特許第6774086号(P6774086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6774086ソーラーモジュールのソーラーセル相互接続用ビア構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774086
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】ソーラーモジュールのソーラーセル相互接続用ビア構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/05 20140101AFI20201012BHJP
【FI】
   H01L31/04 570
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-512282(P2018-512282)
(86)(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公表番号】特表2018-528613(P2018-528613A)
(43)【公表日】2018年9月27日
(86)【国際出願番号】US2016052127
(87)【国際公開番号】WO2017049079
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2019年8月22日
(31)【優先権主張番号】14/858,808
(32)【優先日】2015年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510312640
【氏名又は名称】アルタ デバイセズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALTA DEVICES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202577
【弁理士】
【氏名又は名称】林 浩
(72)【発明者】
【氏名】ヤン リンリン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ ガン
(72)【発明者】
【氏名】パターソン ダン
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドゥ ポール
(72)【発明者】
【氏名】ラン リーグアン
(72)【発明者】
【氏名】ヒガシ グレッグ
【審査官】 佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0025648(US,A1)
【文献】 特開2015−119022(JP,A)
【文献】 特開2008−263407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/078
H05K 3/40−3/42
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光起電力電池であって、
光エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成される光起電力層、
前記光起電力層の前側に配置される前部導電層、
前記光起電力層の後側に配置される後部導電層であって、前記前部導電層および前記後部導電層は、前記光起電力層から発する電流を外部回路に導通するように構成される、後部導電層、および、
前記光起電力層の下に配置される基体層であって、前記基体層はビア構造を含み、前記ビア構造は、
前記後部導電層との電気的接触を形成する導電性材料で満たされる主要ビア、および、
前記主要ビアのすぐ近くに形成されて、前記主要ビアからの前記導電性材料のオーバーフローを捕獲するように構成される少なくとも1つの凹部を有するオーバーフロー捕獲領域、
を含む、
光起電力電池。
【請求項2】
前記少なくとも1つの凹部は、前記主要ビアを囲む円形溝を含み、前記溝の最上部は、前記基体層の後面で開く、請求項1に記載の光起電力電池。
【請求項3】
前記基体層の前記後面上に、前記溝の内側エッジが横方向距離によって前記主要ビアのエッジから離れて配置される、請求項2に記載の光起電力電池。
【請求項4】
前記横方向距離の範囲内の前記基体層の前記後面は、粗い表面積を含む、請求項3に記載の光起電力電池。
【請求項5】
前記主要ビアの最上部は、前記溝の底壁で開く、請求項2に記載の光起電力電池。
【請求項6】
前記少なくとも1つの凹部は、複数の長方形溝を含み、それぞれの溝の最上部は、前記基体層の後面で開く、請求項1に記載の光起電力電池。
【請求項7】
