【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の諸目的は、骨セメントペーストの親成分としてのモノマー液とセメント粉末とから骨セメントペーストを製造するための、および混合された骨セメントペーストを送出するための、装置によって達成される。本装置は、内部が円筒形のカートリッジを有し、カートリッジの内部は、骨セメントペーストを放出するための送出口を除き、前側で閉じられ、送出プランジャがカートリッジの内部に配置され、送出プランジャは送出口の方向に押し込み可能であり、セメント粉末は送出口と送出プランジャとの間のカートリッジの内部に配置され、送出口に面する送出プランジャの前側に中空円筒体が配置され、中空円筒体は送出口に面する前面が開口し、送出プランジャの前側からカートリッジの内部に少なくとも3mm延在する。
【0026】
好ましくは、送出プランジャはカートリッジの内部の内壁に対して密着または密閉される、特に少なくとも1つの円周シールによって密閉される、ようにし得る。
【0027】
本発明による装置は、好ましくは、セメント粉末を貯蔵するためにも、および特に好ましくはモノマー液を貯蔵するためにも、提供される。
【0028】
送出口はカートリッジの前側に配置されるようにし得る。送出口を画成する送出管がカートリッジの前側に配置される、または好ましくは配置されている。
【0029】
中空円筒体は、カートリッジの内部に配置される。
【0030】
中空円筒体が送出プランジャからカートリッジの前側の方向にカートリッジの内部に延在するという事実は、中空円筒体によってカートリッジの内部にデッドボリュームが画成されることを意味する。デッドボリュームがカートリッジの内部に残るので、中空円筒体がカートリッジの内部の前側に押し当てられ、これにより、送出プランジャを送出口の方向に更に前進させることができなくなると、セメント粉末とモノマー液との混合物で充填される容積が送出口と送出プランジャとの間に残り得る。
【0031】
カートリッジ、送出プランジャ、および中空円筒体は、好ましくは熱可塑性物質から、特に射出成形法を用いて、製造される。
【0032】
カートリッジの内部は、円筒形状を有する。円筒形状は、カートリッジの内部を製造し得る最も単純な形状である。円筒形状とは、幾何学的に、何れか所望の底面域を有する略円筒体の形状を意味する、すなわち円形の底面域を有する円筒形のみではない、ことを理解されたい。したがって、カートリッジの内部の内壁は、何れか所望の底面域を有する、特にさまざまな底面域を有する、すなわち円形でない、または丸くない、底面域を有する、円筒体の円筒外被によって形成され得る。ただし、本発明によると、回転対称の、特に円形の、底面域を有する円筒形状が内部のために好適である。その理由は、これは製造が最も容易であることによる。
【0033】
送出プランジャの前側は、中空円筒体を除き、平坦であることが好ましい。
【0034】
本発明による装置において、中空円筒体は、その外周面がカートリッジの内部の内壁から最大0.5mm、カートリッジの内部の内壁から好ましくは最大0.1mm、離間されるようにし得る。
【0035】
これにより、モノマー液が到達し難い、および送出プランジャの移動を妨げることになる、セメント粉末がカートリッジの内部の内壁と中空円筒体の外周面との間に存在しないこと、存在したとしても僅かである、ことが保証される。
【0036】
中空円筒体がカートリッジの内部の内壁に少なくとも複数個所において押し当てられる、好ましくはその外周面がカートリッジの内部の内壁に押し当てられる、ようにもし得る。
【0037】
これにより、モノマー液が到達し難い、および送出プランジャの移動を妨げることになる、セメント粉末がカートリッジの内部の内壁と中空円筒体の外周面との間に存在しないことが保証される。
【0038】
