特許第6774179号(P6774179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774179
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】蓋部材
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20201012BHJP
【FI】
   B65D47/08 200
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-227500(P2015-227500)
(22)【出願日】2015年11月20日
(65)【公開番号】特開2017-95128(P2017-95128A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】591011650
【氏名又は名称】アスベル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】今井 勤
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−206741(JP,A)
【文献】 特開2014−097815(JP,A)
【文献】 特開2015−098352(JP,A)
【文献】 実開昭60−123352(JP,U)
【文献】 特開平7−303516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D39/04
B65D47/06−47/08
B65D43/22
B65D43/26
B65D47/20
A47J41/00−41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の上端部に取り付けられるとともに上下方向に延びる受容孔を有する蓋本体と、飲み口部を有し、前記飲み口部が前記容器本体から上に突出するように前記受容孔に挿入された飲み口部材と、前記飲み口部を覆う閉じ位置と前記飲み口部を開放する開き位置との間で開閉可能に前記蓋本体に取り付けられた開閉操作蓋とを備えた蓋部材であって、
前記蓋本体は、前記受容孔の後方側に形成され前記開閉操作蓋を軸支する軸支部と、前記受容孔の前側に形成され前記開閉操作蓋を前記閉じ位置で解除可能にロックするための開閉操作蓋用ロック部と、前記軸支部と前記開閉操作蓋用ロック部とを結ぶ線に沿う第1方向に略直交する第2方向に沿って且つ前記結ぶ線を挟んだ両側に設けられた2つの飲み口部材用係合部とを備え、
前記飲み口部材は、前記飲み口部材用係合部と対応する位置に、前記飲み口部材の下向きの移動を規制するように、前記飲み口部材用係合部に係脱自在に係合される2つの被係合部を備え、
前記飲み口部材用係合部は、前記受容孔の縁部から下方に延びる内周壁に、前記蓋本体の上端面よりも下方側に配置されるように、前記受容孔の内側に突設され
前記被係合部は、前記蓋本体の上端面よりも下方に設けられ、前記飲み口部材用係合部の上面に当たる下面を有し、
前記飲み口部材は、前記被係合部の前記下面から前記内周壁に沿って前記蓋本体の上端面よりも上方に延びる側面を有し、
前記飲み口部材用係合部の上面から前記蓋本体の上端面までの高さは、前記飲み口部材用係合部の上下方向の高さよりも高いことを特徴とする蓋部材。
【請求項2】
前記飲み口部材用係合部と前記被係合部とが互いに係合された状態で、前記飲み口部材と前記受容孔の内周壁との間に、前記飲み口部材の前記上下方向の移動を許容し、且つ前記第1方向の傾きを規制し得るように設定されたクリアランスが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蓋部材。
【請求項3】
前記蓋本体は、円筒状の円筒部と、前記円筒部の上端部に設けられた天板とを備え、
前記受容孔は、前記第2方向の長さが前記第1方向の長さよりも大きくなるように、前記天板に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓋部材。
【請求項4】
前記2つの飲み口部材用係合部は、前記上下方向の位置が互いに略同じになるように形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の蓋部材。
【請求項5】
