特許第6774134号(P6774134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6774134
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】農園芸用支柱相互連結具及び農園芸装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/12 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   A01G9/12 Z
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-94560(P2020-94560)
(22)【出願日】2020年5月29日
【審査請求日】2020年7月3日
(31)【優先権主張番号】特願2019-187095(P2019-187095)
(32)【優先日】2019年10月10日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年10月9日〜11日幕張メッセにおいて開催された第13回国際ガーデンEXPOで発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392003225
【氏名又は名称】第一ビニール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085246
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 清一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀夫
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−313557(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3103018(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3206905(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0269246(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0014474(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結する支柱相互連結具であって、連結部材の左右両端部に、上下方向の変位を弾性的に吸収し得る弾性変形部を介して支柱挟持部が設けられており、該支柱挟持部は、前記支柱の長さ方向の所要部位を支柱導入口を通して嵌入させ得る嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された前記支柱を弾性的に挟持できることを特徴とする農園芸用支柱相互連結具。
【請求項2】
農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結する支柱相互連結具であって、連結部材の左右両端部に、上下方向の変位を弾性的に吸収し得る弾性変形部を介して支柱挟持部が設けられており、該支柱挟持部は、前記支柱の長さ方向の所要部位を支柱導入口を通して嵌入させ得る嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された支柱を、対向する挟持片部間で弾性的に挟持でき、前記弾性変形部は、上方に向けて又は下方に向けて凸のU字状部として構成され、該U字状部の一方の端部が前記連結部材の端部に連結されると共に、該U字状部の他方の端部が前記支柱挟持部に連結されていることを特徴とする農園芸用支柱相互連結具。
【請求項3】
農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結する支柱相互連結具であって、連結部材の左右両端部に、上下方向の変位を弾性的に吸収し得る弾性変形部を介して支柱挟持部が設けられており、該支柱挟持部は、前記支柱の長さ方向の所要部位を支柱導入口を通して嵌入させ得る嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された前記支柱を対向する挟持片部間で弾性的に挟持でき、
前記弾性変形部は、上方に向けて凸の第1のU字状弾性変形部と下方に向けて凸の第2のU字状弾性変形部との内端相互が一連に連結されて左右方向に波線状を呈する波線状屈曲部として構成されており、該波線状屈曲部の一方の端部が前記連結部材の端部に連結されると共に、該波線状屈曲部の他方の端部が前記支柱挟持部に連結されていることを特徴とする農園芸用支柱相互連結具。
【請求項4】
農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結する支柱相互連結具であって、直線状を呈する連結部材の左右両端部に、上下方向の変位を弾性的に吸収し得る弾性変形部を介して支柱挟持部が設けられており、該支柱挟持部は、前記支柱の長さ方向の所要部位を支柱導入口を通して嵌入させ得る嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された該所要部位を、対向する挟持片部間で弾性的に挟持し得る横断面C字状のC字筒状体として構成され、該両挟持片部の先側間に前記支柱導入口が形成され、前記支柱導入口の開口幅は前記支柱の径よりも小さく形成されており、左右の該C字筒状体は、前記支柱導入口を左右方向の外方に向けて開口させて配置されており、
前記弾性変形部は、上方に向けて凸の第1のU字状弾性変形部と下方に向けて凸の第2のU字状弾性変形部との内端相互が一連に連結されて左右方向に波線状を呈する波線状屈曲部として構成されており、該波線状屈曲部の一方の端部が前記連結部材の端部に連結されると共に、該波線状屈曲部の他方の端部が前記C字筒状体に連結されており、
前記連結部材の左右両端部の内の一方の端部の下端側に、前記波線状屈曲部の前記第1のU字状弾性変形部の外端が連結されると共に、該波線状屈曲部の前記第2のU字状弾性変形部の外端が前記C字筒状体の外側面の下端側に連結されており、
