(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774212
(24)【登録日】2020年10月6日
(45)【発行日】2020年10月21日
(54)【発明の名称】多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜形成用電気めっき浴およびこれを用いた多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜の形成方法
(51)【国際特許分類】
C25D 3/12 20060101AFI20201012BHJP
C25D 3/20 20060101ALI20201012BHJP
C25D 5/16 20060101ALI20201012BHJP
【FI】
C25D3/12
C25D3/20
C25D5/16
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-84509(P2016-84509)
(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公開番号】特開2017-193750(P2017-193750A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2019年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000120386
【氏名又は名称】株式会社JCU
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 真雄
【審査官】
池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第1485466(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0029170(US,A1)
【文献】
特開平05−179480(JP,A)
【文献】
特開平09−059788(JP,A)
【文献】
特開昭58−130296(JP,A)
【文献】
特開2010−121194(JP,A)
【文献】
特表2006−508238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 3/12
C25D 3/20
C25D 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄族元素めっき浴に、以下の式(I)
【化1】
(ただし、R
1は炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル基を示し、R
2は炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル基、あるいは置換基を有してもよいアリール基を示し、R
3は置換基を有していてもよいアリール基を示す。)
で示される第3級アミンを含有させ
、
鉄族元素が、ニッケルまたはコバルトである、
ことを特徴とする多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜形成用電気めっき浴。
【請求項2】
式(I)で示される第3級アミンが、N,N−ジメチルベンジルアミンである請求項1に記載の多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜形成用電気めっき浴。
【請求項3】
pHが0〜4である請求項1または2に記載の多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜形成用電気めっき浴。
【請求項4】
直管状体の大きさ(最大幅)が2〜15μmであり、直管状体の開口の大きさが0.3〜10μmであり、これが1mm2あたり10000〜100000個密集しているものである請求項1〜3の何れかに記載の多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜形成用電気めっき浴。
【請求項5】
基材を、請求項1〜4の何れかに記載の多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜形成用電気めっき浴中、0.5〜4A/dm2で10分間以上電気めっきすることを特徴とする多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜の形成方法。
【請求項6】
直管状体の大きさ(最大幅)が2〜15μmであり、直管状体の開口の大きさが0.3〜10μmであり、これが1mm2あたり10000〜100000個密集しているものである請求項5に記載の多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜の形成方法。
【請求項7】
基材上にされた鉄族元素めっき皮膜であって、
鉄族元素が、ニッケルまたはコバルトであり、
鉄族元素めっき皮膜の表面に複数の直管状体があり、
直管状体の大きさ(最大幅)が2〜15μmであり、直管状体の開口の大きさが0.3〜10μmであり、これが1mm2あたり10000〜100000個密集しているものである、
