特許第6774210号(P6774210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774210
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】耐圧機器及び流体圧シリンダ
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/14 20060101AFI20201012BHJP
   B23K 37/06 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
   F15B15/14 370
   B23K37/06 301A
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-83130(P2016-83130)
(22)【出願日】2016年4月18日
(65)【公開番号】特開2017-194088(P2017-194088A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2019年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100181733
【弁理士】
【氏名又は名称】淺田 信二
(72)【発明者】
【氏名】今井 則文
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊雄
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−194087(JP,A)
【文献】 実開昭63−014004(JP,U)
【文献】 実開昭59−001493(JP,U)
【文献】 特開2005−161378(JP,A)
【文献】 特開2006−281245(JP,A)
【文献】 特開2003−136286(JP,A)
【文献】 特開2009−148808(JP,A)
【文献】 特開2007−062538(JP,A)
【文献】 特開平08−066770(JP,A)
【文献】 特開昭55−008398(JP,A)
【文献】 実開昭62−118673(JP,U)
【文献】 実開昭60−075703(JP,U)
【文献】 国際公開第2014/184291(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/14−15/28
B23K 9/00, 9/028, 9/035,
33/00,37/06
F16J 10/00−10/04,12/00
F17C 1/00− 1/08
F04B 53/00−53/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本体部と、
環状の壁部を有し、前記本体部と前記壁部の端部どうしが接合部を介して接合されて前記本体部の開口を閉塞する蓋部と、
前記本体部と前記壁部の内周面に沿って配置され、前記本体部と前記蓋部との相対位置を定める環状の位置決め部と、を備え、
前記位置決め部の外周面の一部は、前記接合部と接合され、
前記本体部の内周面前記壁部の内周面との少なくとも一方には、周方向に延在する溝部が形成され、
前記接合部は、前記溝部に臨み、
前記溝部は、前記位置決め部の外周面によって封止されることを特徴とする耐圧機器。
【請求項2】
前記溝部は、前記本体部の内周面と、前記壁部の内周面と、に形成されることを特徴とする請求項に記載の耐圧機器。
【請求項3】
前記溝部は、前記蓋部の内周面に形成され、
前記位置決め部の外周面のうち前記本体部と対向する領域には、前記周方向に延在する別の溝部が形成され、
前記接合部は、前記位置決め部における前記溝部に臨むことを特徴とする請求項1に記載の耐圧機器。
【請求項4】
前記溝部は、前記本体部の内周面に形成され、
前記位置決め部の外周面のうち前記壁部と対向する領域には、前記周方向に延在する別の溝部が形成され、
前記接合部は、前記位置決め部における前記溝部に臨むことを特徴とする請求項1に記載の耐圧機器。
【請求項5】
筒状の本体部と、
環状の壁部を有し、前記本体部と前記壁部の端部どうしが接合部を介して接合されて前記本体部の開口を閉塞する蓋部と、
前記本体部と前記壁部の内周面に沿って配置され、前記本体部と前記蓋部との相対位置を定める環状の位置決め部と、を備え、
前記位置決め部の外周面の一部は、前記接合部と接合され、
前記本体部の内周面と前記壁部の内周面とには、周方向に延在する溝部が形成され、
前記接合部は、前記本体部における前記溝部と、前記壁部における前記溝部と、の両方に臨むことを特徴とする耐圧機器。
【請求項6】
筒状の本体部と、
環状の壁部を有し、前記本体部と前記壁部の端部どうしが接合部を介して接合されて前記本体部の開口を閉塞する蓋部と、
前記本体部と前記壁部の内周面に沿って配置され、前記本体部と前記蓋部との相対位置を定める環状の位置決め部と、を備え、
前記位置決め部の外周面の一部は、前記接合部と接合され、
前記壁部の内周面と、前記位置決め部の外周面のうち前記本体部と対向する領域と、には、周方向に延在する溝部が形成され、
前記接合部は、前記壁部における前記溝部と、前記位置決め部における前記溝部と、の両方に臨むことを特徴とする耐圧機器。
【請求項7】
筒状の本体部と、
環状の壁部を有し、前記本体部と前記壁部の端部どうしが接合部を介して接合されて前記本体部の開口を閉塞する蓋部と、
