特許第6774114号(P6774114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774114
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】衛生用具
(51)【国際特許分類】
   A47K 7/08 20060101AFI20201012BHJP
   A41D 19/015 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   A47K7/08
   A41D19/015 610A
   A41D19/015 610Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-76825(P2019-76825)
(22)【出願日】2019年4月15日
(65)【公開番号】特開2020-11046(P2020-11046A)
(43)【公開日】2020年1月23日
【審査請求日】2019年6月19日
(31)【優先権主張番号】特願2018-129780(P2018-129780)
(32)【優先日】2018年7月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】500179459
【氏名又は名称】エース消毒株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083172
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 豊明
(72)【発明者】
【氏名】高坂 敏行
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−047463(JP,A)
【文献】 韓国公開実用新案第20−2013−0003788(KR,U)
【文献】 独国実用新案第20006798(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 7/02、7/08
A41D 19/00、19/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掌と甲の指の付け根付近を包む基袋部と、
少なくとも人差し指と中指に対応し、前記基袋部から延設された指袋と、
前記人差し指と中指に対応する指袋の掌側に、掌から指先に突出した長さに渡って挿通された弾性材と、
前記弾性材の突出部に掌側に膨らんだ状態で取り付けられた膨潤体と、
前記人差し指と中指に対応する指袋に挿通された弾性材の間から手の甲側に突出したペーパー止めと、
を備えたことを特徴とする衛生用具。
【請求項2】
掌側に、前記ペーパー止めに一端を係止された掌側にまわされたトイレットペーパーの他端を係止するクリップを設けた、請求項1に記載の衛生用具。
【請求項3】
前記膨潤体が棒状体の先端に固定され、前記ペーパー止めがスラストロック機構を介して筒体に挿抜可能に構成された、請求項1に記載の衛生用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は身体を清浄に保つ用具に関し、特に用便後の肛門付近を清浄にする衛生用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウォッシュレットの便器が普及している今日であっても、前記用便後に肛門付近をトイレットペーパーで拭いて清浄にすることがなされている。一方、本人が全く手を煩わすことなく大便を処理できる用具がたとえば特表2018-503497に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-503497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
体が不自由な人、例えば、老人、太った人、身体障害者等が、用便後に肛門の近辺を清浄にする処理をしようとしても、手が肛門付近にまで届かないことがあり、処理が困難な場合がある。ただし、若干の手助けがあれば、前記特表2018-503497号に開示されるように全く手を煩わすことがないような用具を使用する必要がない場合がある。
【0005】
加えて、近年女性の間でネールアートを施すことが流行している。この場合、たとえ後で手を洗うにしても手をできるだけ不潔な状態から隔離したいという意識が働くことになる。この意識は、ネールアートを施していなくても潔癖な人には働く意識である。
【0006】
本発明は上記従来の事情に鑑みて提案されたものであって、体が不自由な人であっても、自分で肛門の周囲の清浄処理ができ、また健全な人であっても手を不潔な環境に曝すことなく肛門の周囲の清浄処理ができる衛生用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
手袋の指の付け根付近を包む部分である基袋部を構成し、少なくとも人差し指と中指に対応した指袋を前記基袋部から延設する。当該2本の指袋の掌側に、弾性材を掌から指先に突出した長さに渡って挿通し、当該弾性材の突出部に、膨潤体を掌側に膨らんだ状態で取り付け、前記人差し指と中指に対応する指袋に挿通された弾性材の間で先端部から手の甲側に突出したペーパー止めを設けた構成とした衛生用具である。
【発明の効果】
【0008】