ことを特徴とする多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄族元素めっき皮膜の表面に複数の直管状体がある多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜を形成するための電気めっき技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄族元素めっき皮膜は、装飾、摺動部材の被覆、電気化学センサー、蓄電デバイス等の種々の用途に用いられている。
【0003】
一般に、装飾めっきにおいては、めっき皮膜は平滑であることが求められるが、フィルター、熱交換器、蓄電デバイス等においては、感度や性能が高くなるため比表面積が大きいことが求められる。
【0004】
鉄族元素の中でも、例えば、ニッケルめっき皮膜の比表面積を大きくする技術としては、例えば、ニッケルめっき浴に特定の構造の疎水性基を有する水溶性第4級アンモニウム化合物からなる添加剤を添加した電気めっき浴でめっき皮膜表面に1μm前後の多数の微細孔を形成する技術(特許文献1)等が知られている。
【0005】
しかしながら、蓄電デバイスにも多種多様なものがあるため、上記のような微細孔や筒状体以外の形状で鉄族元素めっき皮膜の比表面積を大きくできる技術も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5366076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は鉄族元素めっき皮膜の比表面積を大きくできる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、鉄族元素めっき浴に特定の構造の第3級アミンを含有させることにより、これまでにない表面形状を有し、比表面積の大きい鉄族元素めっき皮膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、鉄族元素めっき浴に、以下の式(I)
【化1】
(ただし、R
1は炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル基を示し、R
2は炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル基、あるいは置換基を有してもよいアリール基を示し、R
3は置換基を有していてもよいアリール基を示す。)
で示される第3級アミンを含有させたことを特徴とする多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜形成用電気めっき浴である。
【0010】
また、本発明は、基材を、上記多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜形成用電気めっき浴中、0.5〜4A/dm
2で10分間以上電気めっきすることを特徴とする多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜の形成方法である。
【0011】
更に、本発明は、基材上にされた鉄族元素めっき皮膜であって、鉄族元素めっき皮膜の表面に複数の直管状体があることを特徴とする多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜形成用電気めっき浴によれば、表面に鉄族元素めっきにより形成された複数の直管状体がある鉄族元素めっき皮膜を得ることができる。この鉄族元素めっき皮膜は比表面積が大きく、また、直管状であるため電極活物質を内部にまで充填できることや通気性に優れ、例えば、蓄電デバイス、フィルター、熱交換器等に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1で得られた多孔質直管状ニッケルめっき皮膜の電子顕微鏡写真である(3000倍)。
【
図2】実施例1で得られた多孔質直管状ニッケルめっき皮膜の断面の電子顕微鏡写真である(3000倍)。
【
図3】実施例2で得られた多孔質直管状ニッケルめっき皮膜の電子顕微鏡写真である(3000倍)。
【
図4】実施例3で得られた多孔質直管状コバルトめっき皮膜の電子顕微鏡写真である(3000倍)。
【
図5】比較例1で得られたニッケルめっき皮膜の電子顕微鏡写真である(3000倍)。
【
図6】比較例1で得られたニッケルめっき皮膜の断面の電子顕微鏡写真である(3000倍)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜形成用電気めっき浴は、鉄族元素めっき浴に、以下の式(I)で示される第3級アミンを含有させたものである。
【化1】
【0015】
上記式(I)中、R
1は炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル基を示し、R
2は炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖アルキル基、あるいは置換基を有してもよいアリール基を示し、R
3は置換基を有していてもよいアリール基を示す。なお、R
2〜R
3の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、これらの中でもアルキル基、アリール基が好ましい。より具体的に、R
1はメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。R
2はメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ベンジル基が好ましく、メチル、エチル基がより好ましい。R
