特許第6774103号(P6774103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774103
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/36 20060101AFI20201012BHJP
   A61K 9/42 20060101ALI20201012BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20201012BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20201012BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   A61K9/36
   A61K9/42
   A61K47/38
   A61K47/44
   A61K47/14
【請求項の数】23
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-545002(P2017-545002)
(86)(22)【出願日】2015年11月16日
(65)【公表番号】特表2017-534688(P2017-534688A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】GB2015053471
(87)【国際公開番号】WO2016075495
(87)【国際公開日】20160519
【審査請求日】2018年11月13日
(31)【優先権主張番号】1420306.1
(32)【優先日】2014年11月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517167960
【氏名又は名称】ドラッグ デリバリー インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202577
【弁理士】
【氏名又は名称】林 浩
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンズ ハワード ノーマン アーネスト
(72)【発明者】
【氏名】ミュレン アレクサンダー バルファー
(72)【発明者】
【氏名】スミス デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】マクドーガル フィオーナ ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】バードワジ ヴィヴェカナンド
【審査官】 飯濱 翔太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−521332(JP,A)
【文献】 特開平06−100601(JP,A)
【文献】 特開2003−171277(JP,A)
【文献】 特表2009−538920(JP,A)
【文献】 特開2009−120600(JP,A)
【文献】 特表2013−521334(JP,A)
【文献】 特表2013−521333(JP,A)
【文献】 Application Studies of L-HPC and HPMCAS for Pharmaceutical Dosage Forms - Update -,2012年,URL,https://ipecamericas.org/sites/default/files/ef12april24-hall.b%235-sakae.obara(shin-etsu).pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分の遅延放出のためのプレスコート錠剤であって、
(a)1つまたはそれ以上の活性成分を含むコアと、
(b)前記コアを囲み、かつワックスおよび2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCを含む浸食可能な遅延放出バリアとを含み、前記ワックスおよびL−HPCは、ワックス対L−HPCが30%:70%から70%:30%の重量比にて提供される、プレスコート錠剤。
【請求項2】
前記2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCは、粗粒子および中間粒子L−HPCを含む、請求項1に記載のプレスコート錠剤。
【請求項3】
前記2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCは、次の組み合わせ:LH−11およびLH−21、LH−11およびLH−22、LH−11およびNBD−22、LH−11およびNBD−021、LH−11およびNBD−020、LH−B1およびLH−21、LH−B1およびLH−22、LH−B1およびNBD−22、LH−B1およびNBD−021、LH−B1およびNBD−020のうちのいずれか1つから選択される、請求項2に記載のプレスコート錠剤。
【請求項4】
前記2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCは、粗粒子および微粉粒子L−HPCを含む、請求項1に記載のプレスコート錠剤。
【請求項5】
前記2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCは、次の組み合わせ:LH−11およびLH−31、LH−11およびLH−32、LH−B1およびLH−31、ならびにLH−B1およびLH−32のうちのいずれか1つから選択される、請求項4に記載のプレスコート錠剤。
【請求項6】
前記2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCは、中間粒子および微粉粒子L−HPCを含む、請求項1に記載のプレスコート錠剤。
【請求項7】
前記2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCは、次の組み合わせ:LH−21およびLH−31、LH−22およびLH−31、NBD−22およびLH−31、NBD−021およびLH−31、NBD−020およびLH−31、LH−21およびLH−32、LH−22およびLH−32、NBD−22およびLH−32、NBD−021およびLH−32、ならびにNBD−020およびLH−32のうちのいずれか1つから選択される、請求項6に記載のプレスコート錠剤。
【請求項8】
