特許第6774154号(P6774154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6774154シート巻回体用切断具およびシート巻回体用ホルダー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774154
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】シート巻回体用切断具およびシート巻回体用ホルダー
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/36 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   A47K10/36 F
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-63025(P2016-63025)
(22)【出願日】2016年3月28日
(65)【公開番号】特開2017-176197(P2017-176197A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年1月10日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 Student Innovation College 2015 秋カン 展示日 平成27年10月 3日 展示場所 青山学院大学(東京都渋谷区渋谷4−4−25) 展示会名 Student Innovation College 2015 冬カン 展示日 平成27年12月13日 展示場所 流通科学大学(兵庫県神戸市西区学園西町3丁目1番)
(73)【特許権者】
【識別番号】000110893
【氏名又は名称】ニチレイマグネット株式会社
(72)【発明者】
【氏名】帆足 翼
(72)【発明者】
【氏名】福原 生恵
(72)【発明者】
【氏名】珠家 知世
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−025896(JP,U)
【文献】 特開2004−261553(JP,A)
【文献】 特開2004−329815(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3076038(JP,U)
【文献】 特開平10−146297(JP,A)
【文献】 特開2007−075177(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1283819(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セットされたシート巻回体に被さり、基端部が枢支され、先端側が揺動可能とされた上部カバーを有するシート巻回体ホルダーに取り付けられるシート巻回体用切断具であって、
前記上部カバーの上面に取り付け可能な切断具本体と、この切断具本体の先端部の下側で昇降可能とされた保持部材と、この保持部材を引き上げる手段とを備え、前記切断具本体は、上部カバーの上面に取り付けられた状態で、この上部カバーの先端縁から突出した先端部を備え、前記保持部材は、シート巻回体の先端部のシートを引き出すための開口部を前記切断具本体の先端部との間に形成する開放位置と、引き出されたシートの先端部を前記切断具本体の先端部に磁気吸着によって挟む保持位置との間で昇降し、保持位置で押し下げられると、磁気吸着に抗して下降するように構成されていることを特徴とするシート巻回体用切断具
【請求項2】
前記切断具本体を前記上部カバーの上面に取り付け可能な取付部と、この取付部と前記切断具本体とを磁気吸着するマグネットを備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート巻回体用切断具。
【請求項3】
前記切断具本体は、先端縁に形成されたカット刃を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のシート巻回体用切断具。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のシート巻回体用切断具を備えていることを特徴とするシート巻回体用ホルダー
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状のトイレットペーパーやキッチンペーパーなどのシート巻回体を切断するためのシート巻回体用切断具およびシート巻回体を装着したシート巻回体用ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトイレットペーパー用ホルダーは、セットされたトイレットペーパーに被さる上部カバーを備えている。このようなトイレットペーパー用ホルダーを使用するには、セットされたトイレットペーパーを所望長さだけ引き出した後、一方の手で上部カバーを押さえた状態とし、他方の手で引き出されたトイレットペーパーを切断する。このような従来のトイレットペーパー用ホルダーでは、片手による操作が困難な構造であったため、片麻痺や怪我などで両手を使えない人にとっては極めて使い勝手が悪いという不具合があった。