前記少なくとも1つの凹部は、前記基体層の後面に粗い表面積を含み、前記粗い表面積は、10μmよりも大きいピークトゥピークの粗さを有する、請求項1に記載の光起電力電池。
【請求項8】
前記主要ビアの前記導電性材料は、前記後部接触層と別の光起電力電池の前部接触層との間の電気的連続性を提供する、請求項1に記載の光起電力電池。
【請求項9】
前記基体層は、前記基体層と前記別の光起電力電池との間の接着を形成する非導電性材料で満たされる別のビア構造をさらに含む、請求項8に記載の光起電力電池。
【請求項10】
光起電力モジュールを製造する方法であって、
第1の光起電力電池の基体層の前面上に後部接触層を取り付けるステップ、
前記基体層にビアを形成するステップ、
前記ビアのすぐ近くで前記基体層の後面上に少なくとも1つの凹部を有するオーバーフロー捕獲構造を形成するステップ、
前記ビアに導電性材料を分配するステップ、
前記基体層を第2の光起電力電池に取り付けるステップであって、前記オーバーフロー捕獲構造は、前記ビアからの前記導電性材料のオーバーフローを捕獲するように構成される、ステップ、
を含む、方法。
【請求項11】
前記基体層を取り付ける前記ステップは、前記基体層の前記後面を前記第2の光起電力電池の前部接触層上に配置するステップを含み、前記ビア内の前記導電性材料は、前記第1の光起電力電池と前記第2の光起電力電池との間に電気的接触を提供する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの凹部を有する前記オーバーフロー捕獲構造を形成する前記ステップは、前記ビアを囲む溝を形成するステップであって、前記溝の内側エッジは、横方向距離によって前記ビアのエッジから離れて配置される、ステップ、および、前記横方向距離の範囲内で前記基体層の前記後面を粗くするステップ、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記溝を形成する前記ステップおよび前記粗くするステップは、レーザーアブレーションを用いて実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの凹部を有する前記オーバーフロー捕獲構造を形成する前記ステップは、前記基体層の前記後面から前記ビアの開口を拡大するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの凹部を有する前記オーバーフロー捕獲構造を形成する前記ステップは、レーザーアブレーションを用いて前記ビアを囲む領域を粗くするステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記基体層が前記第2の光起電力電池に対して押圧されている間、前記オーバーフローが発生する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
光起電力モジュールであって、
互いに電気的に結合される光起電力電池アレイであって、それぞれの光起電力電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成される光起電力デバイスを含む、光起電力電池アレイ、
前記光起電力デバイスの前面上に配置される前部電極、
前記光起電力デバイスの後面上に配置される後部電極であって、前記前部電極および前記後部電極は、前記光起電力デバイスから発する電流を外部回路に導通するように構成される、後部電極、および、
前記後部電極の後面上に配置される基体であって、前記基体は、
前記後部電極と、前記光起電力電池アレイの別の光起電力電池の前部電極との間に電気的接触を提供するための導電性材料で満たされる複数の後部ビア、および、
前記基体の後面上の複数のオーバーフロー捕獲領域であって、各オーバーフロー捕獲領域は、前記後部電極のエッジを越える前記導電性材料のオーバーフローを防止するように構成される少なくとも1つの凹部を有する、複数のオーバーフロー捕獲領域、
を含む基体、
を含む、光起電力モジュール。
【請求項18】
前記少なくとも1つの凹部は、前記複数の後部ビアのそれぞれの後部ビアにすぐ近くに配置される溝に対応し、前記溝は、前記基体の前記後面で開く、請求項17に記載の光起電力モジュール。
【請求項19】
前記少なくとも1つの凹部は、前記複数の後部ビアのそれぞれの後部ビアを覆う溝を含み、前記溝は、前記基体の前記後面で開き、前記ビアは、前記溝の底部で開く、請求項17に記載の光起電力モジュール。
【請求項20】
