特許第6774096号(P6774096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774096
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】移動式洗浄機
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20201012BHJP
   F02B 63/04 20060101ALI20201012BHJP
   F02B 63/00 20060101ALI20201012BHJP
   F02B 77/00 20060101ALI20201012BHJP
   F02B 63/06 20060101ALI20201012BHJP
   B60S 3/04 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   B08B3/02 H
   F02B63/04 C
   F02B63/00 C
   F02B77/00 P
   F02B63/06 Z
   F02B63/04 B
   F02B63/00 B
   B60S3/04
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-228584(P2016-228584)
(22)【出願日】2016年11月25日
(65)【公開番号】特開2018-83166(P2018-83166A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】597095120
【氏名又は名称】株式会社岡常歯車製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】岡本 昌典
【審査官】 東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−117203(JP,A)
【文献】 特開2008−297789(JP,A)
【文献】 特開平07−238866(JP,A)
【文献】 特開2000−234318(JP,A)
【文献】 特開2001−041575(JP,A)
【文献】 特開平08−197016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/02
F02B 63/00 − 63/06
F02B 77/00
B60S 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行輪(1)を下部に有する箱体(2)と、該箱体(2)に内蔵したボイラー(8)と、先端に噴射ノズル(3)を有する噴射洗浄ガン(4)と、上記箱体(2)から外方延伸状として設けられて上記噴射洗浄ガン(4)に連結される高圧ホース(5)とを、備え、上記ボイラー(8)内の水乃至温水を上記高圧ホース(5)を介して上記噴射洗浄ガン(4)から噴射するように構成した移動式洗浄機に於て、
エンジン(6)と、上記エンジン(6)にて回転駆動される発電機(7)と、上記ボイラー(8)と、該ボイラー(8)内の水を昇温させるバーナー(9)と、上記エンジン(6)にて回転駆動されると共に上記ボイラー(8)内の水乃至温水を上記高圧ホース(5)を介して上記噴射洗浄ガン(4)に供給する高圧ポンプ(10)と、上記エンジン(6)用の第1燃料タンク(11)と、上記バーナー(9)用の第2燃料タンク(12)とを、上記箱体(2)に内蔵し、
上記第2燃料タンク(12)は、薄い偏平形状であって、
上記エンジン(6)のシリンダ(15)の発熱部(16)の近傍に、水供給管(17)の一部位を配設し、該水供給管(17)の一部位にて上記発熱部(16)からの排熱を吸収させて内部の供給水を予備加熱してから、上記ボイラー(8)に供給するように構成し、
上記箱体(2)の外面(14)に露出可能なコンセント(13)と、該コンセント(13)を被覆状に、開閉自在なカバーとを、設け、外部から電気が供給されず、上記エンジン(6)と発電機(7)にて発生する電気を外部へ接続取出自在に構成したことを特徴とする移動式洗浄機。
【請求項2】
上記エンジン(6)と上記ボイラー(8)の燃料を同一種類に設定して、上記第1燃料タンク(11)と第2燃料タンク(12)とを、一個の共用タンクとした請求項1記載の移動式洗浄機。
【請求項3】
上記箱体(2)に設けた上記コンセント(13)から、電気配線コード(19)を介して、上記箱体(2)の外部に配設した電動式取水ポンプ(18)の電気モータに、接続して、上記電動式取水ポンプ(18)によって水源(W)の水を、上記ボイラー(8)に供給可能とした請求項記載の移動式洗浄機。
【請求項4】
上記箱体(2)の外面(14)に蛇口(20)を付設すると共に、上記ボイラー(8)内の湯水を吐出可能とした請求項1,2又は3記載の移動式洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車や建物等の被洗浄物体を洗浄するための移動式洗浄機は、電源からとった電気