前記被係合部は、前記飲み口部材の上端よりも下方側に配置されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の蓋部材。
【請求項6】
前記飲み口部材用係合部及び前記受容孔の内周壁は、1つの部材によって形成されていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の蓋部材。
【請求項7】
前記被係合部及び前記飲み口部は、1つの部材によって形成されていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の蓋部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収納可能な容器本体に取り付けられる蓋部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体を収納可能な容器本体に取り付けられる蓋部材は広く知られている。このような蓋部材として、例えば特許文献1に、飲料容器の栓体が開示されている。この栓体は、容器本体の口部に着脱自在に取り付けられる栓本体と、この栓本体に軸支されて開閉自在に設けられる開閉操作蓋とを備える。又、前記栓本体は、前記容器本体の口部に装着すると共に上部開口を有する蓋本体と、この蓋本体の上部開口に下方から着脱自在に挿入して該上部開口から突設されると共に前記蓋本体の内側に配置され、且つ液通孔を有する飲み口部材とを備える。又、前記蓋本体の上部開口の、軸支部と反対側に係合受け部を設けるとともに、開閉操作蓋をロック操作及びロック解除操作するロック操作部を設ける。そして、飲み口部材に設けられた被係合部を前記係合受け部の上に係入した後、前記被係合部を支点として前記飲み口部材の軸支部側を上方に持ち上げると、前記蓋本体と飲み口部材とが前記軸支部側で係止する。又、飲み口部材と蓋本体とを分解するには、前記蓋本体と飲み口部材との前記軸支部側での係止状態を解除し、さらに、反軸支側で前記係合受け部から前記被係合部を外す。これにより、前記飲み口部材を前記蓋本体より下方に抜き出して分解できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5556937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、飲み口部材と蓋本体とが軸支部側で係止し、蓋本体の反軸支部側に設けた係合受け部と飲み口部材に設けた被係合部とを係合させている。そのため、飲み口部材と蓋本体とを係合させる場合における、係合部を支点にして飲み口部材の軸支部側を上方に持ち上げる係合操作に際し、或いは、飲み口部材と蓋本体とを分解する場合における、飲み口部材と蓋本体との軸支部側での係合状態を解除する分解操作に際して、蓋本体に軸支部で軸支された開閉操作蓋、或いは、蓋本体に設けたロック操作部が操作の邪魔になって前記係合操作或いは前記分解操作がし難い場合があるという問題点がある。
【0005】
本発明は、飲み口部材と蓋本体とを係合させる操作及び飲み口部材と蓋本体とを分解する操作を容易に行うことができる蓋部材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、容器本体の上端部に取り付けられるとともに上下方向に延びる受容孔を有する蓋本体と、飲み口部を有し、前記飲み口部が前記容器本体から上に突出するように前記受容孔に挿入された飲み口部材と、前記飲み口部を覆う閉じ位置と前記飲み口部を開放する開き位置との間で開閉可能に前記蓋本体に取り付けられた開閉操作蓋とを備えた蓋部材であって、前記蓋本体は、前記受容孔の後方側に形成され前記開閉操作蓋を軸支する軸支部と、前記受容孔の前側に形成され前記開閉操作蓋を前記閉じ位置で解除可能にロックするための開閉操作蓋用ロック部と、前記軸支部と前記開閉操作蓋用ロック部とを結ぶ線に沿う第1方向に略直交する第2方向に沿って且つ前記結ぶ線を挟んだ両側に設けられた2つの飲み口部材用係合部とを備え、前記飲み口部材は、前記飲み口部材用係合部と対応する位置に、前記飲み口部材の下向きの移動を規制するように、前記飲み口部材用係合部に係脱自在に係合される2つの被係合部を備え、前記飲み口部材用係合部は、前記受容孔の縁部から下方に延びる内周壁に、前記蓋本体の上端面よりも下方側に配置されるように、前記受容孔の内側に突設され、前記被係合部は、前記蓋本体の上端面よりも下方に設けられ、前記飲み口部材用係合部の上面に当たる下面を有し、前記飲み口部材は、前記被係合部の前記下面から前記内周壁に沿って前記蓋本体の上端面よりも上方に延びる側面を有し、前記飲み口部材用係合部の上面から前記蓋本体の上端面までの高さは、前記飲み口部材用係合部の上下方向の高さよりも高いことを特徴とする蓋部材を提供する。
