(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記主制御回路部は、当該主制御回路部の全体の動作を司る第1の回路部と、上記主制御回路部の動作状態の監視を行うための第2の回路部とを備え、当該第2の回路部は、上記主制御回路部に対する電源の供給状態を監視する機能を有しており、
上記切替制御部は、当該切替制御部の全体の動作を司る第3の回路部と、上記主制御回路部の動作状態の監視を行うための第4の回路部とを備え、
上記切替制御部は、上記第1の回路部と上記第3の回路部との間で上記第1のデータの通信を行う第1の通信経路、上記第2の回路部と上記第4の回路部との間で上記第2のデータの通信を行う第2の通信経路、および、上記第2の回路部と上記第4の回路部との間で上記電源の供給状態の通知に関する通信を行う第3の通信経路を用いて3系統の通信を行い、2系統以上の通信経路にて上記主制御回路部が動作不能状態であることを検知した場合に、上記主制御回路部から上記副制御回路部に切り替えて動作させることを特徴とする請求項1に記載の冗長化装置。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や介護施設などでは、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病院の患者が医師や看護師のサポートを必要とする際、または介護施設の被介護者が介護師のサポートを必要とする際に、患者や被介護者(以下、単に「患者」と言う)が呼出ボタン等を押下することによって医師や看護師、介護師(以下、単に「看護師」と言う)を呼び出すことができるように成されたシステムである。
【0003】
この種のナースコールシステムは、高い信頼性が要求され、障害の発生などによって、ナースコールの機能が長時間にわたって停止することは許されない。そのため、設備を二重化(冗長化)させることによって、主装置が動作不能となったときに副装置に切り替えてナースコールを継続可能にしたナースコールシステムが考案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
特許文献1に記載のナースコールシステムでは、制御装置および廊下灯制御装置を複数備えることによって、制御装置、廊下灯制御装置が動作不可能となっても、システムとして機能することができるようにしている。具体的には、特許文献1に記載のナースコールシステムは、病室内の複数のナースコール子機と、ナースコール親機と、複数の廊下灯と、ナースコール動作を制御する主制御装置および主廊下灯制御装置と、主制御装置による動作が不能となったときに動作する副制御装置および副廊下灯制御装置とにより構成されている。
【0005】
特許文献2に記載のナースコールシステムでは、ナースコール制御機が正常に動作しているときは、ナースコール子機との通信をナースコール制御機が受け持つ。一方、ナースコール制御機が故障した場合には、ナースコール処理装置をナースコール制御機の代行として使用し、ナースコール処理装置がナースコール子機との通信を受け持つようにする。
【0006】
また、2つのプロセッサ(CPU)のうち、一方を現用プロセッサ、他方を待機用プロセッサとして用い、現用プロセッサに異常が発生した場合に、待機用プロセッサに切り替えて使用するようになされた技術も知られている(例えば、特許文献3,4参照)。
【0007】
特許文献3に記載のフォールトレランスサーバでは、運用系プロセッサ、待機系プロセッサおよびメモリ・I/O制御部から送信された各種のエラー情報がエラー情報記憶部に記録された場合に、プロセッサエラーが発生した旨を二重化制御部に通知する。二重化制御部は、運用系プロセッサ、待機系プロセッサまたはメモリ・I/Oコントローラでエラーが検出された場合に、CPUモジュール部を自システムから切り離して隔離し、エラーを発生したプロセッサが他のプロッセサに切り替えられた後に、隔離したCPUモジュール部を自システムに組み込む。
【0008】
特許文献4に記載の安全関連信号処理システムは、二重化された2つのCPUを備え、相互に故障監視を行って、故障が検知された場合には所定の故障処理を行うように構成されている。2つのCPUは、それぞれの冗長系(A系/B系)に対応した無線制御部と接続されており、通信データをそれぞれの無線回線を通して送信することができるようになされている。また、2つのCPUは、CPU相互監視ラインを通してお互いの安全関連信号入力状態や通信処理状態を周期的に照合し、相手CPUの故障検知を行っている。
【0009】
