特許第6774176号(P6774176)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東電工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000002
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000003
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000004
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000005
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000006
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000007
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000008
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000009
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000010
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000011
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000012
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000013
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000014
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000015
  • 特許6774176-シートの検査装置及び検査方法 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774176
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】シートの検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20201012BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   G01N21/892 A
   G01B11/30 A
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-217560(P2015-217560)
(22)【出願日】2015年11月5日
(65)【公開番号】特開2017-90117(P2017-90117A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】塘口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】木川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】土永 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 慎
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−190835(JP,A)
【文献】 特開2015−127706(JP,A)
【文献】 特開平09−054045(JP,A)
【文献】 特開2007−192660(JP,A)
【文献】 特開平11−287768(JP,A)
【文献】 特開2008−309503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを有する搬送装置内の移動経路に沿って移動する帯状のシートを検査するシートの検査装置であって、
前記移動経路に沿って移動可能であり、且つ、着脱可能に前記フレームに取り付けられるように構成された架台と、
前記架台に支持されて前記シートを検査する検査部とを備え、
前記検査部は、
前記シートに光を照射する光源部と、
前記架台が前記フレームに取り付けられて前記移動経路における任意の位置に配された状態で前記シートに対する相対的な撮像位置及び撮像角度を調整可能に構成され、且つ、前記光源部によって光が照射されている前記シートを撮像する撮像部とを有しており、
検査箇所を移動させるべく、前記架台が、前記移動経路の一の部分に対応する一の位置において前記フレームに取り付けられること、及び、前記一の位置から取り外して前記移動経路の他の部分に対応する他の位置において前記フレームに取り付けられることが可能である、シートの検査装置。
【請求項2】
前記撮像部は、