【0007】
これによれば、2つの飲み口部材用係合部は軸支部と開閉操作蓋用ロック部とを結ぶ線に沿う第1方向に略直交する第2方向に沿って前記結ぶ線を挟んだ両側に配置され、飲み口部材は、前記飲み口部材の外周壁における飲み口部材用係合部と対応する位置に前記飲み口部材用係合部に係合される被係合部を備えているため、飲み口部材と蓋本体とを係合させる操作を行う場合、或いは、互いに係合した飲み口部材と蓋本体とを分解する操作を行う場合に、開閉操作蓋及び開閉操作蓋用ロック部が邪魔になるおそれが少なくなり、飲み口部材と蓋本体とを係合させる操作及び飲み口部材と蓋本体とを分解する操作を容易に行うことができる。
また、前記飲み口部材用係合部は、受容孔の縁部から下方に延びる内周壁に、蓋本体の上端面よりも下方側に配置されるように、受容孔の内側に突設されているため、蓋本体の飲み口部材用係合部と飲み口部材の被係合部とが互いに係合された状態で、飲み口部材用係合部と飲み口部材の被係合部とが蓋本体の上端面から突出することを防止でき、蓋本体の上端面を清掃し易いものにできる。
さらに、飲み口部材の側面は、蓋本体の上端面よりも下方に設けられた被係合部の下面から内周壁に沿って蓋本体の上端面よりも上方に延びるため、蓋本体と飲み口部材との係合部が蓋本体の上端面と飲み口部材の側面とによって蓋本体の上端面から一定の深さの下方に隠れる。これにより、蓋本体と飲み口部材とが係合している印象を与えにくく、蓋部材の外観を良好なものとすることができる。
【0008】
前記飲み口部材用係合部と前記被係合部とが互いに係合された状態で、前記飲み口部材と前記受容孔の内周壁との間に、前記飲み口部材の前記上下方向の移動を許容し、且つ前記第1方向の傾きを規制し得るように設定されたクリアランスが設けられている構成にできる。
【0009】
これによれば、飲み口部材用係合部と被係合部とが係合された状態で、飲み口部材と蓋本体とのがたつきを極力抑え得るものにでき、例えば飲み口部材と蓋本体との係合が不意に外れるおそれの少ないものにできる。
【0010】
前記蓋本体は、円筒状の円筒部と、前記円筒部の上端部に設けられた天板とを備え、前記受容孔は、前記第2方向の長さが前記第1方向の長さよりも大きくなるように、前記天板に形成されている構成にできる。
【0011】
これによれば、第2方向における天板の面積が第1方向のそれよりも狭くなることにより、蓋本体は力の付与により第1方向よりも第2方向に変形し易くなる。従って、第2方向に沿って配置された飲み口部材用係合部と被係合部との係合及び係合解除が容易になる。しかも、複数回の係合操作や係合解除操作でも飲み口部材用係合部又は被係合部のへたりや摩耗が抑えられる。
【0012】
前記2つの飲み口部材用係合部は、前記上下方向の位置が互いに略同じになるように形成されている構成にできる。
【0013】
これによれば、2つの飲み口部材用係合部を飲み口部材の被係合部に略同時に係合させることができ、係合操作が容易になる。
【0014】
前記被係合部は、前記飲み口部材の上端よりも下方側に配置されている構成にできる。
【0015】
これによれば、例えば飲み口に直接口を付けるようにして飲み口から容器本体に収容した液体を飲む場合に、被係合部が顔の一部に当たるおそれの少ないものにでき、飲み口から容器本体に収容した液体を飲み易いものにできる。
【0018】
前記飲み口部材用係合部及び前記受容孔の内周壁は、1つの部材によって形成されている構成にできる。
【0019】
これによれば、蓋部材を簡素化でき、蓋部材の部品点数が多くなることを抑えることができ、しかも、飲み口部材用係合部の形成が容易になる。
【0020】
前記被係合部及び前記飲み口部は、1つの部材によって形成されている構成にできる。
【0021】
これによれば、飲み口部材を簡素化でき、飲み口部材の部品点数が多くなることを抑えることができる。しかも、被係合部の形成が容易になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の蓋部材は、飲み口部材と蓋本体とを係合させる操作及び飲み口部材と蓋本体とを分解する操作を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の蓋部材を有する一実施形態の携帯タンブラーの断面図である。