更に、送出プランジャがカートリッジの内部の前側から離間されてデッドボリュームがカートリッジの内部に残るように、中空円筒体の前面がカートリッジの内部の前側に押し当てられると中空円筒体がカートリッジの前側の方向への送出プランジャの更なる移動を阻止するようにし得る。
【0039】
これにより、中空円筒体で包囲されたデッドボリュームは、十分に混合されていない、または排出工程の最後にカートリッジの内部に流入し続けたモノマー液の故に可変粘度を有する、製造された骨セメントペーストの残滓をカートリッジ内に確実に貯留する。
【0040】
更に、中空円筒体は、少なくとも1つのスロット、好ましくは中空円筒体の円筒軸に平行に延びる少なくとも1つのスロット、特に好ましくは前側から送出プランジャに達する少なくとも1つのスロット、を有するようにされ得る。
【0041】
これにより、カートリッジの内壁への中空円筒体の嵌合がより容易に適合化され得るので、送出プランジャの移動が中空円筒体によって阻止される危険性が低減される。少なくとも1つのスロットは、中空円筒体の円筒軸に平行な経路の代わりに、螺旋の形態でも中空円筒体の壁に延在し得る。
【0042】
モノマー液をカートリッジの内部に導入するための少なくとも1つの接続部が送出プランジャの後側から送出プランジャの前側まで送出プランジャに設けられる。この少なくとも1つの接続部は、モノマー液および気体に対して透過性であり、セメント粉末に対して不透過性である。この少なくとも1つの接続部は、送出プランジャから中空円筒体内に、または中空円筒体の前面に設けられた中空円筒体内の複数の管路を通って、カートリッジの内部に達するようにもされ得る。
【0043】
これにより、モノマー液は、フィードスルーを通って中空円筒体の内側でセメント粉末に流入すると、最初に中空円筒体内のセメント粉末を通って流れる必要があり、カートリッジの内壁のセメント粉末を通って送出口に達することはできない。モノマー液は、中空円筒体内の複数の管路を通ってカートリッジの内部に達すると、カートリッジの内部の真ん中により近い領域を流れるので、モノマー液はそこから送出プランジャの方向にも広がってより良好に分散され得る。カートリッジの内部に通じる各管路の口部は、中空円筒体の内周面の領域にあることが好ましい。これにより、モノマー液が最短経路に沿ってカートリッジの内部の内壁に流れ得ないことが保証される。これら対策の全ては、製造される骨セメントペーストおよび装置から送出される骨セメントペーストがより均質になり、骨セメントペースト内に閉じ込められるモノマー液が皆無に、またはできる限り少なく、なることを保証するために役立つ。
【0044】
本発明の更なる進展の1つは、セメント粉末が中空円筒体によって包囲されたカートリッジの内部の部分に収容される、特に押し込まれる、ことを提案する。
【0045】
これは、中空円筒体によって包囲された部分に骨セメントペーストのためのデッドボリュームが形成され、そこには他のものが何もないことを明らかにする。
【0046】
更に好ましくは、中空円筒体によって画成されるカートリッジの内部の部分は、少なくとも1cm
3のサイズ、好ましくは少なくとも3cm
3のサイズ、であるようにされ得る。
【0047】
これにより、包囲されたデッドボリュームが混合工程の最後に発生する可変粘度の骨セメントペーストの残留量を収容するために十分に大きいため、この残留量が本装置によって送出および塗布されないことが保証される。これらデッドボリュームは、カートリッジの内部で送出プランジャの領域に発生し得る骨セメントペーストの不完全に混合された部分をカートリッジの内部に貯留するために十分である。これにより、使用に適さない、不十分に混合された骨セメントペーストまたは組成ひいては粘度が可変の骨セメントペーストが送出工程の最後に送出されることを防止することが可能である。
【0048】
本発明の好適な更なる一進展によると、中空円筒体は送出プランジャの前側からカートリッジ内に少なくとも5mm、好ましくはカートリッジ内に少なくとも7.5mm、特に好ましくはカートリッジ内に少なくとも10mm、延在するようにし得る。