撮像本体部と、
前記シートに対して前記撮像本体部を移動させて前記相対的な撮像位置を調整することが可能な位置調整部と、
前記シートに対して前記撮像本体部を回転させて前記相対的な撮像角度を調整することが可能な角度調整部とを有する、請求項1に記載のシートの検査装置。
【請求項3】
前記位置調整部は、前記シートに対して第1の方向と、該第1の方向に垂直な第2の方向とに前記撮像本体部を移動させるように構成され、
前記角度調整部は、前記シートに対して第1の回転軸と、該第1の回転軸に垂直な第2の回転軸とを中心として前記撮像本体部を回転させるように構成されている、請求項2に記載のシートの検査装置。
【請求項4】
前記位置調整部は、前記シートに対して接近及び離間する方向に前記撮像本体部を移動させることが可能な第1の位置調整部と、該第1の位置調整部による移動方向に垂直な方向に前記撮像本体部を移動させることが可能な第2の位置調整部とを有し、
前記角度調整部は、前記シートに対して前記1の回転軸を中心として前記撮像本体部を回転させる第1の角度調整部と、前記第2の回転軸を中心として前記撮像本体部を回転させる第2の角度調整部とを有している、請求項3に記載のシートの検査装置。
【請求項5】
前記撮像部と電気的に接続されて、前記撮像部からの検査結果を取得する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記架台の移動に応じて移動可能に構成されている、請求項1〜4のいずれかに記載のシートの検査装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のシートの検査装置を用い、
前記シートを検査する、シートの検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば偏光板は、帯状の偏光子(原反シート)の両面に保護フィルム(原反シート)が積層され、一方の保護フィルムに接着剤を介して位相差フィルム(原反シート)が積層され、さらに位相差フィルムに粘着剤を介してセパレータ(原反シート)が積層され、また、他方の保護フィルムには表面処理剤層が積層されて構成されている。かかる偏光板は、表面処理剤層に剥離ライナー(原反シート)が積層された積層体(積層シート)の状態で、異物検査等の検査を経て流通されている。
【0003】
この種のシートの検査に用いられる検査装置として、例えば、積層シートに光を照射する光源部と、該光が照射されている積層シートを撮像する撮像部とを有する検査部を備え、移動している積層シートに光源部によって光を照射し、該光が照射されている積層シートを撮像部で撮像するように構成された検査装置が提案されている(特許文献1、2参照)。また、かかる検査装置は、原反シート同士を積層する積層部の後段に据え付けられ、積層シートに対する撮像部の位置及び焦点が合わされたうえで、積層シートと撮像部との位置関係が変化しないように固定配置された状態で積層シートを検査するようになっている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−62165号公報
【特許文献2】特開平06−242023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したような積層シートの検査は、積層シートへの異物の混入といった不良が発生した不良品を市場に流通させないように行われるものであるが、市場への流通を防ぐだけでは、歩留まりが低下してしまう。そこで、製品不良が発見されたら、その発生原因を突き止め、それ以降の積層シートの作製において、製品不良の発生を抑制する対策を施すことが望ましい。
【0006】
しかし、完成段階で出荷前に検査を行う特許文献1、2の検査装置では、異物等の不良の発生原因を十分に突き止めることが困難である。
また、このことは、積層シートだけの問題点だけではなく、積層されていないシートの問題点でもある。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、シート不良の発生位置及び発生原因を十分に特定し得るシートの検査装置及び検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るシートの検査装置は、
移動経路に沿って移動する帯状のシートを検査するシートの検査装置であって、
移動可能な架台と、
前記架台に支持されて前記シートを検査する検査部とを備え、
前記検査部は、
前記シートに光を照射する光源部と、
前記架台が前記移動経路における任意の位置に配された状態で前記シートに対する相対的な撮像位置及び撮像角度を調整可能に構成され、且つ、前記光源部によって光が照射されている前記シートを撮像する撮像部とを有している。
【0009】
かかる構成によれば、検査部と共に架台を移動させることによって、シートの移動経路における任意の位置に検査装置を移動させることができる。そして、このように架台を移動させた位置で、シートに対する撮像部の撮像位置及び撮像角度を調整することができる。これにより、撮像部の撮像対象領域及び焦点を適切に合わせて、シートの検査を行うことが可能となる。
