(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
先端部に傾斜部を形成した揚力型ブレードを備えたロータの支持枠体における基盤に配設された、発電機モードとモータモードとに切替可能な電力再生型モータの回転軸に、ロータの縦主軸を接続して、該ロータの近傍に、風速計を備えた平均風速判定部、回転速度検出センサを備えたロータ周速判定部、切替回路と接続した発電機・モータ切換判定部、中央処理装置を含む制御手段を、前記切替回路を介して前記電力再生型モータと電気的に接続し、前記回転速度検出センサを前記縦主軸に近接しておき、低風速でロータが回転している状態において、
前記風速計等制御手段が、予め定めた基準平均風速2m/sを検知したとき、前記制御手段における発電機・モータ切換判定部により前記切替回路を切替えて、前記電力再生型モータをモータモードとし、前記ロータの周速または回転速度が、特定の上限値5m/sに達するまで加速回転させ、前記電力再生型モータを発電機モードに切替えて風力で発電させるようにし、かつ前記風速計等制御手段が、再度予め定めた基準平均風速2m/sを検知したとき、前記電力再生型モータを前記制御手段により再度モータモードに切替えて、前記ロータの周速または回転速度が、特定の上限値5m/sに達するまで加速回転させて、再度前記電力再生型モータを発電機モードに切替えて風力で発電させることを繰返させることを特徴とする風力発電方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献に記載の縦軸風車は、縦軸風車の起動性を改善して、1〜1.5m/s程度の微風速でも、ロータの回転を開始させることができ、かつ平均風速が、例えば2m/s程度の低風速下でも、効率よく発電しうるという特長を有している。
【0007】
また、ロータの周速または回転速度が一定の値に達すると、コアンダ効果により、ブレードに生じる揚力が増大するため、ブレードの回転は加速され、かつ発電負荷による失速が起こりにくくなり、発電効率は高められるという特徴も有している。
【0008】
しかし、風向きは常に変化するため、ロータに適する風速が長時間継続することはなく、低風速下で回転しているロータの回転速度を、ロータが自力により効率よく回転しうる周速となるまで加速することができれば、発電効率をさらに高めることができる。
【0009】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、低風速下において、ロータを加速回転させることにより、発電効率を大幅に高めことができるようにした風力発電方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の具体的な内容は、以下の通りである。
【0011】
本発明の風力発電方法によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 先端部に傾斜部を形成した揚力型ブレードを備えたロータの支持枠体における基盤に配設された、発電機モードとモータモードとに切替可能な電力再生型モータの回転軸に、ロータの縦主軸を接続して、該ロータの近傍に、風速計を備えた平均風速判定部、回転速度検出センサを備えたロータ周速判定部、切替回路と接続した発電機・モータ切換判定部、中央処理装置を含む制御手段を、前記切替回路を介して前記電力再生型モータと電気的に接続し、前記回転速度検出センサを前記縦主軸に近接しておき、先端部に傾斜部を形成した揚力型ブレードを備えたロータの支持枠体における基盤に配設された、発電機モードとモータモードとに切替可能な電力再生型モータの回転軸に、ロータの縦主軸を接続して、該ロータの近傍に、風速計を備えた平均風速判定部、回転速度検出センサを備えたロータ周速判定部、切替回路と接続した発電機・モータ切換判定部、中央処理装置を含む制御手段を、前記切替回路を介して前記電力再生型モータと電気的に接続し、前記回転速度検出センサを前記縦主軸に近接しておき、低風速でロータが回転している状態において、低風速でロータが回転している状態において、
前記風速