前記連結部材の左右両端部の内の他方の端部の上端側に、前記波線状屈曲部の前記第2のU字状弾性変形部の内端が連結されると共に、該波線状屈曲部の前記第1のU字状弾性変形部の外端が、前記C字筒状体の前記外側面の上端側に連結されていることを特徴とする農園芸用支柱相互連結具。
【請求項5】
農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結する支柱相互連結具であって、直線状を呈する連結部材の左右両端部に、上下方向の変位を弾性的に吸収し得る弾性変形部を介して支柱挟持部が設けられており、該支柱挟持部は、前記支柱の長さ方向の所要部位を支柱導入口を通して嵌入させ得る嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された該所要部位を、対向する挟持片部間で弾性的に挟持し得る横断面C字状のC字筒状体として構成され、該両挟持片部の先側間に前記支柱導入口が形成され、前記支柱導入口の開口幅は前記支柱の径よりも小さく形成されており、左右の該C字筒状体は、前記支柱導入口を左右方向の外方に向けて開口させて配置されており、
前記弾性変形部は、上方に向けて凸の第1のU字状弾性変形部と下方に向けて凸の第2のU字状弾性変形部との内端相互が一連に連結されて左右方向に波線状を呈する波線状屈曲部として構成されており、該波線状屈曲部の一方の端部が前記連結部材の端部に連結されると共に、該波線状屈曲部の他方の端部が前記C字筒状体に連結されており、
前記連結部材の左右両端部の内の一方の端部の下端側に、前記波線状屈曲部の前記第1のU字状弾性変形部の外端が連結されると共に、該波線状屈曲部の前記第2のU字状弾性変形部の外端が前記C字筒状体の外側面の下端側に、該C字筒状体の正回りの周方向で見て該外側面の左右中央部から前記支柱導入口側に偏倚して連結されており、
前記連結部材の左右両端部の内の他方の端部の上端側に、前記波線状屈曲部の前記第2のU字状弾性変形部の外端が連結されると共に、該波線状屈曲部の前記第1のU字状弾性変形部の外端が前記C字筒状体の前記外側面の上端側に、該C字筒状体の前記正回りの周方向で見て該外側面の前記左右中央部から前記支柱導入口側に偏倚して連結されており、且つ、前記両偏倚の量は等しく設定されていることを特徴とする農園芸用支柱相互連結具。
【請求項6】
農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結する支柱相互連結具であって、直線状を呈する連結部材の左右両端部に、上下方向の変位を弾性的に吸収し得る弾性変形部を介して支柱挟持部が設けられており、該支柱挟持部は、前記支柱の長さ方向の所要部位を支柱導入口を通して嵌入させ得る嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された該所要部位を、対向する挟持片部間で弾性的に挟持し得る横断面C字状のC字筒状体として構成され、該両挟持片部の先側間に前記支柱導入口が形成され、前記支柱導入口の開口幅は前記支柱の径よりも小さく形成されており、左右の該C字筒状体は、前記支柱導入口を左右方向の外方に向けて開口させて配置されており、
前記弾性変形部は、上方に向けて凸の第1のU字状弾性変形部と下方に向けて凸の第2のU字状弾性変形部との内端相互が一連に連結されて左右方向に波線状を呈する波線状屈曲部として構成されており、該波線状屈曲部の一方の端部が前記連結部材の端部に連結されると共に、該波線状屈曲部の他方の端部が前記C字筒状体に連結されており、
前記連結部材の左右両端部の内の一方の端部の下端側に、前記波線状屈曲部の前記第1のU字状弾性変形部の外端が、内側の水平突出部を介して連結されると共に、該波線状屈曲部の前記第2のU字状弾性変形部の外端が前記C字筒状体の外側面の下端側に、外側の水平突出部を介して、該C字筒状体の正回りの周方向で見て該外側面の左右中央部から前記支柱導入口側に偏倚して連結されており、
前記連結部材の左右両端部の内の他方の端部の上端側に、前記波線状屈曲部の前記第2のU字状弾性変形部の外端が、内側の水平突出部を介して連結されると共に、該波線状屈曲部の前記第1のU字状弾性変形部の外端が、前記C字筒状体の前記外側面の上端側に、外側の水平突出部を介して、該C字筒状体の前記正回りの周方向で見て該外側面の前記左右中央部から前記支柱導入口側に偏倚して連結されており、且つ、前記両偏倚の量は等しく設定されていることを特徴とする農園芸用支柱相互連結具。
【請求項7】
下端側の部分が土中に埋設されて立設される複数本の支柱と、請求項1〜6の何れかに記載の農園芸用支柱相互連結具とを具え、該支柱の長さ方向の前記所要部位が前記支柱挟持部の前記嵌入凹部に嵌入されることによって、該支柱相互が該農園芸用支柱相互連結具で連結されていることを特徴とする農園芸装置。
【請求項8】
前記嵌入凹部に前記支柱の所要部位が嵌入された状態で、前記支柱挟持部が、該所要部位の軸線回りに回動可能とされていることを特徴とする請求項7記載の農園芸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農園芸用支柱相互連結具及び農園芸装置に関するものである。より詳しくは、植物の茎や幹を支持する植物栽培棚や、植物相互間に形成される間仕切り、植物に沿って形成されるフェンス、防獣柵等の農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結する支柱相互連結具に関するものであり、又、前記農園芸用構造物を構成するための農園芸装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は特許文献1で、下端側の部分が土中に埋設されて平面視で一直線状やジグザグ状等の配置を呈するように所要間隔で立設された支柱相互を連結する植物栽培用の支柱相互連結具を提供した。該支柱相互連結具を用いて植物栽培棚を構成するに際しては、例えば4本の支柱を、平面視で一直線状やジグザグ状等の配置を呈するように、その下端側の部分を土中に埋設して所要間隔で立設状態に配置した後、隣り合う支柱相互を1段又は複数段で、前記支柱相互連結具により連結していた。
【0003】