従って、どの位置でどのような不良が発生したのかといった、シート不良の発生位置及び発生原因を十分に特定し得る。
【0010】
上記構成のシートの検査装置においては、
前記撮像部は、
撮像本体部と、
前記シートに対して前記撮像本体部を移動させて前記相対的な撮像位置を調整することが可能な位置調整部と、
前記シートに対して前記撮像本体部を回転させて前記相対的な撮像角度を調整することが可能な角度調整部とを有していることが好ましい。
【0011】
かかる構成によれば、位置調整部によって、シートに対して撮像本体部を移動させて上記相対的な撮像位置を調整し、角度調整部によって、シートに対して撮像本体部を回転させて上記相対的な撮像角度を調整することができる。
これにより、シートに対する撮像本体部の撮像位置調整と撮像角度調整とを独立して行うことも、これら撮像位置調整と撮像角度調整とを組み合わせて行うこともできるため、シートに対する撮像本体部の撮像位置及び撮像角度をより詳細に調整し得る。
従って、架台の配置状態に影響されることなく、撮像本体部の撮像位置と撮像角度とを、所望の撮像位置と撮像角度とに調整することができ、これにより、シート不良の発生位置及び発生原因をより十分に特定し得る。
【0012】
上記構成のシートの検査装置においては、
前記撮像部と電気的に接続されて、前記撮像部からの検査結果を取得する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記架台の移動に応じて移動可能に構成されていることが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、架台の移動(すなわち撮像部の移動)に応じて制御部を移動させて、撮像部からの検査結果を制御部が取得できるため、その分、撮像部と制御部とを電気的に接続するための配線を短くすることができる。また、撮像部と制御部の配置の自由度が高まるため、両者をより移動させ易くなり、これにより、より簡便にシートを検査し得る。しかも、複数の位置での検査結果をより簡便に取得し得る。
また、複数の位置で検査結果を取得する態様を採用した場合には、取得した複数の検査結果を比較し、より異物が発生し易い位置を特定することが可能となるため、シートの移動経路における検査すべき位置をより適切に特定し得る。
このように、検査装置がより有用なものとなる。
【0014】
本発明に係るシートの検査方法は、
前記シートの検査装置を用い、
前記シートを検査する。
【発明の効果】
【0015】
以上の通り、本発明によれば、シート不良の発生位置及び発生原因を十分に特定し得るシートの検査装置及び検査方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態のシートの検査装置を備えたシートの搬送装置を示す概略側面図
図2図1のA方向から検査装置周辺を示す概略正面図
図3図2のB方向から検査装置周辺を示す概略上面図
図4図3のC方向から検査装置周辺を示す概略側面図
図5図4の検査装置に各部が配される状態を示す概略上面図
図6図4のD方向から検査装置周辺を示す概略上面図
図7図6の検査装置に各部が配される状態を示す概略上面図
図8】第1及び第2の位置調整部の撮像位置調整動作を示す概略側面図
図9】第1及び第2の角度調整部の撮像角度調整動作を示す概略側面図
図10】第1の位置調整部によってシートに対する撮像本体部の撮像位置が調整される状態を示す概略側面図
図11】第2の位置調整部によってシートに対する撮像本体部の撮像位置が調整される状態を示す概略側面図
図12】第1の角度調整部によってシートに対する撮像本体部の撮像角度が調整される状態を示す概略側面図
図13】第2の角度調整部によってシートに対する撮像本体部の撮像角度が調整される状態を示す概略側面図
図14】本実施形態の検査装置が適用される一例のシートを示す概略側面図
図15】本実施形態の検査装置を備えた他のシートの搬送装置を示す概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るシートの検査装置及び検査方法について、図面を参照しながら説明する。なお、図1図7図10図13図15においてシートの搬送方向を白抜き矢印で示す。
【0018】
まず、本実施形態のシートの検査装置を備えたシートの搬送装置について説明する。
【0019】
本実施形態のシート40の搬送装置1は、帯状のシート40としての原反シート60が巻き回されてなるロール体61から原反シート60をそれぞれ繰り出す複数の繰り出し部3と、繰り出された原反シート60同士を積層してシート40としての積層シート50を形成する積層部7と、積層シート50を巻き取ってロール体51として回収する巻き取り部9と、移動可能であって、シート40を検査可能な検査装置20とを備えている。
本実施形態では、2つの検査装置20がシート40の幅方向に沿って対をなすようにして備えられ、これら一対の検査装置20が、シート40を検査するようになっている。
【0020】