前記2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCは、低レベルおよび高レベルヒドロキシプロポキシ含有量L−HPCを含む、請求項1に記載のプレスコート錠剤。
【請求項9】
前記2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCは、次の組み合わせ:NBD−021およびNBD−022、NBD−020およびNBD−022、LH−11およびNBD−022、LH−21およびNBD−022、LH−31およびNBD−022、LH−B1およびNBD−022、NBD−021およびLH−22、NBD−020およびLH−22、LH−11およびLH−22、LH−21およびLH−22、LH−31およびLH−22、LH−B1およびLH−22、NBD−021およびLH−32、NBD−020およびLH−32、LH−11およびLH−32、LH−21およびLH−32、LH−31およびLH−32、ならびにLH−B1およびLH−32のうちのいずれか1つから選択される、請求項8に記載のプレスコート錠剤。
【請求項10】
前記2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCは、低レベルおよび高レベルヒドロキシプロポキシ含有量L−HPCであって、粗粒子および中間粒子L−HPCの組み合わせでもあるものを含む、請求項1に記載のプレスコート錠剤。
【請求項11】
前記2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCは、次の組み合わせ:LH−11およびLH−22、LH11およびNBD−022、LH−B1およびLH−22、ならびにLH−B1およびNBD−022のうちのいずれか1つから選択される、請求項10に記載のプレスコート錠剤。
【請求項12】
前記2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCは、低レベルおよび高レベルヒドロキシプロポキシ含有量L−HPCであって、粗粒子および微粉粒子L−HPCの組み合わせでもあるものを含む、請求項1に記載のプレスコート錠剤。
【請求項13】
前記2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCは、次の組み合わせ:LH−11およびLH−32、ならびにLH−B1およびLH−32のうちのいずれか1つから選択される、請求項12に記載のプレスコート錠剤。
【請求項14】
前記2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCは、低レベルおよび高レベルヒドロキシプロポキシ含有量L−HPCであって、中間粒子および微粉粒子L−HPCの組み合わせでもあるものを含む、請求項1に記載のプレスコート錠剤。
【請求項15】
前記2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCは、次の組み合わせ:LH−22およびLH−31、NBD−022およびLH−31、LH−21およびLH−32、NBD−021およびLH−32、ならびにNBD−020およびLH−32のうちのいずれか1つから選択される、請求項14に記載のプレスコート錠剤。
【請求項16】
前記コアは、放出開始後5〜80分以内に少なくとも70%の活性薬剤を放出する、請求項1に記載のプレスコート錠剤。
【請求項17】
前記コアは、薬物活性成分放出の開始後、2〜12時間の期間にわたって持続的な態様で放出する、請求項1に記載のプレスコート錠剤。
【請求項18】
前記ワックスは蜜ロウ、マイクロクリスタリンワックス、グリセリルエステル、硬化ヒマシ油、もしくはカルナウバロウ、またはワックスの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1から17のいずれか一項に記載のプレスコート錠剤。
【請求項19】
前記ワックスはベヘン酸グリセロールである、請求項18に記載のプレスコート錠剤。
【請求項20】
pH依存性であっても非依存性であってもよく、機能的であっても審美的であってもよい1つまたはそれ以上のコーティングをさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載のプレスコート錠剤。
【請求項21】
前記1つまたはそれ以上のコーティングは、前記コアの1つの活性成分または複数の活性成分と同じであるか、または異なる活性成分を含有し得る、請求項20に記載のプレスコート錠剤。
【請求項22】
前記コア内の薬物と同じかまたは異なる薬物を含む任意の即時放出層を含有し得る頂部層をさらに含む、請求項1から21のいずれか一項に記載のプレスコート錠剤。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載のプレスコート錠剤を作製する方法であって、前記方法は、
a)前記活性成分ならびに薬学的に許容できる賦形剤および/または希釈剤がともに混合または顆粒化され、圧縮されてコアが形成されるステップと、
b)1つまたはそれ以上のワックスおよび2つまたはそれ以上のL−HPCが混合および融解されて顆粒が形成され、得られた混合物が前記コアの外表面の周りに圧縮されてバリア層が形成されるステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤のコアからの活性成分の遅延放出を、コアを囲む放出バリアの浸食によって提供するプレスコート錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
遅延期間の後に活性医薬成分を放出できることは、多くの疾患状態の処置にとって望ましい。たとえば、概日リズムに影響される疾患などである(非特許文献1を参照)。薬剤を経口投与するときに、その薬剤が遅延期間の後に放出されることが望ましいような処置が公知である。こうした処置は、対象の睡眠中に薬物を放出するか、または特定の投与計画に従って状態を処置するために用いられ得る。こうした公知の時間遅延放出機構は、複雑な製造プロセスを使用するか、および/または胃腸液と接触することによって錠剤形状が膨張し、定められた期間の後に薬物を放出する構造破壊が起こるような「破裂」機構に依拠するものである。こうした破裂機構は、薬物充填コアを囲む外側放出バリアが、錠剤コアの膨張後に突然破裂して、開いた「クラムシェル」構成を形成することを特徴としてもよい。こうした機構による薬物放出は、運動性が乏しく、粘性もしくは固体の管腔内容物すなわち便圧縮を有し、水の可用性が限られる胃腸管の領域において、物理的に妨害され得る。結果として、こうした公知の遅延放出錠剤は、開かないか、もしくは完全に開かずに薬物を完全に放出することなくほぼそのまま胃腸管を通過することによって失敗するか、または薬物の局所送達が意図された胃腸管の部分を錠剤が通過した後に放出を起こすことがある。