【0049】
したがって、一方では、中空円筒体によって包囲される領域内のデッドボリュームが増大し、他方では、セメント粉末とカートリッジの内壁との間の境界面までの距離が増大する。この距離は、モノマー液がセメント粉末、または既に発生している骨セメントペースト、を通過してカートリッジの内壁に沿って流れ得る危険性が発生する前に、モノマー液がセメント粉末内を移動する必要がある距離である。
【0050】
更に、中空円筒体の壁厚が少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.5mm、特に好ましくは少なくとも2mm、に達するようにされ得る。
【0051】
この対策は、カートリッジの内壁までのモノマー液の移動距離を延長し、ひいては製造される骨セメントペーストのより高い均質性を実現するためにも役立つ。加えて、これにより、好ましくはプラスチック製の中空円筒体の十分な安定性がもたらされるので、中空円筒体は排出工程の最後に変形されない、または過度に変形されない。
【0052】
更に、モノマー液の貯蔵にも適した、ひいては完全に事前包装されたシステムを提供する、本発明の特に好適な一実施形態において、装置はモノマー液、具体的にはモノマー液を収容しているモノマー液容器、が収容されるレセプタクルを有し、カートリッジの後側がレセプタクルの前側に接続される、好ましくはカートリッジの内部がレセプタクルの内部に位置合わせされるように接続される、ようにし得る。
【0053】
これにより、装置は、モノマー液の貯蔵にも、および装置内でのモノマー液とセメント粉末との混合にも、適している。したがって、装置は完全に事前包装されたセメンティングシステムである。カートリッジおよびレセプタクルの位置合わせされた両内部は、最初に移送プランジャの後側に作用する圧力によって移送プランジャが移動され得ること、次に移送プランジャを送出プランジャと共に送出口の方向に更に押すことによって送出プランジャを駆動するために、移送プランジャが使用され得ることを保証する。
【0054】
レセプタクルは熱可塑性物質から、特に射出成形法を用いて、製造されることが好ましい。
【0055】
これにより、本装置は衛生的な使い捨て製品として安価に製造され得る。
【0056】
モノマー液が装置内のモノマー液容器内に配置される本発明による装置において、モノマー液容器は、ガラス製アンプル、プラスチック製アンプル、プラスチックフィルム製アンプル、またはアルミニウム/プラスチック複合材料製パウチにし得る。このようなモノマー液容器は、モノマー液を特に長期間にわたって貯蔵し得る。
【0057】
レセプタクルを有する装置において、レセプタクルの内部とカートリッジの内部とがモノマー液および気体に対して透過性の、しかしセメント粉末に対して不透過性の、接続部を介して互いに接続されるようにもし得る。
【0058】
これにより、セメント粉末がこの接続部を通ってレセプタクルの内部に進入しないのでそこでモノマー液と時期尚早に反応しないこと、およびそのときカートリッジ内部へのモノマーの移送を妨げないこと、が保証される。この接続部は、送出プランジャ内に配置されることが特に好ましい。
【0059】
レセプタクルは、モノマー液、具体的にはモノマー液を収容しているモノマー液容器、が配置される円筒形内部を有するように更にし得る。
【0060】
レセプタクルの内部は、円筒形状を有する。ここでも、円筒形状は、レセプタクルの内部を製造し得る最も単純な形状である。円筒形状とは、幾何学的に、何れか所望の底面域を有する略円筒状の形状を意味する、すなわち、円形の底面域を有する円筒形だけではない、ことを理解されたい。
【0061】
更に、レセプタクルの長手方向に移動可能な移送プランジャがレセプタクル内に配置され、移送プランジャはレセプタクルの後側から前側の方向に前進可能であり、モノマー液、具体的にはモノマー液を収容しているモノマー液容器、が移送プランジャと送出プランジャとの間に配置されるようにし得る。レセプタクルの後側は、レセプタクルの前側とは反対の側にある。