【0003】
そこで、トイレットペーパーを片手で切断することができるようにしたトイレットペーパー用切断具が特許文献1に記載されている。かかるトイレットペーパー用切断具は、図13に示すように、トイレットペーパー用ホルダー1の上部カバー15の前部上面に取り付け可能な取付基部101と、この取付基部101の各端部から突設された一対の腕部102,103と、これら腕部102,103間に揺動自在に架け渡されたカット体104とを備えている。カット体104の前端縁には、カット刃(採番せず)が形成されている。」
【0004】
このトイレットペーパー用切断具は、カット体104がトイレットペーパーPを引き出せるだけの周囲閉鎖状の開口部105を形成する一方、トイレットペーパーPを引き出しやすくするための下方開放通路を形成するように構成されている。周囲閉鎖状の開口部105は、カット体104の遊端部104aが一方の腕部102の上面に置かれ、水平姿勢となることで形成される。下方開放通路は、カット体104の基端部104bを支点にしてカット体104の遊端部104aを上方へ上げた傾斜姿勢ないし起立姿勢とすることで形成される。
【0005】
このトイレットペーパー用切断具は、トイレットペーパーPをトイレットペーパー用ホルダー1に最初にセットした直後に、あるいは、トイレットペーパーPの先端部が上部カバー15の下側に巻き取られてセットし直さなければならなくなったときに、カット体104を傾斜姿勢ないし起立姿勢とすることによって下方開放通路を形成した状態とし、続いてカット体104を水平姿勢とすることによって周囲閉鎖状の開口部105を形成した状態とすることによりトイレットペーパーPの先端部を開口部105から引き出すことができるようにされている。
【0006】
そして、開口部105から水平方向に引き出されたトイレットペーパーPの先端部は、下向きの張力が片手で掛けられることにより、カット体104のカット刃で切断される。切断されていない側のトイレットペーパーPの端部は、カット体104の上面に残る。この残ったトイレットペーパーPの先端部を摘むことで、トイレットペーパーPを続いて引き出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−329815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記従来のトイレットペーパー用切断具は、トイレットペーパーPを片手で切断する以前の段階において、カット体104を傾斜姿勢ないし起立姿勢とすることで下方開放通路を形成し、トイレットペーパーPを引き出した後、周囲閉鎖状の開口部105を形成するという操作をしなければならない。
【0009】
このような操作は、両手を使えば容易に行うことができるものの、片手で行うことは至難の業である。したがって、従来のトイレットペーパー用切断具は、片手しか使えない人にとってトイレットペーパーPを簡単にかつ確実に所定の寸法だけ引き出して切断しにくいという問題がある。
【0010】
このような問題は、トイレットペーパーPだけでなく、トイレットペーパーPと同様の構成のロール状のキッチンペーパーやアルミホイル、樹脂製ラップなどのシート巻回体にも当てはまる。
【0011】
本発明は、シート巻回体のシートを片手で簡単にかつ確実に任意の寸法だけ取り出して切断できるようにしたシート巻回体用切断具およびシート巻回体用ホルダーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るシート巻回体用切断具は、セットされたシート巻回体に被さり、基端部が枢支され、先端側が揺動可能とされた上部カバーを有するシート巻回体ホルダーに取り付けられるシート巻回体用切断具であって、前記上部カバーの上面に取り付け可能な切断具本体と、この切断具本体の先端部の下側で昇降可能とされた保持部材と、この保持部材を引き上げる手段とを備え、前記切断具本体は、上部カバーの上面に取り付けられた状態で、この上部カバーの先端縁から突出した先端部を備え、前記保持部材は、シート巻回体の先端部のシートを引き出すための開口部を前記切断具本体の先端部との間に形成する開放位置と、引き出されたシートの先端部を前記切断具本体の先端部に磁気吸着によって挟む保持位置との間で昇降し、保持位置で押し下げられると、磁気吸着に抗して下降するように構成されていることを特徴としている。
【0013】