計等制御手段が、予め定めた基準平均風速2m/sを検知したとき、前記制御手段における発電機・モータ切換判定部により前記切替回路を切替えて、前記電力再生型モータをモータモードとし、前記ロータの周速または回転速度が、特定の上限値5m/sに達するまで加速回転させ、前記電力再生型モータを発電機モードに切替えて風力で発電させるようにし、かつ前記風速
計等制御手段が、再度予め定めた基準平均風速2m/sを検知したとき、前記電力再生型モータを前記制御手段により再度モータモードに切替えて、前記ロータの周速または回転速度が、特定の上限値5m/sに達するまで加速回転させて、再度前記電力再生型モータを発電機モードに切替えて風力で発電させることを繰返させる風力発電方法。
【0012】
この方法によると、風速検知手段が、予め定めた基準平均風速を検知したときに、電力再生型モータをモータモードに切り替え、ロータの周速または回転速度が特定の上限値に達するまで加速回転させてから、モータを発電機モードに切替えて回転させるので、ロータの回転速度が低い低風速下で発電量が少ない条件下においても、発電効率を大幅に高めることができる。
【0013】
電力再生型モータをモータモードに切替えると、縦主軸には、発電機によるコギングトルクが作用しなくなり、ロータは慣性で回転し続けるので、モータによりロータを速やかに加速回転させることができ、かつ、ロータの周速または回転速度が特定の値に達するまで加速回転させると、モータによる助力が無くても、揚力によってロータは加速されて回転するので、モータモードとして作動させている時間は短かくて済み、モータモードで作動させる電力消費量は少なくて済む。
また、先端部に傾斜部を形成した複数の揚力型ブレードを備えるロータを有する縦軸風車または横軸風車は、ブレードに当って先端方向へ拡散する気流を傾斜部で受け止めることにより、回転力を高めて揚力(推力)を増大させることができるので、ロータは低風速時から回転し、かつ風速が速くなるほど、コアンダ効果によりブレードに生じる揚力(推力)は増大し、ロータは加速されて効率よく回転する。そのため、ロータの周速または回転速度を、ブレードの揚力により加速して回転する値に設定することにより、発電効率を高く維持することができる。
【0014】
前記予め定めた基準平均風速は2m/sとし、前記特定の上限値は5m/sとしてなることとすると、基準平均風速2m/s以下の風速で回転しているロータでは、発電量も僅かであるが、ロータが既に回転している時、風速が基準平均風速2m/sに達すると所定の発電をすることができるが、ここで電力再生型モータをモータモードに切替えて第2蓄電池から電力を供給することにより、ロータの回転周速が特定の上限値5m/sになるまで回転させると、ブレードの揚力により平均風速2m/sの風力の中でも、風速5m/s前後の風速で回転するような状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の風力発電方法によると、風速検知手段が、予め定めた基準平均風速を検知した時に、電力再生型モータをモータモードに切替え、ロータの周速または回転速度が特定の上限値に達するまで加速回転させてから、モータを発電機モードに切替えて回転させるので、ロータの回転速度が低い低風速下で発電量が少ない場合においても、発電効率を大幅に高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態においては、ブレードの回転半径1m、ブレードの翼長1.2mのロータを備える場合について説明するが、これに限定されないことは勿論である。
【0018】
図1は、本発明の方法を実施するようになっている、縦軸風車を備える風力発電装置を示し、風力発電装置1は、縦軸型のロータ2と、電力再生型モータ3と、風車の回転速度を制御する制御手段4とを備えている。
【0019】
ロータ2の縦主軸5の上下複数箇所が、基礎Gの上面に立設された支持枠体6の中央部に、軸受6Aを介して回転自在に支持されている。縦主軸5の上部の径方向の対称位置には、上下2本ずつの水平のアーム7A、7Bの内端部が固着され、各上下のアーム7A、7Bの外端部には、垂直方向を向く左右1対の揚力型ブレード(以下ブレードと略称する)8、8の上下端部の内側面が固着されている。アーム7A、7B及びブレード8は、例えば繊維強化合成樹脂により形成されている。なお、アーム7A、7Bとブレード8とは、一体成形が可能である。