前記本体部と前記壁部の内周面に沿って配置され、前記本体部と前記蓋部との相対位置を定める環状の位置決め部と、を備え、
前記位置決め部の外周面の一部は、前記接合部と接合され、
前記本体部の内周面と、前記位置決め部の外周面のうち前記壁部と対向する領域と、には、周方向に延在する溝部が形成され、
前記接合部は、前記本体部における前記溝部と、前記位置決め部における前記溝部と、の両方に臨むことを特徴とする耐圧機器。
【請求項8】
シリンダに作動流体が給排されることによって伸縮作動する流体圧シリンダであって、
前記シリンダは、請求項1から7のいずれか1項に記載の耐圧機器であることを特徴とする流体圧シリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐圧機器及び流体圧シリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シリンダチューブと、シリンダチューブに固定された後蓋と、を備える油圧シリンダが開示されている。後蓋は環状に突出する周壁を備え、シリンダチューブと後蓋の周壁との端面どうしが溶接により接合される。溶接時には、シリンダチューブと後蓋の周壁とは、環状の当て板に外嵌されて位置合わせされる。シリンダチューブと後蓋の周壁とを溶接する際に、シリンダチューブと周壁がそれらの内周面まで溶融し、当て板の外周面がシリンダチューブと後蓋の周壁との接合部と接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−196003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるシリンダ(耐圧機器)では、当て板の外周面がシリンダチューブと後蓋との接合部と接合され、当て板の内周面は接合部と接合されていない。シリンダが引張荷重を受けると、当て板の外周面は接合部とともに伸びる一方で、当て板の内周面はほとんど伸びない。そのため、当て板は、軸方向における中央部が径方向外側に突出するように湾曲する。このとき、接合部は、シリンダチューブ及び後蓋から受ける軸方向の力に加えて、径方向の力を当て板から受ける。
【0005】
接合部と当て板との接合面における軸方向の幅(接合幅)は、溶接時の条件によって変化する。接合幅が広いと、当て板はシリンダが受ける引張荷重によって大きく変形し、接合部には、より大きい径方向の力が作用する。径方向の力の増大によって、接合部における応力が増大し接合部が破損しやすくなる。その結果、耐圧機器の耐久性が低下する。
【0006】
本発明は、耐圧機器の耐久性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、筒状の本体部と、本体部と壁部の端部どうしが接合部を介して接合されて本体部の開口を閉塞する蓋部と、本体部と蓋部との相対位置を定める環状の位置決め部と、を備え、位置決め部の外周面の一部は、接合部と接合され、本体部の内周面壁部の内周面との少なくとも一方には、周方向に延在する溝部が形成され、接合部は、溝部に臨み、溝部は、位置決め部の外周面によって封止されることを特徴とする。
【0008】
第1の発明では、接合部が周方向に延在する溝部に臨むので、溝部によって、接合部と位置決め部との接合面の縁の位置が定められる。溶接時の条件に関わらず接合幅が拡大するのを防止することができ、接合部における応力の増大を防止することができる。また、位置決め部の外周面によって溝部が封止されるので、溶接時には、軸方向における位置決め部の両端が本体部及び壁部に接する。本体部と蓋部との径方向へのずれをより確実に防止することができ、本体部と壁部との間に意図しない段部が形成されるのを防ぐことができる。したがって、耐圧機器の耐久性を向上させることができる。
【0009】
第2の発明は、溝部が、本体部の内周面と、壁部の内周面と、に形成されることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、本体部の内周面と壁部の内周面とに形成された2つの溝部によって、接合部と位置決め部との接合面の両縁の位置が定められる。溶接時の条件に関わらず接合幅が拡大するのをより確実に防止することができ、接合部における応力の増大を防止することができる。また、溝部が本体部の内周面と壁部の内周面とに形成されるので、本体部及び蓋部に作用する軸方向の力は、接合面の両縁に伝わり難い。接合面の両縁に生じる応力集中を緩和することができ、繰り返し荷重による接合部130の疲労破壊を防止することができる。したがって、耐圧機器の耐久性を向上させることができる。
【0011】
第3の発明は、溝部が壁部の内周面に形成され、位置決め部の外周面のうち本体部と対向する領域には、周方向に延在する別の溝部が形成され、接合部は、位置決め部における溝部に臨むことを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、溝部が位置決め部の外周面のうち本体部と対向する領域に形成されるので、本体部に溝部を形成しなくてよく、本外部の肉厚を一定にすることができる。したがって、耐圧機器が大荷重を受けることにより生じる壁部の一発破壊を防止することができる。
【0013】
第4の発明は、溝部が本体部の内周面に形成され、位置決め部の外周面のうち壁部と対向する領域には、周方向に延在する別の溝部が形成され、接合部は、位置決め部における溝部に臨むことを特徴とする。
【0014】
第4の発明では、溝部が位置決め部の外周面のうち壁部と対向する領域に形成されるので、壁部に溝部を形成しなくてよく、壁部の肉厚を一定にすることができる。したがって、耐圧機器が大荷重を受けることにより生じる壁部の一発破壊を防止することができる。