前記と異なる本発明に係るシート巻回体用切断具は、セットされたシート巻回体に被さり、基端部が枢支され、先端側が揺動可能とされた上部カバーを有するシート巻回体ホルダーに取り付けられるシート巻回体用切断具であって、前記上部カバーの上面に取り付け可能とされ、上部カバーの上面に取り付けられた状態で、前記上部カバーの先端縁よりも突出する突出部を有する切断具本体を備え、前記突出部は、シート巻回体の先端部のシートを引き出すための開口部と、この開口部から引き出されたシートを保持するための保持部とを備えていることを特徴としている。
【0014】
前記両本発明に係るシート巻回体用切断具の一態様は、前記切断具本体を前記上部カバーの上面に取り付け可能な取付部と、この取付部と前記切断具本体とを磁気吸着するマグネットを備えていることを特徴としている。
【0015】
前記両本発明に係るシート巻回体用切断具の他態様は、前記切断具本体は、先端縁に形成されたカット刃を備えていることを特徴としている。
【0016】
本発明に係るシート巻回体用ホルダーは、前記本発明に係るいずれかのシート巻回体用切断具を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、片手でシート巻回体のシートを簡単にかつ確実に所定長さ寸法を取り出して切断できるシート状巻回体用切断具およびシート巻回体用ホルダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係るシート巻回体用切断具およびシート巻回体用ホルダーを示す全体斜視図である。
図2】(a)は本発明の第1の実施形態に係るシート巻回体用切断具の保持部材が開放位置にある状態を示す断面側面図、(b)は同じく保持部材が保持位置にある状態を示す断面側面図である。
図3】(a)は本発明の第1の実施形態に係るシート巻回体用切断具保持部材が開放位置にある状態を示す断面正面図、(b)は同じく保持部材が保持位置にある状態を示す断面正面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るシート巻回体用切断具保持部材の取付部を上部カバーに装着する状態を示す斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るシート巻回体用切断具保持部材の切断具本体を取付部に装着する状態を示す斜視図である。
図6】(a)および(b)は本発明の第1の実施形態においてトイレットペーパーを切断する際の説明をそれぞれ示す斜視図である。
図7】トイレットペーパー用切断具を使用しない場合のトイレットペーパー用切断具の装着状態を示す斜視図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係るシート巻回体用切断具およびシート巻回体用ホルダーを示す全体斜視図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係るシート巻回体用切断具およびシート巻回体用ホルダーを示す断面側面図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係るシート巻回体用切断具のトイレットペーパー用切断具を示す平面図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係るシート巻回体用切断具の取付部および切断具本体を構成する異方性磁石を示す図である。
図12】(a)〜(c)は本発明の第2の実施形態に係るシート巻回体用切断具の装着方法をそれぞれ示す説明する斜視図である。
図13】従来のトイレットペーパー用切断具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1の実施形態〕
本発明に係るシート巻回体用切断具およびシート巻回体用ホルダーの第1の実施形態について図1ないし図7に基づいて説明する。
【0020】
第1の実施形態は、シート巻回体としてロールタイプのトイレットペーパーPがセットされた既設のトイレットペーパー用ホルダー1に装着するトイレットペーパー用切断具5である。
【0021】
既設のトイレットペーパー用ホルダー1は、壁面(図示せず)に固定される基板11の左右両端部から前方に突出した一対の支持部12,12を備えたホルダー本体13と、両支持部12,12の上端部間に支持軸14を介して枢支された上部カバー15と、両支持部12,12間の中間部間に架設されたトイレットペーパー支持軸16とを備えている。
【0022】
上部カバー15は、基端部が支持軸14を回転軸として枢着され、先端側が上下方向に揺動可能とされている。トイレットペーパー支持軸16は、ロール状に巻回されたトイレットペーパーPの筒状の芯内に挿通され、トイレットペーパーPが周方向に回転可能とされている。
【0023】
第1の実施形態のトイレットペーパー用切断具5は、トイレットペーパー用ホルダー1の上部カバー15の上面に取り付けられる取付部(土台シート)50と切断具本体51と平面視帯状の保持部材52とを備えている。