【0003】
コアからの薬物の放出を制御するように放出バリアを設計するとき、当業者は多くの戦略を利用できる。ポリマー膜に基づく構成を用いてもよいが、これらは複雑で高価になる傾向があり、一般的に処理のために溶剤を使用する。代替的なより簡単な戦略は、ワックスおよび崩壊剤を含む放出バリアの構成を含む。この崩壊剤は液体に露出すると膨張し、実質的にワックスによってともに保持されている放出バリアの表面脆弱化をもたらすことで、バリアは錠剤表面において浸食し始め、すべてのバリア層が除去されるまで徐々に継続し、その後内部コア錠剤から薬物が放出される。しかし、崩壊剤の選択は非常に幅広く、ワックスバリアに組み込まれたときにそれらの崩壊剤が胃腸管内でどのように相互作用するかを予測することは困難である。
【0004】
利用可能な多くの任意の崩壊剤の1つは、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC:low−substituted hydroxypropyl cellulose)である。L−HPCは薬物製剤に用いられるため、当業者に熟知されている。L−HPCは水に溶解せず、代わりに水を吸収することによって体積が膨張する。その結果、L−HPCは一般的に、水が存在するときに急速に体積が膨張することによる崩壊剤として有用であると考えられ、加えて結合剤として機能するグレードでも利用可能である。しかし、本発明者らが識別したL−HPCのグレードを組み合わせることに由来する利益は、新規のものである。L−HPCに対するIUPAC名称は、セルロース,2,ヒドロキシプロピルエーテル(低置換度)である。L−HPCは、ヒドロキシプロピルセルロースと同じCAS番号(すなわち9004−64−2)を共有する。しかし、L−HPCはセルロース骨格に含むヒドロキシプロポキシ基が少ないという事実により、ヒドロキシプロピルセルロースとは異なる。105℃にて1時間乾燥されるとき、L−HPCは5.0重量%以上16.0重量%以下のヒドロキシプロポキシ基の分子を含有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Stevens HNE Chronopharmaceutical Drug Delivery J.Pharm Pharmac.,50(s)5(1998)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、ワックスベースの放出バリアにおいてL−HPCの組み合わせを用いることで、浸食の挙動特性を維持しながら放出遅延期間の制御範囲の増加が提供されることが見出された。典型的に、本発明における活性薬剤の遅延放出は、活性薬剤を含むコアを囲む遅延放出層を含むプレスコート錠剤を提供することによって達成される。遅延放出層はワックスと、2つまたはそれ以上の異なる低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)グレードの組み合わせ、たとえば小さい粒径(たとえばLH32)および大きい粒径(たとえばLH21)の組み合わせなどとを含んでもよい。
【0007】
したがって本発明の第1の局面において、活性成分の遅延放出のためのプレスコート錠剤が提供され、このプレスコート錠剤は、
(a)1つまたはそれ以上の活性成分を含むコアと、
(b)コアを囲み、かつワックスおよび2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCを含む浸食可能な遅延放出バリアとを含み、このワックスおよびL−HPCは、ワックス対L−HPCが30%:70%から70%:30%の重量比にて提供される。
【0008】
浸食可能な遅延放出バリアは、錠剤からの活性成分放出の遅延を提供する。開始後の放出の性質および速度は、コアの製剤に依存する。こうしたコア製剤は、薬物放出の開始後、たとえば2〜12時間などの数時間の期間にわたって、持続的な態様でコアから活性成分を放出できてもよい。代替的に、コアは放出開始後5〜80分以内に少なくとも70%の活性薬剤を放出する。浸食可能なバリア層は、コアの製剤または活性成分含有量とは独立に機能する。
【0009】
さらなる制限は望まないが、明瞭にするために、本発明の製剤は遅延放出プロファイルを提供できることが提案され、この遅延期間の範囲は従来のワックスと単一L−HPCとの組み合わせよりも幅広く制御可能であり、一方で制御された浸食挙動は維持されるところが、先行技術の開いたクラムシェルへの破裂機構とは異なる。当該技術分野において公知のワックス含有遅延放出機構は、典型的に本発明の浸食機構ではなく、膨張および破裂機構に取り組むものである(Vergnaultらの米国特許出願公開第2012/0177739A1号を参照)。本方法は、バリア層の浸食を保持しながら遅延期間の延長を提供するために、L−HPCグレードの組み合わせを用いる。
【0010】
浸食機構がこうした広範囲の遅延時間の制御を提供できることは、驚くべきことである。なぜなら、いくつかの公知の浸食に基づく制御遅延放出技術は、浸食プロセスに組み合わせて薬物放出の前にこうした遅れ期間の延長を提供できないからである。たとえば、GhimireらのEuropean Journal Pharmaceutics(67)2007 515−523などを参照。この浸食機構は、胃腸管内の錠剤の場所に関係なく、インビトロおよびインビボでの安定かつ再現可能な放出を確実にする。遅延放出を達成するために浸食機構を用いることによって、膨張および破裂システムを用いる当該技術分野において公知の他の遅延放出技術が直面し得る困難が克服される。さらにこの技術は、当該技術分野において公知の他の技術よりも簡単な製造プロセスを用いる。こうした製剤は、たとえば不眠症の処置などにおける夜間投薬の提供;たとえば関節炎の状態に関連する朝のこわばりなどの早朝の状態の処置、もしくはたとえば心筋梗塞などの心血管リスクが増加する期間の低減;またはその他の時間設定投薬計画のために用いられてもよいが、それらに限定されない。
【0011】
L−HPCは、たとえば粒径またはヒドロキシプロポキシ含有量などによって、グレード付けされてもよい。
【0012】
L−HPCが粒径によってグレード付けされるとき、それらは通常粗粒子、中間サイズ粒子、または微粉粒子にグレード付けされる。