少なくとも1つの凹部は、突起およびくぼみを有する粗い領域を含み、前記粗い領域は、10μmよりも大きいピークトゥピークの粗さを有する、請求項17に記載の光起電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2015年9月18日出願の米国特許出願第14/858,808号の優先権を主張する。先願の開示内容は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、概して、光起電力電池(photovoltaic cell)の分野に関し、より詳しくは、光起電力電池上の接触金属化の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
ソーラーセルまたは光起電力(PV)電池は、光起電力効果によって光のエネルギーを電気に直接変換する電気的デバイスである。ソーラーセルから発生するエネルギーは、化石燃料に再生可能で、環境にやさしく、そして直ちに利用可能な代替物を提供する。概して、ソーラーセルは、エネルギー変換のためのPN接合の形の半導体材料でできているPV層を利用する。生成された電圧および電流を蓄電または輸送のための外部回路に導くために、金属電極は、半導体材料の前部および後部に配置される。
【0004】
個々のソーラーセルによって発生する凝集された電流および電圧を達成するために、ソーラーセルアレイは相互接続されることができて、ソーラーモジュールまたはソーラーパネルに組み立てられることができる。ソーラーセルを相互接続する1つの一般的なアプローチは、電気的接続(例えば、上方セルおよび下方セル)を実現するために2つのソーラーセルを重ねることである。典型的なソーラーセル構成において、上方セルの後部電極は、下方セルの前部電極と電気的に接続される。このように、複数のソーラーセルは、直列に相互接続する。
【0005】
より詳しくは、ソーラーセルのPV層の前側および後側上に配置される金属コンタクトは、それぞれ、前部電極および後部電極を形成する。後部電極は、PV層と非導電性基体層との間に配置される。このように、2つの電池が互いに部分的に重なり合うときに、非導電性基体は、上方セルの後部電極と下方セルの前部電極との間に配置される。2つの重なり合う電池間に電気的連続性を提供するために、ビアが基体に作られて、導電性材料で満たされる。そしてそれは、充填プロセスの間、一般に樹脂、ペーストまたはインクの形であり、硬化プロセスの後に堅くなる。以下、基体上のビアは、「後部ビア」として参照されてよい。
【0006】
実際には、欠陥のある接触に潜在的に至ることができるビア内部での空所の形成を防止するために、後部ビアは、通常、導電性材料によって過充填されやすい。しかしながら、後部ビアに過剰な導電性材料を充填することは、特に2つのソーラーセルが積み重ねられて、統合のために一緒に押圧されるときに、ビアからの導電性材料の制御されない横方向のオーバーフロー(または塗工)を引き起こす傾向がある。残念なことに、多くの寄与因子(例えば、材料配置のボリューム制御能力における変化、ビアサイズの変化、および時間、温度、水分、接触面その他の材料特性の変動)は、オーバーフローに結果としてならない空所のないビアのための正確な量の導電性材料を決定することを困難にする。例えば、妥当に反復可能な自動分配または印刷プロセスのための分配されるボリュームは、通常5%変化する。時間とともに変動する材料特性については、ボリューム変化は、10%まで増加することができる。ビアサイズは、レーザーによる孔あけプロセスおよび基体の材料特性によって変化する可能性もある。
【0007】
ソーラーセルにおける導電性材料のオーバーフローは、別のソーラーセル(例えば、下方ソーラーセル)の前部電極および後部電極に望ましくなく到達でき、架橋できて、そして短絡を引き起こすことができる。従来は、この問題を解決するために、硬化手順の前にソーラーセルの周辺部まわりに絶縁材料が堆積される。残念なことに、これは、著しく増加した製造費用および製造時間に貢献する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、後部ビア充填によるそして短絡を引き起こさない空所のない電気的接触を提供する電池の相互接続機構を提供することは、有利である。
【0009】
本開示の実施形態は、導電性材料を含むための主要ビア、および主要ビアからの導電性材料のオーバーフローを捕獲するためのオーバーフロー捕獲領域を有するソーラーセル基体における複合ビア構造を利用する。いくつかの実施形態では、主要ビアの充填物は、ソーラーセル(上方セル)の後部電極と別のソーラーセル(下方セル)の前部電極との間の電気的接触として役立つ。それにより、セル間に電気相互接続を形成する。オーバーフロー捕獲領域は、基体後面上に形成される1つ以上の凹部を含む。例えば、統合のためにセルを一緒に積み重ねて、押圧するプロセスにおいて、導電性材料が主要ビアからあふれ出るときに、1つ以上の凹部は、複合ビア構造の境界の範囲内でオーバーフローを捕獲することができて、制限することができる。凹部は、主要ビアのすぐ近くのまたはそれを覆う長方形のまたは円形の溝でもよい。凹部は、基体後面を粗くすることによって形成されるくぼみでもよい。