また、システムの動作電源を冗長化させたシステムも知られている(例えば、特許文献5参照)。特許文献5に記載の2系統入力電源装置では、異なる2系統から給電入力を行い、一方の給電入力に異常が発生した場合、もう一方の入力系統に切り替えることにより、電源設備系統の信頼性を確保することができるようになされている。
【0010】
さらに、CPUとFPGA(Field-Programmable Gate Array)とを用いた冗長化技術も知られている(例えば、特許文献6,7参照)。特許文献6に記載の信号処理装置は、入力された音響信号に対して同一の信号処理を実行する稼働系(FPGA)と、待機系(CPU上で実行される信号処理モジュール)との2つを有する。そして、稼働系からエラーを示す信号を検出した場合に、待機系に切り替えて動作するようになされている。
【0011】
また、特許文献7に記載のシステムでは、各基板で障害が発生すると、各基板上の制御回路(CPU,FPGA,BMC,SFP,PXH)がその障害を検出し、保守用PCに通知する。電源供給も停止した場合、オペレータが手動スイッチを操作すると、BMCは電池からの電源により作動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記特許文献1〜7で示されるように、システムを冗長化させておくことにより、現用系に異常が発生したときには待機系に切り替えて動作し、システムの機能が停止しないようにすることができる。しかしながら、発生している異常が軽微な異常や一時的な異常で、現用系の動作をそのまま続行できるような状況でも待機系への切り替えが行われるため、無用な切り替えによってシステムの稼動率が低下してしまうことがあるという問題があった。
【0014】
なお、特許文献4に記載の安全関連信号処理システムでは、たまたま1回線でも伝送エラーが発生するとシステム全体が故障となってしまって、システムの稼働率を下げる危険性があるという問題を解消するために、2つの無線回線を介して通信データを授受するようにして、少なくとも1回線で通信データを正常受信できた場合、最初に正常受信できた通信データの示す安全関連信号状態を使って駆動・停止制御処理を行うように成されている。
【0015】
この特許文献4に記載のシステムでは、冗長化された複数の無線回線の中の1つに伝送エラーが検出されても故障扱いとされず、いずれか1回線でも正常に通信が行われていれば、システムは正常に動作可能となる。しかしながら、これを実現するためには、冗長系(A系/B系)に対応した2つの無線回線を通じて、通信データの授受を常に両方とも行う必要があるため、現用系から待機系への切り替えを行うというものではなく、無駄が多いという問題があった。
【0016】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、軽微な異常や一時的な異常によってすぐに現用系から待機系への切り替えが行われないようにして、無用な切り替えによるシステムの稼動率の低下を防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記した課題を解決するために、本発明では、現用系の主制御回路部の動作状態を監視し、主制御回路部が動作不能状態であることを検知した場合に、主制御回路部から待機系の副制御回路部に切り替えて動作させる際に、
主制御回路部との間で第1のデータの通信を行う第1の通信経路、主制御回路部との間で第2のデータの通信を行う第2の通信経路、および、主制御回路部との間で主制御回路部に対する電源の供給状態の通知に関する通信を行う第3の通信経路を用いて3系統の通信を行い、2系統以上の通信経路にて主制御回路部が動作不能状態であることを検知した場合に、主制御回路部から副制御回路部への切り替えを行うようにしている。
【発明の効果】
【0018】
上記のように構成した本発明によれば、軽微な異常や一時的な異常の発生によって、3系統以上の通信経路の中の何れかの通信経路において主制御回路部が動作不能状態であると検知されたとしても、半数以上または過半数の通信経路において主制御回路部が動作不能状態であることが検知されていなければ、現用系の主制御回路部から待機系の副制御回路部への切り替えは行われない。すなわち、半数以上または過半数の通信経路において主制御回路部が動作不能状態であると検知された場合に限り、主制御回路部から副制御回路部への切り替えが行われるようになる。これにより、軽微な異常や一時的な異常による無用な切り替えによって、システムの稼動率の低下してしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の冗長化装置を適用したナースコールシステムの全体構成例を示す図である。本実施形態の冗長化装置は、ナースコールシステムの制御を行う現用系の主制御回路部に異常が発生した場合に、待機系の副制御回路部に切り替えて動作させるようになされたものである。