【0013】
粗粒子は、50μm以上、50μmから65μm、または53μmから57μmの平均粒径を有してもよい。粗粒子は、55μmの平均粒径を有してもよい。粗粒子L−HPCの例は、LH−11および/またはLH−B1であってもよい。
【0014】
中間サイズ粒子は、50μm未満から30μm、50μm未満から40μm、または42μmから48μmの平均粒径を有してもよい。中間サイズ粒子は、45μmの平均粒径を有してもよい。中間サイズL−HPCの例は、LH−21、LH−22、NBD−22、NBD−021、および/またはNBD−020のうちの任意の1つまたはそれ以上であってもよい。
【0015】
微粉粒子は、30μm未満、30μm未満から1μm、30μm未満から10μm、15μmから25μm、または17μmから23μmの平均粒径を有してもよい。微粉粒子は、20μmの平均粒径を有してもよい。微粉L−HPCの例は、LH−31および/またはLH−32である。
【0016】
当業者は、平均粒径を定めるための適切なやり方をよく知っているだろう。単なる例として、シンパテック(Sympatec)のレーザー回折システム(例、HELOSまたはMYTOS)の使用のためのプロトコルに従って、平均粒径が確立されてもよい。
【0017】
L−HPCがヒドロキシプロポキシ含有量によってグレード付けされるとき、それらは通常、高レベルまたは低レベルヒドロキシプロポキシ含有量(高および低はL−HPCに適用される相対語である)にグレード付けされる。
【0018】
高レベルヒドロキシプロポキシ含有量を有するL−HPCは、10%またはそれ以上、10%から16%、10%から15%、10%から14%、10%から13%、または10%から12%の含有量を有してもよい。高レベルヒドロキシプロポキシ含有量を有するL−HPCは、11%の含有量を有してもよい。高レベルヒドロキシプロポキシ含有量を有するL−HPCの例は、NBD−021、NBD−020、LH−11、LH−21、LH−31、および/またはLH−B1のうちの任意の1つまたはそれ以上であってもよい。
【0019】
低レベルヒドロキシプロポキシ含有量を有するL−HPCは、10%未満、10%未満から5%、10%未満から6%、5%から9%、6%から9%、7%から9%、または8%から9%の含有量を有してもよい。低レベルヒドロキシプロポキシ含有量を有するL−HPCは、8%の含有量を有してもよい。低レベルヒドロキシプロポキシ含有量を有するL−HPCの例は、NBD−022、LH−22、および/またはLH−32のうちの任意の1つまたはそれ以上であってもよい。
【0020】
本発明に従うプレスコート錠剤は、たとえばLH−11、LH−21、LH−22、LH−32、LH−B1、LH−31、NBD−22、NBD−021、およびNBD−020のリストから選択されるL−HPCの任意の1つまたは組み合わせを含んでもよい。
【0021】
放出バリアは2つまたはそれ以上のグレードのL−HPCを含むため、放出バリアはL−HPCグレードの混合を含むことが分かる。
【0022】
たとえば、放出バリアは、粗粒子L−HPC、中間粒子L−HPC、および微粉粒子L−HPCからなる群より選択される少なくとも2つのグレードのL−HPCを含んでもよい。代替的または付加的に、放出バリアは、低レベルおよび高レベルヒドロキシプロポキシ含有量L−HPCを含んでもよい。たとえば、放出バリアは以下を含んでもよい。
a)粗粒子および中間粒子L−HPC(例、次の組み合わせのうちの任意の1つ:LH−11およびLH−21、LH−11およびLH−22、LH−11およびNBD−22、LH−11およびNBD−021、LH−11およびNBD−020、LH−B1およびLH−21、LH−B1およびLH−22、LH−B1およびNBD−22、LH−B1およびNBD−021、LH−B1およびNBD−020)、
b)粗粒子および微粉粒子L−HPC(例、次の組み合わせのうちの任意の1つ:LH−11およびLH−31、LH−11およびLH−32、LH−B1およびLH−31、ならびにLH−B1およびLH−32)、
c)中間粒子および微粉粒子L−HPC(例、次の組み合わせのうちの任意の1つ:LH−21およびLH−31、LH−22およびLH−31、NBD−22およびLH−31、NBD−021およびLH−31、NBD−020およびLH−31、LH−21およびLH−32、LH−22およびLH−32、NBD−22およびLH−32、NBD−021およびLH−32、ならびにNBD−020およびLH−32)、
d)低レベルおよび高レベルヒドロキシプロポキシ含有量L−HPC(例、次の組み合わせのうちの任意の1つ:NBD−021およびNBD−022、NBD−020およびNBD−022、LH−11およびNBD−022、LH−21およびNBD−022、LH−31およびNBD−022、LH−B1およびNBD−022、NBD−021およびLH−22、NBD−020およびLH−22、LH−11およびLH−22、LH−21およびLH−22、LH−31およびLH−22、LH−B1およびLH−22、NBD−021およびLH−32、NBD−020およびLH−32、LH−11およびLH−32、LH−21およびLH−32、LH−31およびLH−32、ならびにLH−B1およびLH−32)、
e)低レベルおよび高レベルヒドロキシプロポキシ含有量L−HPCであって、粗粒子および中間粒子L−HPCの組み合わせでもあるもの(例、次の組み合わせのうちの任意の1つ:LH−11およびLH−22、LH11およびNBD−022、LH−B1およびLH−22、ならびにLH−B1およびNBD−022)、
f)低レベルおよび高レベルヒドロキシプロポキシ含有量L−HPCであって、粗粒子および微粉粒子L−HPCの組み合わせでもあるもの(例、次の組み合わせのうちの任意の1つ:LH−11およびLH−32、ならびにLH−B1およびLH−32)、または
g)低レベルおよび高レベルヒドロキシプロポキシ含有量L−HPCであって、中間粒子および微粉粒子L−HPCの組み合わせでもあるもの(例、次の組み合わせのうちの任意の1つ:LH−22およびLH−31、NBD−022およびLH−31、LH−21およびLH−32、NBD−021およびLH−32、ならびにNBD−020およびLH 32)。
【0023】
したがって、たとえば本発明のプレスコート錠剤は以下を含んでもよい。
(a)1つまたはそれ以上の活性成分を含むコア、および
(b)コアを囲み、かつワックスと、LH−21と、LH−32とを含む浸食可能な遅延放出バリアであり、ここでワックスおよび全L−HPCは、ワックス対全L−HPCが30%:70%から70%:30%の重量比にて提供される。