【0062】
これにより、骨セメントペーストの全ての親成分、すなわちモノマー液とセメント粉末、が収容される、更には貯蔵され得る、完全に事前包装されたセメンティングシステムが提供される。
【0063】
移送プランジャは、存在し得る通気口を除き、レセプタクルをその後ろ側で液密に閉じる(以下を参照)。
【0064】
この場合、モノマー液容器を破断するために、少なくとも1つの突出点、刃縁、および/または切り刃が移送プランジャの前側に配置されるようにし得る。
【0065】
規定の力を空間的に規定された所定位置に加えることによって、この位置における圧力が同一の力の下で増大され得るので、これにより、モノマー液容器の規定された破断が実現され得る。これにより、モノマー液容器の破断開口の操作がより再現可能になる。
【0066】
移送プランジャを有する本発明による装置においては、代わりに、または加えて、レセプタクルの前側の方向への移送プランジャの移動によってレセプタクル内のモノマー液容器が開口される、好ましくは破断開口される、または引裂開口される、ようにし得る。
【0067】
これにより、移送プランジャの軸線方向への直線移動によってモノマー液容器が開口され得ることが保証される。これにより、モノマー液容器を開口するために、およびモノマー液をカートリッジ内に押し込むために、更には骨セメントペーストをカートリッジから押し出すために、軸線方向への直線駆動装置として単一のロッドを有する排出装置が使用され得る。
【0068】
本発明の更なる1つの進展において、レセプタクルの内部を周囲環境に接続する少なくとも1つの通気口がレセプタクルの壁に配置されるようにし得る。
【0069】
これにより、レセプタクルの内部が滅菌ガスで滅菌され得る。
【0070】
この場合、レセプタクルの前側に向かう移送プランジャの移動によって、レセプタクル内に配置された、モノマー液が収容されているモノマー液容器が移送プランジャの移動によって開口される前に、少なくとも1つの通気口が閉じられるように、この少なくとも1つの通気口が移送プランジャの極めて近くに配置されるようにし得る。
【0071】
これにより、移送プランジャの移動によってモノマー液容器が開口する前に、すなわち、例えば、移送プランジャによってレセプタクルの内部でモノマー液容器が押し潰される、粉々にされる、または引裂開口される前に、この少なくとも1つの通気口がレセプタクルの前側に向かって移動する移送プランジャによって閉じられると、モノマー液がレセプタクルの内部から漏出できない。
【0072】
好ましくは、レセプタクルとカートリッジとが一管状容器によって一体に形成されるようにし得る。
【0073】
この構造は、実現可能な最も単純で最も安価な構造である。
【0074】
排出装置を固締するための固締手段が装置の後側に配置され、固締された排出装置によって送出プランジャが送出口の方向に押し込み可能であるようにもし得る。
【0075】
装置は、前進可能なロッドを有する排出装置に接続および固締され得る。
【0076】
セメント粉末が送出プランジャの前側に、特にその表面全体にわたって、押し当てられ、セメント粉末がカートリッジの内部に好ましくは押し込まれるようにし得る。
【0077】
これにより、相対的に大量の気体が閉じ込められてカートリッジ内に残ることが防止される。カートリッジ内に気体が残っていると、モノマー液とセメント粉末との混合時に骨セメントペースト内に気体が閉じ込められ得る。これは、高密度に圧縮された、または好ましくは加圧された、セメント粉末では発生し得ない。その理由は、モノマー液はセメント粉末の粒子を十分に濡らすので、モノマー液の表面張力がセメント粉末の粒子間への気体の閉じ込めを一切、または少なくとも殆ど、許容しないからである。
【0078】