【0020】
ブレード8の形状は、本願の発明者が開発した、特許第4907073号公報、特開2011−169292号公報に記載されているブレードと実質的に同形をなしている。
すなわち、ブレード8の弦長は、ブレード8の回転半径の20%〜50%とされ、翼面積は大きく設定されている。
【0021】
ブレード8における上下両端部を除く主部8Aの横断面の形状は、
図3に拡大して示すように、主部8Aの翼厚中心線Cの内方と外方における翼厚は、互いに対称的にほぼ等寸とされ、かつ翼厚中心線Cは、ブレード8の翼厚中心の回転軌跡Oとほぼ重なるように設定されている。
【0022】
主部8A全体の平面形は、
図2に示すように、翼厚中心の回転軌跡Oに沿うように円弧状に湾曲され、その内側面は、前縁の膨らみ部分から後縁にかけて、遠心方向へ傾斜しており、後方から内側面に風が当たると、前方へ押されるようになっている。
【0023】
主部8Aの横断面の形状は、回転方向である前側の翼厚が厚く、後方に向かって漸次薄くなる標準翼型に近いものとされている。
【0024】
ブレード8が回転すると、ブレード8の内外の回転半径の差によって、内側面に比して外側面の周速度が大となり、外側面に沿って後方へ通過する気流の方が、内側面におけるそれよりも高速となる。
【0025】
そのため、ブレード8の後縁部において、外側面を通過する気流の圧力は、内側面を通過する気流のそれよりも小となり、外側面におけるコアンダ効果によって、ブレード8の後縁部の外側面が、後方から前縁部方向に押されて、ブレード8に回転方向の推力が作用し、ブレード8は回転する。
【0026】
図1及び
図2に示すように、ブレード8の上下両端部には、内方、すなわち縦主軸5方向に向かって、円弧状に傾斜する内向傾斜部8B、8Bが形成されている。ブレード8の上下の端部に、内向傾斜部8Bを形成してあるため、ブレード8の回転に伴い、主部8Aの内外の側面に沿って上下方向へ流れようとする気流は、コアンダ効果により、上下の内向傾斜部8B、8Bの内面及び外面に沿って、後方、すなわち
図2におけるW方向に向かって通過するようになり、低風速下においても、ロータ2は、高い回転効率をもって回転する。
【0027】
前述した電力再生型モータ3は、基礎Gに設置され、そのロータ軸に縦主軸5の下端部が連結されている。
電力再生型モータ3としては、例えば、公知の永久磁石界磁式直流モータが使用され、詳細な説明は後述するが、ロータ2の縦主軸5の回転により発電するようになっている発電機と、縦主軸5を回転させるようになっているモータとに、電力再生型モータ3に接続された切替回路9をもって切替え可能となっている。なお、電力再生型モータ3として、永久磁石型交流同期モータを使用することも可能である。
【0028】
切替回路9は、コントローラ10を介して第1蓄電池11に接続され、かつ、太陽光発電パネル12により発電された電力を蓄電する第2蓄電池13に接続されている。切替回路9は、電力再生型モータ3を発電機として使用する場合の発電回路と、同じくモータとして使用する場合のモータ回路(いずれも図示略)とを有するもので、それらの回路を介して電力再生型モータ3へ流れる電流方向を切替えることにより(
図1の矢印参照)、電力再生型モータ3を発電機モードに切替えて、発電された電力を第1蓄電池11に蓄電したり、電力再生型モータ3をモータモードに切替えて、このモータを第2蓄電池13の電力により作動させたりするようになっている。
【0029】
切替回路9は、制御手段4における後述する発電機・モータ切替判定部16に電気的に接続され、発電機・モータ切替判定部16より出力される判定信号に基づいて、発電回路とモータ回路とに選択的に切替えられるようになっている。
【0030】
電力再生型モータ3を発電機モードに切替えて発電し、第1蓄電池11に蓄電された電力は、外部の直流負荷電源に給電されるか、またはDC−ACインバータを介して、外部の交流負荷電力系統に給電される。
【0031】