【0021】
図1に示すように、本実施形態のナースコールシステムは、ナースコール親機1、制御機2、廊下灯3、壁埋込形子機4およびナースコール子機5を備えて構成されている。制御機2から配線される同一幹線上に、複数の廊下灯3が縦続接続され、各々の廊下灯3に対して壁埋込形子機4が接続されている。
【0022】
ナースコール親機1は、患者(ナースコール子機5)からの呼び出しを看護師に報知し、看護師がその呼び出しに対する応答の操作を行うためのものであり、例えばナースセンタに設置される。すなわち、ナースコール親機1は、ナースコール子機5から送られてくる呼出信号を受信すると、所定の呼出動作を実行する。呼出動作は、呼び出しを行った患者の患者情報をディスプレイに表示するとともに、呼出音をスピーカから出力することによって行う。
【0023】
制御機2は、ナースコール親機1と廊下灯3との間に配置され、通話やデータの送受信に関する制御を行う。
図2を用いて詳細を後述するように、本実施形態の制御機2は、その内部に冗長化の回路構成を有している。
【0024】
廊下灯3は、病院の各病室の入口付近外部に設置される。この廊下灯3は、液晶表示装置3aおよびLED等の呼出灯3bを備えている。液晶表示装置3aには、病室内の患者名などの患者情報が表示される。なお、液晶表示装置3aは、患者(ナースコール子機5)からの呼び出しが行われていないときは非表示状態あるいは待機画面の表示状態であり、患者からの呼び出しが行われると、その患者の患者情報が表示されるようになっている。また、病室内の患者がナースコール子機5を用いて呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことが呼出灯3bの点灯または点滅によって報知されるようになっている。
【0025】
壁埋込形子機4は、病室の各ベッドサイドの壁に埋め込み設置される。この壁埋込形子機4は、ナースコール子機5の接続端子を有している。ナースコール子機5は、壁埋込形子機4の接続端子に接続される。ナースコール子機5は、患者が看護師を呼び出すための呼出ボタン、患者が看護師と会話を行う際に使用するマイクおよびスピーカを備えている。
【0026】
図2は、本実施形態による制御機2の回路構成例を示す図である。なお、
図2では、本発明に係る回路構成のみを図示しており、本発明に係らない部分の回路構成は図示を省略している。
図2に示すように、制御機2は、制御系冗長回路部21、切替制御部22、制御系冗長電源部23およびモニタ系冗長電源部24を備えて構成されている。
【0027】
制御系冗長回路部21は、冗長化構成として、主制御回路部21Mおよび副制御回路部21Sを備えている。主制御回路部21Mは現用系の回路部、副制御回路部21Sは待機系の回路部である。すなわち、通常時は主制御回路部21Mが動作し、主制御回路部21Mに異常が発生した場合に、副制御回路部21Sが主制御回路部21Mに代わって動作する。
【0028】
主制御回路部21Mは、ナースコール子機5からの呼び出しをナースコール親機1に伝送するための通信を制御する。また、主制御回路部21Mは、ナースコール親機1とナースコール子機5との間の通話路の制御も行う。この通信および通話路の制御は、FPGA(通信用)201Mによって行う。
【0029】
主制御回路部21Mに異常が発生し、副制御回路部21Sに切り替えられた場合、副制御回路部21Sは、主制御回路部21Mと同様の制御を行う。すなわち、副制御回路部21Sは、ナースコール子機5からの呼び出しをナースコール親機1に伝送するための通信を制御する。また、副制御回路部21Sは、ナースコール親機1とナースコール子機5との間の通話路の制御も行う。この通信および通話路の制御は、FPGA(通信用)201Sによって行う。
【0030】
切替制御部22は、主制御回路部21Mの動作状態を監視し、主制御回路部21Mが動作不能状態であることを検知した場合に、主制御回路部21Mから副制御回路部21Sに切り替えて動作させるように制御する。主制御回路部21Mの動作状態の監視は、主制御回路部21Mと切替制御部22との間における3つの通信経路M1〜M3を用いた通信によって行う。なお、その詳細については後述する。
【0031】
本実施形態では、切替制御部22は、副制御回路部21Sの動作状態も監視し、副制御回路部21Sが動作可能状態であることを検知した場合に限り、主制御回路部21Mから副制御回路部21Sに切り替えて動作させるように制御する。副制御回路部21Sの動作状態の監視は、副制御回路部21Sと切替制御部22との間における3つの通信経路S1〜S3を用いた通信によって行う。なお、その詳細については後述する。