この搬送装置1は、繰り出し部3から繰り出された原反シート60同士が積層部7で積層されて積層シート50が形成され、形成された積層シート50が巻き取り部9によって巻き取られるようになっている。
また、このシート40の移動の際、シート40が検査装置20によって検査されるようになっている。
【0021】
図2及び図3に示すように、検査装置20は、移動経路に沿って移動する帯状のシート40を検査するシート40の検査装置20であって、移動可能な架台21と、前記架台21に支持されて前記シート40を検査する検査部22とを備え、前記検査部22は、前記シート40に光を照射する光源部23と、前記架台21がシート40の移動経路における任意の位置に配された状態で前記シート40に対する相対的な撮像位置及び撮像角度を調整可能に構成され、且つ、前記光源部23によって光が照射されている前記シート40を撮像する撮像部25とを有している。
【0022】
また、シート40の検査装置20は、前記撮像部25と電気的に接続されて、前記撮像部25からの検査結果を取得する制御部37をさらに備え、前記制御部37は、架台21の移動に応じて移動可能に構成されている。
【0023】
架台21は、検査箇所を移動させるべく移動可能に構成されており、シート40の移動経路において任意の位置に移動されるものである。この架台21が検査部22と共に移動されることによって、検査装置20が移動されるようになっている。
架台21は、シート40の移動経路において、搬送装置1が有するフレーム5に取り付けられるようになっている。例えば、架台21は、ボルト等によってフレーム5に取り付けられるようになっている。
図1には、2つの繰り出し部3のうち一方の繰り出し部3の近傍のフレーム5に架台21が取り付けられた状態を例示する。
【0024】
架台21は、作業者が持ち運びできるような大きさに形成されている。
このように、架台21が持ち運び可能に形成されていることによって、架台21の移動が容易となる。
【0025】
図2図3に示すように、架台21は、その主体をなすL字状の本体部21aと、該本体部21aを補強する補強部21bとを有している。本体部21aのL字の一端側はフレーム5の側面にボルト等によって固定され、他端側はフレーム5の側面側から内側に突出している。上記L字の一端側には、光源部23が固定されている。上記L字の他端側には、撮像部25が固定されている。補強部21bは、本体部21aの側面部に配されて、該本体部21aを補強するようになっている。
【0026】
検査部22は、シート40に光を照射する光源部23と、架台21がシート40の移動経路における任意の位置に配された状態でシート40に対する相対的な撮像位置及び撮像角度を調整可能に構成され、且つ、前記光源部23によって光が照射されている前記シート40を撮像する撮像部25とを有している。
【0027】
光源部23は、シート40に光を照射するものである。該光源部23は、光源本体部23aと、架台21に接続される接続部23bとを有しており、該接続部23bが架台21の上記一端側に接続されている。光源部23は、シート40の一面(ここでは下面)側からシート40に光を照射するようになっている。
【0028】
撮像部25は、シート40に対する相対的な撮像位置及び撮像角度を調整可能に構成され、且つ、前記光源部23によって光が照射されている前記シート40を撮像するものである。
上記撮像角度は、シート40の被撮像面と撮像部25の撮像方向とがなす角度である。
本実施形態では、撮像部25は、シート40の一面(ここでは下面)側から光が照射されているシート40を、他面(ここでは上面)側から撮像するようになっている。
【0029】
撮像部25は、シート40に対する相対的な撮像位置及び撮像角度を調整可能であるように構成されている。
具体的には、図4〜7に示すように、撮像部25は、撮像本体部27と、シート40に対して撮像本体部27を移動させて上記相対的な撮像位置を調整することが可能な位置調整部31と、シート40に対して撮像本体部27を回転させて上記相対的な撮像角度を調整することが可能な角度調整部33とを有している。
【0030】
撮像本体部27は、シート40を撮像する主体をなすものである。
かかる撮像本体部27としては、従来公知のカメラ等を採用し得る。
【0031】
位置調整部31は、シート40に対して撮像本体部27を移動させることによって上記相対的な撮像位置を調整可能なものである。具体的には、位置調整部31は、一方向及び該一方向に垂直な方向に撮像本体部27を移動させることが可能に構成されている。
【0032】
より具体的には、位置調整部31は、シート40に対して接近及び離間する方向(ここでは鉛直方向)に撮像本体部27を移動させることが可能な第1の位置調整部31aと、該第1の位置調整部31aによる移動方向に垂直な方向(ここでは水平方向、すなわちシート40の幅方向)に撮像本体部27を移動させることが可能な第2の位置調整部31bとを有している。
【0033】