【0010】
ビアのまわりのオーバーフロー捕獲領域は、導電性材料の過充填を許容する。そしてそれは、空所のないビアを有利に確実にし、決定的な領域への充填物のオーバーフローを都合よく制御する。過剰な充填物が予想外の領域まで広がらないので、オーバーフローに関連した潜在的短絡問題は、都合よく除去される。このように、従来のアプローチで実行されるような短絡を防止するためにソーラーセルの前部電極と後部電極との間に付加的な絶縁を形成することは、もはや必要でない。その結果、ソーラーセルの生産性および信頼性は増加することができて、製造時間およびコストは節約される。
【0011】
一実施形態によれば、光起電力アセンブリにおける光起電力電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成される光起電力層、光起電力層の前側に配置される前部導電層、光起電力層の後側に配置される後部導電層、および基体、を含む。前部導電層および後部導電層は、光起電力層から発する電流を外部回路に導通するように構成される。基体層は、光起電力層の下に配置される。基体層はビア構造を含み、ビア構造は、後部導電層との電気的接触を形成する導電性材料で満たされる主要ビア、および、主要ビアのすぐ近くで、主要ビアからの導電性材料のオーバーフローを捕獲するように構成されるオーバーフロー捕獲領域、を含む。
【0012】
前述は概要であり、そしてこのように、必然的に、詳細の簡略化、一般化および省略を含む。その結果、当業者は、概要が図示されるだけであり、いかなる形であれ制限することを意図しないことを理解するであろう。請求項によってのみ定義されるように、本発明の他の態様、発明の特徴および利点は、以下に述べる非限定的な詳述において明らかになる。
【0013】
本発明の実施形態は、同様の参照符号が同様の要素を示す添付図面に関連した以下の詳細な説明を読むことからよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の一実施形態による複合ビア構造による互いに電気的に結合される2つの例示的ソーラーセルの統合構成を示す断面図である。
図2A図2Aは、本開示の一実施形態による重なり合うソーラーセル間に電気的連続性を提供するための例示的複合ビア構造の構成を示す。
図2B図2Bは、本開示の一実施形態による重なり合うソーラーセル間に電気的連続性を提供するための例示的複合ビア構造の構成を示す。
図2C図2Cは、本開示の一実施形態による重なり合うソーラーセル間に電気的連続性を提供するための別の例示的複合ビア構造の構成を示す。
図2D図2Dは、本開示の一実施形態による重なり合うソーラーセル間に電気的連続性を提供するための第3の例示的複合ビア構造の構成を示す。
図2E図2Eは、本開示の一実施形態による重なり合うソーラーセル間に電気的連続性を提供するための第4の例示的複合ビア構造の構成を示す。
図3図3は、本開示の一実施形態による後部ビア構造による電気的に直列に結合される複数の太陽電池(PV cell)を有する例示的太陽電池モジュールの上面図を示す。
図4図4は、本開示の一実施形態による複数の複合ビア構造を有する太陽電池基体の後面からの平面図を示す。
図5図5は、本開示の一実施形態によるソーラーモジュールの2つの太陽電池を統合する例示的プロセスを表すフローチャートである。
図6A図6Aは、本開示の一実施形態による重なり合うソーラーセル間に電気的連続性を提供するための複合ビア構造を有する例示的ソーラーセルの正面図を示す。
図6B図6Bは、複合ビア構造の直径に沿った図6Aの例示的ソーラーセルの断面図を示す。
図7図7は、本開示の一実施形態による重なり合うソーラーセル間に電気的連続性を提供するための複合ビア構造を有する別の例示的ソーラーセルの正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
参照は目下本発明の好ましい実施形態に詳細になされる。そしてその例は添付図面に示される。本発明が好ましい実施形態と関連して記載されるとはいえ、それらが本発明をこれらの実施形態に制限することを意図しないことが理解されよう。反対に、本発明は、添付の請求項によって定義される本発明の精神および範囲に含まれる代替、変更および等価のものをカバーすることを意図する。さらに、本発明の実施形態の以下の詳述において、多くの具体的な詳細は、本発明の完全な理解を提供するために記載される。しかしながら、当業者によって、本発明がこれらの具体的な詳細なしで実施されてもよいと認識される。他の例では、本発明の実施形態の態様を不必要に曖昧にしないように、周知の方法、手順、構成要素および回路は、詳述しなかった。