図2図1の一部を省略したII−II線断面図である。
図3図1の蓋部材の蓋本体の一部を省略した平面図である。
図4図3の底面図である。
図5図3のV−V線断面図である。
図6図3のVI−VI線断面図である。
図7図1の蓋部材の飲み口部材の平面図である。
図8図7の底面図である。
図9図7の正面図である。
図10図7の右側面図である。
図11図7のXI−XI線断面図である。
図12図7のXII−XII線断面図である。
図13】蓋本体に飲み口部材を係合させる際の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の蓋部材を有する一実施形態の液体収納容器の断面図であり、図2は、図1の一部を省略したII−II線断面図である。
【0025】
本発明の蓋部材2は、図1図2に示すように液体を収納可能な容器本体10に取り付けられて使用され、蓋部材2と容器本体10とで液体収納容器を構成する。
【0026】
この実施形態では、液体収納容器は、携帯タンブラー1から構成されている。この実施形態の携帯タンブラー1における容器本体10は、上面を開口した金属製の内容器11及び外容器12の上端同士を一体に接合したもので、内容器11と外容器12との間に、真空断熱構造の断熱部13が形成されている。又、容器本体10の上端部の外周には、蓋部材2を螺合する雄ネジ部14が形成されている。
【0027】
次に、本発明の蓋部材2について説明する。この蓋部材2は、図1図2に示すように蓋本体3と、開閉操作蓋4と、飲み口部材5とを備えている。
【0028】
蓋本体3は、図3図6に示すように、円筒状の円筒部31と、円筒部31の軸方向である上下方向の上端側に形成された天板32とを備えている。
【0029】
円筒部31の内周面には、容器本体10の雄ネジ部14と螺合する雌ネジ部311が設けられており、この雌ネジ部311が雄ネジ部14に螺合されることで蓋本体3が容器本体10に取り付けられ、螺合された雌ネジ部311が雄ネジ部14から外されることで蓋本体3が容器本体10から取り外され得るようになっている。
【0030】
また、円筒部31の外周面における前部に、開閉操作蓋4を後述の閉じ位置で解除可能にロックするための開閉操作蓋用ロック部34が設けられている。この実施形態の開閉操作蓋用ロック部34は、図1に示すように、開閉操作蓋4をロックするロック操作片341と、ロック操作片341を押圧操作する押圧操作片342とを備えている。
【0031】
ロック操作片341は、上端側に、円筒部31と対向するように円筒部31の径方向外側に配置されたロック爪341aを備え、下部側に、被押圧操作部341bを備え、ロック爪341aと被押圧操作部341bとの間の中間部が軸343を介して円筒部31に軸支されている。又、ロック操作片341は、軸343に付設されたロック操作片用付勢部材としてのねじりコイルバネ344によって常時ロック爪341aが円筒部31側(Y1側)に付勢された状態にされている。
【0032】
押圧操作片342は、円筒部31の径方向におけるロック操作片341の外側に配置されており、下部側に押圧操作部342aを備えている。この押圧操作片342は、この実施形態では、下位置から上位置までの所定の範囲を上下方向に摺動自在にロック操作片341に取り付けられている。
【0033】
詳しくは、押圧操作片342は、押圧操作部342aが円筒部31に設けられた当て止め部312と対向した、当て止め部の外側位置に配置された下位置(押圧操作部342aを一点鎖線で示した位置)から、押圧操作部342aが円筒部31の当て止め部312の上方位置に配置された上位置(図1に示す位置)までの範囲を上下に摺動する。
【0034】
そして、押圧操作片342が下位置にくると、押圧操作部342aが押圧されても当て止め部312によって押圧操作片342は回動せず、ロック操作片341を押圧操作できない状態になる。一方、押圧操作片342が上位置にくると、押圧操作部342aが円筒部31の当て止め部312の上方位置になり、この状態で、押圧操作部342aが押圧されるに伴い被押圧操作部341bが円筒部31側(Y1側)に押圧され、これにより、ロック操作片341が軸343回りに回動し、ロック爪341aが円筒部31の外側(Y2側)に回動する。