図8に示すように、第1の位置調整部31aは、互いに相対的に移動可能な2つのステージ部31aa、31abと、2つのステージ部31aa、31abの相対的な移動量を調整するための移動量調整部31acとを有している。移動量調整部31acとしては、回転させることによって上記移動量を調整可能なツマミ部が採用されている。
このような第1の位置調整部31aとしては、一方が他方に対して直線的に移動するように2つのステージ部31aa、31abがラックピニオン機構によって連結されてなるものが用いられ得る。かかる第1の位置調整部31aとしては、シグマ光機社製の粗微動ラックピニオンステージ(例えば、品番TAR−38801D等)が挙げられる。
この第1の位置調整部31aは、2つのステージ部31aa、31abが、シート40に対して接近及び離間する方向(ここでは鉛直方向)に互いに相対的に移動可能になるように配されている。
【0034】
また、第2の位置調整部31bは、互いに相対的に移動可能な2つのステージ部31ba、31bbと、2つのステージ部31ba、31bbの相対的な移動量を調整するための移動量調整部31bcとを有している。移動量調整部31bcとしては、回転させることによって上記移動量を調整可能なツマミ部が採用されている。
このような第2の位置調整部31bとしては、一方が他方に対して直線的に移動するように2つのステージ部31ba、31bbがラックピニオン機構によって連結されてなるものが用いられ得る。かかる第2の位置調整部31bとしては、上記同様、シグマ光機社製の粗微動ラックピニオンステージ(例えば、品番TAR−38801D等)が挙げられる。
この第2の位置調整部31bは、2つのステージ部31ba、31bbが、第1の位置調整部31aによる移動方向に垂直な方向(ここでは水平方向、すなわちシート40の幅方向)に互いに相対的に移動可能になるように配されている。
【0035】
なお、本実施形態では、第1及び第2の位置調整部31a、31bとして、同じ構成を有する2つの位置調整部が、互いの移動方向が90°傾いているように配されたものを採用する。
【0036】
図5図7に示すように、第1の位置調整部31aの一方のステージ部31abは、第2の位置調整部31bの一方のステージ部31baに、不図示の接続部によって連結されている。また、第1の位置調整部31aの他方のステージ部31aaは、不図示の接続部によって架台21に取り付けられている。
【0037】
角度調整部33は、シート40に対して撮像本体部27を回転させることによって上記相対的な撮像角度を調整可能なものである。なお、撮像角度の変更は、撮像本体部27の姿勢の変更に相当する。具体的には、角度調整部33は、任意の一の回転軸R1及び該回転軸R1に垂直な回転軸R2を中心として撮像本体部27を回転させるように構成されている(図4図6参照)。
【0038】
より具体的には、角度調整部33は、回転軸R1(ここでは第1の角度調整部33aの底面33adに平行、且つ、シート40の幅方向に平行な回転軸、すなわち、シート40の幅方向に平行な回転軸)を中心として、シート40に対して撮像本体部27を回転させる第1の角度調整部33aと、該第1の角度調整部33aの回転軸R1に垂直な回転軸R2(ここでは、第2の角度調整部33bの底面33bdに平行、且つ、第1の角度調整部33aの回転軸R1に垂直な回転軸)を中心として、シート40に対して撮像本体部27を回転させる第2の角度調整部33bとを有している。
【0039】
図5図7及び図9に示すように、第1の角度調整部33aは、互いに相対的に回転可能な2つのステージ部33aa、33abと、2つのステージ部33aa、33abの相対的な回転量を調整するための回転量調整部33acとを有している。回転量調整部33acとしては、回転させることによって上記回転量を調整可能なツマミ部が採用されている。
このような第1の角度調整部33aとしては、一方が他方に対して円弧を描いて移動するように2つのステージ部33aa、33abが連結されてなるゴニオステージが用いられ得る。かかる第1の角度調整部33aとしては、シグマ光機社製のα軸ゴニオステージ(例えば、品番GOH−60A115、GOH−60A50等)が挙げられる。
この第1の角度調整部33aは、2つのステージ部33aa、33abが、ステージ部33aaの底面(すなわち、第1の角度調整部33aの底面)33adに平行、且つ、シート40の幅方向に平行な回転軸R1(すなわち、シート40の幅方向に平行な回転軸)を中心として互いに相対的に回転可能になるように配されている。
【0040】
また、第2の角度調整部33bは、互いに相対的に回転可能な2つのステージ部33ba、33bbと、2つのステージ部33ba、33bbの相対的な回転量を調整するための回転量調整部33bcとを有している。回転量調整部33bcとしては、回転させることによって上記回転量を調整可能なツマミ部が採用されている。
このような第2の角度調整部33bとしては、一方が他方に対して円弧を描いて移動するように2つのステージ部33ba、33bbが連結されてなるゴニオステージが用いられ得る。かかる第2の角度調整部33bとしては、上記同様、シグマ光機社製のα軸ゴニオステージ(例えば、品番GOH−60A115、GOH−60A50等)が挙げられる。