前記ペーパー止めを利用して所定長さのトイレットペーパーを止め、当該トイレットペーパーを前記膨潤体に被せ、人差し指と中指で内側に曲げることによって、前記膨潤体に被ったトイレットペーパーを肛門の付近に接触させることができ、肛門の周囲を人手を借りずに清潔に保つ処理をすることができる。また、各指袋は、差し込んだ指の先端部が露出する構成することによって、体が不自由な人が前記処理をし易くなり、また、差し込んだ指の先端部も覆うことによって、清潔感を持って前記処理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の掌側から見た平面図。
図2】本発明の掌側から見た斜視図。
図3】本発明にトイレットペーパーを装着する手順を示す図。
図4】本発明にトイレットペーパーを装着する手順を示す図。
図5】本発明の別の実施態様の甲側から見た平面図を示す図。
図6図5の実施形態のトイレットペーパー装着状態を示す平面図を示す図。
図7図5の実施形態の掌側から見た平面図を示す図。
図8図7の実施耐用の詳細図。
図9図7の更に詳しい内部図。
図10】本発明の掌側から見た別の実施態様を示す図。
図11図10の実施態様の甲側から見た図。
図12図10のトイレットペーパーを装着する手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施例1>
図1は本発明に係る衛生用具の左手の掌側から見た平面図、図2は本発明に係る衛生用具の斜視図である。
【0011】
手袋の指の付け根部から手首側に掌と甲の三分の一程度の大きさの基袋部11に対して、親指を除く4本に指が挿通できる指穴12a、12b、12c、12dが設けられる。この内人差し指と中指については、前記指穴12a、12bに連通する指袋13a、13bが形成される。当該人差し指と中指の、指袋13a、13bには、当該指袋13a、13bの長さ方向に渡って板状弾性材14a、14bが、掌側に位置するように固定されている。尚、当該板状弾性材14a、14bは、以下の操作に当たって皮膚に直接触れないように、柔らかい素材で被覆しておくのがよい。また、前記板状弾性材14a、14bは、前記指袋13a、13b内に挿通してもよいし、また、前記指袋13a、13bの外側の掌側に貼り付けてもよい。図1では、スポンジ状の緩衝材17で保護した前記指袋13a、13bを補強シート18で人差し指と中指の、指袋13a、13b上に貼り付けている。
【0012】
この板状弾性材14a、14bは、指袋13a、13bの先端に指より長い位置にまで突出しており、その先端の突出部には前記両方の板状弾性材14a、14bに跨って肌に触れて硬く感じない程度の柔らかさ(例えば、エラストマーで成型された)で、掌側に膨らんだ膨潤体15が設けられる。また、図2に示すように、前記板状弾性材14a、14bの先端の間には甲側に突出するピン状のペーパー止め16が設けられる。
【0013】
図3、4は、上記構成の衛生用具の使用方法を示すものである。
【0014】
まず、図3に示すように所定長さのトイレットペーパー21の一端を前記ペーパー止め16に突き刺して固定する。次いで、図4に示すように前記トイレットペーパー21の他端を掌側に回して、前記膨潤体15を覆うようにする。この状態で当該衛生用具を手に嵌める。このとき、親指は前記基袋部11の外に出ているので、トイレットペーパー21の他端を押さえることになり、当該トイレットペーパー21を安定させることができる。また、人差し指、中指の掌側は板状弾性材14a、14bに前記緩衝材17を介して触れており、人差し指、中指を掌側に曲げると、トイレットペーパー21を操作することができることになり、また、前記人差し指、中指の曲げる力を緩めると、元の状態に戻ることになる。
【0015】
前記トイレットペーパー21を装着した状態で、当該衛生用具を手にはめ、用便が終わった状態で前記の操作をすることによって、肛門の周囲にトイレットペーパー21を触れさせることができ、肛門の周囲を清浄にすることができる。
【0016】
尚、人差し指と中指のみに指袋をつけるようにしたが、薬指、小指にも付けてもかまわないことは勿論である。
<実施例2>
上記の実施例は、体の不自由な人が使用し易いように、前記基袋部11を嵌めた状態で、人差し指や中指の先端部、薬指、小指全体が指袋よりはみ出して露出するようにして、指の動きが清浄処理にスムーズに伝達される構成になっている。しかしながら、健常者であっても清潔感覚の強い人は、できるだけ露出部分が少ない状態で肛門の周囲を処理したいという要望がある。
【0017】
図10は上記の要望を満たす実施例の掌側から見た状態を示すものであり、図11は手の甲側から見た状態を示すものである。
【0018】
前記基袋部11に対して、人指し指から小指に対応する指穴12a〜12dは、指先が露出しないように指袋13a〜13dが設けられる。当該人差し指と中指の、指袋13a、13bには、当該指袋13a、13bの長さ方向および幅方向に渡って、柔らかい緩衝材17で被覆された、板状弾性材14が、掌側に位置するように固定されている。
【0019】
この板状弾性材14は、指袋13a、13bの先端位置より先の位置まで突出しており、その先端部には前記板状弾性材14の掌側に膨らんだ膨潤体15が設けられる。更に、図2と同様に、前記板状弾性材14の先端の中央には甲側に突出するピン状のペーパー止め16が設けられる。
【0020】
