(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774090
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】消火設備制御盤
(51)【国際特許分類】
A62C 37/00 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
A62C37/00
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-156304(P2016-156304)
(22)【出願日】2016年8月9日
(65)【公開番号】特開2018-23485(P2018-23485A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114905
【氏名又は名称】ヤマトプロテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高山 剛
(72)【発明者】
【氏名】濱田 悠司
【審査官】
坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−084572(JP,A)
【文献】
特開2008−217615(JP,A)
【文献】
特開昭61−039196(JP,A)
【文献】
実開昭59−169856(JP,U)
【文献】
特開2007−079290(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0230846(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00−99/00,
G08B 17/00−17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火設備を制御する消火設備制御盤であって、
メンテナンス完了時に前記消火設備から出力される消火設備のメンテナンスが終了したことを知らせる移報信号を検出する制御部と、
所定時間の経過を前記制御部に通知するタイマーと、
前記タイマーに設定された所定時間内に前記制御部が前記移報信号を検出しなかった場合に人為的に停止可能な警報を発する警報部と、
前記警報部から発せられる警報を停止する警報停止部とを備え、
前記警報停止部は、パスワードの入力に使用されるパスワード入力部を備え、前記パスワード入力部から所定のパスワードが入力されると、前記制御部は、前記警報部に向けて警報の停止を指示するリセット信号を送出し、
前記警報部は、前記リセット信号を検出すると、前記警報を停止する
消火設備制御盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火設備を制御する制御盤に関する。
【背景技術】
【0002】
スプリンクラー設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備等の消火設備については、消防法により定期点検(メンテナンス)が義務付けられている。そこで、ブザーを鳴らしたり表示灯を点灯又は点滅させたりして警報を発することにより、メンテナンス時期の到来を知らせるシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−310787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記システムが警報を発しても、ブザーや表示灯による警報は、通常は一定時間の経過によってオフになる。また、警報をオフにするために何らかの操作が必要となる場合であっても、その操作は誰にでも行うことができる。したがって、管理者が警報に気づかなかったり、警報が鳴ったことを忘れてしまったりすると、メンテナンスが行われないままの状態がその後も続くことになる。そのような状態が放置されると、消防法で定められたルールを遵守できないばかりでなく、火災の発生時に消火設備が所望の動作を行わないことがありうる。
【0005】
本発明は、このような問題にかんがみなされたもので、消火設備のメンテナンスを確実に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、消火設備を制御する消火設備制御盤であって、メンテナンス完了時に前記消火設備から出力される
消火設備のメンテナンスが終了したことを知らせる移報信号を検出する制御部と、所定時間の経過を前記制御部に通知するタイマーと、前記タイマーに設定された所定時間内に前記制御部が前記移報信号を検出しなかった場合に
人為的に停止可能な警報を発する警報部と、前記警報部から発せられる警報を停止する警報停止部とを備え、前記警報停止部は、パスワードの入力に使用されるパスワード入力部を備え、前記パスワード入力部から所定のパスワードが入力されると、前記制御部は、前記警報部に向けて警報の停止を指示するリセット信号を送出し、前記警報部は、前記リセット信号を検出すると、前記警報を停止する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、適正なパスワードの入力を警報停止のための条件としたため、警報を停止できる者は、パスワードを知っている者のみに限られる。また、適正なパスワードを入力しない限り、警報が停止することはない。したがって、管理者が警報に気づかぬうちに警報がオフになることはなく、消火設備のメンテナンスが確実に行われるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】消火設備制御盤の構成例を示すブロック図である。
【
図2】消火設備制御盤の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示す消火設備制御盤10は、消火設備40を制御するユニットであり、電源入力端子台30を備え、ここに外部から電源が供給された状態で電源スイッチ11がオンになることにより、消火設備制御盤10が動作可能となる。電源スイッチ11がオンになっている間は、電源灯12が点灯する。
【0010】
消火設備制御盤10の内部には、消火設備制御盤10の動作を制御する制御部13を備えている。制御部13には、少なくともCPUとメモリとを備えている。制御部13には、所定時間の経過をカウントして制御部13に通知するタイマー14が接続されている。
【0011】
消火設備制御盤10には、消火設備40からの移報出力を入力する入力端子を複数備えた入力端子台15を備えている。
図1の例では、入力端子台15には4つの入力端子を備え、各入力1〜4は、各消火設備の移報出力のa接点と接続されている。入力1〜4のうちどれを使用しどれを未使用とするかは、DIPスイッチ16において設定することができる。
【0012】