更に、送出口がその前側でクロージャによって、特にプラグによって、閉じられるようにし得る。骨セメントペーストは、送出口が開いているときにカートリッジから送出口を通って吐出可能である。クロージャは、気体に対して透過性であり、セメント粉末に対して不透過性であることが好ましい。
【0079】
これにより、カートリッジはセメント粉末を貯蔵するために容易に使用され得る。クロージャは開口され得る。カートリッジの内部とセメント粉末とは、気体に対して透過性でセメント粉末に対して不透過性のクロージャを介した排気と酸化エチレンなどの滅菌ガスによるカートリッジ内部の洗浄とによって滅菌され得る。
【0080】
クロージャは、気体に対して透過性でセメント粉末に対して不透過性のフィルタ、特に多孔質フィルタ、であることが好ましい。
【0081】
クロージャを有する装置において、クロージャは、カートリッジの内部に面する後側に、セメント粉末の最前部が収容される窪みを有するようにし得る。
【0082】
これにより、窪み内に収容されている骨セメントペーストの前部がクロージャと共に除去され得ることが実現される。モノマー液が後側からセメント粉末内に押し込まれると、モノマー液はこの部分に最後に達する。これにより、不十分に混合された骨セメントペーストの部分がクロージャと共に除去され得る。
【0083】
クロージャは、送出プランジャに作用する送出口の方向への軸線方向圧力によって開口可能なカートリッジクロージャシステムを送出プランジャと共に形成することが好ましい。
【0084】
更に、送出管がカートリッジの前側に配置され、骨セメントペーストが送出管を通って吐出可能であるようにし得る。
【0085】
これにより、装置は、アクセス困難な位置への骨セメントペーストの塗布に容易に使用され得る。
【0086】
このために、更に、カートリッジの内部のセメント粉末のセメント粒子間の隙間の体積がセメント粉末の総体積に対して22体積パーセントから40体積パーセントの範囲内であるようにし得る。セメント粉末の総体積は、送出プランジャによって、およびカートリッジの前側の送出口内のクロージャによって、画成されるカートリッジの内部の容積に相当することが好ましい。
【0087】
本発明による好適な装置は、カートリッジの内部の断面積が最大16cm
2、好ましくは最大5cm
2、に達することでも識別され得る。
【0088】
同様に、カートリッジの内径が50mm未満、好ましくは20mm未満、であるようにもし得る。
【0089】
内径が小さいことによってカートリッジの内部の断面積も極めて小さくなるので、ホース、アプリケータチューブ、またはスタティックミキサーなど、流動を妨げる更なる管路が骨セメントペーストの流れの方向に設けられた場合でも、粘性の骨セメントペーストは手動駆動式の排出装置によってカートリッジから吐出され得る。
【0090】
更に、装置内のモノマー液の、特に装置内のモノマー液容器内のモノマー液の、体積はカートリッジ内のセメント粉末粒子間の空気で充填された隙間の容積と少なくとも同じであり、好ましくは、カートリッジの内部とモノマー液が収容されているレセプタクルの内部との間の液体管路の容積とカートリッジ内のセメント粉末粒子間の空気で充填された隙間の容積との合計に少なくとも同じであるようにし得る。
【0091】
これにより、セメント粉末全体がモノマー液で濡らされて均質な骨セメントペーストが製造され得ることが保証され得る。
【0092】
更に、中空円筒体が送出プランジャと共に、またはカートリッジの内壁に押し当てられる送出プランジャの部分と共に、一体に形成されるようにし得る。
【0093】
これにより、中空円筒体と送出プランジャとが一体型構成要素として用いられるので、製造コストが下がる。装置の各部品(カートリッジ、中空円筒体、送出プランジャ)はプラスチックから射出成形によって製造され得る。
【0094】
本発明によって対応される諸目的は、本発明による装置を用いてセメント粉末とモノマー液から製造される骨セメントペースト、特にペースト状のポリメチルメタクリレート骨セメントペースト、の製造方法によっても達成される。本方法は、