そして該連結は、同公報の図8に示されているように、該支柱相互連結具に設けられている支柱挟持部を介して行っており、該支柱挟持部は、同公報の図9に示すようにC字状の挟持部本体を具え、挟持部本体の支柱導入口の開口幅は前記支柱の径よりも小さく設定されていた。然して該連結を行うには、該支柱導入口に前記支柱の長さ方向の所要部位を当てがって後、該支柱を該支柱導入口を通して前記嵌入凹部に押し込み該所要部位を前記嵌入凹部に嵌入させることにより行っていた。
【0004】
しかしながら、支柱をこのように立設状態に配置した後に、隣り合う支柱相互を前記支柱相互連結具により連結する作業は面倒で、植物栽培棚を構成するのに多くの手間と時間を要する問題があった。
【0005】
そこで本出願の発明者は、各支柱を立設状態とした後に支柱相互を連結するのではなく、各支柱を立設するに先立って支柱相互を支柱相互連結具で連結しておくことを想到した。そして、このようにしておけば、各支柱を、その下端側の部分を土中に押込んで立設状態にしさえすれば、隣り合う支柱相互が該支柱相互連結具で連結されてなる植物栽培棚を自ずから構成でき、従って、植物栽培棚の組み立て作業を能率化できるのではないかとの知見を得た。そこで本発明者は、特許文献1が開示する支柱相互連結具を用いて、同公報の図11図12に記載されているような植物栽培棚を組み立てんとした。
【0006】
その一例として本発明者は、相互が前記支柱相互連結具で連結された4本の支柱を用い、耕した地面に該4本の支柱を立て、その後、両端の2本の支柱を両手で把持してその下端側の部分を土中にある程度(例えば10cm程度)押し込んだ後に、中間に位置する2本の支柱を両手で把持してその下端側の部分を土中にある程度(例えば10cm程度)押し込むという作業を、各支柱の下端部分が土中に20〜30cm程度押し込まれた状態となるまで繰り返えせばよいと考えた。しかしながら、実際に試験してみたところ、次のような問題が発生した。即ち、
【0007】
両側の2本の支柱を両手で把持してその下端側の部分を土中にある程度押し込んだとき、中間の2本の支柱は土中にほとんど押し込まれず、両側の支柱と、これに隣り合う中間の支柱との間に段差が生じた。そして、この段差が大きくなるに従って、前記支柱の前記所要部位が前記嵌入凹部から外れる傾向となり、そのうちに該所要部位が該嵌入凹部から外れてしまう問題が発生した。
【0008】
又、植物栽培棚の使用時期が終わって支柱を引き抜く際を想定して、両側の2本の支柱を両手で把持して該支柱をある程度(例えば10cm程度)引き抜こうとしたとき、中間の2本の支柱は、土が降雨等で締め固められた状態にあってほとんど動かず、両側の該支柱と、これに隣り合う中間の支柱との間に段差が生じた。そして、この段差が大きくなるに従って、前記支柱の前記所要部位が前記嵌入凹部から外れる傾向となり、そのうちに該所要部位が該嵌入凹部から外れてしまう問題が発生した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3143858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、例えば前記問題点に鑑みて開発されたものであり、植物の茎や幹を支持する植物栽培棚や、植物相互間に形成される間仕切り、植物に沿って形成されるフェンス、防獣柵等の、複数本の支柱を用い且つ支柱相互が連結されてなる農園芸用構造物を構成するに際し、該農園芸用構造物を作業性よく能率的に構成可能とする農園芸装置の提供を課題とするものである。又、かかる農園芸装置を構成するために用いて好適な農園芸用支柱相互連結具の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る農園芸用の支柱相互連結具の第1の態様は、農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結する支柱相互連結具であって、連結部材の左右両端部に、上下方向の変位を弾性的に吸収し得る弾性変形部を介して支柱挟持部が設けられており、該支柱挟持部は、前記支柱の長さ方向の所要部位を支柱導入口を通して嵌入させ得る嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された前記支柱を弾性的に挟持できることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る農園芸用の支柱相互連結具の第2の態様は、農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結する支柱相互連結具であって、連結部材の左右両端部に、上下方向の変位を弾性的に吸収し得る弾性変形部を介して支柱挟持部が設けられており、該支柱挟持部は、前記支柱の長さ方向の所要部位を支柱導入口を通して嵌入させ得る嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された前記支柱を、対向する挟持片部間で弾性的に挟持でき、前記弾性変形部は、上方に向けて又は下方に向けて凸のU字状部として構成され、該U字状部の一方の端部が前記連結部材の端部に連結されると共に、該U字状部の他方の端部が前記支柱挟持部に連結されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る農園芸用の支柱相互連結具の第3の態様は、農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結する支柱相互連結具であって、連結部材の左右両端部に、上下方向の変位を弾性的に吸収し得る弾性変形部を介して支柱挟持部が設けられており、該支柱挟持部は、前記支柱の長さ方向の所要部位を支柱導入口を通して嵌入させ得る嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された支柱を対向する挟持片部間で弾性的に挟持できる。前記弾性変形部は、上方に向けて凸の第1のU字状弾性変形部と下方に向けて凸の第2のU字状弾性変形部との内端相互が一連に連結されて左右方向に波線状を呈する波線状屈曲部として構成されており、該波線状屈曲部の一方の端部が前記連結部材の端部に連結されると共に、該波線状屈曲部の他方の端部が前記支柱挟持部に連結されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る農園芸用の支柱相互連結具の第4の態様は、農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結する支柱相互連結具であって、直線状を呈する連結部材の左右両端部に、上下方向の変位を弾性的に吸収し得る弾性変形部を介して支柱挟持部が設けられている。