【0024】
代替的な組み合わせ、たとえばNBD−022およびLH−32を含む組み合わせなどが選択されてもよい。
【0025】
放出バリアにおける一方のL−HPCグレード対他方のL−HPCグレードの重量比は、5%:95%から95%:5%、15%:85%から85%:15%、または30%:70%から70%:30%であってもよい。各グレードのL−HPCの比率は、理想的な放出プロファイルを達成するように制御されてもよい。
【0026】
放出バリア内の中間、微粉、および/または低レベルヒドロキシプロポキシ含有量L−HPCに対して、増加した量の粗および/または高レベルヒドロキシプロポキシ含有量L−HPCを提供すると、浸食速度が増加し得る。
【0027】
たとえば、粗および/または高レベルヒドロキシプロポキシ含有量L−HPC:中間、微粉、および/または低レベルヒドロキシプロポキシ含有量L−HPCの重量比>50%:<50%、>55%:<45%、>60%:<40%、>70%:<30%、>80%:<20%、または>90%:<10%を用いる。したがって、放出バリアはLH−32よりも多くのLH−11を含み得る。本発明のワックスは、放出層の内容物をコアの外側に一緒に結合できる任意の薬学的に許容できるワックスであってもよい。当業者は好適なワックスをよく認識しており、たとえばワックスは蜜ロウ、マイクロクリスタリンワックス、グリセリルエステル、硬化ヒマシ油、もしくはカルナウバロウ、またはワックスの任意の組み合わせからなる群の任意のものから選択されてもよい。ワックスはベヘン酸グリセロールであってもよい。ワックスおよびL−HPCは、30:70重量%から70:30重量%、30:70重量%から65:35重量%、30:70重量%から60:40重量%、30:70重量%から55:45重量%、または30:70重量%から50:50重量%の比率で提供されてもよい。
【0028】
本発明に従う遅延放出バリアは浸食可能である。これは、当業者が熟知している技術用語である。しかし疑いを避けるために、この用語は、遅延放出バリア層が錠剤から継続的に遊離されることを意味するものと理解されてもよい。このプロセスは漸進的であり、2時間から12時間かかる。このプロセスは、比較的少量の水の存在下でも適切に機能できる。
【0029】
コアは、1つまたはそれ以上の活性成分を含む。加えてコアは、任意のその他の薬学的に許容できる賦形剤または希釈剤を含んでもよい。コアはマトリックスを含んでもよく、そのマトリックス内に1つまたはそれ以上の活性成分が提供されてもよい。持続的態様で活性成分を保持および放出するために好適なマトリックスは、当業者に周知である。
【0030】
活性成分は、治療的(予防を含む)処置の方法において用いられる任意の薬剤であってもよい。本発明に従って調合された錠剤は、任意の治療薬剤の投与のためのビヒクルであり得ることが示されている。たとえば活性成分は、以下のうちの任意の1つまたはそれ以上の処置に用いるための任意の薬剤であってもよい。中枢神経系障害(例、神経因性疼痛、脳卒中、認知症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ニューロンの変性、髄膜炎、脊髄損傷、脳血管痙攣、筋萎縮性側索硬化症)、心血管疾患(例、高血圧、アテローム性動脈硬化、アンギナ、動脈閉塞、末梢動脈疾患、心筋の病態、不整脈、急性心筋梗塞、心筋症、うっ血性心不全、冠動脈疾患(CAD:coronary artery disease)、頚動脈疾患、心内膜炎、高コレステロール血症、高脂血症、末梢動脈疾患(PAD:peripheral artery disease)、またはそれらの任意の組み合わせ)、尿生殖器障害(例、勃起不全、泌尿器疾患良性前立腺肥大(BPH:benign prostatic hypertrophy)、尿細管性アシドーシス、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、糸球体硬化症、尿路感染症、便失禁、またはそれらの任意の組み合わせ)、眼の疾患(例、緑内障、眼瞼炎、高眼圧症、網膜症、結膜炎、強膜炎、網膜炎、角膜炎、角膜潰瘍、虹彩炎、脈絡網膜の炎症、黄斑浮腫、眼球乾燥症、またはそれらの任意の組み合わせ)、肺疾患(例、喘息、肺高血圧症、急性呼吸困難症候群、COPD、気腫、肺炎、結核、気管支炎、急性気管支炎、気管支拡張症、細気管支炎、気管支肺異形成、綿肺症、コクシジオイデス症(Cocci:coccidioidomycosis)、嚢胞性線維症、インフルエンザ、肺癌、中皮腫、またはそれらの任意の組み合わせ)、代謝疾患(例、高カルシウム尿症、高血糖症、高インスリン性低血糖症、インスリン過剰症、高リジン尿症、低血糖症、またはそれらの任意の組み合わせ)、外分泌および内分泌疾患(例、アジソン病、低アルドステロン症、クッシング症候群、糖尿病、甲状腺腫、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺炎、膵炎、またはそれらの任意の組み合わせ)、肝障害(例、肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患、硬変症、肝癌、原発性硬化性胆管炎、原発性胆汁性肝硬変、バッド・キアリ症候群、またはそれらの任意の組み合わせ)、自己免疫疾患および炎症性疾患(例、多発性硬化症関節リウマチ、乾癬、糖尿病、サルコイドーシス、アジソン病、円形脱毛症、筋萎縮性側索硬化症、強直性脊椎炎、多発関節炎、アトピー性アレルギー、アトピー性(topic)皮膚炎、自己免疫性肝炎、セリアック病(celiac disease)、シャーガス病、セリアック病(coeliac disease)、コーガン症候群、クローン病、クッシング症候群、1型真性糖尿病、子宮内膜症、好酸球性筋膜炎、線維筋痛症/線維筋炎、胃炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS:guillain−barre