a)軸線方向に前進可能なロッドを有する排出装置に装置を挿入し、モノマー液がセメント粉末と混合されるようにモノマー液をカートリッジの内部に押し込むステップであって、モノマー液は、カートリッジの内壁に達する前に、中空円筒体の辺りを流れる、ステップと、
b)送出プランジャをロッドによってカートリッジの送出口の方向に前進させるステップであって、カートリッジからのセメント粉末とモノマー液とから成る混合物が送出プランジャの移動によって装置から骨セメントペーストとして放出される、ステップと、
c)中空円筒体の前面がカートリッジの内部の前側に接触し、送出口の方向への送出プランジャの更なる移動が中空円筒体によって阻止されるステップであって、セメント粉末とモノマー液との混合物の残留量が中空円筒体によって画成されたカートリッジの内部の部分に残る、ステップと、
の一連のステップを特徴とする。
【0095】
ここで、ステップa)において、モノマー液は、セメント粉末に対して不透過性の、しかし気体およびモノマー液に対して透過性の、送出プランジャ内の少なくとも1つの接続部を通ってカートリッジ内に押し込まれる、またはこの接続部と中空円筒体内の少なくとも1つの管路とを通ってカートリッジ内に押し込まれる、好ましくは排出装置のロッドによって駆動される移送プランジャの移動によってカートリッジ内に押し込まれる、ようにし得る。
【0096】
これにより、モノマー液の流れの方向が骨セメントペーストをカートリッジから放出する送出プランジャの移動方向と同じになることが保証される。これは、単一の単方向型駆動装置がモノマー液の圧入および骨セメントペーストの吐出の両方に使用され得るという利点を有する。これにより、手動駆動式のカートリッジガンなど、従来の排出装置が本発明による方法のために使用され得る。
【0097】
更に、ステップa)において、先ず初めに、装置が排出装置に挿入され、次に、カートリッジの後側に配置されたレセプタクルの内部で移動可能にレセプタクルの後側に取り付けられた移送プランジャがロッドによってカートリッジの方向に前進され、移送プランジャの移動によってモノマー液が収容されているモノマー液容器が開口され、モノマー液がレセプタクルからカートリッジ内に押し込まれ、カートリッジの内部でセメント粉末とモノマー液とが混合されるようにし得る。
【0098】
これにより、本方法は両親成分の事前貯蔵にも適している。これにより、本方法は、完全に事前包装されたコンパクトなセメンティングシステムを用いて何時でも使用され得る。
【0099】
この場合、移送プランジャの前進により、破断された、または切裂開口された、または破裂開口されたモノマー液容器が一緒に押され、同時に気体がレセプタクルから接続部を通ってカートリッジ内に押し込まれ、カートリッジ内のセメント粉末を通って外側に押されるようにし得る。
【0100】
更に、ステップb)において、カートリッジの前側の送出口内のクロージャ、特に多孔質フィルタ、がセメント粉末とモノマー液との混合物に作用する圧力によって移動され、または押し出され、好ましくはその後にクロージャが送出口から除去され、特に好ましくは塗布用チューブまたは送出管延長部がその後にカートリッジの前側に固締されるようにし得る。
【0101】
これにより、カートリッジ内に収容されているセメント粉末がカートリッジから徐々に出ること、または粉末が外側から汚染されること、が防止され得る。同時に、カートリッジの中身が酸化エチレンなどの滅菌ガスで滅菌され得る。
【0102】