【0024】
図3に示すように、保持部材52の幅方向の長さ寸法L3は、切断具本体51の幅寸法L4よりも長く設定されている。そして、保持部材52は、切断具本体51の先端部の下側に配された開放位置(図2(a)、図3(a)参照)と保持位置(図2(b)、図3(b)参照)との間で昇降可能とされている。また、保持部材52の下面には錘52wが固着されている。
【0025】
土台シート50はマグネットシートから構成されている。土台シート50の裏面側には両面テープ53が貼着されており、土台シート50は両面テープ53を介して上部カバー15に固定されている。
【0026】
切断具本体51は、プラスチック製シートの表面層55と、マグネットシートの裏側層56とから構成されている。切断具本体51の先端縁には、カット刃51aが備えられている。カット刃51aは、切断具本体51に一体成型したものとしてもよいし、別部材を取り付けたものとしてもよい。
【0027】
保持部材52と切断具本体51とは、着脱自在に装着されている。すなわち、保持部材52および切断具本体51の両方にマグネットが設けられており、このマグネットによって保持部材52と切断具本体51とは、磁気吸着で着脱される。なお、保持部材52および切断具本体51の一方にマグネットを設け、他方に鉄などの強磁性体を設けることも可能である。
【0028】
切断具本体51の一端部51aと保持部材52の一端部52aとは、図3に示すように、連結手段(例えば、しなやかな紐体、ワイヤー、チェーンなど限定しないが、以下、「紐体」として説明する。)57で連結されている。具体的には、紐体57の一端は切断具本体51の一方51aの下面に連結され、紐体57の他端は保持部材52の一方52aの下面に連結され、保持部材52が切断具本体51から離れて落下しないようにされている。
【0029】
保持部材52の他端部52bには、下側の開放位置から上側の保持位置に引き上げる手段(例えば、しなやかな紐体、ワイヤー、チェーンなど限定しないが、以下、「紐体」として説明する。)58が連結されている。この紐体58は、紐体57よりも長く、切断具本体51の他方51bに形成された挿通孔51cに挿通されて切断具本体51の上方から把持できるようになっている。
【0030】
また、紐体58の途中には、挿通孔51cよりも大きなストッパ部(例えば図示したような紐体58の結び目や図示しない留め具などにより形成されている。)58dが設けられ、このストッパ部51dが挿通孔51cに上方から係止することにより、保持部材52の下降しないようにされている。また、保持部材52における紐体57と紐体58との間隔L5は、切断具本体51における紐体57と紐体58との間隔L6よりも大きく設定されている。
【0031】
これにより、保持部材52は、図3(a)に示すように、切断具本体51の下方に垂下して切断具本体51との間で開口部59を形成する開放位置と、図3(b)に示すように、切断具本体51とによってトイレットペーパーPを挟持する保持位置との間で昇降可能とされている。
【0032】
すなわち、紐体58を把持しない開放位置において、保持部材52は、自重および錘52wにより下降しようとするが、短い紐体57およびストッパ部58dを設けた紐体58により、切断具本体51と所定間隔をおいて吊り下げられた状態を維持する。紐体58を上方に引き上げた保持位置において、保持部材52は上昇して切断具本体51の下面に磁気吸着される。
【0033】
次に、トイレットペーパー用切断具5の装着方法について説明する。先ず、図4に示すように、土台シート50をトイレットペーパー用ホルダー1の上部カバー15に装着する。そして、図5に示すように切断具本体51を土台シート50に磁気吸着力により装着することで、シート巻回体用切断具を備えたシート巻回体用ホルダーとなる。
【0034】
次に、トイレットペーパー用切断具5を使用してトイレットペーパーPを切断する方法について説明する。先ず、図2(a)、図3(a)および図6(a)に示す保持部材52の開放位置において、片手でトイレットペーパーPの先端部Paを所定長さまで引き出す。保持部材52が開放位置にあることで、切断具本体51と保持部材52との間隔(図2(a)に示す開口部59)を利用してトイレットペーパーPの先端部Paを所定長さまで容易に引き出すことができる。
【0035】
そして、保持部材52を保持位置とするため、紐体58を把持し上方手前へ引くと、図2(b)、図3(b)および図6(b)に示すように、保持部材52が持ち上げられて切断具本体51の裏面に磁気吸着され、保持部材52と切断具本体51とがトイレットペーパーPを挟持する。これにより、トイレットペーパーPが自由に引き出されないようになる。
【0036】