該支柱挟持部は、前記支柱の長さ方向の所要部位を支柱導入口を通して嵌入させ得る嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された該所要部位を、対向する挟持片部間で弾性的に挟持し得る横断面C字状のC字筒状体として構成され、該両挟持片部の先側間に前記支柱導入口が形成され、前記支柱導入口の開口幅は前記支柱の径よりも小さく形成されており、左右の該C字筒状体は、前記支柱導入口を左右方向の外方に向けて開口させて配置されている。前記弾性変形部は、上方に向けて凸の第1のU字状弾性変形部と下方に向けて凸の第2のU字状弾性変形部との内端相互が一連に連結されて左右方向に波線状を呈する波線状屈曲部として構成されており、該波線状屈曲部の一方の端部が前記連結部材の端部に連結されると共に、該波線状屈曲部の他方の端部が前記C字筒状体に連結されている。前記連結部材の左右両端部の内の一方の端部の下端側に、前記波線状屈曲部の前記第1のU字状弾性変形部の外端が連結されると共に、該波線状屈曲部の前記第2のU字状弾性変形部の外端が前記C字筒状体の外側面の下端側に連結されている。又、前記連結部材の左右両端部の内の他方の端部の上端側に、前記波線状屈曲部の前記第2のU字状弾性変形部の内端が連結されると共に、該波線状屈曲部の前記第1のU字状弾性変形部の外端が、前記C字筒状体の前記外側面の上端側に連結されていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る農園芸用の支柱相互連結具の第5の態様は、農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結する支柱相互連結具であって、直線状を呈する連結部材の左右両端部に、上下方向の変位を弾性的に吸収し得る弾性変形部を介して支柱挟持部が設けられており、該支柱挟持部は、前記支柱の長さ方向の所要部位を支柱導入口を通して嵌入させ得る嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された該所要部位を、対向する挟持片部間で弾性的に挟持し得る横断面C字状のC字筒状体として構成され、該両挟持片部の先側間に前記支柱導入口が形成され、前記支柱導入口の開口幅は前記支柱の径よりも小さく形成されており、左右の該C字筒状体は、前記支柱導入口を左右方向の外方に向けて開口させて配置されている。前記弾性変形部は、上方に向けて凸の第1のU字状弾性変形部と下方に向けて凸の第2のU字状弾性変形部との内端相互が一連に連結されて左右方向に波線状を呈する波線状屈曲部として構成されており、該波線状屈曲部の一方の端部が前記連結部材の端部に連結されると共に、該波線状屈曲部の他方の端部が前記C字筒状体に連結されている。前記連結部材の左右両端部の内の一方の端部の下端側に、前記波線状屈曲部の前記第1のU字状弾性変形部の外端が連結されると共に、該波線状屈曲部の前記第2のU字状弾性変形部の外端が前記C字筒状体の外側面の下端側に、該C字筒状体の正回りの周方向で見て該外側面の左右中央部から前記支柱導入口側に偏倚して連結されている。又、前記連結部材の左右両端部の内の他方の端部の上端側に、前記波線状屈曲部の前記第2のU字状弾性変形部の外端が連結されると共に、該波線状屈曲部の前記第1のU字状弾性変形部の外端が前記C字筒状体の前記外側面の上端側に、該C字筒状体の前記正回りの周方向で見て該外側面の前記左右中央部から前記支柱導入口側に偏倚して連結されており、且つ、前記両偏倚の量は等しく設定されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明に係る農園芸用の支柱相互連結具の第6の態様は、農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結する支柱相互連結具であって、直線状を呈する連結部材の左右両端部に、上下方向の変位を弾性的に吸収し得る弾性変形部を介して支柱挟持部が設けられており、該支柱挟持部は、前記支柱の長さ方向の所要部位を支柱導入口を通して嵌入させ得る嵌入凹部を有し且つ該嵌入凹部に嵌入された該所要部位を、対向する挟持片部間で弾性的に挟持し得る横断面C字状のC字筒状体として構成され、該両挟持片部の先側間に前記支柱導入口が形成され、前記支柱導入口の開口幅は前記支柱の径よりも小さく形成されており、左右の該C字筒状体は、前記支柱導入口を左右方向の外方に向けて開口させて配置されている。前記弾性変形部は、上方に向けて凸の第1のU字状弾性変形部と下方に向けて凸の第2のU字状弾性変形部との内端相互が一連に連結されて左右方向に波線状を呈する波線状屈曲部として構成されており、該波線状屈曲部の一方の端部が前記連結部材の端部に連結されると共に、該波線状屈曲部の他方の端部が前記C字筒状体に連結されている。前記連結部材の左右両端部の内の一方の端部の下端側に、前記波線状屈曲部の前記第1のU字状弾性変形部の外端が、内側の水平突出部を介して連結されると共に、該波線状屈曲部の前記第2のU字状弾性変形部の外端が前記C字筒状体の外側面の下端側に、外側の水平突出部を介して、該C字筒状体の正回りの周方向で見て該外側面の左右中央部から前記支柱導入口側に偏倚して連結されている。又、前記連結部材の左右両端部の内の他方の端部の上端側に、前記波線状屈曲部の前記第2のU字状弾性変形部の外端が、内側の水平突出部を介して連結されると共に、該波線状屈曲部の前記第1のU字状弾性変形部の外端が、前記C字筒状体の前記外側面の上端側に、外側の水平突出部を介して、該C字筒状体の前記正回りの周方向で見て該外側面の前記左右中央部から前記支柱導入口側に偏倚して連結されており、且つ、前記両偏倚の量は等しく設定されていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明に係る農園芸装置の第1の態様は、下端側の部分が土中に埋設されて立設される複数本の支柱と、前記1〜6の何れかに記載の支柱相互連結具とを具え、該支柱の長さ方向の前記所要部位が前記支柱挟持部の前記嵌入凹部に嵌入されることによって、該支柱相互が該支柱相互連結具で連結されていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明に係る農園芸装置の第2の態様は、前記嵌入凹部に前記支柱の所要部位が嵌入された状態で、前記支柱挟持部が、該所要部位の軸線回りに回動可能とされていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る農園芸用支柱相互連結具は、農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結する支柱相互連結具であって、線状を呈する連結部材の左右両端部に、上下方向の変位を弾性的に吸収し得る弾性変形部を介して支柱挟持部が設けられている。