本発明は、モノマー液がカートリッジの内部のセメント粉末に押し込まれたときに、送出プランジャの前側にある中空円筒体によって、モノマー液がカートリッジの内壁に達する前に、セメント粉末を通してより長い距離にわたってモノマー液を案内する、または流動させる、ことが可能であること、およびこれにより、モノマー液泡の形成が、または形成された骨セメントペースト内へのモノマー液の閉じ込めが、防止または低減されるという驚くべき知見に基づく。これにより、より均質な骨セメントペーストが製造される。更に、カートリッジ内で生じたセメント粉末とモノマー液との混合物の少量の残滓をカートリッジの内部に貯留することによって、残留骨セメントペーストがカートリッジ内に貯留され、送出口が閉じられるので、粘度が異なる骨セメントペーストが排出工程の最後に一切送出され得ないことが判明している。
【0103】
本発明による好適な装置は、完全に事前包装されたセメンティングシステムとしてのその更なる進展において、骨セメントペーストの2つの親成分が閉ざされたセメンティングシステム内に貯蔵される、および両親成分の混合が閉ざされた装置内で進行する、という大きな利点を有する。これは、本装置の充填をユーザが行う必要がないことを意味する。医療ユーザは、骨セメントの個々の親成分に接触しない。これにより、臭気の不快感が最小限に留まる。本装置の特定の一利点は、手動駆動式の排出装置のロッドを前方に移動させるだけでモノマー液がセメント粉末内に押し込まれるという事実にもある。この場合、セメント粉末粒子間に存在する空気はモノマー液に置換される。混合用の羽根を有する混合用ロッドによる手動混合の必要なしに、均質な骨セメントペーストが生じる。これは、誤りが起き易い手動混合がもはや必要ないことを意味する。本装置の操作は、最大可能な程度まで簡素化される。本システムは、直ちに使用できるシステムである。
【0104】
本発明による装置および方法の諸利点は、ロッドの直線状の前方移動の力の連続的作用によって、最初にモノマー液容器が開口され、次にモノマー液容器が圧縮され、それによってモノマー液がモノマー液容器から出て圧縮セメント粉末内に押し込まれるように、手動操作式排出装置のロッドのそれ自体は公知の直線状の前方移動が利用され、セメント粉末粒子間に存在する空気が押し込まれたモノマー液に置換され、モノマー液によってセメント粉末粒子が濡らされた後に、骨セメントペーストが生じるという事実に基本的に基づく。このための一前提条件は、モノマー液によって極めて容易に濡らされ、毛管作用によってモノマー液を吸い上げることができるようなセメント粉末の使用である。
【0105】
本装置は衛生的な使い捨て製品として使用され得る。その理由は、殆ど大部分をプラスチック製にし得ることと、内部を含む全ての部品とセメント粉末とを酸化エチレンによって滅菌可能であることによる。
【0106】
本発明による装置は、軸線方向高さが少なくとも3.0mmで壁厚が少なくとも1.0mmの中空円筒体が送出プランジャ上に、カートリッジヘッドの方向に、またはカートリッジの前側の方向に、取り付けられた場合に、吐出されたセメントペースト内のモノマー泡の発生が効果的に防止されることを特徴とする。これにより、モノマー液がカートリッジの内部のセメント粉末内に送出プランジャの前側の中空円筒体の内側で導入される、または押し込まれると、モノマー液は中空円筒体の内側で少なくとも4.0mmの距離にわたってセメント粉末内に導入される。これにより、モノマー液の押し込み中に、モノマー液の複数部分がセメント粉末または形成されたセメントペーストとカートリッジ壁との間を移動してモノマー泡を形成することが効果的に防止される。
【0107】
ポリメチルメタクリレート骨セメントを貯蔵、混合、および送出するための本発明による装置の一例は、例えば、
a)排出装置との接続用の接続要素がカートリッジ端部に配置された中空の円筒形容器と、
b)中空の円筒形容器に前側で終端するカートリッジヘッドであって、送出管を収容するためのフィードスルーがカートリッジヘッド内に送出口として配置され、少なくとも1つのフィードスルーがカートリッジヘッドの外側をカートリッジヘッドの内部に気体透過式に接続する、カートリッジヘッドと、
c)送出管と、
d)カートリッジヘッド内で軸線方向に移動可能な、気体に対して透過性の、しかし粉末粒子に対して不透過性の、クロージャであって、クロージャはフィードスルーを有し、フィードスルーは最下部から最上部まで延在し、最上部において送出管に液体透過式に接続される、クロージャと、