この第2の位置調整部33bは、2つのステージ部33ba、33bbが、ステージ部33baの底面(すなわち、第2の角度調整部33bの底面)33bdに平行、且つ、第1の角度調整部33aの回転軸R1に垂直な回転軸R2を中心として互いに相対的に回転可能になるように配されている。
【0041】
なお、本実施形態では、第1及び第2の角度調整部33a、33bとして、同じ構成を有する2つの角度調整部が、互いの回転軸が90°傾いているように配されたものが採用されている。
【0042】
図5図7に示すように、第1の角度調整部33aの一方のステージ部33abは、第2の角度調整部33bの一方のステージ部33baに、不図示の接続部によって連結されている。また、第1の角度調整部33aの他方のステージ部33aaは、第2の位置調整部31bにおける第1の位置調整部31aとは反対の側のステージ部31bbに不図示の接続部によって連結されている。
【0043】
上記位置調整部31及び角度調整部33による、シート40に対する撮像本体部27の撮像位置及び撮像角度の調整について説明する。
【0044】
図10に示すように、第1の位置調整部31aの移動量調整部31acを回転させて該第1の位置調整部31aを作動させると、架台21に取り付けられたステージ部31aaに対して他方のステージ部31abが、上記の通り、鉛直方向に移動する。この移動に伴って、第2の位置調整部31b、角度調整部33、及び撮像本体部27が、上記の通り、鉛直方向に移動する。これにより、シート40に垂直な方向におけるシート40に対する撮像本体部27の撮像位置(すなわち、シート40と撮像本体部27の中心とを結ぶ最短距離)を調整し得る。
【0045】
図11に示すように、第2の位置調整部31bの移動量調整部31bcを回転させて該第2の位置調整部31bを作動させると、第1の位置調整部31aのステージ部31abに連結された第2の位置調整部31bのステージ部31baに対して、他方のステージ部31bbが、上記の通り、シート40の幅方向に移動する。この移動に伴って、角度調整部33、及び撮像本体部27が、上記の通り、シート40の幅方向に移動する。これにより、シート40の幅方向におけるシート40に対する撮像本体部27の撮像位置を調整し得る。
【0046】
図12に示すように、第1の角度調整部33aの回転量調整部33acを回転させて該第1の角度調整部33aを作動させると、第2の位置調整部31bのステージ部31bbに連結された第1の角度調整部33aのステージ部33aaに対して、他方のステージ部33abが、上記の通り、シート40の幅方向に平行な回転軸R1を中心として回転する。この回転に伴って、第2の角度調整部33b、及び撮像本体部27が、上記の通り、シート40の幅方向に平行な回転軸R1を中心として回転する。これにより、シート40に対する撮像本体部27の撮像角度のうち、シート40に垂直、且つ、シート40の幅方向に垂直(長手方向に平行)な仮想平面における撮像角度成分θ1を調整し得る。
【0047】
図13に示すように、第2の角度調整部33bの回転量調整部33bcを回転させて該第2の角度調整部33bを作動させると、第1の角度調整部33aのステージ部33abに連結された第2の角度調整部33bのステージ部33baに対して、他方のステージ部33bbが、上記の通り、ステージ部33baの底面33bdに平行、且つ、第1の角度調整部33aの回転軸R1に垂直な回転軸R2を中心として回転する。この回転に伴って、撮像本体部27が、上記の通り、ステージ部33baの底面33bdに平行、且つ、第1の角度調整部33aの回転軸R1に垂直な回転軸R2を中心として回転する。これにより、シート40に対する撮像本体部27の撮像角度のうち、シート40に平行な仮想平面における撮像角度成分θ2を調整し得る。
【0048】
上記した第1の位置調整部31aによる撮像本体部27の移動動作と第2の位置調整部31bによる撮像本体部27の移動動作とを組み合わせることにより、シート40に対する撮像本体部27の撮像位置を自在に調整することができる。
【0049】
上記した第1の角度調整部33aによる撮像本体部27の回転動作と第2の角度調整部33bによる撮像本体部27の回転動作とを組み合わせることにより、シート40に対する撮像本体部27の撮像角度を自在に調整することができる。
【0050】
制御部37は、撮像部25と電気的に接続されており、撮像部25での検査結果が電子データとして送信され、送信された検査結果を取得するものである。
また、制御部37は、移動可能に構成されており、これにより、架台21の移動に伴って制御部37が移動されるようになっている。
かかる制御部37としては、中央処理装置(CPU)を備えたコンピューター等が挙げられる。
【0051】
次に、本実施形態のシート40の搬送装置1において、移動しているシート40を、検査装置20を用いて検査する検査方法について説明する。
【0052】
まず、搬送装置1のフレーム5に、検査装置20を移動させて架台21を取り付ける。