【0015】
第5の発明は、筒状の本体部と、本体部と壁部の端部どうしが接合部を介して接合されて本体部の開口を閉塞する蓋部と、本体部と蓋部との相対位置を定める環状の位置決め部と、を備え、位置決め部の外周面の一部は、接合部と接合され、本体部の内周面と壁部の内周面とには、周方向に延在する溝部が形成され、接合部は、本体部における溝部と、壁部における溝部と、の両方に臨むことを特徴とする。
【0016】
第5の発明では、溝部が本体部の内周面と壁部の内周面とに形成されるので、本体部及び蓋部に作用する軸方向の力は、接合面の両縁に伝わり難い。接合面の両縁に生じる応力集中を緩和することができ、繰り返し荷重による接合部の疲労破壊を防止することができる。したがって、耐圧機器の耐久性を向上させることができる。
【0017】
第6の発明は、筒状の本体部と、本体部と壁部の端部どうしが接合部を介して接合されて本体部の開口を閉塞する蓋部と、本体部と蓋部との相対位置を定める環状の位置決め部と、を備え、位置決め部の外周面の一部は、接合部と接合され、壁部の内周面と、位置決め部の外周面のうち本体部と対向する領域と、には、周方向に延在する溝部が形成され、接合部は、壁部における溝部と、位置決め部における溝部と、の両方に臨むことを特徴とする。
【0018】
第6の発明では、壁部の内周面に溝部が形成されるので、蓋部に作用する軸方向の力は、接合部と位置決め部との接合面の縁に伝わり難い。したがって、接合面の縁に生じる応力集中を緩和することができ、繰り返し荷重による接合部の疲労破壊を防止することができる。また、溝部が位置決め部の外周面に形成されるので、本体部の内周面に溝部を形成しなくてよく、本体部の肉厚を一定にすることができる。したがって、耐圧機器が大荷重を受けることにより生じる本体部の一発破壊を防止することができる。
【0019】
第7の発明は、筒状の本体部と、本体部と壁部の端部どうしが接合部を介して接合されて本体部の開口を閉塞する蓋部と、本体部と蓋部との相対位置を定める環状の位置決め部と、を備え、位置決め部の外周面の一部は、接合部と接合され、本体部の内周面と、位置決め部の外周面のうち壁部と対向する領域と、には、周方向に延在する溝部が形成され、接合部は、本体部における溝部と、位置決め部における溝部と、の両方に臨むことを特徴とする。
【0020】
第7の発明では、本体部の内周面に溝部が形成されるので、本体部に作用する軸方向の力は、接合部と位置決め部との接合面の縁に伝わり難い。したがって、接合面の縁に生じる応力集中を緩和することができ、繰り返し荷重による接合部の疲労破壊を防止することができる。また、溝部が位置決め部の外周面に形成されるので、壁部の内周面に溝部を形成しなくてよく、壁部の肉厚を一定にすることができる。したがって、耐圧機器が大荷重を受けることにより生じる壁部の一発破壊を防止することができる。
【0021】
第8の発明は、シリンダに作動流体が給排されることによって伸縮作動する流体圧シリンダであって、シリンダは、前述の耐圧機器であることを特徴とする。
【0022】
第8の発明では、シリンダが前述の耐圧機器であるので、シリンダは高い耐久性を有する。したがって、流体圧シリンダの耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、耐圧機器の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るシリンダを備えた油圧シリンダの部分断面図である。
図2図1におけるA部の拡大図である。
図3】シリンダが引張荷重を受けたときに位置決め部に生じる変形を説明するための図である。
図4】本発明の実施形態の変形例に係るシリンダの拡大断面図である。
図5】本発明の実施形態の別の変形例に係るシリンダの拡大断面図である。
図6】本発明の実施形態の別の変形例に係るシリンダの拡大断面図である。
図7】本発明の実施形態の別の変形例に係るシリンダの拡大断面図である。
図8】本発明の実施形態の別の変形例に係るシリンダの拡大断面図である。
図9】本発明の実施形態の別の変形例に係るシリンダの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る耐圧容器について説明する。耐圧容器は流体を貯留し、耐圧容器には流体の圧力が内側から作用する。以下では、耐圧容器が、油圧シリンダ(流体圧シリンダ)1に用いられるシリンダ100,101,102,103,104,105,106である場合について説明する。
【0026】
図1に示すように、油圧シリンダ1は、中空のシリンダ100と、シリンダ100内に挿入されるピストンロッド20と、ピストンロッド20の端部に設けられシリンダ100の内周面に沿って摺動するピストン30と、を備える。
【0027】
シリンダ100の内部は、ピストン30によって、ロッド側室4と反ロッド側室5とに区画される。ロッド側室4及び反ロッド側室5には、作動流体としての作動油が充填される。
【0028】
油圧シリンダ1は、作動油が反ロッド側室5に供給されるとともにロッド側室4内の作動油が排出されることで伸長作動する。また、油圧シリンダ1は、作動油がロッド側室4に供給されるとともに反ロッド側室5内の作動油が排出されることで収縮作動する。ロッド側室4及び反ロッド側室5に作動油が給排される際に、シリンダ100には作動油の圧力が作用する。
【0029】