コントローラ10は、電力再生型モータ3を発電機モードに切替えて発電させた出力電流量を調節して、第1蓄電池11または外部の負荷電源へ出力する電流や電圧を制御する機能を有し、例えば、ロータ2の起動直後や、ロータ2の回動速度が遅くなる低風速時のときに、出力電流量が少なくなるように制御することにより、発電機に加わる発電負荷を軽減させて、ロータ2の失速を防止しうるようになっている。
【0032】
制御手段4は、平均風速判定部14と、風車周速判定部15と、発電機・モータ切替判定部16とを備えている。
平均風速判定部14は、ロータ2に向かう風の一定時間毎の平均風速を検知するための、風速検知手段である風速計17に接続され、風速計17により検出された平均風速は、平均風速判定部14に入力され、制御手段4の中央処理装置(CPU)18により演算処理されて、風速が予め定めた基準平均風速に達したと判定されたとき、発電機・モータ切替判定部16に判定信号を出力する。なお、風速計17による平均風速の検知時間は、低風速下でも発電量が大きく変動しないように、例えば10秒以下の比較的短い間隔で行うのが好ましい。
【0033】
詳細な説明は後述するが、発電機・モータ切替判定部16は、風速計17が、予め定めた基準平均風速、例えば2m/sを検知した場合に、切替回路9に判定信号を出力し、切替回路9を発電回路からモータ回路に切替えて、電力再生型モータ3をモータモードで作用させるようになっている。
また、発電機・モータ切替判定部16へは、後述する回転速度検出センサ20から風車周速判定部15に入力されるデータに基づいても、判定信号が出力される。
【0034】
縦主軸5の中間部の適所には、ロータ2の回転速度を測定するための歯車19が取付けられており、この歯車19の回転数を、回転速度検出センサ20をもって検出することにより、縦主軸5を介してロータ2の回転速度を検出しうるようになっている。なお、歯車19に代えて、縦主軸5の外周面に、例えば1個または複数個の凸部を設けてもよい。
回転速度検出センサ20には、例えば磁気回転速度検出センサ、超音波回転速度検出センサ、ロータリエンコーダ等の非接触型センサが用いられる。
【0035】
回転速度検出センサ20により検出された縦主軸5の回転速度は、制御手段4の風車周速判定部15に入力され、入力された回転速度に基づいて、制御手段4の中央処理装置18がロータ2の平均周速を演算する。すなわち、ロータ2のブレード8の回転半径(r)から、ロータ2の外周の長さ(2πr)が確定されるので、その外周の長さ(2πr)に縦主軸5の回動速度(rpm)を乗じれば、周速(m/s)が得られる。上記の回転速度検出センサ20とロータ周速判定部15は、本発明に係る回転速度検知手段に相当する。
【0036】
なお、ロータ2の周速は、ブレード8の角速度を、センサにより検出することによっても求めることができる。すなわち、ブレード8の角速度(rad/s)に、その回転半径(r)を乗じた値が、ロータ2の周速となる。
【0037】
風車周速判定部15より、ロータ2の平均周速が特定の上限値、例えば5m/sに達したと判定された場合には、発電機・モータ切替判定部16から切替回路9に出力される判定信号に基づいて、切替回路9をモータ回路から発電回路に切替え、電力再生型モータ3を発電機モードで作用させるようになっている。
【0038】
次に、上記実施形態に係る風力発電装置1を用いた風力発電方法を、
図4に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ロータ2が回転し、発電機・モータ切替判定部16が発電機モードとして作動しているときの平均風速を、風速計17により測定し(S1)、制御手段4の中央処理装置18の演算処理結果に基づいて、平均風速判定部14が、予め定めた基準平均風速である例えば2m/s以上か否かを判定する(S2)。
【0039】
平均風速判定部14において、平均風速が基準平均風速である2m/s以上と判定した場合には、制御手段4の発電機・モータ切替判定部16から、切替回路9に判定信号が出力され、その判定信号により、切替回路9をモータ回路に切替える(S3)。
【0040】
これにより、それまで発電機モードで作動していた電力再生型モータ3を、モータモードに切替えて、第2蓄電池13より給電される電力をもって自動的に始動させ(S4)、縦主軸5を強制的に回転させて、風車すなわちロータ2を加速回転させる(S5)。平均風速が基準平均風速である2m/sに達していないと判定した場合は、ステップS1に戻り、引続き平均風速を測定する。