e)容器内に軸線方向に移動可能に配置された移送プランジャであって、カートリッジの底部を液体不透過式に閉じる移送プランジャと、
f)クロージャと移送プランジャとの間で軸線方向に移動可能であるように容器内に配置された送出プランジャであって、液体に対して透過性の、しかし粉末粒子に対して不透過性の、少なくとも1つの接続部を2つの端面間に有する送出プランジャと、
g)送出プランジャと移送プランジャとの間に容器内に配置された少なくとも1つのモノマー液容器と、
h)セメント粉末が配置される内部(カートリッジの内部)であって、容器の内壁と、クロージャと、送出プランジャとによって画成される内部と、
を有し得る装置であって、
i)その外周面がカートリッジの内壁に押し当てられる中空円筒体がカートリッジヘッドに面する送出プランジャの端面に配置され、この中空円筒体は軸線方向に少なくとも3.0mm、好ましくは少なくとも5.0mm、の高さと、少なくとも1.0mmの壁厚とを有する。
【0108】
この場合、容器は、セメント粉末がその内部に配置されるカートリッジを容器の前部として備え、モノマー液容器がその内部に配置されるレセプタクルを容器の後部として備える。
【0109】
本発明による方法は、以下の連続ステップを有し、例えば、セメント粉末をモノマー液と混合して骨セメントペーストを形成する例示的装置を用いて実現され得る。本方法は、
a)排出装置を容器の接続要素に接続するステップと、
b)排出装置のロッドを前進させるステップと、
c)移送プランジャをカートリッジヘッドの方向に変位させるステップと、
d)送出プランジャと移送プランジャとの間で少なくとも1つのモノマー液容器を圧縮するステップと、
e)モノマー液容器を破裂または断裂させるステップと、
f)破裂または断裂されたモノマー液容器を移送プランジャによって押して空気をレセプタクルの内部から送出プランジャの少なくとも1つの接続部を通して追い出すと共に、モノマー液をカートリッジの内部のセメント粉末内に押し込むステップと、
g)移送プランジャによってモノマー液容器を更に押して、モノマー液を送出プランジャ内の液体透過性の接続部を通して追い出し、モノマー液を中空円筒体経由でカートリッジ内部のセメント粉末内に導入するステップと、
h)モノマー液をセメント粉末内に分散させると同時に、セメント粉末粒子間の隙間から空気を排出させるステップと、
i)セメント粉末粒子をモノマー液で濡らすステップと、
j)気体透過性クロージャを通してセメント粉末から空気を抜くステップと、
k)モノマー液によってセメント粉末粒子を膨張させ、促進剤と開始剤との反応によってモノマー液のフリーラジカル重合を開始させるステップと、
l)セメント粉末とモノマー液とから骨セメントペーストを形成するステップと、
m)カートリッジヘッドの方向に軸線方向に押し込まれた骨セメントペーストによる軸線方向の加圧によって送出口内のクロージャを開くステップと、
n)送出プランジャの、および移送プランジャの、前方移動の結果として骨セメントペーストを送出口から吐出するステップと、
o)中空円筒体がカートリッジヘッドに接触して送出プランジャの更なる移動を阻止するまで、送出プランジャをカートリッジヘッドの方向に軸線方向に移動させるステップと、
を含む。
【0110】
中空円筒体が送出プランジャの更なる移動を阻止すると、混合物の、または骨セメントペーストの、残滓が中空円筒体によって画成されたカートリッジ内のスペースに残る。
【0111】
本方法の一例示的変形例は、上記方法のステップl)に、
l1)クロージャを送出口から追い出すステップと、
l2)クロージャを送出口または送出管から落下させるステップと、
が続くことを特徴とする。
【0112】
9つの模式的に描かれた図を参照して、しかしこれにより本発明を限定することなく、本発明の更なる例示的実施形態を以下に説明する。