例えば、図1に示すように、原反シート60(シート40)の繰り出し部3の近傍のフレーム5に、検査装置20の架台21を取り付ける。
【0053】
架台21を取り付けた後(すなわち、架台21がシート40の移動経路における任意の位置に配された状態で)、位置調整部31及び角度調整部33によって、原反シート60に対する撮像部25の撮像位置及び撮像角度を調整する。
【0054】
具体的には、上記したように、第1の位置調整部31aによる、原反シート60に対して接近する方向及び離間する方向における撮像本体部27の撮像位置調整(図10参照)と、第2の位置調整部31bによる、原反シート60の幅方向における撮像本体部27の撮像位置調整(図11参照)と、第1の角度調整部33aによる、原反シート60に垂直且つ原反シート60の幅方向に垂直な仮想平面上での原反シート60に対する撮像本体部27の撮像角度成分θ1の調整(図12参照)と、第2の角度調整部33bによる、原反シート60に平行な仮想平面上での原反シート60に対する撮像本体部27の撮像角度成分θ2の調整(図13参照)とを組み合わせて行うことにより、原反シート60に対する撮像本体部27の撮像位置及び撮像角度を調整し、これによって撮像本体部27の撮像対象領域及び焦点を適切なものとする。
【0055】
この状態で、ロール体61から繰り出し部3によって原反シート60を繰り出し、この繰り出しによって移動している原反シート60に光源部23によって光を照射し、光が照射されている原反シート60を撮像部25の撮像本体部27によって撮像して、検査する。
【0056】
得られた検査結果は、電子データとして撮像部27から制御部37に送信される。
【0057】
このように、繰り出し部3の近傍のクレーム5に検査装置20を移動させて、原反シート60を検査する。
【0058】
また、このように原反シート60の検査を行いつつ、検査された原反シート60と、他の繰り出し部3から繰り出された原反シート60とを積層部7で積層して積層シート50(シート40)を形成し、形成された積層シート50を、巻き取り部9によって巻き取ってロール体51として回収する。
【0059】
さらに、シート40の移動経路において、他の位置でシート40の検査を行う場合には、巻き取り部3の近傍のフレーム5から検査装置20を取り外し、例えば、積層部7の近傍のフレーム(不図示)に検査装置20を移動させ、該フレームに検査装置20を上記と同様にして取り付けて、積層シート50の検査を行う。
【0060】
本実施形態のシート40の検査装置20及びシート40の検査方法は、以下のような利点を有する。
【0061】
すなわち、本実施形態のシート40の検査装置20は、移動経路に沿って移動する帯状のシート40を検査するシート40の検査装置であって、移動可能な架台21と、架台21に支持されてシート40を検査する検査部22とを備え、検査部22は、シート40に光を照射する光源部23と、架台21がシート40の移動経路における任意の位置に配された状態でシート40に対する相対的な撮像位置及び撮像角度を調整可能に構成され、且つ、光源部23によって光が照射されているシート40を撮像する撮像部25とを有している。
【0062】
かかる構成によれば、検査部22と共に架台21を移動させることによって、シート40の移動経路における任意の位置に検査装置20を移動させることができる。そして、このように移動させた位置で、シート40に対する撮像部25の撮像位置及び撮像角度を調整することができる。これにより、撮像部25の撮像対象領域及び焦点を適切に合わせて、シート40の検査を行うことが可能となる。
従って、どの位置でどのような不良が発生したのかといった、シート不良の発生位置及び発生原因を十分に特定し得る。
【0063】
本実施形態のシート40の検査装置20においては、撮像部25は、撮像本体部27と、シート40に対して撮像本体部27を移動させて上記相対的な撮像位置を調整することが可能な位置調整部31と、シート40に対して撮像本体部27を回転させて上記相対的な撮像角度を調整することが可能な角度調整部33とを有している。
【0064】
かかる構成によれば、位置調整部31によって、シート40に対して撮像本体部27を移動させて上記相対的な撮像位置を調整し、角度調整部33によって、シート40に対して撮像本体部27を回転させて上記相対的な撮像角度を調整することができる。
これにより、シート40に対する撮像本体部27の撮像位置調整と撮像角度調整とを独立して行うことも、これら撮像位置調整と撮像角度調整とを組み合わせて行うこともできるため、シート40に対する撮像本体部27の撮像位置及び撮像角度をより詳細に調整し得る。
従って、架台21の配置状態に影響されることなく、撮像本体部27の撮像位置と撮像角度とを、所望の撮像位置と撮像角度とに調整することができ、これにより、シート不良の発生位置及び発生原因をより十分に特定し得る。
【0065】
本実施形態のシート40の検査装置20においては、光源部23がシート40の下側に配され、撮像部25がシート40の上側に配されるようになっている。
【0066】