【0032】
制御系冗長電源部23は、冗長化構成として、制御系主電源23Mおよび制御系副電源23Sを備えている。制御系主電源23Mは、主制御回路部21Mまたは副制御回路部21Sに対して電源を供給する現用系の電源であり、制御系副電源23Sは、主制御回路部21Mまたは副制御回路部21Sに対して電源を供給する待機系の電源である。すなわち、通常時は制御系主電源23Mが動作し、制御系主電源23Mに異常が発生した場合に、制御系副電源23Sが制御系主電源23Mに代わって動作する。
【0033】
例えば、主制御回路部21Mにも制御系主電源23Mにも異常がなく、通常通りに動作可能な場合は、制御系主電源23Mが主制御回路部21Mに電源を供給する。これに対し、制御系主電源23Mには異常がないが、主制御回路部21Mに異常が発生した場合は、主制御回路部21Mから切り替えられた副制御回路部21Sに対して主制御回路部21Mが電源を供給する。
【0034】
また、主制御回路部21Mには異常がないが、制御系主電源23Mに異常が発生した場合は、制御系主電源23Mから切り替えられた制御系副電源23Sが主制御回路部21Mに電源を供給する。また、主制御回路部21Mにも制御系主電源23Mにも異常が発生し、何れも動作不能の場合は、制御系主電源23Mから切り替えられた制御系副電源23Sが、主制御回路部21Mから切り替えられた副制御回路部21Sに電源を供給する。
【0035】
主制御回路部21M(主制御回路部21Mから副制御回路部21Sに切り替えられているときは副制御回路部21S)は、制御系主電源23Mの動作状態を監視し、制御系主電源23Mが動作不能状態であることを検知した場合に、制御系主電源23Mから制御系副電源23Sに切り替えて動作させるように制御する。
【0036】
モニタ系冗長電源部24は、冗長化構成として、モニタ系主電源24Mおよびモニタ系副電源24Sを備えている。モニタ系主電源24Mは、切替制御部22に対して電源を供給する現用系の電源であり、モニタ系副電源24Sは、切替制御部22に対して電源を供給する待機系の電源である。すなわち、通常時はモニタ系主電源24Mが動作し、モニタ系主電源24Mに異常が発生した場合に、モニタ系副電源24Sがモニタ系主電源24Mに代わって動作する。
【0037】
切替制御部22は、モニタ系主電源24Mの動作状態を監視し、モニタ系主電源24Mが動作不能状態であることを検知した場合に、モニタ系主電源24Mからモニタ系副電源24Sに切り替えて動作させるように制御する。
【0038】
次に、動作状態の監視(異常の発生の検知)および主副の切り替えについて詳細に説明する。ここでは、主制御回路部21Mの動作状態の監視について説明する。
【0039】
切替制御部22は、主制御回路部21Mとの間で3系統以上の通信経路を用いて通信を行い、2系統以上の通信経路にて主制御回路部21Mが動作不能状態であることを検知した場合に、主制御回路部21Mから副制御回路部21Sに切り替えて動作させるように制御する。本実施形態では、3つの通信経路M1〜M3を用いた通信によって、主制御回路部21Mの動作状態を監視する。
【0040】
すなわち、切替制御部22は、主制御回路部21Mとの間で第1のデータの通信を行う第1の通信経路M1、主制御回路部21Mとの間で第2のデータの通信を行う第2の通信経路M2、および、主制御回路部21Mとの間で主制御回路部21Mに対する電源の供給状態の通知に関する通信を行う第3の通信経路M3を用いて3系統の通信を行う。そして、2系統以上の通信経路にて主制御回路部21Mが動作不能状態であることを検知した場合に、主制御回路部21Mから副制御回路部21Sに切り替えて動作させる。
【0041】
上記3つの通信経路M1〜M3を形成するために、主制御回路部21Mは、当該主制御回路部21Mの全体の動作を司るCPU202M(第1の回路部に相当)と、主制御回路部21Mの動作状態の監視を行うためのFPGA(モニタ用)203M(第2の回路部に相当)とを備えている。FPGA(モニタ用)203Mは、制御系冗長電源部23から主制御回路部21Mに対する電源の供給状態を監視する機能を有している。一方、切替制御部22は、当該切替制御部22の全体の動作を司るCPU202C(第3の回路部に相当)と、主制御回路部21Mの動作状態の監視を行うためのFPGA(モニタ用)203C(第4の回路部に相当)とを備えている。
【0042】