シリンダ100は、シリンダチューブ(筒状の本体部)110と、シリンダチューブ110の一方の開口を閉塞するシリンダボトム(蓋部)120と、シリンダチューブ110とシリンダボトム120との相対位置を定める環状の位置決め部140と、を備える。ピストンロッド20は、シリンダチューブ110の他方の開口を通じてシリンダ100から延出する。シリンダチューブ110の他方の開口は、ピストンロッド20を摺動自在に支持するシリンダヘッド50によって閉塞される。
【0030】
以下において、シリンダチューブ110の中心軸に沿う方向を「軸方向」と称し、シリンダチューブ110の中心軸を中心とする放射方向を「径方向」と称し、シリンダチューブ110の中心軸の周りに沿う方向を「周方向」と称する。
【0031】
図2は、図1におけるA部の拡大図である。図2に示すように、シリンダボトム120は、シリンダチューブ110の開口を覆うボトム本体121と、ボトム本体121から軸方向に延在する環状の壁部122と、を有する。ボトム本体121には、油圧シリンダ1を他の機器に取り付けるための取付部123(図1参照)が設けられる。
【0032】
壁部122の先端部122aは、シリンダチューブ110の開口端部110aと溶接によって接合される。シリンダチューブ110と壁部122との溶接には、プラズマ溶接及びTIG溶接を含むアーク溶接、ガス溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接、並びに摩擦圧接など任意の方法を用いることができる。
【0033】
図2における破線は、溶接前のシリンダチューブ110及びシリンダボトム120の形状を示す。シリンダチューブ110の開口端部110aと壁部122の先端部122aとが溶接されることにより、接合部130が形成される。シリンダチューブ110と壁部122との溶接によって、シリンダチューブ110とシリンダボトム120とが接合部130を介して一体化される。
【0034】
環状の位置決め部140は、シリンダチューブ110の内周面110bと壁部122の内周面122bに沿って配置される。位置決め部140は、シリンダチューブ110と壁部122とが接合される前では、シリンダチューブ110と壁部122とは別体に形成される。
【0035】
シリンダチューブ110と壁部122とを接合する際には、まず、シリンダチューブ110及び壁部122を位置決め部140の外周面140aに嵌合し、シリンダチューブ110の開口端部110aと壁部122の先端部122aとを互いに突き当てる。次に、シリンダチューブ110と壁部122とに熱を加え、開口端部110aと先端部122aを接合する。このとき、位置決め部140の外周面140aが接合部130と接合される。
【0036】
シリンダチューブ110と壁部122との溶接時にシリンダチューブ110と壁部122との相対位置が位置決め部140によって定められるので、シリンダチューブ110と壁部122とのずれを防止することができる。シリンダチューブ110の軸と壁部122との軸を一致させた状態でシリンダチューブ110と壁部122とを溶接することができる。シリンダチューブ110と壁部122との溶接には、プラズマ溶接及びTIG溶接を含むアーク溶接、ガス溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接、抵抗溶接並びに摩擦圧接など任意の方法を用いることができる。
【0037】
接合部130は、位置決め部140の外周面140aの一部のみと接合される。つまり、接合部130と位置決め部140との接合面131は、位置決め部140の外周面140aの一部であり、軸方向における接合面131の両縁131a,131bは位置決め部140の外周面140a上に位置する。
【0038】
シリンダチューブ110の内周面110bには、周方向に延在する環状の溝部114が形成される。壁部122の内周面122bには、周方向に延在する環状の溝部124が形成される。溝部114,124の断面は、弓形に形成される。溝部114及び溝部124は、周方向に全周に形成されていてもよいし、周方向における一部に形成されていてもよい。
【0039】
溝部114の底面の一部は、接合部130によって形成される。つまり、接合部130は、溝部114に臨む。そのため、接合面131の一方の縁131aの位置は、溝部114によって定められる。
【0040】
溝部124の底面の一部は、接合部130によって形成される。つまり、接合部130は、溝部124に臨む。そのため、接合面131の他方の縁131bの位置は、溝部124によって定められる。
【0041】
図3は、シリンダ100が軸方向の力として引張荷重を受けたときに位置決め部140に生じる変形を説明するための図であり、図2に対応して示す。引張荷重は、例えば、シリンダ100内の作動油の圧力、及び油圧シリンダ1に連結される負荷によって、シリンダ100に作用する。
【0042】
位置決め部140の外周面140aの一部は、接合部130と接合され、位置決め部140の内周面140bは、接合部130と接合されていない。シリンダ100が引張荷重を受けると、位置決め部140の外周面140aの一部は接合部130とともに伸びる一方で、位置決め部140の内周面140bはほとんど伸びない。そのため、位置決め部140は、軸方向における中央部が径方向外側に突出するように湾曲する。
【0043】
位置決め部140の湾曲に伴って、接合部130は、位置決め部140から径方向の力を受ける。具体的には、位置決め部140の両端部がシリンダチューブ110及び壁部122から離れるように位置決め部140が変形するので、接合面131の両縁131a,131bには、径方向内向きの力が作用する。