【0020】
従って本発明によるときは、支柱相互を予め前記農園芸用支柱相互連結具により連結して農園芸装置を構成した後、これを用いて農園芸用構造物を構成する際、複数本の該支柱を、その下端側の部分を土中に押し込んで立設する際、該押し込みの過程で隣り合う支柱間に段差が生じてこの段差が大きくなっても、前記弾性変形部の所要の弾性変形による上下方向の変位の吸収作用によって、前記支柱が前記支柱挟持部から外れてしまうのを防止できる。これによって本発明によるときは、農園芸用構造物、例えば植物栽培棚や、植物相互間に形成される間仕切り、植物に沿って形成されるフェンス、防獣柵等を作業性よく能率的に組み立てることができる。
【0021】
又、例えば前記植物栽培棚を例にとれば、その使用時期が終わったときに前記支柱を手で把持して引き抜く際、手で把持されていない支柱は、土が降雨等で締め固められた状態にあるために抜けにくい。そのため、隣り合う支柱間に段差が生ずることになるのであるが、前記弾性変形部の所要の弾性変形による上下方向の変位の吸収作用によって、前記支柱が前記支柱挟持部から外れてしまうのを防止できる。これによって植物栽培装置は、隣り合う支柱相互が前記支柱相互連結具で連結されたままの状態でこれを地面から取り外せることとなる。従って、取り外された農園芸装置(植物栽培装置)を翌シーズンまで保管すれば、翌シーズンにおいては前記のように、該農園芸装置を用いて植物栽培棚を作業性よく組み立てることができ、該植物栽培棚で植物を栽培できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る植物栽培装置の一例を示す正面図と平面図である。
図2】本発明に係る植物栽培装置の他の例を示す正面図と平面図である。
図3】本発明に係る支柱相互連結具を示す斜視図と正面図と平面図である。
図4】本発明に係る支柱相互連結具を説明する部分拡大正面図である。
図5】支柱相互を支柱相互連結具により連結した状態を説明する部分正面図である。
図6】支柱相互が支柱相互連結具によって連結された植物栽培装置を地面に立設する過程で隣り合う支柱間に生じた段差に起因する上下方向の変位を弾性変形部が吸収した状態を説明する説明図である。
図7】その段差が解消された状態を説明する説明図である。
図8】弾性変形部が上下方向の変位を吸収した状態を説明する拡大図である。
図9】継ぎ足し支柱の構成を説明する説明図である。
図10】継ぎ足し支柱の連結構成を説明する説明図である。
図11】植物栽培装置の折り畳み作業を説明する平面図である。
図12】植物栽培装置を折り畳んだ状態を示す平面図である。
図13】山形状を呈する開閉式支柱が所要間隔を置いて配置され、該開閉式支柱を構成する支柱相互が支柱相互連結具で連結されている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0023】
図1〜2において本発明に係る農園芸装置1は、キュウリ等の蔓性植物やトマト等を栽培するための植物栽培棚(植物を栽培できるものであれば、その平面形態やその正面形態、側面形態を問わない)としての農園芸用構造物を構成する植物栽培装置1aとして応用されており、該植物栽培装置1aを構成する支柱2,2相互が支柱相互連結具3で連結されている。
【0024】
該支柱相互連結具3は、本実施例においてはプラスチック製であり、図3〜4に示すように、線状を呈する連結部材5の左右両端部6,7に、上下方向の変位を弾性的に吸収し得る弾性変形部、9,9を介して支柱挟持部10,10が設けられており、該支柱挟持部10,10は、前記支柱2の所要部位11を、該支柱2の長さ方向と直交する側部方向F(図4)から支柱導入口12を通して嵌入させ得る嵌入凹部13を有し且つ該嵌入凹部13に嵌入された前記支柱2を弾性的に挟持でき、前記支柱導入口12の開口幅は前記支柱2の径よりも小さく形成されている。以下、これを具体的に説明する。
【0025】
前記支柱挟持部10,10は、図3(A)(C)に示すように、対向する挟持片部14,14を具える横断面C字状のC字筒状体15,15として構成されている。左右の該C字筒状体15,15は、図3(C)に示すように、平面視で前後に稍位置ずれしている。そして各C字筒状体15は、両該挟持片部14,14の先側間に、前記支柱2の前記所要部位11を通すための前記支柱導入口12が形成されており、前記支柱導入口12の開口幅は前記支柱2の径よりも小さく形成されている。又該C字筒状体15は、該支柱導入口12を通過した前記所要部位11を嵌入させ得る前記嵌入凹部13を該両挟持片部14,14間で形成している。そして、前記嵌入凹部13に前記支柱2の所要部位11が嵌入された状態で、前記支柱挟持部10(本実施例においてはC字筒状体15)が、該所要部位11の軸線回りに回動可能とされている。
【0026】
前記左右両端部に設けられている前記弾性変形部9,9は、図3〜4に示すように、上方に向けて凸の第1のU字状弾性変形部16と下方に向けて凸の第2のU字弾性変形部17の内端19,20相互が一連に連結されて横方向に波線状を呈する波線状屈曲部21を以て構成されている。
【0027】
そして、前記連結部材5の左右両端部6,7の何れか一方の端部(図3〜4においては左の端部)6の下端側22に、前記波線状屈曲部21の前記第1のU字状弾性変形部16の外端23が、内側の水平突出部25を介して連結されている。又、該波線状屈曲部21の前記第2のU字状弾性変形部17の外端26が、図3( A) (C)、図4に示すように、前記C字筒状体15の外側面28の下端側29に外側の水平突出部27を介して、前記C字筒状体15の正回りF1の周方向(図3(C)においては時計回りの周方向)で見て該外側面28の左右中央部24から前記支柱導入口12側に稍偏倚させて連結されている。