により、モータ及びポンプを駆動させ、上記被洗浄物体に向けて噴射洗浄ガンから高圧水
を噴射させるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、地震・津波・噴火等の災害地域、あるいは、キャンプ場、田畑、山中、波止場
等の電源がない場所では使用することができないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−44603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、災害地域、キャンプ場、田畑、山中、小さな波止場等の電源
のない場所では使用することができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る移動式洗浄機は、走行輪を下部に有する箱体と、該箱体に内蔵したボイラーと、先端に噴射ノズルを有する噴射洗浄ガンと、上記箱体から外方延伸状として設けられて上記噴射洗浄ガンに連結される高圧ホースとを、備え、上記ボイラー内の水乃至温水を上記高圧ホースを介して上記噴射洗浄ガンから噴射するように構成した移動式洗浄機に於て、エンジンと、上記エンジンにて回転駆動される発電機と、上記ボイラーと、該ボイラー内の水を昇温させるバーナーと、上記エンジンにて回転駆動されると共に上記ボイラー内の水乃至温水を上記高圧ホースを介して上記噴射洗浄ガンに供給する高圧ポンプと、上記エンジン用の第1燃料タンクと、上記バーナー用の第2燃料タンクとを、上記箱体に内蔵し、上記第2燃料タンクは、薄い偏平形状であって、上記エンジンのシリンダの発熱部の近傍に、水供給管の一部位を配設し、該水供給管の一部位にて上記発熱部からの排熱を吸収させて内部の供給水を予備加熱してから、上記ボイラーに供給するように構成し、上記箱体の外面に露出可能なコンセントと、該コンセントを被覆状に、開閉自在なカバーとを、設け、外部から電気が供給されず、上記エンジンと発電機にて発生する電気を外部へ接続取出自在に構成したものである。
【0007】
また、上記エンジンと上記ボイラーの燃料を同一種類に設定して、上記第1燃料タンクと第2燃料タンクとを、一個の共用タンクとしたものである。
【0008】
また、上記箱体に設けた上記コンセントから、電気配線コードを介して、上記箱体の外部に配設した電動式取水ポンプの電気モータに、接続し、上記電動式取水ポンプによって水源の水を、上記ボイラーに供給可能としたものである。
【0009】
また、上記箱体の外面に蛇口を付設すると共に、上記ボイラー内の湯水を吐出可能としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の移動式洗浄機によれば、災害地域、キャンプ場、田畑、山中、小さな波止場等
の電源が確保できない場所に於ても使用することができ至便である。特に、地震・津波・
噴火等の災害地域に於て、電源が使用不可能な状況下でも、粉塵・土砂・泥等を洗浄除去
することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の一形態を示す一部省略正面図である。
図2】一部省略分解図である。
図3】正面図である。
図4】背面図である。
図5】右側面図である。
図6】他の実施例を示した要部構成説明図である。
図7】使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1図5は、本発明の実施の一形態を示す。この移動式洗浄機は、車や建物等を湯水で洗浄するために用いられ、特に、電源が確保できない場所に於ても使用することができる。走行輪1を下部に有する直方体形の箱体2と、先端に噴射ノズル3を有する噴射洗浄ガン4と、箱体2から外方延伸状として設けられて噴射洗浄ガン4に連結される高圧ホース5とを、備える。
【0013】
エンジン6が、箱体2に内蔵される。7はエンジン6にて回転駆動される発電機を示す。8はボイラーを示し、9はボイラー8内の水を昇温させるバーナーを示す。10は、エンジンにて回転駆動されると共にボイラー内の水乃至温水を高圧ホース5を介して噴射洗浄ガン4に供給する高圧ポンプを示す。11はエンジン用の第1燃料タンクを示し、12はバーナー用の第2燃料タンクを示す。第2燃料タンク12は、箱体2の横断面に近い形状(すなわち、前後上下に大きく左右に薄い偏平形状)とされ、箱体2の内部空間にコンパクトに収納・設置でき、かつ、組立て容易である。第1燃料タンク11には、ガソリン、軽油等を入れ、第2燃料タンク12には、灯油、軽油等を入れる。発電機7、ボイラー8、バーナー9、高圧ポンプ10、第1燃料タンク11、第2燃料タンク12が、箱体2に内蔵される。図2では、発電機7を図示省略している。
【0014】
外部から電気が供給されず、箱体2内に設けたエンジン6と発電機7にて発生する電気
を外部へ接続取出自在なコンセント13が、箱体2の外面14に露出可能として設けられる。すなわち、コンセント13を被覆状に、開閉自在なカバーが設けられる(図示省略)。このカバーを開けば、コンセント13は外部へ露出状となる。発電機7で作られた電気は、バッテリー22に蓄えられ、インバータ23にて交流に変換され、コンセント13から取出自在とされる。また、発電機7で作られた電気は、バーナー9へも送られる。