【0044】
仮に、シリンダチューブ110の内周面110b及び壁部122の内周面122bに溝部114及び溝部124が形成されていない場合、溶接条件によっては接合面131が軸方向に拡大し、位置決め部140の外周面140aが意図した範囲を超えて接合部130と接合することがある。軸方向における接合面131の幅(接合幅)Lが拡大すると、位置決め部140は、シリンダ100が受ける引張荷重によって大きく変形する。その結果、接合面131の両縁131a,131bには、より大きい径方向内向きの力が作用する。径方向の力の増大によって、接合面131の両縁131a、131bにおける応力が増大し接合部130が破損しやすくなる。その結果、シリンダ100の耐久性が低下する。
【0045】
シリンダ100では、シリンダチューブ110の内周面110bに溝部114が形成され接合部130が溝部114に臨むので、接合面131の縁131aの位置は、溝部114によって定められる。溶接条件に関わらず接合面131がシリンダチューブ110の側に拡大せず、位置決め部140の変形量が増大しない。接合面131の縁131aに作用する径方向内向きの力が増大するのを防止することができ、接合面131の縁131aにおける応力が増大するのを防止することができる。したがって、接合部130が破損するのを防止することができ、シリンダ100の耐久性を向上させることができる。
【0046】
同様に、壁部122の内周面122bに溝部124が形成され接合部130が溝部124に臨むので、接合面131の縁131bの位置は、溝部124によって定められる。溶接条件に関わらず接合面131がシリンダボトム120の側に拡大せず、位置決め部140の変形量が増大しない。したがって、接合面131の縁131bにおける応力の増大を防止することができ、シリンダ100の耐久性を向上させることができる。
【0047】
シリンダ100では、溝部114,124が軸方向における接合部130の両側に設けられるので、溝部114,124によって、接合面131の両縁131a,131bの位置が定められる。溶接条件に関わらず接合面131が拡大するのをより確実に防止することができ、接合面131の縁131a,131bにおける応力の増大を防止することができる。したがって、シリンダ100の耐久性を向上させることができる。
【0048】
図2を参照する。シリンダ100では、接合部130は、位置決め部140と接合されるとともに、シリンダチューブ110の内周面110bに形成される溝部114に臨む。シリンダチューブ110の溝部114における最大内径D1(以下、「溝部114の内径D1」と称する)は、接合面131の縁131aの内径D2よりも大きくなる。
【0049】
同様に、接合部130は、位置決め部140と接合されるとともに、壁部122の内周面122bに形成される溝部124に臨む。壁部122の溝部124における最大内径D3(以下、「溝部124の内径D3」と称する)は、接合面131の縁131bの内径D4よりも大きくなる。
【0050】
シリンダ100が軸方向の力を受けたとき、シリンダチューブ110及びシリンダボトム120に作用する力は、接合部130のうち溝部114,124の底面よりも径方向外側に位置する部分を主に経てシリンダボトム120及びシリンダチューブ110に伝わる。溝部114,124の内径D1,D3が接合面131の縁131a,131bの内径D2,D4よりも大きいので、接合面131の縁131a,131bには力が伝わり難い。接合面131の縁131a,131bに生じる応力集中を緩和することができ、繰り返し荷重による接合部130の疲労破壊を防止することができる。したがって、シリンダ100の耐久性を向上させることができる。
【0051】
溝部114は、シリンダチューブ110の内周面110bのうち位置決め部140に対向する領域内に形成される。つまり、シリンダ100が引張荷重を受けていない状態では、溝部114は位置決め部140の外周面140aによって封止される。同様に、溝部124は、壁部122の内周面122bのうち位置決め部140に対向する領域内に形成される。つまり、シリンダ100が引張荷重を受けていない状態では、溝部124は位置決め部140の外周面140aによって封止される。
【0052】
溝部114及び溝部124が位置決め部140の外周面140aによって封止されるので、溶接時には、軸方向における位置決め部140の両端がシリンダチューブ110及び壁部122に接する。接合時にシリンダチューブ110と壁部122とが径方向によりずれるのをより確実に防止することができ、シリンダチューブ110と壁部122との間に意図しない段部が形成されるのを防ぐことができる。したがって、シリンダ100の耐久性を向上させることができる。
【0053】
図4は、本実施形態の変形例に係るシリンダ101を示す拡大断面図である。シリンダ101では、位置決め部140の外周面140aに環状の溝部144,145が形成される。溝部144,145の断面は、弓形に形成される。溝部144及び溝部145は、周方向に全周に形成されていてもよいし、周方向における一部に形成されていてもよい。
【0054】
溝部144は、シリンダチューブ110及び接合部130によって覆われる。つまり、接合部130は、溝部144に臨む。そのため、接合面131の一方の縁131aの位置は、溝部144によって定められる。
【0055】