また、この保持部材52の保持位置において、保持部材52の紐体58挿通部分と、切断具本体51の紐体58連結部とが一致するため、保持部材52の一方側が切断具本体51の縁部より側方(図3(b)では左方向)に突出した状態となる。この突出している部分は、切断具本体51と磁気吸着されないように押し下げられる解除部52cとされる。
【0037】
トイレットペーパーPの先端部Paを片手で上方に引っ張ると、カット刃51aを介してトイレットペーパーPを切断することができる。すなわち、トイレットペーパーPは、保持部材52と切断具本体51とで挟持されているため、仮に切断具本体51が上方に回動しても、引き出されることはない。これにより、トイレットペーパーPの先端部Paを片手で確実に切断することができる。
【0038】
次に、切断された後のトイレットペーパーPを引き出す際について説明する。保持部材52は、保持位置において解除部52cが縁部切断具本体51のより側方に突出しているため、この解除部52cが片手で押圧されると、磁気吸着力に抗して下降する。保持部材52は、下面に固着された錘52wによって弱い力で切断具本体51から離間し開放位置に下降する。この結果、切断具本体51と保持部材52との間には開口部59が確保される。この開口部59から再びトイレットペーパーPの先端部Paを自由に引き出すことができる。
【0039】
また、切断具本体51を使用しない場合には、図7に示すように、土台シート50から切断具本体51を一旦、取り外し、切断具本体51のカット刃51aを壁面側に向け、保持部材52をトイレットペーパー用ホルダー1の基板11との間に挟むように壁面側に寄せて再び土台シート50に装着する。この状態においては、上部カバー15の先端縁が露出してカット刃として使用できる。
【0040】
〔第2の実施形態〕
本発明に係るシート巻回体用切断具およびシート巻回体用ホルダーの第2の実施形態について図8ないし図13に基づいて説明する。第2の実施形態も、シート巻回体としてロールタイプのトイレットペーパーPがセットされた既設のトイレットペーパー用ホルダー1に装着するトイレットペーパー用切断具2である。なお、トイレットペーパー用ホルダー1の上部カバー15は、基端側が平坦で、先端側が下向きに反った形状とされている。
【0041】
第2の実施形態のトイレットペーパー用切断具2は、第1の実施形態のトイレットペーパー用切断具5と同様にトイレットペーパー用ホルダー1に装着されるもので、トイレットペーパー用ホルダー1の上部カバー15の上面に取り付けられる取付部(土台シート)21と、土台シート21に取り付けられる板状の切断具本体22とを備えているが保持部材52に備えられていない。
【0042】
土台シート21は、長方形状のマグネットシートから構成されている。土台シート21の裏面側には両面テープ23が貼着されており、土台シート21は両面テープ23を介して上部カバー15に固定されている。
【0043】
切断具本体22は、プラスチック製シートの表面層25と、マグネットシートの裏側層26とから構成されている。土台シート21と切断具本体22とは、好ましくは図11に示すように、N極とS極とが交互に配置された多極着磁され、その着磁の方向に位置ずれしないようにされている。また、土台シート21と切断具本体22とは、強固に磁気吸着するため異方性の磁石が採用されている。なお、異方性磁石を採用することは、必須でない。
【0044】
また、切断具本体22の裏面層26は、上部カバー15の平坦な基端側にのみ接合するような短い寸法とされている。切断具本体22の表面層25は、上部カバー15の反った先端側よりも突出する突出部27を有する長い寸法とされている。この突出部27は、上部カバー15の先端側よりも緩く反り、上部カバー15の先端側との間に隙間が生じるようにされている。
【0045】
突出部27には横方向に長辺となる長方形状(図面では、両短辺を円弧状にしているが、コーナー部のみ角張らないようにしてもよいし、完全な長方形としてもよい。)の開口部28が形成されている。開口部28の幅寸法L1は、トイレットペーパーPの幅寸法L2と同等かそれ以上に設定されている。ただし、使い勝手が悪くなるものの、開口部28の幅寸法L1は、トイレットペーパーPの幅寸法L2よりも狭くしてもよい。
【0046】
また、開口部28よりも先側は、トイレットペーパーを案内保持する保持部29が形成されている。保持部29の先端縁には鋸刃状のカット刃22aが形成されている。カット刃22aは、保持部29に一体成型したものとしてもよいし、別部材を取り付けたものとしてもよい。
【0047】
次に、トイレットペーパー用切断具2をトイレットペーパー用ホルダー1に装着する方法について説明する。先ず、図12(a)に示すように、土台シート21をトイレットペーパー用ホルダー1の上部カバー15に両面テープ23を介して装着する。次に、図12(b)に示すように、切断具本体22を土台シート21にマグネットによる磁気吸着を利用して装着することでシート巻回体用切断具を備えたシート巻回体用ホルダーとなる。