【0035】
天板32は、図3図5に示すように、その後部側に、開閉操作蓋4を軸支する軸支部33を備えている。軸支部33は、天板32と一体的に天板32から上方に突出するように形成されており、その上端部に、回動軸71(図1に図示)を嵌挿する嵌挿孔331を備えている。
【0036】
また、天板32は、軸支部33の前方側に、飲み口部材5を受容する受容孔332を備えている。この実施形態の受容孔332は、左右方向(第2方向、X1−X2方向)の長さL1が前後方向(第1方向、Y1−Y2)の長さL2よりも大きくなるように形成されている。
【0037】
また、受容孔332の内周壁333に、飲み口部材5と係合する2つの飲み口部材用係合部334が設けられている。これら2つの飲み口部材用係合部334は、軸支部33とロック操作片341とを結ぶ線Pに沿う前後方向(第1方向)に略直交する左右方向(第2方向)に沿って且つ前記結ぶ線Pを挟んだ両側のそれぞれに、受容孔332の内側に突設されている。
【0038】
又、この実施形態では、2つの飲み口部材用係合部334は内周壁333と一体成形によって形成されている。即ち、2つの飲み口部材用係合部334及び内周壁333は、1つの部材から構成され、これにより、飲み口部材用係合部334の形成を容易なものにするとともに、蓋本体3の部品点数が少なくなるようにしている。
【0039】
次に、飲み口部材5について説明する。飲み口部材5は、図7図12に示すように、上部側に飲み口部51を備え、下部側に容器本体閉鎖用パッキン取付部52を備えている。
【0040】
飲み口部51は、筒状を呈しており、飲み口部51が受容孔332に入り込み得るように、外周形状が蓋本体3における受容孔332の内周壁333と略同形状に形成されている。又、この実施形態では、飲み口部51の外周壁と受容孔332の内周壁333との間のクリアランスが、受容孔332の内周壁333に対する飲み口部材5の上下方向の移動を許容し、且つ前後方向(Y1−Y2方向)の傾きを規制し得るように設定されている。
【0041】
また、この飲み口部51の内側に、容器本体10に収納された液体を飲み口部51の内側に通す液通孔53が設けられている。
【0042】
容器本体閉鎖用パッキン取付部52は、容器本体10と蓋部材2との隙間を塞ぐための容器本体閉鎖用パッキン62(図1図2に図示)を取り付ける部分で、この実施形態の容器本体閉鎖用パッキン取付部52は、蓋本体3における円筒部31の内周よりもやや径の小さい円筒形状に形成されており、外周に、容器本体閉鎖用パッキン62を係止するための係止凸部521を備えている。
【0043】
係止凸部521は、所定の厚さで、容器本体閉鎖用パッキン取付部52の外周から径方向外側に突出するように、容器本体閉鎖用パッキン取付部52の外周の全周にわたって形成されている。
【0044】
そして、このように形成された容器本体閉鎖用パッキン取付部52に、合成ゴム製の容器本体閉鎖用パッキン62が取り付けられる。詳しくは、容器本体閉鎖用パッキン62は、図1図2に示すように、容器本体10の上部側の内周に入り込み可能な円筒状のものから構成されており、内周に、係止凸部521が嵌まり込み可能な係止凹部621を備えている。そして、係止凹部621に係止凸部521が嵌め込まれることで、容器本体閉鎖用パッキン取付部52に容器本体閉鎖用パッキン62が取り付けられている。
【0045】
また、飲み口部材5は、蓋本体3の飲み口部材用係合部324のそれぞれに係脱自在に係合される被係合部54を備えている。
【0046】
この実施形態では、被係合部54は、図7図10及び図12に示すように、外周における飲み口部51と容器本体閉鎖用パッキン取付部52との間、且つ左側部と右側部とに、それぞれ形成されている。又、各被係合部54は、飲み口部51の外周から凹設されるように形成されている。
【0047】
また、この実施形態では、被係合部54は、飲み口部51と一体的に形成されている。換言すれば、被係合部54と飲み口部51とは、1つの部材によって形成されている。これにより、被係合部54の形成を容易なものにしているとともに、部品点数が少なくなるようにしている。
【0048】
そして、このように構成された飲み口部材5は、被係合部54のそれぞれが蓋本体3の飲み口部材用係合部324のそれぞれに係合されることで、蓋本体3に対する飲み口部材5の下向きの移動が規制される。