方法が明確にするため一連の番号をつけられたステップとして描写されてよいにもかかわらず、番号付けがステップの順序を必ずしも表すわけではない。ステップのいくらかがスキップされてよく、並列に実行されてよく、または、シーケンスの厳しい順序を維持する要件なしで実行されてよいことを理解すべきである。本発明の実施形態を示す図面は半図解式であり、スケールは正確でなく、そして、特に、寸法のいくつかはプレゼンテーションの明快さのために図において誇張されて示される。同様に、説明の容易さのための図面における図示が類似の方向を一般に示すにもかかわらず、図におけるこの描写はほとんどの場合任意である。通常、本発明は、いかなる方向においても運用されることができる。
【0016】
表記法および命名法
しかしながら、これらのおよび類似の用語は、適切な物理量に関連付けられたものであり、それら物理量に対する便宜上のラベルに過ぎないことに留意しなければならない。さもなければ特に述べない限り以下の説明から明らかなように、本発明の全体にわたって、「処理すること」または「接近すること」または「実行すること」または「格納すること」または「表現すること」のような用語を利用する考察は、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ、およびコンピュータシステム・メモリまたはレジスタまたは他の情報記憶、伝送または表示デバイスとして同じように表される他のデータへの他のコンピュータ可読媒体の中の物理的な(電子的な)量として表されるデータを操作して、変換する、コンピュータシステムのまたは類似の電子的計算デバイスの動作およびプロセスに関連すると認められる。構成要素がいくつかの実施形態に現れるときに、同じ参照番号の使用は、その構成要素が最初の実施形態で図示した構成要素と同じであることを示す。
【0017】
ソーラーモジュールのソーラーセル相互接続用ビア構造
全体として、本開示の実施形態は、ソーラーセル間に電気的接触を提供するために、基体の複合ビア構造を用いるソーラーセルを提供する。複合ビア構造は、上方ソーラーセルの後部電極と下方ソーラーセルの前部電極との間に電気的連続性を提供するために、導電性材料を含むためのビアを含む。複合ビア構造は、ビアから決定的な領域までの導電性材料のオーバーフローを捕獲して、制限するのに役立つ付加的な凹部を、ビアのすぐ近くにまたはビアを覆って含む。
【0018】
本明細書において、用語「ソーラーモジュール」および「光起電力(PV)モジュール」は、取り換えて使用され、用語「ソーラーセル」および「太陽電池(PV cell)」は、取り換えて使用される。本明細書において、用語「前部」、「後部」、「上部」および「下部」は、太陽電池がエネルギー変換のための位置に設置されるときに太陽電池の意図する方向に関して使用される。例えば、太陽電池の前側は、日光に面する向きを意図する。
【0019】
本開示は、ソーラーセルのいかなる特定の構成、構造、寸法、ジオメトリ、材料的組成、製造プロセスまたは使用にも限られない。いくつかの実施形態では、ソーラーセルのPV層は、GaAs、銅インジウムガリウムセレニド(CIGS)、テルル化カドミウム(CdTe)、アモルファスシリコン、アモルファス微結晶性Tandem、薄膜多結晶シリコンまたはその他に基づく1つ以上の薄膜サブ層を含んでよい。ソーラーセルの基体は、可撓性でもよくまたは堅くてもよく、ポリマー、シリコン、ガラスまたはその他でできている。例えば、基体は、可撓性であり、そして感圧接着剤(PSA)層およびポリエチレンテレフタレート(PET)層を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、太陽電池アレイは、より高い発電を達成するために電気的に直列に結合される。ここで、例えば、それぞれの太陽電池の前部電極は、別の太陽電池の後部電極と接続される。図1は、本開示の一実施形態による複合ビア構造115を介して互いに電気的に結合される2つの例示的なソーラーセル110および120の統合構成を示す断面図である。基本的な形において、各ソーラーセル110または120は、前部金属層111または121、PV層112または122、後部金属層113または123および非導電性基体114または124を含む。2つのソーラーセル110および120は、一緒に積み重なって、部分的に重複する。
【0021】
本開示によれば、基体114上の複合ビア構造115は、2つのパーツ、ビア116および円形凹部117を含む。ビア116は、上方セル110の後部金属層113と下方セル120の前部金属層121との間に電気的接続を提供する導電性材料で満たされる。それにより、上方セル110および下方セル120を直列に相互接続する。