制御部13には、移報出力を所定時間検出しない場合に警報音を発するブザー17と、移報出力を所定時間検出しない場合に点滅するLED18とが接続されている。ブザー17とLED18とで、警報部を構成している。なお、警報部は、少なくともブザー17又はLED18のいずれかを備えていればよい。
【0013】
消火設備制御盤10には、ブザー17の警報音が鳴るか否かの確認時に操作する動作確認スイッチ19と、動作確認スイッチ19をオンにすると点滅する動作確認灯20と、ブザー17及びLED18による警報を一時的に停止する音/移報停止スイッチ21と、ブザー17からの警報音及びLED18の動作を止めるためのパスワードの入力に用いるパスワード入力部22とを備えている。パスワード入力部22は、複数のパスワードスイッチを備えている。音/移報停止スイッチ21とパスワード入力部22とで、警報部から発せられる警報を停止する警報停止部を構成している。
【0014】
パスワード入力部22の近傍には、パスワードの入力前にオンにするパスワード入力スイッチ23が設けられている。また、パスワード入力スイッチ23の近傍には、パスワード入力スイッチ23からの入力内容に応じて状態が変化するパスワード灯24が設けられている。パスワード灯24は、パスワード入力スイッチ23をオンにすると所定時間点滅し、入力されたパスワードが正しければ所定時間点灯し、入力されたパスワードが誤りであれば消灯する。
【0015】
消火設備制御盤10には、所定期間メンテナンスが行われず移報出力の接点入力がないと点灯するMN灯25と、消火設備制御盤10の内部の回路に断線が生じた際に点灯する断線灯26と、消火設備制御盤10の寿命による交換時期を知らせる交換灯27とを備えている。MN灯25は、ブザー17の警報音が停止しているときは、点滅する。
【0016】
消火設備制御盤10には、外部機器との通信を行うポートとなる通信用コネクタ端子28を備えている。この通信用コネクタ端子28には、インタフェース50を介してパソコン51に接続されている。インタフェース50としては、例えばRS−232Cを使用することができる。
【0017】
次に、消火設備制御盤10の動作について、
図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0018】
図1に示した電源スイッチ11をオンにすると、電源灯12が点灯する。そして、断線があるか否かの確認を行う。断線があった場合は断線灯26を点灯させ、故障である旨を報知する。また、断線がない場合は、作業者が動作確認スイッチ19を押すことにより、ブザー17を鳴らしたり、LED18を点滅させたりして、各部位の動作確認を行う。
【0019】
次に、制御部13による制御の下で、タイマー14が初期設定される(ステップS1)。タイマー14には、入力端子台15の入力端子ごとに、それぞれ所定の時間が設定される。この所定の時間は、制御部13が移報信号を検出する際の待ち時間であり、この待ち時間内に制御部13が移報信号を検出せず、制御部13からタイマー14に対してリセット信号が送出されないと、タイマー14から制御部13に対してタイムアウト信号が通知される。この待ち時間としては、例えば1年が設定される。
【0020】
ステップS1によってタイマー14が初期設定されると、タイマー14が動作を開始する。そして、制御部13は、タイマー14に設定された所定時間内に入力端子台15のいずれかの入力端子から移報出力があるか否かの判断を行う(ステップS2)。この移報出力は、消火設備40のメンテナンスが終了したことを知らせる信号である。制御部13が移報出力を検出すると、制御部13は、タイマー14をリセットし、設定した待ち時間を最初からカウントする(ステップS3)。
【0021】
一方、移報出力が検出されなかった場合は、制御部13は、タイマー14に設定された所定時間が経過したか否かの判断を行う(ステップS4)。そして、所定時間が経過していない場合は、ステップS2に戻る。一方、所定時間が経過した場合は、制御部13は、警報出力を行う。この警報出力は、ブザー17からの警報音の出力、LED18における点滅表示によって行う(ステップS5)。また、制御部13は、MN灯25も点灯させる。
【0022】
次に、制御部13は、警報を停止するための音/移報停止スイッチ21が押されたか否かをチェックする(ステップS6)。そして、音/移報停止スイッチ21が押されていない場合は、ステップS5に戻って警報出力を続ける。一方、音/移報停止スイッチ21が押された場合は、パスワード入力スイッチ23が押されたか否かをチェックし、パスワード入力スイッチ23が押された場合は、パスワード入力部22からパスワードの入力があったか否かをチェックする(ステップS7)。この入力のチェックは、所定時間(例えば1分)行うこととし、当該所定時間内にパスワードの入力がない場合は、ステップS5に戻って警報出力を続ける。
【0023】
ステップS7において、パスワードの入力があった場合は、パスワードが適正か否かを制御部13が判断する(ステップS8)。なお、適正なパスワードは、あらかじめ制御部13が記憶している。
【0024】
入力されたパスワードが適正でない場合は、パスワード灯24を消灯状態とし、ステップS5に戻って警報出力を続ける。一方、パスワードが適正である場合は、制御部13は、警報部を構成するブザー17及びLED18に対して警報の停止を指示するリセット信号を送出する。ブザー17及びLED18は、リセット信号を検出すると、自身の動作を停止し、警報出力をオフにする(ステップS9)。また、これと同時に、パスワード灯24を所定時間点灯させ、適正なパスワード入力があった旨の表示を行う。
【0025】
このように、制御部13は、警報部からの警報の最中に音/移報停止スイッチ21が押されるとともにパスワード入力スイッチ23が押され、パスワード入力部22からパスワードの入力があると、そのパスワードが適正なものかどうかをチェックし、パスワードが適正であった場合に限り、警報を停止する。したがって、パスワードを知っている者のみが警報を止めることができ、管理者が警報に気づかぬうちに警報がオフになることはなく、消火設備のメンテナンスが確実に行われるようになる。
【0026】
上記のようにして制御部13において行われた処理の内容は、通信用コネクタ端子28及びインタフェース50を介してPC51に送られ、ログとして記録される。
【符号の説明】
【0027】
10:消火設備制御盤
11:電源スイッチ 12:電源灯 13:制御部 14:タイマー
15:入力端子台 16:DIPスイッチ 17:ブザー 18:LED
19:動作確認スイッチ 20:動作確認灯 21:音/移報停止スイッチ
22:パスワード入力部 23:パスワード入力スイッチ 24:パスワード灯
25:MN灯 26:断線灯 27:交換灯 28:通信用コネクタ端子
30:電源入力端子台 40:消火設備
50:インタフェース 51:パソコン