【0049】
また、この係合状態で、飲み口部材5の飲み口部51は、全周にわたって蓋本体3の上端面から上方に突出しており、飲み口部51に口を付けて容器本体10内に収納された液体を直接飲むことができるようになっている。
【0050】
次に、開閉操作蓋4について説明する。開閉操作蓋4は、図1図2に示すように、円筒状の開閉操作蓋円筒部41と、開閉操作蓋円筒部41の軸方向である上下方向の上端側に形成された開閉操作蓋天板42とを備えている。開閉操作蓋円筒部41は、蓋本体3の円筒部31と略同径に形成されている。
【0051】
開閉操作蓋円筒部41は、前部(Y2側部)に、ロック操作片341のロック爪341aに解除可能にロックされる被ロック部411を備えている。被ロック部411は、開閉操作蓋円筒部41の外面から外方の前方に突出するように形成されている。
【0052】
開閉操作蓋天板42の下面には、液通孔閉鎖用パッキン取付部421が設けられており、この液通孔閉鎖用パッキン取付部421に、飲み口部材5の液通孔53を密閉する液通孔閉鎖用パッキン63が取り付けられる。
【0053】
この実施形態の液通孔閉鎖用パッキン取付部421は、円筒状を呈し、その軸方向が上下方向に沿うように、開閉操作蓋天板42の下面に一体的に形成されている。そして、この液通孔閉鎖用パッキン取付部421に液通孔閉鎖用パッキン63が取り付けられる。
【0054】
詳しくは、液通孔閉鎖用パッキン63は、合成ゴム製の有底円筒状のもので、その下端部に、液通孔53を密閉する略半球状の密栓部631を備えている。そして、液通孔閉鎖用パッキン63の上部が液通孔閉鎖用パッキン取付部421に下方側から嵌め入れられることにより、液通孔閉鎖用パッキン取付部421に液通孔閉鎖用パッキン63が取り付けられている。
【0055】
このように構成された開閉操作蓋4は、開閉操作蓋円筒部41の後部側が蓋本体3の軸支部33に回動軸71を介して軸支されている。これにより、開閉操作蓋4は、飲み口部材5を覆った図1の閉じ位置から、160°〜200°回動して、飲み口部材5を開放した開き位置(図示せず)までの間で開閉可能とされている。
【0056】
また、回動軸71を介して軸支された開閉操作蓋4は、回動軸71に付設された付勢部材であるねじりコイルバネ72によって閉じ位置から開き位置の方向に付勢されている。
【0057】
また、開閉操作蓋4は、図1の閉じ位置で、液通孔閉鎖用パッキン取付部421に取り付けた液通孔閉鎖用パッキン63によって飲み口部材5の液通孔53を密閉しているとともに、被ロック部411がロック操作片341のロック爪341aに係合されてロックされた状態になっている。
【0058】
次に、本発明の蓋部材を有する携帯タンブラー1の動作について説明する。蓋部材2を容器本体10に取り付けて開閉操作蓋4を閉じ位置に配置した状態から、容器本体10に収納した液体、例えば飲料水を飲み場合は、蓋本体3の押圧操作片342を上方側に摺動させる。これにより、図1に示すように、押圧操作部342aが、円筒部31の当て止め部312の上方位置の上位置にきた状態になる。
【0059】
そして、この状態から、押圧操作部342aを円筒部31側(Y1側)に押圧操作する。これにより、ロック操作片341がねじりコイルバネ344の付勢力に抗して軸343回りに回動して開閉操作蓋4の被ロック部411から外れ、開閉操作蓋4がロック解除される。ロック解除された開閉操作蓋4は、ねじりコイルバネ72の付勢力によって開き位置まで回動する。従って、この状態で、例えば飲み口部材5の飲み口部51に口を付けて容器本体10の液体を直接飲むことができる。
【0060】
その際、被係合部54が飲み口部材5の上端よりも下方側に配置されているため、換言すれば、被係合部54が飲み口部材5の上端よりも上方に突出していないため、被係合部54が顔の一部に当たるようなことがなく、飲み易いものにできる。
【0061】
また、飲み口部材用係合部334が、蓋本体3の上端面よりも下方側に配置されているため、蓋本体3の飲み口部材用係合部334と飲み口部材5の被係合部51とが互いに係合された状態で、飲み口部材用係合部334と飲み口部材5の被係合部51とが蓋本体3の上端面から突出することを防止でき、蓋本体3の上端面を清掃し易いものにできる。
【0062】