かかる構成によれば、異物等が撮像部25に落下することを抑制し得るため、該撮像部25への異物の付着に起因する検査精度の低下を抑制し得る。
【0067】
本実施形態のシート40の検査装置20においては、撮像部25と電気的に接続されて、撮像部25からの検査結果を取得する制御部37をさらに備え、制御部37は、架台21の移動に応じて移動可能に構成されている。
【0068】
かかる構成によれば、架台21の移動(すなわち、撮像部25の移動)に応じて制御部37を移動させて、撮像部25からの検査結果を制御部37が取得できるため、その分、撮像部25と制御部37とを電気的に接続するための配線を短くすることができる。また、撮像部25と制御部37の配置の自由度が高まるため、両者をより移動させ易くなり、これにより、より簡便にシート40を検査し得る。しかも、複数の位置での検査結果をより簡便に取得し得る。
また、複数の位置で検査結果を取得する態様を採用した場合には、取得した複数の検査結果を比較し、より異物が発生し易い位置を特定することが可能となるため、シート40の移動経路における検査すべき位置をより適切に特定し得る。
このように、検査装置20がより有用なものとなる。
【0069】
本実施形態のシート40の検査方法は、シート40の検査装置20を用い、シート40を検査する。
かかる構成によれば、上記シート40の検査装置20を用いてシート40の検査を行うことによって、上記と同様、シート不良の発生位置及び発生原因を十分に特定し得る。
【0070】
本実施形態のシート40の検査方法は、シート40の検査装置20を用い、移動経路における所定の位置に検査装置20を移動させてシート40を検査する。
かかる構成によれば、検査装置20を用いて検査を行うことによって、シート不良の発生位置及び発生原因を十分に特定し得る。
【0071】
本実施形態のシート40の検査装置20が備えられた搬送装置1は、検査装置20によってシート40を検査しながらシート40を搬送することができる。
このように、検査装置20を用いて検査を行いながらシート40を搬送することによって、シート不良の発生位置及び発生原因を十分に特定しながらシート40を搬送することが可能となる。
【0072】
本実施形態のシート40の検査装置20を用いたシート40の搬送方法は、シート40を検査しながらシート40を搬送することができる。
このように、検査装置20を用いて検査を行いながらシート40を搬送することによって、シート不良の発生位置及び発生原因を十分に特定しながらシート40を搬送することが可能となる。
【0073】
以上の通り、本実施形態によれば、シート不良の発生位置及び発生原因を十分に特定し得るシート40の検査装置20及び検査方法が提供される。
【0074】
本実施形態のシート40の検査装置1及び検査方法は、上記のごとき構成を備え、上記のごとき利点を有するが、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の意図する範囲内において適宜設計変更されることが可能である。
【0075】
例えば、検査装置20で検査されるシート40として、図14に示すような積層シート(偏光板)50を採用してもよい。図14に示す積層シート50は、それぞれ原反シートとしてのセパレータ60a、位相差フィルム60b、保護フィルム60c、偏光子60d、保護フィルム60e、剥離ライナー60fの各ローラ体から繰り出し部によって各シートが繰り出されて積層部に供給されつつ、積層部にて積層されて積層シート50が形成されるようになっており、さらに、形成された積層シート50が巻き取られて回収されるようになっている。
このような各原反フィルム60a〜60f、及び、積層シート50のいずれかの移動経路において任意の位置に検査装置20を移動させて、該いずれかのシートを検査する態様を採用してもよい。
【0076】
また、例えば、図15に示すように、シート40としての原反シート60が巻き回されてなるロール体61から繰り出し部3によって原反シート60が繰り出され、繰り出された原反シート60が第1の乾燥部71によって乾燥され、コロナ処理部73によってコロナ処理された後、塗工部75によって原反シート60に塗工液が塗工され、第2の乾燥部77によって乾燥されて、原反シート60に塗工膜が形成されてなるシート63(シート40)が形成された後、該シート63がテンションローラ79に架け渡されながら移動し、巻き取り部9によって巻き取られてロール体65として回収するように構成された搬送装置1に、検査装置20が備えられる態様を採用することもできる。この場合、原反シート60及び塗工膜が形成されてなるシート63の移動経路において任意の位置に検査装置20を移動させて、各シートを検査し得る。
【符号の説明】
【0077】
1:搬送装置、3:繰り出し部、7:積層部、9:巻き取り部、20:検査装置、21:架台、22:検査部、23:光源部、25:撮像部、27:撮像本体部、31:位置調整部、33:角度調整部、37:制御部、40:シート、50:積層シート、60:原反シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15