同様に、溝部145は、壁部122及び接合部130によって覆われる。つまり、接合部130は、溝部145に臨む。そのため、接合面131の他方の縁131bの位置は、溝部145によって定められる。
【0056】
シリンダ101においても、シリンダ100と同様に、溶接条件に関わらず接合面131が拡大せず、シリンダ101が引張荷重を受けたときの位置決め部140の変形量が増大しない。したがって、接合面131の縁131a,131bにおける応力の増大を防止することができ、シリンダ101の耐久性を向上させることができる。
【0057】
シリンダ101では、シリンダチューブ110の内周面110bに溝部114(図2参照)が形成されておらず、壁部122の内周面122bに溝部124(図2参照)が形成されていない。そのため、シリンダチューブ110及び壁部122の肉厚を一定にすることができる。したがって、シリンダ101が大荷重を受けることにより生じるシリンダチューブ110及び壁部122の一発破壊を防止することができる。
【0058】
図5は、本実施形態の別の変形例に係るシリンダ102を示す拡大断面図である。シリンダ102では、壁部122の内周面122bに溝部124が形成され、位置決め部140の外周面140aに溝部144が形成される。
【0059】
シリンダ102においても、シリンダ100と同様に、接合面131の縁131a,131bの位置は、溝部124,144によって定められる。溶接条件に関わらず接合面131が拡大せず、シリンダ102が引張荷重を受けたときの位置決め部140の変形量が増大しない。したがって、接合面131の縁131a,131bにおける応力の増大を防止することができ、シリンダ102の耐久性を向上させることができる。
【0060】
シリンダ102では、シリンダチューブ110の内周面110bに溝部114(図2参照)が形成されていない。そのため、シリンダチューブ110の肉厚を一定にすることができる。したがって、シリンダ102が大荷重を受けることにより生じるシリンダチューブ110の一発破壊を防止することができる。
【0061】
また、シリンダ102では、壁部122の内周面122bに溝部124が形成される。そのため、シリンダ102が軸方向の力を受けたとき、シリンダボトム120に作用する力は、壁部122のうち溝部124の底面よりも径方向外側に位置する部分を主に経てシリンダチューブ110に伝わる。
【0062】
シリンダボトム120のボトム本体121には、反ロッド側室5(図1参照)内の作動油の圧力が軸方向に作用する。仮に壁部122の内周面122bに溝部124が形成されていない場合、接合面131の縁131aと比較して、接合面131の縁131bに大きい力が作用し、シリンダボトム120が破損しやすい。
【0063】
シリンダ102では、溝部124が壁部122の内周面122bに形成される一方で、シリンダチューブ110の内周面110bには溝部114(図2参照)が形成されていない。接合面131の縁131aと比較して、接合面131の縁131bに力がより伝わり難い。接合面131の縁131bに生じる応力集中をより確実に緩和することができ、繰り返し荷重による接合部130の疲労破壊を防止することができる。
【0064】
図6は、本実施形態の別の変形例に係るシリンダ103を示す拡大断面図である。シリンダ103では、シリンダチューブ110の内周面110bに溝部114が形成され、位置決め部140の外周面140aに溝部145が形成される。
【0065】
シリンダ103においても、シリンダ100と同様に、接合面131の縁131a,131bの位置は、溝部114,145によって定められる。溶接条件に関わらず接合面131が拡大せず、シリンダ103が引張荷重を受けたときの位置決め部140の変形量が増大しない。したがって、接合面131の縁131a,131bにおける応力の増大を防止することができ、シリンダ103の耐久性を向上させることができる。
【0066】
シリンダ103では、壁部122の内周面122bに溝部124(図2参照)が形成されていない。そのため、壁部122の肉厚を一定にすることができる。したがって、シリンダ103が大荷重を受けることにより生じる壁部122の一発破壊を防止することができる。
【0067】
また、シリンダ103では、シリンダチューブ110の内周面110bに溝部124が形成される。そのため、シリンダ103が軸方向の力を受けたとき、シリンダチューブ110に作用する力は、シリンダチューブ110のうち溝部114の底面よりも径方向外側に位置する部分を主に経てシリンダボトム120に伝わる。接合面131の縁131a,131bに力が伝わり難く、接合面131の縁131a,131bに生じる応力集中を緩和することができる。したがって、繰り返し荷重による接合部130の疲労破壊を防止することができる。
【0068】
図7は、本実施形態の別の変形例に係るシリンダ104を示す拡大断面図である。シリンダ104では、壁部122の内周面122bに溝部124が形成される。シリンダチューブ110の内周面110b及び位置決め部140の外周面140aには、溝部114,144,145(図2及び図4参照)が形成されていない。
【0069】
シリンダ104では、接合面131の縁131bの位置は、溝部124によって定められる。溶接条件に関わらず接合面131がシリンダボトム120の側に拡大せず、シリンダ104が引張荷重を受けたときの位置決め部140の変形量が増大しない。したがって、接合面131の縁131bにおける応力の増大を防止することができ、シリンダ104の耐久性を向上させることができる。
【0070】