第1の通信経路M1は、主制御回路部21Mが備えるCPU202Mと、切替制御部22が備えるCPU202Cとの間に形成される。第1の通信経路M1では、第1のデータのシリアル通信を行う。第1のデータは、主制御回路部21Mが正常に動作しているか否かを確認するためのデータであり、そのデータ値(内容)は任意である。切替制御部22は、第1の通信経路M1を介して第1のデータの通信ができなくなっている場合に、主制御回路部21Mが動作不能状態であると判定する。
【0043】
第2の通信経路M2は、主制御回路部21Mが備えるFPGA(モニタ用)203Mと、切替制御部22が備えるFPGA(モニタ用)203Cとの間に形成される。第2の通信経路M2では、第2のデータの通信を行う。第2のデータも、主制御回路部21Mが正常に動作しているか否かを確認するためのデータであり、そのデータ値(内容)は任意である。第2のデータが第1のデータと同じ内容であってもよい。切替制御部22は、第2の通信経路M2を介して第2のデータの通信ができなくなっている場合に、主制御回路部21Mが動作不能状態であると判定する。
【0044】
第3の通信経路M3は、主制御回路部21Mが備えるFPGA(モニタ用)203Mと、切替制御部22が備えるFPGA(モニタ用)203Cとの間に形成される。第3の通信経路M3では、電源の供給状態の通知に関する通信を行う。上述したように、FPGA(モニタ用)203Mは、電源の供給状態を監視する機能を有している。この機能により、FPGA(モニタ用)203Mが制御系主電源23Mの異常を検知すると、そのことが切替制御部22のFPGA(モニタ用)203Cに対して第3の通信経路M3を介して通知されるとともに、制御系副電源23Sへの切り替えが行われる。切替制御部22は、この通知を受けた場合に、主制御回路部21Mが動作不能状態であると判定する。
【0045】
上述したように、切替制御部22は、以上に示した3つの通信経路M1〜M3を用いて3系統の通信を行い、2系統以上の通信経路にて主制御回路部21Mが動作不能状態であることを検知した場合に、主制御回路部21Mから副制御回路部21Sに切り替えて動作させる。
【0046】
また、切替制御部22は、副制御回路部21Sとの間においても3つの通信経路S1〜S3を用いて通信をさらに行う。そして、通信経路M1〜M3の中の2系統以上の通信経路にて主制御回路部21Mが動作不能状態であることを検知し、かつ、通信経路S1〜S3の中の2系統以上の通信経路にて副制御回路部21Sが動作可能状態であることを検知した場合に、主制御回路部21Mから副制御回路部21Sに切り替えて動作させる。
【0047】
なお、副制御回路部21Sの動作状態の監視は、主制御回路部21Mの動作状態の監視と同内容である。すなわち、第1の通信経路S1は、副制御回路部21Sが備えるCPU202Sと、切替制御部22が備えるCPU202Cとの間に形成される。第1の通信経路S1では、第1のデータのシリアル通信を行う。切替制御部22は、第1の通信経路S1を介して第1のデータの通信ができなくなっている場合に、副制御回路部21Sが動作不能状態であると判定する。
【0048】
第2の通信経路S2は、副制御回路部21Sが備えるFPGA(モニタ用)203Sと、切替制御部22が備えるFPGA(モニタ用)203Cとの間に形成される。第2の通信経路S2では、第2のデータの通信を行う。切替制御部22は、第2の通信経路S2を介して第2のデータの通信ができなくなっている場合に、副制御回路部21Sが動作不能状態であると判定する。
【0049】
第3の通信経路は、副制御回路部21Sが備えるFPGA(モニタ用)203Sと、切替制御部22が備えるFPGA(モニタ用)203Cとの間に形成される。第3の通信経路S3では、電源の供給状態の通知に関する通信を行う。FPGA(モニタ用)203Sが制御系主電源23Mの異常を検知すると、そのことが切替制御部22のFPGA(モニタ用)203Cに対して第3の通信経路S3を介して通知されるとともに、制御系副電源23Sへの切り替えが行われる。切替制御部22は、この通知を受けた場合に、副制御回路部21Sが動作不能状態であると判定する。
【0050】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、現用系の主制御回路部21Mの動作状態を監視し、主制御回路部21Mが動作不能状態であることを検知した場合に、主制御回路部21Mから待機系の副制御回路部21Sに切り替えて動作させる際に、切替制御部22が主制御回路部21Mとの間で3系統の通信経路M1〜M3を用いて通信を行い、2系統以上の通信経路にて主制御回路部21Mが動作不能状態であることを検知した場合に、主制御回路部21Mから副制御回路部21Sに切り替えて動作させるようにしている。
【0051】