syndrome)、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、特発性炎症性脱髄性疾患、特発性肺線維症、間質性膀胱炎、若年性特発性関節炎、若年性関節リウマチ、川崎病、苔癬硬化症、紅斑性狼瘡、メニエール病、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、悪性貧血、静脈周囲脳脊髄炎、リウマチ性多発筋痛症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬性関節炎、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、統合失調症、シェーグレン症候群、脊椎関節症、潰瘍性大腸炎、またはそれらの任意の組み合わせ)、筋骨格障害(例、変形性関節症、骨粗鬆症、骨壊死、関節炎、パジェット病滑液包炎、肋軟骨炎、腱炎、またはそれらの任意の組み合わせ)、皮膚障害(例、ざ瘡、脱毛、カンジダ症、蜂巣炎、皮膚炎、湿疹、表皮水泡症、紅色陰癬、ヘルペス、丹毒、毛包炎、膿痂疹、白癬(ringworm)、疥癬、白癬症(tinea)、黄菌毛症、またはそれらの任意の組み合わせ)、ENT障害(例、耳炎、副鼻腔炎、喉頭炎、咽頭炎、喉頭炎、メニエール病、迷路炎、またはそれらの任意の組み合わせ)、胃腸障害(例、過敏性腸症候群(IBS:irritable bowel syndrome)、壊死性腸炎(NEC:necrotizing entercolitis)、非潰瘍性胃腸症、慢性腸偽閉塞、機能性胃腸症、結腸偽閉塞、十二指腸胃逆流(colonic pseudo−obstructioduodenogastric reflux)、胃食道逆流性疾患、イレウス炎症、胃不全麻痺、胸やけ、便秘症−たとえばオピオイドなどの薬物の使用に関連する便秘症など−、結腸直腸癌、結腸ポリープ、憩室炎、結腸直腸癌、バレット食道、消化管内の出血、セリアック病、結腸ポリープ、便秘症、クローン病、周期性嘔吐症候群、胃排出遅延(胃不全麻痺)、下痢、憩室症、十二指腸潰瘍、便失禁、胆石、消化管内のガス、胃炎、胃食道逆流性疾患(GERD:gastroesophageal reflux disease)、胸やけ、裂孔ヘルニア、血色素症、痔核、裂孔ヘルニア、ヒルシュスプルング病、消化障害、鼡径ヘルニア、乳糖不耐症、消化性潰瘍、ポリープ、ポルフィリン症、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、直腸炎、急速な胃排出、短腸症候群、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、潰瘍、ウィップル病、またはそれらの任意の組み合わせ)、急性および/または慢性疼痛、ウイルス感染症、癌、喉頭炎、乳様突起炎、鼓膜炎、中耳炎、鼻炎、副鼻腔炎、唾液腺炎、扁桃咽頭炎、あるいはそれらの任意の組み合わせ。
【0031】
したがって、活性成分はパラセタモール、メトホルミン、およびジクロフェナクの任意の1つまたは組み合わせであってもよい。
【0032】
上述のとおり、遅延放出バリアはコアを囲む。放出バリアは、コアの表面を横切って0.5mmから3mm+/−10%の厚さで提供されてもよい。コアと遅延放出バリアとの間に、1つまたはそれ以上の機能化層が提供されてもよい。
【0033】
本発明の錠剤は、プレスコート錠剤である。当業者はこの技術用語をよく認識しているだろう。しかし疑いを避けるために、プレスコート錠剤とは、コアの外表面に圧力によって施される層(例、遅延バリア)でコートされたコアを有する錠剤である。
【0034】
プレスコート錠剤は、pH依存性であっても非依存性であってもよく、機能的であっても審美的であってもよく、かつ任意に活性成分を含有してもよい1つまたはそれ以上のコーティングを含んでもよい。この1つまたはそれ以上のコーティングは、胃における放出を防ぐことが意図された胃耐性コーティングであってもよく、これによって遅延放出のためのクロックは錠剤が胃を通り過ぎるまで開始しない。こうした1つまたはそれ以上のコーティングは、遅延放出バリアの外側にあってもよい。
【0035】
遅延放出バリアおよび/または1つもしくはそれ以上のコーティングは、活性成分をさらに含んでもよい。遅延放出バリアおよび/または1つもしくはそれ以上のコーティング中の活性成分は、コアの活性成分または複数の活性成分と同じであっても異なっていてもよい。代替的に、遅延放出バリアおよび/またはその他のコーティングは、活性成分を含まない。
【0036】
上記から明らかであるとおり、放出の制御および放出に対する遅れ時間は、次の任意の1つまたは組み合わせによって制御されてもよい。
1)L−HPC対ワックスの比率、
2)コア錠剤上に圧縮されたバリア層の厚さ、および
3)異なるL−HPCグレードの互いに対する比率。
【0037】
錠剤はさらに頂部層(すなわち、コアおよび浸食可能遅延放出層の外側の層、おそらくは最も外側の層)を含んでもよく、この頂部層は、コア内の薬物と同じかまたは異なる薬物を含む任意の即時放出層を含有してもよい。この設計の錠剤に上述のコーティングが加えられてもよいし、代替的には前に記載したとおりにすでにコートされた錠剤に頂部層が加えられてもよい。
【0038】
本発明の第2の局面において、本発明の第1の局面に従うプレスコート錠剤を作製する方法が提供され、この方法は以下のステップを含む。
a)活性成分ならびに薬学的に許容できる賦形剤および/または希釈剤を混合および圧縮してコアを形成するステップ、
b)1つまたはそれ以上のワックスおよび2つまたはそれ以上のL−HPCを混合し、得られた混合物をコアの外表面の周りに圧縮してバリア層を形成するステップ。
【0039】
本発明の第1の局面のすべての特徴は、本発明の第2の局面に適用されることが理解されてもよい。
【0040】
圧縮コアを形成する前に、活性成分は、任意には湿潤顆粒化法において薬学的に許容できる賦形剤および/または希釈剤によって顆粒化されてもよいし、乾燥粉末混合物として混合されてもよい。圧縮コアを形成する前に、顆粒またはコア粉末混合物は、付加的な薬学的に許容できる賦形剤および/または希釈剤と混合されてもよい。コアは、たとえば射出成形または3D印刷などの代替的手段によって作られてもよい。
【0041】
ワックスは、L−HPCと混合する前に加熱されることで、撹拌または冷却による顆粒化の際に顆粒を形成してもよいし、L−HPCと混合されてから、コアの外表面の周りに圧縮される前にホットメルト顆粒化プロセスにおいてともに加熱されてもよい。
【0042】
反対のことが示されない限り、本明細書に提供されるすべての条件は、100kPa(すなわち0.987atm、1バール)および20℃にて測定されている。
【0043】
反対のことが示されない限り、本発明がリストから選択される特徴またはそれらの任意の組み合わせによって定義されるとき、各組み合わせは、本発明の一部を形成し得る単一の任意に述べられた特徴として本明細書に個別に開示されたものと考えられる。
【0044】
状況がこの可能性を除外しない限り、本発明のすべての任意の特徴は、本発明の他の任意の特徴と組み合わされてもよい。
