアンプル3からレセプタクル2の内部に流入する。乾燥セメント粉末5は流動可能ではなく、送出プランジャ7の移動を阻止するので、セメント粉末5が乾燥しているときは、すなわちモノマー液4によって濡らされていないときは、送出プランジャ7をガラスアンプル3によって多孔質フィルタ36の方向に押すことができない、または遠くまで押すことができない。この状況は、図3の上から2番目の図および図7の拡大詳細図に示されている。レセプタクル2からの残留空気は、フィルタ18、接続部14、多孔質フィルタ16を通り、セメント粉末5の粒子間の隙間を通り、多孔質フィルタ36を通り、発泡体40を通って、キャップ38の開口39から押し出される。
【0131】
最後に、ガラスアンプル3の全ての残部は小さな破片52であり、フィルタ18によって貯留され、管状容器内に残っている。モノマー液4は、フィルタ18、接続部14、および多孔質フィルタ16を通ってセメント粉末5内に押し込まれ、そこでセメント粉末5と反応し始めるので、混合物54から骨セメントペースト54が形成される。この場合、モノマー液4は多孔質フィルタ16からカートリッジ1の内壁に直ちに流れることができない。その理由は、この内壁は、中空円筒体9によって完全に、またはスロット付きの中空円筒体9の場合は大半が、隠されているからである。これにより、モノマー液4は、セメント粉末5を通る経路を通らざるを得ない。これにより、モノマー液の泡またはモノマー液の堆積を防止できるので、中空円筒体9を使用しない場合に比べ、より均質な骨セメントペースト54が調合される。
【0132】
モノマー液4の量は、セメント粉末5がモノマー液4によってカートリッジ1の最前部まで、すなわち、多孔質フィルタ36内の窪み37の中まで、濡らされるように、選択される。この状況は、図3の上から3番目の図および図8の詳細図に示されている。混合物54が生じるや否や、多孔質フィルタ36は、送出プランジャ7に対する圧力の故に、混合物54に作用する圧力によって前方に駆動されて発泡体40を圧縮する。このとき多孔質フィルタ36が前方に摺動すると、キャップ38の開口39を通して多孔質フィルタ36が外側からユーザに見えるようになる。この状況は、図4に詳細に示されている。このために、多孔質フィルタ36は、発泡体40とは異なる色および/または明度を有することが好ましい。例えば、発泡体40を白色に、多孔質フィルタ36を赤色にし得る。
【0133】
この状態において、キャップ38はねじ戻されて多孔質フィルタ36および発泡体40から外され、アプリケータチューブ66の形態の、または送出管延長部70の形態の、延長送出口が代わりに送出管34にねじ嵌めされる(図5および図6も参照)。キャップ38がねじ戻されて外されると、多孔質フィルタ38の窪み37内にある、混合物54の、または骨セメントペースト54の、最前部がキャップ38および多孔質フィルタ36と共に除去される。これにより、骨セメントペースト54の混合が不十分であり得る部分が除去され、ひいては得られる骨セメントペースト54のより高い均質性が実現される。
【0134】
ロッド44を更に前進させることによって、その前方に配置されている移送プランジャ6、破損したガラス52、および送出プランジャ7が駆動される。このとき、骨セメントペースト54がカートリッジ1からアプリケータチューブ66を通って送出される。このために、送出プランジャ7はロッド44によって送出管34の方向に前進させられる(この点に関しては、図3の上から4番目の図および図9の詳細図も参照)。骨セメントペースト54は、カートリッジ1の内部から送出管34およびアプリケータチューブ66を通って放出され、そこで塗布され得る、または理論的には更なる処理のために使用され得る。
【0135】
最後に、中空円筒体9はカートリッジヘッド、またはカートリッジ1の内部の前側、に接触する。送出プランジャ7は排出工程の最後に移動が阻止されるので、ガラスアンプル3からの破損したガラスおよび破片52は、破損したガラスおよび破片52に作用する圧力の増大によって更に圧縮され、その過程で送出プランジャ7と移送プランジャ6との間の隙間からのモノマー液4の更なる残滓がカートリッジ1の前部に押し込まれ得る。これにより、混合物54内の液状モノマー液4の割合が増大するので、骨セメントペースト54の組成が変化し得る。骨セメントペースト54の大部分が既に反応しているときは、モノマー液4が骨セメントペースト54に押し入って通過することもあり得る。中空円筒体9の高さは3mm、好ましくは5mmかそれ以上であるので、これによって生じた距離によって、送出プランジャ7が手動駆動式の排出装置43によって可能である限り前方に押し込まれたときに、送出プランジャ7の前側がカートリッジ1の内部の前側から離間されることが保証される。これにより、カートリッジ1の内部に、特に中空円筒体9よって画成された領域に、デッドボリュームが生じる。このデッドボリュームは、カートリッジ1から送出口および送出管34を通して放出させることができない。
【0136】
このとき、このデッドボリューム内に存在するのは、場合によってはモノマー液4の含有割合が大き過ぎる骨セメントペースト54の部分である。その後に更なる圧力が加わり続けたとしても、更なる骨セメントペースト54が装置のデッドボリュームから吐出されることはない。この構造は、可変の組成の故に可変粘度の骨セメントペースト54が装置によって塗布され得ないことを保証する。
【0137】
開口39は、可視マーカの役割も果たすので、本装置の使用準備が整ったことを開口39によって識別できる。骨セメントペースト54の圧力の故に多孔質フィルタ36が前方に押され、その過程でキャップ38内の発泡ポリスチレン40が圧縮されると、開口39通して多孔質フィルタ36が見えるようになる。これにより、ユーザは、骨セメントペースト54が完全に混合された状態でカートリッジ1内に存在し、ひいては使用の準備が整ったことを認識できる。この時点で、ユーザは、キャップ38をねじ戻して多孔質フィルタ36から外し、アプリケータチューブ66または送出管延長部70を送出管34にねじ嵌めできる。次に、ロッド44によって移送プランジャ6を介して送出プランジャ7を駆動し得るので、骨セメントペースト54はカートリッジ1からアプリケータチューブ66または送出管延長部70を通って放出され得る。
【0138】
上記の説明ならびに特許請求の範囲、図面、および例示的実施形態に開示されている本発明の特徴は、本発明のさまざまな実施形態において本発明を実現するために、個別に、および任意の所望の組み合わせの両方において本質的であり得る。
【符号の説明】
【0139】
1 カートリッジ
2 レセプタクル
3 アンプル
4 モノマー液
5 セメント粉末
6 移送プランジャ
7 送出プランジャ
8 固締手段/差し込みクロージャ
9 中空円筒体
12 軸受
14 接続部
16 多孔質フィルタ
18 フィルタ
20 通気口
26 シール
28 シール
34 送出管
36 多孔質フィルタ
37 窪み
38 キャップ
39 開口部
40 発泡体
42 羽根
43 排出装置/カートリッジガン
44 ロッド
46 円板
48 相手側固締手段/差し込みクロージャ
50 軸受
52 破片
54 骨セメントペースト/混合物
66 アプリケータチューブ
70 送出管延長部
72 クロージャ
74 ハンドル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9