更に、基袋部11の人指し指と中指に対応する位置の掌側(前記板状弾性材14の基端部)には親指の第二関節より先端側の指袋13eが先端の動きを自在にして取り付けられる。
【0021】
この構成の衛星具の使用時には、図12に示すように、実施例1で説明した場合と同様に、トイレットペーパー21を手の甲側から掌側に回して、前記膨潤体15を覆うように取り付ける点は全く同じである。この状態で当該衛生用具を手に嵌めるのであるが、このとき、親指は指袋14eに嵌め込んでおく。前記指袋14eに嵌め込んだ親指は、当該親指の第二関節のより先端の動きに対応して自由に動くので、前記実施例1の場合と同様、トイレットペーパー21の他端を押さえることができ、当該トイレットペーパー21を安定させることができトイレットペーパー21を安定させることができる。
【0022】
当該実施例2の衛星具では、全く手を汚すおそれがなく、肛門の周囲を清浄にすることができ、健常者であって、指先を汚したくないという意識の持ち主であっても使用することが可能となる。
【0023】
尚、上記実施例1、2で弾性材として板状弾性材を使用したが、特に板状にこだわるものであなく、線状であってもかまわない。
<実施例3>
図5は、本発明の別の実施耐用を示す図(左手甲側)である。
【0024】
図4に示すように、トイレットペーパーの先端がペーパー止め16で固定されることになるが、この先端の止めが外れる虞れがある。そこで、図5図6に示すように前記ペーパー止め16の先端に抜け止め31が嵌められる。
【0025】
当該抜け止め31は、前記ピン状のペーパー止め16の先端に嵌り込む穴311を備えており、ペーパー止め16に、紐等312で結ばれている。前記トイレットペーパーの先端がペーパー止め16で固定されると、図6に示すようにペーパー止め16の先端に抜け止め31の穴311が嵌められる。
【0026】
また、トイレットペーパー21の先端が前記ペーパー止め16で止められ、掌側に回されることになるが、そのトイレットペーパー21の後端は、親指で抑えない限り位置が固定しないことになる。そこで、図6に示すように前記掌側に回されたトイレットペーパー21の後端に対応する位置にクリップ19が取り付けられ、前記後端が当該クリップ19で固定される。
【0027】
使用者は、前記図6に示すように、ペーパー止め16でトイレットペーパー21の先端を止め、掌側に回して、図7に示すように、後端を前記クリップ17で止めてから、手に装着する。これによって親指でトイレットペーパー21の後端を挟まなくても、トイレットペーパー21は安定することになる。
<実施例4>
上記の2例は手袋タイプであるが、図8図9は手袋を用いないタイプの実施の形態を示すものである。
【0028】
棒状体41の先端に、前記膨潤体15が取り付けられる。当該棒状体41の内部に、あるいは棒状体41とは別の筒体42の内部に、ボールペンのスラストロック機構43を組み込み、その先端に、前記スラストロック機構の動作に対応して、前記ペーパー止め16が先端の突き出し口45から出入りする構成とする。
【0029】
図9は、前記ラッチ機構43とペーパー止め16との関係を示す図である。
【0030】
筒体42の内部の後端にプッシュボタン431が設けられ、前記スラストロック機構43を介してプッシュボタン431に連動した芯432が、軸方向に設けられる。前記筒体42の空洞は先端が手の甲方向に湾曲した形状になっており。前記芯432の先端部に接続した可撓性芯433を介して前記ペーパー止め16が接続される。この構成で、前記ペーパー止め16は初期状態では前記湾曲した空洞に収まっているが、プッシュボタン431を一回押すと、スラストロック機構43を介して、前記可撓性芯433は前記ペーパー止め16を押し出し、プッシュボタン431をもう一回押すと、スラストロック機構43を介して、前記可撓性芯433は前記ペーパー留め16を引き戻す構造になっている。すなわち、前記空洞の湾曲部を前記可撓性芯433が挿抜されることになる。
【0031】
上記構成によると、プッシュボタン431を押すことによって、トイレットペーパー21を簡単に装着することができる。逆に、プッシュボタン431を更に押すことによって、トイレットペーパー21を外すことが可能となり、トイレットペーパー21の装着が簡単となる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上説明したように、本発明は著しく太った人、手の動作に多少の支障がある人でも、他人の手を借りずに、肛門の周辺をトイレットペーパーでなぞることができるので、排便後の処理ができることになる。また、健常者であって、手を汚したくない人であっても清潔感を保持することができる。
【符号の説明】
【0033】
11・・基袋部
12a、12b、12c、12d・・指穴
13a、13b、13c、13d、13e・・指袋
14、14a、14b・・弾性材
15・・膨潤体
16・・ペーパー止め
17・・クリップ
21・・トイレットペーパー
31・・抜け止め
41・・棒状体
42・・筒体
42・・突き出し口
43・・スラストロック機構
431・・プッシュボタン
432・・芯可撓性芯
433・・可撓性芯
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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