【0045】
ここで図面を参照して、例として本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】即時放出または徐放のいずれであってもよい薬物含有コア錠剤と、放出の遅延を制御する外側浸食可能バリア層とを含む、本発明の遅延放出錠剤を示す図である。参照番号1は錠剤コアを示し、参照番号2は浸食可能バリア層を示す。
図2】バリア層の組成物におけるワックス:崩壊剤の異なる比率と、固定した放出バリア重量と、固定したLH21:32比率とを有する、本発明に従う錠剤に対して得られた溶解プロファイルを示す図である。
図3】放出バリアのワックス含有量を一定に保ち、組み合わせたL−HPCの比率も一定だが、L−HPCの組み合わせを変えたときの、本発明に従う錠剤に対して得られた溶解プロファイルを示す図である。
図4】本発明に従う錠剤に対して得られた溶解プロファイルを示す図であり、ここで放出バリアのワックス含有量および放出バリアの全重量は一定に保たれている。しかし、この研究に用いられるL−HPC(LH−21およびLH−32)の比率を変えている。
図5】本発明に従って調製された、コアから放出させる活性成分を変化させた錠剤に対する溶解プロファイルを示す図である。
図6】変動する放出バリアの厚さと、放出バリアの固定した製剤含有量とを伴う、本発明に従う錠剤に対して得られた溶解プロファイルを示す図である。
図7】本発明に従って作製された錠剤の浸食の画像(B)を、単一グレードのL−HPCのみを含む錠剤の破裂(A)と比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
1.錠剤の構造
本発明の製剤は、活性成分または複数の活性成分の遅延放出のための処置を提供する。この製剤は、簡単なよく理解された医薬プロセスによって製造されるプレスコート錠剤である。放出前の遅れ期間の制御は、錠剤中の錠剤構造(図1)を形成するように薬物含有コア錠剤の周りに圧縮コートされたバリア層の着実な浸食によって達成される。2つまたはそれ以上の異なるグレードの低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、好ましくは異なる粒径を有するもの、好ましくは少なくとも1つの小さい粒径および1つの大きい粒径を有するものを組み合わせることによって、延長した期間にわたる浸食の制御が達成される。
【0048】
2.コア錠剤の製造
たとえばヒトなどによる摂取のために適切なサイズであれば、任意のコア錠剤が用いられてもよい。この実施例においては、即時放出コア錠剤を提供するために、次の湿潤顆粒化プロセスを用いた。
【0049】
【表1】
【0050】
顆粒化プロセスに用いた水の重量は、最終混合物重量の約72%w/w(または顆粒内混合物重量の81%w/w)である。6mmの両凸パンチおよびダイを用いて、100mgのコア混合物をプレスして4〜5kpの硬度および3.4mm±0.17mmの厚さにする。
【0051】
3.浸食可能バリア層顆粒の製造
【0052】
【表2】
【0053】
・ すべての賦形剤を、タンブリング作用を用いて5分間混合する。
・ (他の適切な溶融顆粒化プロセスが好適であるが)ホットメルト顆粒化によって混合物を処理する。まだ温かいうちに、1mmのふるいを有する振動造粒機に顆粒を通して、回収する。
【0054】
製剤圧縮:
10mmの両凸パンチおよびダイを用いる標準的な圧縮コート技術を用いて、6mmコア錠剤の周りに浸食可能バリア層顆粒を圧縮して、5キロポンドから10キロポンドの硬度にする。顆粒の均一な層によって、コア錠剤を完全にコートする。
【0055】
4.インビトロ薬物放出の研究
自動ADT8 USP溶解タイプII装置(TDT08Lバス(Bath)1105230、エレクトロラボ社(Electrolab Inc.)、キューパーティーノ(Cupertino)、USA)を用い、37℃±0.5℃にてパドルを50rpmで動作して、本発明に従って調製した錠剤に対する溶解研究を行った。900mlのpH6.8リン酸緩衝液において溶解を行った。溶解媒体のサンプルを5分ごとに回収し、SP700高性能(High Performance)UV可視分光計(Visibility Spectrometer)(T70+18−1815−1−0054、PGインスツルメンツ社(PG Instruments Ltd.)、ウィブトフト(Wibtoft)、U.K.)を用いたUV分析によって測定した。100%薬物放出に対する吸光度を得るために、ブランクとしてpH6.8リン酸緩衝液を用いて、溶解の前に錠剤調製物ごとの活性成分に対する適切な標準サンプルを測定した。
【0056】
5.混合物中のL−HPCの割合の変化の放出に対する影響
【0057】
【表3】
【0058】
表1は、表1に示されるワックス対L−HPCの割合を有し、上記番号付きパラグラフ2および3の記載に従って製造された本発明に従う組成物からの、ジクロフェナクカリウムの(上記4.に記載したとおりの)放出プロファイルの調査の結果を示す。各テスト錠剤中のベヘン酸グリセロール(すなわちワックス)の量は一定に保ち、L−HPCの割合を変化させた。その結果は、放出バリアにおいて1つのグレードのL−HPC対別のグレードのある割合を混合することによって、遅延放出層の浸食およびその後のコアからの放出時間を制御できることを明らかに示している。
【0059】
6.活性成分の放出に対する遅延放出バリアの重量増加の影響
【0060】
【表4】
【0061】
表2は、表2に示されるワックス対L−HPCの割合を有し、上記番号付きパラグラフ2および3の記載に従って製造された本発明に従う組成物からの、ジクロフェナクカリウムの(上記4.に記載したとおりの)放出プロファイルの調査の結果を示す。その結果は、放出バリアの厚さの増加がジクロフェナクカリウムの放出に対する遅れ時間の増加に対応することを示し、それによって本発明の放出バリアの厚さを制御することによる放出の可制御性を示している。
【0062】
6.放出バリアにおけるワックス対L−HPCの割合の変動の影響
下に示されるワックス対L−HPCの割合を有し、上記番号付きパラグラフ2および3の記載に従って製造された本発明に従う組成物からの、ジクロフェナクカリウムの(上記4.に記載したとおりの)放出プロファイルの調査。ワックス対崩壊剤の比率は、30:70から70:30を用いた(固定したLH21:32比率および一定の放出バリア重量を伴う)。
i.30:70(LH21:LH32比を38:68に維持)