【0028】
そして図4に示すように、前記連結部材5の他方の端部(図においては右の端部)7の上端側30に、前記波線状屈曲部21の前記第2のU字状弾性変形部17の外端31が、内側の水平突出部32を介して連結されている。又、該波線状屈曲部21の前記第1のU字状弾性変形部16の外端33が、本実施例においては前記外側の水平突出部35を介して、図3(A)(C)、図4に示すように、前記C字筒状体15の外側面28の上端側36に、該C字筒状体15の前記正回りF1の周方向(図3(C)における時計回りの周方向)で見て前記左右中央部24から前記支柱導入口側12に偏倚させて連結されている。該両偏倚の量は等しく設定されている。本実施例において、左右の前記波線状屈曲部21,21の両端を前記連結部材5の端部6,7や前記C字筒状体15の外側面28に連結するに際して、前記内側の水平突出部25,32及び前記外側の水平突出部27,35を介して連結しているのは、該内側の水平突出部25、32及び該外側の水平突出部27,35の弾性変形によって該端部6,7や該外側面28に対する連結部に無理な応力が作用しないようにするためである。
【0029】
本実施例においては、前記支柱2の直径は例えば11mm、その高さは例えば1200mm、隣り合う支柱2,2の中心間距離は例えば150mmに設定されると共に、上下隣り合う支柱相互連結具3,3間の間隔は例えば300mmに設定されている。そして該支柱2の下端側の200〜300mm程度が土中に埋設される。
【0030】
図5は、4本の支柱2,2,2,2が所要間隔を置いて、その下端側の部分が土中に埋設されて立設され、左側の2本の支柱2,2相互、中間の2本の支柱2,2相互、右側の2本の支柱2,2相互が、夫々、前記支柱相互連結具3で連結された状態の拡大図である。各支柱2の長さ方向の所要部位11が前記側部方向から、前記支柱導入口12を通して、前記C字筒状体15の前記嵌入凹部13に嵌入されており、中間に位置する前記支柱2、2においては、前記C字筒状体15,15が上下に積み重なっている。そして、左右の支柱相互連結具3,3の前記連結部材5,5は、見栄えよく略同一高さの一直線状を呈している。
【0031】
該左右隣り合う連結部材5,5を略同一高さに設定できるのは、本発明が次の構成を採用していることによる。即ち、第1には、前記支柱相互連結具3が、図3〜4に基づいて前記したように、その左側に位置する前記波線状屈曲部21にあっては、前記第1のU字状弾性変形部16の外端23が、前記連結部材5の下端側22に連結されている(本実施例においては、内側の前記水平突出部25を介して連結されている)からである。且つ、前記第2のU字状弾性変形部17の外端26が、前記C字筒状体15の外側面28の下端側29に連結されている(本実施例においては、外側の前記水平突出部27を介して連結されている)からである。又第2には、前記支柱相互連結具3が、図3〜4に基づいて前記したように、その右側に位置する前記波線状屈曲部21にあっては、前記第1のU字状弾性変形部16の外端33が、前記C字筒状体15の外側面28の上端側36に連結されている(本実施例においては、前記外側の水平突出部35を介して連結されている)からである。これら第1、第2の理由で述べた構成を採用することによって、前記外側の水平突出部35と前記外側の水平突出部27とが上下隣り合うように上下のC字筒状体15,15を積み重ねたとき、図5に示すように自ずから、左右隣り合う前記連結部材5,5を、略同一高さの一直線状を呈するように設定できることとなるのである。
【0032】
図1〜2においては、最下端に位置する前記支柱相互連結具3は前記支柱2の下端39から550mm程度上側に位置しており、最上端に位置する前記支柱相互連結具3は、該支柱2の上端40から50mm程度下側に位置している。
【0033】
前記4本の支柱2,2,2,2を、その下端側の部分を耕した土中に押し込んで立設状態とする際は、例えば図6に示すように、両側の第1の支柱2aと第2の支柱2bを両手の夫々で把持して下方向に例えば100mm程度押し込む。この状態で、中間に位置する第3、第4の支柱2c,2dは土中にほとんど押し込まれない。従って、図6における左端側の第1の支柱2aと、これに隣り合う第3の支柱2cとの間、及び、右端側の第2の支柱2bと、これに隣り合う第4の支柱2dとの間に段差が生ずることとなる。その後、図7に示すように、中間に位置する第3の支柱2cと第4の支柱2dを両手の夫々で把持して下方向に例えば100mm程度押し込む。かかる押し込み操作を、各支柱2の土中への押し込み長さが200〜300mm程度となるまで所要回数(例えば2〜3回程度)繰り返す。
【0034】
ところで従来においては、前記したように、かかる段差が大きくなるに従って、前記支柱2の前記所要部位11が、前記支柱導入口12を通して前記嵌入凹部13から外れる傾向となり、そのうちに該所要部位11が該嵌入凹部13から外れてしまう問題を生じさせた。
【0035】
これに対して本発明によるときは、前記弾性変形部9の所要の弾性変形によって、前記第1のU字状弾性変形部16と前記第2のU字状弾性変形部17が、例えば図8に拡大して示すように弾性変形できるため、前記支柱2の前記所要部位11が、前記支柱導入口12を通して前記嵌入凹部13から外れる傾向となるのを防止できる。
【0036】
即ち、図8においては、前記第1 の支柱2aについては前記第1 のU字状弾性変形部16が弾性的に拡がリ変形しており且つ前記第2のU字状弾性変形部17が弾性的に縮み変形している。又前記第3の支柱2cについては、前記第1のU字状弾性変形部16が弾性的に縮み変形しており且つ前記第2のU字状弾性変形部17が弾性的に拡がり変形している。かかる2種類の異なる弾性変形によって、前記所要部位11が該嵌入凹部13から外れてしまうのを効果的に防止できる。
【0037】
このように本発明によるときは、前記弾性変形部9による前記上下方向の変位の弾性的吸収作用によって前記段差に追随でき、前記支柱挟持部10が支柱2から外れてしまうのを防止できる。
【0038】