【0022】
概して、後部金属層113が基体114と統合された後、導電性材料は、基体114の後面118からビア116内に分配される。上記の如く、ビアによる空所のない電気的接触を確実にするために、ビア116内に過剰量の導電性材料を分配することは、実際的である。その後、2つのセル110および120はきつく一緒に積み重なる。そしてそれは、導電性材料を基体114の後面118に沿って横にあふれさせることができる。従来のアプローチによれば、導電性材料のオーバーフローは制御されず、下方セル120の前部金属層121および後部金属層123の両方に到達するまで広がる場合があり、下方セル120の短絡現象に結果としてなる。
【0023】
本開示によれば、ビア116にすぐ近くに凹部117が形成されて、(凹部117の内側に陰影部によって示される)導電性材料のオーバーフローを捕獲するように構成される。これにより、凹部117は、ビアの近くで決定的領域への充填物のオーバーフローを制御する。過剰な充填物が意図しない領域まで広がらないので、オーバーフローに関連した潜在的短絡問題は、都合よく除去される。かくして、従来のアプローチで実行するように短絡を防止するためにソーラーセルの前部電極と後部電極との間に付加的な絶縁を形成することは、もはや必要でない。ソーラーセルの生産性および信頼性は、増加することができ、そして、製造時間およびコストは節約される。
【0024】
いうまでもなく、図1に示す太陽電池の各構成層は、さまざまな適切な材料組成物を有してよく、そして、公知技術である任意の好適なやり方で太陽電池において作られてよくまたは統合されてよい。また、さまざまな構成層を統合することのシーケンスは、特定の実施形態に応じて変化する。
【0025】
図2A図2Bは、本開示の一実施形態による重なり合うソーラーセル間に電気的連続性を提供するための例示的な複合ビア構造210の構成を示す。図2Aは、複合ビア構造210を生む基体240の後面241からの平面図であり、そして図2Bは、断面図である。
【0026】
複合ビア構造210は、基体後面241で両方とも開いた、内側ビア211および円形溝212を含む。円形溝212の内側エッジ214は、横方向距離(中間リング213参照)によって内側ビア211のエッジ215から離れて間隔を置かれる。
【0027】
図2Bに示すように、後部金属層250は、基体240とPV層260との間に配置される。内側ビア211は、図示のセルとその下に配置される(明確には示されない)セルとの間に電気的接触および/または機械的接着を提供するために用いる導電性接着剤を含むための意図された貯蔵部である。例えば、導電性接着剤は、インク、ペーストまたは樹脂の形であり、Ag−エポキシから成ってよい。しかしながら、本開示は、ビア内に分配される材料のいかなる特定の組成にも制限されない。
【0028】
上記の如く、ビア211内に分配される導電性接着剤の量は、ビア211の容積容量を概して超える。本セルが別のセルと統合されるときに、ビア内に配置される導電性接着剤は、外圧を受けて、基体後面241に沿って横にオーバーフローする傾向がある。円形溝212は、塗工アウト接着剤を溝212の境界216に集めて、制限するように構成される。
【0029】
ビアおよび溝のサイズおよびアスペクト比がソーラーセルの構成ならびに相互接続プロセスニーズに基づいて決定されることは、いうまでもない。例えば、基体は約100μmの厚みを有し、内側ビア212の直径は300〜400μmの範囲にあり、溝212の内径は500〜600μmの範囲にあり、溝212の幅は100〜200μmの範囲にあり、そして、溝212の深さは10〜50μmの範囲にある。
【0030】
いくつかの実施形態では、複合ビア構造210によって定義される領域の範囲内で過剰な接着剤をさらに制限するための付加的な凹部として機能することができる顕微鏡的なくぼみを形成するために、中間リング213は、粗くなる。さらに、導電性接着剤を有する粗面は、導電性接着剤を有する表層接触面積を増加させることができて、したがって重なり合うソーラーセル間の強化された機械的接着に至ることができる。
【0031】
本開示は、複合ビア構造において分配される材料のオーバーフローを捕獲するために使用する溝の幾何学的形状、寸法および数によって制限されない。図2Cは、本開示の一実施形態による重なり合うソーラーセル間に電気的連続性を提供するため別の例示的な複合ビア構造220の構成を示す。図2Cは、複合ビア構造220を生む基体(明確には示されない)の後面からの平面図である。図2Aの円形溝210の代わりに、複合ビア構造220は、ビア221にすぐ近くに2つの直線溝222Aおよび222Bを含み、ビア221からあふれ出る過剰な導電性接着剤を捕獲するために構成される。直線溝222Aおよび222Bのサイズ、アスペクト比および方向づけは、ソーラーセルの構成、分配プロセス、セル統合プロセスおよびその他に応じて、異なる実施形態において変化してよい。210と同様に、ビア221と溝222Aおよび222Bとの間のブリッジング領域223は、ビア221からの導電性接着剤のオーバーフローを捕獲するための付加的な凹部を提供するために、粗くなることができる。