【0048】
この切断具本体22と土台シート21との装着は、マグネットの磁気吸着によりワンタッチで簡単に行うことができる。また、切断具本体22と土台シート21は、図4に示したように多極着磁され、また、異方性磁石で磁気吸着するので、切断具本体22を土台シート21に対して平行に配置され、また、位置ずれしないようにすることができる。
【0049】
そして、図12(c)に示すように、切断具本体22の開口部28に、トイレットペーパー用ホルダー1に装着されたトイレットペーパーPの先端部Paを片手で引き出し、トイレットペーパーPの先端部Paを開口部28から突出させ、保持部29に保持された状態とする。かかる作業は、開口部28を切断具本体22に形成しているため、この開口部28を介してトイレットペーパーPの取り出し作業を片手で簡単にかつ確実に行うことができる。
【0050】
次に、トイレットペーパー用切断具2を使用してトイレットペーパーPを切断する方法について説明する。先ず、開口部28から引き出されたトイレットペーパーPの先端部Paを片手で所定長さまでさらに引き出す。この引き出し時において、トイレットペーパーPの先端部Paは保持部29に沿って引き出せる(保持部29上面を摺動させることができる)ため、引き出しが安定する。
【0051】
また、トイレットペーパーPは保持部97に常時接触させることなく、斜め上に引き出すこともできるが、かかる場合もトイレットペーパーPを片手で容易に引き出すことができる。なお、トイレットペーパーPの引き出しに際しては、土台シート21と切断具本体22とは、多極着磁した異方性磁石の磁気吸着力を利用しているため、土台シート21と切断具本体22とが前後方向に位置ずれすることがない。
【0052】
さらに、所定長さ引き出されたトイレットペーパーPを片手で下方に引っ張る。これにより、トイレットペーパーPは切断具本体22の突出部27に強く押圧されるため、上部カバー15を下方に付勢するとともに、上部カバー15が上方に回動することなく、トイレットペーパーPはカット刃22aを支点にして下方に屈曲されることで、引っ張られて簡単にちぎれる。トイレットペーパーPの先端部Paは、保持部9の上面に残るため、このトイレットペーパーPの先端部Paをつまんで再び取り出し易くなっている。
【0053】
以上のように、本発明のトイレットペーパー用切断具2は、構造が簡単でかつトイレットペーパー用切断具2を既設のトイレットペーパホルダー1に装着するだけであるため、安価で簡単に装着することができる。また、土台シート21と切断具本体22は、マグネットによる磁気吸着力により着脱自在に装着できることから、切断具本体22を簡単かつ迅速にトイレットペーパー用ホルダー1の上部カバー15の所定位置に装着することが可能となる。
【0054】
切断具本体22を使用しない場合には、上部カバー15に磁気吸着された切断具本体22を簡単に取り外すことができる。
【0055】
〔その他の実施形態〕
本発明は、上記の第1、第2の実施形態に限定されるものではない。例えば、土台シート21、50と切断具本体22、51との吸着は、何れか一方にマグネットを設け、他方に磁性体を設けることも可能である。また、上部カバーが磁性体からなる金属製である場合には、土台シートを使用することなく、切断具本体を上部カバーに直接吸着させる構成であってもよい。
【0056】
また、第1、第2の実施形態では、切断具本体51,22は上部カバー15と別体の場合を例示したが、一体的に設けてもよい。すなわち、切断具本体51,22に相当する部分を上部カバー15に設けることも可能である。また、第1、第2の実施形態では、切断具本体51がカット刃51aを備え、保持部29がカット刃22aを備えているとしたが、例えば、ミシン目を形成したトイレットペーパーPを切断する場合などにおいては、カット刃51a,22aを必ずしも備えなくてもよい。
【0057】
また、第1、第2の実施形態では、トイレットペーパーPを切断する場合について説明したが、トイレットペーパーP以外にロール状のキッチンペーパー、アルミホイル、樹脂製ラップなどのシート状巻回体でも本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 トイレットペーパー用ホルダー
2 トイレットペーパー用切断具
5 トイレットペーパー用切断具
13 ホルダー本体
15 上部カバー
21 取付部(土台シート)
22 切断具本体
22a カット刃
23 両面テープ
25 表面層
26 裏側層
27 突出部
28 開口部
29 保持部
50 土台シート
51 切断具本体
51a カット刃
52 保持部材
52c 解除部
53 両面テープ
55 表面層
56 裏側層
57 紐体
58 引き上げる手段(紐体)
59 開口部
P トイレットペーパー
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