図9〜10は、前記植物栽培装置1aを構成している前記支柱2の列37の上端に継ぎ足し支柱38を連結できるように構成した場合を示している。該継ぎ足し支柱38は、例えば300〜500mm程度、例えば500mm程度の長さを有しており、4本の短支柱39,39,39,39の、隣り合う2本の短支柱39,39相互が、前記したと同様にして、例えばその上下端側において前記支柱相互連結具3で連結されている。該継ぎ足し支柱38においても、前記嵌入凹部13に前記支柱2の前記所要部位11が嵌入された状態で、前記支柱挟持部10(本実施例においては前記C字筒状体15)が該所要部位11の軸線回りに回動可能とされている。そして図10に示すように、各短支柱38の下端には連結軸42が突設されており、該連結軸42は、同図に示すように、前記支柱2の上端に付設された連結キャップ40及び前記支柱2の上端部分に亘ってその軸線に沿って設けられてなる連結孔41に挿入される。該連結軸42を該連結孔41に挿入することによって、植物栽培装置1を構成する支柱全長をより長いものに変更できる。
【0039】
本実施例においては前記のように、前記嵌入凹部13(図3(A))に前記支柱2の前記所要部位11が嵌入された状態で、前記支柱挟持部10(本実施例においては前記C字筒状体15)が該所要部位11の軸線回りに回動可能となされているため、前記植物栽培装置1をコンパクトに折り畳むことができ、梱包形態を小さくできる。
【0040】
前記植物栽培装置1aをコンパクトに折り畳むことができることについて、図5図11〜12に基づいて具体的に説明する。今、図5において、4本の支柱2,2,2,2を、同図の左側から順に、第1の支柱2A、第2の支柱2B,第3の支柱2C,第4の支柱2Dとしたとき、隣り合う支柱2A,2Bと該支柱相互を連結する支柱相互連結具3とによって形成される枠体を第1の枠体45とし、隣り合う支柱2B,2Cと該支柱相互を連結する支柱相互連結具3とによって形成される枠体を第2の枠体46とし、隣り合う支柱2C,2Dと該支柱相互を連結する支柱相互連結具3とによって形成される枠体を第3の枠体47とする。
【0041】
図5は該第1、第2、第3の枠体45,46,47が一直線状に展開された状態を示している。又図11(A)は、該第1、第2、第3の枠体45,46,47が一直線状に展開された状態を簡略に示す説明図である。そして図11(B)は、前記第2の支柱2Bを枢軸として前記第1の枠体45と前記第2の枠体46を矢印で示すように、該両枠体45,46のなす角度が徐々に小さくなるように折り曲げる折り曲げ途中の状態と、前記第3の支柱2Cを枢軸として前記第2の枠体46と前記第3の枠体47を矢印で示すように、該両枠体46,47のなす角度が徐々に小さくなるように折り曲げる折り曲げ途中の状態を示している。そして図12は、該第1の枠体45と該第2の枠体46と該第3の枠体47とが折り畳まれた状態を示している。該折り畳み状態においては、前記枢軸となる前記支柱2B,2Cの夫々で上下積み重なっている前記C字筒状体15、15に連結されている前記波線状屈曲部21,21は、相互が干渉せずに重ね合わされている。そのため該折り畳みは、無理なく容易に行われる。
【0042】
該折り畳み状態において、前記波線状屈曲部21,21相互の干渉を防止できる理由は、第1に、図3〜4に基づいて前記したように、前記波線状屈曲部21の前記第2のU字状弾性変形部17の外端26が(本実施例においては前記外側の水平突出部27を介して)、前記C字筒状体15の外側面28の下端側29に、前記C字筒状体15の正回りF1の周方向(図3(C)においては時計回りの周方向)で見て、該外側面28の左右中央部24から前記支柱導入口12側に稍偏倚させて連結されているからである。第2に、同じく図3〜4に基づいて前記したように、前記波線状屈曲部21の前記第1のU字状弾性変形部16の外端33が(本実施例においては前記外側の水平突出部35を介して)、前記C字筒状体15の外側面28の上端側36に、該C字筒状体15の正回りF1の周方向(図3(C)においては時計回りの周方向)で見て、前記左右中央部24から前記支柱導入口側12に偏倚させて連結されているからである。第3に、前記両偏倚の量が等しく設定されているからである。第4に、前記第1の枠体45、前記第2の枠体46、前記第3の枠体47を構成する前記支柱相互連結具3は、全て同一構成のものであるからである。なお該第1の枠体45と該第3の枠体47を構成する前記支柱相互連結具3a,3cの使用態様は、図3に記載されている図示態様のものであり、該第2の枠体46を構成する前記支柱相互連結具3bの使用態様は、該支柱相互連結具3aの該使用態様を左右反転させ且つ上下反転させた使用態様のものである。かかる第1〜第4の理由によって、図11(A)に示すように前記枢軸となる前記第2の支柱2Bと前記第3の支柱2Cについて見たとき、前記波線状屈曲部21,21の前記C字筒状体15,15に対する連結部位が、前記折り畳みの外側51側に寄った状態となる。従って、前記折り畳み時における前記波線状屈曲部21,21の干渉を防止できる。これによって、前記植物栽培装置1aをコンパクトに折り畳むことができる。
【0043】
前記植物栽培装置1aをこのようにコンパクトに折り畳むことができるため、その梱包形態を小さくでき輸送コストを低減できる。使用者は、梱包を開いて、折り畳まれた状態にある該植物栽培装置1aを取り出し、その後、これを、直線状や適宜の屈曲状態にして、前記の各支柱2を、その下端側の部分を土中に押し込んで立設状態とすることにより、植物栽培棚を構成できる。
【0044】
かかることから、本発明に係る植物栽培装置1aによるときは、例えば前記植物栽培棚を構成するに際して、下端側の部分を土中に埋設して支柱2を立設した後に支柱相互連結具3によって該支柱2,2相互を連結しなければならないといった従来における面倒な組み立て作業が不要となるので、植物栽培棚を作業性よく能率的に組み立てることができる。
【0045】
又、該植物栽培棚の使用時期が終わったときに支柱2を手で把持して引き抜く際において、該引き抜きの過程で隣り合う支柱2,2間に段差が生じてこの段差が大きくなっても、前記弾性変形部9の所要の弾性変形によって、前記支柱2が前記嵌入凹部13から外れてしまうのを防止できる。これによって、植物栽培装置1aは、隣り合う支柱2,2相互が前記支柱相互連結具3により連結されたままの状態で取り外されることになる。本実施例に係る植物栽培装置1aによるときは、このように取り外した後、これを、前記したようにコンパクトに折り畳んで省スペースを図って保管できる。そして翌シーズンにおいては、前記したように、該植物栽培装置1aを用いて植物栽培棚を構成し植物栽培を行い得ることとなる。