【0032】
図2Dは、本開示の一実施形態による重なり合うソーラーセル間に電気的連続性を提供するための第3の例示的な複合ビア構造270の構成を示す。複合ビア構造270は、ビア271からのオーバーフローを捕獲するためにビア271を覆っている浅い円形溝272を含む。より詳しくは、ビア271は、溝272の底部に開口する一端を有する。捕獲された導電性接着剤を有する表面積およびそのように結合力を増加させるために、溝の底部壁273は、粗くなることができる。
【0033】
図2Eは、本開示の一実施形態による重なり合うソーラーセル間に電気的連続性を提供するための第4の例示的な複合ビア構造280の構成を示す。複合ビア構造280は、ビア281を囲む基体後面283上の粗いゾーン282を含む。粗いゾーン282の顕微鏡的な凹部または穴は、ビア281からの導電性接着剤のオーバーフローを捕獲するために用いる。
【0034】
本開示による複合ビア構造は、ビア内に分配される材料のオーバーフローを捕獲するためのさまざまな他の凹部構成を含んでよいと認められる。別の実施形態のために、凹部は、ビアによらない複数の形あるいは規則的なまたは不規則な外形のくぼみを取ってもよい。
【0035】
図3は、本開示の一実施形態による後部ビア構造で電気的に直列に結合される複数の太陽電池を有する例示的なPVモジュール300の上面図を示す。各太陽電池は、PV層の対向側に配置された前部電極および後部電極を含む。各太陽電池の前部電極は、櫛形状に構成されて、太陽電池の前面に散在する多くの個別電極(または「指電極」)、およびそこから電流を集めるためのすべての個別電極に接続した抽出電極(または「バスバー」)を含む。しかしながら、本開示は、各太陽電池の前部電極または後部電極の材料組成、構成および配置によって制限されない。例えば、前部電極は金属ストリップ(例えば、主に銅から成り、約50μmの厚みの)でできている。PV層は、単一層または、概して前部金属層220未満(例えば10μm未満)の総厚さを有する薄膜のスタックを含む。
【0036】
図1図2Eに関するより詳細にて説明したように、後部電極は、導電性材料で満たされる多くの後部ビアを有する非導電性の可撓性基体の上に配置される。本開示によれば、後部ビアにすぐ近くに配置される1つ以上の凹部(例えば、溝、粗いゾーンにおける穴)は、後部ビアからの導電性材料のオーバーフローを捕獲して、制限するために用いる。
【0037】
例えば、基体は多層でできていて、約100μmの厚みである。その一方で、太陽電池の総厚さは約110μmである。表面被覆または公知技術である他のいかなる適当な技法によっても、指電極は、PV層表面上に形成されてよい。この例では、バスバーは、指電極に対して垂直に向けられる。
【0038】
下方太陽電池320のバスバーが上方太陽電池310の後部ビア内の導電性充填と直接接触するように、2つの太陽電池310および320は、部分的に重複する。このように、下方太陽電池320のバスバー321は、上方太陽電池310の後部電極に電気的に接続している。
【0039】
一実施形態において、各PV層314または324は、ドープトGaAsベースの薄膜によって形成される1つ以上のPN接合を含む。本開示を実践するために、PV層は、公知技術であるさまざまな適切な薄膜プロセス(例えば、分子線エピタキシー法、有機金属化学蒸着法、物理的蒸着法、など)を使用して基体上に形成されてよい。
【0040】
図4は、本開示の一実施形態による複数の複合ビア構造を有する太陽電池基体401の後面からの平面図を示す。図1および図3に示すように、太陽電池の後面は、ソーラーモジュールへの統合のための別の太陽電池の前部電極に部分的に重なる。
【0041】
各複合ビア構造(例えば、410)は、内側ビア(例えば、411)、円形溝(例えば412)、および両者間にブリッジング領域を含む。この例では、ビア構造のいくらか(例えば、420および430)は、セル間の電気的接触を提供するための導電性材料で満たされる。他の後部ビア(例えば、410および440)は、接着剤材料で満たされる。そしてそれは、非導電性でありえて、主にセル間の機械的接着を提供するために使われてよい。いくつかの実施形態では、接着剤を含むために使用する後部ビアは、基体層401を通してしみ出ない。
【0042】
接着剤は、2つの重なり合うセル間の機械的結合力を強化するために、基体後面のコーナー451および452にも分配される。コーナー451および452は、接着剤がそれに適用される前に粗くされてよい。