ii.40:60(LH21:LH32比を38:68に維持)
iii.50:50(LH21:LH32比を38:68に維持)
iv.70:30(LH21:LH32比を38:68に維持)
【0063】
結果を図2ならびに表3および表4に示す。放出バリアのワックス含有量が増加すると、放出前の遅れ時間が長くなる。ここでは、使用したLH混合組成物のうち70:30錠剤が研究の時間枠内にコア錠剤から活性を放出しなかったことが見出された。
【0064】
【表5】
【0065】
バリア層の組成物中の異なる比率のワックス:崩壊剤、固定した放出バリア重量、および固定したLH21:32比率によって得られた溶解データは、即時放出コアに含有されたジクロフェナクによって、放出前の遅延に対する合計ワックス含有量の影響を示す。
【0066】
【表6】
【0067】
バリア層の組成物中の異なる比率のワックス:崩壊剤、および固定したLH21:32比率を有する、上記溶解プロファイルを得るために用いた製剤の組成。
【0068】
7.溶解プロファイルに対するL−HPCのグレード組み合わせの影響
図3は、表5に示されるワックスおよびL−HPCの組み合わせの割合を有し、上記番号付きパラグラフ2および3の記載に従って製造された本発明に従う組成物からの、ジクロフェナクカリウムの(上記4.に記載したとおりの)放出プロファイルの調査の結果を示す。放出バリアのワックス含有量を一定に保ち、組み合わせたL−HPCの比率も一定に保っている。
【0069】
下記のデータは、バリア層の同じ固定比率内で異なる化学的性質を有するL−HPCのグレードを組み合わせることが、活性成分の放出に対する遅れ時間に有意な影響を有し得ることを示す。これによって、L−HPCの組み合わせの制御によって放出プロファイルの良好なレベルの制御を達成し得ることが示される。
【0070】
【表7】
【0071】
一般的に、高レベルヒドロキシプロポキシ含有量を有するL−HPCの組み合わせの選択はより短い遅延期間を提供し(LH−21およびLH−31の組み合わせを参照)、低レベルヒドロキシプロポキシ(hydroxypropyl)含有量を有するL−HPCの組み合わせの選択はより長い遅延期間を提供する(NBD−022およびLH−32を参照)ことが分かるのに対し、ヒドロキシプロポキシ含有量の組み合わせを有するL−HPCの選択は中間の放出遅れ時間を提供する。加えて、大きく異なる粒径を有するL−HPCの組み合わせの選択は、放出遅れ時間を有意に変え得る。LH−21およびNBD−022(どちらも中間サイズの粒子)の結果と、LH−11およびLH−32(それぞれ粗(course)粒子および微粉粒子を提供する)の結果とを比較されたい。
【0072】
8.一定の重量およびワックスを有する放出バリアにおけるL−HPCの組み合わせの割合の影響
図4は、表6に示されるワックスおよびL−HPCの組み合わせの割合を有し、上記番号付きパラグラフ2および3の記載に従って製造された本発明に従う組成物からの、ジクロフェナクカリウムの(上記4.に従う)放出プロファイルの調査の結果を示す。放出バリアのワックス含有量および放出バリアの全体重量は一定に保っている。この研究に用いたL−HPC(LH−21およびLH−32)の比は次のとおりである。25:75、50:50、75:25、および90:10。
【0073】
下のグラフから分かるとおり、LH21に対するLH32の量を増加させることによって、遅延時間の増加が得られる。過去の研究では、LH32を単独で用いたときに(すなわち、単一グレードのL−HPCのみが放出バリアに組み込まれたという事実を除き、本発明に従う製剤において)、LH21を単独で用いたときよりも長い遅れ時間を提供することを見出した。この単一L−HPC製剤に見出された問題点は、単独で用いられるときにLH32が浸食せず、代わりに製剤は破裂機構によって開いてしまうことであった。したがって、LH比率を操作することによって、浸食という主要な特性を維持しながら、より長い遅れ時間にわたるより制御された放出が可能になる。
【0074】
【表8】
【0075】
9.錠剤コアにおける異なる活性成分の影響
図5は、錠剤コア内の活性成分が、活性成分の放出前の遅れ期間に影響しないことを示す。各錠剤に対するワックスおよびL−HPCの組み合わせの割合は一定に保たれており、表7に示されるとおりである。しかしこの研究の錠剤は、それらのコアに提供された活性成分の選択が互いに異なっている。研究錠剤のコアに組み込んだ異なる活性成分は、以下から選択される。パラセタモール25mg、メトホルミン25mg、およびジクロフェナク25mg。
【0076】
(上記4.に従う分析を行った後の)結果から分かるとおり、本発明の製剤の性能は、その製剤が送達する活性成分の選択に影響されなかった。したがって、本発明の錠剤は、経口投与される任意の活性成分の送達のための良好なビヒクルであると結論付けることができる。
【0077】
【表9】
【0078】
10.放出バリアの厚さの影響
図6は、表8に提供された割合を有し、上記番号付きパラグラフ2および3の記載に従って製造された本発明に従う組成物からの、ジクロフェナクカリウムの(上記4.に記載されるとおりの)放出プロファイルに対する、放出バリアの厚さの影響の調査の結果を示す。各錠剤に対するワックスおよびL−HPCの組み合わせの割合は一定に保っており、すなわちGB:LH21:LH32に対して42:22:36である。
【0079】
図6から分かるとおり、コア錠剤に加えるバリア層の量を増やすことによって、放出前の遅延時間の増加が得られる。層を明らかにするために半分に割った錠剤に対してデジタルカリパスを用いて、厚さを測定した。放出バリアの厚さに対する値を得るために、錠剤の全体の厚さからコアの厚さに対する値を差し引いた。
【0080】
【表10】
【0081】
11.製剤における単一L−HPCと比べたときのL−HPCの組み合わせの影響
本発明に従い、上記2.および3.に記載されるとおりに第1の錠剤を調製した。放出層の58重量%のLH−32(すなわち製剤中の唯一のL−HPC)を含んだという事実のみが異なる第2の錠剤を調製した。上記4.の記載に従って、各錠剤の浸食を調査した。各錠剤に対する活性薬剤の放出時点で撮った画像を、第2の錠剤に関して図7(A)に、第1の錠剤に関して図7(B)に取り込んでいる。
【0082】
これらの画像から、単一のL−HPCのみを含む製剤は急激に破裂してクラムシェル状になったのに対し、本発明に従って調合された錠剤はより漸進的な浸食を示したことが明らかである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B