【0041】
電力再生型モータ3を発電機モードからモータモードに切替えると、縦主軸5には、発電機によるコギングトルクが作用しなくなり、ロータ2は慣性で回転し続けるので、モータによりロータ2を速やかに加速回転させることができる。従って、モータモードで作動させている時間は短かく、モータモードで作動させる第2蓄電池13の電力消費量は少なくて済む。
【0042】
平均風速が2m/s以上か否かを判定する理由は、前述した形状の揚力型ブレード8を備える縦軸型のロータ2において、例えばブレード8の回転半径を1m、ブレード8の翼長1.2mとした場合、平均風速が2m/s以上となると、ブレードに生じる揚力によりロータ2の回転が加速され、発電機からの発電電力を出力可能な速度で回転するからである。
【0043】
従って、平均風速が2m/s程度の低風速下でロータ2が回転している時に、電力再生型モータ3をモータモードに切替えて、ロータ2の回転を速やかに加速させると、ブレードに揚力が生じて更に加速され、その後、モータモードから発電機モードに切替えて発電するときの発電効率は高まる。
【0044】
ロータ2の回転をモータモードで加速したのち、回転速度検出センサ20により縦主軸5の平均回転数を検出し、その回転数に基づいて、中央処理装置18が風車すなわちロータ2の周速に換算して、その結果をロータ周速判定部15に出力し(S6)、ロータ周速判定部15が、ロータ2の周速が基準平均風速2m/sを超える特定の上限値、例えば5m/sに達したか否かを判定する(S7)。
【0045】
ロータ2の周速が5m/sに達したか否かを判定する理由は、上述した形状の揚力型ブレード8を備える縦軸型のロータ2においては、ロータ2の周速が5m/sに達すると、ブレード8の上下両端部の内向き傾斜部8Bの作用とコアンダ効果により、ブレード8に生じる揚力(推力)が増加し、ロータ2は、モータによる助力がなくても、風速を超える周速度に加速しながら効率よく回転して発電し、かつ発電負荷による失速が起きにくくなるからである。
【0046】
なお、周速が5m/sの場合のロータ2の回転速度を例示すると、周速、回転速度及び外周の長さには、前述したような関係があるので、例えばブレード8の回転半径(r)を1mとした場合、ロータ2の外周の長さ(2πr)は6.28mとなる。従って、周速5m/sを、外周の長さ6.28mで割り、60を乗じて分速に換算すれば、ロータ2の回転速度は約48rpmとなる。
【0047】
ロータ周速判定部15において、ロータ2の周速が特定の上限値5m/sに達したと判定した場合には、制御手段4の発電機・モータ切替判定部16から、切替回路9に判定信号が送信され、その判定信号により、切替回路9を発電回路に切替える(S8)。これにより、電力再生型モータ3は、モータモードから発電機モードに切替えられて始動し(S9)、発電された電力は、第1蓄電池11に蓄電される。
【0048】
ロータ周速判定部15が、ロータ2の周速が特定の上限値5m/sに達していないと判定した場合には、ステップS5に戻り、電力再生型モータ3をモータモードに切替えたまま、ロータ2の周速が特定の上限値5m/sに達するまで加速し続ける。
【0049】
電力再生型モータ3を発電機モードに切替えた後、風速計17により再度平均風速を測定し(S10)、平均風速判定部14が基準平均風速2m/s以下を検知した場合(S11)には、ステップS3に戻り、前述と同様に、切替回路9をモータ回路に切替え、電力再生型モータ3を再度モータモードに切替えて、ロータ2を加速回転させる。このステップS3〜S11までをループ状に繰返して、ロータ2の回転速度を制御することにより、発電効率を大幅に高めることができる。
【0050】
以上説明したように、前記実施形態に係る風力発電方法においては、ロータ2の縦主軸5に、発電機モードとモータモードとに切替え可能な電力再生型モータ3を接続しておき、ロータ2が平均風速2m/s程度の低風速下で回転している場合に、ロータ2が自力で加速しながら効率よく回転しうる周速である特定の上限