【0043】
図5は、本開示の一実施形態によるソーラーモジュールにおいて2つの太陽電池を統合する例示的プロセス500を表すフローチャートである。501で、太陽電池の後部接触層は、例えばラミネーションまたは他の接着プロセスによって、基体層に取り付けられる。502で、基体層は、レーザーアブレーションプロセスを用いて複数の後部ビアを生成する選択された場所で穴あけされる。しかしながら、ビアは、公知技術である他の任意の好適な方法(例えば機械的穿孔、エッチング、およびその他)でも形成されることができる。ビア形成プロセスは、太陽電池の基体層および他の関連した構成要素の特性にしたがって選択される。上記の如く、付加的な非スルー後部ビアは、ボンディング材料を含むために生成されてもよい。
【0044】
503で、オーバーフロー捕獲溝は、各後部ビア周辺に生成される。504で、後部ビアとオーバーフロー捕獲溝との間の基体後面上のブリッジング領域は、例えば、10μmのピークトゥピークの粗さを達成するためにレーザーアブレーションプロセスを使用して粗くされる。いくつかの実施形態では、基体後面上の他の選択された領域(例えば、オーバーフロー捕獲溝の底部、角または基体のコーナーまたはエッジ、およびその他)も、粗くされる。
【0045】
いくつかの他の実施形態では、図2Eに示すように、オーバーフロー捕獲溝は、後部ビアの一端を拡大することによって形成され、そして後部ビアを覆っている溝に結果としてなる。
【0046】
505で、太陽電池の後部電極との電気的接触を生成するために、例えば、注入、析出、蒸発または他の任意の適切な分配プロセスによって、導電性材料は、後部ビアを通して分配される。上述の通り、各後部ビア内に導電性材料を過充填することは、空所のない電気的接触を得るために必要であってよい。いくつかの実施形態では、ボンディング材料は、非スルー後部ビア内に同様に分配される。
【0047】
506で、充填された後部ビアを有する太陽電池(上方セル)は、上方セルの後部ビアが下方セルの前部電極と直接接触して、別のソーラーセル(下方セル)の上に積み重ねられる。このように、導電性材料は、上方セルの後部電極と下方セルの前部電極とを電気的に接続する。
【0048】
図6Aは、本開示の一実施形態による重なり合うソーラーセル間に電気的連続性を提供するための複合ビア構造を有する例示的なソーラーセル610の正面図を示す。図6Bは、複合ビア構造の直径に沿った図6Aの例示的なソーラーセルの断面図を示す。
【0049】
図6Aは、PV層602上を覆う櫛形の前部電極を示す。前部電極は、指電極601Bおよびバスバー601Aを含む。後部ビア604は、横方向の位置に関して指電極の間に配置される。各後部ビアは、後部ビアからの充填材料のオーバーフローを捕獲するための円形溝605によって囲まれる。
【0050】
図6Bに示すように、後部から前部まで、太陽電池は、基体層611、後部金属層612、PV層613、および図6Aの指電極に対応する前部金属層614を含む。基体層611は、PSA層611BおよびPET層611Aの組合せを含む。後部ビア604は、基体の両方のサブ層を貫通する。円形溝605は、PSA層611Bの厚みよりも少ない深さを有する。
【0051】
図7は、本開示の一実施形態による重なり合うソーラーセル間に電気的連続性を提供するための複合ビア構造を有する別の例示的なソーラーセル710の正面図を示す。ソーラーセル710は、図6のソーラーセル610と実質的に同じ構成を有する。しかしながら、各後部ビア(例えば、704)は、後部ビアからの充填材料のオーバーフローを捕獲するための2つの直線溝(705Aおよび705B)の間に配置される。この例では、直線溝は、バスバーと並列に方向づけられて、ビア704の直径よりも非常に大きい長さを有する。しかしながら、本開示は、この構成に制限されない。
【0052】
後部ビアからの充填材料のオーバーフローを捕獲するために、基体のコーナーにさらに2つの溝706および707が配置される。溝706および707は、他の溝(例えば、705Aおよび705B)とは異なる方向を有する。直線溝の異なる方向の使用は、異なる方向のオーバーフローの捕獲を促進する。
【0053】
特定の好ましい実施形態および方法が本明細書において開示されたにもかかわらず、この種の実施形態および方法の変形および変更が本発明の精神と範囲から逸脱することなくなされてよいことは以前の開示から当業者に明らかである。本発明は、添付の請求の範囲並びに規則および準拠法の原則によって必要とされる範囲でだけ制限されることが意図される。

図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7