3はベンジル基、フェニル基、ナフチル基が好ましく、ベンジル基がより好ましい。
【0016】
上記式(I)で示される第3級アミンの中でも、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、ジイソプロピルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−メチルジベンジルアミンがより好ましい。これらの成分(a)は1種または2種以上を組み合わせてもよい。
【0017】
上記式(I)で示される第3級アミンは、鉄族元素めっき浴中に、0.001〜0.15mol/L、好ましくは0.005〜0.1mol/Lで含有させればよい。
【0018】
本発明に用いられる鉄族元素めっき浴としては、鉄族元素(ニッケル、コバルト、鉄)を析出させることのめっき浴であれば特に限定されず、例えば、公知のニッケルめっき浴、コバルトめっき浴、鉄めっき浴が挙げられる。これらの鉄族元素めっき浴の中でもニッケルめっき浴、コバルトめっき浴が好ましい。
【0019】
なお、これら鉄族元素めっき浴には、鉄族元素を2種以上含有させたり、鉄族元素以外の別の金属元素を含有させて合金めっき浴としても良い。また、これら鉄族元素めっき浴には、例えば、サッカリン酸ナトリウム等の添加剤を含有させてもよい。
【0020】
また、鉄族元素めっき浴のpHは、特に限定されないが、式(I)で示される第3級アミンを鉄族元素めっき浴中で安定に存在させるため、0〜4.0、好ましくは1.0〜2.5とする。
【0021】
具体的なニッケルめっき浴としては、硫酸浴、スルファミン酸浴等が挙げられる。
【0022】
上記硫酸ニッケルめっき浴の好ましい態様としては、例えば、以下のものが挙げられる。
硫酸ニッケル 140〜400g/L
塩化ニッケル 20〜60g/L
ホウ酸 15〜50g/L
【0023】
上記スルファミン酸ニッケルめっき浴の好ましい態様としては、例えば、以下のものが挙げられる。
スルファミン酸ニッケル 140〜400g/L
塩化ニッケル 5〜20g/L
ホウ酸 15〜50g/L
【0024】
具体的なコバルトめっき浴としては、スルファミン酸浴等が挙げられる。
【0025】
上記スルファミン酸コバルトめっき浴の好ましい態様としては、例えば、以下のものが挙げられる。
スルファミン酸コバルト 140〜400g/L
塩化コバルト 5〜20g/L
ホウ酸 15〜50g/L
【0026】
具体的な鉄めっき浴としては、硫酸浴等が挙げられる。
【0027】
上記塩化物鉄めっき浴の好ましい態様としては、例えば、以下のものが挙げられる。
硫酸第一鉄 140〜400g/L
塩化第一鉄 20〜60g/L
塩化アンモニウム 5〜30g/L
【0028】
本発明の多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜形成用電気めっき浴は、式(I)で示される第3級アミンを、鉄族元素めっき浴に用いられる酸性の成分を溶解させた水溶液に予め溶解させる以外は、通常の鉄族元素めっき浴と同様にして各種成分の混合やpHの調整等して調製することができる。
【0029】
以上説明した本発明の多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜形成用電気めっき浴で、基材を、0.5〜4A/dm
2、好ましくは1〜2.5A/dm
2で10分間以上、好ましくは20〜120分間電気めっきすることにより多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜を形成することができる。また、めっき浴の温度は、特に限定されないが、例えば、20〜50℃、好ましくは30〜40℃である。更に、めっきの際には、通常のように対流を起こすような撹拌は行わず、できるだけ撹拌をしないことが好ましく、無撹拌がより好ましい。
【0030】
本発明の多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜形成用電気めっき浴で電気めっきすることのできる基材としては、特に限定されないが、例えば、少なくとも基材の表面が、銅、ニッケル、真鍮等の金属、ABS、ポリイミド等の樹脂等で形成されたもの等である。
【0031】
なお、多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜とは、鉄族元素めっき皮膜の表面に鉄族元素めっきにより形成された直管状体があり、これが複数あることにより多孔質となっているものである。ここで直管状とは、上面に開口部を有し、その開口部が一直線に下面まで続くパイプのような形状をいう。具体的な多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜としては、直管状体の大きさ(最大幅)が2〜15μm程度、高さが1μm以上であり、直管状体の開口の大きさが0.3〜10μm程度であり、これが密集、好ましくは隙間なく1mm
2あたり10000〜100000個程度密集しているものである。
【0032】
この多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜は、通常の鉄族元素めっき皮膜と同様に、装飾、摺動部材の被覆等の用途に用いることができる。特に、この多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜は、これに更に金属や樹脂の層を積層すれば、直管状体の内部にそれが入り込み、アンカー効果が生じてピール強度は向上する。