携帯タンブラー1を清掃する場合は、まず、蓋部材2を容器本体10から取り外す。そして、開閉操作蓋4を開き位置にした状態で、蓋本体3に対して飲み口部材5の飲み口部51の上端を下方に押圧する。これにより、飲み口部材5の被係合部54と蓋本体3の飲み口部材用係合部334との係合が外れ、飲み口部材5が蓋本体3から外れる(図13参照)。
【0063】
その際、左右方向(第1方向、X1−X2方向)の長さL1が前後方向(第2方向、Y1−Y2)の長さL2よりも大きい受容孔332の内周壁333に蓋本体3の飲み口部材用係合部334が形成されて第2方向における天板32の面積が第1方向のそれよりも狭くなっている。これにより、蓋本体3が前後方向に較べて左右方向に変形し易く、飲み口部材5の被係合部54と蓋本体3の飲み口部材用係合部334との係合が外れ易くできる。これにより、外す操作を容易なものにできる。しかも、繰り返し使用されても被係合部54及び飲み口部材用係合部334のへたりが抑えられる。
【0064】
また、飲み口部材用係合部334に係合した飲み口部材5の被係合部54それぞれの上方側を押圧するに際し、飲み口部材用係合部334は、軸支部33とロック操作片341とを結ぶ線Pに沿う前後方向(第1方向)に略直交する左右方向(第2方向)に沿って且つ前記結ぶ線Pを挟んだ両側のそれぞれに配置されているため、開き位置の開閉操作蓋4、或いは、蓋本体3の開閉操作蓋用ロック部34が邪魔になるおそれが少なく、外し操作を容易に行うことができる。
【0065】
以上の操作により、飲み口部材5が蓋本体3から外れ、分解した飲み口部材5及び蓋本体3を洗うことができる。
【0066】
一方、飲み口部材5を蓋本体3に取り付ける場合は、図13に示すように、蓋本体3の受容孔332に、飲み口部材5を下方側から押し入れる。これにより、図1に示すように飲み口部材5の飲み口部51が蓋本体3の上端から上方に突出した状態で、飲み口部材5の被係合部54と蓋本体3の飲み口部材用係合部334とが係合し、飲み口部材5を蓋本体3に取り付けることができる。
【0067】
この場合においても、蓋本体3が左右方向に容易に変形して飲み口部材5の被係合部54と蓋本体3の飲み口部材用係合部334とが容易に係合し、被係合部54及び飲み口部材用係合部334のへたりを抑えることができる。
【0068】
また、押圧に際して、飲み口部材用係合部334に係合した飲み口部材5の被係合部54それぞれの下方側を押圧でき、開き位置の開閉操作蓋4、或いは、蓋本体3の開閉操作蓋用ロック部34が邪魔になるおそれが少なく、取り付け操作を容易に行うことができる。
【0069】
しかも、2つの飲み口部材用係合部334は、上下方向の位置が互いに略同じになるように形成されているため、2つの飲み口部材用係合部334を飲み口部材5の被係合部51に略同時に係合させることができ、係合操作が容易になる。
【0070】
また、この状態から、開き位置の開閉操作蓋4がねじりコイルバネ72の付勢力に抗して閉め位置まで回動操作されると、被ロック部411の下面がロック操作片341のロック爪341aの上面を押圧する。この押圧により、ロック操作片341がねじりコイルバネ344の付勢力に抗して軸343回りに回動して被ロック部411がロック爪341aの下方に入り込む。そして、被ロック部411がロック爪341aの下方に入り込むと、ロック操作片341がねじりコイルバネ344の付勢力によって元の状態に戻り、被ロック部411がロック操作片341のロック爪341aにロックされた図1の状態になる。
【0071】
このロック状態では、飲み口部材5の飲み口部51が開閉操作蓋4で覆われているとともに、飲み口部材5の液通孔53が液通孔閉鎖用パッキン63の密栓部631で密閉された状態になっている。
【0072】
尚、上記実施形態では、蓋本体3の飲み口部材用係合部334が凸部に形成され、飲み口部材5の被係合部54が凹部に形成されたが、この形態のものに限らず、適宜変更でき、例えば飲み口部材用係合部334が凹部に形成され、被係合部54が凸部に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 携帯タンブラー
2 蓋部材
3 蓋本体
4 開閉操作蓋
5 飲み口部材
10 容器本体
33 軸支部
34 開閉操作蓋用ロック部
53 液通孔
54 被係合部
334 飲み口部材用係合部
図1
図2
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