また、シリンダチューブ110の内周面110bに溝部114(図2参照)が形成されていないので、シリンダチューブ110の肉厚を一定にすることができる。したがって、シリンダ104が大荷重を受けることにより生じるシリンダチューブ110の一発破壊を防止することができる。
【0071】
また、シリンダ104では、シリンダ104が軸方向の力を受けたとき、シリンダボトム120に作用する力は、壁部122のうち溝部124の底面よりも径方向外側に位置する部分を主に経てシリンダチューブ110に伝わる。接合面131の縁131a,131bに力が伝わり難く、接合面131の縁131a,131bに生じる応力集中を緩和することができる。したがって、繰り返し荷重による接合部130の疲労破壊を防止することができる。
【0072】
シリンダ104は、壁部122の内周面122bに溝部124が形成された形態に限られない。シリンダチューブ110の内周面110bにのみ溝部114が形成され壁部122の内周面122bには溝部124が形成されていなくてもよい。位置決め部140は、シリンダボトム120と一体に形成されていてもよい。
【0073】
図8は、本実施形態の別の変形例に係るシリンダ105を示す拡大断面図である。シリンダ105では、壁部122の内周面122bに溝部124が形成される。溝部124の一部は、壁部122の内周面122bのうち位置決め部140と対向する領域の外側に形成される。つまり、シリンダ105が引張荷重を受けていない状態でも、溝部124は位置決め部140の外周面140aによって封止されていない。
【0074】
シリンダ105においても、シリンダ104と同様に、接合面131の縁131bの位置は、溝部124によって定められる。溶接条件に関わらず接合面131がシリンダボトム120の側に拡大せず、シリンダ105が引張荷重を受けたときの位置決め部140の変形量が増大しない。したがって、接合面131の縁131bにおける応力の増大を防止することができ、シリンダ105の耐久性を向上させることができる。
【0075】
また、シリンダ105が軸方向の力を受けたとき、シリンダボトム120に作用する力は、接合面131の縁131a,131bに力が伝わり難く、接合面131の縁131a,131bに生じる応力集中を緩和することができる。したがって、繰り返し荷重による接合部130の疲労破壊を防止することができる。
【0076】
図9は、本実施形態の別の変形例に係るシリンダ106を示す拡大断面図である。シリンダ106では、位置決め部140の外周面140aに溝部144,145が形成される。溝部144,145の断面は、三角形に形成される。
【0077】
シリンダ106においても、シリンダ101と同様に、接合面131の縁131a,131bの位置は、溝部144,145によって定められる。溶接条件に関わらず接合面131が拡大せず、シリンダ106が引張荷重を受けたときの位置決め部140の変形量が増大しない。したがって、接合面131の縁131a,131bにおける応力の増大を防止することができ、シリンダ106の耐久性を向上させることができる。
【0078】
溝部114,124(図1等参照)の断面形状が三角形であってもよい。また、溝部114,124,144,145の断面形状は、弓形及び三角形に限られず、四角形及び五角形等、他の形状であってもよい。
【0079】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0080】
本実施形態では、シリンダ100,101,102,103,104,105,106は、筒状のシリンダチューブ110と、環状の壁部122を有しシリンダチューブ110の開口端部110aと壁部122の先端部122aとが接合部130を介して接合されてシリンダチューブ110の開口を閉塞するシリンダボトム120と、シリンダチューブ110の内周面110bと壁部122の内周面122bに沿って配置され、シリンダチューブ110とシリンダボトム120との相対位置を定める環状の位置決め部140と、を備え、位置決め部140の外周面140aの一部は、接合部130と接合され、シリンダチューブ110の内周面110b、壁部122の内周面122b、及び位置決め部140の外周面140aの少なくとも1つには、周方向に延在する溝部114,124,144,145が形成され、接合部130は、溝部114,124,144,145に臨むことを特徴とする。
【0081】
この構成では、接合部130が周方向に延在する溝部114,124,144,145に臨むので、溝部114,124,144,145によって、接合部130と位置決め部140との接合面131の縁131a,131bの位置が定められる。溶接時の条件に関わらず接合幅Lが拡大するのを防止することができ、接合部130における応力の増大を防止することができる。したがって、シリンダ100,101,102,103,104,105,106の耐久性を向上させることができる。
【0082】
また、本実施形態では、溝部114,124,144,145は、軸方向における接合部130の両側に設けられることを特徴とする。
【0083】
この構成では、溝部114,124,144,145が接合部130の両側に設けられるので、2つの溝部114,124,144,145によって、接合部130と位置決め部140との接合面131の両縁131a,131bの位置が定められる。溶接時の条件に関わらず接合幅Lが拡大するのをより確実に防止することができ、接合部130における応力の増大を防止することができる。したがって、シリンダ100,101,102,103,106の耐久性を向上させることができる。