このように構成した本実施形態によれば、軽微な異常や一時的な異常の発生によって、1系統の通信経路において主制御回路部21Mが動作不能状態であると検知されたとしても、現用系の主制御回路部21Mから待機系の副制御回路部21Sへの切り替えは行われない。すなわち、2系統以上の通信経路において主制御回路部21Mが動作不能状態であると検知された場合に限り、主制御回路部21Mから副制御回路部21Sへの切り替えが行われるようになる。これにより、軽微な異常や一時的な異常による無用な切り替えによって、ナースコールシステムの稼動率の低下してしまうことを防止することができる。
【0052】
ここで、第1の通信経路M1および第2の通信経路M2では主制御回路部21Mの動作不能状態が検知されず、第3の通信経路M3のみで主制御回路部21Mの動作不能状態が検知された場合、主制御回路部21Mから副制御回路部21Sへの切り替えは行われない。この場合でも、制御系主電源23Mから制御系副電源23Sへの切り替えは行われているので、主制御回路部21Mは必要な電源を制御系副電源23Sから得て、動作することが可能である。
【0053】
なお、上記実施形態では、主制御回路部21Mと切替制御部22との間で3系統の通信経路を用いて通信を行い、2系統以上の通信経路にて主制御回路部21Mが動作不能状態であることを検知した場合に副制御回路部21Sへの切り替えを行う例について説明したが、4系統以上の通信経路を用いて主制御回路部21Mの動作状態を監視するようにしてもよい。この場合も上記実施形態と同様に、過半数の通信経路にて主制御回路部21Mが動作不能状態であることを検知した場合に副制御回路部21Sへの切り替えを行う。あるいは、半数以上の通信経路にて主制御回路部21Mが動作不能状態であることを検知した場合に副制御回路部21Sへの切り替えを行うようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、副制御回路部21Sと切替制御部22との間で3系統の通信経路を用いて通信を行い、2系統以上の通信経路にて副制御回路部21Sが動作可能状態であることを検知した場合に副制御回路部21Sへの切り替えを行う例について説明したが、4系統以上の通信経路を用いて副制御回路部21Sの動作状態を監視するようにしてもよい。この場合も上記実施形態と同様に、過半数の通信経路にて副制御回路部21Sが動作可能状態であることを検知した場合に副制御回路部21Sへの切り替えを行う。あるいは、半数以上の通信経路にて副制御回路部21Sが動作可能状態であることを検知した場合に副制御回路部21Sへの切り替えを行うようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、主制御回路部21Mが備えるFPGA(モニタ用)203Mと、切替制御部22が備えるFPGA(モニタ用)203Cとの間に第2の通信経路M2および第3の通信経路M3を形成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2の通信経路M2を形成するためのFPGAと、第3の通信経路M3を形成するためのFPGAとを分けて構成するようにしてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、第1の回路部および第3の回路部の例としてCPUを用い、第2の回路部および第4の回路部の例としてFPGAを用いたが、本発明はこれに限定されない。
【0057】
また、上記実施形態では、主制御回路部21Mの動作状態および副制御回路部21Sの動作状態の両方を監視し、2系統以上の通信経路にて主制御回路部21Mが動作不能状態であり、かつ、2系統以上の通信経路にて副制御回路部21Sが動作可能状態であることを検知した場合に、主制御回路部21Mから副制御回路部21Sへの切り替えを行う例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、半数以上または過半数の通信経路にて主制御回路部21Mが動作不能状態であることを検知した場合に、主制御回路部21Mから副制御回路部21Sへの切り替えを行い、その後、半数以上または過半数の通信経路にて副制御回路部21Sが動作不能状態であることを検知した場合に、エラー通知を行うようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、本実施形態の冗長化装置をナースコールシステムに適用する例について説明したが、本実施形態の冗長化装置を適用可能なシステムはナースコールシステムに限定されるものではない。
【0059】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。