【実施例2】
【0046】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0047】
(1)本発明に係る支柱相互連結具3は、前記植物栽培装置1aを構成するために用いることができる他、植物相互間に形成される間仕切りや、植物に沿って形成されるフェンス、防獣柵等の農園芸用構造物を構成するに際し、下端側の部分が土中に埋設されて立設される支柱相互を連結するために用いることもできる。
【0048】
(2)本発明に係る植物栽培装置1を構成する支柱2の本数は、複数本であれば前記した4本には特定されず、例えば5〜6本等であってもよい。支柱2の長さとしては、前記した1200mm長さのものの他、例えば900mm長さのもの、1500mm長さのもの、1800mm長さのもの等がある。
【0049】
(3)前記波線状屈曲部21の両外端を前記連結部材5の端部や前記C字筒状体15の外側面28に連結する構成は、前記内側の水平突出部25,32、前記外側の水平突出部27,35を介さないで直接に連結することとしてもよい。
【0050】
(4)前記支柱相互連結具3を構成する前記弾性変形部9は、前記した波線状屈曲部21を以てなるものには限定されない。該弾性変形部9は、複数本の支柱2を具える植物栽培装置1a等の農園芸構造物の組み立て時において、該複数本の支柱の下端側の部分を土中に押し込む際に、該押し込みの過程で隣り合う支柱2,2間に段差が生じてこれが大きくなっても、該支柱2の前記所要部位11が、前記支柱導入口12を通して前記嵌入凹部13から外れてしまうのを防止できるように弾性変形できるものであれば、各種に構成できる。
【0051】
該弾性変形部6は、例えば、一つのU字状弾性変形部を以って構成することもできる。該一つのU字状弾性変形部、前記第1のU字状弾性変形部16、前記第2のU字状弾性変形部17における各「U字状」には「C字状」が含まれる。又該弾性変形部6は、前記波線状屈曲部21の波線部の横断面が円形状を呈するものであってもよい。又該弾性変形部6は、水平軸状や水平板状を呈する樹脂板部の上面部と下面部にギザギザ状の凹凸部を設けることによっても構成でき他、弾性変形の容易な樹脂部等を以って構成することもできる。
【0052】
(5)前記支柱相互連結具3を構成する前記連結部材5は、前記した直線状を呈するものには限定されず、例えば、その中間部分に波線状部等の弾性変形部が介在されてもよい。又該連結部材5は、上に凸や下に凸の湾曲線状を呈するものであってもよい他、全長に亘って波線状を呈するものであってもよい。
【0053】
(6)前記嵌入凹部13に前記支柱2の前記所要部位11が嵌入された状態で、前記支柱挟持部10が該所要部位11の軸線回りに回動可能とする場合は、これらの支柱2を、図1に示すように―直線上に並ぶように立設できることの他、これらを平面視でジグザグ状や台形状を呈する配置で立設したり、或いは図2に示すように、植物を取り囲む三角形状等の配置で立設する等、平面視で適宜の屈曲状態にして、各支柱を、その下端側の部分を土中に押し込んで立設状態とすることも可能である。これと同様に前記継ぎ足し支柱38においても、前記嵌入凹部13に前記支柱2の前記所要部位11が嵌入された状態で、前記支柱挟持部10が前記所要部位11の軸線回りに回動可能となし得る。
【0054】
(7)前記C字筒状体15の外側面28に対する前記外側の水平突出部27,35の連結部位は、 前記下端側29や前記上端側36には特定されず、該外側面28の中間部に設定されてもよい。又、前記連結部材5の端部6,7に対する連結部位は、該端部6,7の中間部に設定されてもよい。
【0055】
(8)多数本の支柱2、例えば4本の支柱を所要間隔を置いて土中に埋設して立設する場合、該支柱2,2相互を前記支柱相互連結具3で連結する場合、左右隣り合う前記連結部材5,5は段違い状態となってもよい。
【0056】
(9)前記支柱2,2相互を連結した状態にある前記支柱相互連結具3の、該支柱2,2の上下方向での連結位置は、植物の成長に合わせて、例えば植物の蔓や実の位置等に合わせて、適宜変更してよい。
【0057】
(10)前記支柱挟持部10を前記所要部位11の軸線回りに回動可能とすることによって、複数本の支柱を、全体として筒状を呈するように立設する場合、該筒状の形態が、上方に向けて細くなったり太くなったりするように、各支柱を所要の傾斜状態で立設することもできる。
【0058】
(11)図13は、山形状を呈する開閉式支柱49を所要間隔を置いて配置した場合を示す斜視図であり、該開閉式支柱49を構成する支柱2,2相互が前記支柱相互連結具3により連結されている。図13においては便宜上、前記支柱相互連結具3 の図示を、隣り合う支柱相互を連結する水平直線部として簡略に表示している。
【0059】
(12)本発明に係る植物栽培装置1aは、地面に支柱2を立設して構成できることの他、プランター等で植物を栽培する際にも使用できる。
【0060】
(13)本発明に係る農園芸装置が防獣柵として用いられる場合は、前記支柱は、その上端をハンマーで打圧されることによって地面に埋設される。
【符号の説明】
【0061】
1 植物栽培装置
2 支柱
3 支柱相互連結具
5 連結部材
9 弾性変形部
10 支柱挟持部
11 所要部位
12 支柱導入口
13 嵌入凹部
15 C字筒状体
16 第1のU字状弾性変形部
17 第2のU字状弾性変形部
21 波線状屈曲部
25 内側の水平突出部
27 外側の水平突出部
29 下端側
32 内側の水平突出部
35 外側の水平突出部
36 上端側
【要約】
【課題】植物栽培装置の組み立て作業を能率化する。
【解決手段】複数本の植物栽培用の支柱2と、隣り合う支柱2,2相互を連結する支柱相互連結具3を具える。支柱相互連結具3は、線状を呈する連結部材5の両端部に弾性変形部9を介して支柱挟持部10が設けられている。支柱挟持部10 は、支柱2の所要部位を、側部方向から支柱導入口12を通して嵌入させ得る嵌入凹部13を有し且つ嵌入凹部13に嵌入された支柱2の所要部位11を弾性的に挟持し得る横断面C字状のC字筒状体15として構成されている。支柱導入口12の開口幅は支柱2の径よりも小さい。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13