【0015】
図6に示すように、エンジン6の発熱部16(例えば、シリンダ15のフィン24、図示省略の排気パイプ等)の近傍に、(図1図2等に示した高圧ポンプ10からの)水供給管17の一部位を(例えばコイル状に)配設する。すなわち、水供給管17の一部位にて発熱部16からの排熱を吸収させて内部の供給水を予備加熱してから、ボイラー8に供給するように構成される。
【0016】
図1図5に戻って、箱体2の外面14に蛇口20が付設されると共に、ボイラー8内の湯水が吐出可能とされる。すなわち、ボイラー8内の湯水は、噴射洗浄ガン4から噴射することができるとともに、蛇口20から吐出することもできる。
【0017】
次に、ボイラー8への水の供給方法の一例について説明すると、例えば、図7に示すよ
うに、箱体2の外部に電動式取水ポンプ18を配設し、箱体2の外面14のコンセント13に、電気配線コード19が接続されると共に、電気配線コード19が取水ポンプ18の電気モータ(図示省略)に接続され、取水ポンプ18によって水源Wの水を、ボイラー8に供給可能とされる。水源Wが洗浄機より低位置にある場合、タンク21を介在させて多めの水を入れておくのが好ましい。なお、取水ポンプ18によらずに、バケツや小型タンクに入った水を直接ボイラー8に入れて使用することもできる。
【0018】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、エンジン6とボイラー8の燃料を同一種類(例えば軽油)に設定し、第1燃料タンク11と第2燃料タンク12とを、一個の共用タンクとするも良い。部品点数の低減を図り、かつ、全体のコンパクト化を図り得る。
【0019】
以上のように、本発明は、走行輪1を下部に有する箱体2と、先端に噴射ノズル3を有
する噴射洗浄ガン4と、上記箱体2から外方延伸状として設けられて上記噴射洗浄ガン4
に連結される高圧ホース5とを、備えた移動式洗浄機に於て、外部から電気が供給されず
、上記箱体2内に設けたエンジン6と発電機7にて発生する電気を外部へ接続取出自在な
コンセント13を、上記箱体2の外面14に露出状乃至露出可能として設けたので、災害地域、キャンプ場、田畑、山中、小さな波止場等の電源が確保できない場所に於ても、水源Wさえあれば、使用することができ至便である。特に、地震・津波・噴火等の災害地域に於て、電源が使用不可能な状況下でも、粉塵・土砂・泥等を洗浄除去することも可能である。コンセント13に暖房機や湯沸器、その他の様々な電気機器を接続して、各電気機器を使用することができる。
【0020】
また、上記エンジン6と、上記エンジン6にて回転駆動される上記発電機7と、ボイラー8と、該ボイラー8内の水を昇温させるバーナー9と、上記エンジン6にて回転駆動されると共に上記ボイラー8内の水乃至温水を上記高圧ホース5を介して上記噴射洗浄ガン4に供給する高圧ポンプ10と、上記エンジン用の第1燃料タンク11と、上記バーナー用の第2燃料タンク12とを、上記箱体2に内蔵したので、全体容積がコンパクトとなり、取扱いが容易である。また、噴射洗浄ガン4からの湯によって、被洗浄体に付着した油等を能率的に落とすことができる。
【0021】
また、上記エンジン6のシリンダ15の発熱部16の近傍に、水供給管17の一部位を配設し、該水供給管17の一部位にて上記発熱部16からの排熱を吸収させて内部の供給水を予備加熱してから、上記ボイラー8に供給するように構成したので、バーナー9の燃料使用量を軽減できる。
【0022】
また、上記エンジン6と上記ボイラー8の燃料を同一種類に設定して、上記第1燃料タ
ンク11と第2燃料タンク12とを、一個の共用タンクとしたので、構造の簡素化を図り得ると共に、全体容積のコンパクト化をも図り得る。また、燃料の補充作業回数も低減可能である。
【0023】
また、上記箱体2の外面14に露出状とした上記コンセント13から、電気配線コード19を介して、上記箱体2の外部に配設した電動式取水ポンプ18の電気モータに、接続し、上記取水ポンプ18によって水源Wの水を、上記ボイラー8に供給可能としたので、低地にある水源Wや、遠く離れた水源Wからも、ボイラー8に水を供給することができる。従って、被災地等では有効である。
【0024】
また、上記箱体2の外面14に蛇口20を付設すると共に、上記ボイラー8内の湯水を吐出可能としたので、電源のない被災地等に於て、湯水を使用することができ、至便である。
【符号の説明】
【0025】
1 走行輪
2 箱体
3 噴射ノズル
4 噴射洗浄ガン
5 高圧ホース
6 エンジン
7 発電機
8 ボイラー
9 バーナー
10 高圧ポンプ
11 第1燃料タンク
12 第2燃料タンク
13 コンセント
14 外面
15 シリンダ
16 発熱部
17 水供給管
18 (電動式)取水ポンプ
19 電気配線コード
20 蛇口
W 水源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7