【0033】
また、この多孔質直管状鉄族元素めっき皮膜は、比表面積が大きいため、熱交換器、フィルター、触媒用担体や、全固体二次電池等の二次電池、燃料電池、電気二重層キャパシター等の蓄電デバイス等の用途に用いると感度や性能が向上するため好ましい。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0035】
実 施 例 1
多孔質直管状ニッケルめっき皮膜の形成:
(1)電気めっき浴の調製
水に、硫酸ニッケル280g/L、塩化ニッケル45g/L、ホウ酸40g/L、N,N−ジメチルベンジルアミン2g/Lとなるように混合し、最後に、硫酸でpHを2.0に調整して多孔質直管状ニッケルめっき皮膜形成用電気めっき浴を得た。
【0036】
(2)電解めっき
上記(1)で得た電気めっき浴を40℃にしたものに、銅板を浸漬して電流密度1.2A/dm
2で60分間めっきした。なお、めっき中は無撹拌とした。この電気めっき後の表面を電子顕微鏡で観察したところ(
図1)、ニッケルめっき皮膜の表面に、ニッケルめっきで形成され、上面に開口部を有する直管状体が複数あることが分かった。直管状体の大きさ(最大幅)は3.5〜9μm程度であり、直管状体の開口の大きさは1.5〜6.5μm程度であり、これが1mm
2あたり27000個程度隙間なく密集していた。また、直管状体の断面を電子顕微鏡で観察したところ(
図2)、直管状体の開口は一直線に基板間で続くパイプのような形状であった。更に、直管状体の高さは20μm程度であった。
【0037】
実 施 例 2
多孔質直管状ニッケルめっき皮膜の形成:
(1)電気めっき浴の調製
水に、スルファミン酸ニッケル450g/L、塩化ニッケル10g/L、ホウ酸40g/L、N,N−ジメチルベンジルアミン4g/Lとなるように混合し、最後に、スルファミン酸でpHを2.0に調整して多孔質直管状ニッケルめっき皮膜形成用電気めっき浴を得た。
【0038】
(2)電解めっき
上記(1)で得た電気めっき浴を40℃にしたものに、銅板を浸漬して電流密度1.2A/dm
2で60分間めっきした。なお、めっき中は無撹拌とした。この電気めっき後の表面を電子顕微鏡で観察したところ(
図3)、ニッケルめっき皮膜の表面に、ニッケルめっきで形成され、上面に開口部を有する直管状体が複数あることが分かった。直管状体の大きさ(最大幅)は3.5〜9μm程度であり、直管状体の開口の大きさは1.2〜4.0μm程度であり、これが1mm
2あたり39000個程度隙間なく密集していた。また、直管状体の断面を電子顕微鏡で観察したところ、直管状体の開口は一直線に基板間で続くパイプのような形状であった。更に、直管状体の高さは20μm程度であった。
【0039】
実 施 例 3
多孔質直管状コバルトめっき皮膜の形成:
(1)電気めっき浴の調製
水に、スルファミン酸コバルト420g/L、塩化コバルト10g/L、ホウ酸40g/L、N,N−ジメチルベンジルアミン5g/Lとなるように混合し、最後に、スルファミン酸でpHを1.6に調整して多孔質直管状コバルトめっき皮膜形成用電気めっき浴を得た。
【0040】
(2)電解めっき
上記(1)で得た電気めっき浴を40℃にしたものに、銅板を浸漬して電流密度2.4A/dm
2で60分間めっきした。なお、めっき中は無撹拌とした。この電気めっき後の表面を電子顕微鏡で観察したところ(
図4)、コバルトめっき皮膜の表面に、コバルトめっきで形成され、上面に開口部を有する直管状体が複数あることが分かった。直管状体の大きさ(最大幅)は3.5〜7.5μm程度であり、直管状体の開口の大きさは1.5〜3.5μm程度であり、これが1mm
2あたり35000個程度隙間なく密集していた。また、直管状体の断面を電子顕微鏡で観察したところ、直管状体の開口は一直線に基板間で続くパイプのような形状であった。更に、直管状体の高さは8μm程度であった。
【0041】
比 較 例 1
ニッケルめっき皮膜の形成:
実施例1(1)の電気めっき浴の調製において、第3級アミンであるN,N−ジメチルベンジルアミン2g/Lに代えて第4級アンモニウム塩であるベンジルトリエチルアンモニウムクロライド2g/Lを用いる以外は同様にしてニッケルめっき皮膜形成用電気めっき浴を得た。
【0042】
上記で得た電気めっき浴を40℃にしたものに、銅板を浸漬して電流密度1.2A/dm
2で60分間めっきした。なお、めっき中は無撹拌とした。この電気めっき後の表面を電子顕微鏡で観察したところ(
図5)、皮膜が多孔質であることが分かった。しかし、この皮膜の断面を電子顕微鏡で観察したところ(
図6)、多孔質となっているのはニッケルめっきが海綿状に析出したためであることが分かった。
【0043】
実 施 例 4
多孔質直管状鉄めっき皮膜の形成:
(1)電気めっき浴の調製
水に、硫酸第一鉄250g/L、塩化第一鉄40g/L、塩化アンモニウム20g/L、N,N−ジメチルベンジルアミン5g/Lとなるように混合し、最後に、硫酸でpHを2.0に調整して多孔質直管状鉄めっき皮膜形成用電気めっき浴を得た。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、比表面積の大きい鉄族元素めっき皮膜が得られるため、熱交換器、フィルター、蓄電デバイス等の製造に好適に利用することができる。
以 上