値5m/sに達するように、電力再生型モータ3をモータモードに切替えて速やかに加速し、ロータ2の周速が特定の上限値5m/sに達した時は、電力再生型モータ3を発電機モードに切替えて発電しうるように、ロータ2の回転速度を繰り返し制御するようにしているので、ロータ2の回転速度が低い低風速下で、発電量が少ない条件下においても、発電電力を大きく変動させることなく、発電効率を高めることができる。
【0051】
また、電力再生型モータ3をモータモードから発電機モードに切替える場合のロータ2の平均周速を、例えばロータ2が自力で加速しながら効率よく回転しうる値である5m/sに設定しておくと、平均周速が特定の上限値5m/sに達したとき、モータを停止しても、発電負荷による失速が起きにくくなるとともに、電力再生型モータ3を頻繁にモータモードに切替える必要がなくなるので、モータ駆動用電源である第2蓄電池13の電力消費量を少なくすることができる。
【0052】
さらに、電力再生型モータ3を縦主軸5に接続しておき、このモータ3を切替回路9によりモータモードに切替えて、ロータ2の回転を加速するようにしてあるので、ロータ2を加速回転させるための専用のモータを別途設置して、それを制御する必要はなく、経済的となる。
【0053】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
【0054】
上記実施形態では、平均風速が基準平均風速2m/sとなったことを検知したとき、電力再生型モータ3をモータモードに切替えて始動させ、ロータ2の回転を加速するようにしたが、平均風速が2m/sの時の縦主軸5の平均回転速度を検知するか、または平均風速が2m/sのときのロータ2の周速を検知したときに、電力再生型モータ3をモータモードに切替えて、ロータ2を加速させるようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、ロータ2の周速が特定の上限値5m/sに達するまでモータモードにより加速して、モータモードを発電機モードに切替えるようにしたが、前述したように、ロータ2の周速は回転速度に換算できるため、周速が特定の上限値5m/sに達した時のロータ2の回転速度を回転速度センサ20が検出した時に、モータモードを発電機モードに切替えるようにすることもできる。
【0056】
上記実施形態では、電力再生型モータ3をモータモードに切替えて、ロータ2を加速回転させる基準平均風速を2m/sとしたが、この際の平均風速は、ブレード8の回転半径の大小に対応して適宜に設定される。
すなわち、例えば、ブレード8の回転半径が上記実施形態の1mより小さい場合には、ロータ2の回転トルクが小さくなって、発電負荷により失速し易くなるので、基準平均風速を2m/s以上に設定して、ロータ2の回転速度が高いときに、モータモードに切替えてロータ2を加速回転させるようにすればよい。
【0057】
また、ブレード8の回転半径が1mより大きい場合には、ロータ2の回転速度が低くても、回転トルクが大となって発電可能となるので、2m/s以下の
基準平均風速に設定し、ロータ2の回転速度が低い時に、モータモードに切替えてロータ2を加速回転させるようにすればよい。
【0058】
また、上記実施形態では、ロータ2の回転周速が5m/sに達した時に、電力再生型モータ3をモータモードから発電機モードに切替えるようにしたが、モータモードから発電機モードに切替える場合のロータ2の回転周速は、ブレード8の回転半径の大小に応じて適宜に設定される。
【0059】
上記実施形態では、モータモードで作動させる電源として、太陽光発電パネル12により蓄電された第2蓄電池13を使用しているが、太陽光発電パネル12及び第2蓄電池13を省略し、第1蓄電池11の電力を利用してモータを作動させるようにしてもよい。この際、前述したように、モータモードで作動している時間は短いので、第1蓄電池11の電力消費量を最小限に抑えることができる。
【0060】
本発明の風力発電方法は、特許第4907073号公報の
図4に記載されているように、揚力型ブレード8を縦主軸5に多段状に固定した風力発電装置や、特許第4740580公報、すなわちブレードの先端部が主軸方向(受風方向)に傾斜された横軸風車を備える風力発電装置にも適用可能である。