【0084】
また、本実施形態では、溝部114,124は、シリンダチューブ110の内周面110bと、壁部122の内周面122bと、に形成されることを特徴とする。
【0085】
この構成では、溝部114がシリンダチューブ110の内周面110bに形成され溝部124が壁部122の内周面122bに形成されるので、シリンダチューブ110及びシリンダボトム120に作用する軸方向の力は、接合面131の両縁131a,131bに伝わり難い。接合面131の両縁131a,131bに生じる応力集中を緩和することができ、繰り返し荷重による接合部130の疲労破壊を防止することができる。したがって、シリンダ100の耐久性を向上させることができる。
【0086】
また、本実施形態では、溝部114,124は、位置決め部140の外周面140aによって封止されることを特徴とする。
【0087】
この構成では、位置決め部140の外周面140aによって溝部114,124が封止されるので、溶接時には、軸方向における位置決め部140の両端がシリンダチューブ110及び壁部122に接する。シリンダチューブ110とシリンダボトム120との径方向へのずれをより確実に防止することができ、シリンダチューブ110と壁部122との間に意図しない段部が形成されるのを防ぐことができる。したがって、シリンダ100の耐久性を向上させることができる。
【0088】
また、本実施形態では、溝部144,145は、位置決め部140の外周面140aに形成されることを特徴とする。
【0089】
この構成では、溝部144,145が位置決め部140の外周面140aに形成されるので、シリンダチューブ110及び壁部122に溝部114,124を形成しなくてよく、シリンダチューブ110及び壁部122の肉厚を一定にすることができる。したがって、シリンダ101,106が大荷重を受けることにより生じるシリンダチューブ110及び壁部122の一発破壊を防止することができる。
【0090】
また、本実施形態では、溝部124,144は、壁部122の内周面122bと、位置決め部140の外周面140aと、に形成されることを特徴とする。
【0091】
この構成では、壁部122の内周面122bに溝部124が形成されるので、シリンダボトム120に作用する軸方向の力は、接合部130と位置決め部140との接合面131の縁131bに伝わり難い。したがって、接合面131の縁131bに生じる応力集中を緩和することができ、繰り返し荷重による接合部130の疲労破壊を防止することができる。また、溝部144が位置決め部140の外周面140aに形成されるので、シリンダチューブ110の内周面110bに溝部114を形成しなくてよく、シリンダチューブ110の肉厚を一定にすることができる。したがって、シリンダ102が大荷重を受けることにより生じるシリンダチューブ110の一発破壊を防止することができる。
【0092】
また、本実施形態では、溝部114,145は、シリンダチューブ110の内周面110bと、位置決め部140の外周面140aと、に形成されることを特徴とする。
【0093】
この構成では、シリンダチューブ110の内周面110bに溝部114が形成されるので、シリンダチューブ110に作用する軸方向の力は、接合部130と位置決め部140との接合面131の縁131aに伝わり難い。したがって、接合面131の縁131aに生じる応力集中を緩和することができ、繰り返し荷重による接合部130の疲労破壊を防止することができる。また、溝部145が位置決め部140の外周面140aに形成されるので、壁部122の内周面122bに溝部124を形成しなくてよく、壁部122の肉厚を一定にすることができる。したがって、シリンダ103が大荷重を受けることにより生じる壁部122の一発破壊を防止することができる。
【0094】
また、本実施形態は、シリンダに作動油が給排されることによって伸縮作動する油圧シリンダ1に係る。本実施形態では、シリンダは、シリンダ100,101,102,103,104,105,106であることを特徴とする。
【0095】
この構成では、シリンダが前述のシリンダ100,101,102,103,104,105,106であるので、シリンダは高い耐久性を有する。したがって、油圧シリンダ1の耐久性を向上させることができる。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記各実施形態は本発明の適用例の一つを示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0097】
上記実施形態では、耐圧機器として、油圧シリンダ1に用いられるシリンダについて説明した。耐圧機器は、これに限らず、液体や気体を保管するためのボンベなどの圧力容器でもよい。
【符号の説明】
【0098】
1・・・油圧シリンダ(流体圧シリンダ)、100,101,102,103,104,105,106・・・シリンダ(耐圧機器)、110・・・シリンダチューブ(筒状の本体部)、110a・・・開口端部(端部)、110b・・・内周面、114・・・溝部、120・・・シリンダボトム(蓋部)、122・・・壁部、122a・・・先端部(端部)、122b・・・内周面、124・・・溝部、130・・・接合部、131・・・接合面、131a,131b・・・縁、140・・・位置決め部、140a・・・外周面、140b・・・内周面、144・・・溝部、145・・・溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9